JP2001220399A - 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーおよびその用途 - Google Patents

糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーおよびその用途

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JP2001220399A
JP2001220399A JP2000353275A JP2000353275A JP2001220399A JP 2001220399 A JP2001220399 A JP 2001220399A JP 2000353275 A JP2000353275 A JP 2000353275A JP 2000353275 A JP2000353275 A JP 2000353275A JP 2001220399 A JP2001220399 A JP 2001220399A
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Susumu Nishiguchi
進 西口
Shigeo Shibatani
滋郎 柴谷
Atsushi Toda
篤志 戸田
Shinichiro Nishimura
紳一郎 西村
Kuriko Yamada
久里子 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】糖ペプチドもしくはネオ糖ペプチドの合成に利
用することのできるプライマー、および該プライマーを
利用した糖ペプチドもしくはネオ糖ペプチドの効率的な
製造方法を提供する。 【解決手段】高分子担体上に、一般式(I)(式中、R
1はメチレン基1〜20個分の長さを有するリンカーを
示し、R2は特定のプロテアーゼにより開裂できる部位
を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基を示し、R
3は前記プロテアーゼにより開裂できる部位を含まない
任意のペプチド残基であり、その残基中にOH基あるい
は酸アミド基にグリコシド結合により任意の単糖残基が
結合したセリン残基、トレオニン残基、グルタミン残基
またはアスパラギン残基を含むペプチド残基、あるいは
側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド結合により任
意の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含むペプチド残
基を示す)で表される基が結合していることを特徴とす
る糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プラ
イマー。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖ペプチドあるい
はネオ糖ペプチド製造に有用な高分子プライマー、該プ
ライマーを利用した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
の製造方法および該プライマーの製造に有用な重合性芳
香族アミノ酸誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】糖は核酸や蛋白質と並んで生体を構成す
る主要な成分であるが、核酸や蛋白質と比べ、その構造
あるいは機能はあまりよく理解されていない。糖は、通
常糖鎖と呼ばれる重合体を形成し、さらにそれらが蛋白
質や脂質と結合して糖蛋白質、糖脂質あるいはプロテオ
グリカンと総称される極めて複雑な複合分子を形成して
いる。さらに、核酸あるいは蛋白質がその構成単位であ
るヌクレオチドあるいはアミノ酸が直線的に結合した高
分子であるのに対して、糖鎖は分子内に複数の分岐点が
あるばかりでなく、その構成単位である単糖の結合様式
も多様であるため、その構造は核酸や蛋白質と比較にな
らないほど複雑である。これら構造の複雑さは、この分
野の研究を遅らせている大きな原因の一つとなっている
【0003】しかし、近年糖鎖が細胞認識、免疫、分
化、受精、老化、ガン化などに関与することが徐々にわ
かってくるにつれて、非常に注目される研究分野となっ
てきた。このような現状より、天然の構造を有する糖鎖
や新規な糖鎖を合成する試みが盛んになされている。ま
た、最近では糖鎖構造が天然には存在しない糖ペプチド
や糖鎖構造は天然に存在するものであってもペプチドと
の結合様式が天然のものとは異なる糖ペプチドあるいは
適当なスペーサーを介して糖鎖とペプチドを結合させた
糖ペプチドなどのような非天然型の糖ペプチド(ネオ糖
ペプチド)を合成し、天然の糖ペプチドとは異なるある
いは天然の糖ペプチドにはない生理活性を見出そうとす
る研究も盛んに行われている。例えば、本発明者らは、
下記式7(式中、Acはアセチル基を示す)で示される
ネオ糖ペプチドは、セレクチンとインテグリン両方に結
合できるサイトを有したユニークな化合物であり、該ネ
オ糖ペプチドのオリゴ糖部分であるシアリルルイスXよ
りも強くP−セレクチンやL−セレクチンと結合するこ
とができ、該ネオ糖ペプチドのペプチド部分であるAr
g(アルギニン)−Gly(グリシン)−Glu(グル
タミン酸)−Ser(セリン)よりも強くインテグリン
β1とそのモノクローナル抗体との結合を阻害すること
ができることを既に報告している(Chem. Commun., 143
5, (1999))。上記ネオ糖ペプチドは、ペプチド部分を液
相法で有機合成化学的手法により、オリゴ糖部分は糖転
移酵素を用いた酵素法により合成しているが、反応を1
つ行うごとに分離精製を行っているため、煩雑な操作と
長い時間が必要である。
【化7】
【0004】一般に糖ペプチドの合成は、Fmoc−ア
ミノ酸(アミノ基を9−フルオレニルメチルオキシカル
ボニル基で保護したアミノ酸、以下9−フルオレニルメ
チルオキシカルボニル基をFmocと略する)とともに
N−α−Fmoc−N−γ−(3,4,6−トリ−O−
アセチル−β−D−N−アセチルグルコサミニル)−L
−アスパラギン(Fmoc−Asn(βAc3GlcN
Ac)−OH)、N−Fmoc−O−(3,4,6−ト
リ−O−アセチル−α−D−N−アセチルガラクトサミ
ニル)−L−セリン(Fmoc−Ser(αAc3Ga
lNAc)−OH)、N−Fmoc−O−(3,4,6
−トリ−O−アセチル−α−D−N−アセチルガラクト
サミニル)−L−トレオニン(Fmoc−Thr(αA
3GalNAc)−OH)などのFmoc−グリコシ
ルアミノ酸を用い、ペプチド自動合成装置で基本となる
ペプチド部分を固相担体上に合成し、固相担体よりペプ
チド部分を遊離させ、一旦精製した後、有機化学的な合
成手法により一つずつ糖鎖を伸長させていくという方法
が用いられ、ネオ糖ペプチドも同様の方法が用いられ
る。そのため、糖鎖の伸長には多くの時間と煩雑な操作
が必要となる。そこで、ペプチド部分のみならず、オリ
ゴ糖鎖部分も自動合成可能になれば非常に有用である。
核酸や蛋白質については自動合成技術が確立されてお
り、このことによりこの分野の研究が著しく進歩したこ
とは誰もが認めるところであり、糖鎖についてもその自
動合成技術の確立は切望されている。
【0005】これまでに糖鎖の自動合成を試みたいくつ
かの報告があり、その手法は大きく分けて2つある。1
つは化学合成によるものであるが、糖残基と糖残基を立
体選択的に結合させる方法が十分確立されておらず、さ
らに保護基を結合させたり、あるいは脱離させたりと工
程が煩雑であるという問題がある。もう1つは酵素合成
によるものであり、保護基を必要とせず、また糖残基と
糖残基を立体選択的に結合させることができるので化学
合成に比べ、非常に有利であり、近年いくつかの方法が
提案されるようになってきた。これには、最近各種糖転
移酵素の遺伝子が単離され、遺伝子組換え技術による糖
転移酵素の大量生産が可能になってきたという背景があ
る。
【0006】そのような例としては、U. Zehaviらは、
アミノエチル基あるいはアミノヘキシル基を結合させた
ポリアクリルアミドゲルを固相担体とした糖転移酵素に
よる固相合成を報告している(Carbohydr. Res., 124, 2
3 (1983), Carbohydr. Res.,228, 255 (1992), React.
Polym., 22, 171 (1994), Carbohydr. Res., 265, 161
(1994))。この方法は、適当な単糖を4−カルボキシ−
2−ニトロベンジルグリコシドとした後、上記担体のア
ミノ基と直接あるいはスペーサーを介して結合させたも
のをプライマーとして、糖転移酵素により糖鎖伸長反応
を行ない、その後光分解により伸長させた糖鎖を遊離さ
せるというものである。しかしながら、糖転移収率は5
0%程度であり十分なものとは言えない。また、この方
法で得られるのはオリゴ糖であって糖ペプチドではな
い。
【0007】その他の例として、C.-H. Wongらは、アミ
ノ化シリカに下記化8(式中、Acはアセチル基、Bo
cはt−ブトキシカルボニル基を示す)の基を結合させ
たものをプライマーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸
長させた後、α−キモトリプシンの加水分解作用を利用
し伸長させた糖鎖を糖ペプチドの形で切り出す方法を報
告している(J. Am. Chem. Soc., 116, 1136 (1994))。
得られる糖ペプチドのペプチド鎖はAsn(アスパラギ
ン)−Gly(グリシン)−Phe(フェニルアラニ
ン)である。しかしながら、糖転移酵素による糖鎖伸長
反応の収率は55〜65%であり、とても十分なものと
は言えない。
【0008】
【化8】
【0009】また、C.-H. Wongらは、固相担体であるア
ミノ化シリカに結合させる基を下記化9(式中、Acは
アセチル基を示す)に改良し、糖転移酵素により糖鎖を
伸長させた後、ヒドラジン分解により糖鎖を遊離させる
方法を報告しており、酵素による糖転移反応をほぼ定量
的に行うことができたとも報告している(J. Am. Chem.
Soc., 116, 11315 (1994))。しかしながら、この方法で
得られる糖鎖化合物は糖ペプチドではない。
【0010】
【化9】
【0011】また、M. Meldal らは、ジアミノ化ポリエ
チレングリコールのモノおよびジアクリロイル化体の重
合体に、下記化10(式中、Acはアセチル基を示す)
の基を結合させたものをプライマーとし、糖転移酵素を
用いて糖鎖を伸長させた後、トリフロロ酢酸により糖鎖
を遊離させる方法を報告しており、糖転移反応もほぼ定
量的に進行したと報告している(J. Chem. Soc., Chem.
