JP2005117918A - 新規糖鎖プライマー - Google Patents
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Abstract
【課題】 糖タンパク質型糖鎖のうちO-グリカンを、細胞に合成させるための糖鎖プライマーの提供。
【解決手段】 糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体の構造を有しする、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成するための糖鎖プライマー。
【選択図】 なし
【解決手段】 糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体の構造を有しする、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成するための糖鎖プライマー。
【選択図】 なし
Description
本発明は医薬・医療・糖鎖チップ等に利用されるオリゴ糖鎖の生産法に関する。
細胞間の認識やウイルスの受容体等として重要な働きを担うオリゴ糖鎖は、バイオテクノロジーや医薬品への応用の可能性を秘めている。特にあらゆる糖鎖を網羅した糖鎖ライブラリーの構築は、バイオテクノロジーや医薬品の発展に資すると目されている。従来オリゴ糖鎖は、ウシ脳からの抽出のように天然物を抽出して得たり、有機化学合成により得たり、リコンビナント糖鎖合成酵素を製造し、酵素的に合成して得ていた。しかし、天然物の抽出は、材料の入手が困難であった。また、有機化学合成は技術的に困難であり、多大な時間とコストを要していた。現在オリゴ糖鎖の合成方法として酵素的な合成が広く行われているが、この方法もコストがかかり、安価に多種のオリゴ糖鎖を大量に得ることには必ずしも適していなかった。
オリゴ糖鎖は生体内で、糖脂質、糖タンパク質、多糖類として存在しており、このうち糖タンパク質には、O-グリカン型糖鎖とN-グリカン型糖鎖がある。これらのうち、多糖類は、従来より、容易に入手できた。また、糖タンパク質の糖鎖のうち、N-グリカン型糖鎖は生体内に多量に存在するので、比較的容易に入手できた。
糖脂質の糖鎖の入手に関しては、本発明者らは先に糖鎖プライマーを動物細胞に投与して、細胞内で糖鎖伸張させることでオリゴ糖鎖を生産させる方法を開発した。また、細胞に投与し細胞内でオリゴ糖鎖を合成するための糖鎖プライマーについても報告した(特許文献1および非特許文献2を参照)。
単糖又は二糖にドデシル基等のアルキル基が結合した(糖鎖-アルキル基)糖鎖プライマーを培養細胞に投与すると、細胞内にある糖転移酵素により糖鎖プライマーの先に新たな糖鎖が伸長し、細胞外に放出される。これを利用して現在までに約 50 種類の糖脂質型糖鎖が得られており、糖鎖ライブラリーの構築が行われてきた。
しかしながら、糖タンパク質の糖鎖のうち、O-グリカン型糖鎖の入手はなお、困難であった。
しかしながら、糖タンパク質の糖鎖のうち、O-グリカン型糖鎖の入手はなお、困難であった。
なお、無細胞系で糖-アミノ酸の結合した構造を有する化合物をO-グリカンの生合成に関わる糖転移酵素の基質として利用したという報告はあった(非特許文献2参照)。しかし、培養細胞を用いて大量にO-グリカン糖鎖を入手しようとするものではなかった。
また、Benzyl-GalNAcを細胞に投与して、O−グリカン型糖鎖を得たという報告もある(非特許文献3および非特許文献4を参照)。しかしながら、本報告によれば、Benzyl-GalNAcは細胞中に取り込まれにくく、また該化合物を溶解させるために、培地中に有機溶媒を混ぜる必要があり、細胞の培養には適切な条件ではなかった。さらに合成されたO−グリカン型糖鎖は細胞内に蓄積され細胞外には放出されなかった。従って、Benzyl-GalNAcは糖鎖プライマーとしては有効ではなかった。
特開2000-247992号公報
佐藤智典ら、蛋白質核酸酵素 Vol.48 No.8(2003) p.1213-1219
D.J.Moloney et al., Nature, 406, 369-375 (2000)
J.P.Zanetta et al., Glycobiology, 10, 565-575, 2000
V.Gouyer, Frontiers in Bioscience 6, 1235-1244, 2001
本発明は、糖タンパク質型糖鎖のうちO-グリカンを、糖鎖プライマーを用いて細胞に合成させ、O−グリカン型糖鎖を製造することを目的とする。
これまでの糖鎖プライマーは、単糖や二糖の糖鎖に一本鎖のアルキル基を結合した構造であり、糖脂質型のオリゴ糖鎖の伸張反応は見られたが糖鎖タンパク質型の糖鎖の伸張反応は起きていなかった。糖鎖ライブラリーの構築には糖脂質型と糖タンパク質型のオリゴ糖鎖を揃える必要があった。糖タンパク質は生合成経路の違いによりN-グリカンとO-グリカンに大別されるが、N-グリカンは細胞に多く発現しているので、細胞から容易に抽出により得ることができる。一方、O-グリカンは発現量が少ないため、細胞からの抽出は困難であった。従って、細胞中の糖タンパク質型の糖鎖のうちO-グリカンは、発現量が少ないことから、糖鎖プライマー法を用いて細胞に作らせることが、ライブラリーの構築に有効であると考えられた。そこで、本発明者らはO-グリカンを作るための新たな糖鎖プライマーの設計を行った。
本研究ではO-結合糖タンパク質型糖鎖の伸長を目的とした糖鎖プライマーを合成し、培養細胞に投与して得られた糖鎖の構造解析を行った。N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)にスレオニン(Thr)、更にドデシル基を結合した糖-アミノ酸型プライマー(糖鎖-アミノ酸-アルキル基)を化学的に合成し、種々の動物細胞に投与した。一定時間後に培地画分から脂質成分を抽出し、HPTLC 及び MALDI-TOF MS/MS を用いて生成物の構造解析を行った。その結果、O-グリカンに特徴的なコア構造やシアリルTn抗原などのオリゴ糖鎖の伸張が観察された。このように、上記の糖鎖プライマーによりO−グリカン型糖鎖が合成でき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体で表される、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成するための糖鎖プライマー、
[2] 糖鎖がGalNAcである[1]の糖鎖プライマー、
[3] アミノ酸がSerまたはThrである、[1]または[2]の糖鎖プライマー、
[4] アルキル基もしくはアルキル基の誘導体中の一部のCH2-CH2が-S-S-もしくは-NHCO-で置換された、糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xで表される[1]から[3]のいずれかの糖鎖プライマー、
[5] アルキル基が-(CH2)12である、[1]から[4]のいずれかの糖鎖プライマー、
[1] 糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体で表される、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成するための糖鎖プライマー、
[2] 糖鎖がGalNAcである[1]の糖鎖プライマー、
[3] アミノ酸がSerまたはThrである、[1]または[2]の糖鎖プライマー、
[4] アルキル基もしくはアルキル基の誘導体中の一部のCH2-CH2が-S-S-もしくは-NHCO-で置換された、糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xで表される[1]から[3]のいずれかの糖鎖プライマー、
[5] アルキル基が-(CH2)12である、[1]から[4]のいずれかの糖鎖プライマー、
