JP4000431B2 - 畳縫着装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、畳縫着装置に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、平刺ミシンと返し縫いミシンを同一のベースに載置し、平刺工程及び返し縫い工程への移行を自動的に行うことができる畳縫着機の機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より畳縫着機には種々の提案がなされている。平刺工程又は返し縫い工程を畳の両方の縁部を一度に縫着する装置や、平刺工程と返し縫い工程を一つの装置で行うことができるもの、さらには、平刺工程だけ、返し縫い工程だけといった一つの工程専用の装置まで種々の形態が知られている。
【0003】
特公昭40−2108号公報および特公昭58−31949号公報には、平刺しと返し縫いのための千鳥刺しとを行なう機構を一つに組込んだミシンが記載されている。このミシンは、水平に保持された畳に沿って走行するときに、その駆動を切替えて、例えば、往路では平刺し、復路では返し縫いを行なうことができる。
【0004】
平刺工程と返し縫い工程を一つの装置で行うことができるものは両用機と称されて良く知られている。この両用機は、平刺し装置と返し縫い装置とをライン状に並べて、そこを通過する畳の上前と下前とに同時に縁を縫い付ける大型のライン化装置に比べて、遙かに割安であるため、小規模畳店等で広く利用されている。
【0005】
また、実公昭61−8849号には、返し縫いやかまち縫いの際に、くせ取りされた下前に対して床縁パッドを平行に取り付けることができる畳縫着機が開示されている。この畳縫着機は、縫着用ミシンの畳床供給側に上記床縁パッドのラッパ状ガイドが固定された摺動台を畳床の縫着方向に対して直角の方向に摺動自在に設け、この摺動台にブラケットを介して転動ローラを取付け、この転動ローラを畳床の側面に圧接させるように上記摺動台をスプリングで付勢したものである。上記の転動ローラは、返し縫い工程においては、縫着する畳縁が動かないようにする役割も果たすので縁引きローラと称され、ローラに角度を付け、縫着中に縁をたるみなく引っ張るように位置させることも返し縫い専用装置においては知られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置では、縫着自体に関して言えば手作業で縫うことに比べれば省力化として大変効果があるが、自動化に対するの課題が十分に解決されていなかったのである。
【0007】
それは平刺から返し縫いへ、又は返し縫いから平刺へ移行する場合に、平刺ミシンの刃物を退避させたり、退避状態になっているのを裁断位置へ戻したり、刃物の処置等の退避自動化がされておらず、作業者が手作業で刃物を移動させなければならず、作業が複雑で手間がかかっていた。また、返し縫い専用装置では縁引きローラを使用されることは周知のことであったが、両用機においては、縫着する縁を千枚通し等で作業者が引っ張った状態で固定して、返し縫いミシンの移動に対応して1本ずつ外す作業をしたりしていた。
【0008】
上記のように従来の装置では、熟練した装置操作者が機械のそばに常にいる状態で作業することを必要としていたのである。また、刃物の退避作業を忘れたまま縫着を進め、ほぼ出来上がった畳を損傷させてしまう等の問題も生じていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、平刺ミシンと返し縫いミシンを同一のベース上に載置した畳縫着機において、平刺工程中において縫着する畳床に干渉しない位置へ縁引きローラを退避させる返し縫いミシンを具備する畳縫着装置を提供する。また、平刺ミシンと返し縫いミシンを同一のベース上に載置した畳縫着機において、返し縫い工程中において畳床切断刃を畳床裁断位置から退避させる手段と、畳床切断刃の揺動運動のための駆動伝達手段と、上記駆動伝達手段の連結を解除する手段と、を具備することを畳縫着装置、さらには畳表切断刃を畳表裁断位置から退避させる手段を備え、返し縫い工程中において、畳表切断刃を畳表裁断位置から退避させる畳縫着装置をも提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
畳床の上前側及び下前側を片側ずつ平刺、返し縫いする畳縫着装置を例に上げて、この発明を説明する。
【0011】
この発明の畳縫着装置は図1に示すように、畳を載せる畳縫着台2と、この畳縫着台2に平行に敷設されたレール3と、このレール3上を走行する平刺ミシン11と返し縫いミシン12を同一のベース1に載置し、畳床Aをベース1の方へ押し出す床押し部材25および幅寄せ部材26と、畳床Aを押し込む基準位置を定める床定規27とにより構成されている。
【0012】
