JP2003274993A - オリゴ糖鎖の生産方法 - Google Patents

オリゴ糖鎖の生産方法

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JP2003274993A JP2002083905A JP2002083905A JP2003274993A JP 2003274993 A JP2003274993 A JP 2003274993A JP 2002083905 A JP2002083905 A JP 2002083905A JP 2002083905 A JP2002083905 A JP 2002083905A JP 2003274993 A JP2003274993 A JP 2003274993A
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Tomonori Sato
智典 佐藤
Tetsuji Kondo
哲司 近藤
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Keio University
Toray Industries Inc
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Keio University
Toray Industries Inc
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬・医療・研究支援素材などに利用される
多様なオリゴ糖鎖を、糖鎖プライマーを用いて細胞に生
産させる際に、細胞がオリゴ糖鎖を産生させるのに適し
た培養条件で効率的に生産させる方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、細胞に糖鎖プライマーを投与
した培養系に糖を添加することにより、オリゴ糖鎖の産
生効率を向上させることを特徴とするオリゴ糖鎖の生産
方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬・医療・研究支
援素材などに利用されるオリゴ糖鎖の生産方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】生体における細胞の表面は、受精・発生
・分化・増殖・細胞死など様々な段階において特異的な
糖鎖を発現しており、細胞表面はそのような糖鎖で覆わ
れているため、糖鎖の多様性は細胞の多様な機能と密接
に関係していると考えられている。例えば、オリゴ糖鎖
は毒素・ウィルスなどの受容体作用、癌のマーカーとし
ての役割、癌転移に関わるような細胞の接着因子として
重要な役割を果たしている。最近では、アルツハイマー
病の原因と考えられているアミロイドタンパク質との相
互作用も報告されている。
【0003】このように多様なオリゴ糖鎖の機能を研究
し、応用展開するためには、多様な糖鎖を生産する必要
がある。オリゴ糖鎖を生産する方法としては、従来から
ある方法としては、化学合成および酵素を用いる方法が
あげられる。化学合成では一つの天然型のオリゴ糖鎖を
得るのに、多くの反応ステップと特殊な技術を必要と
し、膨大な時間と人件費を必要とするが、その割には収
率が低いため、得られたオリゴ糖鎖は天然物からの抽出
に比べてコストが高いという欠点がある。
【0004】また、酵素反応によるオリゴ糖鎖の合成に
は、加水分解酵素と糖転移酵素を用いた方法があるが、
いずれも使える酵素に制限があるため、現状では望み通
りのオリゴ糖を作るのはほとんど不可能であり、また、
オリゴ糖鎖合成の原料となる糖ヌクレオチドなどの糖供
与体も入手ができるものが限定され、且つ高価であるな
ど、実用的な段階には至っていない。
【0005】しかし、最近になり、動物細胞を使用し、
簡単な構造の糖鎖プライマーを培養細胞に投与すると、
細胞内でこの糖鎖プライマーに糖鎖が付加されて作られ
たオリゴ糖鎖が培養液中に排出され、多様な糖鎖が産生
されることが分かってきている。さらに、培養細胞の種
類を変えれば、異なった構造のオリゴ糖鎖が合成される
ことが知られるようになり(Nakajima, H. et al.,J.Bi
ochem.,124,148-156 (1998))、この方法による多様な
糖鎖生産への応用が試みられるようになってきた。しか
し、この糖鎖プライマーを使用した方法については、そ
の生産に適した培養条件についてはあまり検討されてい
ないのが現状であり、細胞のもつ糖鎖合成の能力を十分
