JP3998764B2 - 詰め替え用パウチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体、粘体、粉体など流動性を有する内容物を密封包装し、使用時に内容物を他の容器に移し替えて使用する詰め替え用パウチに関し、更に詳しくは、内容物をボトルなど他の容器に移し替える際、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に移し替えられるよう容器の口径に合わせた注出口部を設けると共に、これを容器の口部に固定しやすくし、また、注出口の開口性を向上させた詰め替え用パウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液状などの流動性を有する内容物を密封包装する詰め替え用パウチとしては、自立性があり立体容器としての特徴も一部備えているスタンディングパウチが主に採用され、且つ、使用時に内容物を外にこぼすことなく他の容器に安全に移し替えられるよう、開口部をパウチ上部全体ではなく、コーナー部など一部に設けるとか、或いは、パウチ上部の一部に口径の小さな注出口部を形成する方法、更には、プラスチック成形物などによる別体の注出口をパウチ上部の一部に熱接着して取り付ける方法などが採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラスチック成形物による別体の注出口をパウチ上部の一部に取り付ける方法は、製造工程が増え、注出口自体にも費用がかかり、また、注出口を取り付けた空パウチは、厚さが増すため、保管や運搬の費用も割高となり、更に、内容物の充填に際して、特別な充填装置を必要とし、また、充填機のフィーダー部への空パウチのスタッキング数も大幅に減少し、オペレーターが頻繁に空パウチの供給を行う必要が生じるなど、全体としてコストアップと工程及び作業の煩雑さが増す問題があった。
【0004】
また、パウチ上部の一部に口径の小さな注出口を形成する方法でも、内容物を移し替える際の操作性、安全性は、ある程度は改善されるが、注出口部の位置が一見して分かりにくく、また、移し替える容器の口部への注出口部の固定性が不充分で、内容物の注出中に誤って外にこぼすことがあり、移し替えの容易性、安全性の点ではなお問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、しかも使用時には、口径の小さなボトルなどに対しても、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に最後まで移し替えることができるという、安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを生産性よく提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、周囲の端縁部がヒートシールにより封止され、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチにおいて、パウチ上部の中央部に注出口部を備え、且つ、該注出口部の両側のパウチ上部のヒートシール部に、それぞれ注出口部の側部からパウチ側部に向けて下向きに反る曲線と上向きに反る曲線とを組み合わせてなる曲線で形成される切り欠き部が設けられると共に、該注出口部のフィルムの内面に、開口性をよくするための凹凸が、内側に凸状となる複数の円形のドット状に設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチからなる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、前記注出口部の左右両側のパウチ上部のヒートシール部の内側ラインが肩下がりの傾斜を有する形状にヒートシールされていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチである。
【0010】
請求項3に記載した発明は、前記注出口部に易開封処理部として、ハーフカット線とノッチとが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチである。
【0011】
上記本発明において、パウチ上部の一部に設けられる注出口部の大きさは、特に限定されるものではないが、使用に際して、注出口部の先端のヒートシール部を切り取って開口させた時、内容物を移し替える容器の口部に開口した注出口の先端部を挿入できる程度の大きさであることが好ましい。
