JP4599295B2 - α−選択的グリコシル化反応方法 - Google Patents

α−選択的グリコシル化反応方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明はα−選択的グリコシル化反応方法に関し、更に詳しくは、ガラクトースその他の一定の基本構造を持つ糖構造体やその誘導体化合物、あるいはこれらの糖構造体や誘導体化合物を還元末端に持つ二糖以上のオリゴ糖ないし糖鎖における選択的なα−グリコシル化反応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特にポストゲノム時代を迎えて、多細胞生物、特に高等生物の細胞内外の膜成分及び細胞外分子として存在する含糖鎖高分子が、その生体内での機能との関係で注目されている。含糖鎖高分子の代表的な一例として、糖タンパク質を挙げることができる。
【0003】
一定の例外はあるが、ヒトをはじめとする多くの動物の細胞表面膜や血清タンパク質のほとんどは糖タンパク質である。抗体、レセプター、ホルモン、酵素等も、単純タンパク質ではなく糖タンパク質であることが多い。そして旧来、これらの糖タンパク質の生体内での機能については、専らタンパク質構造だけで説明される例が多かった。しかしながらABO(H)式血液型抗原の特異性が糖鎖部分の微妙な構造の違いによって決定されていると言う事実が発見されて以来、多細胞生物の成立と維持に必要な様々な識別現象において、糖タンパク質における糖鎖のシグナルとしての役割が次第に大きくクローズアップされてきた。
【0004】
即ち、動植物の組織、器管に広く分布する糖タンパク質において、遺伝情報によりタンパク質が発現された後に、グリコシル化(糖鎖の付加)によって、タンパク質自身の機能に極めて特異的な生物学的選択性が与えられる。糖タンパク質における糖鎖のこのような重要性に鑑み、例えば糖鎖に由来するガン特異的抗原の研究等に例示されるような広範囲かつ膨大な研究が蓄積されてきており、同時に糖鎖構造(その配列や立体構造)の解析も飛躍的に進展している。
【0005】
糖タンパク質糖鎖は、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基のL−アスパラギンと結合したN−グリコシド結合型( Asn結合型)と、L−セリン又はL−スレオニンと結合したO−グリコシド結合型(O結合型)とに大別される。この内、O結合型の糖鎖は各種の粘液タンパク質、血清タンパク質、膜タンパク質等に広範囲に見出される。このようなO結合型の糖鎖としては、N−アセチル−D−ガラクトサミンをドナーとしL−セリン又はL−スレオニンのアルコール性水酸基をアクセプターとした求核反応により、α−O−グリコシド結合を形成するものが代表的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、糖タンパク質糖鎖、あるいは糖タンパク質糖鎖を特異的に認識する機能性タンパク質として注目されているレクチン等を研究・解析する場合、試料としての糖タンパク質を、例えばマイクログラム程度以上の量に準備する必要がある。しかし通常、動植物の組織や細胞等において、目的とする糖タンパク質はナノグラム/ミリリットルオーダーと言う極めて微量にしか存在しないため、必要な量の糖タンパク質試料を準備することは容易ではない。
【0007】
そこで、 Asn結合型やO結合型の糖タンパク質の化学合成の研究が世界各国において精力的に行われてきた。 Asn結合型の糖タンパク質の化学合成研究はさておき、O結合型の糖タンパク質の化学合成においては、糖化学に馴染み易いO−グリコシド結合を扱うと言う点から、糖残基同士のグリコシル化反応方法の技術開発に準じて、今までに種々な手法が提案されている。
【0008】
しかし、O結合型の糖タンパク質の化学合成では、還元末端のガラクトサミンとアミノ酸のアルコール性水酸基との間のグリコシル化反応を如何にα−選択的に行わせるかと言う難関があった。即ち、N−アセチル−D−ガラクトサミンのグリコシル化反応では、2位のN−アセチルアミノ基が隣接基関与によってグリコシル化反応に干渉するため、かなりの比率でβ−グリコシル化反応が起こってしまうと言う問題である。
【0009】
この問題に対して、Paulsen らは2−アジド誘導体を利用した方法を提案している。その方法は、第1図に示すように、1,6;2,3−ジアンヒドロ糖(i)を立体特異的にアジドアニオンで開裂して2−アジド体(ii)を得た後、これを変換してα−ブロミド(iv)を合成し、次いでこれをテトラエチルアンモニウムクロリドで処理することによりβ−クロリド(v)を得る。それによって、 Koenigs-Knorr反応条件下でα−グリコシドを生成させる方法である。
【0010】
その後、 Lemieuxと Ratcliffeにより簡便な2−アジド糖の合成法が開発され、第2図に示すように、 Ferrariと Paviaはこの合成法で得られた(x)の化合物を変換してβ−クロリド(xi)とし、次いで水銀塩をプロモーターとしてL−セリン誘導体との縮合を試みて、66%の収率でα−グリコシド(xii)を得ている。
【0011】
前記の Paulsenらは更に、第2図の化合物(xi)の不要なアノメリゼーションを抑えるために非極性の塩化メチレン/トルエン混合溶媒中、過塩素酸銀−炭酸銀(1:10)をプロモーターに用いた。そしてこの方法により、収率85%、αβ選択性が19:1と言う結果を得ている。
【0012】
以上の各種の合成法、特に Paulsenらの過塩素酸銀−炭酸銀をプロモーターに用いる方法は、グリコシル化反応をα−選択的に行わせると言う前記の問題自体については優れた結果をもたらすが、ドナーの調製段階や、反応制御の困難さ等の点において現実的な汎用性に乏しいと言う共通の欠点があった。
【0013】
本発明の目的は、O結合型の糖タンパク質の化学合成も含め、一定の糖構造体における高度に選択的なα−グリコシル化反応を、簡易かつ便宜な手段によって可能とすることである。
【0014】
本願発明者は、ガラクトース等の糖構造体における一定の水酸基にシリルアセタール構造の保護基を形成するだけで、糖鎖アクセプターに対して高度に選択的なα−グリコシル化反応を起こさせ得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(第1発明)
本願の第1発明は、ドナーとしての糖構造体とアクセプター化合物のアルコール性水酸基又はチオール基との間でグリコシル化反応を行わせる方法であり、
