JPH1087685A - 重合体系化合物 - Google Patents

重合体系化合物

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JPH1087685A
JPH1087685A JP18075897A JP18075897A JPH1087685A JP H1087685 A JPH1087685 A JP H1087685A JP 18075897 A JP18075897 A JP 18075897A JP 18075897 A JP18075897 A JP 18075897A JP H1087685 A JPH1087685 A JP H1087685A
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JP18075897A
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English (en)
Inventor
Masashi Tanaka
正史 田中
Haruhiko Koike
晴彦 小池
Masako Onishi
雅子 大西
Hiroshi Miyauchi
浩 宮内
Masaharu Hayashi
正治 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規な炎症、虚血再灌流障害、自己免疫疾患ま
たは癌転移の治療及び改善剤の提供 【解決手段】N−置換ルイス型糖鎖誘導体またはその塩
を、二官能性スペーサーを用いて重合体と結合させ、必
要に応じて本件発明の重合体のコンホメーションや溶解
度を改善するために増強剤を加えることからなる、重合
体系化合物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炎症、虚血再灌流障
害、自己免疫疾患あるいは癌転移等の原因物質として知
られるルイス型糖鎖類の高分子化誘導体に関するもので
ある。かかる誘導体は、これらの疾患の治療および改善
を目的とする医薬組成物として有用である。
【0002】
【従来の技術】血管内皮細胞に発現する好中球接着分子
であるE−セレクチン、血管内皮細胞及び血小板に発現
する好中球接着分子であるP−セレクチン、及びリンパ
球のホーミングレセプターであるL−セレクチンは、ル
イスX 、ルイスa 、シアリルルイスX およびシアリ
ルルイスa 等の糖鎖構造(以下、ルイス型糖鎖と記載)
をリガンドとして認識することが知られている(諸岡茂
昭 等, 造血因子, 6,17 (1995) )。例えば、各種の
炎症性疾患の発症は、これらのセレクチンとリガンドの
結合を介した相互作用から開始することから、このよう
な接着を阻害する物質は抗炎症薬となるのではないかと
予想されている(M. P. Bevilacqua等, Thrombosis Hae
mostasis, 70, 152 (1993))。従って、ルイス型糖鎖の
誘導体はこれらセレクチンの関与する疾患への適応が期
待され、ルイス型糖鎖の治療薬への応用が試みられてい
る。インビボ病態モデルでの報告としてはIgG免疫複
合体(M. S. Mulligan 等, J. Exp. Med., 178, 623
(1993) )やコブラ毒素による肺障害(M. S. Mulligan
等, Nature, 364, 149 (1993) )また、心臓虚血後の
再灌流障害(D.Lefer 等, J. Clin. Invest., 93, 11
40 (1994) )がルイス型糖鎖により改善されていること
も報告されている。さらに、より高活性なものを求めて
これらルイス型糖鎖の高分子化誘導体が合成され、イン
ビトロ接着阻害試験において高い活性を持つものも報告
されている(J. K. Welply 等, Glycobiology, 4, 3,
259 (1994) ; N. V. Bovin 等, Glycoconjugate J., 1
0, 142 (1993) )。よって、これらのルイス型糖鎖類の
高分子化誘導体を各種合成し、より優れた活性を有する
誘導体を見い出すことは、各種疾患の治療薬を創製する
上で極めて重要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
高分子化誘導体の合成には多くの工程を要するため、こ
れまで精力的な研究はほとんどなされておらず、優れた
高分子化誘導体を見い出すための本格的研究成果の報告
が待望されている。本発明の目的は、各種N−置換ルイ
ス型糖鎖誘導体またはその塩を高分子化した重合体系化
合物を含む医薬組成物を世に提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、本発明化合物が、
インビトロでEーセレクチンの好中球との接着を阻害す
ること、およびインビボで各炎症モデルにおいて有効で
あることを見出し、本発明を完成するに至った。 すな
わち、本発明は、S−二官能性スペーサー−重合体を含
有する重合体系化合物、ただし、Sは、一般式
【化10】 [式中、Yは−C(O)−、−SO2 −、−C(O)N
H−、−C(O)O−あるいは−C(O)S−を表す。
R1 は置換または無置換のアリール基、置換または無置
換の芳香族複素環基もしくは置換または無置換のアリー
ルC1 −C6 アルキル基、置換または無置換の芳香族複
素環C1 −C6 アルキル基を表す。R2 およびR3 の一
方はα−またはβ−L−フコピラノシル基を表し、他方
は一般式
【化11】 {式中、R4 は水素原子、−SO3 H、−PO3 H2 、
−CH2 CO2 Hまたは一般式
【化12】 (式中、R5 はメチル基またはヒドロキシメチル基であ
る。)で表される基である。}を表す。]であるグルコ
サミン誘導体またはその塩であり、その還元末端を介し
て天然または合成の分子である二官能性のスペーサーと
結合しており、さらに、Sは二官能性のスペーサー1つ
またはそれ以上を介して重合体に結合し、その重合体は
S−二官能性スペーサーを含むものであり、そして、重
合体も更に必要に応じて増強剤に連結してよい重合体系
化合物、およびその用途に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明における特に好ましい実施
形態を以下に詳述する。Sは、一般式
【化13】 [式中、Yは−C(O)−、−SO2 −、−C(O)N
H−、−C(O)O−あるいは−C(O)S−を表す。
R1 は置換または無置換のアリール基、置換または無置
換の芳香族複素環基もしくは置換または無置換のアリー
ルC1 −C6 アルキル基、置換または無置換の芳香族複
素環C1 −C6 アルキル基を表す。R2 およびR3 の一
方はα−またはβ−L−フコピラノシル基を表し、他方
は一般式
【化14】 {式中、R4 は水素原子、−SO3 H、−PO3 H2 、
−CH2 CO2 Hまたは一般式
【化15】 (式中、R5 はメチル基またはヒドロキシメチル基であ
る。)で表される基である。}を表す。]であるグルコ
サミン誘導体またはその塩であり、その還元末端を介し
て天然または合成の分子である二官能性のスペーサーと
結合している。
【0006】ここで、R1 におけるアリ−ル基とは、六
員単環式、六員環と五員環が縮合した縮合多環式、ある
いは六員環同士が縮合した縮合多環式の芳香族炭化水素
基を意味する。すなわち、例えばフェニル基等の単環式
芳香族炭化水素基、例えばナフチル基、アントラセニル
基(アンスリル基)、フェナンスレニル基等の縮合多環
式芳香族炭化水素基を表し、芳香族複素環基とは、酸素
原子、硫黄原子、窒素原子を一つあるいは二つ含む五員
単環式、六員単環式、六員環と五員環が縮合した縮合多
環式、あるいは六員環同士が縮合した縮合多環式の芳香
族複素環基を意味する。すなわち、例えばフリル基、チ
エニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ベンゾフラニル
(ベンゾ〔b〕フラニル)基、イソベンゾフラニル(ベ
ンゾ〔c〕フラニル)基、ベンゾチエニル(ベンゾ
〔b〕チエニル)基、イソベンゾチエニル(ベンゾ
〔c〕チエニル)基、ピリミジニル基、ピリダジニル
基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル
基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キナゾリニル
基などが挙げられる。Yと結合を形成するにあたっての
R1の結合枝の位置は、取り得る全ての位置より任意に
選択することができる。また、R1 における置換アリー
ル基、置換芳香族複素環基とは、以下に述べる置換基の
うち1ないし数種を、1ないし複数個、芳香環上に有し
ている。かかる置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ
基、トリフルオロメチル基、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、ペンチル基、3−ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、4−ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、5−ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、6−ウンデシル基、ド
デシル基、トリデシル基、7−トリデシル基、テトラデ
シル基、ペンタデシル基、8−ペンタデシル基、ヘキサ
デシル基、ヘプタデシル基、9−ヘプタデシル基、オク
タデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、
シクロオクチル基、4−シクロヘキシル−シクロヘキシ
ル基等の炭素数1〜18個のアルキル基、フェニル基、
例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプ
ロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペ
ンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオ
キシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニル
オキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデ
シルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキ
シ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、
ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等の炭素
数1〜18個のアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジル
オキシ基、(置換ベンジル)オキシ基、アミノ基、ベン
ジルアミノ基、(置換ベンジル)アミノ基、炭素数1〜
18個のモノアルキルアミノ基、各々が炭素数1〜18
個のジアルキルアミノ基、アルキル鎖の炭素数が1〜1
8個のアルキルベンジルアミノ基、例えばアセチルアミ
ノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、バレ
リルアミノ基、ペンタノイルアミノ基、シクロペンタン
カルボキサミド基、ヘキサノイルアミノ基、シクロヘキ
サンカルボキサミド基、ヘプタノイルアミノ基、オクタ
ノイルアミノ基、ノナノイルアミノ基、デカノイルアミ
ノ基、ウンデカノイルアミノ基、ドデカノイルアミノ
基、トリデカノイルアミノ基、テトラデカノイルアミノ
基、ペンタデカノイルアミノ基、ヘキサデカノイルアミ
ノ基、ヘプタデカノイルアミノ基、オクタデカノイルア
ミノ基等の炭素数1〜18個のアルカノイルアミノ基
(アルキルカルボキサミド基)、例えばベンゾイルアミ
ノ基、ナフトイルアミノ基等の炭素数1〜12個のアロ
イルアミノ基、カルボキシル基、例えばメチルカルバモ
イル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル
基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基、
シクロペンチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル
基、シクロヘキシルカルバモイル基、ヘプチルカルバモ
イル基、オクチルカルバモイル基、ノニルカルバモイル
基、デシルカルバモイル基、ウンデシルカルバモイル
基、ドデシルカルバモイル基、トリデシルカルバモイル
基、テトラデシルカルバモイル基、ペンタデシルカルバ
モイル基、ヘキサデシルカルバモイル基、ヘプタデシル
カルバモイル基、オクタデシルカルバモイル基等のアル
キル部分の炭素数が1〜18個のアルキルカルバモイル
基(アルキルアミノカルボニル基)、アリールカルバモ
イル基、炭素数が1〜18個のアルキルチオ基、アリー
ルチオ基、炭素数が1〜18個のアルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙
げることができる。さらに、R1 におけるアリールC1
−C6 アルキル基とは、例えば、フェニルC1 −C6 ア
ルキル基、すなわち、末端にフェニル基を有する炭素数
1〜6個からなる直鎖状ないしは分枝状のアルキル基で
あり、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニ
ルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル
基、フェニルヘキシル基等を挙げることができ、また、
芳香族複素環C1 −C6 アルキル基とは、例えば、チェ
ニルプロピル基、ピリジルプロピル基を挙げることがで
きる。
【0007】グルコサミン誘導体の塩としては、例え
ば、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシ
ウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
【0008】二官能性スペーサーは、天然または合成の
化合物であり、ここで「 合成」とは天然に存在しない化
合物を意味する。スペーサーはSと重合体を空間的に分
離する作用を有し、また、スペーサーはSおよび重合体
への結合を確実に行なうために、二官能性でなければな
らない。「二官能性スペーサー」とは、より具体的には
以下のように定義される。すなわち、二官能性スペーサ
ーは一般式 −A1 −〔B−Cx 〕y −Dz −A2 − で表される。式中xは0または1であり、yは1〜30
であり、zは0または1であるが、ただしxが1である
場合のみzは1であることができる。BおよびDは同じ
