JP4176173B2 - (メタ)アクリル酸系エステル - Google Patents

(メタ)アクリル酸系エステル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の基を有する(メタ)アクリル酸系エステル、該単量体を重合してなる重合体、該単量体の製造方法、該重合体の製造方法、さらに、その(メタ)アクリル酸系エステル重合体を用いてなる生体適合性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体膜の主成分はタンパク質と脂質であり、脂質のなかにはリン脂質と糖脂質がある。リン脂質は生体全体の生命維持において多くの機能をもつことが知られている。そのため、リン脂質特性基を有する各種の化合物が検討されている。リン脂質特性基であるホスホリルコリン基を有するモノマーおよびこれから得られる種々のポリマーは、人工臓器用等の医用材料、バイオセンサー等のセンサー類などに応用する試みが数多くなされている(例えば、特開昭59−43342号公報、特開昭63−222183号公報など)。
一方、天然界において糖質のポリマーは、通常糖鎖のつながった多糖類として存在している。近年、細胞への認識機構の研究が進むに従って、種々の認識現象において糖タンパク質や糖脂質などの糖鎖構造が極めて重要な働きをしていることが明らかとなってきた。細胞膜上で抗原抗体の接着や、食作用等における細胞間相互作用において、細胞膜上での抗原抗体反応、ウイルスなどの感染などに糖鎖部分が大きく関与していることが分かってきている。
その一方で、細胞による認識を受けにくい糖鎖構造も知られている。こうした特定の組織や細胞による糖鎖の認識機構を薬物の吸収、分布、放出制御の各過程にうまく利用することによって、効果的なDDS(ドラッグデリバリーシステム)の構築が試みられている。
【0003】
近年、側鎖に糖成分をもつ合成ポリマーが各種検討されている。それらの糖鎖を有する化合物は、分子生物学分野における糖鎖認識モデルとして、あるいは認識機構をもった機能材料の開発の点から興味がもたれている。
さらに、自然界にはセルロース、デンプン、ヘパリンなど様々な多糖類が存在する。これらの多糖類の中には、特異的な細胞認識には関与しないものもあり、DDSの高分子キャリア型製剤用の素材としても有用と考えられている。医療用材料として糖をみたときには、溶解性が低いため用途が限定される面や、新たな機能を付与する場合、より強度を必要とするなどの多くの問題点があり、天然物そのままでは用いることができない。このため、医用材料やセンサーなどの分野でいわゆる糖化合物(糖誘導体)を生体適合性材料として利用するためには、比較的高分子量で、かつ強固な膜または繊維や安定な微粒子、ミセルなどに成形でき、しかも容易に製造できる糖化合物が要望されていた。
【0004】
これまでも糖構造を有するモノマーおよびこれを構成成分とするポリマーが合成されている。例えば、重合性の二重結合基を有する糖化合物としては、次の(1)〜(5)の技術が知られている。
(1)W. A. P. Black, et al., J. Chem. Soc. 第4433頁(1963年)にはグルコース残基をもつメタクリレートモノマーとポリマーが示されている。
(2)T. Nakaya, et al., Makromol. Chem. 第175巻, 第3319頁(1974年)には、長鎖アルキル鎖を介した、イソプロピリデングルコフラノースのメタクリレートモノマーとポリマーが示されている。
(3)Y. C. Lee, et al., Anal. Biochem., 第95巻, 第260頁(1979年)、Methods Enzymol., 第83巻,第294頁(1982年)にはグルコース残基をもつアクリルアミドモノマーとポリマーが示されている。
(4)小林、住友、日本化学会誌、第406頁(1980年)にはグルコース残基をもつスチリルモノマーとポリマーが示されている。
(5)国際公開特許、WO90/04598号公報にはグルコース残基をもつメタクリレートモノマー(GEMA)とそのポリマーが開示されている。
前記の(1)〜(4)の技術では、糖ポリマーはいずれもその合成にあたって多くのステップを必要とし、大量に入手する事が困難であることから、応用検討が困難であった。
前記の(5)のGEMAを重合して得られるポリマーは必ずしも物性や生体適合性が十分ではなかった。
以上のように、生体適合性、製膜性や繊維や安定な微粒子、ミセルなどへの成形性を有する化合物は得られていないのが現状である
また、糖類残基含有ポリマーとしては、一部従来より知られているが、これらの糖類残基含有ポリマーは、製膜性等の成形性、生体適合性を兼ね備えた十分に満足できるものではなかった。
【0005】
またこれらを得るため糖類残基及びホスホリルコリン類似基の両方を含有する単量体は知られていなかった。また、なおかつ加水分解後に重合することによって糖構造を壊すことなくポリマー中に組み込むことができる化合物の高純度で簡便な合成法についても知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、新規の糖類残基及びホスホリルコリン類似基含有(メタ)アクリル酸エステルを提供することにある。
本発明の第2の目的は、該単量体を重合してなる重合体を提供することにある。
本発明の第3の目的は、該単量体の製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、該重合体の製造方法を提供することにある。
さらに本発明の第5の目的は、その新規(メタ)アクリル酸系エステル重合体を用いてなる生体適合性材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、糖類残基及びホスホリルコリン類似基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体を高純度で製造し、この単量体をラジカル重合することによって得られた重合体が優れた生体適合性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は次の(1)〜(8)である。
