JP4060943B2 - 詰め替え用パウチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体など流動性を有する内容物を密封包装し、使用時に内容物を他の容器に移し替えて使用する詰め替え用パウチに関し、更に詳しくは、内容物をボトルなど口径の小さな容器にも最後まで安全且つ容易に移し替えられるよう、パウチ上部のコーナー部に口径の小さな注出口部を設けると共に、注出の途中で注出口部が閉塞しないよう注出口部の形状を改善した詰め替え用パウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液状などの流動性を有する内容物を密封包装する詰め替え用パウチとしては、自立性があり立体容器としての特徴も一部備えているスタンディングパウチが主に採用され、且つ、開封時に内容物を外にこぼすことなく他の容器に安全に移し替えられるよう、開口部をパウチ上部全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成するとか、或いは、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法、更には、プラスチック成形物などによる別体の注出口をパウチ上部の一部に熱接着して取り付ける方法などが採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パウチの開口部をパウチ上部の全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成する方法は、簡便ではあるが、内容物の注出方向が安定しにくく、特に、移し替える容器がボトルなど口径の小さな容器の場合は、注出の途中でパウチの開口部が容器の口部からずれ易く、内容物を外にこぼすことがあり、移し替えの容易性、安全性の点で問題があった。
【0004】
また、プラスチックの成形物による別体の注出口をパウチ上部の一部に取り付ける方法は、製造工程が増え、注出口自体にも費用がかかり、また、注出口を取り付けた空パウチは、厚さが増すため、保管や運搬の費用も割高となり、内容物の充填に際にも、例えば充填機のフィーダー部への空パウチの積み込み数が大幅に減少するため、オペレーターが頻繁に空パウチの供給を行う必要を生じるなど、全体としてコストアップと工程及び作業の煩雑さが増す問題があった。
【0005】
そして、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法でも、内容物を他の容器に移し替える際の操作性、安全性は、ある程度は改善できるが、内容物の注出に際して、注出口部の口が開きにくく、また、内容物の粘度が少しでも高いと注出に時間がかかる問題があり、例えば、速く注出しようとして、パウチの中心部や下部を圧迫すると、内圧によりパウチ上部が膨らむ結果、注出口部に折れしわが発生し、注出口部の先端部側が閉塞され、注出が困難になるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、しかも使用時には、パウチ上部のコーナー部に設けられた注出口部の先端部を切り取ることにより、容易に注出口部の口が開き、その保形性もよく、且つ、比較的粘度の高い内容物であっても、途中で注出口部が閉塞するようなこともなく、口径の小さなボトルなどに対しても、最後まで安全且つ容易に移し替えることができるという、安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを生産性よく提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためため、本発明者らは特に注出口部の形状とその閉塞の要因について鋭意研究した結果、以下のような知見を得て本発明の完成に至ったものである。
一般に、パウチの上部のコーナー部などその一部に、外周をヒートシールしてなる突出する形状の幅の狭い注出口部を設ける場合、注出口部の外周のヒートシール部は、その先端部、両側部および両肩部のヒートシール部により形成される。
そして、このような注出口部を備えたパウチに充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際には、先ず、注出口部の先端部のヒートシール部を切り取って開封し、次いで、パウチを傾けて注出口部を例えばボトルの口部に差し込むようにして内容物を注ぎ出す方法を採る。
【0008】
この時、内容物はパウチの注出口部側に流動し、その内圧により、注出口部の入口側が外側に膨らみ、注出口部を開口させる力が働くが、同時に、注出口部の通液路は、その幅が狭く、長さが長いため、注出口部の両側には、その側部と肩部のヒートシール部の内側ラインの中間点の接線に沿って、注出口部の先端方向に向かって両側に折れしわが発生し、この折れしわの交点より先の方(注出口部の出口側)は閉塞され易くなる。
【0009】
この閉塞位置は、注出口部の形状、例えば、注出口部の両側のヒートシール部の内側ラインの傾斜や長さが、注出口部の中心線に対して対称形に形成されているか否かなどにより多少の差はあるが、略、注出口部の両側の肩部と側部のヒートシール部の内側ラインの中間点同士間を結ぶ直線を底辺として、注出口部の先端部側に形成される頂角が直角で頂点が注出口部の中心線上にある三角形の頂点の位置が境界となることが分かった。
【0010】