[6] アルキル基にさらに、-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基が結合している、糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xで表される[1]から[5]のいずれかの糖鎖プライマー、
[7] 式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−Am−L−X〔式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、(G1)x(G2)y(G3)zは直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から20であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物、
[8] (G1)x(G2)y(G3)zがGalNAcである、[7]の化合物、
[9] AmがSerまたはThrである、[7]または[8]の化合物、
[10] アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、[7]から[9]のいずれかの化合物、
[7] 式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−Am−L−X〔式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、(G1)x(G2)y(G3)zは直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から20であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物、
[8] (G1)x(G2)y(G3)zがGalNAcである、[7]の化合物、
[9] AmがSerまたはThrである、[7]または[8]の化合物、
[10] アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、[7]から[9]のいずれかの化合物、
[11] Lが-O-(CH2)12である、[7]から[9]のいずれかの化合物、
[12] Xが−N3である[7]から[11]のいずれかの化合物、
[13] GalNAcα1-Ser-O-(CH2)n−N3またはGalNAcα1-Thr-O-(CH2)n−N3(ここで、nは4から20である)である化合物、
[14] nが12である、[13]の化合物、
[15] 糖鎖プライマーである、[7]から[14]のいずれかの化合物、
[12] Xが−N3である[7]から[11]のいずれかの化合物、
[13] GalNAcα1-Ser-O-(CH2)n−N3またはGalNAcα1-Thr-O-(CH2)n−N3(ここで、nは4から20である)である化合物、
[14] nが12である、[13]の化合物、
[15] 糖鎖プライマーである、[7]から[14]のいずれかの化合物、
[16] [1]から[15]に記載の糖鎖プライマーを、培養細胞に添加することを含む、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成する方法、
[17] 高密度培養法を用いて培養した細胞を用いる[16]の方法、
[18] 細胞が動物細胞、植物細胞、昆虫細胞および酵母からなる群から選択される[16] または[17]の方法、
[19] 細胞が動物細胞である[18]の方法、
[20] 細胞がヒト細胞である[19]の方法、
[17] 高密度培養法を用いて培養した細胞を用いる[16]の方法、
[18] 細胞が動物細胞、植物細胞、昆虫細胞および酵母からなる群から選択される[16] または[17]の方法、
[19] 細胞が動物細胞である[18]の方法、
[20] 細胞がヒト細胞である[19]の方法、
[21] 細胞が糖転移酵素をコードするDNAを組込んだベクターを含む細胞である[16]から[20]のいずれかの方法、
[22] [16]から[21]のいずれかの方法により合成される、糖鎖がO−グリカン型糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xの構造を有し、Xは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基である、化合物、
[23] 式(II)GC−Am−L−X〔式中、GCは、O−グリカン型糖鎖であり;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合、構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から24であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物、
[24] AmがSerまたはThrである、[23]の化合物、
[25] アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、[23]または[24]の化合物、
[22] [16]から[21]のいずれかの方法により合成される、糖鎖がO−グリカン型糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xの構造を有し、Xは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基である、化合物、
[23] 式(II)GC−Am−L−X〔式中、GCは、O−グリカン型糖鎖であり;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合、構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から24であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物、
[24] AmがSerまたはThrである、[23]の化合物、
[25] アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、[23]または[24]の化合物、
[26] Lが-O-(CH2)12である、[23]または[24]の化合物、
[27] Xが−N3である[23]から[26]のいずれかの化合物、
[28] GCがGalβ1-3GalNAc、Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GalNAcα1-3GalNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GalNAcα1-6GalNAcおよびGalα1-3GalNAcからなる群から選択される化合物またはその誘導体である[23]から[27]のいずれかの化合物、ならびに
[29] [23]から[28]のいずれかの化合物を含む、糖鎖チップ。
[27] Xが−N3である[23]から[26]のいずれかの化合物、
[28] GCがGalβ1-3GalNAc、Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GalNAcα1-3GalNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GalNAcα1-6GalNAcおよびGalα1-3GalNAcからなる群から選択される化合物またはその誘導体である[23]から[27]のいずれかの化合物、ならびに
[29] [23]から[28]のいずれかの化合物を含む、糖鎖チップ。