(1)前記糖構造体として、単糖体であり又は二糖体以上のオリゴ糖ないし糖鎖の還元末端である6炭糖以上の糖構造体であって、少なくとも4位と6位に水酸基を持ち、かつ4位の水酸基がアキシャル配向で5位の基がエカトリアル配向であると言う構造的条件を満たすものを用い、
(2)この糖構造体の4位と6位の水酸基にわたってシリルアセタール構造の保護基を環状に形成したもとで、
(3)この糖構造体と前記アルコール性水酸基又はチオール基との間でグリコシル化反応を行わせることにより、
(4)α/β比においてα−グリコシドを80%以上の比率で含む糖構造体グリコシドを得る、α−選択的グリコシル化反応方法である。
【0016】
第1発明のα−選択的グリコシル化反応方法によれば、所定の糖構造体の4位と6位の水酸基にわたってシリルアセタール構造の保護基を環状に形成したもとで、アクセプター化合物のアルコール性水酸基又はチオール基との間でグリコシル化反応を行わせると言う極めて簡単な手段により、高度に選択的なα−グリコシル化反応を起こすことができる。得られるグリコシド中のα−アノマーの比率は、一般的に80%以上である。
【0017】
本願発明者がこの効果を見出した合成実験においては、ドナーたるN−アセチルガラクトサミンには上記シリルアセタール構造の保護基の他に2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc基)等も存在し、アクセプター化合物はジシアリルガラクトースであった。しかし、実施例において後述するように、これらの各要素について検証実験を順次行うことにより、高度なα−選択的グリコシル化反応を可能にしたものが、上記シリルアセタール構造の保護基の形成であることを、確認している。
【0018】
このα−選択的グリコシル化反応方法は、後述のように、O結合型の糖タンパク質の化学合成に関して問題となってきたN−アセチルアミノ基のグリコシル化反応への干渉を受けない。更に、同じ観点から提案されてきた従来技術、例えば前記した Paulsenらの2−アジド誘導体を利用する方法、 Ferrariと Paviaによるその改良法等に比較して、極めて簡便な操作であり、現実的な汎用性を備える化学合成法である。従って、糖タンパク質糖鎖やレクチン等を研究・解析する場合における研究試料としての糖タンパク質を、簡単な化学合成によって調製することが可能となった。
【0019】
又、第1発明のα−選択的グリコシル化反応方法は、所定の条件を備える糖構造体(ドナー)と、少なくともアルコール性水酸基又はチオール基を備えるアクセプター化合物との間で一般的に成立し、上記のようなO結合型の糖タンパク質の合成に限定されない。即ち、ドナーが単糖やオリゴ糖であっても良いし、アクセプター化合物としては、アルコール性水酸基又はチオール基を備える限りにおいて、アミノ酸、ペプチド鎖、単糖、糖鎖、及びその他の種類の任意の有機化合物を使用することが可能である。
【0020】
(第2発明)
本願の第2発明においては、前記第1発明に係る糖構造体が、以下(a)〜(d)のいずれかである。
(a)D−ガラクトース又はL−ガラクトース
(b)D−グロース又はL−グロース
(c)2−デオキシ−D−ガラクトース又は2−デオキシ−L−ガラクトース
(d)上記(a)〜(c)のいずれかを基本構造とする7炭糖
α−選択的グリコシル化反応方法において、ドナーたる糖構造体は第1発明で述べた一定の構造的条件を満たすことが必要であるが、その構造的条件を満たす代表的なものとして、第2発明の(a)〜(d)に列挙するいずれかの糖構造体を例示することができる。
【第3発明】
【0021】
本願の第3発明においては、前記第1発明又は第2発明に係る糖構造体が、D体においてはC1立体配座(即ち、「」ピラノシド構造)であり、L体においては1C立体配座(即ち、「」ピラノシド構造)である。
【0022】
ドナーたる糖構造体としては、D体である糖構造体においてはC1立体配座が、L体である糖構造体においては1C立体配座が、それぞれ優先配座となるため、特に好ましい。但し、D体である糖構造体における1C立体配座のもの、L体である糖構造体におけるC1立体配座のものについても、第1発明の作用・効果を発現できる可能性を否定しない。
【0023】
(第4発明)
本願の第4発明においては、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係るシリルアセタール構造の保護基がジアルキルシリレン基である。
【0024】
前記糖構造体の4位と6位の水酸基にわたって形成する環状の保護基は、シリルアセタール構造である限りにおいて限定されないが、より好ましくは、ジアルキルシリレン基を形成することができる。
【0025】
(第5発明)
本願の第5発明においては、前記第4発明に係るジアルキルシリレン基が、ジ−(t−ブチル)−シリレン基(DTBS基)である。
【0026】
ジアルキルシリレン基としては、とりわけ、ジ−(t−ブチル)−シリレン基(DTBS基)が好ましい。
【0027】
(第6発明)
本願の第6発明においては、前記第1発明〜第5発明のいずれかに係るシリルアセタール構造の保護基形成に当たり、予め、糖構造体における所定の反応性官能基に対して保護基修飾を行う。
【0028】
第6発明のような一定の保護基修飾を行うことは、糖構造体における前記シリルアセタール構造の保護基形成に当たり、あるいはその後のα−選択的グリコシル化反応に当たり、不要な副反応の抑制に有効である。更に、ドナー又はアクセプターの構成部分である糖やアミノ酸等における特定の官能基に対して更に他の糖等を付加したい場合に備え、他の保護基に影響なく脱保護が可能な保護基によってその官能基を修飾しておくことも有効である。
【0029】
(第7発明)
本願の第7発明においては、前記第6発明に係る保護基修飾において、アミノ基に対する保護基が2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc基)である。
【0030】
糖構造体が(特に2位に)アミノ基を備える場合、例えばガラクトサミンやグルコサミン等のアミノ糖におけるアミノ基を保護する場合には、従来はフタロイル基(Phth基)が汎用されてきた。しかしながら、Phth基は導入効率が悪く大量合成に不向きである。又、例えば反応系にシアル酸等が共存している場合には、Phth基の脱保護の際に一般的にヒドラジンを用いるため、そのメチルエステルへの攻撃によるアミド類の生成を回避するために、一旦メチルエステルを除去しておき、後に遊離のカルボン酸を再度メチルエステル化する、と言う脱保護の際の面倒を伴う。これらの点に関し本願発明者は、α−グリコシドの効率的合成の見地から、アミノ基をTroc基で保護することが適切であることを見出した。