即ち、注出口部を開封する際の切り取り線が、上記三角形の頂点を通るか、または頂点より下の位置にある時は、その開封により、前記折れしわによる注出口部を閉塞する力が取り除かれ、注出口部が確実に開口するが、上記三角形の頂点よりも上側(先端側)の位置にある時は、開封しても前記折れしわによる力が取り除かれず、注出口部は閉塞されるというものである。
従って、注出口部の切り取り線は、少なくとも前記三角形の頂点を通るか、または頂点よりも下の位置を通るようにすることが好ましく、また、注出口部の形状も、その側部だけでなく肩部も、傾斜を有するように形成することが好ましい。
【0011】
本発明は、このような知見に基づいて行われたものであり、請求項1に記載した発明は、周囲の端縁部が袋状にヒートシールされ、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチの上部のコーナー部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び両肩部がヒートシールされてなる上方に突出する形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側の肩部と側部のヒートシール部の内側ラインが、注出口部の先端方向に向かってそれぞれ先細りとなる2段階の傾斜を有する形状に形成されると共に、該注出口部の両側に切り欠き部が設けられ、更に、該注出口部を開封するための切り取り線が、注出口部の両側の肩部と側部のヒートシール部の内側ラインの中間点同士間を結ぶ直線を底辺として注出口部の先端部側に形成され、頂角が直角で頂点が注出口部の中心線上にある三角形の頂点を通るか、または頂点より下の位置を通るように設定され、更に、前記パウチの壁面フィルムに、該パウチの注出口部から、パウチ本体の下部にかけて、該注出口部を含む上部では、幅と高さが大きく、斜め下方に向かって徐々に幅と高さが小さくなる曲線状の膨らみ部が設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチからなる。
上記のような切り取り線は、印刷で表示するほか、ノッチと印刷による表示の併用、或いはノッチとハーフカット線の併用などの方法で設定することができる。
【0012】
このような構成を採ることにより、内容物の移し替えを行う容器の口部に合わせて、幅の狭い注出口部を設けることができ、且つ、内容物を移し替える際、先に説明したように、注出口部の先端部を所定の位置の切り取り線に従って切り取ることにより、容易に注出口部が開口し、注出口部を容器の口部に差し込むようにして注出することができるので、その固定性もよく、また、注出の途中で開口した注出口部が閉塞することもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
また、注出口部の両側ヒートシール部の内側ラインを両側部だけでなく、両側の肩部のラインも、注出口部の中心線に対して直角よりも小さい角度でハの字状に立ち上がらせることができるので、内容物の注出の際、内圧により注出口部の両側に発生する折れしわの角度が小さくなり、注出口部の先端側に、より長い距離で開口できるようになり、注出口部の閉塞を一層効果的に防止することができる。
更に、前記パウチの壁面フィルムに、該パウチの注出口部から、パウチ本体の下部にかけて、該注出口部を含む上部では、幅と高さが大きく、斜め下方に向かって徐々に幅と高さが小さくなる曲線状の膨らみ部が設けられているので、内容物を他の容器に移し替える際、注出口部の先端部を切り取って開封するだけで、注出口部を含む上部の膨らみ部により自動的に保形性のよい注出口が開口し、更に、開封後は中間部の膨らみ部が内容物の力で外折れして、パウチの中心部近傍から注出口部にかけて、パウチ内部が外側に広げられた状態となるため、パウチを傾けるだけで、内容物が注出口部へスムーズに流動し、注出の途中で注出口が閉じることもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。また、下部の膨らみ部は、その幅と高さが小さく略垂直な押し罫状であるため、特にパウチがスタンディングパウチの場合、そのリブ効果によりパウチの自立性、形態安定性を向上させることができる。
このような膨らみ部は、パウチの壁面フィルムの片側の面のみに設けてもよいが、両側の面に同位置に重なるように、即ち、対称形に設けることにより、その効果を一層向上させることができる。
【0015】
請求項2に記載した発明は、前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチである。
【0016】
上記易開封性手段は、通常のパウチでも多用されるノッチのほか、レーザー光照射などによるハーフカット線、或いは、パウチの積層フィルム中に一軸延伸フィルムを積層する方法(この場合、一軸延伸フィルムは、その延伸方向が注出口部の開封方向と一致するように用いる)などがあり、これらは単独で用いてもよく、また、例えば、ノッチと、ハーフカット線または一軸延伸フィルムの積層などのように適宜組み合わせて用いることもできる。
【0017】
ハーフカット線を設ける場合、直線状のハーフカット線に限らず、ミシン目状など断続的なハーフカット線で設けることもできる。
また、このようなハーフカット線は、1本でもよいが、引き裂き方向がずれた場合を想定して、中心のハーフカット線の両側に各1本、または各2本など複数本のハーフカット線を平行に設けることもできる。
