JP3999270B2 - 鮮鋭度制御 - Google Patents
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Description
通常の輝度(ルミナンス)トランジェント改善回路では、入力サンプル及び複数の遅延した入力サンプルの最小値及び最大値が得られる。中央の遅延入力サンプルと、最小値と、最大値とのいずれを出力させるかは選択回路が決定している。この選択回路は入力信号の2次微分を得る。この2次微分が明らかに負である場合、最大値が出力され、この2次微分が明らかに正である場合、最小値が出力される。この2次微分がほぼ零である場合には、中央の遅延入力サンプルが出力される。しかし、これにより得られるステップ信号が、種々のシーンを表示するテレビジョンスクリーンに上で知覚されると、頭髪、草、葉等の微細なディテールが極めて不自然となる欠点がある。これは写真の微細なディテールを切取ってのり付けしたかのように見え、その結果、切取られてのり付けされたトランジェント部でアーティファクトが明瞭に見えるようになってしまう。
テレビジョン受信機やビデオカメラに用いられており、ラプラシアン(Laplacian)フィルタを有する通常のピーキング回路では、幾分急峻なステップでオーバシュートやアンダシュートが生じる。このような誇張された“イアー(ears)”の知覚は鮮鋭な画像を再生する着想と相反する。
本発明の目的は特に、鮮鋭度制御を改善することにある。この目的のために、本発明の第1の観点によれば、請求の範囲1に記載のビデオ信号品質改善方法を提供する。本発明の第2の観点によれば、請求の範囲4に記載のビデオ信号品質改善装置を提供する。本発明の第3の観点によれば、請求の範囲5に記載のディスプレイ装置を提供する。本発明の第4の観点によれば、請求の範囲6に記載のカメラを提供する。有利な実施例は請求の範囲の従属項に記載してある。
本発明によるビデオ信号品質改善方法では、ビデオ信号の1次微分の絶対値を得、このビデオ信号の1次微分の絶対値に応じてビデオ信号を処理する。
本発明の観点の1つは、微細なシーンディテールにおけるアーティファクトを回避するために、ステップの改善は低周波信号振幅が小さくなるにつれて比例させて零まで減少させ、高周波に対しては零とする必要があるという認識に基づくものである。換言すれば、ステップの改善は低周波信号の振幅が大きくなるにつれて比例させて有効となるようにする必要がある。これは、一例では、ステップトランジェント検出信号を得、このステップトランジェント検出信号を用いることにより、輝度トランジェント改善信号と高域信号(信号の高周波部分)との間でフェージング(混合)を行なう。本発明の他の観点では、ビデオ信号中のステップが大きい場合にオーバシュートやアンダシュートを制御し、完全な輪郭強調(ピーキング)を行なうのを防止する。
本発明の上述した及びその他の特徴は以下の実施例の説明から明らかとなるであろう。
大きな低周波信号での比例制御は、出力として絶対信号振幅を生じるエッジ検出器によって行なうことができる。この検出器はステップトランジェント検出器と称される。図1A〜1Cは、5つのタップを有する遅延線1,3,5,7と、マルチプライヤ9,11,(無),13,15とを用い、これらマルチプライヤのタップ係数を−1,−1,0,+1,+1として入力輝度信号Yinの1次微分を得るようにしたステップトランジェント検出信号STの形成方法を示す。この1次微分の絶対値(絶対値回路17により得る)をフルスケールの信号振幅で割ることにより、ステップトランジェント検出信号STを1に正規化する(図示せず)。図1Aは、入力輝度信号の増大エッジ及び減少エッジにおいて遅延線の中央タップに得られる輝度信号Ycを示し、図1Bは、得られるステップトランジェント検出信号STを示し、図1Cは、このステップトランジェント検出信号STを得る回路の一実施例を示す。
極性に依存しないこのステップトランジェント検出信号STはフェーダ回路63(図5に示す)に供給され、このフェーダ回路は、ステップトランジェント検出信号STに応じて輝度トランジェント改善信号Yltiと遅延線1,3,5,7の中央タップにおける輝度信号Ycとの間でレベル制御を行なう。このフェーダ回路の出力信号は
Ysif=ST・Ylti+(1−ST)・Yc
で表わされる。図2Aでは、細線が−2≦n≦+2にした遅延線1,3,5,7の5つのタップにおける輝度信号Yc+nを示す。太線は、輝度信号Yc+nの2次微分T″が明らかに負となるこの輝度信号の最小値Yminと、輝度信号Yc+nの2次微分Y″が零になる中央タップ信号Ycと、輝度信号Yc+nの2次微分信号Y″が明らかに正となるこの輝度信号の最大値Ymaxとの合計である輝度トランジェント改善信号Yltiを示す。図2Bは、フェーダ回路63の出力信号Ysifを示す。図2Cは、輝度信号の2次微分Y″を示す。図2Dは、ステップトランジェント検出信号STを示す。