に発揮させるような培養条件を検討することが求められ
ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の糖鎖プライマー
の研究では、細胞を培養する培地として、細胞が糖鎖を
産生するのに最適な培養条件を検討しているわけではな
く、通常使用する培地をそのまま使用し、糖鎖産生を試
みていた。そこで、本発明では、医薬・医療・研究支援
素材などに利用される多様なオリゴ糖鎖を、糖鎖プライ
マーを用いて細胞に生産させる際に、細胞がオリゴ糖鎖
を産生させるのに適した培養条件で、効率的にオリゴ糖
鎖を生産させる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、細胞に糖鎖プライマーを投与した培養系
に糖を添加することにより、オリゴ糖鎖の産生効率を向
上させることを特徴とするオリゴ糖鎖の生産方法を提供
する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、糖鎖プライマー法にお
けるオリゴ糖鎖の生産において、細胞内での糖鎖合成経
路について考察し、糖鎖プライマーへの糖鎖付加の際に
糖供与体として原料となる糖ヌクレオチドの供給という
点に注目し、培地中へ糖ヌクレオチドの前駆体の糖の添
加を行うことにより、細胞内の糖ヌクレオチド合成の活
性化を促し、糖鎖プライマ法による糖鎖産生効率を向上
させる。
【0009】細胞培養系に添加された糖鎖プライマーへ
糖鎖が付加する際に、糖供与体として原料となる糖ヌク
レオチドとしては、例えば、UDP糖としてUDP-グルコー
ス、UDP-ガラクトース、UDP-N-アセチルガラクトサミ
ン、UDP-N-アセチルグルコサミン、UDP-キシロース、UD
P-グルクロン酸、GDP糖として、GDP-マンノース、GDP-
フコースが、CMP糖として、CMP-N-アセチルノイラミン
酸、CMP-N-グリコリルノイラミン酸などがあげられる。
【0010】これら糖ヌクレオチド自体を培養系に添加
しても良いが、糖鎖生産に際してコスト高の原因とな
る。このため、糖鎖産生効率の向上を目的として培養系
に添加する糖としては、これら糖ヌクレオチドの前駆体
となる糖が望ましく、例えば、グルコース、マンノー
ス、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、ラフィ
ノーズ、ガラクチノール、マルトース、N-アセチルグル
コサミン、N-アセチルマンノサミン、N-アセチルマンノ
サミン6-リン酸、N-アセチルノイラミン酸9-リン酸、N-
アセチルノイラミン酸、N-グリコリルノイラミン酸、N-
アセチルグルコサミン1-リン酸、フコース1-リン酸、マ
ンノース6-リン酸、マンノース1-リン酸、ガラクトース
1-リン酸、グルコース1-リン酸、フルクトース6-リン酸
などがあげられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0011】その中でも、原料コスト面と糖鎖プライマ
ー法によるオリゴ糖鎖産生効率向上の効果面から考え
て、グルコース、N−アセチルマンノサミン、マンノー
ス、フルクトースを培養系に添加することにより糖鎖合
成が活性化され、効果的である。
【0012】グルコースは糖ヌクレオチドの前駆体とし
てだけではなく、細胞自体の活性を上昇させる効果もあ
ると考えられる。グルコースは一般の培地にも含まれて
いるが、一般の培地にさらにグルコースを添加すること
により、糖鎖プライマー法によるオリゴ糖鎖の産生効率
が向上させられる。グルコースの添加濃度としては、好
ましくは4mg/mL以上、さらに好ましくは6mg/mL以上であ
る。
【0013】また、グルコース以外に一般の培地に含有
されていないような糖ヌクレオチド前駆体の糖である、
N-アセチルマンノサミン、マンノース、フルクトースを
添加した場合は、細胞内の糖供与体である糖ヌクレオチ
ドの合成活性が極めて高くなり、オリゴ糖鎖の生産量が
格段に高められる。特に、N-アセチルマンノサミンは、
CMP-N-アセチルノイラミン酸の前駆体であり、N-アセチ
ルノイラミン酸が付加しているオリゴ糖鎖であるガング
リオシドの合成の活性化を促すため、生体内での様々な
機能に深く関わるGM3やGM2などのガングリオ系列のオリ
ゴ糖鎖、あるいは、シアリルルイスx、ネオラクト系列
などのガングリオシドの産生が向上する。
【0014】また、マンノースはGDP-フコースの前駆体
であり、フコースが付加するようなオリゴ糖鎖としてル
イスa、ルイスxなどの血液型糖タンパク質オリゴ糖鎖