尚、前記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが利用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【0018】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用、効果に加えて、注出口部を開封する際、鋏などの道具を必要とせず、手だけで、所望の位置で容易に注出口部の先端部を切り取って開封することができる。
【0019】
請求項3に記載した発明は、前記パウチがスタンディングパウチ形式のパウチであることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチからなる。
【0020】
このような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用、効果に加えて、パウチに自立性が備わり、特に、内容物が充填された後のパウチの取り扱いが容易になるほか、外観も優れたものとなり、また、内容物の移し替え時の操作も容易に行えるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルム、およびパウチの製造方法など実施の形態について説明する。
本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられるが、特に限定はされず、例えば、各種液体用パウチに用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができる。
これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを自由に選択して使用することができる。
好ましく使用できる積層フィルムの構成の代表的な例として、以下のような構成が挙げられる。
【0024】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカまたはアルミナ蒸着層)/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(8) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0025】
上記において、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルムを指すものである。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0026】
前記の積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や印刷適性を付与し、一軸延伸HDPEフィルム、一軸延伸PPフィルムは、その延伸方向をパウチの注出口部を開封する際の引き裂き方向と一致するように用いることにより、引き裂きの方向性を一層安定化させることができる。
そして、アルミニウム箔、シリカまたはアルミナ蒸着層、EVOHフィルムなどは、ガスバリヤー性を付与するために積層するものである。
また、シーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0027】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
【0028】
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、スタンディングパウチのようなヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のあるパウチのシーラント層には、シール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、前記共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差によるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0029】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の詰め替え用パウチの製造方法について説明する。
本発明の詰め替え用パウチは、その本体部分の形状は特に限定されず、例えば、三方シール形式、四方シール形式のパウチのほか、スタンディングパウチなどを好適に使用することができ、採用するパウチ形式に応じて、それぞれに対応する製袋機を利用して、これに注出口部やその側部の切り欠き部、ノッチ、ハーフカット線などの易開封性手段、そして、パウチ壁面フィルムに設ける曲線状の膨らみ部など追加構成部分を加工するための加工装置、即ち、トリミング装置、打ち抜き装置、ヒートシール装置、レーザー光照射装置のほか、例えばエンボス装置などをインラインに組み込むか、或いは、オフラインとして別に用意することにより、容易にパウチを製造することができる。
【0030】
また、前記壁面フィルムに設けられる膨らみ部の膨らみ高さは、特に限定するものではないが、その注出口部を含む上部においては、最高部で1〜7mm程度が好ましく、2〜5mm程度が更に好ましい。最高部の高さが1mm未満の場合は、自然開口性に対する効果が薄くなり、また、7mmを超える高さは、その必要性がなく、加工自体が難しくなると同時に、注出口部が嵩張るようになり、空袋の取り扱い性、充填シール機におけるスタッキング適性などが低下するため好ましくない。