図3A及び3Bは、タップ信号Yc+nから最小値Ymin及び最大値Ymaxを得る回路と、このような最小値−最大値回路の動作方法とを示す。5個のPNPトランジスタPNP-2〜PNP+2のベース端子が遅延線1,3,5,7の5つのタップにそれぞれ接続されており、最小値Yminはこれら5個のPNPトランジスタPNP-2〜PNP+2の相互接続エミッタ端子から得ることができる。又、5個のNPNトランジスタNPN-2〜NPN+2のベース端子が遅延線1,3,5,7の5つのタップにそれぞれ接続されており、最大値Ymaxはこれら5個のNPNトランジスタNPN-2〜NPN+2の相互接続エミッタ端子から得ることができる。
本発明の他の観点は、ステップトランジェント検出信号を上述したことに加え又はこれに代えてピーキングフィルタのピーキングオーバシュートを制御するのに用いることができる。ラプラシアンピーキングフィルタの周知の欠点は、ステップが幾分急峻になるとあまりにも多量のオーバシュートが生じ、これにより十分可視的な強調された“イアー(ears)”を生ぜしめるということである。このことは、正のステップの前であまりにも暗くなりすぎ、正のステップの後であまりにも明るくなりすぎるとともに、負に向かうステップではこれとは逆になるということを意味する。このオーバシュートを生じないようにするために、ステップトランジェント検出信号を供給してピーキングフィルタのオーバシュートを減少させるようにすることができる。そのアルゴリズムは
Ypeak=(1−ST)・cont
である。ここに、contは輪郭信号であり、Ypeakはピーキングフィルタの補正された出力信号である。図4A〜4Cは、このようなオーバシュートの減少結果を示す。図4Cは1−STを示す。図4Bは太実線で輪郭信号contを示し、短破線(点線)で補正された輪郭信号(1−ST)・contを示している。図4Aは太実線で中央タップ信号Ycを示し、長破線で中央タップ信号Ycと補正されていない輪郭信号との合計を示し、短破線で補正されたピーキング輝度信号Yc+(1−ST)・contを示す。
図5は、完全なステップトランジェント制御鮮鋭度回路の好適実施例を示す。入力輝度信号Yinは、4つの遅延セル1,3,5,7を有する遅延ブロック51に供給される。中央タップ信号YcはYc&Yltiフェーダ回路63に供給される。遅延ブロック51からの5つのタップ信号はすべて最小値−最大値回路53に供給されて、図3につき説明したように信号Ymin及びYmaxを得る。遅延ブロック51からの5つのタップ信号は選択回路55にも供給されて、輝度信号の2次微分Y″に依存して選択信号selを得、この選択信号により、輝度トランジェント改善信号Yltiが図2Aにつき説明したようにして生ぜしめられように輝度トランジェント改善回路57を制御する。又、遅延ブロック51からの5つのタップ信号は輪郭フィルタ65にも供給されて図4Bに示すような輪郭信号contを得るとともに、ステップトランジェント検出回路59にも供給されて図1Cにつき説明したようにステップトランジェント検出信号STを得る。回路66はステップトランジェント検出信号STから(1−ST)を計算し、その結果をマルチプライヤ67に供給して信号cont・(1−ST)を得る。ステップトランジェント検出信号STはプロセッサ61にも供給されて信号ST及び(1−ST)の双方をフェーダ回路63に供給する。フェーダ回路63及びマルチプライヤ67の出力信号は加算器69に供給されて鮮鋭化された出力輝度信号Youtを得る。
図5の実施例は本発明の以下の好適な特徴を有する。
− 入力信号の1次微分を取出す手段を有するステップトランジェント検出器及びこれに続く絶対値回路。
− 中央タップ信号Ycに対し相補を成す輝度トランジェント改善信号Yltiをフェージングすることによるこの輝度トランジェント改善信号のステップトランジェント検出信号依存制御。
− ステップトランジェント制御されたピーキングを得るための、輪郭信号と(1−ST)との乗算。
好適実施例では、輝度トランジェント改善とピーキングとの双方をステップトランジェント検出信号に依存して行なうも、本発明は、輝度トランジェントの改善のみを、或いはピーキング又はその他のあるトランジェント検出信号に依存する画像強調のみを達成する分野にも関するものである。
図5のステップトランジェント制御鮮鋭度回路は、図6に示すようにディスプレイ装置に適用するのが好ましいし。このディスプレイ装置は、アンテナAからテレビジョン信号を受けるチューナ71と、このチューナ71から受けるビデオ信号に関する通常のあらゆるビデオ処理動作を実行するビデオプロセッサ73と、図5の回路(Fig.5)と、この図5の回路からの出力輝度信号YoutをディスプレイユニットDに表示するのに適したものとする出力増幅器ブロック75とを有する。
図7は、本発明によるカメラの一実施例を示す。画像はセンサSによりピックアップされ、ビデオプロセッサVPにより処理される。ステップトランジェント制御ピーキングプロセッサPは図5の素子51,59及び65〜67を有する。出力増幅器OAはピーキングプロセッサPの出力信号を増幅してカメラ出力信号を出力端Oに生ぜしめる。