の産生効率が向上する。これらN-アセチルマンノサミン
やマンノースのように、一般の培地に含まれないような
糖の添加濃度としては、好ましくは4mM以上、より好ま
しくは8mM以上である。
【0015】糖鎖プライマーを添加してオリゴ糖鎖を産
生させるのに使用する細胞としては、動物細胞、昆虫細
胞、植物細胞、あるいは酵母があり、動物細胞として
は、各種動物由来細胞、ヒト組織由来正常細胞、ヒト癌
細胞などがあげられる。また、糖鎖合成酵素、特にヒト
型の糖鎖合成酵素をコードするDNAを組み込んだベク
ターを含む各種細胞を用いることもできるが、これらに
限定されるものではない。酵母を用いた糖鎖の生産にお
いては、酵母特有のハイマンノース型糖鎖合成経路を断
ち、ヒト型の糖鎖遺伝子を組み込んで使用することが望
ましい。
【0016】本発明に用いる細胞培養方法としては、一
般の接着細胞に用いる単層培養法以外にも、高密度培養
法として、マイクロキャリアー培養法、細胞固定用ディ
スクを用いた培養槽、中空糸モジュールを用いた培養シ
ステム、浮遊細胞のサスペンションカルチャー、多段式
培養装置やローラーボトルを用いる方法、または、マイ
クロカプセルに細胞を固定化培養する方法などがあり、
高密度培養法を用いた系の方が、糖鎖産生効率の点から
も好適である。
【0017】細胞培養に使用する培地としては、MEM培
地、D-MEM培地、α-MEM培地、BME培地、ハムF12培地、
ハムF10培地、RPMI1640培地、BME培地、DF培地、199培
地、L-15培地、マッコイ5A培地、NCTC135培地、ウイリ
アムスE培地、ASF104培地などが使用できるが、これら
に限定されるものではない。また、糖鎖プライマーの細
胞への取り込み効率が悪くなる、あるいは産生物の抽出
の際に不純物になるなどの理由からからフェノールレッ
ドを含有しない培地の方が好ましい。
【0018】また、糖以外の培地への添加物として、細
胞内での糖代謝の活性化、および細胞内への糖鎖プライ
マーおよび添加した糖の取り込みを促進するために、イ
ンシュリン、繊維芽細胞増殖因子、上皮細胞増殖因子、
インターフェロン、インターロイキンなどの増殖因子や
サイトカイン、あるいはリポソームや血清アルブミンな
どの細胞内へのキャリアー物質、あるいは二酸化セレン
などの酵素活性を促すような因子、トランスフェリンな
どの鉄輸送タンパク質などを添加しても良い。
【0019】本発明に用いる糖鎖プライマーは、生体内
で糖脂質糖鎖合成のプレカーサーとなるラクトシドセラ
ミドを模倣して作られたラクトースもしくはガラクトー
スに疎水性鎖をつけたアナログ、あるいはN-アセチルグ
ルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、マンノース、
キシロース、グルコースなどに疎水性鎖をつけた糖鎖プ
ライマーが用いられるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0020】培養細胞に糖鎖プライマーを投与してオリ
ゴ糖鎖を生産させるためには、コンフルエントに達した
細胞に、上記したような糖などの添加物を含む無血清あ
るいは低血清濃度培地を用いて10〜100μMの糖鎖プライ
マーを投与し、37℃で1〜5日間培養することにより、
培養上清として糖鎖プライマーに糖が付加した多様なオ
リゴ糖鎖を含む糖鎖産生原液を得ることができる。この
原液を濃縮、分離、抽出、精製を行うことにより、多種
類のオリゴ糖鎖の生産が可能となる。無血清あるいは低
血清濃度で培養を行うのは、糖鎖プライマーが血清成分
に吸着して細胞への糖鎖プライマーの取り込み効率が悪
くなるためであり、血清濃度としては1%以下が好まし
く、さらに好ましくは0.1%以下である。
【0021】本発明によって産生された糖鎖は、ウィル
スや細菌、毒素、病因タンパク質、病因細胞などに対す
る拮抗剤、抗炎症剤、抗癌転移剤や免疫誘導を促すため
のワクチンなどの医薬、ウィルスや毒素や癌細胞などを
吸着、除去するような中空糸や膜素材あるいは、遺伝子
や薬などのデリバリー素材などとして使用する医療材、
多様な糖鎖を基板上に並べてその上で相互作用を検出す
る糖鎖チップや癌マーカー、試薬、細胞培養器材などの
研究支援素材として使用できる。
【0022】
【実施例】実施例1. グルコース添加によるオリゴ糖鎖
産生への効果 N−アセチルガラクトサミン型プライマー(1-(n-dodec
yl)-2-N-acetyl-β-D-Gliucopyranoside)の合成方法 下図の合成スキームに従い合成を行った。