【0031】
上記注出口部を含む上部以外の部分の高さは、例えば注出口部から斜め下方に向かって徐々に先細りとなる中間部で傾斜を付けて、1〜0.5mm程度まで低くし、下部ではその高さを維持するように形成することができる。
このような膨らみ部は、パウチの壁面フィルムに熱エンボス法、真空成形法、圧空・真空成形法などにより設けることができ、特に熱エンボス法によれば、細かいパターンの再現性もよく、安定した形状の膨らみ部を生産性よく設けることができる。
【0032】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。
但し、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。また、図面に付した符号は、異なる図面においても同じ名称の部分には同じ符号を用いた。
図1、図2、図3は、それぞれ本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を説明する正面図である。
尚、各図において、上部ヒートシール部12は、内容物の充填前は未シールの開口部とし、この部分から内容物を充填し、その後、脱気シールなどによりヒートシールして密封するものである。
【0033】
図1において、詰め替え用パウチ100は、その本体部分が四方シール形式のパウチに製袋されている。即ち、底部2と胴部が、前後2面の壁面フィルム1の下側端縁部と両側端縁部とをそれぞれ底部ヒートシール部3と胴部ヒートシール部4でヒートシールして形成されている。
そして、パウチ100の上部のコーナー部には、その先端部6、両側の側部7、7および肩部8、8が図に示すようなパターンでヒートシールされてなる斜め上方に突出する形状の注出口部5が設けられ、且つ、注出口部5の両側に切り欠き部9、9が設けられ、更に、上側の切り欠き部9の形成時には、易開封性手段としてV字形のノッチ10と、その先端側に摘み部に相当するヒートシールの広幅部とが、形成されるようにトリミングされている。
尚、このようなノッチ10およびヒートシールの広幅部は、注出口部5の両側に設けることもできる。
【0034】
尚、上記注出口部5の両側の側部7、7と肩部8、8のヒートシール部の内側ラインは、例えば、肩部8、8の方は、その延長線が一直線となる形状、即ち、注出口部5の中心線Aに対して90°となる角度で形成することもできるが、本実施例では、より好ましい形状として、両側の側部7、7と肩部8、8の両方が中心線Aに対してそれぞれハの字状に2段階の傾斜を有する形状に形成した。
また、上記2段階の傾斜は、それぞれの交点が明瞭になる折れ線状としたが、Rをとる形状であってもよい。
【0035】
そして、ノッチ10につながる切り取り線11は、注出口部5の両側の側部と肩部のヒートシール部の内側ラインの中間点B、B′同士間を結ぶ直線を底辺として、注出口部5の先端部側に形成され、頂角が直角で頂点Cが注出口部5の中心線A上にある三角形の頂点Cより下の位置を通るようにノッチ10と共に設けた。
切り取り線11は、印刷による表示、または、更にレーザー光照射などによるハーフカット線を設けて構成することができる。
【0036】
このような構成を採ることにより、液状の内容物を充填し、上部ヒートシール部12を脱気シールして密封した詰め替え用パウチ100は、パウチの本体部分が四方シール形式であるため、自立性はないが、製袋が容易で生産性に優れており、安価に製造できる利点がある。
【0037】
また、充填された内容物をボトルなどに移し替える際には、注出口部5の先端部をノッチ10を始点として切り取り線11に沿って引き裂くことにより、容易に注出口部5を開封することができた。
そして、開封されたパウチ100は、その注出口部5の両側に切り欠き部7、7が設けられており、また、切り取り線11による開封位置が前記のように設定されているため、パウチ100の胴部を手で支えて注出口部側に傾け、注出口部5をボトルの口部に差し込むようにして内容物を注出することができ、注出口部5のボトルの口部への固定性もよく、且つ、内容物の注出中にその内圧により注出口部5が閉塞することもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができた。
【0038】
図2に示した詰め替え用パウチ200は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、パウチの本体部分の構成をスタンディングパウチ形式に変更すると共に、パウチ上部のコーナー部に設けた注出口部5のノッチ10と切り取り線11の位置を、切り取り線11が前記三角形の頂点Cを通る位置に変更し、更に、パウチ200の前後2面の壁面フィルム1に、その注出口部5から、パウチ本体の下部にかけて、注出口部5を含む上部では、その幅と高さが大きく、斜め下方に向かって徐々に幅と高さが小さくなる曲線状の膨らみ部13を前後2面の壁面フィルム1に対称形となるように設けて構成したものである。
尚、上記膨らみ部13の注出口部における最高部の高さは4mmとし、パウチ本体の中心部から下部では、高さが0.8mmとなるようにエンボス方式で設けた。
【0039】