かまたは異なっていて、単結合または炭素原子1〜30
個の直鎖、分枝鎖または環状のアルキレン基(例えば、
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレ
ン基、4−メチル−ヘキサメチレン基、4−メチレン−
シクロヘキシルメチル基、ドデシルメチレン基、ドデカ
メチレン基等)であり、置換基を有していてもよい。好
ましいものとしては単結合または炭素原子1〜15個の
アルキレン基、特に好ましくは単結合または炭素原子1
〜10個のアルキレン基である。また、場合により、ア
ルキレン鎖の一部が1〜3個の芳香環の一部または二重
結合を形成してもよい。また、BおよびDは、置換基と
して同一または互いに独立して異なって、ヒドロキシル
基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基またはカ
ルボキシアルキル基−CO2 −R7 (ただし、R7 は水
素原子またはC1 −C6 アルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)
であり、好ましくはR7 は水素原子またはC1 −C4 ア
ルキル基であり、特に好ましくはR7 は水素原子または
C1 −C2 アルキルである。)を有してもよい。A1 、
A2 およびCは一般式
【化16】 (式中、R6 は互いに独立して水素原子、メチル、エチ
ル、ベンジル、プロピル、アセチルまたはベンゾイル基
である。)であり、特に下記の一般式
【化17】 (式中、R6 は前述したものと同意義を示す。)が好ま
しい。A1 およびA2 は同じかまたは異なっていて、S
および重合体部分にスペーサーを結合させる官能性部分
として定義される。A1 およびA2 はそれぞれ、一方の
活性化された基への一方の反応性の基の共有結合形成反
応から形成される。ここで「反応性の基」および「活性
化された基」という用語は、以下のとおり定義する。
「反応性の基」はアニオン供与体として作用する官能
基、好ましくはOH、NH2 またはSH基等であり、こ
れらは、「活性化された基」と反応して共有結合を形成
する。特に好ましいのはNH2 またはOH基である。
「活性化された基」とは、アニオン受容体として作用し
「反応性の基」と反応して共有結合を形成するような官
能基を有する炭素原子である。好ましくは例えば、塩
素、臭素、沃素、活性エステル、特に好ましくはp−ニ
トロフェニルまたはN−ヒドロキシスクシンイミド誘導
体が置換した炭素原子である。また、カルボニルクロリ
ドおよびカルボン酸のイミダゾリド、混合酸無水物も用
いられ、これは、一般式
【化18】 (式中、R8 は直鎖または分枝鎖のC1 −C6 アルキル
またはフェニル基である。)よりなるものである。他に
好ましく用いられるものはアルデヒド、アクリルエステ
ル、アクリルアミド、マロンイミド、スクシンイミド、
2−ビニルピリジン、ヨード酢酸エステル、イソチオシ
アネートおよびイソシアネートである。特に好ましいも
のはN−ヒドロキシスクシンイミド、マレイミド、スク
シンイミド、アクリルアミド、アルデヒドまたはイソシ
アネートである。
【0009】スペーサーがビニル基、アクリルアミド
基、アクリルエステル基等の常法により重合しうる官能
基を有する場合、スペーサーまたはS−スペーサー複合
体のかかる官能基を重合させることによって、スペーサ
ー−重合体複合体またはS−スペーサー−重合体複合体
へと変換できる。また、スペーサー−重合体複合体を用
いてS−スペーサー−重合体複合体へ変換することもで
きる。
【0010】本発明の重合体系化合物の調製に適する重
合体は、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポ
リアリルアミン、ポリアクリロニトリル、ポリメタアク
リル酸メチル等で示されるビニル基、2−メチル−ビニ
ル基または1−メチル−ビニル基の重合体である炭化水
素ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリテト
ラヒドロフラン等で示されるエポキシ基または環状エー
テル基の重合体であるポリエーテル、例えば、ポリリジ
ンまたはポリフェニルアラニンで示されるポリアミノ
酸、例えば、グルコースやマルトース、アミロペクチン
等の糖が重合して生じるオリゴサッカライドまたは多糖
類、例えば、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート等
で示されるポリエステルが挙げられる。さらに、それ以
外重合体として、ポリアセタール、ポリアミド、ポリウ
レタン、ポリ尿素、ポリイミド、ポリイミダゾール、ポ
リオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、ポリス
ルフィド、ポリスルホン、ポリリン酸、ポリホスフィ
ン、ポリフォスフィンオキシド、ポリホスフィナート、
ポリホスホナート、ポリホスファゼン、ポリシロキサ
ン、ポリシラン等を挙げることもできる。
【0011】増強剤とは、重合体のコンホーメーション
を改良するためのものであり、また、これを用いること
により本発明化合物の溶解度を改善するためのものであ
る。増強剤とは、具体的には、S−スペーサー−重合体
複合体に共有結合あるいはイオン結合できる化合物であ
る。この化合物は分子内交叉結合剤であるか、疎水性、
親水性、イオン性またはイオン化可能な置換基を有する
化合物である。
【0012】分子内交叉結合剤は、両端において反応性
の官能性単位を有しており、これらは重合体の部分であ
る2つの反応性の官能性単位と共有結合するために用い
られる。すなわち、分子内交叉結合剤は一般式 −A3 −〔B−Cx 〕y −Dz −A4 − で表される。式中、xは0または1であり、yは1〜3
0であり、zは0または1であるが、ただしxが1であ
る場合のみzは1であることができる。BおよびDは同
じかまたは異なっていて、単結合または炭素原子1〜3
0個のアルキレン、好ましくは単結合または炭素原子1
〜15個のアルキレン、特に好ましくは単結合または炭
素原子1〜10個のアルキレンであり、これは直鎖、分
枝鎖または環状のものであり、置換基を有してもよく、
また場合により二重結合または芳香環1〜3個を有す
る。また、BおよびDは互いに独立して以下の置換基、
ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミ
ノ基またはカルボキシアルキル基CO2 −R7 (ここ
で、R7 は前述したものと同意義を示す。)を有しても
よく、カルボニルアミノ基およびカルボニルアミノアル
キル基CONR9 R10(式中、R9 およびR10は同じか
または異なっていて、水素原子またはC1 −C4 アルキ
ルであり、特に好ましくは水素原子またはC1 −C2 ア
ルキルである。)を有してもよい。A3 、A4 およびC
は一般式
【化19】 (式中、R6 は前述したものと同意義を示す。)であ
り、特に下記の一般式
【化20】 (式中、R6 は前述したものと同意義を示す。)が好ま
しい。A3 およびA4 は同じかまたは異なっていて、重
合体部分に分子内交叉結合剤を結合させる官能性部分と
して定義される。A3 およびA4 は各々の場合、一方の
活性化された基への一方の反応性の基の共有結合形成反
応により形成される。ここで「反応性の基」および「活
性化された基」という用語は、二官能性スペーサーにつ
いて既に記載したような意味を有する。
【0013】疎水性、親水性およびイオン性またはイオ
ン化可能な置換基を有する化合物とは、重合体部分の反
応性の官能基と反応して共有結合を形成できるような化
合物である。具体的には、疎水性の置換基を有する化合
物とは、例えば、シクロドデカン、アダマンタン、2−
メチルプロパン、2, 2−ジメチルプロパンおよびフレ
レン(fullerenes)に置換基として酸クロリド、アルコ
ール、アミンまたは活性エステルを有するような、疎水
性の表面と反応性の官能基を有する化合物である。親水
性の置換基を有する化合物とは、例えばシクロデキスト
リン、単糖類またはオリゴ糖類のような、親水性の表面
と反応性の官能基を有する化合物である。イオン性また
はイオン化可能な置換基を有する化合物とは、例えば、
プリン、ピリジン、リジン、および、反応性の官能性単
位を有する分枝鎖、直鎖または環状のC1 〜C8 アルキ
ル鎖上に複数のカルボン酸基、ホスホン酸基またはスル
ホン酸基を有する化合物、例えば酒石酸およびアスパル
ギン酸であるような、極性、イオン性またはイオン化可
能な基と反応性の官能基を有する化合物である。
【0014】溶解度改善剤は、反応性の官能基を介し
て、重合体部分の別の反応性の官能基と反応して共有結
合を形成できる。これらは水に容易に溶解する極性化合
物であり、例えばポリオール、ポリエチレングリコー
ル、アミノアルコール、または、分枝鎖、直鎖または環
状のC1 −C8 アルキル鎖上に複数のカルボン酸基、ホ
スホン酸基またはスルホン酸基を有する化合物である。
【0015】上記した化合物のほかに、マーカー基およ
び/または薬剤の形態の置換基を重合体に結合させるこ
とも可能である。マーカー基の重合体への結合は共有結
合を介して行われ、例えば結合放射性核種、例えばテク
ネチウムを含有する放射性マーカー、例えばヨウ素化化
合物を含有するX線造影剤、並びに、例えばガドリニウ
ム化合物を基材とする磁気共鳴造影剤を用いることがで
きる。重合体に結合可能な薬剤は、処置すべき疾患の治
療剤として既に知られているものであり、かかる薬剤の
重合体への結合は、共有結合またはイオン形態を介して
行なわれる。
【0016】本発明の重合体系化合物は以下の手法によ
り製造することができる。すなわち、本発明の重合体系
化合物はS、二官能性スペーサー、重合体および必要に
応じて増強剤よりなる。原則として、重合体系化合物
は、1)Sと二官能性スペーサーとの間の共有結合の形
成、ついで、S−スペーサー複合体と重合体との間の共
有結合の形成、そして、最後に必要に応じて、S−スペ
ーサー−重合体複合体と増強剤との間の共有結合の形成
により製造できる。あるいは、2)一方でSと二官能性
スペーサー、他方で必要に応じて重合体と増強剤との反
応を別々に行ない共有結合を形成する。そして、最後に
S−スペーサー複合体と重合体−増強剤複合体との間の
共有結合の形成により製造できる。3)必要に応じて重
合体と増強剤の共有結合の形成、次いでスペーサーと重
合体−増強剤複合体との間の共有結合の形成、そして、
最後にSとスペーサー−重合体−増強剤複合体との間の
共有結合の形成により製造できる。4)二官能性スペー
サーと重合体との間の共有結合の形成、次いでSとスペ
ーサー−重合体複合体との間の共有結合の形成、そし
て、最後に必要に応じて、S−スペーサー−重合体複合
体と増強剤との間の共有結合の形成により製造できる。
5)二官能性スペーサーと重合体との間の共有結合の形
成、次いで必要に応じて、スペーサー−重合体複合体と
増強剤との間の共有結合の形成、そして、最後にSとス
ペーサー−重合体−増強剤複合体との間の共有結合の形
成により製造できる。6)スペーサーがビニル基、アク
リルアミド基、アクリルエステル基等の常法により重合
しうる官能基を有する場合、スペーサーまたはS−スペ
ーサー複合体のかかる官能基を重合させることによっ
て、スペーサー−重合体複合体またはS−スペーサー−
重合体複合体を製造する。さらに、スペーサー−重合体
複合体を用いてS−スペーサー−重合体複合体を製造で
きる。これら記載した製造法の中でも特に1)、2)及
び6)が好ましい。
【0017】本発明の重合体系化合物の合成は、各成分
の活性化された基と他の成分の反応性の基との間の共有
結合の形成により行われる。反応性の基と活性化された
基との間の結合形成は、例えば、エステル化、アミド
化、二重結合への付加およびアルキル化等の常法により
行うことができる(例えば、第4版実験化学講座、19
- 26巻、有機合成I-VIII、日本化学会編(1991、199
2)を参照のこと)。
【0018】本発明の重合体系化合物におけるSは化学
的、および/または酵素的な結合形成手段により得るこ
とができる。例えば、Sが各種N−置換ルイス誘導体ま
たはその塩である場合には、以下に記載する方法により
製造することもできる。 〔スキームA〕
【化21】 {式中、Y、R1 は前述と同意義をしめす。R9 は2−
トリ(C1-C4 アルキルまたはフェニル)シリルエチル
基である。ここで、2−トリ(C1-C4 アルキルまたは
フェニル)シリルエチル基とは、同種または異種のC1-
C4 アルキル基またはフェニル基が珪素原子上に計3個
置換した2−シリルエチル基を意味し、具体的には、2
−トリメチルシリルエチル基、2−トリエチルシリルエ
チル基、2−(トリイソプロピルシリル)エチル基、2
−(t−ブチルジメチルシリル)エチル基、2−トリフ
ェニルシリルエチル基、2−(ジフェニルメチルシリ
ル)エチル基、2−(t−ブチルジフェニルシリル)エ
チル基などを挙げることができる。R10はC1-C6 アル
カノイル基またはアロイル基である。R11 は、C1-C6
アルカノイル基、アロイル基または一般式
【化22】 (式中、R12 は、C1-C6 アルキル基である。R13 は、
C1-C6 アルカノイル基またはアロイル基である。R14
は、メチル基、C1-C6 アルカノイルオキシメチ ル基
またはアロイルオキシメチル基である。)である。R15
は、水素原子または一般式
【化23】 (式中、R5は、前述と同意義をしめす。)である。}
【0019】(A−1工程)文献記載の方法(例えば、
M. Hayashi 等, J. Org. Chem., 61, 2938 (1996) )
により、グルコサミンから誘導できる化合物(1)を種
々の反応条件下で親電子剤と反応させることにより、化
合物(2)を製造することができる。 塩基の存在下で
反応せしめる場合の親電子剤としては、前記のR1 で表
される置換基を含むカルボン酸ハライド、カルボン酸無
水物、ハロギ酸エステル、ピロカーボネート、スルホン
酸ハライド、あるいはスルホン酸無水物等を用いること
ができる。ここで用いられるハロゲン原子としては塩
素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。塩基としては、炭
酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩、水酸化ナト
リウムや水酸化カリウムなどの水酸化物、重炭酸ナトリ
ウムや重炭酸カリウムなどの重炭酸塩、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸水素二カリウム、あるいはトリエチル
アミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジ
ン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.