本明細書記載の実施例が示すように、本願の糖鎖プライマーを細胞に取り込ませることにより、O−グリカン型糖鎖を細胞中で合成させることができた。糖鎖プライマーと細胞の組み合わせを変えることにより種々のO−グリカン型糖鎖を合成することができ、糖鎖ライブラリーを構築することが可能であり、得られた糖鎖ライブラリーを固相に固定化し、種々の目的に応じた特徴的な糖鎖チップを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、細胞内で糖鎖を生合成させるために用い得る糖鎖-アミノ酸-アルキル基またはアルキル基誘導体構造を有する糖鎖プライマーであり、式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−Am−L−X〔式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、(G1)x(G2)y(G3)zは直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい;Amは、1個から10個、好ましくは1個から5個、さらに好ましくは1個もしくは2個、特に好ましくは1個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、−O−R−、−S−R−、−NH−R−及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rはアルキル基またはその誘導体である;Xは、存在しないか、あるいは−N3、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−OC(O)CH=CH2および−CH=CH2から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される。
本発明は、細胞内で糖鎖を生合成させるために用い得る糖鎖-アミノ酸-アルキル基またはアルキル基誘導体構造を有する糖鎖プライマーであり、式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−Am−L−X〔式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、(G1)x(G2)y(G3)zは直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい;Amは、1個から10個、好ましくは1個から5個、さらに好ましくは1個もしくは2個、特に好ましくは1個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、−O−R−、−S−R−、−NH−R−及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rはアルキル基またはその誘導体である;Xは、存在しないか、あるいは−N3、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−OC(O)CH=CH2および−CH=CH2から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される。
本発明の式(I)の化合物において、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体である。単糖としては、いかなる単糖を使用することもできるが、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、キシロース(Xyl)、ガラクトース、グルコース、アラビノース、マンノース、L-フコース(Fuc)、シアル酸(Sia)等が挙げれらる、このうちG3としては、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、D-キシロース、D-またはL-ガラクトース、D-グルコース、D-またはL-アラビノース、D-マンノース、L-フコース(Fuc)等が望ましい。その中でも特にN-アセチルガラクトサミン、フコース、あるいはキシロースが望ましい。
(G1)x(G2)y(G3)zとして、GalNAc、Fuc、Xyl, Galβ1-3GalNAc、Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GalNAcα1-3GalNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GalNAcα1-6GalNAc、Galα1-3GalNAc等が例示されるがこれらには限定されない。
アミノ酸も、限定されないが、いずれのアミノ酸も用いることができ、さらにその誘導体も用いることができる。好ましくは、スレオニン、セリンヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシリジンであり、この中でも、スレオニンまたはセリンが好ましい。アミノ酸の誘導体は、限定されないが、例えばRCH(NH2)COOHで表されるアミノ酸に対して、RCH(NH2)CO-、RCH(NH2)CO2 1-、RCH(NH2)CONH2、RCH(NH2)CH2OH、RCH(NH2)CHO、RCH(CO2H)NH-で表される誘導体がある。
式(I)の化合物において、Lは、−O−R−、−S−R−、−NH−R−及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、−L−は、好ましくは−O−R−である。ここで、Rは(CH2)nで表されるアルキル基、Hの一部が置換された該アルキル基の誘導体もしくはアルキル基中に-S-S-やNHCO-等の結合が含まれる、すなわちアルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-や-NHCO-等で置換されたアルキル基の誘導体、またはアルキル基と同様の疎水性を有する疎水性基またはその誘導体であり、炭素主鎖の炭素数nは、4〜24の整数であり、好ましくは6〜18、特に好ましくは12(Rが(CH2)nで表されるアルキル基である場合、ドデシル基)である。nが、6未満である場合、又は24を越える場合には、式(I)の化合物を糖鎖プライマーとして細胞に与えても、糖鎖プライマーに対する細胞の糖付加能は低い。本発明の糖鎖プライマーが細胞に取り込まれ糖付加されるかどうかは、糖鎖プライマーの親水性基と疎水性基とのバランスによる。従って、糖鎖プライマーの親水性基と疎水性基のバランスが、Rが(CH2)nで表されるアルキル基の場合と大きく隔たらない限り、Rはその一部のHが−N3、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−OC(O)CH=CH2および−CH=CH2等で置換されたアルキル基の誘導体であってもよい。また、前述のように、Rはその一部のCH2CH2が-S-S-や-NHCO-等で置換されていてもよい。さらに、アルキル基と同様の疎水性を有する限り、糖鎖プライマー全体の親水性と疎水性のバランスは大きく変わらないので、Rは(CH2)nで表されるアルキル基と同様の疎水性を有する任意の疎水性基であってもよい。分子の親水性と疎水性のバランスは、例えばChemDraw(CambridgeSoft 社)を用いれば糖鎖プライマーの糖鎖を除いた部分のlog P値が3〜8程度の値を示すものとして予測可能である。
式(I)の化合物において、Xは、−N3、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−OC(O)CH=CH2および−CH=CH2から選択される基である。なかでもXは、−N3又は−NH2であるのが好ましく、−N3であるのがさらに好ましい。Xは、糖鎖を固相に固定化する際の固定用官能基となる。さらに、Xが結合することにより、糖鎖プライマーが細胞内で分解を受けにくくなり、Xが存在しない場合よりも効率的に糖鎖を合成することができる。
本発明の糖鎖プライマーの例として、GalNAcα1-Ser-(CH2)12−N3、GalNAcα1-Thr-(CH2)12−N3が挙げられるが、これらに限定はされない。