【0023】
【化1】
【0024】1H-NMR(CD3OD、300MHz) δ:4.38(d,1H,J1,2=6.1Hz,GlcNAc H-1),3.88 (m,2H,Gl
cNAcH-6a,NH), 3.66 (m,2H,GlcNAcH-2,H-5),3.45(m,2H,
GlcNAcH-3,H-6b),3.30(m,3H,GlcNAcH-4,O-CH2CH2-(CH2)
9-CH3),1.97(s,each3H,Ac),1.53(m,2H,O-CH2CH2-(CH2)9
-CH3),1.29(s,18H,O-CH2CH2-(CH2)9-CH3),0.90(m,3H,O-
CH2CH2-(CH2)9-CH3)
【0025】N-アセチルガラクトサミン型プライマーを
用いた糖鎖の産生と産生糖鎖の分析方法 オリゴ糖鎖を産生させる細胞として骨髄性白血病細胞株
HL-60を使用した。この細胞をウシ胎児血清10%を含むRP
MI1640培地を用いて増殖させ、コンフルエントになった
ら継代して使用した。増殖させた細胞をフラスコから回
収し、PBS(-)で二回洗浄した後、トランスフェリン50mg
/ml、インシュリン5mg/ml、二酸化セレン30nM を含むRP
MI1640(フェノールレッド不含)に 1.0×106細胞/mlに
なるように懸濁した。
【0026】上記で合成したN−アセチルガラクトサミ
ン型糖鎖プライマー(GlcNAc-C12:1-(n-dodecyl)-2-N-
acetyl-β-Glucopyranoside)を50μMとなるように投与
し、48時間培養して糖脂質を産生させた後、氷上で反応
を停止した。1000rpmで5分間遠心分離して、細胞を沈降
させて、培養上清を回収した。回収した培養上清からSe
p-PakC-18(Waters)を用いて産生されたオリゴ糖鎖(糖
脂質)を含む脂質成分を抽出した。方法は、Sep-PakC-1
8にメタノール10mlを通してカラムを活性化し、超純水1
0mlでカラムを平衡化させ、次に培地成分10mlを二度カ
ラムに通して脂質成分を吸着させ、超純水10mlを通して
カラムを洗浄した。続いてメタノール4ml、クロロホル
ム/メタノール(2/1(v/v))を2ml通して脂質成分をカ
ラムから溶出し、溶出液を蒸発乾燥させた。
【0027】抽出した脂質成分をクロロホルム/メタノ
ール(2/1(v/v))に溶解し、回収量の1/5をHPTLCプレー
ト(Silicagel 60)にスポットし、展開溶媒としてクロ
ロホルム/メタノール/0.2%CaCl2水溶液=50/40/10(v/
v/v)を使用して展開した。溶媒を乾燥した後、プレート
をレゾルシノール塩酸試薬、オルシノール硫酸試薬で染
色し発色させ、産生されたオリゴ糖鎖を検出した。産生
されたオリゴ糖鎖の種類の解析は、TLCブロッティング
によりPVDF膜にオリゴ糖鎖を転写させた後、単離抽出
し、MALDI-TOF-MSを使用して質量分析により産生された
糖の種類を解析した。その結果、表1のようなオリゴ糖
鎖が産生されることが分かった。
【0028】
【表1】
【0029】グルコース添加による産生オリゴ糖鎖量の
比較結果 上記の方法で糖鎖プライマーを投与する際に、培養液に
グルコースを0mg/mL、2mg/mLまたは4mg/mL添加して糖鎖
を産生させた。培養上清から脂質成分を抽出後、上記の
方法で、HPTLCプレート上で展開、染色し、産生された
オリゴ糖鎖の中からX2、X3およびX4について、デンシト
メータを用いて生産量を相対比較した。結果を図1〜図
3に示す。これらの結果により、グルコースの添加によ
り、X2、X3およびX4の糖鎖生産量が増加することが認め
られた。
【0030】実施例2. マンノース添加によるオリゴ糖
鎖産生への効果 上記実施例1と同様に骨髄性白血病細胞株HL-60に糖鎖
プライマーを投与する際にマンノースを0mM,4mM,8mMと
添加し、同様の方法で産生オリゴ糖鎖の生産量の比較を
行った。マンノース添加による産生オリゴ糖鎖量の比較結果 分析により、0mM、4mMまたは8mMのマンノースを添加し
た場合の、産生オリゴ糖鎖X2、X3およびX4の生産量を比
較した結果を図4〜6に示す。これらの結果により、マ
ンノースの添加により、特に、X2やX4のようなフコース
が付加するオリゴ糖鎖に関して、生産量が増加すること
が認められた。
【0031】実施例3. フルクトース添加によるオリゴ
糖鎖産生への効果 上記実施例1と同様に骨髄性白血病細胞株HL-60に糖鎖
プライマーを投与する際にフルクトースを0mM,4mM,8mM