4.0〕ウンデセン(DBU)、ヘキサメチルジシラザ
ンリチウムなどの有機塩基等を用いることができる。中
性条件下で反応せしめる場合の親電子剤としては、前記
のR1 で表される置換基を含むイソシアネート、イソチ
オシアネート等を用いることができる。縮合剤共存下で
反応せしめる場合の親電子剤としては、前記のR1 で表
される置換基を含むカルボン酸、スルホン酸、チオカル
ボン酸等を用いることができる。
【0020】縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド
(DIPC)、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノ
プロピルカルボジイミド(WSCI)およびその塩酸塩
(WSC・HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イル−
トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロ
リン化物塩(BOP)、ジフェニルホスホリルアジド
(DPPA)等を用いることができる。これらは単独
で、あるいはN−ヒドロキシスクシンイミド(HONS
u)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOB
t)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ
−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOObt)等と組
み合わせて用いる。反応は溶媒中で行うのが好ましく、
溶媒としては塩化メチレン、ジメチルホルムアミド(D
MF)、メタノール、水などが挙げられる。これらは単
独もしくは混合溶媒として使用される。反応温度は−7
0℃から100℃、好ましくは0℃から60℃(もしく
は溶媒の沸点)の範囲で選ばれる。反応時間は主に反応
温度、使用される原料化合物、試剤、溶媒等により左右
されるが、通常1時間から2日間である。ただし、化合
物(1)が水酸基を有するため、反応条件により酸素原
子上への親電子剤の反応も同時に進行する場合がある。
酸素原子上への反応を避けるためには、中性条件下、あ
るいは塩基として重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリ
ウム等の重炭酸塩を用いて、親電子剤と反応させるのが
好ましい。
【0021】(A−2工程)化合物(2)を、溶媒中、
塩基性条件下で加水分解することにより、化合物(3)
を製造することができる。塩基としては、例えばナトリ
ウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドを用いるこ
とができる。反応は溶媒中で行うのが好ましく、溶媒と
しては、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロ
フラン、水などが挙げられる。これらは単独もしくは混
合溶媒として使用される。化合物(2)が保護されたカ
ルボキシル基を有する場合には、水との混合溶媒を用い
るか、水酸基の脱保護を行った後に反応系内に水または
塩基の水溶液を加えるか、もしくは水酸基の脱保護体を
一旦単離した後に水または含水溶媒中で塩基を用いるか
のいずれかの方法により、カルボキシル基の脱保護も行
うことができる。反応温度は−70℃から100℃、好
ましくは0℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲
で選ばれる。反応時間は主に反応温度、使用される原料
化合物、試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時間
から2日間である。
【0022】〔スキームB〕
【化24】
【化25】 (式中、R1 、R9 、R10、R11、R15およびYは前述
と同意義をしめす。R16はアリル基、t−ブチル基また
はベンジル基である。R17はC1-C6 アルカノイル基ま
たはアロイル基である。Zは脱離基である。)
【0023】(B−1工程)文献記載の方法(例えば、
M. Hayashi 等, J. Org. Chem., 61, 2938 (1996) )
により、グルコサミンから誘導できる化合物(4)を、
ルイス酸もしくは金属塩の存在下、脱離基Zを有する化
合物(5)と反応させることにより、グリコシデーショ
ン成績体(6)を製造することができる。化合物(5)
の脱離基Zとしては、ハロゲン原子、置換水酸基、置換
スルフィド基等が挙げられる(例えば、第4版実験化学
講座、26巻、有機合成VII、267〜354 頁、日本化学会編
(1992)を参照のこと) 。ハロゲン原子として具体的に
は、塩素、臭素、フッ素等が挙げられ、この場合に反応
に用いる活性化剤として主には、トリフルオロメタンス
ルホン酸銀(銀トリフラート)、塩化第二水銀、臭化第
二水銀、ヨウ化第二水銀、シアン化第二水銀、酸化水
銀、酸化銀、炭酸銀、過塩素酸銀、塩化第一銀、臭化第
一銀、ヨウ化第一銀、ケイ酸銀、四フッ化ホウ素酸銀、
銀ゼオライト、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第
一スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ
などの重金属塩や、臭化テトラエチルアンモニウムや塩
化テトラエチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム
塩が挙げられ、必要に応じてこれらを組み合わせて用い
ることもできる。また、トリメチルシリルトリフルオロ
メタンスルホネート(TMSトリフラート)、エーテル
性三フッ化ホウ素、四フッ化ケイ素なども、活性化剤と
して用いることもできる。置換水酸基として具体的に
は、アセチルオキシ基、イミデート基(R.R.Schmidt
等, Tetrahedron Lett.,32,3353(1991))、メトキシ基等
が挙げられる。この場合の反応に用いる活性化剤として
主には、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネ
ート(TMSトリフラート)、p-トルエンスルホン酸、
エーテル性三フッ化ホウ素、塩化トリメチルシラン、臭
化トリメチルシラン、ヨウ化トリメチルシラン、塩化亜
鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化第一スズ、臭化第一ス
ズ、ヨウ化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨ
ウ化第二スズ、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化
チタン、塩化第二鉄、臭化第二鉄、ヨウ化第二鉄、塩化
第二銅、臭化第二銅、塩化アルミニウム、臭化アルミニ
ウム、ヨウ化アルミニウムなどのルイス酸やプロトン酸
が挙げられ、必要に応じてこれらを組み合わせて用いる
こともできる。置換スルフィド基として具体的には、ア
ルキルチオ基、フェニルチオ基、ピリジルチオ基等が挙
げられる。この場合に反応に用いる活性化剤として主に
は、メチルトリフラート、臭化銅−臭化テトラブチルア
ンモニウム、N−ヨウ化コハク酸イミド−トリフルオロ
メタンスルホン酸、ヨードニウムジコリジン過塩素酸
塩、ジメチルメチルチオスルホニウムトリフラートなど
が挙げられ、必要に応じてこれらを組み合わせて用いる
こともできる。更には、フェニルスルフェニル基、フェ
ニルセレニル基、ジアルキルホスホリル基あるいはジフ
ェニルホスホリル基も、脱離基Zとして挙げることがで
きる(Studies in National Products Chemistry, Vol.
10,337-403, Elsevier SciencePublishers(1992), M.H.
D. Postema, Tetrahedron, Vol.48,8545-8559(1992))。
反応は溶媒中で行うのが好ましく、用いる溶媒としては
塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエー
テル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、ニトロメ
タンなどが挙げられる。これらは単独もしくは混合溶媒
として使用される。
【0024】反応に伴って系内に生成する酸の捕捉剤と
して、反応系内にN,N,N',N'−テトラメチルウレ
ア、ピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,
6−ルチジン、2,4,6−コリジンあるいはトリエチ
ルアミン等を共存させてもよい。反応は無水の条件下で
行うことが望ましく、従って、溶媒、試薬、基質、反応
容器等について、できる限り水分を除去したほうがよ
い。場合により、水分除去のため、反応系内にモレキュ
ラーシーブス(MS3A、MS4AあるいはMS5A)
または無水硫酸カルシウム等の脱水剤を共存させてもよ
い。また、銀塩を用いる反応は、光を遮断して行ったほ
うがよい。反応温度は−70℃から100℃、好ましく
は−20℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲で
選ばれる。反応時間は主に反応温度、使用される原料化
合物、試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時間か
ら5日間である。なお、本反応で用いる化合物(5)
は、2,3,4−トリ−O−保護−L−フコピラノー
ス、アルキル 2,3,4−トリ−O−保護−L−フコ
ピラノシド、あるいは、アシル 2,3,4−トリ−O
−保護−L−フコピラノシドを用い、常法によって製造
することができる(例えば、第4版実験化学講座、26
巻、有機合成VII 、267 〜354 頁、日本化学会編 (199
2)を参照のこと)。
【0025】(B−2工程)上記で得られた化合物
(6)のアミノ基上の保護基を、選択的に脱保護し、化
合物(7)を製造することができる。脱保護の方法とし
ては、例えば、“Protective Groups in Organic Synth
esis”( T. W. Greene, P. G. M. Wuts 共著、第2版、
John Wiley & Sons,Inc. (1991) )の 327〜338 頁に記
載の方法が挙げられる。実際に脱保護を行うに当たって
は、これらの方法のなかから、アミノ基上の保護基のみ
を選択的に脱保護しうる方法を適宜選択することが必要
である。かかる保護基がアリルオキシカルボニル基(A
lloc)である場合には、例えば、アリル捕捉剤の存
在下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ムを用いることにより、容易に脱保護できる。テトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの使用量は触
媒量でよく、通常は0.001〜1当量用いる。また、
アリル捕捉剤としては、例えばジメドン、マロン酸ジエ
チル、モルホリン、アニリン、水素化トリブチルスズ、
ポリメチルヒドロシロキサン等を挙げることができる。
また、かかる保護基がベンジルオキシカルボニル基(C
bz)である場合には、例えば、パラジウム炭素の存在
下、水素添加を行うことにより、容易に脱保護できる。
パラジウム炭素の使用量は触媒量でよく、通常は0.0
01〜1当量用いる。また、水素供給源としては、例え
ば水素分子、ギ酸、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセ
ン、1,4−シクロヘキサジエン、シス−デカリン等を
挙げることができる。いずれの反応も溶媒中で行うのが
好ましく、溶媒としては塩化メチレン、メタノール等が
挙げられる。これらは単独もしくは混合溶媒として使用
される。反応温度は−70℃から100℃、好ましくは
0℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲で選ばれ
る。反応時間は主に反応温度、使用される原料化合物、
試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時間から1日
間である。
【0026】(B−3工程)上記で得られた化合物
(7)を、A−1工程と同様の方法で親電子剤と反応さ
せることにより、化合物(8)を製造することができ
る。 (B−4工程)上記で得られた化合物(8)を、A−2
工程と同様の方法で加水分解することにより、化合物
(9)を製造することができる。
【0027】〔スキームC〕
【化26】
【化27】
【化28】 (式中、R1 、R9 、R10、R11、R15、R16、Yおよ
びZは、前述と同意義を表す。R18はフェニル基または
置換フェニル基を表す。R19、R20はベンジル基または
置換ベンジル基を表す。R21、R22はそれぞれ水素原
子、ベンジル基または置換ベンジル基を表す。)
【0028】(C−1工程)文献記載の方法(例えば、
M. Hayashi 等, J. Org. Chem., 61, 2938 (1996) )
により、グルコサミンから誘導できる化合物(10)
に、酸触媒の存在下、環状アセタール系保護基を導入す
ることにより、化合物(11)を製造することができ
る。環状アセタール系保護試剤としては、例えば、ベン
ズアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、
ベンズアルデヒド(トリメチルシリル)アセタール、置
換ベンズアルデヒド、置換ベンズアルデヒドジメチルア
セタールあるいは置換ベンズアルデヒド(トリメチルシ
リル)アセタール等を挙げることができる。酸触媒とし
ては、例えば、硫酸、パラ−トルエンスルホン酸または
カンファースルホン酸等を挙げることができる。反応は
溶媒中で行うのが好ましく、溶媒としてはジメチルホル
ムアミド(DMF)、アセトニトリル、ニトロメタンな
どが挙げられる。これらは単独もしくは混合溶媒として
使用される。反応温度は−70℃から100℃、好まし
くは0℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲で選
ばれる。反応時間は主に反応温度、使用される原料化合
物、試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時間から
2日間である。
【0029】(C−2工程)上記で得られた化合物(1
1)を、B−1工程と同様の方法でルイス酸もしくは金
属塩の存在下、文献記載の方法(例えば、A. Kameyama
等, Carbohydr.Res., 200, 269 (1990))により製造