本発明は、上記一般式(I)で表される糖鎖プライマーの製造方法をも包含する。
本発明は、上記一般式(I)で表される糖鎖プライマーの製造方法をも包含する。
本発明の糖鎖プライマーは以下のようにして合成することができる。
一般式(I)で示される糖鎖プライマーの(G1)x(G2)y(G3)zで表される糖鎖は、以下の文献に記載の方法で合成することができる。
T. Murata, T. Usui, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 12, No 65, 161-174(2000).
J. Tamura, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13, No 69, 65-68(2001).
M. Ujita, M. Fukuda, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13, 70, 177-191(2001).
一般式(I)で示される糖鎖プライマーの(G1)x(G2)y(G3)zで表される糖鎖は、以下の文献に記載の方法で合成することができる。
T. Murata, T. Usui, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 12, No 65, 161-174(2000).
J. Tamura, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13, No 69, 65-68(2001).
M. Ujita, M. Fukuda, Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13, 70, 177-191(2001).
また、該糖鎖とアミノ酸の結合は、以下の文献に記載の方法によって行うことができる。
H-. K. Ishida, H. Ishida, M. Kiso and A. hasegawa, Tetrahedron Asymmetry, 5, 2493-2512(1994)
T. Inazu, Hide-ki Ishida, R. Nagano, K. Tanaka, K. Haneda,“Peptide Science 1999: Proceedings of the 36th Japanese Peptide Symposium”ed. by H. Aoyagi, The Japanese Peptide Society, pp.121-124 (2000)
T. Inazu, M. Mizuno, T. Yamazaki,and K. Haneda, “Peptide Science 1998: Proceedings of the 35th Symposium on Peptide Science,” ed. by M. Kondo, Protein Research Foundation Osaka, pp.153-156 (1999)
H-. K. Ishida, H. Ishida, M. Kiso and A. hasegawa, Tetrahedron Asymmetry, 5, 2493-2512(1994)
T. Inazu, Hide-ki Ishida, R. Nagano, K. Tanaka, K. Haneda,“Peptide Science 1999: Proceedings of the 36th Japanese Peptide Symposium”ed. by H. Aoyagi, The Japanese Peptide Society, pp.121-124 (2000)
T. Inazu, M. Mizuno, T. Yamazaki,and K. Haneda, “Peptide Science 1998: Proceedings of the 35th Symposium on Peptide Science,” ed. by M. Kondo, Protein Research Foundation Osaka, pp.153-156 (1999)
本発明の糖鎖プライマーを用いてオリゴ糖鎖の生産に用い得る細胞として、糖鎖合成に関与する遺伝子を有する真核細胞が挙げられ、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母等が含まれる。動物細胞としては、各種動物由来細胞、動物組織由来正常細胞、動物癌細胞、動物2倍体線維芽細胞、動物血管内皮細胞等が挙げられ、ヒト由来細胞が望ましい。糖鎖を大量に合成するためには経代培養が可能な株化細胞である必要がある。株化細胞は、それぞれ特徴的な糖鎖合成経路を発現しており、細胞を適宜選択することによりその細胞が発現しているO−グリカン糖鎖のセットを得ることができる。また、多数の細胞を用いることにより、ほとんど全ての糖鎖合成経路を網羅することができ完全な糖鎖ライブラリーを構築することが可能になる。例えば、ヒト胃癌細胞であるMKN45細胞、ヒト肝癌細胞であるHuH7細胞等が挙げられる。
糖鎖プライマーの種類と細胞の種類の組合わせにより、いろいろな種類の糖鎖を得ることができる。
また、これらの細胞について特定の糖鎖合成経路を活性化するか、または阻害することにより任意の糖鎖合成経路を発現する細胞を得ることができ、所望の糖鎖を合成させることができる。例えば、細胞に特定の糖鎖合成経路に関与する糖転移酵素をコードするDNAを導入しあるいは欠失させることにより、任意の糖鎖合成経路を発現する細胞を作出することができる。または、細胞に特定の糖鎖合成経路に関与する酵素の阻害剤を投与してもよい。これらの遺伝子操作は、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (1989): Molecular Cloning, a laboratory manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press及び Ed Harlow and David Lanc (1988): Antibodies, a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press等の当業者に良く知られた文献に記載された方法に従って行うことができる。遺伝子工学技術に基づいて行うことができ、例えば適当な発現ベクターに糖転移酵素をコードするDNAを組込み、該発現ベクターを細胞に導入すればよい。
また、これらの細胞について特定の糖鎖合成経路を活性化するか、または阻害することにより任意の糖鎖合成経路を発現する細胞を得ることができ、所望の糖鎖を合成させることができる。例えば、細胞に特定の糖鎖合成経路に関与する糖転移酵素をコードするDNAを導入しあるいは欠失させることにより、任意の糖鎖合成経路を発現する細胞を作出することができる。または、細胞に特定の糖鎖合成経路に関与する酵素の阻害剤を投与してもよい。これらの遺伝子操作は、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (1989): Molecular Cloning, a laboratory manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press及び Ed Harlow and David Lanc (1988): Antibodies, a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press等の当業者に良く知られた文献に記載された方法に従って行うことができる。遺伝子工学技術に基づいて行うことができ、例えば適当な発現ベクターに糖転移酵素をコードするDNAを組込み、該発現ベクターを細胞に導入すればよい。
