JP4011735B2 - 詰め替え用パウチ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体などの流動性を有する内容物を密封包装し、使用時に内容物をボトルなど他の容器に移し替えて使用する詰め替え用パウチ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、パウチ上部などの一端に狭い幅の注出口部が形成された詰め替え用パウチにおいて、注出口部のフィルムの内面同士の密着による注出口の閉塞を防止し、開口性を改善した詰め替え用パウチとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液状などの流動性を有する内容物を密封包装する詰め替え用パウチとしては、自立性があり立体容器としての特徴も一部備えているスタンディングパウチが主に採用され、且つ、開封時に内容物を外にこぼすことなく他の容器に安全に移し替えられるよう、開口部をパウチ上部全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成するとか、或いは、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法、更には、プラスチック成形物などによる別体の注出口をパウチ上部の一部に熱接着して取り付ける方法などが採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パウチの開口部をパウチ上部の全体ではなく、コーナー部など一部分を切り取って形成する方法は、簡便ではあるが内容物の注出方向が安定しにくく、特に、移し替える容器がボトルなど口径の小さな容器の場合は、注出の途中でパウチの開口部が容器の口部からずれやすく、内容物を外にこぼすことがあり、移し替えの容易性、安全性の点で問題があった。
【0004】
また、プラスチックの成形物による別体の注出口をパウチ上部の一部に取り付ける方法は、製造工程が増え、注出口自体にも費用がかかり、更に、注出口を取り付けた空パウチは、厚さが増すため、保管や運搬の費用も割高となり、内容物の充填の際にも、例えば充填機のフィーダー部への空パウチの積み込み数が大幅に減少するため、オペレーターが頻繁に空パウチの供給を行う必要を生じるなど、全体としてコストアップと工程及び作業の煩雑さが増す問題があった。
【0005】
そして、パウチ上部の一部に幅を狭くした注出口部を設ける方法でも、内容物を他の容器に移し替える際の操作性、安全性は、ある程度は改善できるが、内容物の注出の際、開封された注出口部の口が開きにくく、また、内容物の粘度が低い場合、注出の初期には前方に勢いよく飛び出し、残量が少なくなると、パウチの注出口が閉じ易くなり、パウチを圧迫して押し出すと、内容物が勢いよく飛び出して外にこぼすことがあり、移し替えの容易性、安全性の点ではなお問題があった。
【0006】
上記注出口部の口開き性、及び注出の途中における開口部の閉塞の問題を解決する方法として、注出口部のフィルムに熱エンボスなどの手段で膨らみ部を形成する方法がある。この方法によれば、確かに注出口部に保形性のよい開口部を形成することができる。しかし、この方法は、膨らみ部を形成するための金型や加熱装置などを必要とするため、装置が高価になる欠点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、成形物などによる別体の注出口を用いず、また、熱エンボス装置のような高価な装置も必要とせず、通常のパウチと同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、しかも使用時には、パウチ上部などの端縁部に設けられた狭い幅の注出口部の先端部を切り取るだけで、自然に注出口部の口が開き、その保形性もよく、口径の小さなボトルなどに対しても、安全且つ容易に最後まで移し替えることができるという、安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチとその生産性のよい製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、プラスチックを主とする積層フィルムを袋状にヒートシールしてなるパウチにおいて、該パウチの上部の端縁部の一部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び肩部がヒートシールされてなる狭い幅の注出口部が設けられ、且つ、該注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部が設けられた詰め替え用パウチであって、該注出口部をヒートシールする際、対向する注出口部の両面のフィルムの間に、注出口部の中心線に沿って、所要の厚さを有する棒状体を介在させ、一方のフィルムは平面状とし、もう一方のフィルムで棒状体をくるむようにして、少なくとも注出口部の両側部をヒートシールし、次いで、棒状体を取り除いた後、注出口部の先端部及び肩部をヒートシールする方法で、注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部を形成したことを特徴とする詰め替え用パウチからなる。
【0009】
このような構成を採ることにより、成形物などによる別体の注出口を用いず、また、熱エンボス装置のような高価な装置を用いることもなく、通常のパウチと同様な工程でパウチを製造することができ、内容物の充填も、パウチ上部の注出口部を設けていない部分、または、パウチの胴部ヒートシール部の一部を未シールの開口部とすることにより、この部分から容易に充填することができ、しかも、内容物の使用時には、パウチの上部の端縁部の一部に設けられた狭い幅の注出口部の前記寸法を大きくした側のフィルムが、注出口部の中心線に沿って外側にトンネル状に膨らんだ形状となるため、注出口部の先端部を切り取るだけで、自動的に注出口部が保形性のよい状態で開口し、口径の小さなボトルなどに対しても安全且つ容易に最後まで内容物を移し替えることができ、安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチを提供することができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、前記注出口部の少なくとも一方の側部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の詰め替え用パウチからなる。
【0011】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用、効果に加えて、切り欠き部を容器の口部にあてがいながら内容物を注出することができるので、注出口部が容器の口部に確実に固定され、内容物を安全且つ容易に移し替えることができる。
上記切り欠き部は、注出口部の一方の側部のみに設けてもよいが、両側の側部に設けることもでき、その場合は、注出口部を容器の口部に差し込むようにして内容物を注出できるので、注出の安全性と容易性とを一層向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明は、前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチである。
【0013】
上記易開封性手段は、通常のパウチでも多用されるノッチのほか、レーザー光照射などによるハーフカット線、或いは、パウチの積層フィルムの中間層などに一軸延伸フィルムを積層する方法(この場合、一軸延伸フィルムは、その延伸方向が注出口部の開封方向と一致するように用いる)などがあり、これらは単独で用いてもよく、また、例えば、ノッチと一軸延伸フィルムの積層、または、ノッチとハーフカット線などのように適宜組み合わせて用いることもできる。
ハーフカット線を設ける場合、直線状のハーフカット線に限らず、ミシン目状など断続的なハーフカット線で設けることもできる。
また、このようなハーフカット線は、1本でもよいが、引き裂き方向がずれた場合を想定して、中心のハーフカット線の両側に各1本、または各2本など複数本のハーフカット線を平行に設けることもできる。