【0008】
(1)下記の一般式[1]
【化10】
Figure 0004176173
[ただし、式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR5は、−(BO)k-1B−基(ただし、Bは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、kはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100の数を示す。)で示されるオリゴオキシアルキレン基、Bの繰り返し単位は同一物の繰り返しでも異なったものの組み合わせでもよく、R3及びR4は炭素数1〜18の炭化水素基、mは1〜6の整数を表す。
また、{Acyl.Sug.は、下記の(i)の単糖類、(ii)のオリゴ糖類、(iii)の多糖類のいずれかの残基から選択される基で、結合部分を除く水酸基が炭素数2〜8のアシル基でアシル化されたもの。}
(i)グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトース、グロース、イドース、タロース、キシロース、リボース、アラビノース、リクソースの単糖残基、
(ii)セロビオース、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノースのオリゴ糖残基、
(iii)ヘパリン、セルロース、デンプン、キチン、リケナン、ペクチン、グリコーゲン、デキストリンの多糖残基。]
で表される(メタ)アクリル酸系エステル。
【0009】
(2)前記の一般式[1]において、Acyl.Sug.は、糖の水酸基が炭素数2のアシル基によってアシル化されたグルコース残基であり、下記式[2]
【化11】
Figure 0004176173
(ただし、Acはアセチル基を示す。)
で表される請求項1記載の(メタ)アクリル酸系エステル。
【0010】
(3)下記一般式[3]
【化12】
Figure 0004176173
[ただし、式中、R1、R2、R3、R4およびR5は、前記に同じ。また、mは1〜6の整数の整数を表す。また、−M−は、前記一般式[1]で表される単量体以外の単量体に由来する基であり、また、aは、一般式[1]で表される単量体に基づく構成単位によるモル分率で0.01〜1であり、bは前記一般式[1]で表される単量体以外の単量体に基づく構成単位のモル分率で0.99〜0であり、pは重合体の繰り返し単位数で1〜1000の数を示す。]
で表される(メタ)アクリル酸系エステル重合体。
【0011】
(4)下記一般式[4]
【化13】
Figure 0004176173
[ただし、式中、R1、R2、R3、R4、R5、Sug.、m、−M−、a、b、pは、前記に同じ。]
で表される(メタ)アクリル酸系エステル重合体。
【0012】
(5)次の工程▲1▼〜▲5▼からなる一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸系エステルの製造方法。
工程▲1▼;下記の一般式[5]
【化14】
Figure 0004176173
(ただし、式中、R1、R2は、前記に同じ。)
で表される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと
下記式[6]
【化15】
Figure 0004176173
(ただし、mは前記に同じ。)
で表される環状有機リン化合物を反応させて、下記一般式[7]
【化16】
Figure 0004176173
(ただし、R1、R2、mは、前記と同じ。)
で表される環状有機リン化合物残基を有する(メタ)アクリル酸エスエルを合成する。工程▲2▼;前記請求項1記載の(i)、(ii)または(iii)の糖類の全ての水酸基を炭素数2〜8のアシル化剤でアシル化する。
工程▲3▼;全ての水酸基をアシル化したO−アシル化糖をハロゲン化剤でハロゲン化し、アノメリック炭素のアシル基を置換して糖ハライドとする。
工程▲4▼;前記工程▲3▼の糖ハライドを下記の一般式[8]
【化17】
Figure 0004176173
(ただし、R3、R4、R5は、前記と同じ。)
で表されるN,N−ジアルキルアミノアルコールとを反応して、下記一般式[9]
【化18】
Figure 0004176173
(ただし、R3、R4、R5、Acyl.Sug.は、前記に同じ。)
で表されるO−アシル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを合成する。
工程▲5▼;前記工程▲1▼の環状有機リン残基を有する(メタ)アクリル酸エスエルと前記工程▲4▼のO−アシル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを反応させる。
【0013】
(6)前記の一般式[1]で表される単量体とその他の単量体(M)をラジカル重合してなる一般式[3]で表される(メタ)アクル酸系エステル重合体の製造方法。
【0014】
(7)前記の一般式[3]で表される(メタ)アクリル酸系エステル重合体の糖部分のアシル基を加水分解してなる一般式[4]で表される重合体の製造方法。
【0015】
(8)前記の一般式[4]で表される(メタ)アクリル酸系エステル重合体を用いてなる生体適合性材料。
【0016】
【発明の実施の形態】
一般式[1]、[3]、[4]、[5]、[7]において、R1は水素原子またはメチル基を示す。