さらに、糖鎖合成経路を有していない原核細胞に遺伝子工学の手法により、真核細胞の糖鎖合成経路に関与する糖転移酵素をコードするDNAを導入することにより、原核細胞でO−グリカン型の糖鎖を合成させることができる。この方法により大腸菌、枯草菌等の広く遺伝子工学で用いられている細胞を用いて糖鎖を合成させることができる。
本発明の糖鎖プライマーを用いて大量の糖鎖を合成するためには、細胞は大量培養する必要がある。大量培養は細胞を高密度で培養する高密度培養により達成することができる。高密度培養には、マイクロキャリアー培養法、細胞固定用ディスクを用いた培養層による培養、中空糸モジュールを用いた培養システム、浮遊細胞のサスペンションカルチャー、多段式培養装置、ローラーボトルなどを用いる方法又はマイクロカプセルに細胞を固定化培養する方法などがあるが、マイクロキャリアー培養法、細胞固定用ディスクを用いた培養装置、中空糸モジュールを用いた培養システム又は浮遊細胞のサスペンションカルチャーを用いる方法が好適に用いられる。
マイクロキャリアーとしては、マトリックス素材はコラーゲン、ゼラチン、セルロース、架橋デキストラン又はポリスチレンのような合成樹脂からなり、荷電基としてジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノエチル、トリメチルハイドロキシアミノプロピル又は負電荷が付加されているものが好適に用いられる。また、マトリックス素材をコラーゲンやゼラチンでコートしたものも使用される。市販品としては、架橋デキストランにジメチルアミノエチルを付加した「Cytodex-1、ファルマシア社」、「Cytodex-3,ファルマシア社」がある。中空糸としては、修飾セルロースを使用したものがある(「Vitafiber」、アミコン社)。
マイクロカプセルは水透過性のあるゲルを形成するコラーゲンやアルギン酸ソーダを用いて、内部に細胞を包埋して作製する方法が知られている(A. Klausner, Bio/Techno1., 1, 736, 1983)。
マイクロキャリアーの小スケール培養は、スピナーフラスコにマイクロキャリアーを含むPBS(-)を入れ、高圧蒸気滅菌したあと、培養液に培地交換し、細胞を接種して培養を開始する。適度な間隔を置いて培地交換し、細胞がマイクロキャリアー上にコンフルエントに増殖してから糖鎖プライマー投与を行う。ヒト血管内皮細胞など増殖生存に増殖因子を必要とする細胞は、内皮細胞増殖因子(VEGF)や線維芽細胞増植因子(FGF)などを培養液に添加する。
マイクロキャリアー培養では、200mLスケールの培養瓶1本で内径100mmのシャーレの100枚分に相当する細胞数が得られ、しかも単位液量当たりの細胞数は約4倍の高密度培養であるために、オリゴ糖プライマーの投与量も少なく、またシャーレの細胞では確認出来ない新規なオリゴ糖鎖が検出できる利点がある。
培養細胞にO−グルカン型糖鎖を合成させるには、コンフルエントに増殖した細胞に、無血清あるいは低血清培地を用いて1〜数百μM、好ましくは10〜100μMの本発明の糖鎖プライマーを投与し、37℃で1〜5日間培養する。細胞は糖鎖プライマーを取り込み、細胞内のゴルジ体において、細胞が有する糖鎖合成経路により、糖鎖プライマーの糖鎖部分に更に糖を付加し、糖付加生成物を細胞外に分泌する。このようにして、伸長した糖鎖を含む産生原液を得ることができる。培養上清をハーベストし、濃縮、分離、構造解析を行い、多種類のオリゴ糖鎖のライブラリーを得ることが出来る。細胞の種類によって糖鎖プライマーの種類と投与量・培養液、培養日数が異なるので、細胞毎に培養の最適条件を見出すことは、オリゴ糖鎖の効率的な生産に繋がる。
ハーベスト液に含まれるオリゴ糖鎖は、アフィニティークロマトグラフ、限外濾過、あるいは硫安沈殿などを用いて濃縮分離し、高速薄層クロマトグラフィー(HPTLC)、MALDI-TOF MS、NMR等で構造解析を行う。未知物質については高速薄層クロマトグラフィーにブロッティング後、酵素処理を行い、得られた物質の組成分析から構造の推定を行えばよい。
本発明は、このようにして得られた、糖鎖プライマーに糖が付加したもの、すなわち伸長した糖鎖-アミノ酸-アルキル基で表される化合物も包含する。該化合物は一般式(II)GC−Am−L−X〔式中、GCは、用いた糖鎖プライマーに糖が付加されて伸長したO−グリカン型糖鎖であり;Am、L、RおよびXは、上記で定義したのと同じである。〕で示される。
ここで、GCは自然界に見出されるあらゆるO−グリカン型糖鎖を含み、GalNAc残基から伸長している糖鎖構造により、以下のようにコア1型からコア8型まで分類される。
コア1型 Galβ1-3GalNAc、コア2型 Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、コア3型 GlcNAcβ1-3GalNAc、コア4型 GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、コア5型 GalNAcα1-3GalNAc、コア6型 GlcNAcβ1-6GalNAc、コア7型 GalNAcα1-6GalNAc、コア8型 Galα1-3GalNAc。
コア1型 Galβ1-3GalNAc、コア2型 Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、コア3型 GlcNAcβ1-3GalNAc、コア4型 GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、コア5型 GalNAcα1-3GalNAc、コア6型 GlcNAcβ1-6GalNAc、コア7型 GalNAcα1-6GalNAc、コア8型 Galα1-3GalNAc。
上記一般式中のGCは、これらのコア型の糖の3位または6位にさらに他の糖が結合した構造を有している誘導体である。
得られた糖鎖は、付加された糖鎖に応じて、各種の用途に使用することができる。
得られた糖鎖は、付加された糖鎖に応じて、各種の用途に使用することができる。
本発明の糖鎖プライマーを用いて製造したO−グリカン型糖鎖ならびに/または他の方法で入手した糖脂質の糖鎖、多糖の糖鎖およびN−グリカン型の糖鎖を揃えることにより糖鎖ライブラリーのセットが得られる。糖鎖ライブラリーのセットは、ある細胞由来のものであっても、ある動物種由来のものであっても、あるいは、自然界に存在するあらゆる糖鎖を含んでいてもよく、これらの一部糖鎖の任意の組合わせであってもよい。これらの糖鎖ライブラリーのセットを、固相に固定化することにより必要な糖鎖を含む糖鎖チップを得ることができる。糖鎖チップは、細胞中に微量にしか存在しないタンパク質や遺伝子と糖鎖との相互作用を網羅的に解析することを可能にする。
糖鎖チップの製造は、固定化用固相上に上記一般式(II)GC−Am−L−Xで表される糖鎖を有する化合物を整列化して結合させる。この際、固相上にXと共有結合し得るアミノ基やカルボキシル基等の官能基を導入しておくことにより、カップリング反応等により容易に結合させることができる。固相としては、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、ガラス板、ポリスチレン、ポリカーボネート等の樹脂製プレート等を用いることができる。