できる脱離基Zを有する化合物(12)と反応させるこ
とにより、グリコシデーション成績体(13)を製造す
ることができる。 (C−3工程)上記で得られた化合物(13)に対し、
位置選択的な還元的開裂反応を行うことにより、化合物
(14)を製造することができる。反応に用いる還元剤
としては、例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ボ
ラン−トリメチルアミン錯塩、水素化リチウムアルミニ
ウム等を挙げることができ(例えば、P. J. Garegg
等, Carbohydr. Res., 108, 97 (1982) 、P. Fugedi等,
Carbohydr. Res., 104, 55 (1982) 、P. J. Garegg
等, J. Carbohydr. Chem.,2, 305 (1983) を参照のこ
と)、必要に応じてこれらを組み合わせて用いることも
できる。反応溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキ
サンなどが挙げられる。これらは単独もしくは混合溶媒
として使用される。反応温度は−70℃から100℃、
好ましくは0℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範
囲で選ばれる。反応時間は主に反応温度、使用される原
料化合物、試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時
間から2日間である。
【0030】(C−4工程)上記で得られた化合物(1
4)を、B−1工程と同様の方法でルイス酸もしくは金
属塩の存在下、脱離基Zを有する化合物(15)と反応
させることにより、グリコシデーション成績体(16)
を製造することができる。なお、本反応で用いる、脱離
基Zを有する化合物(15)は、2,3,4−トリ−O
−保護−L−フコピラノース、アルキル 2,3,4−
トリ−O−保護−L−フコピラノシド、あるいは、アシ
ル 2,3,4−トリ−O−保護−L−フコピラノシド
を用い、常法によって製造することができる(例えば、
第4版実験化学講座、26巻、有機合成VII 、267 〜354
頁、日本化学会編 (1992)を参照のこと)。 (C−5工程)上記で得られた化合物(16)を、B−
2工程と同様の方法でアミノ基上の保護基を、選択的に
脱保護し、化合物(17)を製造することができる。
【0031】(C−6工程)上記で得られた化合物(1
7)を、パラジウム炭素存在下、水素添加により脱保護
し、化合物(18)を製造することができる。パラジウ
ム炭素の使用量は、通常は0.001〜10当量用い
る。また、水素供給源としては、例えば水素分子、ギ
酸、ギ酸アンモニウム、シクロヘキセン、1,4−シク
ロヘキサジエン、シス−デカリン等を挙げることができ
る。反応は溶媒中で行うのが好ましく、溶媒としてはメ
タノール、エタノール等が挙げられる。これらは単独も
しくは混合溶媒として使用される。あるいは、R21およ
びR22がともに、パラメトキシベンジル基である場合に
は、例えば、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)ある
いはジクロロジシアノキノン(DDQ)を用いて脱保護
を行うこともでき、化合物(18)を製造することがで
きる。反応は溶媒中で行うのが好ましく、溶媒としては
塩化メチレン、1、2−ジクロロメタンまたは水等が挙
げられる。これらは単独もしくは混合溶媒として使用さ
れる。反応温度は−70℃から100℃、好ましくは0
℃から60℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲で選ばれ
る。反応時間は主に反応温度、使用される原料化合物、
試剤、溶媒等により左右されるが、通常1時間から1日
間である。なお、化合物(17)におけるR21およびR
22がともに水素原子である場合には、化合物(17)お
よび化合物(18)は全く等価であり、本工程は何ら行
う必要はない。
【0032】(C−7工程)上記で得られた化合物(1
8)を、A−1工程と同様の方法で親電子剤と反応させ
ることにより、化合物(19)を製造することができ
る。 (C−8工程)上記で得られた化合物(19)を、A−
2工程と同様の方法で脱保護することにより、化合物
(20)を製造することができる。
【0033】〔スキームD〕
【化29】
【化30】 (式中、R1 、R9 、R10、R11、R15、R16、R17、
R19、R21、YおよびZは、前述と同意義をしめす。)
【0034】(D−1工程)〔スキームC〕記載の方法
で得られた化合物(14)を、B−1工程と同様の方法
でルイス酸もしくは金属塩の存在下、脱離基Zを有する
化合物(5)と反応させることにより、グリコシデーシ
ョン成績体(21)を製造することができる。 (D−2工程)上記で得られた化合物(21)を、B−
2工程と同様の方法でアミノ基上の保護基を、選択的に
脱保護し、化合物(22)を製造することができる。 (D−3工程)上記で得られた化合物(22)を、C−
6工程と同様の方法で脱保護し、化合物(23)を製造
することができる。なお、化合物(22)におけるR21
が水素原子である場合には、化合物(22)および化合
物(23)は全く等価であり、本工程は何ら行う必要は
ない。 (D−4工程)上記で得られた化合物(23)を、A−
1工程と同様の方法で親電子剤と反応させることによ
り、化合物(24)を製造することができる。
【0035】(D−5工程)上記で得られた化合物(2
4)を、A−2工程と同様の方法で脱保護することによ
り、化合物(25)を製造することができる。上記の方
法で製造できる各種N−置換ルイス誘導体およびその塩
の還元末端2−トリ(C1-C4 アルキル/フェニル)シ
リルエチル基は、Magnusson らの方法により(J. Org.
Chem.,53, 5629 (1988) )、プロトン酸と反応させるこ
とにより、1−OH体へと導くことができる。また、各
種N−置換ルイス誘導体およびその塩の水酸基が適宜保
護されている場合、さらに、各種N−置換ルイス誘導体
およびその塩がカルボキシル基を有し、水酸基およびカ
ルボキシル基が適宜保護されている場合には、還元末端
2−トリ(C1-C4 アルキル/フェニル)シリルエチル
基は、Magnusson らの方法に従って(J. Org. Chem., 5
3, 5629 (1988) ,J. Org. Chem., 55, 3181 (1990)
)、触媒量のルイス酸の存在下、1,1−ジハロメチ
ルメチルエーテルなどのハロゲン化試剤で処理すること
により、対応する糖ハライド体に、またルイス酸の存在
下に酸無水物と反応させるか、あるいはプロトン酸と反
応させることにより、1−O−アシル化糖あるいは1−
OH体へと導くことができる。ハライドのハロゲン原子
としては塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。用いる
ルイス酸としては、例えば塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化
亜鉛、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、
塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、四塩化
チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、塩化第二鉄、
臭化第二鉄、ヨウ化第二鉄、塩化アルミニウム、臭化ア
ルミニウム、ヨウ化アルミニウム、トリメチルシリルト
リフルオロメタンスルホネート(TMSトリフラー
ト)、スズトリフラート、エーテル性三フッ化ホウ素な
どを挙げることができる。一方、プロトン酸としては、
例えば、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホ
ン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、過塩素
酸、硫酸等を用いることができる。ルイス酸を用いる場
合の使用量は、通常0.001〜3当量であり、プロト
ン酸を用いる場合には、通常0.01当量以上であり、
時に反応溶媒を兼ねて大過剰に用いる。
【0036】反応は無溶媒下、あるいは溶媒中で行わ
れ、用いる溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、
1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、
ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエ
ン、クロロベンゼンなどの芳香族系溶媒、ジメチルホル
ムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ニトロメ
タンなどの極性非プロトン性溶媒などが挙げられる。こ
れらは単独もしくは混合溶媒として使用される。反応温
度は−70℃から100℃、好ましくは−20℃から6
0℃(もしくは溶媒の沸点)の範囲で選ばれ、反応時間
は主に反応温度、使用される原料化合物、試剤、溶媒等
により左右されるが、通常1時間から3日間である。ま
た、これらのハライド体、1−O−アシル化糖もしくは
1−OH体は、さらに既知の方法により、アルキルチオ
基、フェニルチオ基、ピリジルチオ基、フェニルスルフ
ィニル基、フェニルセレニル基、イミデート基、ジアル
キルホスホリル基、あるいはジフェニルホスホリル基な
ど種々の脱離基を有する化合物へと変換することもでき
る(例えば、第4版実験化学講座、26巻、有機合成VII
、267〜354 頁、日本化学会編 (1992)を参照のこ
と)。
【0037】このようにして、反応性の基または活性化
された基へと変換された各種N−置換ルイス誘導体およ
びその塩の還元末端は、スペーサー、スペーサー−重合
体複合体またはスペーサー−重合体−増強剤複合体の末
端に位置する反応性の基または活性化された基と反応し
共有結合を形成する。反応性の基と活性化された基との
間の結合形成は、例えば、エステル化、アミド化、二重
結合への付加およびアルキル化等の常法により行うこと
ができる(例えば、第4版実験化学講座、19- 26
巻、有機合成I-VIII、日本化学会編(1991、1992)を参
照のこと)。
【0038】また、化学的、および/または酵素的な結
合形成手段により製造されるSは、場合により遊離還元
末端形態をとることもある。遊離還元末端を有するSと
スペーサーとの結合は、例えば、以下に示す方法により
実施することもできる。 1)遊離還元末端を有するSは、例えば、Lundqvist ら
の方法(J. Carbohydr. Chem., 10, 377 (1991))に従
って遊離の1−アミノグリコシドに変換後、アシル化に
よりスペーサーと共有結合を形成することができる。結
合形成手法としては、例えば、Kochetkov らの方法(Ca
rbohydr., Res., 146, C1 (1986))に従って、スペーサ
ー上の活性化された基としてN−ヒドロキシスクシンイ
ミド活性エステルを用いることもできる。 2)遊離還元末端を有するSは、例えば、Lane らの方
法(Synthesis, 135(1975))により、末端に1級アミノ
基を有するスペーサーと還元的アミノ化により共有結合
を形成することができる。 3)還元末端に遊離アミノ基を有するSは、例えば、Ko
chetkov らの方法(上記参照)により、スペーサーと共
有結合を形成することができる。重合体の調製は、例え
ば、第4版実験化学講座、28巻、高分子合成、日本化
学会編(1992)に記載されている手法により行うことが
できる。重合体とスペーサーとの、または、スペーサー
−S複合体との共有結合、および、重合体−増強剤複合
体とスペーサーとの、またはスペーサー−S複合体との
共有結合は、反応性の基と活性化された基との間の反応
により形成される。ここで、反応性の基は、スペーサー
の末端、または、スペーサー−S複合体の末端に位置
し、活性化された基は、重合体、または、重合体−増強
剤複合体に位置してもよく、また、活性化された基が、
スペーサーの末端、または、スペーサー−S複合体の末
端に位置し、反応性の基が、重合体、または、重合体−
増強剤複合体に位置してもよい。反応性の基と活性化さ
れた基との間の結合形成は、例えば、エステル化、アミ
ド化、二重結合への付加およびアルキル化等の常法によ
り行うことができる(例えば、第4版実験化学講座、1
9- 26巻、有機合成I-VIII、日本化学会編(1991、19
92)を参照のこと)。
【0039】増強剤は本発明化合物の重合体部分に必要
に応じて共有結合している化合物である。かかる増強剤
は、重合体のコンホーメーションに影響する作用を有す
る。また、これを用いることにより、重合体系化合物の
溶解度を改善できる。増強剤と重合体との間の共有結合
は、活性化された基と反応性の基との反応に形成され
る。反応性の基と活性化された基との間の結合形成は、
例えば、エステル化、アミド化、二重結合への付加およ
びアルキル化等の常法により行うことができる(例え
ば、第4版実験化学講座、19- 26巻、有機合成I-VI
II、日本化学会編(1991、1992)を参照のこと)。
【0040】本発明の重合体系化合物は、また以下の方
法でも製造できる(例えば、第4版実験化学講座、28
巻、高分子合成、日本化学会編(1992)を参照のこ
と)。即ち、 1)S−スペーサー複合体のスペーサー末端に常法によ
り、ビニル基、アクリルアミド基、アクリルエステル基
等の重合しうる官能基を導入し、かかる官能基を重合せ
しめることによってもS−スペーサー−重合体複合体を
製造することができる(例えば、第4版実験化学講座、
28巻、高分子合成、日本化学会編(1992)を参照のこ
と)。 2)スペーサーの末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、次いで前述の方法でS−スペーサー複合体としたの
ちに、スペーサーの官能基を重合させることによっても
S−スペーサー−重合体複合体を製造することができる
(例えば、S. -I. Nishimura 等, Macromolecules, 2
7, 157 (1994)、S. -I. Nishimura 等,Macromolecule
s, 27, 4876 (1994)を参照のこと)。 3)スペーサーの末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、次いでこれを重合させることによってスペーサー−
重合体複合体としたのちに、前述の方法でSを導入する
ことによってもS−スペーサー−重合体複合体を製造す
ることができる(例えば、N. V. Bovin 等, Glycoconju