Commun., 1849 (1994)) 。しかし、この方法で得られる
糖ペプチドのペプチド鎖はAsn(アスパラギン)−G
ly(グリシン)であり、糖ペプチドと呼ぶにはあまり
に短い。また、C末側のグリシン残基はグリシンアミド
残基となっており、場合によってはグリシンアミド残基
をグリシン残基へ変換する必要がある。
【0012】
【化10】
【0013】さらに、C.-H. Wongらは、アミノ化シリカ
を固相担体として下記化11(式中、Fmocは9−フ
ルオレニルメチルオキシカルボニル基を示す)の基を導
入したものをプライマーとし、これにFmoc−アミノ
酸およびFmoc−Thr(βGlcNAc)−OHを
用いてペプチド鎖を伸長させ、次いでペプチド鎖上の保
護基を脱離させ、その後上述のN−アセチルグルコサミ
ン残基に糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させ、テトラキ
ストリフェニルホスフィンパラジウムで処理することに
より固相担体上で合成した糖ペプチドを遊離させる方法
を報告している(J. Am. Chem. Soc., 119, 8766 (199
7))。この方法で得られる糖ペプチドのペプチド鎖はア
ミノ酸残基8つからなっており、ペプチド鎖としては十
分な長さを有しているが、得られた糖ペプチドの最初に
固相担体に導入したアミノ酸に対する収率は10%以下
であり、十分なものとは言えない。収率が低い原因の一
つとして、用いた固相担体がペプチド自動合成にはあま
り適したものでないことが挙げられる。ペプチドの自動
合成は通常有機溶媒中で行われ、糖転移酵素による糖鎖
合成は通常水溶液中で行われるため、それぞれの反応で
求められる担体の性質は異なり、一つの担体上でペプチ
ドも糖鎖も自動合成するのは困難である。
【0014】
【化11】
【0015】S. Rothらは、特表平5−500905号
公報に以下のような方法を開示している。まず、糖転移
酵素の糖受容体を固相担体に結合させ、これをアフィニ
ティ吸着体とし、この糖受容体と結合することのできる
糖転移酵素を含む組織抽出液を接触させることにより、
糖転移酵素をアフィニティ吸着体に結合させる。次い
で、この糖転移酵素が結合したアフィニティ吸着体をこ
の糖転移酵素が糖供与体として利用できる糖ヌクレオチ
ドを含む溶液と接触させることにより、糖転移酵素をア
フィニティ吸着体から遊離させるとともに糖受容体に糖
残基を一つ伸長させる。さらに、この糖残基が一つ伸長
した糖受容体と結合することのできる糖転移酵素を含む
組織抽出液を接触させ、同様のことを繰り返し所望の糖
鎖を固相担体上に合成するというものである。しかしな
がら、この方法の有用性あるいはネオ糖ペプチド合成へ
の適用を示す具体的なデータは示されておらず、得られ
た糖鎖を固相担体から遊離させる方法も開示されていな
い。
【0016】さらに、本発明者らがポリアクリルアミド
のアミド態窒素原子に、下記化12(式中、Acはアセ
チル基を示す)に示した基を結合させたものをプライマ
ーとし、糖転移酵素を用いて糖鎖を伸長させた後、α−
キモトリプシンの加水分解作用を利用して伸長させた糖
鎖を切り出す方法を報告している(Tetrahedron Lett.,
35, 5657 (1994))。しかしながら、本方法で得られるの
は6−アミノヘキサノール配糖体であり、糖ペプチドで
はない。
【0017】
【化12】
【0018】本発明の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
ド合成用プライマーの合成には本発明のアクリルアミド
誘導体が有用であるが、アクリロイル基がスペーサーを
介してN末端のアミノ酸残基のアミノ基に結合したよう
な糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドはこれまでに知ら
れてはいない。D. C. Jacksonらはアクリロイル基がア
ミノヘキサノイル基を介してN末端のアミノ酸残基のア
ミノ基に結合したようなペプチド誘導体を(J. Am. Che
m. Sci., 119, 1183 (1997))、遠藤らはアクリロイル基
がアミノラウリロイル基を介してN末端のアミノ酸残基
のアミノ基に結合したようなペプチド誘導体(J. Polym.
Sci. PartA Polym. Chem., 35, 1679 (1998))を報告し
ている。また、これらの誘導体は一旦アミノヘキサノイ
ル化あるいはアミノラウリロイル化されたペプチドを合
成した後に、アクリロイル化という方法で得ている。本
発明のアクリルアミド誘導体の合成には、重合性芳香族
アミノ酸誘導体が有用であるが、これまでに知られてい
る重合性アミノ酸誘導体としては、N−アクリロイルフ
ェニルアラニン、N−アクリロイルバリンなどがある
が、これらはいずれもアミノ酸のアミノ基をアクリル酸
クロリドなどで直接アクリロイル化したものであり、ア
クリロイル基とアミノ酸のアミノ基との間にスペーサー
はない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、これ
までに種々のペプチド鎖を有する糖ペプチドあるいはネ
オ糖ペプチドを合成するためのプライマーや該プライマ
ーを利用した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドの製造
方法は知られていない。本発明の目的は、糖ペプチドあ
るいはネオ糖ペプチドの合成に利用できるプライマーお
よび該プライマーを利用した糖ペプチドあるいはネオ糖
ペプチドの製造方法を提供することにある。また、該プ
ライマーの合成に有用な重合性芳香族アミノ酸誘導体を
提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するために鋭意検討した結果、新規な糖ペプチ
ドあるいはネオ糖ペプチド合成用プライマーを合成し、
これに適当な糖ヌクレオチド類の共存下、糖転移酵素を
作用させることにより、糖ヌクレオチド類より該プライ
マーに糖残基を転移させ、適当な回数この糖転移反応を
繰り返した後、必要に応じて副生したヌクレオチド類や
未反応の糖ヌクレオチド類などを除去し、特定のプロテ
アーゼを該プライマーに作用させ、糖鎖が伸長した該プ
ライマーより糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊離
させることにより、上記問題点を解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0021】すなわち、本発明は以下のような構成から
なる。 (1)高分子担体上に、一般式(I)(式中、R1はメ
チレン基1〜20個分の長さを有するリンカーを示し、
2は特定のプロテアーゼにより開裂できる部位を有す
るアミノ酸残基あるいはペプチド残基を示し、R3は前
記プロテアーゼにより開裂できる部位を含まない任意の
ペプチド残基であり、その残基中にOH基あるいは酸ア
ミド基にグリコシド結合により任意の単糖残基が結合し
たセリン残基、トレオニン残基、グルタミン残基または
アスパラギン残基を含むペプチド残基、あるいは側鎖官
能基にリンカーを介してグリコシド結合により任意の単
糖残基が結合したアミノ酸残基を含むペプチド残基を示
す)で表される基が結合していることを特徴とする糖ペ
プチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマ
ー。
【化13】 (2)R3がアミノ酸残基2〜30個よりなるペプチド
残基である(1)の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
合成用高分子プライマー。 (3)R1が一般式(II)(式中、XはO、CH2、C=
OまたはNHを示し、かつXを介して高分子担体と結合
しており、nは1〜18の整数を示す)で表される基で
ある(1)または(2)の糖ペプチドあるいはネオ糖ペ
プチド合成用高分子プライマー。
【化14】 (4)側鎖官能基に結合したリンカーがメチレン基1〜
20個分の長さを有し、任意の単糖残基が結合したアミ
ノ酸残基がセリン、トレオニン、リジン、アスパラギン
酸、グルタミン酸、アスパラギンまたはグルタミン残基
である(1)〜(3)のいずれかのネオ糖ペプチド合成
用高分子プライマー。 (5)側鎖官能基に結合したリンカーが一般式(III)
(式中、YはO、NHまたはC=Oを示し、かつYを介
してアミノ酸残基の側鎖官能基と結合しており、nは1
〜18の整数を示す)で表される基である(1)〜
(4)のいずれかのネオ糖ペプチド合成用高分子プライ
マー。
【化15】 (6)高分子担体がアクリルアミド類、メタクリルアミ
ド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、スチレン類、脂
肪酸ビニルエステル類などのビニル化合物の重合体また
は共重合体である(1)〜(5)のいずれかの糖ペプチ
ドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマー。 (7)R2が芳香族アミノ酸残基であり、R3が芳香族ア
ミノ酸を含まない任意のペプチド残基であり、その残基
中にOH基あるいは酸アミド基にグリコシド結合により
任意の単糖残基が結合したセリン残基、トレオニン残
基、グルタミン残基またはアスパラギン残基を含むペプ
チド残基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介してグリ
コシド結合により任意の単糖残基が結合したアミノ酸残
基を含むペプチド残基である(1)〜(6)のいずれか
の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プラ
イマー。 (8)一般式(IV)(式中、R4は炭素数1〜18のア
ルキレン基を示し、R5は特定のプロテアーゼにより開
裂できる部位を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残
基を示し、R6は前記プロテアーゼにより開裂できる部
位を含まない任意のペプチド残基であり、その残基中に
OH基あるいは酸アミド基にグリコシド結合により任意
の単糖残基が結合したセリン残基、トレオニン残基、グ
ルタミン残基またはアスパラギン残基を含むペプチド残
基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド
結合により任意の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含
むペプチド残基を示す)で表されることを特徴とするア
クリルアミド誘導体。
【化16】 (9)R6がアミノ酸残基2〜30個よりなるペプチド
残基である(8)のアクリルアミド誘導体。 (10)側鎖官能基に結合したリンカーがメチレン基1
〜20個分の長さを有し、任意の単糖残基が結合したア
ミノ酸残基がセリン、トレオニン、リジン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、アスパラギンまたはグルタミン残
基である(8)または(9)のアクリルアミド誘導体。 (11)側鎖官能基に結合したリンカーが一般式(V)
(式中、AはO、NHまたはC=Oを示し、かつAを介
してアミノ酸残基の側鎖官能基と結合しており、nは1
〜18の整数を示す)で表される基である(8)〜(1
0)のいずれかのアクリルアミド誘導体。
【化17】 (12)R5が芳香族アミノ酸残基であり、R6が芳香族
アミノ酸を含まない任意のペプチド残基であり、その残
基中にOH基あるいは酸アミド基にグリコシド結合によ
り任意の単糖残基が結合したセリン残基、トレオニン残
基、グルタミン残基またはアスパラギン残基を含むペプ
チド残基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介してグリ
コシド結合により任意の単糖残基が結合したアミノ酸残
基を含むペプチド残基である(8)〜(11)のいずれ
かのアクリルアミド誘導体。 (13)(8)〜(11)のいずれかの少なくとも1種
類のアクリルアミド誘導体および少なくとも1種類のビ
ニル系単量体とを含む共重合体からなることを特徴とす
る糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プラ
イマー。 (14)(12)の少なくとも1種類のアクリルアミド
誘導体および少なくとも1種類のビニル系単量体とを含
む共重合体からなることを特徴とする糖ペプチドあるい
はネオ糖ペプチド合成用高分子プライマー。 (15)ビニル系単量体がアクリルアミド類、メタクリ
ルアミド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、スチレン
類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群より選ばれる
(13)の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高
分子プライマー。 (16)ビニル系単量体がアクリルアミド類、メタクリ
ルアミド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、スチレン
類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群より選ばれる
(14)の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高
分子プライマー。 (17)アミノ基が一般式(VI)(式中、R7は炭素数
1〜18のアルキレン基を示し、R8はHまたはCH3
示す)で表される基でアシル化された重合性芳香族アミ
ノ酸誘導体。
【化18】 (18)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(1)〜(7)および(13)〜
(16)のいずれかの糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
ド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下
に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチド
より糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
用高分子プライマーに転移させる工程、および、(B)
工程(A)で得た糖残基が転移した糖ペプチドあるいは
ネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R2中の特
定の部位を開裂させることのできるプロテアーゼを作用
させることにより糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいはネ
オ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むことを特徴とす
る糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する方法。 (19)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(1)〜(7)および(13)〜
(16)のいずれかの糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
ド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下