また、一般式[1]、[3]、[4]、[7]において、R2、R5は、−(BO)k-1B−基(ただし、Bは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、kはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100の数を示す。)で示されるオリゴオキシアルキレン基、Bの繰り返し単位は同一物の繰り返しでも異なったものの組み合わせでもよい。
このような繰り返し単位基の具体的なものとしては、例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、トリメチレンオキシ基、ブチレンオキシ基、テトラメチレンオキシ基などのアルキレンオキシ基等の2価の炭化水素基などが挙げられる。また例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ヘキサデカメチレン基などが挙げられる。
【0017】
一般式[1]、[3]、[4]、[8]、[9]において、R3、R4は、炭素数1〜18の炭化水素基を示す。炭素数が18より多いと反応性が低下することと入手性から好ましくない。これらの炭化水素基は直鎖であっても分岐していてもよい。このような基の具体的なものとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
また、一般式[1]、[3]、[4]、[6]、[7]において、mは1〜6の整数を示す。mが7以上の場合は原料の入手性、合成の困難性、および目的とする化合物の開環4級化の反応が起きにくいことなどから好ましくない。より好ましくは、mは2〜4である。
【0018】
一般式[1]、[3]において、Acyl.Sug.は下記の(i)〜(iii)由来の糖類残基で示される糖化合物に由来する基であり、結合する基を除き、他の全ての水酸基を炭素数2〜8のアシル基でアシル化したものである。
(i)グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトース、グロース、イドース、タロース、キシロース、リボース、アラビノース、リクソースの単糖残基であり、例えばその化合物のうちグルコースの構造は、次の式で表わされる。
【化19】
Figure 0004176173
【化20】
Figure 0004176173
【0019】
(ii)セロビオース、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノースのオリゴ糖残基であり、そのうちの例えばセルビオースの構造は、次の式で表わされる。
【化21】
Figure 0004176173
【0020】
(iii)ヘパリン、セルロース、デンプン、キチン、リケナン、ペクチン、グリコーゲン、デキストリンの多糖残基のいずれかを示す。
ここで式中、AがHの場合は、原料となる単糖類、オリゴ糖類及び多糖類を示し、Aが炭素数2〜8のアシル基の場合は、前記の糖をアシル化したもので水酸基部分が結合部分を示す。
また、Sug.は前記の原料またはAcyl.Sug.の結合部分を除き、アシル基を加水分解して水酸基としたものを示す。
【0021】
一般式[3]、[4]において、−M−は、一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸系エステル以外のラジカル共重合可能な単量体に基づく構成単位の残基である。その単量体としては、特に限定されないが、カルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜16の芳香族炭化水素基あるいは炭素数7〜16の2価の芳香族基置換炭化水素基を有するものでもよく、これらの基は直鎖であっても分岐していてもよい。
その単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;スチレン、クロルスチレン、クロルメチルスチレン等スチレン系単量体;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;エチレン、プロピレン等の炭化水素系単量体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミド等のアミド系単量体;トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等のビニルシラン系単量体;ジエチルフマレート、ジエチルマレエート等の二塩基酸エステル単量体等を挙げることができる。さらには、コレステタノール(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。
【0022】
一般式[3]、[4]において、a、bはそれぞれ単量体に基づく構成単位のモル分率を表し、a=0.01〜1の数であり、b=0.99〜0の数を示す。より好ましくは、a=0.3〜1、b=0.7〜0の数である。
一般式[3]、[4]において、pは重合体の繰り返し単位数を示し、1〜1000の整数を示す。好ましくは、pは3〜500の数である。
【0023】
次の(a)に本発明の一般式[1]の単量体および(b)に本発明の一般式[3]、[4]の重合体の製造方法を示す。
(a)(メタ)アクリル酸系エステルの製造;
一般式[1]で表わされる(メタ)アクリル酸系エステルは、次のような工程▲1▼〜▲5▼からなる方法によって製造することができる。まず、各工程を次式の反応式によって示す。
【化22】
Figure 0004176173
【化23】
Figure 0004176173
【0024】
次に各工程について詳細に述べる。
工程▲1▼;前記一般式[5]で表される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと前記一般式[6]で表される環状有機リン化合物を反応させて前記一般式[7]で表される環状有機リン化合物残基を有する(メタ)アクリル酸エステルを合成する。工程▲2▼;前記請求項1記載の(i)、(ii)または(iii)の糖類の全ての水酸基を炭素数2〜8のアシル化剤でアシル化する。