整列化の方法も限られず、固相上に上記化合物を高密度に整列化できる方法ならばいかなる方法も用い得る。例えば、固相上に上記化合物溶液をスポットするアレイヤーを用いればよい。スポットするアレイヤーには、ピン、羽ペン、インクジェット、キャピラリー、ピン&リング等種々の方法があり、いずれの方法を用いてもよい。また、ピッキングロボットを用いて行ってもよい。
本発明は、このようにして得られた、一般式(II)GC−Am−L−Xで表されるO−グリカン型糖鎖を有する化合物が固定化された糖鎖チップをも包含する。
さらに、上記一般式(II)GC−Am−L−X中、Xが存在しなくてもよい。用いる糖鎖プライマーにXを存在させなければ、GC−Am―Lで表される化合物が得られる。また、Xが−N3、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−OC(O)CH=CH2および−CH=CH2から選択される基である化合物から公知の方法により、Xを切断除去することも可能である。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕 C12-Thr-GalNAcプライマーの合成
1.試薬の調製
NMP
N-Methyl-2-pyrrolidone(NMP)(国産化学)500mlに活性化したモルキュラーシーブ(4A、ペレット状)を入れ室温で保存した。
〔実施例1〕 C12-Thr-GalNAcプライマーの合成
1.試薬の調製
NMP
N-Methyl-2-pyrrolidone(NMP)(国産化学)500mlに活性化したモルキュラーシーブ(4A、ペレット状)を入れ室温で保存した。
1 M Dimethylphosphinothyl chloride(Mpt-Cl)
5mlメスフラスコにMpt-Cl(東京化成)を5mmol入れ、NMPでメスアップし、蓋をして、パラフィルムで覆い、4℃で保存した。
5mlメスフラスコにMpt-Cl(東京化成)を5mmol入れ、NMPでメスアップし、蓋をして、パラフィルムで覆い、4℃で保存した。
Dimethylphosphinothioic mixed an hydride (Mpt-MA)
ナスフラスコにFmoc-Thr(GalNAc)-OH 又はLauric acid(Aldrich)を0.22mmolとNMP 3mlを入れ、塩化カルシウム管を取り付けた。フラスコを氷浴につけ、3分間スターラーで攪拌した。攪拌後、2.0 M N,N-Diisopropylethylamine/N-Methylpyrrolidone (DIEA) (Applied Biosystems)を150μl加え、しばらくスターラーで攪拌した後、調製した1 M Mpt-Clを300μl加えた。氷浴上で30分間攪拌した後、DIEAを150μl加えしばらく攪拌した。
ナスフラスコにFmoc-Thr(GalNAc)-OH 又はLauric acid(Aldrich)を0.22mmolとNMP 3mlを入れ、塩化カルシウム管を取り付けた。フラスコを氷浴につけ、3分間スターラーで攪拌した。攪拌後、2.0 M N,N-Diisopropylethylamine/N-Methylpyrrolidone (DIEA) (Applied Biosystems)を150μl加え、しばらくスターラーで攪拌した後、調製した1 M Mpt-Clを300μl加えた。氷浴上で30分間攪拌した後、DIEAを150μl加えしばらく攪拌した。
Cleavage mixture (for 0.1-1.5 g peptide-resin)
ドラフト内で、三角フラスコに超純水500μlとTrifluoroaceticacid(TFA)(Applied Biosystems)9.5ml入れよく振り混ぜた。
ドラフト内で、三角フラスコに超純水500μlとTrifluoroaceticacid(TFA)(Applied Biosystems)9.5ml入れよく振り混ぜた。
20% (v/v) Piperidine/NMP
NMP 400mlとPiperidine(Wako)100mlを遮光のガラス容器に入れ、室温で保存した。
NMP 400mlとPiperidine(Wako)100mlを遮光のガラス容器に入れ、室温で保存した。
2.合成
ペプチド固相合成用カラム(東京理科機器)にRink Amide MBHA Resin (nova biochem) 0.22mmolを入れ、マルチ固相合成器(国産化学)に取り付けた。これにNMP 6mlを加え、20分間振盪した後、アスピレーターでカラム下部からNMPを取り除いた。
ペプチド固相合成用カラム(東京理科機器)にRink Amide MBHA Resin (nova biochem) 0.22mmolを入れ、マルチ固相合成器(国産化学)に取り付けた。これにNMP 6mlを加え、20分間振盪した後、アスピレーターでカラム下部からNMPを取り除いた。
カラムに20%(v/v)Piperidine/NMPを6ml注ぎ、3分間振盪した後、20%(v/v)Piperidine/NMPをアスピレーターで取り除いた。この操作をもう一度繰り返した。次に20%(v/v)Piperidine/NMPを6ml注ぎ、20分間振盪した後アスピレーターで取り除いた。
次に、カラムにNMPを6ml注ぎ、1分間振盪し、アスピレーターで除く操作を6回繰り返した。
カラムに調製したMpt-MA(Fmoc-Thr(GalNAc)-OH)を加えて1時間振盪した後、パスツールピペットで樹脂を別の容器に数粒取りReagents for Kaiser Test (国産化学)を用いてKaiser testを行い、反応効率を調べた。
カラムに調製したMpt-MA(Fmoc-Thr(GalNAc)-OH)を加えて1時間振盪した後、パスツールピペットで樹脂を別の容器に数粒取りReagents for Kaiser Test (国産化学)を用いてKaiser testを行い、反応効率を調べた。
高い効率でアミノ酸残基が導入できたことを確認したら、アスピレーターで反応溶液を除き、カラムにNMPを6ml注ぎ、1分間振盪し、アスピレーターで除く操作を6回繰り返した。
同様に脱保護、洗浄、Mpt-MA(Lauric acid)とのカップリング反応、洗浄の操作を行なった。
同様に脱保護、洗浄、Mpt-MA(Lauric acid)とのカップリング反応、洗浄の操作を行なった。
カラムをマルチ固相合成器から取り外し、2方コック(東京理科機器)を取り付けた。Cleavage mixtureを加え、スターラーで3時間攪拌した後、コックを開けて反応溶液をナスフラスコに移した。カラムの内壁に残った反応溶液等もTFAで洗い流してフラスコに移した。カラムの2方コックを閉じ、TFAをカラムに少量に入れ、スターラーで攪拌し、コックを開けて溶液を前述のナスフラスコに移した(この操作を全部で3回行なった)。ナスフラスコ内のTFAをエバポレーターで飛ばした。残った液体を50ml遠心チューブに移し凍結乾燥機で乾燥させた。乾燥した試料にN,N-Dimethylformamide (Wako)を10mg/mlとなるように加えた後、Membrane filter(0.45μm)に通し、これを試料としてHPLCによる精製を行った。17.4mg(35 μmol)の目的物が得られた。これをDimethyl sulphoxide(DMSO)(Sigma)に50mMとなるように溶解し、プライマーストック溶液とした。
〔実施例2〕
1. MKN45 cellによるシアル酸付加生成物の構造解析