に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチド
より糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
用高分子プライマーに転移させる工程、(B)工程
(A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させ
る工程、(C)必要に応じて、副生したヌクレオチド類
や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
(D)工程(A)ないし工程(C)を複数回繰り返した
後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチド
あるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R
2中の特定の部位を開裂させることのできるプロテアー
ゼを作用させることにより糖鎖糖鎖が伸長した糖ペプチ
ドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むこ
とを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製
造する方法。 (20)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(7)、(14)および(16)
のいずれかの糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用
高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下に糖転移
酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより糖残
基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子
プライマーに転移させる工程、および、(B)工程
(A)で得た糖残基が転移した糖ペプチドあるいはネオ
糖ペプチド合成用高分子プライマーに、α−キモトリプ
シンを作用させ、芳香族アミノ酸残基のカルボキシル基
側のペプチド結合を加水分解することにより糖鎖が伸長
した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工
程、を含むことを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖
ペプチドを製造する方法。 (21)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(7)、(14)および(16)
のいずれかの糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用
高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下に糖転移
酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより糖残
基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子
プライマーに転移させる工程、(B)工程(A)を1回
または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程、
(C)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応
の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、(D)工
程(A)ないし工程(C)を複数回繰り返した後、複数
の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいは
ネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、α−キモト
リプシンを作用させ、芳香族アミノ酸残基のカルボキシ
ル基側のペプチド結合を加水分解することにより糖鎖が
伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させ
る工程、を含むことを特徴とする糖ペプチドあるいはネ
オ糖ペプチドを製造する方法。 (22)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(8)〜(12)のいずれかに記
載のアクリルアミド誘導体をペプチド自動合成装置を利
用して得る工程、(B)得られたアクリルアミド誘導体
と少なくとも1種類のビニル系単量体を共重合させ、
(13)〜(16)のいずれかの糖ペプチドあるいはネ
オ糖ペプチド合成用高分子プライマーを得る工程、
(C)得られた糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下に糖転
移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドより、
糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高
分子プライマーに転移させる工程、(D)工程(C)を
1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させる工程、
(E)必要に応じて、副生したヌクレオチド類や未反応
の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、(F)工
程(C)ないし工程(E)を複数回繰り返した後、複数
の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいは
ネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R2中の特
定の部位を開裂させることのできるプロテアーゼを作用
させることにより糖鎖糖鎖が伸長した糖ペプチドあるい
はネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むことを特徴
とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する方
法。 (23)糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
方法であって、(A)(12)のアクリルアミド誘導体
をペプチド自動合成装置を利用して得る工程、(B)得
られたアクリルアミド誘導体と少なくとも1種類のビニ
ル系単量体を共重合させ、(14)または(16)の糖
ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマ
ーを得る工程、(C)得られた糖ペプチドあるいはネオ
糖ペプチド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチド
の存在下に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌク
レオチドより、糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペ
プチド合成用高分子プライマーに転移させる工程、
(D)工程(C)を1回または2回以上繰り返して糖鎖
を伸長させる工程、(E)必要に応じて、副生したヌク
レオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工
程、および、(F)工程(C)ないし工程(E)を複数
回繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長し
た糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プラ
イマーに、α−キモトリプシンを作用させ、芳香族アミ
ノ酸残基のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解
することにより糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいはネオ
糖ペプチドを遊離させる工程、を含むことを特徴とする
糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の糖ペプチドあるいはネオ
糖ペプチド合成用プライマーは、高分子担体上に上記一
般式(I)で表される基が結合している。式中、R1
メチレン基1〜20個分の長さを有するリンカーを示
し、R2は特定のプロテアーゼにより開裂できる部位を
有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基を示し、R3
は前記プロテアーゼにより開裂できる部位を含まない任
意のペプチド残基であり、その残基中にOH基あるいは
酸アミド基にグリコシド結合により任意の単糖残基が結
合したセリン残基、トレオニン残基、グルタミン残基ま
たはアスパラギン残基を含むペプチド残基、あるいは側
鎖官能基にリンカーを介してグリコシド結合により任意
の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含むペプチド残基
を示す。R1のメチレン基1〜20個分の長さを有する
リンカーとしては、例えば上記一般式(II)(式中、X
はO、CH2、C=OまたはNHを示し、かつXを介し
て高分子担体と結合しており、nは1〜18の整数を示
す)で表される基が例示され、具体的には下記に示すよ
うなものが例示される。
【0023】
【化19】
【0024】R2の特定のプロテアーゼにより開裂でき
る部位を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基とし
ては、例えば特定のプロテアーゼがα−キモトリプシン
のときにはフェニルアラニン、トリプトファン、チロシ
ンなどの芳香族アミノ酸残基、プロリン特異的プロテア
ーゼのときにはプロリン残基、トリプシンのときはアル
ギニンやリジンなどの塩基性アミノ酸残基、ファクター
XaのときはIle(イソロイシン)−Glu(グルタ
ミン酸)またはAsp(アスパラギン酸)−Gly(グ
リシン)−Arg(アルギニン)残基、エンテロキナー
ゼのときはAsp(アスパラギン酸)−Asp(アスパ
ラギン酸)−Asp(アスパラギン酸)−Asp(アス
パラギン酸)−Lys(リジン)残基などが挙げられ
る。
【0025】R3の前記プロテアーゼにより開裂できる
部位を含まない任意のペプチド残基としては、前記プロ
テアーゼにより開裂できる部位を有するアミノ酸残基あ
るいはペプチド残基を除く任意のアミノ酸残基から構成
されていれば特に制限はなく、また、構成するアミノ酸
残基は分子内にアミノ基とカルボキシル基を有するもの
であれば特に制限はなく、Gly(グリシン)、Ala
(アラニン)、Val(バリン)、Leu(ロイシ
ン)、Ile(イソロイシン)、Tyr(チロシン)、
Trp(トリプトファン)、Glu(グルタミン酸)、
Asp(アスパラギン酸)、Lys(リジン)、Arg
(アルギニン)、His(ヒスチジン)、Cys(シス
テイン)、Met(メチオニン)、Ser(セリン)、
Thr(トレオニン)、Asn(アスパラギン)、Gl
n(グルタミン)あるいはPro(プロリン)残基など
のα−アミノ酸残基あるいはβ−Ala残基のようなβ
−アミノ酸残基などが例示される。また、アミノ酸残基
はD体、L体いずれでもよいが、L体の方が好ましい。
さらに、上述したアミノ酸残基2〜30個からなるペプ
チド残基が好ましい。4〜20個からなるペプチド残基
がさらに好ましい。リンカーを介してグリコシド結合で
単糖残基を結合させる側鎖官能基を有するアミノ酸残基
としては、リンカーを介してグリコシド結合で単糖残基
を結合させることのできる側鎖官能基を有するものであ
れば特に制限はないが、Ser、Thr、Lys、As
p、Glu、AsnまたはGln残基が好ましい。
【0026】アミノ酸残基の側鎖官能基にリンカーを介
してグリコシド結合した単糖残基としては、特に制限は
ないが、ガラクトース残基、マンノース残基、N−アセ
チルグルコサミン残基、N−アセチルガラクトサミン残
基、グルコース残基、シアル酸残基などが例示され、こ
れら単糖残基はα結合、β結合いずれの結合様式で結合
していても構わない。ここで、シアル酸とはノイラミン
酸のアシル誘導体の総称であり、N−アセチルノイラミ
ン酸、N−グリコリルノイラミン酸、9−O−アセチル
−N−アセチルノイラミン酸などが含まれる。
【0027】リンカーとしては、アミノ酸残基と単糖残
基を結合させることのできるものであれば特に制限はな
いが、メチレン基1〜20個分の長さを有しているもの
が好ましく、さらに上記一般式(III)(式中、Yは
O、NHまたはC=Oを示し、かつYを介してアミノ酸
残基の側鎖官能基と結合しており、nは1〜18の整数
を示す)で表される基が好ましい。具体的には、下記に
示されるようなものが例示される。
【0028】
【化20】
【0029】本発明の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
ド合成用プライマーとしては、R1、R2およびR3は任
意に組み合わせることができる。
【0030】本発明で用いることのできる高分子担体
は、一般式(I)で表される基を結合させることがで
き、かつ結合後以下で述べるような糖転移酵素の作用に
より一般式(I)で表される基の糖残基にさらなる糖残
基を転移させることのできるものであれば特に制限はな
く、例えば、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、
アクリル酸類、メタクリル酸類、スチレン類、脂肪酸ビ
ニルエステル類などのビニル化合物の重合体または共重
合体などが挙げられる。アクリルアミド類としてはアク
リルアミド、N−エチルアクリルアミドやN−イソプロ
ピルアクリルアミドなどのN−アルキルアクリルアミド
などが例示される。メタクリルアミド類としては、メタ
クリルアミド、N−メチルメタクリルアミドやN−エチ
ルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミ
ドなどのN−アルキルメタクリルアミドなどが例示され
る。アクリル酸類としては、アクリル酸やアクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアクリル酸
エステルなどが例示される。メタクリル酸類としてはメ
タクリル酸やメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメ
チルアミノエチルなどのメタクリル酸エステルなどが例
示される。スチレン類としては、スチレン、p−ヒドロ
キシスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレンなどが例
示される。脂肪酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニ
ル、酪酸ビニルなどが例示される。また、本発明中の脂
肪酸ビニルエステルの重合体あるいは共重合体には、重
合反応後アルカリなどによりエステル結合を全部あるい
は一部加水分解したものも含まれる。
【0031】ここでいう高分子担体は水不溶性、水溶性