工程▲3▼;全ての水酸基をアシル化したO−アシル化糖をハロゲン化剤でハロゲン化し、アノメリック炭素のアシル基を置換して糖ハライドとする。
工程▲4▼;前記工程▲3▼の糖ハライドを下記の一般式[8]で表されるN,N−ジアルキルアミノアルコールとを反応させて、一般式[9]で表される化合物を合成する。
工程▲5▼;前記工程▲1▼の環状有機リン化合物残基を有する(メタ)アクリル酸エステルと前記工程▲4▼のO−アセチル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを反応させて一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸系エステルを合成する。
【0025】
工程▲1▼において、原料として用いる一般式[5]で示される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、分子中に(メタ)アクリル酸部分と水酸基を含有していればよいが、具体的には、2−ヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸エステル、炭素数2〜4のポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
一般式[6]で示される環状有機リン化合物としては、従来公知の方法により、合成することができる。例えば、オキシ塩化リンと対応するジオールを反応させる。例えば、ジオールとして、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、α−ブチレングリコールやβ−ブチレングリコール等の分岐のブチレングリコール等が挙げられる。
【0026】
工程▲2▼において、原料としては前記の(i)の単糖類(ii)のオリゴ糖類および(iii)の多糖類から選択される一種が用いられる。好ましくはグルコースである。
この工程▲2▼および次の工程▲3▼は、ケーニッヒス・クノール(Koenigs−Knorr)法で知られるグリコシル化法を基にして行った。例えば、糖類として、グルコースを用いた場合、まず、テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミドを合成するのが好ましい。
原料としてグルコースを用い、例えば過剰量の無水酢酸等のアシル化剤と反応させ、糖残基Sug.の水酸基の全部をアシル化して、Acyl.Sug.を合成する。
合成方法としては、アシル化剤として、炭素数2〜8の酸無水物、酸ハロゲン化物等が挙げられる。好ましくは、炭素数2のアセチル化合物である。例えば、具体的には、過剰の無水酢酸、ピリジン−無水酢酸、アセチルクロリド等のアシル化剤が挙げられる。
反応は、重量比4倍の無水酢酸(約1.8当量)、60〜70%の過塩素酸を0.05当量加え、反応温度20〜80℃、好ましくは30〜50℃、反応時間4〜8時間、好ましくは6〜8時間が望ましい。
【0027】
工程▲3▼;全ての水酸基をアシル化したO−アシル化糖をハロゲン化剤でハロゲン化し、アノメリック炭素のアシル基を置換して糖ハライドとする。
ハロゲン化剤としては、ハロゲン化合物、ハロゲン化水素化合物あるいはこれらのどちらかを反応系中に含んでいればよい。例えば、臭素、氷酢酸−臭化水素飽和溶液、塩化アルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化チオニル−塩化亜鉛(II)等が挙げられる。糖ハライドでヨウ素化合物は不安定で単離が困難であり、フッ素化剤は、安全性の点から使用し難く、実際的には、糖クロリド、糖ブロミドが好ましく挙げられる。
【0028】
工程▲4▼;前記工程▲3▼の糖ハライドと前記の一般式[8]で表される化合物を反応させて前記の一般式[9]で表されるO−アセチル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを合成する。
脱ハロゲン化水素剤としては、前記の酸化銀(I)の他に、酸化水銀(II)、AgOC(O)−R6(ただし、R6はアルキル基を示す。)、トリフルオロメタンスルホン酸銀、シアン化水銀(II)および臭化水銀(II)が挙げられる。
前記の酸化銀(I)、酸化水銀(II)、AgOC(O)−R6(ただし、R6はアルキル基を示す。)およびトリフルオロメタンスルホン酸銀を用いるとSN2置換反応によりβ−グリコシド型が得られる。シアン化水銀(II)および臭化水銀(II)を用いると、SN1置換反応によりα−グリコシド型が得られる。
この反応は特に、ニトロメタン、アセトニトリル等の極性溶媒を用いることにより加速される。
【0029】
一般式[8]で示されるN,N−ジアルキルアミノアルコールとしては、R3、R4がジアルキル基として炭素数1〜18の炭化水素基であり、R5が、−(BO)k-1−B−基(ただし、Bは炭素数2〜12のアルキレン基を示す。)で末端に水酸基を有していればよい。例えば、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジプロピルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジエチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジプロピルアミノエトキシエタノール、あるいは、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジプロピルアミノエタノール等のアルキレンオキシド付加物;N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノブタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノドデカノール、あるいはこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。好ましくは、入手性などから、N,N−ジメチルアミノエタノールが挙げられる。