【0031】
(第8発明)
本願の第8発明においては、前記第1発明〜第7発明のいずれかに係る糖構造体が、隣接基関与によってα−選択的グリコシル化反応に干渉する置換基を2位に有するものである。
【0032】
前記第1発明の作用・効果の内、特に有利な点の一つが、通常のグリコシル化反応においては隣接基関与によってα−選択的グリコシル化反応に強く干渉する置換基を2位に有する糖構造体においても、高度に選択的なα−グリコシル化反応を確保できる点である。
【0033】
(第9発明)
本願の第9発明においては、前記第8発明に係る2位の置換基がTroc基やアセチル基と結合したアミノ基である。
【0034】
糖構造体の2位の置換基が、Troc基やアセチル基と結合したアミノ基である場合(第6発明や第7発明によってTroc基やアセチル基で修飾された場合を含む)に、一般的には強い隣接基関与を示すことが知られている。又、前記のように、そのことがO結合型の糖タンパク質の化学合成における大きな障害になっていた。従って、このような場合には第1発明のα−選択的グリコシル化反応方法を行うメリットが、とりわけ大きい。
【0035】
(第10発明)
本願の第10発明においては、前記第1発明〜第9発明のいずれかに係るアクセプター化合物として、アルコール性水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、これらのいずれかのアミノ酸を構成残基として含有するペプチド鎖、単糖、あるいは二糖以上のオリゴ糖ないし糖鎖を用いる。
【0036】
α−選択的グリコシル化反応方法で用いるアクセプター化合物としては、アルコール性水酸基又はチオール基を持つ限りにおいて限定されないが、第10発明に規定する化合物のいずれかを好ましく例示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本願の各発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。以下において単に「本発明」と言うときは本願の各発明を指している。
【0038】
〔α−選択的グリコシル化反応方法〕
本発明のα−選択的グリコシル化反応方法は、糖構造体(糖ドナー)と、アルコール性水酸基又はチオール基を有する化合物(糖アクセプター)との間でグリコシル化反応を行わせる方法である。その特徴は、糖構造体の4位と6位の水酸基にわたってシリルアセタール構造の保護基を環状に形成したもとで、アクセプター化合物との間でグリコシル化反応を行わせる点にある。その結果、得られる糖構造体グリコシドの内、α/β比においてα−グリコシドを80%以上の比率で含むと言う高度にα−選択的なグリコシル化反応方法が可能となる。
【0039】
シリルアセタール構造の保護基を形成するに当たり、糖構造体における4位と6位の水酸基以外の一定の反応性官能基を予め保護基修飾することが、「第8発明の作用・効果」欄で前記した各種の理由から、好ましい。予め保護基修飾すべき反応性官能基の種類及び糖構造体における位置は限定されず、必要に応じて適宜に保護基修飾を行えば良いが、糖構造体の2位のアミノ基又は水酸基、3位の水酸基に対する保護基修飾を代表的に例示することができる。
【0040】
2位のアミノ基に対する保護基としては、例えばアセチル基、トリハロアセチル基、レブリノイル基、フタロイル基、Troc基等のアシル系保護基全般を挙げることができる。2位の水酸基に対する保護基としては、アセチル基、モノハロアセチル基、ジハロアセチル基、レブリノイル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等のアシル系保護基全般を挙げることができる。3位の水酸基に対する保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、ピバロイル基等のアシル系保護基の他、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、アリル基等のエーテル系保護基を挙げることができる。
【0041】
上記の各種保護基の内、2位のアミノ基又は水酸基に対する保護基の多くは、通常のグリコシル化反応においては強い隣接基関与を示し、α−選択的なグリコシル化反応に対しては重大な障害になるものであるが、前記のように本発明に係るα−選択的グリコシル化反応方法においては、そのような懸念がない。
【0042】
〔α−選択的グリコシル化反応方法の反応条件等〕
本発明のα−選択的グリコシル化反応方法を行うに当たり、反応条件、反応系におけるドナーとアクセプターの濃度、反応触媒の利用等については別段の限定がなく、必要に応じて適宜に設計することができる。
【0043】
但し、反応条件について、好ましくは、塩化メチレン等の非極性溶媒を用い、反応温度は−30°C〜0°Cの範囲で行うことができる。又、反応系におけるドナーとアクセプターの濃度は、好ましくは、0.1M程度とすることが望ましい。反応系におけるドナーとアクセプターの濃度比については、基本的には化学量論的に決定すれば良いが、より好ましくは、アクセプターに対して1.5等量モル程度のドナーを用いることができる。
【0044】
〔糖構造体〕
本発明で用いる糖構造体は、少なくとも4位と6位に水酸基を持ち、かつ4位の水酸基がアキシャル配向で5位の基がエカトリアル配向であると言う構造的条件を満たす6炭糖以上の糖構造体である。糖構造体は、単糖体としても、二糖体以上のオリゴ糖ないし糖鎖の還元末端としても、用いることができる。
【0045】
糖構造体の種類は上記に該当する限りにおいて限定されないが、以下の(a)〜(d)のいずれかを代表的に例示することができる。これらはいずれも、任意の置換基が任意の位置に導入された誘導体、例えばD/L−ガラクトースにおけるN−アセチルガラクトサミン等の置換基誘導体を包含する概念である。
(a)D−ガラクトース又はL−ガラクトース
(b)D−グロース又はL−グロース
(c)2−デオキシ−D−ガラクトース又は2−デオキシ−L−ガラクトース
(d)上記(1)〜(3)のいずれかを基本構造とする7炭糖
又、「第3発明の作用・効果」の欄で前記した理由から、これらの糖構造体は、D体においては六員環のC1立体配座(ピラノシド構造)であることが好ましく、L体においては六員環の1C立体配座(ピラノシド構造)であることが好ましいが、かかる条件に該当しない糖構造体も使用できる可能性を否定しない。
【0046】
〔シリルアセタール構造の保護基形成〕