また、注出口部の両側のヒートシール部に設けられる滑らかな曲線で形成される切り欠き部は、注出口部を突出させてその位置を明確にし、外観にソフトな感じを付与すると共に、開封した注出口を移し替えを行う容器の口部にスムーズに導入できるようにし、且つ、注出口部を容器の口部に安定した状態で固定するために設けるものであり、この目的に適う形状であれば任意の形状に形成することができる。
【0012】
そして、注出口部のフィルムの内面に設けられる凹凸は、注出口の口開き性をよくするために設けるものであり、印刷などの手段で予め凸部を設けることもできるが、熱エンボスなどの方法で、積層フィルムを重ね合わせる前の段階で、所定の位置にドット状、ストライプ状などの形状で、内面が凸部となるように形成しておくことが簡便であり好ましい。このような凹凸は、注出口部のフィルムの一方の面のみに設けてもよく、両方の面に設けてもよい。
【0013】
注出口部に設ける易開封処理部は、通常のパウチでも多用されているノッチのほか、レーザー光照射などによるハーフカット線など、いずれも適用することができる。ノッチの場合、通常、I字型やV字型のノッチが利用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。また、ノッチとハーフカット線は、それぞれを単独で用いてもよいが両者を併用することもできる。
【0014】
以下、前記各請求項に記載した発明ごとに、その構成による作用、効果について説明する。
請求項1に記載した発明の構成を採ることにより、内容物が充填、密封された詰め替え用パウチを使用する際、注出口部の両側のパウチ上部のヒートシール部には、それぞれ注出口部の側部からパウチ側部に向けて下向きに反る曲線と上向きに反る曲線とを組み合わせてなる曲線で形成される切り欠き部が設けられているため、ソフト感が付加され外観に優れると共に、一見して注出口部の位置を識別できる。また、開封した注出口を内容物の移し替えを行うボトルなどの容器の口部にスムーズに誘導して差し込むことができ、且つ、注出口部を容器の口部に確実に固定でき、安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
また、注出口部のフィルムの内面に、開口性をよくするための凹凸が、内側に凸状となる複数の円形のドット状に設けられているので、内容物が充填、密封された詰め替え用パウチを使用する際に、注出口部の先端のヒートシール部を切り取って開封することにより、注出口部のフィルムの内面同士が密着していないため、注出口が容易に開口し、内容物の移し替えの操作を一層容易に行えるようになる。
【0017】
請求項に記載した発明の構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用、効果に加えて、内容物をボトルなどに移し替える際、パウチ内に残液を生じないように移し替えられると同時に、注出口の開口状態を維持し易く、途中で注出口が塞がることを防止できるため、一層安全且つ容易に最後まで移し替えることができる。
【0018】
請求項に記載した発明の構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用、効果に加えて、注出口部を開封する際、鋏などの道具を使う必要がなく、手だけで所望の位置で容易に注出口部の先端のヒートシール部を切り取って開封できるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルム、およびその製袋方法など実施の形態について説明する。
先ず、本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられるが、特に限定はされず、各種パウチに用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用できる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを自由に選択して使用することができる。
好ましく使用できる積層フィルムの構成の具体例として、以下のようなものが挙げられる。
【0020】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカ蒸着層)/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(8) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0021】
尚、上記において、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルムを指すものである。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0022】