【0030】
工程▲5▼;前記工程▲1▼の環状有機リン化合物残基を有する(メタ)アクリル酸エステルと前記工程▲4▼のO−アセチル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを反応させる。
【0031】
一般式[9]の化合物の精製条件としては、洗浄、再結晶、再沈殿、クロマト分離が好ましく挙げられる。
【0032】
本発明の一般式[1]で示される(メタ)アクリル酸系エステルを製造する際の溶媒としては、反応物および生成物を溶解し得るものであればよい。例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、クロロホルム、ジクロルメタンあるいはジクロルベンゼン等の溶媒が挙げられる。
【0033】
工程▲4▼の前記の一般式[9]で表されるO−アセチル化糖オキシアルキル(ジアルキル)アミンを製造する際の反応条件として、仕込みモル比は、一般式[8]のN,N−ジアルキルアミノアルコール:アシル化糖ハロゲン化物:酸化銀=1:0.3〜1:0.3〜1.2であり、より好ましくは1:0.5〜0.7:0.5〜1.0であり、反応温度は、20〜45℃であり、より好ましくは30〜40℃であり、反応時間は、80〜150時間であり、より好ましくは120〜150時間である。
【0034】
本発明の一般式[1]で表される(メタ)アクリル酸系エステルの精製条件としては、洗浄、再結晶、再沈殿、クロマト分離等が望ましく挙げられる。
【0035】
(b)一般式[3]で表される重合体の製造;
(メタ)アクリル酸系エステルの重合体は次のようにして製造できる。
(b−1)前記一般式[1]で示される(メタ)アクリル酸系エステルとその他の単量体とを従来公知の方法で重合して製造できる。重合方法としては通常のラジカル重合法が用いられる。重合開始剤としては、特に限定されないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物;過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、コハク酸ジアシルペルオキシド等の有機化酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物等が挙げられる。その使用量は、0.001〜10重量%(対単量体)である。
【0036】
(b−2)この一般式[3]の糖の水酸基をアシル化した重合体を加水分解すると、一般式[4]の重合体が得られる。
Acyl・Sugの基の加水分解条件としては、一般に塩基性条件で容易に加水分解される。用いる塩基としては、例えばナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が挙げられる。
用いる溶媒としては、重合体が溶解する極性溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、キシレン、メタノール等の単独溶媒、あるいはこれらの適当な比率による混合溶媒が好ましく挙げられる。
完全に溶解させた3〜5重量%の溶液にアセチル基と等量の塩基を加えて、0〜8℃の温度、5〜100時間、好ましくは、室温〜50℃の温度、10〜50時間で、反応させ、イオン交換樹脂を加えてさらに室温で100時間かき混ぜてろ過、ろ液の濃縮、メタノール等の適当な溶媒による再沈殿精製を繰り返して目的の重合体を得ることができる。
【0037】
本発明の一般式[4]の重合体の分子量は、原料の一般式[1]で表される単量体及び一般式[1]で表される単量体以外のラジカル重合性単量体の分子量にもよるが、通常500〜1,000,000である。好ましくは、1,000〜100,000である。
【0038】
【発明の効果】
本発明の糖類残基及びホスホリルコリン類似基含有(メタ)アクリル酸系エステルは、生体適合性を付与する単量体として有用である。該(メタ)アクリル酸エステルを重合した重合体は、糖類残基及びホスホリルコリン類似基を含有しているので生体適合性があり、特に医用、医療用、コンタクトレンズ処理剤など生体関連分野において有用である。該重合体は、特に血液部分の蛋白質の付着がないので生体適合性材料として有用である。
単独では、抗原性を示す材料でも、糖残基含有重合体で処理すると、細胞認識されない可能性があり、本発明の重合体はDDS基材としての展開の可能性がある。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
なお各実施例で製造した重合体の数平均分子量は、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法でポリスチレンカラムによって標準ポリスチレンを基準に測定した。
また、重合体の組成比は1H−NMRの測定より計算で求めた。
【0040】
実施例1;2−[メタクリロイルオキシエチル]−2’−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシドエチルジメチルアンモニオ)エチルホスフェート(=Ac−GMTP=Ie)の合成
合成1;2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホリルエチルメタクリレート(=OPEMA=Ia)の合成