糖構造体の4位と6位の水酸基にわたって形成する環状の保護基は、シリルアセタール構造のものである限りにおいて限定されないが、特にジアルキルシリレン基を、とりわけジ−(t−ブチル)−シリレン基(DTBS基)を、好ましく例示することができる。その他にも、ジ−イソプロピル−シリレン基、ジ−イソブチル−シリレン基、ジ−n−ブチル−シリレン基、ジ−n−プロピル−シリレン基等も、好ましく例示することができる。
【0047】
〔アクセプター化合物〕
本発明で用いるアクセプター化合物は、基本的にアルコール性水酸基又はチオール基を有する有機化合物であれば良い。アクセプター化合物の好ましい例示として、アルコール性水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、例えばセリン、スレオニン、システイン等を挙げることができる。本発明は有機合成法の一種であるから、L−アミノ酸、D−アミノ酸ともに利用できることは勿論である。
【0048】
又、上記のいずれかのアミノ酸を構成残基として含有するペプチド鎖(オリゴペプチド又はポリペプチド)も、アクセプター化合物として好ましく例示することができる。単糖、あるいは二糖以上のオリゴ糖ないし糖鎖も好ましく例示することができる。
【0049】
更に、上記以外の一般的な有機のアルコール化合物又はチオール化合物、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、エチルメルカプタン等も、アクセプター化合物として利用可能である。
【実施例】
【0050】
次に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0051】
〔実施例1:アクセプター化合物の合成〕
まず、コロミン酸から得られた下記化学式1のシアル酸ダイマーにつき、そのカルボキシル基をメチルエステル化して下記化学式2に示すシアル酸ダイマーを得た。その際、非還元末端側のカルボキシル基は還元末端側の8位の水酸基とラクトンを形成させた。更に、この化学式2に示すシアル酸ダイマーにおけるアノメリック位のアセチル基をフェニルチオ基( SPh基)に変換することにより、下記化学式3に示すジシアル酸ドナーを得た。なお、化学式1〜化学式3において、「Ac」はアセチル基を、「 SPh」はフェニルチオ基を意味する。
【0052】
【化学式1】
Figure 0004599295
【0053】
【化学式2】
Figure 0004599295
【0054】
【化学式3】
Figure 0004599295
次に、下記化学式4に示すように保護基で修飾されたガラクトースを別途準備した。化学式4において、「Bn」はベンジル基を、「SE」は2−(トリメチルシリル)エチル基を意味する。
【0055】
【化学式4】
Figure 0004599295
そして、化学式3に示すジシアル酸ドナーと化学式4に示すガラクトースとを、反応条件の検討から好適と思われた所定の反応条件下で縮合させた。こうして生成したα,βの立体異性体混合物から、一定の組成の溶離液を用いるシリカゲルクロマトグラフィーにより、下記化学式5に示すα異性体を分離した。この化学式5に示す化合物を、本発明に係るα−選択的グリコシル化反応方法に用いるアクセプター化合物とした。
【0056】
化学式5に示すα異性体は2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル 5−アセトアミド−8−O−(5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロノ−1’,9−ラクトン)−4,7−ジ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート〕−(2→3)−2,6−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシドである。
【0057】
【化学式5】
Figure 0004599295
〔実施例2:糖構造体の合成〕
まず、1位の水酸基を Sph基で、2位のアミノ基をTroc基でそれぞれ保護した、下記化学式6に示すガラクトサミントリオール誘導体を所定の合成プロセスによって調製した。このガラクトサミントリオール誘導体は「」ピラノシド構造を持つ。
【0058】
次に、ジ−t−ブチルシランに脱離基としてトリフルオロメタンスルホン酸が付いたDTBS(OTf)を用いて、所定の反応条件下、化学式6に示す化合物の4,6位にDTBSを導入し、4,6位にシリルアセタール構造の保護基を有する下記化学式7に示す化合物を得た。
【0059】
更に、化学式7に示す化合物に対してピリジン溶媒中でTrocClを作用させ、3位に Troc 基が導入された下記化学式8に示す化合物を得た。この化学式8の化合物を、本発明に係るα−選択的グリコシル化反応方法に用いる糖構造体(ガラクトサミンドナー)とした。
【0060】
化学式8に示す化合物は、フェニル−2−デオキシ−4,6−O−ジ−tert−ブチルシリレン−1−チオ−3−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−2−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルアミノ)−β−D−ガラクトピラノシドである。
【0061】
【化学式6】
Figure 0004599295
【0062】
【化学式7】
Figure 0004599295
【0063】
【化学式8】
Figure 0004599295
〔実施例3:グリコシル化反応〕
第3図に示すように、化学式8に示す糖構造体と、化学式5に示すアクセプター化合物とから、以下に述べるプロセスによって、下記化学式9に示すグリコシドを得た。
【0064】
化学式9に示すグリコシドは、2−(トリメチルシリル)エチル〔メチル−5−アセトアミド−8−O−(5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロノ−1’,9−ラクトン)−4,7−ジ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−2−ノヌロピラノシロネート−(2→3)〕−〔2−デオキシ−4,6−O−ジ−tert−ブチルシリレン−3−O−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)−2−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルアミノ)−α−D−ガラクトピラノシル〕−2,6−ジ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシドである。
