JPS627261Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、布押え足と協働して加工布に送り運
動を付与するための四運動送り可能な送り歯を備
えたミシンにおける縫いずれ防止装置に関し、特
には送り歯と関連して運動する下針を備えた縫い
ずれ防止装置に関する。

従来技術 この種の縫いずれ防止装置として、本出願人は
先に出願した実願昭58−40063号の明細書中に記
載された装置を提案した。この装置は、送り歯に
対して相対運動可能に構成された下針を使用する
ことにより、薄物から厚物まぜの全ての布地に対
して縫いずれを確実に防止し得、しかも下針へ相
対運動を付与するための機構を簡単にし得るとい
う点で実用的効果が大であつた。しかしながら、
前記提案された装置においても改良すべき点が残
されていた。

即ち、各縫目形成の際に下針を加工布に突刺し
てその加工布を強制的に移送することから、加工
布は下針の突刺しにより損傷される危険性があつ
た。このため、加工布の押圧力を比較的強くする
ことにより縫いずれを生ずることなく送り歯のみ
にて移送し得る加工布に関しては、下針を作動さ
せない方が望ましく、結果として加工布の種類に
応じて下針を作動または不作動にすることが必要
になつた。

目 的 本考案は前述した技術的背景に基いて為された
もので、その目的は作業者が加工布の種類に応じ
て下針の作動及び不作動を容易に切換え得る構造
を備えたミシンの縫いずれ防止装置を提供するこ
とである。

解決手段 上記目的を達成するために、本考案は、送り歯
を載置する送り台上に回動可能に配置されその一
方の腕部に下針が設けられた二腕状の作動レバー
を備え、その作動レバーの他方の腕部に対して当
接及び離隔し得る移動部材を針板の下方に配置
し、その移動部材をミシン機枠上の操作体に作動
的に連結することによりミシンの縫いずれ防止装
置を構成している。

以上の構成により、移動部材の位置は作動レバ
ーの他方の腕部と当接し得る作動位置とその他方
の腕部から離隔した不作動位置との間で操作体の
操作に従つて切換えられる。移動部材が不作動位
置に変位された時に、送り台の上下運動に連動す
る作動レバーの回動が禁止されて下針は針板上面
より下方に保持される。従つて、下針の作動及び
下作動を操作体の操作により容易に切換えること
ができ、またミシンの送り機構を大幅に変更する
ことなく本考案の縫いずれ防止装置をミシンに簡
単に装備することができる。その他の本考案の特
徴については以下の実施例の説明から明らかにな
るであろう。

実施例 本考案を具体化した実施例について図面を参照
して以下に説明する。

第１図は本考案の縫いずれ防止装置が装備され
たミシンの外観を示しており、ミシン機枠１０の
頭部１１の上面には加工布への押え圧を調節する
ために回動操作可能な押え圧調節ダイヤル１２が
配置され、その頭部１１の全面に押え圧表示装置
１３が配置されている。その押え圧表示装置１３
は「厚物」、「普通物」、「薄物」及び「ベルベツ
ト」にそれぞれ対応した表示領域が設けられた表
示板と、前記ダイヤルユニツト１２の操作に連動
して移動し前記複数の表示領域中の１つを指示す
る指針とを有している。ミシン機枠１０のベツド
部１４上には、後述の送り歯２５を沈下させると
共に後述の下針４４を不作動にするために回動操
作可能な操作体１５が配置されている。また、上
下往復動可能な針棒１６と、前記押え圧調節ダイ
ヤル１２により調節された押圧力が付与される昇
降可能な押え棒１７とが頭部１１の内部に設けら
れ、縫針１８及び布押え足１９が針棒１６の下端
並びに押え棒１７の下端にそれぞれ取付けられて
いる。

第２図は押え足１９と協働して加工布２１，２
２へ送り運動を付与するための機構を示してお
り、針板２３の下方には、送り歯２５を載置する
送り台２６が配置され、その送り台２６の左方端
部は揺動腕２７を介して水平送り軸２８に連結さ
れ、その右方の二股部は上下送り軸２９上にて揺
動可能な揺動レバー３０の一方の腕部とコロ３０
ａを介して連結されている。この構成により、送
り歯２５は針板２３に穿設された３列の案内溝３
１ａ，３１ｂ，３１ｃを介して公知の四運動送り
を行い、布押え足１９と協働し且つ縫針１８の上
下往復動に調時して両加工布２１，２２に送り運
動を付与する。