すべての細胞内糖鎖伸長反応はフェノールレッドを含まない無血清培地中で行った。MKN45細胞では、糖鎖伸長反応用の無血清培地としてRPMI1640(11835-030, Invitrogen)を選択し、トランスフェリン(holo bovine, 和光純薬)5 mg/L, インシュリン(human, Sigma)5 mg/L, 二酸化セレン30 nMを加えて使用した。
1. MKN45 cellによるシアル酸付加生成物の構造解析
すべての細胞内糖鎖伸長反応はフェノールレッドを含まない無血清培地中で行った。MKN45細胞では、糖鎖伸長反応用の無血清培地としてRPMI1640(11835-030, Invitrogen)を選択し、トランスフェリン(holo bovine, 和光純薬)5 mg/L, インシュリン(human, Sigma)5 mg/L, 二酸化セレン30 nMを加えて使用した。
少量で糖鎖伸長を行なう場合には、100 mmfディッシュを使用し、大量に糖鎖伸長を行う場合には200 mLスピナ−ボトルを使用し、マグネチックスターラーで撹拌しながら培養した。
糖鎖伸長反応は、次のように行なった。遠心分離によって培養液から細胞を回収し、PBS(-) (日水製薬)で洗った後、糖鎖伸長反応に用いる無血清培地で再度洗った。この細胞をトリパンブルー染色により1.5×106cells/mLになるように調製した後、50μMプライマーを含んだ無血清RPMI1640培地に再懸濁することで、糖鎖プライマーと相互作用させた。
プライマーと相互作用させた細胞は、48時間培養した後、氷上あるいは4 ℃で静置することにより反応を停止させた。反応容器から培地を回収した後、PBS(-)で洗浄しながら細胞を回収した。回収した細胞懸濁液を遠心分離し、沈殿した細胞を細胞画分として、上清を培地画分として回収した。なお、実験の都合上タンパク質定量が必要な際は、回収した細胞画分を500μLPBS(-)に再懸濁し、50μLをタンパク質定量用に分取した。この際懸濁液は再度遠心分離を行うことで沈殿を細胞画分として回収し、上清は培地画分に加えた。
細胞画分は、クロロホルム/メタノール(C/M)= 2/1 (v/v) 1 mLを加え、30分間ソニケーションを行うことにより抽出した。
細胞画分は、クロロホルム/メタノール(C/M)= 2/1 (v/v) 1 mLを加え、30分間ソニケーションを行うことにより抽出した。
培地画分は、逆相カラムクロマトグラフィーにかけることにより、脂質を担体に吸着させてから抽出した。小スケールの場合にはSep-Pak C18 plus(Waters)を用い、大スケールで抽出する場合にはSep-Pak C18 plusの担体であるPreparative C18 125Å(Waters)を充填したオープンカラムを作製した。培地画分を吸着させたカラムは、ベッド体積の10倍量のMilliQ水で洗浄したのち、ベッド体積の5倍量のメタノール/水 混合溶媒を用いて溶出した(結果および考察に示す)。溶出後溶媒をエバポレートし、4 ℃で保存した。使用する際はクロロホルム/メタノール/水(C/M/W)混合溶媒に再度溶解した。
細胞画分および脂質画分から抽出した脂質は、高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC) プレート(Silicagel60, Merk)を用いて分離した。展開系には、実験系に応じたクロロホルム/メタノール/0.2% CaCl2水溶液(5/4/1 )の混合溶媒を用いた。酸性糖脂質については、レゾルシノール-塩酸試薬をスプレーし、95 ℃で加熱することによりバンドを青紫色に可視化した後、デンシトメータ(CS-9300PC, Shimazu)を用いて波長580 nmで解析した。中性糖脂質については、オルシノール-硫酸試薬をスプレーし、105 ℃で加熱することによりバンドを赤紫色に可視化した後、デンシトメータを用いて波長540 nmで解析した。その結果、5本のシアル酸付加生成物のバンドが得られた(図1)。5つのシアル酸付加生成物をそれぞれA1からA5とした。
化合物A2の分析
Negative ion mode で測定したところm/z=1268.47にピークが得られた(図2)。次にこの分子をPrecursor ionとしてMS/MS測定を行った(図3および表1)。PSDスペクトルからこの分子はプライマーにHex1個とNeuAc2個が結合した構造であることがわかった。これがO-結合型糖鎖であるとするとHexはGalであり、GalNAcにGalがβ1-3(Core1)で結合していると予想される(図11)。またm/z=517.44と476.35にピークが見られることから、2個のNeuAcはHexとGalNAcに1個ずつ結合していると考えられる。Benzyl-GalNAcの実験においてはNeuAcα2→3Galβ1→3GalNAc(6←2αNeuAc)α1→O-bnという構造の生成物が多く得られているので(図12)、同様の構造である可能性が高いと考えられる。
Negative ion mode で測定したところm/z=1268.47にピークが得られた(図2)。次にこの分子をPrecursor ionとしてMS/MS測定を行った(図3および表1)。PSDスペクトルからこの分子はプライマーにHex1個とNeuAc2個が結合した構造であることがわかった。これがO-結合型糖鎖であるとするとHexはGalであり、GalNAcにGalがβ1-3(Core1)で結合していると予想される(図11)。またm/z=517.44と476.35にピークが見られることから、2個のNeuAcはHexとGalNAcに1個ずつ結合していると考えられる。Benzyl-GalNAcの実験においてはNeuAcα2→3Galβ1→3GalNAc(6←2αNeuAc)α1→O-bnという構造の生成物が多く得られているので(図12)、同様の構造である可能性が高いと考えられる。
化合物A1の分析
Negative ion modeでm/z=794.32のピークが得られた(図4)。PSDスペクトル(図5および表2)からこの分子はプライマーにNeuAcが1個結合した構造であることがわかった。これはSialyl Tn抗原(NeuAcα2→6GalNAc)である可能性が考えられ、Sialidaseを用いてNeuAcの結合様式を決定した。
Negative ion modeでm/z=794.32のピークが得られた(図4)。PSDスペクトル(図5および表2)からこの分子はプライマーにNeuAcが1個結合した構造であることがわかった。これはSialyl Tn抗原(NeuAcα2→6GalNAc)である可能性が考えられ、Sialidaseを用いてNeuAcの結合様式を決定した。
2. HuH7 cellによるシアル酸付加生成物の構造解析
HuH7 cell(ヒト肝癌細胞)にC12-Thr-GalNAcプライマーを投与した後、培地画分を精製し、HPTLCに展開したところ3本のシアル酸付加生成物のバンドが得られた(図6)。実験としてはMKN45細胞と同様の手法で行った。3つのシアル酸付加生成物をそれぞれA1からA3とした。
HuH7 cell(ヒト肝癌細胞)にC12-Thr-GalNAcプライマーを投与した後、培地画分を精製し、HPTLCに展開したところ3本のシアル酸付加生成物のバンドが得られた(図6)。実験としてはMKN45細胞と同様の手法で行った。3つのシアル酸付加生成物をそれぞれA1からA3とした。
化合物A1の分析
Negative ion modeで測定したところm/z=1268.56にピークが得られた(図7)。PSDスペクトル(図8および表3)からこの分子はMKN45 cellのA2と同様プライマーにHex1個とNeuAc2個が結合した構造であることがわかった。またm/z=517.49と475.28にピークが見られることから、NeuAcはHexとGalNAcに1個ずつ結合していると考えられる。