【0065】
【化学式9】
Figure 0004599295
即ち、まず、化学式8に示す糖構造体(118mg,0.155mmol)と、化学式5に示すアクセプター化合物(100mg,77.4μmol)とを、5.0mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(200mg)を加え、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、70mg即ち0.310mmolのN−ヨウ化コハク酸イミド(NIS)と2.7μl即ち31.0μmolのトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH)を加えて、攪拌した。
【0066】
そして薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応の進行を確認しながら、途中、化学式8に示す糖構造体(118mg)、NIS(70mg)、TfOH(2.7μl)をそれぞれもう一回ずつ加えた。結局、攪拌は32時間行った。
【0067】
反応の終了をTLC(AcOEt/MeOH=15/1)によって確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供して、その溶出溶媒中から、化学式9に示すグリコシド(113mg,75%)を得た。
【0068】
〔実施例1〜実施例3の考察〕
ところで上記実施例1〜実施例3は、当初の目的としては、ジシアリルガラクトースユニットの合成を目的として行った実験の一部であった。そして本願発明者の予測としても、化学式8の糖構造体の2位のアミノ基を隣接基関与が予想されるTroc基としていること等から、化学式8の糖構造体と化学式5のアクセプター化合物とのβ−グリコシドが得られるであろう、と予想していた。
【0069】
しかしながら、得られた化学式9のグリコシドは、H−NMRで解析したところ、意外にもα−グリコシドであり、β−グリコシドと思われる生成物を確認できなかった。この他にも、下記表1のように、上記の実施例3と同様の内容であるが、反応温度、ドナー、アクセプターの使用濃度及び反応時間のみを少し変更した合成実験(上記の実施例3は表1の Entry No.1に相当する)を行ったが、いずれの合成実験例( Entry No.)においても、α−グリコシドのみが表1の収率で得られ、β−グリコシドと思われる生成物を確認できなかった。
【0070】
【表1】
Figure 0004599295
なお、表1の収率の欄(「Yield」)の百分比数値をカッコ付きで表記した理由は、H−NMRにおいてrotamerと思われる不純シグナルが混在していたためである。この現象の原因を詳述することは控えるが、DTBS基の影響によるものであることが分かった。
【0071】
実施例1〜実施例3のような合成反応系において高度に選択的なα−グリコシル化反応を達成できるとなると、従来から有力な改良合成法の開発が求められている、例えばO結合型糖鎖の化学合成等についての極めて簡単で有利な新規合成手段を提供できることになる。そこで、実施例1〜実施例3においてα−選択的グリコシル化反応を可能にした要素がどの点に存するのかを確認するため、引き続き、次の実施例4〜実施例6及び比較例1を行った。
【0072】
〔実施例4:アクセプター化合物の変更(1)〕
グリコシル化反応に対する立体障害の少ない2−アダマンタノール(下記化学式10に示す)をアクセプター化合物に用い、以下のようにして、その水酸基への糖構造体ドナーの導入を試みた。
【0073】
【化学式10】
Figure 0004599295
即ち、前記した化学式8の糖構造体(50mg,65.6μmol)と、アクセプター化合物たる化学式10の2−アダマンタノール(30mg,0.197mmol)とを2.6mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(80mg)を加え、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却して、NIS(30mg,0.131mmol)、TfOH(1.2μl,13.1μmol)を加えて、1時間攪拌した。
【0074】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/3)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0075】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/20)中から縮合反応に係るグリコシドを得た。このグリコシドを構造解析(H−NMRによる。以下同様。)したところ、β−グリコシドも8%程度見られたが、85%の収率でα−グリコシドが得られていた。
【0076】
〔実施例5:アクセプター化合物の変更(2)〕
本発明の糖での応用を視野に入れ、1級アルコールであるグルコース(下記化学式11に示す)をアクセプター化合物に用い、以下のようにして、その6位水酸基への糖構造体ドナーの導入を試みた。
【0077】
【化学式11】
Figure 0004599295
即ち、前記した化学式8の糖構造体(50mg,65.6μmol)と、アクセプター化合物たる化学式11の化合物(n−ヘキシル−2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシド;38mg,98.4μmol)とを、2mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(100mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、NIS(30mg,0.131mmol)、TfOH(1.2μl,13.1μmol)を加えて、5時間攪拌した。
【0078】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0079】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/4)中から、縮合反応に係るグリコシドを得た。このグリコシドを構造解析したところ、驚くべきことに90%の高収率でα−グリコシドが得られていた。TLC上でβ−グリコシドの可能性のあるスポットも見られたが、単離・同定には至っていない。