と添加し、同様の方法で産生オリゴ糖鎖の生産量の比較
を行った。フルクトース添加による産生オリゴ糖鎖量の比較結果 分析により、0mM,4mM,8mMとフルクトースを添加した場
合に、産生オリゴ糖鎖X2、X3、およびX4の生産量を比較
した結果を図7〜9に示す。これらの結果により、フル
クトースの添加により、X2、X3およびX4の糖鎖生産量が
増加することが認められた。
【0032】実施例4. N-アセチルマンノサミン添加に
よるオリゴ糖鎖産生への効果(1) 上記実施例1と同様に骨髄性白血病細胞株HL-60に糖鎖
プライマーを投与する際にN-アセチルマンノサミンを0m
M、4mM、8mMまたは12mMの濃度で添加し、同様の方法で
産生オリゴ糖鎖の生産量の比較を行った。N−アセチルマンノサミン添加による産生オリゴ糖鎖量
の比較結果 分析により、0mM、4mM、8mMまたは12mMのN-アセチルマ
ンノサミンを添加した場合の、産生オリゴ糖鎖X2、X3お
よびX4の生産量を比較した結果を図10〜12に示す。これ
らの結果により、N-アセチルマンノサミンの添加によ
り、特に、X3やX4のようなシアル酸が付加するオリゴ糖
鎖の生産量が増加することが認められた。
【0033】実施例5. N-アセチルマンノサミン添加に
よるオリゴ糖鎖産生への効果(2) ラクトシド型プライマー(1-(n-dodecyl)-β-Lactosid
e)の合成方法 下図の合成スキームに従い合成を行った。
【化2】
【0034】1H-NMR(CDCl3、300MHz) δ:0.84(t,3H,CH2CH3),1.23(m,18H,(CH2)10CH3),1.50
(quint,2H,OH2CH2), 4.13 (d,1H,H1,J値よりβ-anome
r),4.17(d,1H,H'-1)
【0035】ラクトシド型プライマーを用いた糖鎖の産
生と産生糖鎖の分析方法 オリゴ糖鎖を産生させる細胞としてアフリカミドリザル
腎臓由来のCOS-7を使用した。細胞をウシ胎児血清10%を
含むDMEM培地を用いて増殖させ、コンフルエントになっ
たらトリプシンで剥離して、継代して使用した。増殖さ
せた細胞をフラスコからトリプシンで剥離して回収し、
ウシ胎児血清10%を含むDMEM培地100mmφ培養ディッシュ
に1.5×106個の細胞を播種し、15〜18時間インキュベー
ションして、細胞を接着させた。
【0036】その後、細胞表面をPBS(-)で洗浄し、 培
地をトランスフェリン50mg/ml、インシュリン5mg/ml、
二酸化セレン30nM を含むDF培地(フェノールレッド不
含)に換えて、糖鎖プライマー(Lac-C12 :1-(n-dodec
yl)-β-Lactoside)を50μMとなるように投与し、48時
間培養して糖脂質を産生させた後、氷上で反応を停止し
た。培養ディッシュから培養上清を回収した。この後、
実施例1と同様に培養上清に産生されたオリゴ糖鎖量の
解析を行った。その結果、表2のような糖鎖が産生され
ることが分かった。
【0037】
【表2】
【0038】N−アセチルマンノサミン添加による産生
オリゴ糖鎖量の比較結果 培養系に糖鎖プライマーを投与する際に、培養液中にN-
アセチルマンノサミンを0mMあるいは4mM添加した際に、
検出された生成物GM3型およびGM2型について、産生オリ
ゴ糖鎖の生産量を比較した結果を図13に示す。この結果
より、N-アセチルマンノサミンの添加により、GM3型やG
M2型のようなシアル酸が付加するオリゴ糖鎖の生産量が
増加することが認められた。
【0039】
【発明の効果】上記の結果より、本発明は、細胞に糖鎖
プライマーを投与した培養系に糖を添加することによ
り、オリゴ糖鎖の産生効率を向上させることを特徴とす
るオリゴ糖鎖の生産方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における培養液にグルコース
を添加した際のX2オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図2】図2は、実施例1における培養液にグルコース
を添加した際のX3オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図3】図3は、実施例1における培養液にグルコース
を添加した際のX4オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図4】図4は、実施例2における培養液にマンノース