前記の積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や印刷適性を付与し、一軸延伸HDPEフィルム、一軸延伸PPフィルムは、その延伸方向をパウチを開口させる際の引き裂き方向と一致するように用いることにより、引き裂きの方向性を一層安定化させることができる。
そして、アルミニウム箔、シリカ蒸着層、EVOHフィルムなどは、ガスバリヤー性を付与するために積層するものである。
また、シーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0023】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、ガセットパウチ、スタンディングパウチなどヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のあるパウチのシーラント層にはシール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、該共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差によるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0024】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の詰め替え用パウチの製造方法について説明する。
本発明の詰め替え用パウチは、先にも説明したように、パウチの上部など端縁部の構成にその特徴を有するものであり、パウチ本体の形態は、特に限定されず、例えば三方シール形式、四方シール形式、ピロー形式などの平パウチのほか、ガセットパウチ、スタンディングパウチなど、いずれの形態も採用することができる。
只、ピローパウチやガセットパウチの場合、注出口部が背シール部の位置と重なる場合には、注出口部の開封性が損なわれることもあり、そのような場合には、例えば、背シール部の位置をずらすこともできる。
【0025】
従って、本発明の詰め替え用パウチの製袋には、その本体部分の形態に応じて、それぞれ従来公知の製袋機を利用することができ、これに前記注出口部および凹凸、切り欠き部、それにノッチなどの易開封処理部を設けるための、例えば、エンボス装置、打ち抜き装置、トリミング装置、その他必要な加工装置をインラインに組み込むか、或いはこれらを別ラインで準備することにより、インラインまたはオフラインのいずれの方法によっても本発明の詰め替え用パウチを容易に製造することができる。
【0026】
本発明の詰め替え用パウチにおいて、内容物の充填は、パウチの上部に、注出口部や切り欠き部などが設けられており、この部分をヒートシールするシールパターンも特別な形状となるが、注出口部や切り欠き部自体はそれほど複雑な形状ではないため、パウチ上部の注出口部や切り欠き部のトリミングを先に行い、通常のパウチと同様に、パウチ上部から内容物の充填を行い、その後、この部分を所定のシールパターンでヒートシールして密封することができる。
【0027】
また、場合によっては、パウチ上部のヒートシールを2段階に分割し、例えば、左右いずれか半分程度を先にヒートシールしておいて、残りの部分を未シールの開口部とし、この部分から内容物を充填し、その後、この部分をヒートシールして密封することもできる。
【0028】
【実施例】
以下に、図面および試験例により本発明を更に具体的に説明する。
但し、本発明はこれらの図面および試験例に限定されるものではない。また、図面に付した符号は、異なる図面においても同じ名称の部分には同じ符号を用いた。
【0029】
図1、図2、図3、図4は、それぞれ本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を説明する正面図である。
また、図5は、図1または図2に示した詰め替え用パウチに充填された内容物をボトルに移し替える際の状態を説明する要部の斜視図である。
【0030】
図1において、詰め替え用パウチ60は、その本体部分がスタンディングパウチ形態に製袋されている。即ち、底部1が常法に従ってフィルムを内側に折り返してなるガセット形式で形成され、内側に折り込まれたフィルムの両側下端近傍には、半円形などの折り込みフィルム切り欠き部2が設けられると共に、底部1が舟形のシールパターンにより底部ヒートシール部3でヒートシールされ、自立性が付与される。また、パウチの胴部は、前後2面の壁面フィルムの両側端縁部を胴部ヒートシール部4でヒートシールして形成される。