いずれであってもよいが、水溶性の方が好ましい。一般
的な分子量は約10000〜約5000000であり、
好ましくは20000〜2000000、より好ましく
は50000〜1000000である。その形態は、水
不溶性担体の場合、ビーズ状、繊維状、膜状、フィルム
状などが挙げられるが、特に制限されない。
【0032】本発明の高分子担体上に一般式(I)で表
される基が結合している糖ペプチドあるいはネオ糖ペプ
チド合成用高分子プライマーは、ラジカル重合やアニオ
ン重合などの手法を用い、一般式(I)で表される基を
有する重合性モノマーを重合させたり、他の重合性モノ
マーと共重合させることにより得ることができ、通常ペ
ルオキソ二硫酸アンモニウムなどを触媒とするラジカル
重合で得ることができる。一般式(I)で表される基を
有する重合性モノマーとしては、例えば、上記一般式
(IV)(式中、R4は炭素数1〜18のアルキレン基を
示し、R5は特定のプロテアーゼにより開裂できる部位
を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基を示し、R
6は前記プロテアーゼにより開裂できる部位を含まない
任意のペプチド残基であり、その残基中にOH基あるい
は酸アミド基にグリコシド結合により任意の単糖残基が
結合したセリン残基、トレオニン残基、グルタミン残基
またはアスパラギン残基を含むペプチド残基、あるいは
側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド結合により任
意の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含むペプチド残
基を示す)で表されるようなアクリルアミド誘導体など
が挙げられる。また、上記重合性モノマーとビニル系モ
ノマーとの共重合比に特に制限はないが、上記重合性モ
ノマー:ビニル系モノマー=1:1〜1:100が好ま
しく、さらに重合性モノマー:ビニル系モノマー=1:
4〜1:50が好ましい。
【0033】また、高分子担体の側鎖官能基に一般式
(I)で表される基を結合させることによっても得るこ
とができる。例えば、塩化アクリロイルあるいはN−ア
クリロキシスクシンイミドとアクリルアミドとの共重合
体に一般式(VII)(式中、R9は炭素数1〜18のアル
キレン基を示し、R10は特定のプロテアーゼにより開裂
できる部位を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基
を示し、R11は前記プロテアーゼにより開裂できる部位
を含まない任意のペプチド残基であり、その残基中にO
H基あるいは酸アミド基にグリコシド結合により任意の
単糖残基が結合したセリン残基、トレオニン残基、グル
タミン残基またはアスパラギン残基を含むペプチド残
基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド
結合により任意の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含
むペプチド残基を示す)で表される化合物を反応させる
ことによって得ることができる。
【0034】
【化21】
【0035】上記一般式(IV)で表されるアクリルアミ
ド誘導体は、ペプチド自動合成装置を利用して合成する
ことができる。ここでは、R5が芳香族アミノ酸残基で
あり、R6が芳香族アミノ酸を含まない任意のペプチド
残基であり、その残基中にOH基あるいは酸アミド基に
グリコシド結合により任意の単糖残基が結合したセリン
残基、トレオニン残基、グルタミン残基またはアスパラ
ギン残基を含むペプチド残基、あるいは側鎖官能基にリ
ンカーを介してグリコシド結合により任意の単糖残基が
結合したアミノ酸残基を含むペプチド残基である場合に
ついて述べる。まず、適当な固相担体上でアミノ酸を伸
長させ、芳香族アミノ酸残基を含まない任意のペプチド
であり、その残基中にOH基あるいは酸アミド基にグリ
コシド結合により任意の単糖残基が結合したセリン残
基、トレオニン残基、グルタミン残基またはアスパラギ
ン残基を含むペプチド残基、あるいは側鎖官能基にリン
カーを介してグリコシド結合により任意の単糖残基が結
合したアミノ酸残基を含むペプチドを固相担体上で合成
する。そして、アミノ基が一般式(VI)(式中、R7
炭素数1〜18のアルキレン基を示し、R8はHまたは
CH3を示す)で表される基でアシル化された芳香族ア
ミノ酸誘導体を用いてペプチド鎖を伸長させた後、適当
な方法で固相担体より伸長させたペプチドの遊離および
ペプチド鎖あるいは単糖残基上の保護基を脱離させるこ
とにより得ることができる。
【0036】
【化22】
【0037】用いることのできる固相担体としては、ペ
プチド伸長反応を行うことができ、結合している糖残基
の分解なしに固相担体からペプチドを遊離させることが
できるものであれば特に限定されず、例えば2−クロロ
トリチル樹脂などが挙げられる。また、ペプチド鎖の伸
長はその操作の中で結合している糖残基が分解しない方
法であれば特に限定されず、一般的にペプチド自動合成
装置で用いられている試薬および方法で行うことができ
る。例えばFmoc−アミノ酸などのN−保護アミノ酸
を用い、DCC法、対称酸無水物法、活性エステル法な
どの方法により縮合させることにより行うことができ
る。側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド結合で任
意の単糖残基が結合したアミノ酸残基をペプチド鎖に導
入するときは、通常のN−保護アミノ酸の代わりにOH
基がアセチル基などの保護基で保護された単糖残基がリ
ンカーを介して結合した相当するN−保護アミノ酸を用
いればよい。アミノ基が一般式(VI)で表されるで表さ
れる基でアシル化された芳香族アミノ酸誘導体も通常の
N−保護アミノ酸同様の方法で導入することができる。
【0038】単糖残基が結合したN−保護アミノ酸ある
いは側鎖官能基に単糖残基がリンカーを介して結合した
N−保護アミノ酸は、一般的な有機合成化学的手法で得
ることができる。OH基に単糖残基が結合したN−保護
SerあるいはThrは、例えば単糖残基がN−アセチ
ルグルコサミン残基の場合、BF3−エーテル錯体をプ
ロモーターとしてZ−Ser(アミノ基をベンジルオキ
シカルボニル基で保護したSer)あるいはZ−Thr
とトリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミンを縮
合させ、必要に応じてN−保護基をZ基からFmoc基
などに変換することにより得ることができる。酸アミド
基に単糖残基が結合したN−保護Asnは、例えば単糖
残基がN−アセチルグルコサミン残基の場合、トリ−O
−アセチル−N−アセチルグルコサミニルアミンとN−
保護AspベンジルエステルをN−エトキシカルボニル
−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン存在下縮合
させ、その後ベンジルエステルを水素化分解により除去
することにより得ることができる。次いで、単糖残基が
N−アセチルグルコサミン残基、リンカーが−NH−
(CH26−O−、アミノ酸残基がAspの場合、N−
保護Aspベンジルエステルと6−アミノヘキサノール
をN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジ
ヒドロキノリン(以下、EEDQと略する)存在下縮合
させた後、2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセ
チル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−
[2,1−d]−2−オキサゾリンと先に側鎖カルボキ
シル基に6−アミノヘキサノールを縮合させたN−保護
AspベンジルエステルをDL−カンファー−10−ス
ルホン酸(以下、CSAと略する)存在下縮合させ、そ
の後ベンジルエステルを水素化分解することにより除去
することにより得ることができる。また、単糖残基がN
−アセチルグルコサミン残基、リンカーが−CO−(C
26−O−、アミノ酸残基がLys残基の場合、2−
メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−1,2−
ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,1−d]
−2−オキサゾリンと6−ヒドロキシカプロン酸をCS
A存在下縮合させた後、ベンジルエステルを水素化分解
し、その後適当な縮合剤を用い、N−保護Lysと縮合
させることにより得ることができる。さらに、単糖残基
がN−アセチルグルコサミン残基、リンカーが−O−
(CH212−O−、アミノ酸残基がSerあるいはT
hr残基の場合、Z−Serベンジルエステル(アミノ
基をベンジルオキシカルボニル基で保護したSer)あ
るいはZ−Thrベンジルエステルと12−クロロドデ
カノールベンジルエステルをNaHなどの強塩基存在下
で縮合させた後、接触還元によりZ基およびベンジル基
を除去し、アミノ基を再度Fmoc基で保護する。さら
に、2−メチル−(3,4,6−トリ−O−アセチル−
1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラノ)−[2,
1−d]−2−オキサゾリンとCSA存在下縮合させる
ことにより得ることができる。
【0039】アミノ基が一般式(VI)で表される基でア
シル化された重合性芳香族アミノ酸誘導体は、一般的な
有機合成化学的な手法で合成することができる。芳香族
アミノ酸残基がフェニルアラニンであるときを例に挙げ
ると、フェニルアラニンエチルエステルにω−アクリロ
イルアミノ脂肪酸を縮合後、エチルエステルを加水分解
することにより得ることができる。フェニルアラニンエ
チルエステルとω−アクリロイルアミノ脂肪酸との縮合
は、フェニルアラニンエチルエステルとω−アクリロイ
ルアミノ脂肪酸とを縮合させることができる方法であれ
ば特に制限はなく、通常ペプチド結合形成に用いられる
縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カ
ルボジイミダゾール、1−エトキシカルボニル−2−エ
トキシ−1,2−ジヒドロキシキノリン、ジフェニルホ
スホリルアジドなどの存在下両者を接触させることによ
り縮合させることができる。
【0040】糖ペプチドを樹脂から遊離させる方法とし
ては、結合している糖残基の分解なしに固相担体からペ
プチドを遊離させることができる方法であれば特に限定
されず、例えば2−クロロトリチル樹脂の場合、50%
トリフロロ酢酸、1%1,2−エタンジチオール、1%
チオアニソール、5%フェノールを含むジクロロメタン
中室温で数時間反応させることにより遊離させることが
できる。通常、ペプチドを遊離させる条件でペプチド鎖
上のアミノ酸残基の側鎖官能基に結合した保護基も脱離
することができる。
【0041】糖残基の保護基は、糖ペプチドを樹脂から
遊離させるときに除去できる場合は糖ペプチドの遊離と
同時に脱保護を行い、除去できない場合は糖ペプチドを
樹脂から遊離させた後、保護基に応じた方法で除去すれ
ばよく、例えばアセチル基の場合、糖ペプチドを樹脂か
ら遊離させた後、メタノール中で水酸化ナトリウムなど
のアルカリにより加水分解することにより除去すること
ができる。
【0042】一般式(VII)で表される化合物は、一般
式(IV)で表されるアクリルアミド誘導体を合成すると
きに、アミノ基が一般式(VI)で表される基でアシル化
された芳香族アミノ酸誘導体の代わりに、例えば一般式
(VIII)(式中、R12は炭素数1〜18のアルキレン基
を示し、Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカル
ボニル基を示す)で表される基でアシル化された芳香族
アミノ酸誘導体を用いることにより得ることができる。
【0043】
【化23】
【0044】本発明の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
ドを製造する方法は、(A)上記糖ペプチドあるいはネ
オ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチ
ドの存在下に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌ
クレオチドより、糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖
ペプチド合成用高分子プライマーに転移させる工程、お
よび、(B)工程(A)で得た糖残基が転移した糖ペプ
チドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマー
に、特定のプロテアーゼを作用させて、糖鎖が伸長した
糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工程を
含む。
【0045】また、本発明の糖ペプチドあるいはネオ糖
ペプチドを製造する方法は、(A)上記糖ペプチドある
いはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、糖ヌク
レオチドの存在下に糖転移酵素を作用させることによ
り、糖ヌクレオチドより、糖残基を該糖ペプチドあるい
はネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに転移させる
工程、(B)工程(A)を1回または2回以上繰り返し
て、糖鎖を伸長させる工程、(C)必要に応じて、副生
したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド類を除去
する工程、および、(D)工程(A)ないし工程(C)
を複数回、繰り返した後、複数の糖残基が転移して糖鎖
が伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高
分子プライマーに、特定のプロテアーゼを作用させて、
糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊
離させる工程を含む。
【0046】糖ヌクレオチドより高分子プライマーへの
糖の転移は、通常高分子プライマーと糖ヌクレオチドと
を含む中性の緩衝液中で、10〜60℃、好ましくは2
0〜40℃で、1〜120時間、好ましくは2〜72時
間、糖転移酵素と接触させることにより行われる。
【0047】本発明で用いる糖転移酵素は、糖ヌクレオ
チド類を糖供与体として利用できるものであればよく特
に限定されない。このような酵素としてLeloir経路の糖
転移酵素類が挙げらる。例えば、ガラクトース転移酵
素、N−アセチルグルコサミン転移酵素、N−アセチル
ガラクトサミン転移酵素、フコース転移酵素、シアル酸
転移酵素、マンノース転移酵素、キシロース転移酵素、
グルクロン酸転移酵素などが挙げられる。
【0048】本発明で用いる糖ヌクレオチド類は、上記
酵素が利用できるものであれば特に限定されない。例え
ば、ウリジン−5’−ジリン酸ガラクトース、ウリジン
−5’−ジリン酸−N−アセチルグルコサミン、ウリジ
ン−5’−ジリン酸−N−アセチルガラクトサミン、ウ
リジン−5’−ジリン酸グルクロン酸、ウリジン−5’
−ジリン酸キシロース、グアノシン−5’−ジリン酸フ
コース、グアノシン−5’−ジリン酸マンノース、シチ
ジン−5’−モノリン酸−N−アセチルノイラミン酸お
よびこれらのナトリウム塩などが挙げられる。