gate J., 10, 142 (1993) を参照のこと)。 4)S−スペーサー複合体のスペーサー末端に上述の重
合しうる官能基を導入し、次いで上述の重合しうる官能
基を有する化合物と共重合させることによってもS−ス
ペーサー重合体複合体を製造することができる。 5)S−スペーサー複合体のスペーサー末端に上述の重
合しうる官能基を導入し、次いで上述の重合しうる官能
基および増強剤を有する化合物と共重合させることによ
ってもS−スペーサー重合体−増強剤複合体を製造する
ことができる。 6)S−スペーサー複合体のスペーサー末端に上述の重
合しうる官能基を導入し、次いで上述の重合しうる官能
基を有する化合物および上述の重合しうる官能基および
増強剤を有する化合物と共重合させることによってもS
−スペーサー重合体−増強剤複合体を製造することがで
きる。 7)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、次いで前述の方法でS−スペーサー複合体としたの
ちに、上述の重合しうる官能基を有する化合物と共重合
させることによってもS−スペーサー重合体複合体を製
造することができる(例えば、S. I. Nishimura 等、Ma
cromolecules,27,157(1994) 、S. I. Nishimura 等、Ma
cromolecules,27,4876(1994)を参照のこと)。 8)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、次いで前述の方法でS−スペーサー複合体としたの
ちに、上述の重合しうる官能基および増強剤を有する化
合物と共重合させることによってもS−スペーサー重合
体−増強剤複合体を製造することができる。 9)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、次いで前述の方法でS−スペーサー複合体としたの
ちに、上述の重合しうる官能基を有する化合物および上
述の重合しうる官能基および増強剤を有する化合物と共
重合させることによってもS−スペーサー重合体−増強
剤複合体を製造することができる。 10)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、上述の重合しうる官能基を有する化合物と共重合さ
せることによってスペーサー重合体複合体としたのち
に、前述の方法でSを導入することによってもS−スペ
ーサー重合体複合体を製造することができる。 11)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、上述の重合しうる官能基および増強剤を有する化合
物と共重合させることによってスペーサー重合体−増強
剤複合体としたのちに、前述の方法でSを導入すること
によってもS−スペーサー重合体−増強剤複合体を製造
することができる。 12)スペーサー末端に上述の重合しうる官能基を導入
し、上述の重合しうる官能基および上述の重合しうる官
能基および増強剤を有する化合物と共重合させることに
よってスペーサー重合体−増強剤複合体としたのちに、
前述の方法でSを導入することによってもS−スペーサ
ー重合体−増強剤複合体を製造することができる。
【0041】本発明の重合体系化合物の製造は、上記し
た製造法の代わりに、個々の成分の酵素的または化学酵
素的結合により行なうこともできる。使用される酵素は
グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、トラ
ンスグリコシダーゼおよび/またはリパーゼである。例
えば、グリコシダーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ
および/またはトランスグリコシダーゼは、Sを構築す
るために( 例えば、S.-I. Nishimura等, Biochem. Biop
hys. Res. Commun., 199, 249 (1994) )、そしてSと
スペーサーを結合させるために用いることができる。例
えば、リパーゼは、活性化された基に反応性の基を結合
させるために用いることができる。この場合に用いられ
る活性化された基は、カルボン酸、メチルエステルおよ
び/またはビニルエステルである。上記した製造法は、
例として記載したものであり、本発明の重合体系化合物
の製造は、上記製造法に限定されない。
【0042】本発明重合体系化合物は医薬組成物とし
て、多数の疾患に関連する細胞の接着を、ブロッキング
または阻害することができる。例えば、多数の炎症性疾
患は、血管内皮細胞および血小板上に発現されるセレク
チンに関連しており、本発明重合体系化合物を含有する
医薬組成物による治療が可能である。ここにおいて、用
語「炎症」は特異的および非特異的の両者の防御系の反
応を意味する。特異的防御系の反応は、抗原に対する特
異的免疫系の反応である。特異的防御系反応の例は、抗
原例えばウィルスに対して抗体の応答、および遅延型過
敏性を包含する。非特異的防御系反応は、一般に免疫学
的記憶が不可能である白血球により仲介される炎症応答
である。このような細胞は、マクロファージ、好酸球お
よび好中球を包含する。非特異的反応の例は、蜂の刺創
後の直ちの腫脹、バクテリアの感染部位における白血球
の集まり(例えば、細菌性肺炎における肺の浸潤および
膿瘍における膿の形成)を包含する。 他の治療可能な
疾患としては、次のものを挙げることができる。例え
ば、慢性関節リウマチ、虚血後の白血球による組織障害
(再灌流障害)、心筋梗塞、凍傷による損傷もしくはシ
ョック、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、好中球
による急性肺障害〔例えば成人呼吸窮迫症候群(ARD
S)など〕、喘息、外傷性のショック、敗血症性ショッ
ク、多臓器不全(MOF)、腎炎、急性および慢性の炎
症(例えばアトピー性皮膚炎、乾癬、炎症性腸疾患な
ど)などを治療することができる。血小板の関連した種
々の病態〔例えばアテローム性動脈硬化症、播種性血管
内凝固症候群(DIC)および塞栓など〕もまた、治療
することができる。さらに、腫瘍の転移については、血
流を循環する癌細胞の接着を阻害することにより、阻害
または防止することができる。このような腫瘍細胞の例
としては、結腸癌および黒色腫などが挙げられる。ま
た、経皮的冠動脈形成術(PTCA)や、経皮的冠動脈
血栓溶解術(PTCR)の、術後再狭窄へも適用可能で
ある。
【0043】本発明重合体系化合物を含有する医薬組成
物について、化合物の投与量は、例えば、特定の化合
物、投与方法、処置する特定の病気およびその程度、患
者の全体の健康および状態、および処方する医師に従い
変化するのが通常である。例えば、再灌流障害の処置の
ために用いる投与量としては、体重 70 kg の患者につ
いて、1 日当たり約 0.1 mg 〜 2,000 mg の範囲であ
る。理想的には、治療のための投与は、心筋梗塞または
他の損傷後できるだけ早く開始すべきである。本発明重
合体系化合物を含有する医薬組成物は、非経口的、局所
的、経口的、または経皮的に投与される。これらの医薬
組成物は、予防的および/または治療学的処置を目的と
して投与される。これらの医薬組成物は、投与方法に依
存して、種々の単位投与形態で投与することができる。
例えば、経口的投与に適当な単位投与形態は、粉末、錠
剤、ピル、カプセル剤および糖剤を包含する。局所的投
与に適当な単位投与形態は、例えば、エアゾールを包含
する。好ましくは、本発明重合体系化合物を含む医薬組
成物は静脈内に投与する。静脈内投与のための組成物
は、本発明重合体系化合物を、医薬として許容されうる
担体、好ましくは水性担体の中に溶解または懸濁した化
合物の液からなる。水性担体としては、例えば、水、緩
衝化水、 0.4%の生理的食塩水などを使用することがで
きる。これらの組成物は、普通の、よく知られた滅菌技
術により滅菌するか、あるいは濾過滅菌することができ
る。生ずる水溶液はそのまま包装するか、あるいは凍結
乾燥することができ、凍結乾燥した調製物は投与の前に
無菌の水溶液と組み合わせる。組成物は、近似の生理学
的状態に要求されるように、医薬として許容される補助
剤、例えば、pH調節剤および緩衝剤、張度調節剤、浸潤
剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビ
タンモノラウレート、テリエタノールアミンオレエート
などを含有することができる。
【0044】本発明重合体系化合物を含有する組成物
は、予防的および/または治療的処置のために投与され
る。治療的応用において、組成物は、前述したように、
病気に既に悩まされる患者に、病気およびその合併症の
症状を治癒するか、あるいは少なくとも部分的に阻止す
るために十分な量で投与される。これを達成するために
適切な量は、「治療的有効投与量」として定義される。
この使用のために有効な量は、病気の程度および患者の
体重および全体的状態に依存するが、一般に、体重 70
kgの患者について、1日当たり、本発明重合体系化合物
を約 0.1 mg 〜約2,000 mg の範囲であり、好ましく
は、体重 70 kgの患者について、1日当たり、本発明重
合体系化合物を約1 mg 〜約 500 mg の範囲の投与量を
使用する。
【0045】予防的応用において、本発明重合体系化合
物を含有する組成物は、特定の病気に感受性であるか、
あるいはそうでなければその病気の危険がある患者に投
与される。このような場合の使用量は、「予防的有効
量」であると定義される。このような使用において、正
確な量は健康の患者の状態および体重に依存するが、一
般に、体重 70 kgの患者について、1日当たり、本発明
重合体系化合物を約 0.1mg 〜約 1,000 mg の範囲であ
り、好ましくは、体重 70 kgの患者について、1日当た
り、本発明重合体系化合物を約 5 mg 〜約 500 mg の範
囲の投与量を使用する。本発明重合体系化合物の投与に
際しては、組成物の単一または多数の投与を実施するこ
とができ、投与のレベルおよびパターンは処置の医者に
より選択される。いずれの場合においても、医薬配合物
は患者を有効に処置するために十分な量の本発明化合物
を提供すべきである。
【0046】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳し
く説明するが、重合体系化合物の合成法はこれらの方法
に限定されるわけではない。 実施例1 実施例1における化合物()から(19)の構造式を
示す。
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【0047】〔実施例1−1〕 2−(トリメチルシリル)エチル 2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−3,4,6
−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド
)の合成 2−N−アリルオキシカルボニル−2−アミノ−2−デ
オキシ−1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノース() (172.56 g,0.40mmol)
を塩化メチレン (1035 ml) に溶解し、−15℃に冷却
後、この溶液に25%臭化水素−酢酸溶液 (388.4 g,
1.20 mmol) を1時間かけて滴下した。−15℃にて2
時間攪拌し、TLCにて2−N−アリルオキシカルボニ
ル−2−アミノ−2−デオキシ−3,4,6−トリ−O
−アセチル−α−D−グルコピラノシル ブロマイド
)の生成確認後、反応溶液を水、5%重曹水、水の
順で洗浄し、有機層をモレキュラーシーブス4Aにて乾
燥し、ろ過し、化合物3の塩化メチレン溶液を得た。こ
のようにして得た化合物の塩化メチレン溶液を−5℃
で2−(トリメチルシリル)エタノール (94.6 g,0.80
mmol)、炭酸銀(I)(331 g, 1.2 mmol) およびモレ
キュラーシーブス4A (429 g ) の塩化メチレン (1035
ml)混合液中に90分かけて滴下後、1時間攪拌した。
反応終了確認後、反応液をろ過し、ろ液を5%重曹水、
水の順で洗浄し、有機層を濃縮した。得られた残渣をト
ルエンに溶解し、ヘキサン中に滴下し、析出した結晶を
ろ取することにより目的化合物 (153.0 g, 収率 78
%) を白色結晶として得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 5.83 (1H, m)、5.27-5.08 (4H, m) 、4.96 (1H, t, J=
9.6 Hz)、4.65-4.45(2H, m) 、4.47 (1H, d, J=4.3 Hz,
H-1) 、4.20 (1H, dd, J=4.6 and 11.9 Hz)、4.04 (1
H, dd, J=2.3 and 11.9 Hz)、3.89 and 3.65 (2H, m,
OCH2CH2SiMe3)、3.63-3.45 (2H, m) 、1.99 (3H, s, A
c)、1.94 (3H, s, Ac)、1.93 (3H,s, Ac)、0.94-0.80
(2H, m, OCH2CH2SiMe3) 、0.00 (9H, s, OCH2CH2SiMe3)
【0048】〔実施例1−2〕 2−(トリメチルシリル)エチル 2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グ
ルコピラノシド()の合成 2−(トリメチルシリル)エチル 2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−3,4,6
−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド
)(49.0g,0.10mmol) をメタノール (150 ml) に
溶解し、室温にて28%ナトリウムメトキシド溶液 (メ
タノール溶液、6.0 g, 0.02 mmol) を加え1時間攪拌し
た。反応終了確認後、反応液を濃縮した。残渣を塩化メ
チレンに溶解し、水洗後、ヘプタンを用いて晶析を行
い、結晶をろ取することにより目的化合物 (28.6 g,
収率 79 %) を白色固体として得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 5.90 (1H, m)、5.75 (1H, d, J=8.3 Hz, -N HCO2-) 、
5.30 (1H, dd, J=1.3 and 17.2 Hz)、5.18 (1H, dd, J=
1.3 and 10.2 Hz)、5.05 (1H, s, OH)、4.72 (1H, s, O
H)、4.55 (1H, d, J=5.6 Hz, H-1) 、4.48 (1H, m)、3.