【0031】
そして、パウチ上部の端縁部の一部(図では中央部)には、注出口部6が設けられ、その内部がパウチ本体の内部と連通すると共に、通液路となる部分のフィルムには、その内面側に凸部が形成されるように複数のドット状の凹凸8が設けられ、その外側周囲、および両側の端縁部が上部ヒートシール部5により封止されている。前記凹凸8を設けることにより、通液路のフィルムの内面同士の密着が防止されるため、注出口部6を開封した際、注出口の口開きが容易になる効果を奏する。
【0032】
また、注出口部6の両側は切り欠き部7で切り欠かれ、内容物をボトルなどに移し替える際、その口部に注出口部6を固定できるようになっている。
また、上部ヒートシール部5の中、注出口部6を除く両側の側部は、注出口部6の立ち上がり部からパウチの両端にかけて肩下がりの傾斜を有する形状にヒートシールされており、充填された内容物を注出する際、注出口部6が塞がりにくく、また、残液が生じないようになっている。
更に、注出口部6の両側の端縁部(ヒートシール部)の所定の位置には、注出口部6の開封を容易にするための易開封処理部として、V字型のノッチ9を設けて構成されている。
【0033】
このような構成の詰め替え用パウチ60への内容物の充填は、パウチの底部と胴部を形成し、上部はトリミングのみを先に行って、上部ヒートシール部5をヒートシールする前の段階で、開口する上部から内容物を充填し、その後、パウチ上部を所定のヒートシールパターンで脱気シールすることにより、密封包装することができる。
【0034】
このような詰め替え用パウチ60は、内容物充填後、自立性があり、外観に優れると共に、取り扱いも容易であり、内容物をボトルなどに移し替える際には、ノッチ9を利用して注出口部6を開封し、図5に示すように、注出口部6の両側の切り欠き部7をボトルの口部(口壁)の上にあてがうことにより、注出口の先端がボトル口部の中に入るように固定される。そして、注出口部6の通液路となる部分のフィルムの内面には、この場合、ドット状の凹凸8の凸部が形成されているので、注出口が容易に開く状態になっている。
従って、この状態で詰め替え用パウチ60の本体部分を持ち上げて徐々に傾けるだけで、内容物がボトル内に注ぎ出され、最後まで安全且つ容易に移し替えることができる。
【0035】
図2に示した詰め替え用パウチ70は、前記図1に示した詰め替え用パウチ60とは、パウチの上部の構成は全く同一であり、パウチの本体部分を四方シール形態で製袋した点でのみ異なるものである。従って、内容物充填後のパウチに自立性はなく、その取り扱い易さ、外観などの点ではやや劣るが、製袋が容易で生産性がよく、コスト面で安価である利点があり、内容物の移し替えの際の操作性や作用、効果などは図1に示した詰め替え用パウチ60と略同様であるため、廉価タイプの詰め替え用パウチとして優れている。
【0036】
図3に示した詰め替え用パウチ80は、図1に示した詰め替え用パウチ60とは、パウチの本体部分は同一であり、パウチ上部の中央部に設けた注出口部6の外周の形状、および上部ヒートシール部5の下側部分の形状を若干変更した点でのみ異なるものである。
即ち、注出口部6の先端のヒートシール部の形状を両側に拡げることにより、キャップの外観を持たせて注出口部6の位置を明確にすると共に、注出口部6の両側のヒートシール部5の下側部分を、途中までは肩下がりの傾斜を有する形状とし、そこから先のパウチの両端に至る部分では水平な形状として、内容物のスムーズな注出性を維持し、且つ、充填容量を僅かではあるが増やすことにより、パウチの外径寸法を小さくできるようにしたものである。
従って、パウチの機能、作用、効果は、上記の点が付加されるほかは、図1に示した詰め替え用パウチ60の場合と同様である。
【0037】
図4に示した詰め替え用パウチ90は、前記図3に示した詰め替え用パウチ80とは、パウチ上部の構成は全く同一であり、パウチの本体部分をスタンディングパウチから四方シール形態に変えた点でのみ異なるものである。
従って、この場合も、内容物充填後のパウチに自立性はなく、その取り扱い易さ、外観などの点ではやや劣るが、製袋が容易で生産性がよく、コスト面で安価である利点があり、内容物の移し替えの際の操作性や作用、効果などは図3に示した詰め替え用パウチ80と同様であり、その廉価タイプの詰め替え用パウチとして有用である。
【0038】
図5は、図1または図2に示した詰め替え用パウチ60、70に充填された内容物をボトルに移し替える際の状態を説明する要部の斜視図であり、図5に示されるように、詰め替え用パウチ60、70の注出口部6をノッチにより開封し、ボトル50の口部51に注出口部6を差し込むことにより、両側の切り欠き部7がボトル50の口壁に接して、注出口部6が固定される。