を添加した際のX2オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図5】図5は、実施例2における培養液にマンノース
を添加した際のX3オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図6】図6は、実施例2における培養液にマンノース
を添加した際のX4オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添
加の場合の生産量を1とする)。
【図7】図7は、実施例3における培養液にフルクトー
スを添加した際のX2オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無
添加の場合の生産量を1とする)。
【図8】図8は、実施例3における培養液にフルクトー
スを添加した際のX3オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無
添加の場合の生産量を1とする)。
【図9】図9は、実施例3における培養液にフルクトー
スを添加した際のX4オリゴ糖鎖の相対生産量を示す(無
添加の場合の生産量を1とする)。
【図10】図10は、実施例4における培養液にN-アセチ
ルマンノサミンを添加した際のX2オリゴ糖鎖の相対生産
量を示す(無添加の場合の生産量を1とする)。
【図11】図11は、実施例4における培養液にN-アセチ
ルマンノサミンを添加した際のX3オリゴ糖鎖の相対生産
量を示す(無添加の場合の生産量を1とする)。
【図12】図12は、実施例4において培養液にN-アセチ
ルマンノサミンを添加した際のX4オリゴ糖鎖の相対生産
量を示す(無添加の場合の生産量を1とする)。
【図13】図13は、培養液中にN-アセチルマンノサミン
を添加した際に検出された生成物GM3型およびGM2型オリ
ゴ糖鎖の相対生産量を示す(無添加の場合の生産量を1
とする)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 哲司 滋賀県大津市園山1−1−1 東レ株式会 社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4B064 AF04 BH07 CA10 CB30 CD09 CE10 CE16 DA01 4C057 AA03 BB03 BB04 DD03 JJ03 JJ13 4C090 AA05 BA74 BB02 BB12 BB13 BB15 BB25 BB35 BB36 BB53 BB72 DA22 DA23

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養系で細胞に糖鎖プライマーを投与し
    てオリゴ糖鎖を生産する方法であって、前記培養系に糖
    を添加することを特徴とするオリゴ糖鎖の生産方法。
  2. 【請求項2】 前記培養系に添加される糖が糖ヌクレオ
    チド前駆体を形成しうる糖であることを特徴とする請求
    項1記載のオリゴ糖鎖の生産方法。
  3. 【請求項3】 前記培養系に添加される糖がグルコース
    であることを特徴とする請求項2記載のオリゴ糖鎖の生
    産方法。
  4. 【請求項4】 前記糖の添加を糖溶液の添加によって行
    い、前記培養系のグルコースの濃度が4mg/mL以上である
    ことを特徴とする請求項3記載のオリゴ糖鎖の生産方
    法。
  5. 【請求項5】 前記培養系のグルコースの濃度が6mg/mL
    以上であることを特徴とする請求項4記載のオリゴ糖鎖
    の生産方法。
  6. 【請求項6】 前記培養系に添加される糖がN−アセチ
    ルマンノサミンであることを特徴とする請求項2記載の
    オリゴ糖鎖の生産方法。
  7. 【請求項7】 前記培養系に添加される糖がマンノース
    であることを特徴とする請求項2記載のオリゴ糖鎖の生
    産方法。
  8. 【請求項8】 前記培養系に添加される糖がフルクトー
    スであることを特徴とする請求項2記載のオリゴ糖鎖の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記糖の添加を糖溶液の添加によって行
    い、前記培養系の糖の濃度が4mM以上であることを特徴
    とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のオリゴ糖鎖
    の生産方法。
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