【0080】
〔実施例6:糖構造体の3位保護基の変更〕
次に、糖構造体における3位の保護基の影響を検証するため、前記化学式8の糖構造体における3位の保護基であった Troc 基を同じアシル系のアセチル基に変更した下記化学式12に示す化合物を糖構造体ドナーとして用い、以下のようにして、実施例5と同じ化学式11のグルコースアクセプターの6位水酸基への糖構造体ドナーの導入を試みた。
【0081】
【化学式12】
Figure 0004599295
即ち、化学式12の糖構造体(50mg,79.5μmol)とアクセプター化合物たる化学式11の化合物(47mg,0.119mmol)とを2mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(100mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、NIS(36mg,0.159mmol)、TfOH(1.4μl,15.9μmol)を加えて30分間攪拌した。
【0082】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0083】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/4)中から、化学式13に示す化合物を得た。その収量は69mgであり、、収率にして実に96%と言うほぼ定量的なものであった。この結果は驚くべきものであると考える。
【0084】
【化学式13】
Figure 0004599295
〔比較例1:DTBS基で保護しない糖構造体の使用〕
ここで、糖構造体の4位と6位の水酸基にわたってシリルアセタール構造の保護基を有しない糖構造体ドナーとして、下記化学式14に示す化合物〔3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−1−チオ−2−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルアミノ)−β−D−ガラクトピラノシド〕を用い、以下のようにして、前記化学式5に示すアクセプター化合物とのグリコシル化反応を試みた。
【0085】
【化学式14】
Figure 0004599295
即ち、化学式14の糖構造体(1.10g,1.93mmol)とアクセプター化合物たる化学式5の化合物(1.00g,0.774mmol)とを、77mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(2g)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、NIS(868mg,3.86mmol)、TfOH(34μl,0.386mmol)を加えて1時間攪拌した。
【0086】
反応の終了をTLC(AcOEt/MeOH=15/1)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次にこの濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0087】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt)中から、下記の化学式15に示すグリコシドを収量994mg、収率73%で得た。このグリコシドを構造解析した結果、β−グリコシドであることが分かった。
【0088】
【化学式15】
Figure 0004599295
〔実施例4〜実施例6及び比較例1の考察〕
実施例4及び実施例5の結果を実施例3の結果と併せて考えると、アクセプター化合物の種類又は化学構造はα−選択的グリコシル化反応の可否を規定する要素ではないと考えられる。従って、本発明に係るα−選択的グリコシル化反応に用い得るアクセプター化合物としては、通常のグリコシル化反応におけるアクセプター化合物の条件たるアルコール性水酸基又はチオール基を備えていれば足りる、と考えられる。
【0089】
次に、実施例6の結果から、糖構造体における3位の保護基の種類もα−選択的グリコシル化反応の可否を規定する要素ではないと考えられる。
【0090】
一方、上記の各実施例において生成したグリコシドの全量あるいはほぼ全量がα−グリコシドであったのに対して、比較例1のように、4位と6位の水酸基にわたってシリルアセタール構造の保護基を有しない糖構造体ドナーを用いた場合にのみ、生成したグリコシドの全量がβ−グリコシドであった。従って、本発明に係るα−選択的グリコシル化反応の可否を規定する要素は、「糖構造体ドナーの4位と6位の水酸基にわたって、シリルアセタール構造の保護基が環状に形成されていること」である。
【0091】
〔実施例7:アミノ糖ドナーにおける2位保護基の隣接基関与(1)〕
次に、2位にアミノ基を有するガラクトサミンやグルコサミンをアクセプター化合物にα−選択的に導入したい場合、2位アミノ基の保護基による隣接基関与が大きな障害になってきたことは、従来技術に関して前記した通りである。そこで、化学式8に示す糖構造体における2位のアミノ基の保護基であった Troc
基を、それよりも明らかに隣接基関与が強いと認知されている保護基に変更してもα−選択的グリコシル化反応を確保できるか否かを検証するため、以下の実施例7を行った。
【0092】
即ち、化学式8の化合物における2位の Troc 基をBz基に変更(なお、実際には3位の Troc 基も同様に変更)した下記化学式16の化合物を糖構造体ドナーとして用い、以下のようにして、実施例5と同じ化学式11のグルコースアクセプターの6位水酸基への糖構造体ドナーの導入を試みた。
【0093】
【化学式16】
Figure 0004599295
まず、化学式16の糖構造体(50mg,80.5μmol)とアクセプター化合物たる化学式11の化合物(47mg,0.121mmol)とを2mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(100mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、NIS(36mg,0.161mmol)、TfOH(1.4μl,16.1μmol)を加えて20時間攪拌した。
【0094】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0095】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/5)中から、下記化学式17に示すαーグリコシド化合物(構造解析にて確認)を得た。その収量は51mgであり、収率は71%であった。β−グリコシドは単離されず、他の若干の副産物を生成した。