この時、注出口部6のフィルムの内面にはドット状の凹凸8の凸部が形成されているので、容易に注出口部6が開口する状態にある。
従って、詰め替え用パウチ60、70の本体部分を持ち上げて徐々に傾けるだけで、内容物がボトル50内に注ぎ出され、最後まで安全且つ容易に移し替えることができる。
【0039】
尚、図5では、図1または図2に示した詰め替え用パウチ60、70を例に採って、その内容物をボトルに移し替える際の状態を説明したが、図3、図4に示した詰め替え用パウチも含めて、本発明の詰め替え用パウチは、総て同様に安全且つ容易に内容物の移し替えを行うことができる。
【0040】
〔試験例1〕
図1に示した構成の詰め替え用パウチを作製することとし、また、内容物を移し替える容器には、口部の外径が26mm、内径が22mmのプラスチック製ボトル(容量は満注時575ml)を用いるものとして、パウチのフィルムおよび各部の寸法を下記のように設定して試験例1の詰め替え用パウチを作製した。
パウチの壁面フィルムと底面フィルムには同一構成の積層フィルムを用いることとし、外側から、PETフィルム(厚さ12μm)、ONフィルム(厚さ15μm)、アルミニウム箔(厚さ7μm)、L・LDPEフィルム(厚さ70μm)を順に、それぞれ常法に従ってドライラミネート方式で貼り合わせた積層フィルムを用いた。
【0041】
パウチの外形寸法は、幅が150mm、長さは、注出口部6の上端からパウチの下端(底辺)までの長さを255mmとする。
底部1は、底面フィルムの折り込み部の高さを40mmとし、底面フィルムの両側下端近傍には半円形状の切り欠き部2を設け、舟形のシールパターンで底部ヒートシール部3をヒートシールしてスタンディングパウチ形式の底部1を形成すると共に、左右両側の胴部ヒートシール部4を、シール幅5mmでヒートシールしてパウチの本体部分を形成した。
【0042】
パウチの上部については、分かりやすくするため基準線を引いて説明する。
先ず、パウチの底辺から高さ230mmの位置に横方向の線(底辺と平行な線)を引き、第1の基準線とする。そして、第1の基準線から更に10mm上の位置(パウチの底辺からは、高さ240mmの位置)に、これと平行な線を引き、第2の基準線とする。
そして、パウチ上部の中央部に設ける注出口部6は、前記第1の基準線から上方に高さ25mm、幅26mm(いずれもヒートシール部を含む)で突出する形状に設ける。この時、注出口部6が第2の基準線より上に突出する部分の幅と高さは、幅が26mm、高さが15mmであり、垂直に立ち上がる形状である。また、注出口部6の第2の基準線より下の部分、即ち、第1の基準線と第2の基準線の間の立ち上がり部においては、第1の基準線の中央部で幅46mmの位置から立ち上がり、第2の基準線の中央部で幅26mmまで、両側が切り欠き部7の滑らかな曲線で上方に向かって徐々に縮小する形状とした。
この注出口部6の外周のヒートシール部は、上端部はシール幅5mm、両側部はシール幅3mmとした。従って、注出口部6の通液路の幅(有効折径)は20mmである。
【0043】
そして、注出口部6の上端から8mm下の両側端縁部にV字型のノッチ9を設け、更にその下で前記通液路となる領域のフィルム面には、図1に示した配列で直径2.5mmの円形のディンプルエンボスを予め行ってフィルムの内面側が凸部となるドット状の凹凸8を設けた。
【0044】
パウチ上部の注出口部6の両側の切り欠き部7と、その先の肩部は、前記第1の基準線と第2の基準線との間に、切り欠き部7の下端が第1の基準線に接し、その先の肩部の上端が第2の基準線に接するように滑らかな曲線状にパウチ上部を注出口部6と同時にトリミングして設けた。
また、内容物充填後にヒートシールする上部ヒートシール部5のシールパターンは、その注出口部6の左右両側の下部において、注出口部6の両側部ヒートシール部の下端、即ち、第1の基準線の位置からパウチ両側の端部にかけて45mm下がる肩下がりの傾斜を有する形状のシールパターンとした。
【0045】
以上のような構成で、底部1と胴部を形成し、上部が開口するパウチを作製し、これに内容物として液体洗髪剤550mlを上部開口部から充填した後、前記形状のシールパターンで上部ヒートシール部5を脱気シールにより密封して試験例1の包装体を作製した。(試料数20個作製)
【0046】
上記包装体は、35℃で3か月間の保存後も自立性に支障はなく、外観も良好で内容物の漏れも認められなかった。