Negative ion modeで測定したところm/z=1268.56にピークが得られた(図7)。PSDスペクトル(図8および表3)からこの分子はMKN45 cellのA2と同様プライマーにHex1個とNeuAc2個が結合した構造であることがわかった。またm/z=517.49と475.28にピークが見られることから、NeuAcはHexとGalNAcに1個ずつ結合していると考えられる。
化合物A2の分析
Negative ion modeでm/z=1632.82にピークが得られた(図9)。PSDスペクトル(図10および表4)からこの分子はHex1個とNeuAc2個を含む構造であることがわかった。また 891.83-526.32(Primer+Na)=365.51で、これはanHex+HexNAcまたはHex+anHexNAcと分子量が一致するため、プライマーにHexが2個、HexNAcが1個、NeuAcが2個結合した構造である可能性がある(Benzyl-GalNAcを用いた実験でもこのような構造を持つ生成物が得られている)。
Negative ion modeでm/z=1632.82にピークが得られた(図9)。PSDスペクトル(図10および表4)からこの分子はHex1個とNeuAc2個を含む構造であることがわかった。また 891.83-526.32(Primer+Na)=365.51で、これはanHex+HexNAcまたはHex+anHexNAcと分子量が一致するため、プライマーにHexが2個、HexNAcが1個、NeuAcが2個結合した構造である可能性がある(Benzyl-GalNAcを用いた実験でもこのような構造を持つ生成物が得られている)。
Claims (29)
- 糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体で表される、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成するための糖鎖プライマー。
- 糖鎖がGalNAcである請求項1記載の糖鎖プライマー。
- アミノ酸がSerまたはThrである、請求項1または2に記載の糖鎖プライマー。
- アルキル基もしくはアルキル基の誘導体中の一部のCH2-CH2が-S-S-もしくは-NHCO-で置換された、糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xで表される請求項1から3のいずれか1項に記載の糖鎖プライマー。
- アルキル基が-(CH2)12である、請求項1から3のいずれか1項に記載の糖鎖プライマー。
- アルキル基にさらに、-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基が結合している、糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体で表される請求項1から5のいずれか1項に記載の糖鎖プライマー。
- 式(I):(G1)x(G2)y(G3)z−Am−L−X〔式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、(G1)x(G2)y(G3)zは直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-、及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から20であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物。
- (G1)x(G2)y(G3)zがGalNAcである、請求項7記載の化合物。
- AmがSerまたはThrである、請求項7または8に記載の化合物。
- アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、請求項7から9のいずれか1項に記載の化合物。
- Lが-O-(CH2)12である、請求項7から9のいずれか1項に記載の化合物。
- Xが-N3である請求項7から11のいずれか1項に記載の化合物。
- GalNAcα1-Ser-O-(CH2)n−N3またはGalNAcα1-Thr-O-(CH2)n−N3(ここで、nは4から20である)である化合物。
- nが12である、請求項13記載の化合物。
- 糖鎖プライマーである、請求項7から14のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項1から15に記載の糖鎖プライマーを、培養細胞に添加することを含む、O−グリカン型糖鎖を培養細胞中で合成する方法。
- 高密度培養法を用いて培養した細胞を用いる請求項16記載の方法。
- 細胞が動物細胞、植物細胞、昆虫細胞および酵母からなる群から選択される請求項16または17に記載の方法。
- 細胞が動物細胞である請求項18記載の方法。
- 細胞がヒト細胞である請求項19記載の方法。
- 細胞が糖転移酵素をコードするDNAを組込んだベクターを含む細胞である請求項16から20のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項16から21のいずれか1項に記載の方法により合成される、糖鎖がO−グリカン型糖鎖-アミノ酸-アルキル基もしくはアルキル基の誘導体-Xの構造を有し、Xは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基である、化合物。
- 式(II)GC−Am−L−X〔式中、GCは、O−グリカン型糖鎖であり;Amは、1個から5個のアミノ酸またはその誘導体の配列であり、アミノ酸が複数の場合、構成アミノ酸は同一でも異なるものでもよく;Lは、-O-R-、-S-R-、-NH-R-及びそれらの誘導体からなる群から選択される連結基であり、Rは炭素主鎖の炭素数が6から24であるアルキル基またはその誘導体であり;Xは、存在しないか、あるいは-N3、-NH2、-OH、-SH、-COOH、-OC(O)CH=CH2および-CH=CH2からなる群から選択される基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数である。ただしx、y及びzの全てが同時に0であることはない〕で示される化合物。
- AmがSerまたはThrである、請求項23に記載の化合物。
- アルキル基の誘導体が、アルキル基中の一部のCH2-CH2が-S-S-または-NHCO-で置換された誘導体である、請求項23または24に記載の化合物。
- Lが-O-(CH2)12である、請求項23または24に記載の化合物。
- Xが-N3である請求項23から26のいずれか1項に記載の化合物。
- GCがGalβ1-3GalNAc、Galβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1-3(GlcNAcβ1-6)GalNAc、GalNAcα1-3GalNAc、GlcNAcβ1-6GalNAc、GalNAcα1-6GalNAcおよびGalα1-3GalNAcからなる群から選択される化合物またはその誘導体である請求項23から27のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項23から28のいずれか1項に記載の化合物を含む、糖鎖チップ。
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