【0049】また、反応液中には必要に応じて金属塩を
添加してもよい。添加できる金属イオンとしては、例え
ば、マグネシウム、マンガン、コバルト、ニッケル、
銅、亜鉛などがあり、通常塩化物等の形で添加すること
ができる。
【0050】必要に応じて副生したヌクレオチド類や未
反応の糖ヌクレオチド類などを除去する方法は、高分子
プライマーとヌクレオチド類および糖ヌクレオチド類な
どとを分離できる方法であれば特に限定されない。例え
ば、水溶性高分子プライマーの場合はゲルろ過クロマト
グラフィーなどにより、また、水不溶性高分子プライマ
ーの場合は高分子プライマーを水あるいは適当な緩衝液
で洗浄することにより除去することができる。
【0051】糖鎖の伸長したプライマーからの糖ペプチ
ドあるいはネオ糖ペプチドの遊離は、用いるプロテアー
ゼに応じて適した条件で行えばよく、例えばα−キモト
リプシンを用いる場合、中性の緩衝液中で、10〜60
℃、好ましくは20〜40℃で、1〜72時間、好まし
くは2〜24時間、接触させることにより行われる。得
られた糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドは、各種カラ
ムクラマトグラフィーなどの一般的な精製方法により分
離精製することができる。
【0052】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。
【0053】参考例1 6−アクリロイルアミノカプロ
ン酸の合成 6−アミノカプロン酸30.0gを1.27M水酸化ナ
トリウム水溶液180mlに溶解し、塩化アクリロイル
23.2mlを10mlのテトラヒドロフランに溶かし
たものを氷冷下で滴下した。このとき、pH8〜9にな
るように4N水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整し
た。滴下後、徐々に室温に戻しながら2時間撹拌した。
次いで、反応液に1N塩酸をpH3になるまで加えた
後、酢酸エチルで生成物を抽出した。抽出液を水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシ
ウムをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を少量の酢酸
エチルに溶かし、ヘキサンで再結晶し、目的物13.0
gを得た。
【0054】参考例2 N−(6−アクリロイルアミノ
カプロイル)フェニルアラニンエチルエステルの合成 フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩1.15gと参
考例1で得た6−アクリロイルアミノカプロン酸1.1
1gをジメチルホルムアミド(以下、DMFと略する)
15mlに溶解し、氷冷下撹拌しながらジフェニルホス
ホリルアジド1.65gを溶かしたDMF15mlを加
え、さらにトリエチルアミン1.11gを溶かしたDM
F15mlを滴下した。氷冷下4時間反応させた後、室
温で24時間反応させた。反応後、ベンゼン:酢酸エチ
ル=1:1の混合溶媒450mlを加え、5%塩酸、
水、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、
飽和食塩水の順に有機層を洗浄した。無水硫酸ナトリウ
ムで有機層を乾燥させた後、減圧濃縮し、残渣をベンゼ
ンで再結晶し、目的物1.35gを得た。
【0055】参考例3 N−(6−アクリロイルアミノ
カプロイル)トリプトファンエチルエステルの合成 フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩1.15gの代
わりにトリプトファンエチルエステル塩酸塩1.34g
を用いて、参考例2と同様に行い、目的物1.44gを
得た。
【0056】実施例1 N−(6−アクリロイルアミノ
カプロイル)フェニルアラニンの合成 1N水酸化ナトリウムを含むメタノール50ml中に参
考例2で得たN−(6−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニンエチルエステル0.72gを加
え、室温で4時間撹拌した。反応後、H+型陽イオン交
換樹脂Dowex50W(ダウケミカル社製)を加え中和した
後、ろ過によりイオン交換樹脂を除き、ろ液を減圧乾固
し、目的物0.65gを得た。
【0057】実施例2 N−(6−アクリロイルアミノ
カプロイル)トリプトファンの合成 参考例2で得たN−(6−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニンエチルエステル0.72gの代わ
りに、参考例3で得たN−(6−アクリロイルアミノカ
プロイル)トリプトファンエチルエステル0.8gを用
いて、実施例1と同様に行い、目的物0.73gを得
た。
【0058】参考例4 2−メチル−(3,4,6−ト
リ−O−アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グル
コピラノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリンの合成 2−アセトアミド−1,3,4,6−テトラ−O−アセ
チル−2−デオキシ−D−グルコピラノシド6.0gを
1,2−ジクロロエタン40mlに溶かし、ここにトリ
メチルシリルトリフロロメタンスルホン酸3.2mlを
加え、50℃で7時間撹拌しながら反応させた。反応
後、室温まで冷却した後、トリエチルアミン10.8m
lを加えた。反応液を減圧濃縮し、これをシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン:酢酸エチ
ル:トリエチルアミン=100:200:1)を用いて
目的物を分離し目的物を5.0g得た。
【0059】参考例5 N−ベンジルオキシカルボニル
グルタミン酸α−ベンジルエステルγ−6−ヒドロキシ
ヘキシルアミドの合成 N−ベンジルオキシカルボニルグルタミン酸ベンジルエ
ステル3.7gと6−アミノヘキサノール1.3gをベ
ンゼン:エタノール=1:1の混合溶媒20mlに溶解
し、EEDQ2.5gを加えて、室温で24時間撹拌し
た。反応後、反応液を減圧乾固し、残渣をベンゼンで再
結晶し、目的物4.0gを得た。N−ベンジルオキシカ
ルボニルグルタミン酸α−ベンジルエステルγ−6−ヒ
ドロキシヘキシルアミドは下記構造式(式中、Acはア
セチル基、Zはベンジルオキシカルボニル基を示す)を
有する。
【0060】
【化24】
【0061】参考例6 N−ベンジルオキシカルボニル
グルタミン酸α−ベンジルエステルγ−6−O−
(3’,4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチ
ルグルコサミニル)ヘキシルアミドの合成 参考例4で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−
アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラ
ノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン1.3gと参
考例5で得たN−ベンジルオキシカルボニルグルタミン
酸α−ベンジルエステルγ−6−ヒドロキシヘキシルア
ミド3.8gをジクロロエタン25mlに溶解させ、7
0℃に保ちながらCSAをpH2〜3になるまで加え
た。30分間反応させた後、室温まで冷却し、反応液を
クロロホルムで希釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
で2回洗浄した。有機溶媒層を無水硫酸マグネシウムで
一晩乾燥させた。セライトろ過により硫酸マグネシウム
を除去し、ろ液を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(移動相:クロロホルム)で目的物2.
0gを単離した。N−ベンジルオキシカルボニルグルタ
ミン酸α−ベンジルエステルγ−6−O−(3’,
4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコ
サミニル)ヘキシルアミドは下記構造式(式中、Acは
アセチル基、Zはベンジルオキシカルボニル基を示す)
を有する。
【0062】
【化25】
【0063】参考例7 N−(9−フルオレニルメチル
オキシカルボニル)グルタミン酸γ−6−O−(3’,
4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコ
サミニル)ヘキシルアミドの合成 参考例6で得たN−ベンジルオキシカルボニルグルタミ
ン酸α−ベンジルエステルγ−6−O−(3’,4’,
6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニ
ル)ヘキシルアミド1.6gをメタノール50mlに溶
解させ、10%パラジウム−炭素100mgを加え、水
素気流下50℃で6時間撹拌した。反応後触媒をろ別
し、反応液を減圧濃縮し、残渣をベンゼン:エタノール
=1:1の混合溶媒100mlに溶解し、ここにトリエ
チルアミン0.25gを加え、ここに9−フルオレニル
メチル−N−スクシイミジルカーボネート0.68gを
溶解させたアセトニトリル5mlを一度に加えた。6時
間撹拌後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、エタノ
ールで再結晶し、目的物1.3gを得た。N−(9−フ
ルオレニルメチルオキシカルボニル)グルタミン酸γ−
6−O−(3’,4’,6’−トリ−O−アセチル−N
−アセチルグルコサミニル)ヘキシルアミドは下記構造
式(式中、Acはアセチル基、Fmocは9−フルオレ
ニルメチルオキシカルボニル基を示す)を有する。
【0064】
【化26】
【0065】参考例8 6−O−(3’,4’,6’−
トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニル)カ
プロン酸ベンジルエステルの合成 参考例4で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−
アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラ
ノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン1.3gと6
−ヒドロキシカプロン酸ベンジルエステル1.78gを
ジクロロエタン25mlに溶解させ、70℃に保ちなが
らCSAをpH2〜3になるまで加えた。30分間反応
させた後、室温まで冷却し、反応液をクロロホルムで希
釈して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。
有機溶媒層を無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。
セライトろ過により硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を
減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(移動相:クロロホルム)で目的物1.3gを単離し
た。
【0066】参考例9 N−α−(9−フルオレニルメ
チルオキシカルボニル)−N−ε−(6−O−(3’,
4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコ
サミニル)カプロイル)リジンの合成 参考例8で得た6−O−(3’,4’,6’−トリ−O
−アセチル−N−アセチルグルコサミニル)カプロン酸
ベンジルエステル0.55gをメタノール50mlに溶
解させ、10%パラジウム−炭素100mgを加え、水
素気流下50℃で6時間撹拌した。反応後触媒をろ別
し、反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20ml
に溶解し、N−ヒドロキシスクシンイミド0.12gを
加え、氷冷下ジシクロヘキシルカルボジイミド0.21
gを加え、一晩撹拌した。撹拌後、反応液をろ過し、ろ
液を減圧濃縮した。残渣をジメトキシメタン10mlに
溶解し、ここにα−N−(9−フルオレニルメチルオキ
シカルボニル)リジン0.37gを溶解させたジメトキ
シメタン10mlを加え、室温で1時間撹拌した。水1
00mlを加え、生じた沈殿を水、10%炭酸水素ナト
リウム水溶液、1N塩酸、水の順に洗浄した。乾燥後、
エタノールより再結晶し、目的物0.52gを得た。N
−α−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−
N−ε−(6−O−(3’,4’,6’−トリ−O−ア
セチル−N−アセチルグルコサミニル)カプロイル)リ
ジンは下記構造式(式中、Acはアセチル基、Fmoc
は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基を示す)
を有する。
【0067】
【化27】
【0068】参考例10 4−ペンテニル−3’,
4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコ
サミン 参考例4で得た2−メチル−(3,4,6−トリ−O−
アセチル−1,2−ジデオキシ−α−D−グルコピラ
ノ)−[2,1−d]−2−オキサゾリン3.3gと4
−ペンテン−1−オール1.7gを1,2−ジクロロエ
タン40mlに溶解し、70℃に保ちながらCSAをp
H2〜3になるまで加えた。30分間反応させた後、室
温まで冷却し、反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。有機溶媒層を
無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥させた。セライトろ過
により硫酸マグネシウムを除去し、ろ液を減圧濃縮し
た。シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:クロロホ
ルム)で目的物2.5gを単離した。
【0069】参考例11 4−O−(3’,4’,6’
−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニル)
酪酸 過マンガン酸カリウム1.95gを17%酢酸水溶液3
5mlに溶解し、参考例10で得た4−ペンテニル−
3’,4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチル
グルコサミン1.6gにさらに氷酢酸35mlに溶解さ
せたものを氷冷下撹拌しながら滴下し、3時間反応させ
た。反応後、反応液に酢酸エチル300mlを加え、さ
らに硫酸ナトリウム3.16gと1M塩酸35mlを加
えて氷冷下撹拌した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗
浄した後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥
後、硫酸マグネシウムをろ過により除去し、ろ液を減圧
濃縮し目的物1.5gを得た。
【0070】参考例12 N−α−(9−フルオレニル
メチルオキシカルボニル)−N−ε−(4−O−
(3’,4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチ
ルグルコサミニル)ブタノイル)リジンの合成 参考例11で得た4−O−(3’,4’,6’−トリ−
O−アセチル−N−アセチルグルコサミニル)酪酸0.