また、使用適性をテストするため、ノッチ9を利用してパウチの注出口部6を開封した後、前記した口部の外径が26mmで内径が22mmのプラスチック製ボトル(容量は満注時575ml)の口部に、パウチの注出口部6を両側の切り欠き部7がボトルの口壁に接するように差し込み、パウチの本体部分を持ち上げて徐々に傾けることにより、注出口部フィルムの内面に凹凸が設けられているため、フィルムの内面同士が密着しておらず、内容物の重量で注出口部6が容易に開口し、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に最後まで移し替えることができた。
尚、前記注出口部6の開封時、ノッチ9による開封性も良好であった。
【0047】
〔試験例2〕
図2に示した構成の詰め替え用パウチを作製することとし、前記試験例1の詰め替え用パウチの構成において、先ず、パウチに用いる積層フィルムを、ONフィルム(厚さ15μm)とL・LDPEフィルム(厚さ100μm)とを常法に従ってドライラミネート方式で貼り合わせた積層フィルムに換え、また、パウチ底部1の形態をスタンディングパウチ形式から、四方シールパウチと同様な形式に換え、更にパウチの全長を、底部で25mm延長して280mmとし、底部ヒートシール部3をシール幅5mmでヒートシールしたほかは、総て試験例1の詰め替え用パウチと同様に加工して、試験例2の詰め替え用パウチを作製した。
【0048】
上記のパウチについても、試験例1のパウチと同様に、液体洗髪剤550mlを上部開口部から充填し、上部ヒートシール部5を脱気シールにより密封して、試験例2の包装体を作製した。(試料数20個作製)
上記包装体は、平パウチ形態であり自立性はなく、外観面ではやや劣るが、製袋が容易であり、内容物の充填適性も良好で生産性に優れていた。
上記試験例2の包装体についても、試験例1と同様に保存テスト、および、使用適性の試験を行ったが、保存テスト後、内容物の漏れもなく、ノッチによる開封性、その他内容液の移し替え時の操作性、安全性、容易性なども、試験例1の詰め替え用パウチと同様に良好であった。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、製袋、および内容物の充填が容易に行え、且つ、使用時には、パウチの注出口部を容易に開封でき、また、内容物の移し替えを行う容器(ボトル)の口部への注出口部の固定性もよく、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に最後まで移し替えをおこなうことのできる詰め替え用パウチを生産性よく、安価に提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の詰め替え用パウチの第1の実施例の構成を説明する正面図である。
【図2】本発明の詰め替え用パウチの第2の実施例の構成を説明する正面図である。
【図3】本発明の詰め替え用パウチの第3の実施例の構成を説明する正面図である。
【図4】本発明の詰め替え用パウチの第4の実施例の構成を説明する正面図である。
【図5】図1または図2に示した詰め替え用パウチに充填された内容物をボトルに移し替える際の状態を説明する要部の斜視図である。
【符号の説明】
1 底部
2 折り込みフィルム切り欠き部
3 底部ヒートシール部
4 胴部ヒートシール部
5 上部ヒートシール部
6 注出口部
7 切り欠き部
8 ドット状の凹凸
9 ノッチ
50 ボトル
51 ボトルの口部
60、70、80、90 詰め替え用パウチ

Claims (3)

  1. 周囲の端縁部がヒートシールにより封止され、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチにおいて、パウチ上部の中央部に注出口部を備え、且つ、該注出口部の両側のパウチ上部のヒートシール部に、それぞれ注出口部の側部からパウチ側部に向けて下向きに反る曲線と上向きに反る曲線とを組み合わせてなる曲線で形成される切り欠き部が設けられると共に、該注出口部のフィルムの内面に、開口性をよくするための凹凸が、内側に凸状となる複数の円形のドット状に設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチ。
  2. 前記注出口部の左右両側のパウチ上部のヒートシール部の内側ラインが肩下がりの傾斜を有する形状にヒートシールされていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチ。
  3. 前記注出口部に易開封処理部として、ハーフカット線とノッチとが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチ。
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