次に送り台２６上に設けられた縫いずれ防止装
置４０について説明する。

送り歯２５の後端から下方に延出した支持部４
１には、二股状作動レバー４２が段ねじ４３によ
り回動可能に支持されている。その作動レバー４
２の一方の腕部４２ａの自由端は折曲され、その
自由端の下方に下針４４を受けるための受板４５
が設けられている。また、腕部４２ａの自由端４
５には嵌入溝４６が形成され、その自由端に一端
が固定された湾曲ばね４７がその湾曲部を嵌入溝
４６中に嵌入させた状態にて配置され、その湾曲
ばね４７の他端は作業者による押圧操作が可能な
ように右方に延出している。そして、下針４４は
腕部４３の自由端内周面と湾曲ばね４７の湾曲部
とにより弾性的に支持され、その湾曲ばね４７の
他端を第５図において上方に押圧操作することに
より下針４４は取外し可能な状態になる。

前記作動レバー４２の他方の腕部４２ｂには、
針板２３の下方に配置された移動部材４８と当接
可能な当接ねじ５０が取付けられている。前記段
ねじ４３には巻きばね５２が巻装され、その一端
は作動レバー４２の一方の腕部４２ａに掛止さ
れ、他端は支持部４１に掛止されている。これに
より、作動レバー４２は下針４４が針板２３の上
面から沈下する方向、即ち第３図における時計方
向に巻きばね５２により常時付勢される。また、
作動レバー４２の時計方向の回動を規制するため
に、作動レバー４２の一方の腕部４２ａと係合可
能な規制突部５２が支持部４１の後方から突出形
成されている。

第３図から明らかなように、下針４４は、針板
２３に穿設された案内溝３１ａ，３１ｂ，３１ｃ
中の中央の案内溝３１ｂの布送り方向に延びる左
側端面に常時係合し得るように配置されている。
また、下針４４が第３図に示すように案内溝３１
ｂの左側端面に案内されて上昇した時に下針４４
と布押え足１９との干渉を防止するために、布押
え足１９の下針４４と対向する箇所に切欠溝５４
が形成されている。

前記操作体１５を移動部材４８及び送り歯沈下
機構６０に連結するための構成について第４図並
びに第５図を参照して説明する。

ベツド部１４の内部において支持突部６１が形
成され、その支持突部６１に穿設された図示しな
い貫通孔には、操作体１５に固着された回動軸６
２が嵌入されている。また、その操作体１５は図
示しない位置保持手段により２つの操作位置のい
ずれか一方の位置に保持されるように構成されて
いる。。前記回動軸６２に嵌入された連結体６３
は、その回動軸６２の下端に穿設された切欠部に
嵌合する固定板６４とねじ６５により一体にされ
て回動軸６２に固着され、その連結体６３の自由
端は連結桿６６の一端と回動自在に連結されてい
る。その連結桿６６と前記支持突部６１の下面と
間にコイルばね６７が設けられ、前記操作体１５
をベツド部１４に向つて常時付勢している。

前記送り歯２５が針板２３の上面から突出する
最大突出量を変化させるために送り歯沈下機構６
０が設けられ、この沈下機構６０は前記揺動レバ
ー３０の他方の腕部及び上下送り軸２９に固着さ
れた揺動体６８にそれぞれ穿設された同径の嵌合
孔６９，７０と、その両嵌合孔６９，７０に嵌入
された作動棒７１とを有してる。その作動棒７１
の左方端部には、嵌合孔６９，７０に合致する大
径部７１ａとそれより細い小径部７１ｂとが連続
形成され、作動棒７１の右方端部は前記連結桿６
６と割りピン７２により連結されている。一方、
前記移動部材４８は第５図における左右方向に移
動し得るように案内支持板７３により支持され、
また引張ばね７４により右方向、即ち前記当接ね
じ５０から離隔する方向に常時付勢されている。
前記移動部材４８と連結桿６６とを連結するため
に回動レバー７５がベツド部１４の内部に形成さ
れた支持突部７６に回動可能に取付けられてい
る。その回動レバー７５は、第４図において上方
に折曲されて水平に延出する第１の折曲部７５ａ
と下方に折曲された第２の折曲部７５ｂとを有し
ており、第１の折曲部７５ａは移動部材４８の右
方端部と回動自在に連結されている。そして、第
２の折曲部７５ｂは前記連結桿６６の左方端に形
成された係止部７６に係合するように配置されて
いる。