96 and 3.70 (2H, m, O CH2CH2SiMe3)、3.85 (2H, s)、
3.78-3.23 (5H, m) 、2.41 (1H,s, OH)、0.99-0.85 (2
H, m, OCH2CH2SiMe3) 、0.00 (9H, s, OCH2CH2SiMe3)
【0049】〔実施例1−3〕 2−(トリメチルシリル)エチル β−D−ガラクトピ
ラノシル−(1→4)−O−(2−N−アリルオキシカ
ルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコ
ピラノシド)()の合成 2−(トリメチルシリル)エチル 2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グ
ルコピラノシド() (2.18 g,6.00 mmol)を、50m
M−ヒ酸ナトリウム緩衝液 (120 ml) に溶解し、ウリジ
ン 5' −ジフォスフォグルコース(UDP−Glc)
(4.56 g, 8.05 mmol)、5%−子牛血清アルブミン(5
%−BSA)(2.46 ml) 、0.35M−塩化マンガン(I
I) 水溶液 (780 μl)、0.5N−アジ化ナトリウム水溶
液(1.68 ml)、アルカリフォスファターゼ (1320 U) 、
ウリジン 5' −ジフォスフォガラクトース 4−エピ
メラーゼ(UDP−Gal epimerase) (240 U) と1,
4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(GT)(30 U)
を順に加え、37℃にて静置した。4日後系内にGT
(10 U)を追加し、さらに4日間37℃にて静置した。
反応終了確認後、沈澱物をろ別後、ろ液を濃縮し、得ら
れた残渣をポリアクリルアミドゲルを用いたクロマトグ
ラフィーにて精製することにより、目的化合物(3.01
g,収率 98 %)を白色固体として得た。1H-NMR (270M
Hz, D2O) 6.04-5.88 (1H, m) 、4.56 (1H, d, J=4.62 Hz, H-1)、
4.47 (1H, d, J=7.59 Hz, H-1') 、1.08-0.93 (2H, m,
OCH2CH2SiMe3) 、0.00 (9H, s, OCH2CH2SiMe3)
【0050】〔実施例1−4〕 2−(トリメチルシリル)エチル (5−アセトアミド
−3,5−ジデオキシ−α−D−グリセロ−D−ガラク
ト−2−ノヌロピラノシロニックアシッド)−(2→
3)−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−(1→
4)−O−(2−N−アリルオキシカルボニル−2−ア
ミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド)
)の合成 シチジン 5’−モノフォスフェイト(CMP)(656
mg, 2.03 mmol)、アデノシン 5’−トリフォスフェイ
ト(ATP)(112 mg, 0.203 mmol) 、フォスフォ (エ
ノール) ピルベート(PEP・3Na) (2.30 g,9.83
mmol)、1M−塩化マグネシウム水溶液(20.3 ml)、1
M−塩化マンガン(II) 水溶液 (5.38 ml)、1M−塩化
カリウム水溶液(20.3 ml)、ミオキナーゼ (32587 U)
とピルベートキナーゼ (52956U) を200mM−N−
(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2’−エ
タンスルホン酸(HEPES)緩衝液 (pH 7.5,820 m
l) 中に加え、室温で1時間撹拌した。TLCにてシチ
ジン 5’−トリフォスフェイト(CTP)の生成を確
認後、系内にノイラミン酸(6.30 g,20.3 mmol)、5%
−子牛血清アルブミン(5%−BSA)(16.3 ml)、イ
ンオーガニック ピロフォスファターゼ (PPase)
(2444 U)、2−メルカプトエタノール( 64 μl )と
CMP−ノイラミンシンセターゼ(62 U)を加え、室温
で1時間静置した。TLCにて、CMP−ノイラミン酸
の生成を確認後、系内にPEP・3Na(9.28 g,397
mmol) 、2,3−シアリルトランスフェラーゼ(62 U)
と2−(トリメチルシリル)エチル β−D−ガラクト
ピラノシル−(1→4)−O−(2−N−アリルオキシ
カルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グル
コピラノシド)() (8.30 g,15.8 mmol)を加え室温
で5日間静置した。反応終了確認後、反応液をメタノー
ルで希釈した後、濃縮し、目的化合物6(理論量 12.88
g) を含む残渣を得た。これは精製することなく、次の
反応に用いた。 1H-NMR (270MHz, D2O) 6.04-5.88 (1H, m) 、2.75 (1H, dd, J=12.5 Hz, J=4.6
Hz, H-3e of NeuAc) 、2.03 (3H, s, Ac)、1.80 (1H,
t, J=12.2 Hz, H-3a of NeuAc)、1.05-0.82(2H, m, OCH
2CH2SiMe3 ) 、0.00(9H, s, OCH2CH2Si Me3)
【0051】〔実施例1−5〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−3,6−ジ
−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド)()の
合成 実施例1−4で得られた2−(トリメチルシリル)エチ
ル (5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−α−D
−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロニッ
クアシッド)−(2→3)−O−(β−D−ガラクトピ
ラノシル)−(1→4)−O−(2−N−アリルオキシ
カルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グル
コピラノシド)()(理論量12.88 g)を含む残渣を
ピリジン(377 ml) に溶解し、氷冷下にて無水酢酸 (227
ml) 、ジメチルアミノピリジン(500 mg)を加えた後、
室温にて12時間攪拌した。TLCにて原料消失を確認
後、氷冷下にてメタノール (580 ml) を反応系へ加え、
室温にて24時間攪拌した。次に反応液を濃縮し、得ら
れた残渣を再びピリジン (240 ml) に溶解し、氷冷下に
て無水酢酸 (150 ml) を加え、室温にて3時間攪拌し
た。反応終了確認後、氷冷下にてメタノール (500 ml)
を反応系へ添加し、室温にて30分間攪拌した後、濃縮
した。残渣を酢酸エチルに溶解し、硫酸銅水溶液、重曹
水、食塩水の順で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムに
て乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物 (1
6.77 g,収率:化合物より2段階で 88 %) を無色ア
モルファスとして得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 5.90-5.84 (1H, m) 、4.68 (1H, d, H-1')、4.50 (1H,
d, H-1) 、3.85 (3H, s, CO2Me) 、2.59 (1H, dd, H-3e
of NeuAc)、1.88 (1H, t, H-3a of NeuAc)、0.98-0.91
(2H, m, OCH2CH2SiMe3)、0.00 ( 9H, s, OCH2CH2Si Me
3)
【0052】〔実施例1−6〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(2−アミノ−2−デ
オキシ−3,6−ジ−O−アセチル−β−D−グルコピ
ラノシド)()の合成 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(2−N−アリルオキ
シカルボニル−2−アミノ−2−デオキシ−3,6−ジ
−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド)(
(16.5 g,13.7 mmol) をテトラヒドロフラン (165 m
l) に溶解し、室温にてテトラキス(トリフェニルフォ
スフィン)パラジウム (3.30 g) 、ポリメチルハイドロ
シロキサン (1.60 ml)を加え攪拌した。2時間半後、反
応系にさらに、テトラキス(トリフェニルフォスフィ
ン)パラジウム (3.30 g) 、ポリメチルハイドロシロキ
サン (1.60 ml) を加え、12時間攪拌した。反応終了
確認後、反応液をジクロロメタンにて希釈し水洗した。
有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過し、ろ液を
濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
にて精製し、目的化合物 (13.61 g, 収率 89%) を
薄黄アモルファスとして得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 5.50 (1H, m)、5.38 (1H, m)、3.83 (3H, s, CO2Me) 、
2.76 (1H, t, J=8.9Hz) 、2.60 (1H, dd, J=12.9, 4.6
Hz, H-3e of NeuAc)、1.70 (1H, m)、1.05-0.93 (2H,
m, Me3SiCH2CH2)、0.01 (9H, s, Me3SiCH2CH2)
【0053】〔実施例1−7〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(6−O−アセチル−
2−アミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシ
ド)()の合成 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(2−アミノ−2−デ
オキシ−3,6−ジ−O−アセチル−β−D−グルコピ
ラノシド)() (13.61 g, 12.1 mmol) をメタノール
(1089 ml)、水 (272 ml) の混合溶媒に溶解し、酢酸
(0.72 ml) を加え、50℃にて4 日間攪拌した。反応
終了確認後、反応液を濃縮し、目的化合物 (理論量 1
3.10 g) を含む残渣を得た。これは精製することなく次
の反応に用いた。
【0054】〔実施例1−8〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(6−O−アセチル−
2−アミノ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−2−
デオキシ−β−D−グルコピラノシド)(10)の合成 実施例1−7で得られた2−(トリメチルシリル)エチ
ル〔メチル(5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−
4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−α−D−グリ
セロ−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)〕
−(2→3)−O−(2,4,6−トリ−O−アセチル
−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−O−
(6−O−アセチル−2−アミノ−2−デオキシ−β−
D−グルコピラノシド)()(理論量 13.10 g) を含
む残渣をジクロロメタン (262 ml)に溶解し、室温に
て、炭酸水素ナトリウム (3.05 g,36.3 mmol)、を加え
た後、ベンジルオキシカルボニル クロリド (2.60 ml,
18.2 mmol) を滴下し、12時間攪拌した。反応終了確
認後、反応液を酢酸エチルにて希釈し水洗した。有機層
を硫酸マグネシウムにて乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精
製し、目的化合物10 (11.30 g,収率 化合物より
2段階で 77 %) を白色固体として得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 7.34-7.25 (5H, m, Ph-H) 、3.82 (3H, s, CO2Me) 、2.
58 (1H, dd, H-3e of NeuAc)、1.66 (1H, t, H-3a of N
euAc) 、0.95-0.82 (2H, m, OCH2CH2SiMe3)、0.00 (9H,
s, OCH2CH2SiMe3)
【0055】〔実施例1−9〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,4−トリ−
O−ベンジル−α−L−フコピラノシル−(1→3)−
O〕−(6−O−アセチル−2−アミノ−2−N−ベン
ジルオキシカルボニル−2−デオキシ−β−D−グルコ
ピラノシド)(12)の合成 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−(6−O−アセチル−
2−アミノ−2−N−ベンジルオキシカルボニル−2−
デオキシ−β−D−グルコピラノシド)(10) (5.60
g,4.60 mmol) をジクロロエタン(25ml)に溶解し、モ
レキュラシーブス4A(2.6 g)、テトラメチルウレア
(3.30 ml ,27.6 mmol) 及び2,3,4−トリ−O−
ベンジル−L−フコピラノシルフルオリド(11)(1
2.0 g,27.5 mmol) を加えた。室温にて90分間攪拌
後、反応容器を遮光し、−20℃に冷却し、塩化スズ
(II) (3.49 g,18.4 mmol)、過塩素酸銀 (3.85 g,1
8.4 mmol) を加えた。その後、反応系を90分間にて
室温まで昇温し、24時間攪拌した。反応終了確認後、
反応液をセライトろ過し、ろ液を水洗し、有機層を硫酸
ナトリウムにて乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにて精製し、目的化合物12(6.
37 g,収率 85 %)を薄黄アモルファスとして得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 7.46-7.24 (20H, m, Ph-H)、3.94 (3H, s, CO2Me) 、2.
60 (1H, dd, H-3e of NeuAc)、1.70 (1H, t, J=12.54 H
z, H-3a of NeuAc) 、1.26 (3H, d, J=6.27Hz, Me of F
uc)、0.94-0.84 (2H, m, OCH2CH2SiMe3)、0.00 (9H, s,
OCH2CH2 SiMe3)
【0056】〔実施例1−10〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔α−L−フコピラノ
シル−(1→3)−O〕−(6−O−アセチル−2−ア
ミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド)(
)の合成 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,4−トリ−
O−ベンジル−α−L−フコピラノシル−(1→3)−
O〕−(6−O−アセチル−2−アミノ−2−N−ベン
ジルオキシカルボニル−2−デオキシ−β−D−グルコ
ピラノシド)(12)(6.25 g,3.83 mmol )をエタノ
ール(125 ml) に溶解し、ぎ酸アンモニウム (10 g) 、
10%Pd−C (wet. 10 g)を加え、8時間還流した。
さらにぎ酸アンモニウム (10 g) 、10%Pd−C(we
t. 10 g) を加え8時間還流した。反応終了確認後、反
応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮し、目的化合物13
(4.45 g,収率 95 %) を無色のアモルファスとして得
た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 3.83 (3H, s, CO2Me) 、2.30-2.00 (24H, Ac×8)、1.85
(3H, s, NH Ac) 、1.68 (1H, t, H-3a of NeuAc) 、1.
33 (3H, d, J=6.60 Hz, Me of Fuc)、 0.98-0.85 (2H,
m, OCH2 CH2SiMe32) 、 0.01 (9H, s, OCH2CH2Si Me3)
【0057】〔実施例1−11〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔α−L−フコピラノ
シル−(1→3)−O〕−(6−O−アセチル−2−デ
オキシ−2−ナフタミド−β−D−グルコピラノシド)
14)の合成 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔α−L−フコピラノ
シル−(1→3)−O〕−(6−O−アセチル−2−ア
ミノ−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド)(
)(2.45 g,1.99 mmol)をジクロロメタン(50 ml)に
溶解し、室温にて炭酸水素ナトリウム(670 mg, 7.98 m
mol)、塩化β−ナフトイル(760 mg, 3.99 mmol)を加え
12時間攪拌した。反応終了確認後、反応系に氷冷下、
メタノール(10 ml)、ピリジン(5.0 ml) を加え、室温
にて15分間攪拌した。反応液を濃縮し、目的化合物
(理論量 2.76 g )を含む残渣を得た。これは精製す
ることなく、次の反応に用いた。
【0058】〔実施例1−12〕 2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ
−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2
−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,4−トリ−
O−アセチル−α−L−フコピラノシル−(1→3)−
O〕−(6−O−アセチル−2−デオキシ−2−ナフタ
ミド−β−D−グルコピラノシド)(15)の合成 実施例1−11で得られた2−(トリメチルシリル)エ
チル〔メチル(5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ
−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−α−D−グ
リセロ−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネー
ト)〕−(2→3)−O−(2,4,6−トリ−O−ア
セチル−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−
O−〔α−L−フコピラノシル−(1→3)−O〕−
(6−O−アセチル−2−デオキシ−2−ナフタミド−
β−D−グルコピラノシド)(14)(理論量 2.76 g
)を含む残渣をピリジン(25 ml)に溶解し、室温にて
無水酢酸 (15 ml)、4−ジメチルアミノピリジン(100
mg) を加え、室温にて8時間攪拌した。反応終了確認
後、氷冷下にて、メタノール(15 ml)を反応系内へ添加
し、室温にて30分間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣
を酢酸エチルで希釈し、飽和硫酸銅水溶液、ついで飽和
食塩水にて洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥
後、ろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにて精製し目的化合物15(2.58
g,収率 化合物13より2段階で 86 %)を薄黄アモ
ルファスとして得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 8.36 (1H, s)、8.10-7.85 (4H, m) 、7.68-7.59 (2H,
m) 、6.43 (1H, d, J=9.57 Hz) 、3.94 (3H, s, CO2Me)
、2.67 (1H, dd, H-3e of NeuAc)、1.26 (3H, d, J=6.