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(=HEMA)0.36ml(3.0mmol)と2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(=COP)0.33ml(3.6mmol)とトリエチルアミン(=TEA)0.5ml(3.6mmol)および溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)10mlを反応容器にとり、窒素気流下で、−20〜−10℃、20分間反応した。反応液をろ過して、TEA・HCl塩を除去して、生成物を0.7g得た(収率;99%)。
次ぎに1H−NMRの結果を次に示した。
1H−NMR分析;(δ(ppm)、TMS/in CDCl3
1.90−2.00;s×3;C=CCH3−COO−
1.70−2.50;m ;−O−C−CH2CO−
4.20−4.70;b ;C=C(C)COOCH2CH2OPCH2CH2
4.82−4.86;tri;−CH2(C)−
5.60、6.2 ;s×2;CH2=C(C)COO−
以上の結果から、得られたIaの化合物が次式のものであることを確認した。
【化24】
Figure 0004176173
【0041】
合成2;2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシド(=Ib)の合成;
無水酢酸500ml中に氷水で冷却しながら3.00mlの60%過塩素酸を滴下して、30〜40℃に保ちながらグルコース124.3g(0.69mol)を少しづつ加えた。
合成3;2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシルブロミド(=Ic)の合成;
前記の反応液を20℃に冷却した後、赤リン37.2g(1.24mol)を加え、20℃以下で臭素220.2g(1.38mol)を滴下し、最後に水45mlを滴下した。室温で2時間反応させた後、クロロホルムと水、さらにクロロホルムと炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で抽出した。クロロホルム層を濃縮し、エチルエーテルで2回再結晶して生成物Icを130.0g(0.32mol)得た(収率;46.0%)。Icの融点は85.0℃であった。次に1H−NMRデータとIRのデータを示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.05−2.15;s×4;CH3CO−
4.11−4.15;m ;−H(a)
4.28−4.36;m ;−CH2(b)−
4.82−4.86;tri;−CH2(c)−
5.14−5.20;tri;−CH2(d)−
5.53−5.59;tri;−H(e)
6.60−6.63;d ;−H(f)
【0042】
次にIR分析の結果を示した。
IcのIR分析データ;(液セル、cm-1
2900cm-1;−CH
1200 ;−OCOCH3
600 ;−C−Br
得られた化合物が次式の構造のものであることを確認した。
【0043】
【化25】
Figure 0004176173
ここで、Acはアセチル基(:CH3−C(=O)−)を示す。
【0044】
合成4;N,N−ジメチル−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)エチルアミン(Id)の合成;
前記の生成物Icである2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グルコピラノシルブロミド13g(32mmol)とN,N−ジメチルアミノエタノール、6.35ml(64mmol)をクロロホルム40mlに溶解した。これにヨウ素2.25g、酸化銀10.5g、脱水剤としてドライアライト22.5gを加えて、25℃で4日間かき混ぜた。反応液をベンゼンと水で抽出し、濃縮して生成物Idを1.88g(4.5mmol)得た(収率;14%)。
次に1H−NMRの測定データ、IRのデータを示した。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.05−2.15;s×4;CH3(a)CO−
2.20−2.35;s ;−N(CH32(b)
2.55−2.65;tri;−CH2(c)−
3.50−3.75;m×3;−CH2(d)−
3.94−3.96;d ;−H(e)
4.18−4.25;m ;−CH2(f)−
4.52−4.55;m ;−H(g)
5.00−5.25;m×3;−H(h)
【0045】
次にIR分析の結果を示した。
IdのIRデータ;(KBrタブレット;cm-1
2900cm-1;−CH
1200 ;−OCOCH3
得られた化合物が次式の構造のN,N−ジメチル−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−グルコピラノシル)エチルアミンであることを確認した。
【0046】
【化26】
Figure 0004176173
ここで、Acはアセチル基:CH3−C(=O)−示す。
【0047】
合成5;化合物Ieの合成;
前記合成1で得られたIaの化合物(OPEMA)、0.33ml(3.6mmol)と、前記合成4で得られたIdの化合物、1.88g(4.5mmol)溶媒、アセトニトリル(AcCN)、15mlに溶解し、80℃で15時間かき混ぜて反応した。
得られた生成物Ieは、1.45g(2.2mmol)であった(収率;49%)。生成物Ieの1H−NMR、IR分析の結果を次に示した。
1H−NMR分析;(δ(ppm)、TMS/in CDCl3
1.95 ;s ;CH3−C=C
2.05−2.07;s×4;CH3CO−
2.80 ;s ;CH3−N+−CH3
3.76−3.78;m ;N+−CH2−C−OP
4.02−4.05;m ;N+−C−CH2−OP
4.23−4.26;m ;−CH2−O−Ac
4.36−4.45;m ;−COO−CH2−CH2−OP
5.09−5.30;m ;H−C−O−H(in Glu.)