ステップトランジェント検出信号により制御される輝度トランジェントの改善及び輪郭強調の利点は以下の通りである。輝度トランジェントの改善はシーン中の大きなステップで比例して達成され、頭髪、草、葉等のようなシーンの細かいディテールに対しては行なわれない為に、自然に見える輝度トランジェントの改善機能が得られる。このように輝度トランジェントの改善を場合に応じ行なわないことが、ステップトランジェント検出信号により制御される輝度トランジェントの改善の最も重要な目的である。その理由は、この場合、極めて不自然に見えるディティールが回避される為である。更に、小さなステップトランジェント検出信号でディテールが強調され、一層疎なディテールに対応する大きなステップトランジェント検出信号ではディテールが低減される為に、平均したディテールの強調が達成される。更に、このステップトランジェント検出信号によるディテールの低減化が、大きな正の及び大きな負のピーク振幅に対する極めて良好なリミッタとして作用する為、オーバシュートやアンダシュートを回避する。
本発明は上述した実施例に限定されず、幾多の変更を加えうること勿論である。本発明は、複数の個別の素子を有するハードウェアや、適切にプログラミングしたコンピュータにより実施することができる。
【図面の簡単な説明】
図1A〜1Cは、本発明によりステップトランジェント検出信号を形成する一実施例を示し、
図2A〜2Dはステップトランジェント検出信号を利用する鮮鋭度制御方法を示し、
図3A及び3Bは、最大値−最小値回路及びその動作方法を示し、
図4A〜4Cは、本発明による輪郭強調回路の動作を説明するための線図であり、
図5は、本発明によるステップトランジェント制御される鮮鋭度改善回路の一実施例を示すブロック線図であり、
図6は、図5の回路を有する本発明によるディスプレイ装置の一実施例を示すブロック線図であり、
図7は、本発明によるカメラの一実施例を示すブロック線図である。
Claims (6)
- ビデオ信号の品質を改善するに当たり、このビデオ信号の1次微分を得る工程と、
このビデオ信号の前記1次微分の絶対値を得る工程と、
このビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値に応じてこのビデオ信号を処理する処理工程と
を行なうビデオ信号品質改善方法において、
前記処理工程が、
前記ビデオ信号から輪郭信号を取出す工程と、
前記ビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値(ST)を1から減算することにより形成されたファクタ(1−ST)を前記輪郭信号に乗算して輪郭改善信号を得る工程と
を有するビデオ信号品質改善方法。 - 請求の範囲1に記載のビデオ信号品質改善方法において、前記処理工程が更に、
前記ビデオ信号に輝度トランジェント改善処理を行って、輝度トランジェント改善信号を得る工程と、
この輝度トランジェント改善信号及び前記ビデオ信号のうちの一方の信号に前記ビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値(ST)を乗算し、他方の信号に前記ファクタ(1−ST)を乗算し、これら2つの乗算の結果を加算することにより、前記輝度トランジェント改善信号及び前記ビデオ信号を混合して、混合信号を得る工程と、
前記混合信号及び前記輪郭改善信号を加算して鮮鋭化された出力輝度信号を得る工程と
を具えているビデオ信号品質改善方法。 - ビデオ信号の品質を改善するビデオ信号品質改善装置であって、この装置が、
前記ビデオ信号の1次微分を得る手段と、
前記ビデオ信号の前記1次微分の絶対値(ST)を得る手段と、
前記ビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値(ST)に応じてこのビデオ信号を処理する処理手段と
を具え、
前記処理手段が、
前記ビデオ信号から輪郭信号を取出す手段と、
前記ビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値(ST)を1から減算することにより形成されたファクタ(1−ST)を前記輪郭信号に乗算して輪郭改善信号を得る手段と
を有するビデオ信号品質改善装置。 - 請求の範囲3に記載のビデオ信号品質改善装置において、前記処理手段が更に、
前記ビデオ信号に輝度トランジェント改善処理を行って、輝度トランジェント改善信号を得る手段と、
この輝度トランジェント改善信号及び前記ビデオ信号のうちの一方の信号に前記ビデオ信号の前記1次微分の前記絶対値(ST)を乗算し、他方の信号に前記ファクタ(1−ST)を乗算し、これら2つの乗算の結果を加算することにより、前記輝度トランジェント改善信号及び前記ビデオ信号を混合して、混合信号を得る手段と、
前記混合信号及び前記輪郭改善信号を加算して鮮鋭化された出力輝度信号を得る工程と
を具えているビデオ信号品質改善装置。 - ビデオ信号を表示するディスプレイ装置において、このディスプレイ装置が、
ビデオ信号を受信して処理する手段と、
請求の範囲3又は4に記載のビデオ信号品質改善装置と、
このビデオ信号品質改善装置の出力信号を表示する手段と
を具えているディスプレイ装置。 - 画像をピックアップしてビデオ信号を生ぜしめるセンサと、
請求の範囲3又は4に記載のビデオ信号品質改善装置と、
このビデオ信号品質改善装置の出力信号を供給する手段と
を具えているカメラ。
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