以上詳述したように構成された本実施例の動作
を説明する。

今、ベルベツト等のように縫いずれが生じ易い
毛足の長い２枚の加工布２１，２２を縫合するた
めに、押え調節ダイヤル１２を回動操作して加工
布への押え圧を最も弱くし、操作体１５の操作位
置を第４図及び第５図に示す位置に設定する。こ
の時、移動部材４８は作動レバー４２の他方の腕
部４２ｂに設けられた当接ねじ５０と当接し得る
作動位置に変位されており、また作動棒７１は小
径部７１ｂを揺動レバー３０の嵌合孔６９中に位
置させて送り歯２５の最大突出量を減少させる沈
下状態に設定されている。

この状態においてミシンを起動させると、縫針
１８が上下往復動すると共に水平送り軸２８及び
上下送り軸２９が揺動し、送り歯２５はその上下
往復動と所定の位相関係をもつて四運動送りを行
う。送り歯２５が針板２３の上面より下降した位
置にある時に、下針４４はその先端を案内溝３１
ｂの左側端面に係合させ針板２３に対して僅かに
傾斜しており、また当接ねじ５０は移動部材４８
の下方においてそれに対向している。その後に送
り歯２５が上昇すると、作動レバー４２は回動す
ることなく送り歯２５と一体的に上昇する。この
上昇動作により、当接ねじ５０が移動部材４８の
下面に当接し、作動レバー４２は送り歯２５に対
して第３図における反時計方向に回転し、この回
転に伴い下針４４は案内溝３１ｂとの係合により
湾曲ばね４７の作用に抗して前述の傾斜姿勢から
針板２３に垂直な姿勢へ変化させられる。また、
下針４４は作動レバー４２の回転により送り歯２
５に対して相対的に上昇動作を行い、結果として
送り歯２５の上昇速度より充分に速い速度にて第
３図に示すように加工布２１，２２を突刺す。
尚、その下針４４による加工布２１，２２の突刺
し動作が送り歯２５の針板２３の上面からの突出
とほぼ同時に行われるように当接ねじ５０により
調節されている。

下針４４が第３図に示す位置から僅かに上昇し
て加工布２１，２２の突刺し動作を完了した時点
において送り歯２５は上昇運動から水平前進送り
運動へ変化され、両加工布２１，２２は第２図に
示す位置から左方に送られる。この水平前進送り
運動の終了後、送り歯２５は加工すると共に作動
レバー４２は巻きばね５２の作用により時計方向
に復帰回転する。そして、下針４４は作動レバー
４２の復帰回転により送り歯２５に対して相対的
に下降し、送り歯２５の下降速度より充分に速い
速度にて加工布２１，２２から抜出る。送り歯２
５が下降運動を終了して針板２３の上面から沈下
した時には下針４４は加工布２１，２２から完全
に離隔した下方位置に退避する。この下針４４が
退避した状態にて送り歯２５は水平後退送り運動
を行い、これにより１サイクルの四運動送りを完
了する。この下針４４の突刺し動作を伴う四運動
送りは加工布２１，２２の縫合の間に繰り返し実
行され、両加工布２１，２２の間に送り量のずれ
を生じさせることなく送り歯２５からの送り運動
が両加工布２１，２２に確実に付与される。

ここで、前述したベルベツト等の毛足の長い加
工布に代えて一般的な加工布を縫合するために、
押え圧調節ダイヤル１２を回動操作して加工布の
厚さ及びその枚数に応じて押え圧を調節し、また
操作体１５を回動操作して連結体６３を第５図の
二点鎖線にて示す位置に回動させる。この時、連
結桿６６は左方に移動して作動棒７１の大径部７
１ａを揺動レバー３０の嵌合孔６９に挿入させ、
その大径部７１ａは嵌合孔６９と合致して揺動レ
バー３０の揺動角度位置を変化させる。この結
果、針板２３に対する送り歯２５の四運動送り軌
跡が上方に移行されて送り歯２５の最大突出量が
増大される。また、前記連結桿６６の左方への移
動に伴い、回動レバー７５は引張ばね７４の作用
により第５図の反時計方向に回動され、移動部材
４８は案内支持板７３により案内されて右方へ移
動する。これにより、移動部材４８は当接ねじ５
０から離隔した不作動位置、即ち第３図の二点鎖
線にて示す位置へ退避する。

そして縫合作業を開始するためにミシンを起動
させると、縫針１８の上下往復動と調時して送り
歯２５は公知の四運動送りを行い、布押え足１９
と協働して加工布を移送する。この間、作動レバ
ー４２は巻きばね５２の作用によりその一方の腕
部４２ａを規制突部５３に係合させた状態に保持
され、前述したように移動部材４８が当接ねじ５
０から離隔していることから送り歯２５の上昇期
間においても作動レバー４２は回動されることは
ない。従つて、下針４４は送り歯２５と一体的に
上下動するのみで、針板２３の上面より突出して
加工布を突刺すことはない。