5.30,5.60;s×2;CH2=C
次ぎにIRの結果を示した。
IR分析(KBrタブレット;cm-1
1740cm-1;>C=O
1630 ;−C=C−
1200 ;−O−P=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から、得られたIeの化合物が次式のものであることを確認した。
【0048】
【化27】
Figure 0004176173
【0049】
実施例2−1−1;Ac−GMTPの単独重合体(重合体II−A)の合成
実施例1の合成5で得られたIeの化合物0.61g(0.93mmol)、またラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、3mg、溶媒DMF3.5mlを重合容器に採り、溶かして、窒素置換した後、70〜80℃で、15時間重合反応した。さらに反応溶液をアセトン100mlで、沈殿精製を繰り返し行い、真空乾燥して重合体(II−A)、0.25g得た(収率;40%)。
その重合体(II−A)の1H−NMR、IR分析、分子量測定を行った。
結果は、次のとおり。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
1.95 ;CH3−C=C
2.02−2.08;CH3CO−、−CH2
2.96 ;CH3−N+−CH3
4.14−4.27;−CH2
5.09−5.57;H−C−OAc(in Acetyl・Glu)
IR分析の結果;(KBrタブレット;cm-1
1740cm-1;>C=O
1200 ;−OP=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から得られた重合体(II−A)の構造が次式のものであることを確認した。
【0050】
【化28】
Figure 0004176173
(ただし、Ac.Glu.はアセチル化グルコース残基を示す。)
数平均分子量;43,000
P=67
【0051】
実施例2−1−2;重合体II−aの合成;
実施例2−1−1で得た重合体(II−A)0.25g、溶媒メタノール2.3mlに20分間かき混ぜて溶解させた。次に、0.1N−ナトリウムメトキシド−メタノール溶液0.43mlを滴下して、室温で1時間かき混ぜて、グルコース部分のアセチル基を加水分解した。反応溶液のメタノールを濃縮し真空乾燥して、重合体II−aを0.1g得た(収率;55%)。その重合体(II−a)の1H−NMR、IR分析、分子量測定を行った。
【0052】
結果は、次のとおり。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.02−2.03;CH3−C=C、−CH2−、
2.90 ;CH3−N+−CH3
4.90−5.56;H−C−OAc(in Acetyl・Glu)
IR分析の結果;(KBrタブレット;cm-1
3300cm-1;−OH
1740 ;>C=O−
1200 ;−O−P=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から得られた重合体(II−a)の構造が次式のものであることを確認した。
【0053】
【化29】
Figure 0004176173
【0054】
実施例2−2−1/2−2−2;重合体II−B/II−bの合成
実施例1の合成5で得られた化合物Ie90mg(0.137mmol)、メチルメタクリレート(MMA)48mg(0.48mmol)溶媒クロルベンゼン、3ml、重合開始剤AIBN1.77mgを重合容器にとり、前記の実施例2−1−1と同様にして重合して重合体II−Bを得た。その後、メタノール洗浄後、減圧乾燥して重合体II−Bを用いて前記と同様にして糖部分のアセチル基を加水分解して重合体II−bを90mg得た(収率;65%)。その重合体(II−b)の1H−NMR、IR分析、分子量測定を行った。
【0055】
結果は、次のとおり。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.02−2.03;CH2−C=C、−CH2
2.90 ;CH3−N+−CH3
4.90−5.56;H−C−OH(in Glu.)
IR分析の結果;(KBrタブレット;cm-1
3300cm-1;−OH
1740 ;>C=O
1200 ;−O−P=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から得られた重合体(II−b)の構造が次式のものであることを確認した。
【0056】
【化30】
Figure 0004176173
数平均分子量=78,000
p=135
【0057】
実施例2−3−1/2−3−2;重合体II−C/II−cの合成;
実施例2−2−1のMMA、48mgの代わりに、ステアリルメタクリレート(ST−MA)、132mg(0.39mmol)を用いて、同様に重合して ジクロロメタンで再沈殿精製して、重合体II−Cを得た。さらに、同様に加水分解して、重合体II−cを84mg得た(収率;38%)。
その重合体(II−c)の1H−NMR、IR分析、分子量測定を行った。
【0058】
結果は、次のとおり。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.02−2.03;CH3−C=C、−CH2
2.90 ;CH3−N+−CH3
4.90−5.56;H−C−O−H(in Glu.)