43gをクロロホルム20mlに溶解し、N−ヒドロキ
シスクシンイミド0.12gを加え、氷冷下ジシクロヘ
キシルカルボジイミド0.21gを加えて一晩撹拌し
た。撹拌後、反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残
渣をジメトキシメタン10mlに溶解し、ここにN−α
−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)リジン
0.37gを溶解させたジメトキシメタン10mlを加
え、室温で1時間撹拌した。水100mlを加え、生じ
た沈殿を水、10%炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩
酸、水の順に洗浄した。乾燥後、エタノールより再結晶
し目的物0.56gを得た。N−α−(9−フルオレニ
ルメチルオキシカルボニル)−N−ε−(4−O−
(3’,4’,6’−トリ−O−アセチル−N−アセチ
ルグルコサミニル)ブタノイル)リジンは下記構造式
(式中、Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカル
ボニル基、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0071】
【化28】
【0072】実施例3 アクリルアミド誘導体Aの合成 Fmoc−Ser(tBu)をプレロードした2−クロ
ロトリチル樹脂0.44g(樹脂1gあたりSer残基
が0.23mmol結合)をプライマーとして、ABI
社製A433型ペプチドシンセサイザーを用い、以下に
挙げるN−保護アミノ酸を各々1.0mmol、Fmo
c/DCC/HOBt法で順次縮合し、目的のアクリル
アミド誘導体を固相担体上に合成した。Fmoc−As
p(OtBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fm
oc−Arg(Pmc)−OH、Fmoc−Gly−O
H、Fmoc−Asn(βAc3GlcNAc)−O
H、Fmoc−Gly−OH、実施例1で得たN−(6
−アクリロイルアミノカプロイル)フェニルアラニン。
50%トリフロロ酢酸、1%1,2−エタンジチオー
ル、1%チオアニソール、5%フェノールを含むジクロ
ロメタン中室温で1時間反応させることによりペプチド
残基上の保護基を脱離させるとともに固相担体上からア
クリルアミド誘導体を遊離させた。樹脂を濾別し、減圧
濃縮後酢酸エチル−クロロホルム混合溶媒(1:1)で
希釈し、水で有機層を洗浄した。HPLCにより(カラ
ム:YMC−Pack ODS 20mm×250m
m、移動相:A:B=100:0(0分)〜50:50
(60分)、A:0.1%トリフロロ酢酸水溶液、B:
0.1%トリフロロ酢酸アセトニトリル溶液、流速;
9.0ml/分)アクリルアミド誘導体を精製した。ア
クリルアミド画分を凍結乾燥し、得られた固体にナトリ
ウムメトキシド2.2mgを含むメタノール30mlを
加え、室温下2時間撹拌した。H+型陽イオン交換樹脂D
owex50W(ダウケミカル社製)を加え中和した後、ろ過
によりイオン交換樹脂を除き、ろ液を減圧乾固し、目的
物であるアクリルアミド誘導体Aを96mg得た。得ら
れたアクリルアミド誘導体Aは下記構造式(式中、Ac
はアセチル基を示す)を有する。
【0073】
【化29】
【0074】実施例4 アクリルアミド誘導体Bの合成 実施例3で用いたプライマーに、Fmoc−Asp(O
tBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−
Arg(Pmc)−OH、Fmoc−Gly−OH、参
考例7で得たN−(9−フルオレニルメチルオキシカル
ボニル)グルタミン酸γ−6−O−(3’,4’,6’
−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニル)
ヘキシルアミド、実施例1で得たN−(6−アクリロイ
ルアミノカプロイル)フェニルアラニンを実施例3と同
様の方法で順次縮合し、目的のアクリルアミド誘導体B
を97mg得た。得られたアクリルアミド誘導体Bは下
記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0075】
【化30】
【0076】実施例5 アクリルアミド誘導体Cの合成 参考例7で得たN−(9−フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル)グルタミン酸γ−6−O−(3’,4’,
6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニ
ル)ヘキシルアミドの代わりに、参考例9で得たN−α
−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−N−
ε−(6−O−(3’,4’,6’−トリ−O−アセチ
ル−N−アセチルグルコサミニル)カプロイル)リジン
を用いて、実施例4と同様の反応を行い、目的物である
アクリルアミド誘導体Cを97mg得た。得られたアク
リルアミド誘導体Cは下記構造式(式中、Acはアセチ
ル基を示す)を有する。
【0077】
【化31】
【0078】実施例6 アクリルアミド誘導体Dの合成 参考例7で得たN−(9−フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル)グルタミン酸γ−6−O−(3’,4’,
6’−トリ−O−アセチル−N−アセチルグルコサミニ
ル)ヘキシルアミドの代わりに、参考例12で得たN−
α−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−N
−ε−(4−O−(3’,4’,6’−トリ−O−アセ
チル−N−アセチルグルコサミニル)ブタノイル)リジ
ンを用いて、実施例4と同様の反応を行い、目的物であ
るアクリルアミド誘導体Cを94mg得た。得られたア
クリルアミド誘導体Dは下記構造式(式中、Acはアセ
チル基を示す)を有する。
【0079】
【化32】
【0080】実施例7 アクリルアミド誘導体Eの合成 実施例1で得たN−(6−アクリロイルアミノカプロイ
ル)フェニルアラニンの代わりに、実施例2で得たN−
(6−アクリロイルアミノカプロイル)トリプトファン
を用いて、実施例4と同様の反応を行い、目的物である
アクリルアミド誘導体Eを97mg得た。得られたアク
リルアミド誘導体Eは下記構造式(式中、Acはアセチ
ル基を示す)を有する。
【0081】
【化33】
【0082】実施例8 高分子プライマーAの合成 実施例3で得たアクリルアミド誘導体A60mgをジメ
チルスルホキシド(以下、DMSOと略する)2mlに
溶解させ、これにアクリルアミド35.5mgを水1m
lに溶かしたものを加えた。続いて、N,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン7.5μl、過硫
酸アンモニウム4.5mgを加え、50℃で24時間共
重合させた。反応溶液は減圧濃縮し、DMSOを留去し
てからセファデックスG−25(ファルマシア社製)カ
ラムクロマトグラフィー(移動相;10mM酢酸アンモ
ニウム)で分離し、目的物の溶出画分を凍結乾燥し、目
的物である高分子プライマーA(分子量約40000
0)を90mg得た。得られたポリマー中の糖ペプチド
が結合したアクリルアミド誘導体A残基は下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有し、その含有率
は9モル%であった。
【0083】
【化34】
【0084】実施例9 高分子プライマーBの合成 実施例3で得たアクリルアミド誘導体A60mgの代わ
りに、実施例4で得たアクリルアミド誘導体B61mg
を用いて、実施例8と同様の反応を行い、目的物である
高分子プライマーB(分子量約450000)を91m
g得た。得られたポリマー中のネオ糖ペプチドが結合し
たアクリルアミド誘導体B残基は下記構造式(式中、A
cはアセチル基を示す)を有し、その含有率は9モル%
であった。
【0085】
【化35】
【0086】実施例10 高分子プライマーCの合成 実施例3で得たアクリルアミド誘導体A60mgの代わ
りに、実施例5で得たアクリルアミド誘導体C62.5
mgを用いて、実施例8と同様の反応を行い、目的物で
ある高分子プライマーC(分子量約490000)を9
3mg得た。得られたポリマー中のネオ糖ペプチドが結
合したアクリルアミド誘導体C残基は下記構造式(式
中、Acはアセチル基を示す)を有し、その含有率は9
モル%であった。
【0087】
【化36】
【0088】実施例11 高分子プライマーDの合成 実施例3で得たアクリルアミド誘導体A60mgの代わ
りに、実施例6で得たアクリルアミド誘導体D61mg
を用いて、実施例8と同様の反応を行い、目的物である
高分子プライマーD(分子量約450000)を91m
g得た。得られたポリマー中のネオ糖ペプチドが結合し
たアクリルアミド誘導体D残基は下記構造式(式中、A
cはアセチル基を示す)を有し、その含有率は9モル%
であった。
【0089】
【化37】
【0090】実施例12 高分子プライマーEの合成 実施例3で得たアクリルアミド誘導体A60mgの代わ
りに、実施例7で得たアクリルアミド誘導体E62mg
を用いて、実施例8と同様の反応を行い、目的物である
高分子プライマーE(分子量約420000)を91m
g得た。得られたポリマー中のネオ糖ペプチドが結合し
たアクリルアミド誘導体E残基は下記構造式(式中、A
cはアセチル基を示す)を有し、その含有率は9モル%
であった。
【0091】
【化38】
【0092】実施例13 β1,4−ガラクトース転移
酵素による高分子プライマーAへのガラクトースの転移 牛乳由来β1,4−ガラクトース転移酵素(シグマ社
製)1U、ウリジン−5’−ジリン酸ガラクトース二ナ
トリウム15.9mg、塩化マンガン10mMおよびα
−ラクトアルブミン0.26mg/mlを含む50mM
HEPES緩衝液(pH7.0)2mlに、実施例8
で得た高分子プライマーA38mgを加え、37℃で4
8時間反応させた。反応後、反応液からセファデックス
G−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィ
ー(移動相;10mM酢酸アンモニウム)により生成物
画分を分離し、凍結乾燥することにより生成物36mg
を得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認し
た。ガラクトースが転移したポリマー中の糖ペプチドが
結合したアクリルアミド誘導体A残基は下記構造式(式
中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0093】
【化39】
【0094】実施例14 α2,3−シアル酸転移酵素
による高分子プライマーAへのN−アセチルノイラミン
酸の転移 ラット由来α2,3−シアル酸転移酵素0.1U、シチ
ジン−5’−モノリン酸−N−アセチルノイラミン酸二
ナトリウム14mg、ウシ血清アルブミン8mg、塩化
マンガン1.2mg、仔ウシ由来アルカリフォスファタ
ーゼ20Uを含む50mMカコジル酸ナトリウム緩衝液
(pH7.4)2mlに実施例13で得たガラクトース
が転移したプライマーA31mgを加え、37℃で72
時間反応させた。反応後、反応液からセファデックスG
−25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー
(移動相:10mM酢酸アンモニウム)により生成物を
分離し、凍結乾燥することにより生成物27mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であること
を確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリ
マー中の糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導体A
残基は下記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を
有する。
【0095】
【化40】
【0096】実施例15 α1,3−フコース転移酵素
による高分子プライマーAへのフコースの転移 ヒト由来α1,3−フコース転移酵素0.08U、グア
ノシン−5’−ジリン酸フコース二ナトリウム9mg、
塩化マンガン15mM、仔ウシ由来アルカリフォスファ
ターゼ20Uを含む100mMカコジル酸緩衝液(pH
6.5)に実施例14で得たN−アセチルノイラミン酸
が転移したプライマー24mgを加え、37℃で72時
間反応させた。反応後、反応液からセファデックスG−
25(ファルマシア社製)カラムクロマトグラフィー
(移動相:10mM酢酸アンモニウム)により生成物を
分離し、凍結乾燥することにより生成物20mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
フコースが転移した生成物であることを確認した。フコ
ースが転移したポリマー中の糖ペプチドが結合したアク
リルアミド誘導体A残基は下記構造式(式中、Acはア
セチル基を示す)を有する。
【0097】
【化41】
【0098】実施例16 糖鎖の伸長した高分子プライ
マーAからのα−キモトリプシンによる糖ペプチドの切
り出し 実施例15で得た糖鎖の伸長した高分子プライマーA2
0mg、α−キモトリプシン0.6mgを80mMトリ
ス−塩酸緩衝液(pH7.8、0.1M塩化カルシウム
含有)2mlに溶かし、40℃で24時間反応させた。
反応液をセファデックスG−25(ファルマシア社製)
カラムクロマトグラフィー(移動相:10mM酢酸アン
モニウム)により生成物画分を分離し、凍結乾燥するこ
とにより生成物12mgを得た。得られた生成物のH−
NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式(式
中、Acはアセチル基を示す)を有することを確認し
た。
【0099】
【化42】
【0100】実施例17 β1,4−ガラクトース転移
酵素による高分子プライマーBへのガラクトースの転移 実施例8で得た高分子プライマーA38mgの代わり
に、実施例9で得た高分子プライマーB39mgを用い
て、実施例13と同様の反応を行い、生成物37mgを
得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認し
た。ガラクトースが転移したポリマー中のネオ糖ペプチ
ドが結合したアクリルアミド誘導体B残基は下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0101】
【化43】
【0102】実施例18 α2,3−シアル酸転移酵素
による高分子プライマーBへのN−アセチルノイラミン
酸の転移 実施例13で得たガラクトースが転移した高分子プライ
マーA31mgの代わりに、実施例17で得たガラクト
ースが転移した高分子プライマーB31mgを用いて、