畳縫着台2は、図1に示すように、縫着すべき畳が載せられる畳縫着台2と、回転座21とを備えており、この回転座21は、シャフト22が上昇した状態で、シャフト22を中心にして回転可能に構成されており、畳の一辺の縫着が完了したときにシャフト22を上昇させて、畳を180度回転させる。
【0013】
床定規27は、畳の位置決めの際に、図示の状態を維持し、位置決めが済むと、畳の縫着の邪魔にならないように畳縫着台2の内部の待機位置に移動する。畳縫着台2およびベース1、平刺ミシン11、返し縫いミシン12等の各部の動作は、マイクロコンピュータを用いた制御装置(図示せず)により制御され、床押し部材25および幅寄せ部材26は、畳縫着台2に載せられた畳を床定規27の方向へ押し込む動作を行うものである。
【0014】
平刺ミシン11は、図2に示すように直針針111と、主として畳床Aを裁断する畳床切断刃113および主として畳表を裁断する畳表切断刃112とを備えている。なお、本発明の畳表切断刃および畳床切断刃を退避させること以外の部分においては公知のものを使用することができる。
【0015】
平刺ミシン11は、ベース1の移動によりレール3上を移動し、このとき畳床に対する移動が制御されてくせ取りが実施される。畳表切断刃112は、回転する刃物であり、畳床切断刃113は、一定の角度範囲を往復(揺動)する包丁のような刃物であって、畳表切断刃112は、通常は畳表を畳床よりも僅か内側で裁断するように、畳床切断刃113と裁断位置をずらして配置されている。
【0016】
本実施の形態では、図3に示すように畳表切断刃112および畳床切断刃113は一つのモータ114で駆動されており、畳表切断刃はベルト115でモータ114の回転を伝達されて駆動している。そして、畳表切断刃112を取り付けたシャフト116にはフレキシブルカップリング117を設けて、畳表切断刃が裁断位置から退避できる構造を有している。(図4参照)退避のための駆動源はエアシリンダ等を適宜用いればよい。
【0017】
畳床切断刃113は揺動用シャフト131の一端に設けられ、他端には連結ブラケット132が固定されている。連結ブラケット132にはスプリング133が設けられており、その他端はミシンフレームに設けられたバネ掛け部材に取り付けて、スプリング133の付勢力により畳床切断刃113が裁断位置から退避する位置へ揺動用シャフト131を回転させて、その位置で保持することができる。(図3(a)参照)
【0018】
揺動ブラケット136は、連結ピン134が揺動ブラケット136に設けられたピン穴135に入ることによって連結ブラケット132と連結されるもので、モータ114とはロッド137にて連結されている。モータ114のシャフトに偏心ボスが取り付けられて自動調芯軸受を介してロッド137が設けられているので、モータの回転運動を揺動ブラケットにおいては揺動運動に変えている。図3(b)においてロッド137は実線位置と二点鎖線の間で移動し、畳床切断刃113が実線位置と二点鎖線の間で揺動するのである。
【0019】
返し縫いミシン12は、図5および図6に示すように円弧状の縫い針51と、畳の側面に当接し返し縫いミシン12が矢印Sの方向に進むときに縫着する畳縁Bを矢印T方向へ引っ張ることによりたるみを無くす縁引きローラ52を具備している。上記縁引きローラ52と、畳の上面ガイド53はエアシリンダ54により上下方向に昇降可能に構成されており、返し縫い工程において下面ガイド55との間に縫着する畳を挟んで案内する。
【0020】
縁引きローラ52は、畳の側面に常に当接するようにスプリング56で付勢されてもいる。そして、畳の側面に当接したローラ部は縁をたるみなく引っ張るように角度をつけて配置されている。この角度とスプリング56の付勢力を調整することにより、縁を引っ張る力を調整することができる。(図6参照)
【0021】
本畳縫着装置の動作について説明すると、平刺工程中おいては、返し縫いミシン12は稼働しないので、畳床Aに干渉しない位置に縁引きローラ52を退避させておかねばならない。そこで縁引きローラ52をエアシリンダ54により、図5(a)および図5(b)に示したように上下方向に昇降可能に構成し、上昇した位置が退避位置となるようにしている。
【0022】
次ぎに平刺工程を完了し、返し縫い工程に移行することについて説明すると、平刺しミシン11においては、畳表切断刃112および畳床切断刃113をそれぞれの裁断位置から退避させなければならない。そこで、畳表切断刃の退避は図4の(b)の状態から(a)の実線の状態へとエアシリンダ等を用いて退避させる。
【0023】
畳床切断刃113の退避は、モータ114が停止し、図3(b)に示した状態から、まずエアシリンダを縮めて連結ピン134を移動させて揺動ブラケット136と連結ブラケット132の連結を解除して駆動伝達手段を切り離した状態とする。そうすると、スプリング133の付勢力により連結ブラケット132は矢印R方向に回転し、その結果畳床切断刃113が揺動用シャフト131と共に裁断位置から退避位置、すなわち図3(a)の位置へ回転移動するのである。このとき、連結復帰エアシリンダ138は図3(a)の状態のように縮んでおり、連結ブラケット132の回転を妨げない。