60 Hz, Me of Fuc)、0.98-O.91 (2H, m, OCH2CH2SiMe
3)、0.00 (9H,s, OCH2CH2SiMe3)
【0059】〔実施例1−13〕 〔メチル(5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−
4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−α−D−グリ
セロ−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)〕
−(2→3)−O−(2,4,6−トリ−O−アセチル
−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−O−
〔2,3,4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラ
ノシル−(1→3)−O〕−(6−O−アセチル−2−
デオキシ−2−ナフタミド−β−D−グルコピラノシ
ル)クロライド(16)の合成 2−(トリメチルシリル)エチル 〔メチル(5−アセ
トアミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テト
ラ−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−
2−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−
(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクト
ピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,4−トリ−
O−アセチル−α−L−フコピラノシル−(1→3)−
O〕−(6−O−アセチル−2−デオキシ−2−ナフタ
ミド−β−D−グルコピラノシド)(15)(2.0 g,
1.32 mmol) をジクロロメタン(30 ml)に溶解し、室温
にてジクロロメチルメチルエーテル ( 599 μl, 6.60
mmol) 、塩化亜鉛 (90 mg, 0.660 mmol) を加え、14時
間攪拌した。反応終了確認後、反応液をジクロロメタン
にて希釈し、飽和重曹水、食塩水の順で洗浄した。有機
層を硫酸ナトリウムで乾燥後ろ過し、ろ液を濃縮し、目
的化合物16(理論量 1.89 g )を含む残渣を得た。こ
れは、精製することなく次の反応に用いた。
【0060】〔実施例1−14〕 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル〔メチル(5
−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9
−テトラ−O−アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラ
クト−2−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→3)−
O−(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラ
クトピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,4−ト
リ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル−(1→
3)−O〕−(6−O−アセチル−2−デオキシ−2−
ナフタミド−β−D−グルコピラノシド)(17)の合
成 実施例1−13で得られた〔メチル(5−アセトアミド
−3,5−ジデオキシ−4,7,8,9−テトラ−O−
アセチル−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌ
ロピラノシロネート)〕−(2→3)−O−(2,4,
6−トリ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシ
ル)−(1→4)−O−〔2,3,4−トリ−O−アセ
チル−α−L−フコピラノシル−(1→3)−O〕−
(6−O−アセチル−2−デオキシ−2−ナフタミド−
β−D−グルコピラノシド)クロライド(16)(理論
量 945 mg) を含む残渣をジクロロエタン(10 ml) に
溶解し、モレキュラーシーブス4A (800 mg) 、6−
(N−アクロイルアミノ)−1−ヘキサノール(21
(340 mg, 1.99 mmol )とテトラメチルウレア( 174
μl,1.45 mmol )を加え、室温にて攪拌した。1時間
後、この混合液に、室温にてトリフルオロメタンスルホ
ン酸スズ (II) (549 mg, 1.32 mmol)を加え、24時間
攪拌した。反応終了確認後、反応系を飽和重曹水中へ注
加し、セライトろ過し、ろ液を分液し、次いで有機層を
食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後
ろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにて精製し目的化合物17(822mg ,収
率 化合物15より2段階で 80 %)を無色のアモルフ
ァスとして得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 8.24 (1H, s)、7.90-7.77 (4H, m) 、7.53-7.54 (2H,
m) 、6.29 (1H, d,J=16.8 Hz)、6.00 (1H, dd, J=16.8
Hz, J=10.2 Hz) 、5.60 (1H, dd, J=10.2 Hz, J=1.7 H
z)、3.80 (3H, s, CO2Me) 、2.52 (1H, dd, H-3e of Ne
uAc)、1.14 (3H, d, J=6.60 Hz, Me of Fuc)
【0061】〔実施例1−15〕 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−α−D−グリセロ−D−
ガラクト−2−ノヌロピラノシロニックアシッド)〕−
(2→3)−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−
(1→4)−O−〔α−L−フコピラノシル−(1→
3)−O〕−(2−デオキシ−2−ナフタミド−β−D
−グルコピラノシド)ナトリウム塩(18)の合成 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル 〔メチル
(5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−4,7,
8,9−テトラ−O−アセチル−α−D−グリセロ−D
−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート)〕−(2→
3)−O−(2,4,6−トリ−O−アセチル−β−D
−ガラクトピラノシル)−(1→4)−O−〔2,3,
4−トリ−O−アセチル−α−L−フコピラノシル−
(1→3)−O〕−(6−O−アセチル−2−デオキシ
−2−ナフタミド−β−D−グルコピラノシド)(
)(320 mg, 0.205 mmol) をメタノール(2.4 ml) に
溶解し、28%ナトリウムメトキシド溶液(メタノール
溶液、0.20 ml)を加え室温にて14時間静置後、系内へ
水(0.5 ml) を加え、さらに30分間静置した。反応終
了確認後、反応液を濃縮した。得られた残渣をポリアク
リルアミドゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにて
精製し、凍結乾燥を行い、目的化合物18(180 mg,収
率 79 %)を白色粉末として得た。 1H-NMR (270MHz, D2O) 8.32 (1H, s)、7.98-7.75 (4H, m) 、7.56-7.50 (2H,
m) 、6.00-5.88 (2H,m) 、5.58 (1H, dd, J=9.2 Hz, J=
2.6 Hz) 、5.14 (1H, d, J=3.96 Hz, H-1 ofFuc) 、4.4
9 (1H, d, J=7.49 Hz, H-1 of GlcN) 、2.70 (1H, dd,
H-3e of NeuAc)、2.40-2.20 (2H, m) 、1.97 (3H, s,
NHAc) 、1.74 (1H, t, H-3a of NeuAc) 、1.40-1.25
(2H, m) 、1.10 (3H, d, Me of Fuc)
【0062】〔実施例1−16〕 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−α−D−グリセロ−D−
ガラクト−2−ノヌロピラノシロニックアシッド)〕−
(2→3)−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−
(1→4)−O−〔α−L−フコピラノシル−(1→
3)−O〕−(2−デオキシ−2−ナフタミド−β−D
−グルコピラノシド)ナトリウム塩 ホモポリマー(
)の合成 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル (5−アセ
トアミド−3,5−ジデオキシ−α−D−グリセロ−D
−ガラクト−2−ノヌロピラノシロニックアシッド)〕
−(2→3)−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−
(1→4)−O−〔α−L−フコピラノシル−(1→
3)−O〕−(2−デオキシ−2−ナフタミド−β−D
−グルコピラノシド)ナトリウム塩(18)(101 mg,
0.091 mmol) を脱イオン水(0.82 ml) に溶解し、アス
ピレーターを用いて30分間脱気した。この溶液に、テ
トラメチレンエチレンジアミン(1.4 ml)とペルオキソ
二硫酸アンモニウム(0.7 mg)を加え室温にて撹拌し
た。7日後、8日後、9日後、12日後にそれぞれテト
ラメチレンエチレンジアミン(1.4 ml)とペルオキソ二
硫酸アンモニウム(0.7 mg)とを添加し室温にて撹拌し
た。13日後に分子量2000カットの透析用セルロー
ス膜を用いて透析を行い、凍結乾燥し、目的化合物19
(40.7 mg )を得た。
【0063】実施例2 実施例2における化合物(20)の構造式を示す。
【化38】 〔実施例2−1〕 6−(N−アクリロイルアミノ)ヘキシル(5−アセト
アミド−3,5−ジデオキシ−α−D−グリセロ−D−
ガラクト−2−ノヌロピラノシロニックアシッド)〕−
(2→3)−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−
(1→4)−O−〔α−L−フコピラノシル−(1→
3)−O〕−(2−デオキシ−2−ナフタミド−β−D
−グルコピラノシド) ナトリウム塩 コポリマー(
)の合成 実施例1と同様の方法で合成した6−(N−アクリロイ
ルアミノ)ヘキシル(5−アセトアミド−3,5−ジデ
オキシ−α−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロ
ピラノシロニックアシッド)〕−(2→3)−O−(β
−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−O−〔α−
L−フコピラノシル−(1→3)−O〕−(2−デオキ
シ−2−ナフタミド−β−D−グルコピラノシド) ナ
トリウム塩(18)(111 mg, 0.10 mmol)を脱イオン水
(0.90 ml) に溶解し、アスピレーターを用いて30分
間脱気した。この溶液に、アクリルアミド(28.4mg, 0.