実施例14と同様の反応を行い、生成物27mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であること
を確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリ
マー中のネオ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導
体B残基は下記構造式(式中、Acはアセチル基を示
す)を有する。
【0103】
【化44】
【0104】実施例19 α1,3−フコース転移酵素
による高分子プライマーBへのフコースの転移 実施例14で得たN−アセチルノイラミン酸が転移した
高分子プライマーA24mgの代わりに、実施例18で
得たN−アセチルノイラミン酸が転移した高分子プライ
マーB24mgを用いて、実施例15と同様の反応を行
い、生成物20mgを得た。得られた生成物のH−NM
Rスペクトルを測定し、フコースが転移した生成物であ
ることを確認した。フコースが転移したポリマー中のネ
オ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導体B残基は
下記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を有す
る。
【0105】
【化45】
【0106】実施例20 糖鎖の伸長した高分子プライ
マーBからのα−キモトリプシンによるネオ糖ペプチド
の切り出し 実施例15で得た糖鎖の伸長した高分子プライマーA2
0mgの代わりに、実施例19で得た糖鎖の伸長した高
分子プライマーB20mgを用いて、実施例16と同様
の反応を行い、生成物12mgを得た。得られた生成物
のH−NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有することを確認
した。
【0107】
【化46】
【0108】実施例21 β1,4−ガラクトース転移
酵素による高分子プライマーCへのガラクトースの転移 実施例8で得た高分子プライマーA38mgの代わり
に、実施例10で得た高分子プライマーC39mgを用
いて、実施例13と同様の反応を行い、生成物37mg
を得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認し
た。ガラクトースが転移したポリマー中のネオ糖ペプチ
ドが結合したアクリルアミド誘導体C残基は下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0109】
【化47】
【0110】実施例22 α2,3−シアル酸転移酵素
による高分子プライマーCへのN−アセチルノイラミン
酸の転移 実施例13で得たガラクトースが転移した高分子プライ
マーA31mgの代わりに、実施例21で得たガラクト
ースが転移した高分子プライマーC32mgを用いて、
実施例14と同様の反応を行い、生成物28mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であること
を確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリ
マー中のネオ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導
体C残基は下記構造式(式中、Acはアセチル基を示
す)を有する。
【0111】
【化48】
【0112】実施例23 α1,3−フコース転移酵素
による高分子プライマーCへのフコースの転移 実施例14で得たN−アセチルノイラミン酸が転移した
高分子プライマーA24mgの代わりに、実施例22で
得たN−アセチルノイラミン酸が転移した高分子プライ
マーC24mgを用いて、実施例15と同様の反応を行
い、生成物20mgを得た。得られた生成物のH−NM
Rスペクトルを測定し、フコースが転移した生成物であ
ることを確認した。フコースが転移したポリマー中のネ
オ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導体C残基は
下記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を有す
る。
【0113】
【化49】
【0114】実施例24 糖鎖の伸長した高分子プライ
マーCからのα−キモトリプシンによるネオ糖ペプチド
の切り出し 実施例15で得た糖鎖の伸長した高分子プライマーA2
0mgの代わりに、実施例23で得た糖鎖の伸長した高
分子プライマーC20mgを用いて、実施例16と同様
の反応を行い、生成物12mgを得た。得られた生成物
のH−NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有することを確認
した。
【0115】
【化50】
【0116】実施例25 β1,4−ガラクトース転移
酵素による高分子プライマーDへのガラクトースの転移 実施例8で得た高分子プライマーA38mgの代わり
に、実施例11で得た高分子プライマーD39mgを用
いて、実施例13と同様の反応を行い、生成物37mg
を得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認し
た。ガラクトースが転移したポリマー中のネオ糖ペプチ
ドが結合したアクリルアミド誘導体D残基は下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0117】
【化51】
【0118】実施例26 α2,3−シアル酸転移酵素
による高分子プライマーDへのN−アセチルノイラミン
酸の転移 実施例13で得たガラクトースが転移した高分子プライ
マーA31mgの代わりに、実施例25で得たガラクト
ースが転移した高分子プライマーD31mgを用いて、
実施例14と同様の反応を行い、生成物27mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であること
を確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリ
マー中のネオ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導
体D残基は下記構造式(式中、Acはアセチル基を示
す)を有する。
【0119】
【化52】
【0120】実施例27 α1,3−フコース転移酵素
による高分子プライマーDへのフコースの転移 実施例14で得たN−アセチルノイラミン酸が転移した
高分子プライマーA24mgの代わりに、実施例26で
得たN−アセチルノイラミン酸が転移した高分子プライ
マーD24mgを用いて、実施例15と同様の反応を行
い、生成物20mgを得た。得られた生成物のH−NM
Rスペクトルを測定し、フコースが転移した生成物であ
ることを確認した。フコースが転移したポリマー中のネ
オ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導体D残基は
下記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を有す
る。
【0121】
【化53】
【0122】実施例28 糖鎖の伸長した高分子プライ
マーDからのα−キモトリプシンによるネオ糖ペプチド
の切り出し 実施例15で得た糖鎖の伸長した高分子プライマーA2
0mgの代わりに、実施例23で得た糖鎖の伸長した高
分子プライマーD20mgを用いて、実施例16と同様
の反応を行い、生成物12mgを得た。得られた生成物
のH−NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有することを確認
した。
【0123】
【化54】
【0124】実施例29 β1,4−ガラクトース転移
酵素による高分子プライマーEへのガラクトースの転移 実施例8で得た高分子プライマーA38mgの代わり
に、実施例12で得た高分子プライマーE40mgを用
いて、実施例13と同様の反応を行い、生成物39mg
を得た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定
し、ガラクトースが転移した生成物であることを確認し
た。ガラクトースが転移したポリマー中のネオ糖ペプチ
ドが結合したアクリルアミド誘導体E残基は下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有する。
【0125】
【化55】
【0126】実施例30 α2,3−シアル酸転移酵素
による高分子プライマーEへのN−アセチルノイラミン
酸の転移 実施例13で得たガラクトースが転移した高分子プライ
マーA31mgの代わりに、実施例25で得たガラクト
ースが転移した高分子プライマーE32mgを用いて、
実施例14と同様の反応を行い、生成物28mgを得
た。得られた生成物のH−NMRスペクトルを測定し、
N−アセチルノイラミン酸が転移した生成物であること
を確認した。N−アセチルノイラミン酸が転移したポリ
マー中のネオ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導
体E残基は下記構造式(式中、Acはアセチル基を示
す)を有する。
【0127】
【化56】
【0128】実施例31 α1,3−フコース転移酵素
による高分子プライマーEへのフコースの転移 実施例14で得たN−アセチルノイラミン酸が転移した
高分子プライマーA24mgの代わりに、実施例30で
得たN−アセチルノイラミン酸が転移した高分子プライ
マーE25mgを用いて、実施例15と同様の反応を行
い、生成物20mgを得た。得られた生成物のH−NM
Rスペクトルを測定し、フコースが転移した生成物であ
ることを確認した。フコースが転移したポリマー中のネ
オ糖ペプチドが結合したアクリルアミド誘導体E残基は
下記構造式(式中、Acはアセチル基を示す)を有す
る。
【0129】
【化57】
【0130】実施例32 糖鎖の伸長した高分子プライ
マーEからのα−キモトリプシンによるネオ糖ペプチド
の切り出し 実施例15で得た糖鎖の伸長した高分子プライマーA2
0mgの代わりに、実施例23で得た糖鎖の伸長した高
分子プライマーE21mgを用いて、実施例16と同様
の反応を行い、生成物13mgを得た。得られた生成物
のH−NMRスペクトルを測定し、生成物が下記構造式
(式中、Acはアセチル基を示す)を有することを確認
した。
【0131】
【化58】
【0132】
【発明の効果】上述したように、本発明における高分子
プライマーを用いることにより、糖ペプチドもしくはネ
オ糖ペプチドの合成を、従来の方法と比べてきわめて効
率的に行うことが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/06 C12P 21/06 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許 出願(平成12年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 「グリコクラスター制御生体分子合成技術」委託研究、 産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの) (72)発明者 西村 紳一郎 北海道札幌市中央区北9条西16丁目1−1 −302 (72)発明者 山田 久里子 北海道札幌市北区麻生町7丁目1−1− 311

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子担体上に、一般式(I)(式中、
    1はメチレン基1〜20個分の長さを有するリンカー
    を示し、R2は特定のプロテアーゼにより開裂できる部
    位を有するアミノ酸残基あるいはペプチド残基を示し、
    3は前記プロテアーゼにより開裂できる部位を含まな
    い任意のペプチド残基であり、その残基中にOH基ある
    いは酸アミド基にグリコシド結合により任意の単糖残基
    が結合したセリン残基、トレオニン残基、グルタミン残
    基またはアスパラギン残基を含むペプチド残基、あるい
    は側鎖官能基にリンカーを介してグリコシド結合により
    任意の単糖残基が結合したアミノ酸残基を含むペプチド
    残基を示す)で表される基が結合していることを特徴と
    する糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プ
    ライマー。 【化1】
  2. 【請求項2】 R3がアミノ酸残基2〜30個よりなる
    ペプチド残基である請求項1記載の糖ペプチドあるいは
    ネオ糖ペプチド合成用高分子プライマー。
  3. 【請求項3】 R1が一般式(II)(式中、XはO、C
    2、C=OまたはNHを示し、かつXを介して高分子
    担体と結合しており、nは1〜18の整数を示す)で表
    される基である請求項1または2に記載の糖ペプチドあ
    るいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマー。 【化2】
  4. 【請求項4】 側鎖官能基に結合したリンカーがメチレ
    ン基1〜20個分の長さを有し、任意の単糖残基が結合
    したアミノ酸残基がセリン、トレオニン、リジン、アス
    パラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンまたはグルタ
    ミン残基である請求項1〜3のいずれかに記載のネオ糖
    ペプチド合成用高分子プライマー。
  5. 【請求項5】 側鎖官能基に結合したリンカーが一般式
    (III)(式中、YはO、NHまたはC=Oを示し、か
    つYを介してアミノ酸残基の側鎖官能基と結合してお
    り、nは1〜18の整数を示す)で表される基である請
    求項1〜4のいずれかに記載のネオ糖ペプチド合成用高
    分子プライマー。 【化3】
  6. 【請求項6】 高分子担体がアクリルアミド類、メタク
    リルアミド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、スチレ
    ン類、脂肪酸ビニルエステル類などのビニル化合物の重
    合体または共重合体である請求項1〜5のいずれかに記
    載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プ
    ライマー。
  7. 【請求項7】 R2が芳香族アミノ酸残基であり、R3
    芳香族アミノ酸を含まない任意のペプチド残基であり、
    その残基中にOH基あるいは酸アミド基にグリコシド結
    合により任意の単糖残基が結合したセリン残基、トレオ
    ニン残基、グルタミン残基またはアスパラギン残基を含
    むペプチド残基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介し
    てグリコシド結合により任意の単糖残基が結合したアミ
    ノ酸残基を含むペプチド残基である請求項1〜6のいず
    れかに記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用