以上記述したように本実施例においてはミシン
に通常装備されている送り歯沈下機構６０と縫い
ずれ防止装置４０の移動部材４８とが１つの回動
レバー７５に連結されていることから、この連結
構造は極めて簡単なものとなり、ベツド部１４の
内部の狭いスペースにおいても容易に配置するこ
とができる。また、１つの操作体１５の操作に従
つて送り歯沈下機構６０及び縫いずれ防止装置４
０の動作状態を切換えることができ、ミシン動作
を簡便にすることができる。

本考案は前述の実施例に限定されるものではな
く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変
更を加えることができる。

例えば、本実施例においては作動レバー４２を
送り歯２５の支持部４１を介して送り台２６上に
設けているが、これに代えて作動レバーを送り台
上に直接設けてもよいことは勿論である。また、
本実施例においては１つの操作体１５の操作によ
り縫いずれ防止装置４０と送り歯沈下機構６０と
を連動させて動作させているが、この両者に加え
て押え圧調節機構を連動させて動作させてもよ
い。

効 果 以上詳述したことから明らかなように、本考案
は、送り台上において回動可能な作動レバーの一
方の腕部に下針を設け、その作動レバーの他方の
腕部に当接し得る作動位置とその他方の腕部から
離隔した不作動位置とのいずれか一方に移動部材
を操作体の操作に従つて変位させ得るように構成
されている。

従つて、作業者は、縫製されるべき加工布が縫
いずれを生じ易い布か否かに応じて操作体を操作
することにより、下針が針板上面から突出し得る
作動状態と針板上面より下方に保持される不作動
状態とを簡単に切換えることができる。この結
果、加工布の種類に応じて下針を不作動状態にす
ることにより加工布の損傷を防止し、反対に毛足
の長い加工布等に応じて下針を作動状態にするこ
とにより縫いずれを確実に防止し得る。更に、本
考案の縫いずれ防止装置は送り機構に大幅な変更
を加えることなく簡単に且つ安価にミシンに装置
することができる等の実用的に優れた効果を有し
ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の縫いずれ防止装置を装備した
ミシンの外観を示す正面図、第２図は下針を使用
して加工布を移送する状態を示す部分断面図、第
３図は第２図のＡ−Ａ線に従う断面図、第４図は
操作体と移動部材及び送り歯沈下機構との連結構
造をミシン機枠の一部を破断して示す正面図、第
５図は上記連結構造をベツド部の下方から示す下
面図である。 １０：ミシン機枠、１５：操作体、１９：布押
え足、２１，２２：加工布、２３：針板、２５：
送り歯、２６：送り台、３１ａ，３１ｂ，３１
ｃ：案内溝、４２：二腕状作動レバー、４４：下
針、４８：移動部材、５２：巻きばね、６０：送
り歯沈下機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 布押え足１９と協働して加工布２１，２２に
   送り運動を付与するために針板２３に穿設され
   た案内溝３１ａ，３１ｂ，３１ｃを介して四運
   動送り可能な送り歯２５を備えたミシンにおい
   て、 前記送り歯２５を載置する送り台２６上に中
   間部が回動可能配置され、両端に一対の腕部４
   ２ａ，４２ｂを有する二腕状の作動レバー４２
   と、 前記案内溝３１ｂを通して針板２３の上面か
   ら出没し得るようにその案内溝３１ｂに対向し
   て位置する前記作動レバー４２の一方の腕部４
   ２ａに設けられた下針４４と、 その下針４４が針板２３の上面から沈下する
   方向に前記作動レバー４２を常時付勢する弾性
   体５２と、 前記作動レバー４２の他方の腕部４２ｂと当
   接し得る作動位置と、その他方の腕部４２ｂか
   ら離隔した不作動位置とのいずれか一方に選択
   的に変位可能であり、前記針板２３の下方に配
   置された移動部材４８と、 その移動部材４８の位置を切換えるために移
   動部材４８に作動的に連結されミシン機枠１０
   に配置された操作体１５と を含むミシンの縫いずれ防止装置。 ２ 前記移動部材４８は前記送り歯２５の上下送
   り運動を無効化するために変位可能な送り歯沈
   下機構６０にも作動連結され、前記操作体１５
   は移動部材４８と送り歯沈下機構６０との両者
   の位置を連動して切換えるために操作可能であ
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のミシン
   の縫いずれ防止装置。