40mmol) 、テトラメチレンエチレンジアミン(1.5 ml)
とペルオキソ二硫酸アンモニウム(0.8 mg)を加え室温
にて撹拌した。15日後に分子量25000カットの透
析用セルロース膜を用いて透析を行い、凍結乾燥し、目
的化合物20(41.7 mg )を得た。
【0064】参考例1 参考例1における化合物(21)、(22)の構造式を
示す。
【化39】 〔参考例1〕 6−(N−アクロイルアミノ)−1−ヘキサノール(
)の合成 6−アミノ−1−ヘキサノール(22)(2.81g, 24.0
mmol )と炭酸水素ナトリウム(3.36 g, 40.0 mmol )
を水(10 ml )に溶解し、室温にてアクリロイルクロラ
イド(6.12 g, 0.068 mol )のメタノール溶液(5.0 m
l)を滴下し、3時間攪拌した。反応終了確認後、反応
液をジクロロメタンにて希釈し、分液した。有機層を食
塩水にて洗浄後、硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過し、
ろ液を濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンに溶解
し、ヘキサンを用いて晶析を行い、結晶をろ取すること
により目的化合物21(429 mg, 収率 13 %)を白色固
体として得た。 1H-NMR (270MHz, CDCl3) 6.28 (1H, dd, J=16.8 Hz, 1.7 Hz)、6.11 (1H, dd, J=
16.8 Hz, J=10.2 Hz)、6.00 (1H, broad-s, NH)、5.61
(1H, dd, J=10.2 Hz, J=1.7 Hz)、3.66-3.60 (2H, m)
、3.38-3.29 (2H, m) 、2.81 (1H, broad-s, OH)、1.5
5-1.25 (8H, m)
【0065】実験例1 rsE-selectinを含むDPBS液(3μg/ml) を 96 穴プレート
に1ウェル当たり 50 μl で添加し、同一のプレート上
にrsE-selectinを含まないDPBS液を加えたウェルも作り
(非特異的接着測定用)、室温で3時間放置した。その
後、DPBS/BSA液1ウェル当たり200 μl で3回洗浄し、
新たに1ウェル当たり 200μl のDPBS/BSA液を加えて1
時間室温で放置した。DPBS/BSA液を除去した後、NWB
のみ及び本発明化合物を含むNWBを1ウェル当たり 4
0 μl を加えた。凍結 HL-60細胞を37℃で急速に融解し
た後に、4℃に冷却したNWBで1500rpm×5 min の遠
心操作による洗浄を3回行った。この細胞をNWBで1
×107cells/mlに調製後、先のプレ−トに1ウェル当た
り 20 μl 加え、室温で15分間放置した。8連のピペッ
トマンを用いて200 μl/wellのNWBで4回洗浄し、非
接着性のHL-60 細胞を除去した。0.1 % NP-40 を含むク
エン酸溶液を室温にしたものを1ウェル当たり 50 μl
加え、5分間室温で放置した。室温にした基質液 ( 4 m
g のOPDA, 4μl の30% H2O2 / 4 mlのクエン酸溶液)
を1ウェル当たり 50 μl 加え、アルミホイルで遮光し
て 5 〜 20 分間発色させ、4 N H2SO4を1ウェル当た
り 50 μl 加えて反応を停止した。基質液は調製後 30
分以内で用いた。各ウェルの OD490の吸光度を測定し、
非特異的接着測定用ウェルの OD490の吸光度を各ウェル
の値から減じた。培地のみのウェルにおける値をコント
ロール(100%)とし、本発明化合物(18)、(19)ま
たは(20)を含むウェルにおける接着量を %コントロ
ールで算出し、阻害曲線を描いて50%阻害濃度(IC
50)を求めた。その結果を表1に示した。
【表1】
【0066】なお、実験材料の入手先は、以下の通り。 rsE-selectin : J. C. Poulson, J. Am. Chem. Soc., 1
17, 66-79, (1995) に記載された方法に従い、製造する
ことができる。尚、本発明者らが本実験で用いた rsE-s
electin は、上記著者らにより分譲された物を用いた。 HL-60 : ATCC 社 DPBS( ダルベット フォスフェイト バッファード セ
ライン) : GIBCO 社 BSA ( ウシ 血清 アルブミン) : sigma 社 HBSS (ハンクス バランド サルト ソリューション)
: GIBCO 社 OPDA (オルト フェニレン ジアミン) : sigma 社 RPMI1640培地 : GIBCO社 ウシ胎児血清 : GIBCO社 プレート ; Immulon.2.(平底) : Dynatech Laboratorie
s 社 本発明化合物は DPBS で 100 mg/mlに調製し、 pH を
7.1〜7.4 に調整したものを用いた。HL-60 は、RPMI164
0培地にウシ胎児血清を10% 加えた培地で培養した。RPM
I1640培地 80%+ウシ胎児血清 10%+ DMSO 10% の細胞
凍結用液を用いて1チューブ当たり1.5 ×107 cells で
常法に従って凍結し、−80℃で保存した。使用時には無
菌状態で用いた。DPBS/BSA液の組成は、 DPBS + 1% BS
A である。NWBの組成は、HBSS +10mM HEPES +
0.2% glucose + 1% BSA +1mMCaCl2 である。以上2溶
液は、無菌的に調製した。クエン酸溶液は、クエン酸
2.33 g および Na2HPO4.12H2O 9.20 g を 500mlの脱塩
水に溶解して調製した。本発明化合物(18)、(
)および(20)は、表1に示す濃度でrsE-selectin
とHL-60 との接着を50% 阻害した。図1はいくつかの濃
度における本発明化合物(18)、(19)および(
)の接着阻害活性を示す。接着阻害活性は、試料を含
まないウェルにおける値を100%とし(コントロー
ル)、その阻害の程度を%で示した。
【0067】実験例2 オブアルブミン(3μg/マウス)と水酸基アルミゲル
(4mg/マウス)の混合液を作成し、マウスに腹腔内
投与することによりマウスを一次感作した。2週間後、
オブアルブミン(10μg/マウス)をマウス右耳に皮
内投与し二次感作した。二次感作から24時間後に、左
右の耳を直径6mmの円形に切り取り、湿重量を測定
し、左右の湿重量の差を浮腫量とした。陰性対照群で
は、オブアルブミンの皮内投与のみを行った。本発明化
合物(19)は10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶
解し、100mg/kgの用量で、二次感作直前に静脈
内投与した。数値は平均値±S.E.M.で示した。有意差検
定はスチューデントのt検定法を用い、危険率5%以下
の差を有意差ありとした。結果を図2に示す。図2はオ
ブアルブミン投与によるマウス耳浮腫モデルにおける本
発明化合物(19)の効果を示す。図中の縦軸はマウス
の耳湿重量を示す。オブアルブミンのマウス耳への皮内
投与により有意な耳湿重量の増加がおこり、これは本発
明化合物(19)(100mg/kg)の投与により有
意に抑制された。なお、使用動物および試薬の入手先は
以下の通り。 マウス:BALB/C系、雌、6w,日本チャールスリバー社
より購入し、1週間予備飼育した後実験に使用した。 オブアルブミン:Sigma 社 水酸化アルミゲル:SERVA 社
【0068】実験例3 ラット右後肢足蹠に抗オブアルブミン抗体を0.3mg/50ml
皮下投与し、直後に80mg/ml/kgのオブアルブミンを尾静
脈より投与した。1 時間後にラットの足の体積を水の重
量を測定することにより求めた。皮下注射前および1時
間後の足の体積の差を求め、浮腫量とした。陰性対照群
では、抗オブアルブミン抗体の皮内投与のみを行った。
本発明化合物(19)は15mg/mlの濃度で生理食
塩水に溶解し、30mg/kgの用量で、反応惹起直前
に静脈内投与した。数値は平均値±S.E.M.で示した。有
意差検定はダンネットのt検定法を用い、危険率5%以
下の差を有意差ありとした。結果を図3に示す。図3は
オブアルブミン投与によるラットのアルサス反応モデル
における本発明化合物(19)の効果を示す。図中の縦
軸はラットの足の浮腫量を示す。オブアルブミン投与に
より有意な浮腫量の増加がおこり、これは本発明化合物
19)(30mg/kg)の投与により有意に抑制さ
れた。なお、使用動物および試薬の入手先は以下の通
り。 マウス:SD系、雌、6w,日本チャールスリバー社 抗オブアルブミン抗体:Chemicon international Inc.
(Temecula, CA) オブアルブミン:生化学工業
【0069】実験例4 マウスに緬羊赤血球(3×105 個/マウス)を静脈
内投与することにより一次感作した。4日後、右後肢足
蹠に緬羊赤血球(1×108 個/マウス)を皮下投与
することにより二次感作した。24時間後に、左右の後
肢の厚さを測定し、左右の差を浮腫量とした。陰性対照
群では、緬羊赤血球の皮内投与のみを行った。本発明化
合物(19)は10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶
解し、100mg/kgの用量で、二次感作直前に静脈
内投与した。数値は平均値±S.E.M.で示した。有意差検
定はスチューデントのt検定法を用い、危険率5%以下
の差を有意差ありとした。結果を図4に示す。図4は緬
羊赤血球投与による遅延型アレルギー反応モデルにおけ
る本発明化合物(19)の効果を示す。図中の縦軸はマ
ウスの足の厚さを示す。緬羊赤血球投与により有意な足
の浮腫の増加がおこり、これは本発明化合物(19
(100mg/kg)の投与により有意に抑制された。
なお、使用動物および試薬の入手先は以下の通り。 マウス:BALB/C系、雌、6w,日本チャールスリバー社
より購入し、1週間予備飼育した後実験に使用した。 緬羊赤血球:日本生物材料センター
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はいくつかの濃度における本発明化合物
18)、(19)および(20)の接着阻害活性を示
す。接着阻害活性は、試料を含まないウェルにおける値
を100%とし(コントロール)、その阻害の程度を%
で示した。
【図2】図2はオブアルブミン投与によるマウス耳浮腫
モデルにおける本発明化合物(19)の効果を示す。図
中の縦軸はマウスの耳湿重量を示す。オブアルブミンの
マウス耳への皮内投与により有意な耳湿重量の増加がお
こり、これは本発明化合物(19)(100mg/k
g)の投与により有意に抑制された。
【図3】図3はオブアルブミン投与によるラットのアル
サス反応モデルにおける本発明化合物(19)の効果を
示す。図中の縦軸はラットの足の浮腫量を示す。オブア
ルブミン投与により有意な浮腫量の増加がおこり、これ
は本発明化合物(19)(30mg/kg)の投与によ
り有意に抑制された。
【図4】図4は緬羊赤血球投与による遅延型アレルギー
反応モデルにおける本発明化合物(19)の効果を示
す。図中の縦軸はマウスの足の厚さを示す。緬羊赤血球
投与により有意な足の浮腫の増加がおこり、これは本発
明化合物(19)(100mg/kg)の投与により有
意に抑制された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/785 AED A61K 31/785 AED C08B 37/00 C08B 37/00 Z (72)発明者 宮内 浩 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友製薬株式会社内 (72)発明者 林 正治 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友製薬株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 S−二官能性スペーサー−重合体を含有
    する重合体系化合物、ただし、Sは、一般式 【化1】 [式中、Yは−C(O)−、−SO2 −、−C(O)N
    H−、−C(O)O−あるいは−C(O)S−を表す。
    R1 は置換または無置換のアリール基、置換または無置
    換の芳香族複素環基もしくは置換または無置換のアリー
    ルC1 −C6 アルキル基、置換または無置換の芳香族複
    素環C1 −C6 アルキル基を表す。R2 およびR3 の、
    一方はα−またはβ−L−フコピラノシル基を表し、他
    方は一般式 【化2】 {式中、R4 は水素原子、−SO3 H、−PO3 H2 、
    −CH2 CO2 Hまたは一般式 【化3】 (式中、R5 はメチル基またはヒドロキシメチル基であ
    る。)で表される基である。}を表す。]であるグルコ
    サミン誘導体またはその塩であり、その還元末端を介し
    て天然または合成の分子である二官能性のスペーサーと
    結合しており、さらに、Sは二官能性のスペーサー1つ
    またはそれ以上を介して重合体に結合し、その重合体は
    S−二官能性スペーサーを含むものであり、そして、重
    合体も更に必要に応じて増強剤に連結してよい重合体系
    化合物。
  2. 【請求項2】 Sが一般式 【化4】 (式中、Y、R1 、およびR4 は請求項1記載と同意義
    を示す。)であるグルコサミン誘導体またはその塩であ
    る請求項1記載の重合体系化合物。
  3. 【請求項3】 Sが一般式 【化5】 (式中、Y、R1 、およびR4 は請求項1記載と同意義
    を示す。)であるグルコサミン誘導体またはその塩であ
    る請求項1記載の重合体系化合物。
  4. 【請求項4】 Sが一般式 【化6】 (式中、Y、R1 、およびR4 は請求項1記載と同意義
    を示す。)であるグルコサミン誘導体またはその塩であ
    る請求項1記載の重合体系化合物。
  5. 【請求項5】 Sが一般式 【化7】 (式中、Y、R1 、およびR4 は請求項1記載と同意義
    を示す。)であるグルコサミン誘導体またはその塩であ
    る請求項1記載の重合体系化合物。
  6. 【請求項6】 Sの一般式における、Yが−C(O)−
    である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の重合体
    系化合物。
  7. 【請求項7】 Sの一般式における、R1 がアリール基
    である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の重合体
    系化合物。
  8. 【請求項8】 Sの一般式における、R1 がフェニル基
    またはナフチル基である請求項1ないし6のいずれか1
    項に記載の重合体系化合物。
  9. 【請求項9】 二官能性のスペーサーが一般式 −A1 −〔B−Cx 〕y −Dz −A2 − {式中xは0または1であり、yは1〜30であり、z
    は0または1であるが、ただしxが1である場合のみz
    は1であることができる。BおよびDは同じかまたは異
    なっていて、単結合または炭素原子1〜30個の直鎖、
    分枝鎖または環状のアルキレン基であり、置換基を有し
    ていてもよい。また、場合により、アルキレン鎖の一部
    が1〜3個の芳香環の一部または二重結合を形成しても
    よい。A1、A2 およびCはそれぞれ一般式 【化8】 (式中、R6 は互いに独立して水素原子またはメチル、
    エチル、ベンジル、プロピル、アセチルまたはベンゾイ
    ル基のいずれかである。)である。〔B−Cx 〕で定義
    される反復単位は同じかまたは異なっている。}である
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載の重合体系化合
    物。
  10. 【請求項10】 BまたはDが、互いに独立して、単結
    合または炭素原子1〜30個のアルキレン基である請求
    項1ないし9のいずれか1項に記載の重合体系化合物。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の二官能性のスペーサー
    におけるA1 、A2およびCがそれぞれ一般式 【化9】 (式中、R6 は請求項9記載と同意義を示す。)である
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の重合体系化
    合物。
  12. 【請求項12】 重合体が、ビニル基、2−メチル−ビ
    ニル基または1−メチル−ビニル基の重合体である炭化
    水素ポリマー、エポキシ基または置換エポキシ基の重合
    体であるポリエーテル、ポリリジンまたはポリフェニル
    アラニンであるポリアミノ酸または多糖類のいずれかよ
    り選ばれた請求項1ないし11のいずれか1項に記載の
    重合体系化合物。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし13のいずれか一項に
    記載の重合体系化合物を有効成分とする炎症性疾患、虚
    血再灌流障害、あるいは癌転移の予防および/または治
    療剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106432710A (zh) * 2016-08-31 2017-02-22 天津悦泰石化科技有限公司 聚醚葡萄糖胺及制备方法及作为汽油清净剂主剂的用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106432710A (zh) * 2016-08-31 2017-02-22 天津悦泰石化科技有限公司 聚醚葡萄糖胺及制备方法及作为汽油清净剂主剂的用途

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