【0096】
【化学式17】
Figure 0004599295
〔実施例8:アミノ糖ドナーにおける2位保護基の隣接基関与(2)〕
実施例7の場合と同様の理由から、化学式8に示す糖構造体における2位のアミノ基の保護基であった Troc 基を、それよりも明らかに隣接基関与が強いと認知されている Phth 基に変更(なお、実際には3位の Troc 基もアセチル基に変更)した下記化学式18の化合物を糖構造体ドナーとして用い、以下のようにして、実施例5と同じ化学式11のグルコースアクセプターの6位水酸基への糖構造体ドナーの導入を試みた。
【0097】
【化学式18】
Figure 0004599295
化学式18の糖構造体(100mg,0.171mmol)と、アクセプター化合物たる化学式11の化合物(100mg,0.256mmol)とを4.3mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(200mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後0°Cに冷却し、NIS(77mg,0.342mmol)、TfOH(3μl,34.2μmol)を加えて30分間攪拌した。
【0098】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0099】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=2/5)中から、下記化学式19に示すαーグリコシド化合物(構造解析にて確認)を得た。その収量は141mgであり、収率は95%であった。
【0100】
【化学式19】
Figure 0004599295
〔実施例7及び実施例8の考察〕
実施例7及び実施例8の結果から、本発明に係るα−選択的グリコシル化反応方法は、従来より問題となっていた隣接基関与の強弱に影響されることなく達成され、従って汎用性の高い方法であることが確認された。
【0101】
〔実施例9:α−ガラクトサミン−セリンの合成〕
前記したように、ガラクトースタイプの糖構造体ドナーにおけるα−選択的グリコシル化反応の最も利用価値の高いケースは、O結合型糖鎖の化学合成であると考えられる。そこで、O結合型糖鎖における糖鎖とペプチドの結合部位を構成するα−ガラクトサミン−L−セリン又はα−ガラクトサミン−L−スレオニンの内、後者のケースを選択して、以下のようにα−選択的グリコシル化反応方法を試みた。
【0102】
まず、ガラクトサミンドナーには、後の糖鎖延長を考慮して、3位に Troc
基を導入した化学式8の糖構造体を用いた。セリンの側も、後のペプチド鎖延長を考慮して、化学式20及び化学式21のように保護基を導入した2種類のものを準備した。下記実施例9−1及び実施例9−2に述べるように、アミノ酸の保護基の違いにより幾分かの収率の差異は見られたが、いずれの場合にも予想通りの高いα−選択性を示した。
【0103】
【化学式20】
Figure 0004599295
【0104】
【化学式21】
Figure 0004599295
(実施例9−1)
化学式8の糖構造体(122mg,0.160mmol)と、アクセプター化合物たる化学式20の化合物(N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン−ペンタフルオロフェニルエステル;50mg,0.123mmol)とを、2.8mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(170mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却して、NIS(72mg,0.320mmol)、TfOH(2.8μl,32.0μmol)を加えた後、30分間攪拌した。
【0105】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0106】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/3)中から、期待した通りのα−グリコシドであるα−ガラクトサミン−セリン(構造解析にて確認)を得た。その収量は117mgであり、収率は90%であった。
【0107】
(実施例9−2)
化学式8の糖構造体(100mg,0.131mmol)と、アクセプター化合物たる化学式21の化合物(N−9−フルオレニルメトキシカルボニル−L−セリン−ペンタフルオロフェニルエステル;50mg,0.101mmol)とを、2.3mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(150mg)を加えた後、室温にて1時間攪拌した。その後、0°Cに冷却し、NIS(59mg,0.262mmol)、TfOH(2.3μl,26.2μmol)を加え、30分間攪拌した。
【0108】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/2)により確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別し、クロロホルムで洗浄した。次に、濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをカラムクロマトグラフィーに供した。
【0109】
そして、カラムクロマトグラフィーの溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/3)中から、期待した通りのα−グリコシドであるα−ガラクトサミン−セリン(構造解析にて確認)を得た。その収量は91mgであり、収率は78%であった。
【0110】
〔実施例10:糖構造体の1位保護基の変更〕
次に、前記化学式8の糖構造体における1位水酸基の保護基( Sph基)を、イ:SCH基、ロ:F基、ハ:OC(NH)CCl基にそれぞれ変更した糖構造体を用い、これらと2−アダマンタノールとの間でα−選択的グリコシル化反応方法を行った。
【0111】
(実施例10−1)