このような構成を採ることにより、詰め替え用パウチ200は、その本体部分がスタンディングパウチ形式に製袋されているため、液状の内容物を充填し、上部ヒートシール部12を脱気シールして密封したパウチ200は、自立性があり、取り扱い易く、外観にも優れている。
そして、内容物をボトルなどに移し替える際には、注出口部5の先端部をノッチ10を始点として、切り取り線11に沿って引き裂くことにより、容易に注出口部5を開封することができた。
【0040】
そして、開封されたパウチ200は、自立性があるため一時的に置くことも自由であり取り扱い易く、且つ両側の壁面フィルム1には、その注出口部5からパウチ本体の下部にかけて、前記膨らみ部13が設けられているので、開封と同時に自動的に注出口部5が保形性よく開口し、また、パウチの中心部から下部にかけての押し罫状の膨らみ部により、パウチ200は外側に広がり、パウチ内での内容物の流動性もよく、その形態も安定したものとなる。
以下、内容物の移し替え操作は、前記図1に示したパウチ100の場合と同様に安全且つ容易に行うことができ、注出口部5の開口性、保形性も一層優れているため、注出の途中での注出口部5の閉塞の問題も全くなかった。
尚、図には示していないが、詰め替え用パウチ200の構成から、膨らみ部13のみを除いた構成のパウチについても、内容物の充填、および移し替えのテストを同様に実施したが、注出口部の閉塞もなく良好に使用することができた。
【0041】
図3に示した詰め替え用パウチ300は、前記図2に示した詰め替え用パウチ200の構成において、注出口部5に設けたノッチ10、および切り取り線11の位置のみを、切り取り線11が前記三角形の頂点Cよりも下を通る位置に変更して構成したものである。
【0042】
このような構成を採ることにより、詰め替え用パウチ300は、注出口部5の開封時の開口性に優れると共に、注出時の内圧による前記折れしわの開口部への影響も全くなく、前記図2に示した構成の詰め替え用パウチ200と同様に、注出の途中で注出口部5が閉塞することもなく、内容物を最後まで安全且つ容易に移し替えることができた。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと略同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、且つ、パウチ本体の形態をスタンディングパウチ形式とした場合は、パウチに自立性が加わり、取り扱い易く、形態安定性、外観にも優れ、更に、使用時には、パウチ上部のコーナー部に設けられた注出口部の先端を容易に切り取って開封することができ、それにより自動的に保形性に優れた注出口が開口され、注出の途中で注出口が閉塞することもなく、口径の小さなボトルなどの容器に対しても、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に最後まで移し替えることができるという安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を説明する正面図である。
【図2】本発明の詰め替え用パウチの別の一実施例の構成を説明する正面図である。
【図3】本発明の詰め替え用パウチの更に別の一実施例の構成を説明する正面図である。
【符号の説明】
1 壁面フィルム
2 底部
3 底部ヒートシール部
4 胴部ヒートシール部
5 注出口部
6 先端部
7 側部
8 肩部
9 切り欠き部
10 ノッチ
11 切り取り線
12 上部ヒートシール部
13 膨らみ部
A 注出口部の中心線
B、B′ 注出口部の肩部と側部の中間点
C 頂点
100、200、300 詰め替え用パウチ
Claims (3)
- 周囲の端縁部が袋状にヒートシールされ、流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチの上部のコーナー部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び両肩部がヒートシールされてなる上方に突出する形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側の肩部と側部のヒートシール部の内側ラインが、注出口部の先端方向に向かってそれぞれ先細りとなる2段階の傾斜を有する形状に形成されると共に、該注出口部の両側に切り欠き部が設けられ、更に、該注出口部を開封するための切り取り線が、注出口部の両側の肩部と側部のヒートシール部の内側ラインの中間点同士間を結ぶ直線を底辺として注出口部の先端部側に形成され、頂角が直角で頂点が注出口部の中心線上にある三角形の頂点を通るか、または頂点より下の位置を通るように設定され、更に、前記パウチの壁面フィルムに、該パウチの注出口部から、パウチ本体の下部にかけて、該注出口部を含む上部では、幅と高さが大きく、斜め下方に向かって徐々に幅と高さが小さくなる曲線状の膨らみ部が設けられていることを特徴とする詰め替え用パウチ。
- 前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチ。
- 前記パウチがスタンディングパウチ形式のパウチであることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチ。
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