IR分析の結果;(KBrタブレット;cm-1
3300cm-1;−OH
1740 ;>C=O
1200 ;−O−P=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から得られた重合体(II−c)の構造が次式のものであることを確認した。
【0059】
【化31】
Figure 0004176173
数平均分子量=40.000
p=49
【0060】
実施例2−4−1/2−4−2の重合体II−D/II−dの合成:
実施例2−2−1のMMA、48mgの代わりに、コレステリルメタクリレート(Cho−MA)、225mg(0.48mmol)を用いて、前記と同様に重合して、重合体II−Dを得た。さらに、同様に加水分解して、重合体II−cを72mg得た(収率;223%)。
その重合体(II−d)の1H−NMR、IR分析、分子量測定を行った。
【0061】
結果は、次のとおり。
1H−NMR(δ(ppm):TMS/CDCl3
2.02−2.03;CH3−C=C、−CH2
2.90 ;CH3−N+−CH3
4.90−5.56;H−C−O−H(in Glu.)
IR分析の結果;(KBrタブレット;cm-1
3300cm-1;−OH
1740 ;>C=O
1200 ;−O−P=O
1050 ;−P−O−C
以上の結果から得られた重合体(II−d)の構造が次式のものであることを確認した。
【0062】
【化32】
Figure 0004176173
数平均分子量=33,000
p=34
【0063】
実施例3−1〜3−6;キャスト成形膜の作成
実施例2−2−2〜2−4−2で得られた各種の加水分解後の重合体II−a、II−b、II−c、II−dをそれぞれ用いて、各種重合体の10重量%DMF溶液調製し、ガラスプレート(大きさ=25×75×1.0mm)の上に展開した60℃24時間乾燥した後、さらに1mmHg、48時間の真空の条件で乾燥を行って、各膜を作成した。
<接触角の測定>
上記で作成したフイルム、接触角測定装置{協和界面化学(株)製、装置CA−A}を用いて、接触角を測定した。結果を表1に示した。
【0064】
実施例4−1〜4−4;血小板粘着試験
前記実施例3−1〜実施例3−4で得られた重合体のフイルムを用いて、ウサギのPRP(多血小板血漿)と接触させて走査電子顕微鏡(島津製作所(株)製、電子線アナライザーEPM−810)で観察した。粘着した血小板の数を目視で数えた。結果を表2に示した。
【0065】
比較例4−1;血小板粘着試験のコントロール
コントロールとして、実施例3−1のフイルムの代わりに、市販品のポリウレタン(ポリマーテクノロジー社製;BioSpan)のフイルムを用いて試験した。
【0066】
【表1】
Figure 0004176173
【0067】
【表2】
Figure 0004176173
【0068】
以上の結果から、本発明の実施例4−1〜4−4で得られた重合体のフイルムの試験結果は比較例4−1の市販のポリウレタンに較べて、血小板が粘着せず生体適合性があることがわかる。

Claims (2)

  1. 下記の一般式[1]
    Figure 0004176173
    [ただし、式中、R1は水素原子またはメチル基、R2およびR5は、−(BO)k-1B−基(ただし、Bは炭素数2〜12のアルキレン基を示し、kはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1〜100の数を示す。)で示されるオリゴオキシアルキレン基、Bの繰り返し単位は同一物の繰り返しでも異なったものの組み合わせでもよく、R3及びR4は炭素数1〜18の炭化水素基、mは1〜6の整数を表す。また、{Acyl.Sug.は、下記の(i)の単糖類、(ii)のオリゴ糖類、(iii)の多糖類のいずれかの残基から選択される基で、水酸基が炭素数2〜8のアシル基でアシル化されたもの。}
    (i)グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトース、グロース、イドース、タロース、キシロース、リボース、アラビノース、リクソースの単糖残基、(ii)セロビオース、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノースのオリゴ糖残基、(iii)ヘパリン、セルロース、デンプン、キチン、リケナン、ペクチン、グリコーゲン、デキストリンの多糖残基。]で表される(メタ)アクリル酸系エステル。
  2. 前記請求項1記載の一般式[1]において、Acyl.Sug.は、糖の水酸基が炭素数2のアシル基によってアシル化されたグルコース残基であり、下記式[2]
    Figure 0004176173
    (ただし、Acはアセチル基を示す。)で表される請求項1記載の(メタ)アクリル酸系エステル。
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