アルゴン気流下、糖構造体イ(150mg,0.214mmol)と2−アダマンタノール(21.7mg,0.143mmol)を3.5mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(170mg)を加えて室温で1時間攪拌した後に、0°Cに冷却して、NIS(96.4mg,0.428mmol)、TfOH(3.8μl,42.8μmol)を加えて、30分間攪拌した。
【0112】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/3)で確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別しクロロホルムで洗浄した。次に濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaCO、sat.NaO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/30)中から得たグリコシドを構造解析したところ、β−グリコシドも11%程度(13mg)見られたが、85%(106mg)の収率でα−グリコシドが得られた。
【0113】
(実施例10−2)
アルゴン気流下、糖構造体ロ(150mg,0.223mmol)と2−アダマンタノール(22.6mg,0.148mmol)を3.7mlのジクロロメタンに溶解し、MS4Å(170mg)を加え室温で1時間攪拌した後0°Cに冷却し、遮光下にてSnCl(42.3mg,0.223mmol)、AgClO(55.5mg,0.267mmol)を加え16時間攪拌した。
【0114】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/4)で確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別しクロロホルムで洗浄した。次に濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaHCO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/30)中から得たグリコシドを構造解析したところ、β−グリコシドも10%程度(12mg)見られたが、78%(93mg)の収率でα−グリコシドが得られた。
【0115】
(実施例10−3)
アルゴン気流下、糖構造体ハ(150mg,0.184mmol)と2−アダマンタノール(18.7mg,0.123mmol)を3.1mlのジクロロメタンに溶解し、AW−300(170mg)を加え室温で1時間攪拌した後、0°Cに冷却し、TMSOf(0.670μl,3.68μmol)を加え、30分間攪拌した。
【0116】
反応の終了をTLC(AcOEt/Hexane=1/3)で確認した後、生成した固形物をセライトにて濾別しクロロホルムで洗浄した。次に濾液と洗浄液とを合わせてクロロホルムで希釈し、有機層をsat.NaHCO、Brineの順で洗浄し、NaSOで乾燥・減圧濃縮した後、得られたシラップをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。溶出溶媒(AcOEt/Hexane=1/30)中から得たグリコシドを構造解析したところ、β−グリコシドも9%程度(9mg)見られたが、87%(86mg)の収率でα−グリコシドが得られた。
【産業上の利用分野】
【0117】
以上のように、本発明によれば、糖構造体における高度に選択的なα−グリコシル化反応が、簡易かつ便宜な方法によって可能となる。
【図面の簡単な説明】
【第1図】 第1図は、従来技術に係るα−選択的グリコシル化反応方法のフローを示す図である。
【第2図】 第2図は、従来技術に係るα−選択的グリコシル化反応方法のフローを示す図である。
【第3図】 第3図は、本発明の実施例に係るα−選択的グリコシル化反応を示す図である。

Claims (6)

  1. ドナーとしての糖構造体とアクセプター化合物のアルコール性水酸基又はチオール基との間でグリコシル化反応を行わせる方法であって、
    (1)前記糖構造体として、単糖体である6炭糖の糖構造体であって、少なくとも4位と6位に水酸基を持ち、かつ4位の水酸基がアキシャル配向で5位の基がエカトリアル配向であるという構造的条件を満たし、しかも、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc基)又はアセチル基と結合したアミノ基から選ばれる、隣接基関与によってα−選択的グリコシル化反応に干渉する置換基を2位に有するものを用い、
    (2)この糖構造体の4位と6位の水酸基にわたって、ジ−(t−ブチル)−シリレン基(DTBS基)、ジ−イソプロピル−シリレン基、ジ−イソブチル−シリレン基、ジ−n−ブチル−シリレン基、ジ−n−プロピル−シリレン基から選ばれるシリルアセタール構造の保護基を環状に形成したもとで、
    (3)この糖構造体と前記アルコール性水酸基又はチオール基との間でグリコシル化反応を行わせることにより、
    (4)α/β比においてα−グリコシドを80%以上の比率で含む糖構造体グリコシドを得るα−選択的グリコシル化反応方法。
  2. 前記糖構造体が、以下(a)〜(c)のいずれかである請求項1に記載のα−選択的グリコシル化反応方法。
    (a)D−ガラクトース又はL−ガラクトース
    (b)D−グロース又はL−グロース
    (c)2−デオキシ−D−ガラクトース又は2−デオキシ−L−ガラクトース
  3. 前記糖構造体が、D体においてはC1立体配座(ピラノシド構造)であり、L体においては1C立体配座(ピラノシド構造)である請求項1又は請求項2に記載のα−選択的グリコシル化反応方法。
  4. 前記シリルアセタール構造の保護基形成に当たり、予め、糖構造体における所定の反応性官能基に対して保護基修飾を行う請求項1〜請求項3のいずれかに記載のα−選択的グリコシル化反応方法。
  5. 前記保護基修飾において、アミノ基に対する保護基が2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基(Troc基)である請求項4に記載のα−選択的グリコシル化反応方法。
  6. 前記アクセプター化合物として、アルコール性水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、これらのいずれかのアミノ酸を構成残基として含有するペプチド鎖、単糖、あるいは二糖以上のオリゴ糖ないし糖鎖を用いる請求項1〜請求項5のいずれかに記載のα−選択的グリコシル化反応方法。
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