【0024】
返し縫いミシン12においては、エアシリンダ54が駆動され上面ガイド53が下降し、縁引きローラ52が縫着待機位置に準備される。以上にて移行が完了することとなる。
【0025】
返し縫い工程から平刺工程へ移行する際には、平刺しミシン11において解除されている揺動ブラケット136と連結ブラケット132の連結を戻すために、連結ピン134を退避させて連結復帰エアシリンダ138を伸張させる(図3(b)参照)ことによって連結ブラケット132を回転させ、畳床切断刃113を裁断位置へ移動させる。ここで連結ピン134を突出させ揺動ブラケット136に設けられたピン穴135に挿通させる。その後、連結復帰エアシリンダ138は縮められて図3(a)の状態に戻り、畳床切断刃113は揺動可能に準備される。
【0026】
畳表切断刃112も裁断位置へ復帰させ、返し縫いミシン12の縁引きローラ52を退避させると移行は完了となる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、装置の操作者に手作業での移行作業をさせずに、自動的に移行ができるので装置の操作に熟練を必要としなくても使用でき、縫着作業も効率をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の畳縫着機の平面図
【図2】 平刺しミシン、返し縫いミシン部を説明する正面図
【図3】 (a)平刺しミシンにおいて畳床切断刃が退避した状態を示す説明図
(b)平刺しミシンにおいて畳床切断刃が裁断位置にある状態を示す説明図
【図4】 (a)平刺しミシンにおいて畳表切断刃が退避した状態を示す説明図
(b)平刺しミシンにおいて畳表切断刃が裁断位置にある状態を示す説明図
【図5】 (a)返し縫いミシンにおいて縁引きローラが退避した状態を示す説明図
(b)返し縫いミシンにおいて縁引きローラが待機位置にある状態を示す説明図
【図6】 返し縫い工程において縁引きローラが畳床に当接している状態を説明する図
【符号の説明】
A 畳床
B 畳縁
1 ベース
2 畳縫着台
3 レール
11 平刺ミシン
12 返し縫いミシン
25 床押し部材
26 幅寄せ部材
27 床定規
51 縫い針
52 縁引きローラ
53 上面ガイド
54 エアシリンダ
55 下面ガイド
56 スプリング
111 直針針
112 畳表切断刃
113 畳床切断刃
114 モータ
115 ベルト
116 シャフト
117 フレキシブルカップリング
131 揺動用シャフト
132 連結ブラケット
133 スプリング
134 連結ピン
135 ピン穴
136 揺動ブラケット
137 ロッド
138 連結復帰エアシリンダ
Claims (3)
- 平刺ミシンと返し縫いミシンを同一のベース上に載置した畳縫着機において、平刺工程中において縫着する畳床に干渉しない位置へ縁引きローラを退避させる返し縫いミシンを具備することを特徴とする畳縫着装置。
- 平刺ミシンと返し縫いミシンを同一のベース上に載置した畳縫着機において、返し縫い工程中において畳床切断刃を畳床裁断位置から退避させる手段と、畳床切断刃の揺動運動のための駆動伝達手段と、上記駆動伝達手段の連結を解除する手段と、を具備することを特徴とする畳縫着装置。
- 畳表切断刃を畳表裁断位置から退避させる手段を備え、返し縫い工程中において、畳表切断刃を畳表裁断位置から退避させることを特徴とする請求項2記載の畳縫着装置。
Priority Applications (1)
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JP29752398A JP4000431B2 (ja) | 1998-09-11 | 1998-09-11 | 畳縫着装置 |
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JP2000084279A JP2000084279A (ja) | 2000-03-28 |
JP4000431B2 true JP4000431B2 (ja) | 2007-10-31 |
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JP (1) | JP4000431B2 (ja) |
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1998
- 1998-09-11 JP JP29752398A patent/JP4000431B2/ja not_active Expired - Fee Related
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