    高分子プライマー。
  8. 【請求項8】 一般式(IV)(式中、R4は炭素数1〜
    18のアルキレン基を示し、R5は特定のプロテアーゼ
    により開裂できる部位を有するアミノ酸残基あるいはペ
    プチド残基を示し、R6は前記プロテアーゼにより開裂
    できる部位を含まない任意のペプチド残基であり、その
    残基中にOH基あるいは酸アミド基にグリコシド結合に
    より任意の単糖残基が結合したセリン残基、トレオニン
    残基、グルタミン残基またはアスパラギン残基を含むペ
    プチド残基、あるいは側鎖官能基にリンカーを介してグ
    リコシド結合により任意の単糖残基が結合したアミノ酸
    残基を含むペプチド残基を示す)で表されることを特徴
    とするアクリルアミド誘導体。 【化4】
  9. 【請求項9】 R6がアミノ酸残基2〜30個よりなる
    ペプチド残基である請求項8に記載のアクリルアミド誘
    導体。
  10. 【請求項10】 側鎖官能基に結合したリンカーがメチ
    レン基1〜20個分の長さを有し、任意の単糖残基が結
    合したアミノ酸残基がセリン、トレオニン、リジン、ア
    スパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンまたはグル
    タミン残基である請求項8または9に記載のアクリルア
    ミド誘導体。
  11. 【請求項11】 側鎖官能基に結合したリンカーが一般
    式(V)(式中、AはO、NHまたはC=Oを示し、か
    つAを介してアミノ酸残基の側鎖官能基と結合してお
    り、nは1〜18の整数を示す)で表される基である請
    求項8〜10のいずれかに記載のアクリルアミド誘導
    体。 【化5】
  12. 【請求項12】 R5が芳香族アミノ酸残基であり、R6
    が芳香族アミノ酸を含まない任意のペプチド残基であ
    り、その残基中にOH基あるいは酸アミド基にグリコシ
    ド結合により任意の単糖残基が結合したセリン残基、ト
    レオニン残基、グルタミン残基またはアスパラギン残基
    を含むペプチド残基、あるいは側鎖官能基にリンカーを
    介してグリコシド結合により任意の単糖残基が結合した
    アミノ酸残基を含むペプチド残基である請求項8〜11
    のいずれかに記載のアクリルアミド誘導体。
  13. 【請求項13】 請求項8〜11のいずれかに記載の少
    なくとも1種類のアクリルアミド誘導体および少なくと
    も1種類のビニル系単量体とを含む共重合体からなるこ
    とを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
    用高分子プライマー。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載の少なくとも1種類
    のアクリルアミド誘導体および少なくとも1種類のビニ
    ル系単量体とを含む共重合体からなることを特徴とする
    糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライ
    マー。
  15. 【請求項15】 ビニル系単量体がアクリルアミド類、
    メタクリルアミド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、
    スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群より選
    ばれる請求項13記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプ
    チド合成用高分子プライマー。
  16. 【請求項16】 ビニル系単量体がアクリルアミド類、
    メタクリルアミド類、アクリル酸類、メタクリル酸類、
    スチレン類、脂肪酸ビニルエステル類からなる群より選
    ばれる請求項14記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプ
    チド合成用高分子プライマー。
  17. 【請求項17】 アミノ基が一般式(VI)(式中、R7
    は炭素数1〜18のアルキレン基を示し、R8はHまた
    はCH3を示す)で表される基でアシル化された重合性
    芳香族アミノ酸誘導体。 【化6】
  18. 【請求項18】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項1〜7および13
    〜16のいずれかに記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペ
    プチド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存
    在下に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオ
    チドより糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
    合成用高分子プライマーに転移させる工程、および、
    (B)工程(A)で得た糖残基が転移した糖ペプチドあ
    るいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R2
    中の特定の部位を開裂させることのできるプロテアーゼ
    を作用させることにより糖鎖が伸長した糖ペプチドある
    いはネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むことを特
    徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製造する
    方法。
  19. 【請求項19】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項1〜7および13
    〜16のいずれかに記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペ
    プチド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存
    在下に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオ
    チドより糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
    合成用高分子プライマーに転移させる工程、(B)工程
    (A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させ
    る工程、(C)必要に応じて、副生したヌクレオチド類
    や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
    (D)工程(A)ないし工程(C)を複数回繰り返した
    後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチド
    あるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R
    2中の特定の部位を開裂させることのできるプロテアー
    ゼを作用させることにより糖鎖糖鎖が伸長した糖ペプチ
    ドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むこ
    とを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製
    造する方法。
  20. 【請求項20】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項7、14および1
    6のいずれかに記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
    ド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下
    に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチド
    より糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
    用高分子プライマーに転移させる工程、および、(B)
    工程(A)で得た糖残基が転移した糖ペプチドあるいは
    ネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、α−キモト
    リプシンを作用させ、芳香族アミノ酸残基のカルボキシ
    ル基側のペプチド結合を加水分解することにより糖鎖が
    伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させ
    る工程、を含むことを特徴とする糖ペプチドあるいはネ
    オ糖ペプチドを製造する方法。
  21. 【請求項21】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項7、14および1
    6のいずれかに記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチ
    ド合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下
    に糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチド
    より糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
    用高分子プライマーに転移させる工程、(B)工程
    (A)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させ
    る工程、(C)必要に応じて、副生したヌクレオチド類
    や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
    (D)工程(A)ないし工程(C)を複数回繰り返した
    後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチド
    あるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、α
    −キモトリプシンを作用させ、芳香族アミノ酸残基のカ
    ルボキシル基側のペプチド結合を加水分解することによ
    り糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    遊離させる工程、を含むことを特徴とする糖ペプチドあ
    るいはネオ糖ペプチドを製造する方法。
  22. 【請求項22】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項8〜12のいずれ
    かに記載のアクリルアミド誘導体をペプチド自動合成装
    置を利用して得る工程、(B)得られたアクリルアミド
    誘導体と少なくとも1種類のビニル系単量体を共重合さ
    せ、請求項13〜16のいずれかに記載の糖ペプチドあ
    るいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーを得る工
    程、(C)得られた糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
    合成用高分子プライマーに、糖ヌクレオチドの存在下に
    糖転移酵素を作用させることにより、糖ヌクレオチドよ
    り、糖残基を該糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成
    用高分子プライマーに転移させる工程、(D)工程
    (C)を1回または2回以上繰り返して糖鎖を伸長させ
    る工程、(E)必要に応じて、副生したヌクレオチド類
    や未反応の糖ヌクレオチド類を除去する工程、および、
    (F)工程(C)ないし工程(E)を複数回繰り返した
    後、複数の糖残基が転移して糖鎖が伸長した糖ペプチド
    あるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに、R
    2中の特定の部位を開裂させることのできるプロテアー
    ゼを作用させることにより糖鎖糖鎖が伸長した糖ペプチ
    ドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むこ
    とを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製
    造する方法。
  23. 【請求項23】 糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを
    製造する方法であって、(A)請求項12に記載のアク
    リルアミド誘導体をペプチド自動合成装置を利用して得
    る工程、(B)得られたアクリルアミド誘導体と少なく
    とも1種類のビニル系単量体を共重合させ、請求項14
    または16に記載の糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド
    合成用高分子プライマーを得る工程、(C)得られた糖
    ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマ
    ーに、糖ヌクレオチドの存在下に糖転移酵素を作用させ
    ることにより、糖ヌクレオチドより、糖残基を該糖ペプ
    チドあるいはネオ糖ペプチド合成用高分子プライマーに
    転移させる工程、(D)工程(C)を1回または2回以
    上繰り返して糖鎖を伸長させる工程、(E)必要に応じ
    て、副生したヌクレオチド類や未反応の糖ヌクレオチド
    類を除去する工程、および、(F)工程(C)ないし工
    程(E)を複数回繰り返した後、複数の糖残基が転移し
    て糖鎖が伸長した糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチド合
    成用高分子プライマーに、α−キモトリプシンを作用さ
    せ、芳香族アミノ酸残基のカルボキシル基側のペプチド
    結合を加水分解することにより糖鎖が伸長した糖ペプチ
    ドあるいはネオ糖ペプチドを遊離させる工程、を含むこ
    とを特徴とする糖ペプチドあるいはネオ糖ペプチドを製
    造する方法。
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