【0014】
特に、本発明のように、注出口部が内部に空隙部を有するように形成されている場合は、注出口部の開封に鋏などを用いる場合は問題ないが、手で引き裂いて開封する場合、両面のフィルムが離れているため、引き裂きの方向性が不安定になり易く、前記のように易開封性手段を組み合わせて用いることが一層好ましい。
尚、前記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが利用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に鋭角部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【0015】
このような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用、効果に加えて、注出口部を開封する際、鋏などの道具を必要とせず、手だけで、所望の位置で容易に注出口部の先端部を切り取って注出口を開口させることができる。
【0016】
請求項4に記載した発明は、前記パウチが、スタンディングパウチ形式のパウチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の詰め替え用パウチである。
【0017】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用、効果に加えて、パウチがスタンディングパウチ形式であるため、自立性を有し、取り扱いが容易になるほか、外観も優れたものとなり、更に、内容物の移し替え操作も容易に行うことができるようになる。
【0018】
請求項5に記載した発明は、プラスチックを主とする積層フィルムを袋状にヒートシールしてパウチの本体を形成し、該パウチの上部の端縁部の一部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び肩部をヒートシールして狭い幅の注出口部を形成する詰め替え用パウチの製造方法において、前記注出口部をヒートシールする際、対向する注出口部の両面のフィルムの間に、注出口部の中心線に沿って、所要の厚さを有する棒状体を介在させ、一方のフィルムは平面状とし、もう一方のフィルムで棒状体をくるむようにして、少なくとも注出口部の両側部をヒートシールし、次いで、棒状体を取り除いた後、注出口部の先端部及び肩部をヒートシールすることにより、注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部の外周をヒートシールすることを特徴とする詰め替え用パウチの製造方法からなる。
【0019】
このような製造方法を採ることにより、パウチ本体の形態に対応して、これを製袋する公知の製袋機に、前記注出口部の両面のフィルムの間に繰り返し挿入及び取り除き可能な棒状の治具と、注出口部をヒートシールするヒートシール装置を取り付けることにより、パウチの上部の端縁部の一部に、その外周、即ち、先端部、両側部及び肩部をヒートシールしてなる狭い幅の注出口部を、内部に空隙部を有し、一方のフィルムが外側にトンネル状に膨らむ形状に形成できるため、熱エンボス装置のような高価な装置を用いることなく、通常のパウチと同様な工程で、自然開口性と保形性に優れた注出口部を備えた詰め替え用パウチを生産性よく製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルム、およびパウチの形態など実施の形態について説明する。
本発明の詰め替え用パウチの製造に用いるフィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられるが、特に限定はされず、例えば、各種液体用パウチに用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができる。
これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを自由に選択して使用することができる。
好ましく使用できる積層フィルムの構成の代表的な例として、以下のような構成が挙げられる。
【0024】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカまたはアルミナ蒸着層)/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(8) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0025】
上記において、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルムを指すものである。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0026】
前記の積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や印刷適性を付与し、一軸延伸HDPEフィルム、一軸延伸PPフィルムは、その延伸方向をパウチの注出口部を開封する際の引き裂き方向と一致するように用いることにより、引き裂きの方向性を一層安定化させることができる。
そして、アルミニウム箔、シリカまたはアルミナ蒸着層、EVOHフィルムなどは、ガスバリヤー性を付与するために積層するものである。
また、シーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0027】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
【0028】
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、スタンディングパウチのようなヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のあるパウチのシーラント層には、シール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、前記共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差によるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0029】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の詰め替え用パウチの製造方法について説明する。
本発明の詰め替え用パウチは、その本体部分の形状は特に限定されず、例えば、三方シール形式、四方シール形式のパウチのほか、スタンディングパウチなどが好適に使用でき、ピロー形式やガセット形式のパウチでも、背シール部やガセット部が注出口部と重ならないように、必要な場合、背シール部の位置を適宜ずらすなど調整することにより使用することができる。
【0030】
従って、基本的には、採用するパウチ形式に応じて、それぞれに対応する製袋機を利用して、これに注出口部やその側部の切り欠き部、ノッチ、ハーフカット線などの追加構成部分を設けるための加工装置をインラインに組み込むか、或いは、オフラインとして用意することにより、容易にパウチを製造することができる。
【0031】
尚、本発明において、詰め替え用パウチの上部の一部に設ける注出口部の位置及びその形状は特に限定されず、例えば、注出口部の位置は、パウチ上部の中央部でもよく、コーナー部でもよい。また、注出口部の形状も、その設ける位置により、垂直に上に向くもの、斜め上方に向くもの、横方向に向くもの、そして、注出口部の両側部のヒートシール部の内側ライン、即ち、通液路の両側ラインが直線状または曲線状で先細りのもの、或いは先端側に平行部分を有するものなどいずれでもよい。
【0032】
そして、注出口部の両面のフィルムの寸法の差、特に注出口部の幅方向の寸法の差によって形成される注出口部のトンネル状の膨らみ部の高さは、最高部で1〜6mm程度が好ましく、2〜4mmが更に好ましい。最高部の高さが1mm未満の場合は、自然開口性に対する効果がやや薄くなり、また、6mmを超える高さは、既に十分な自然開口性に対する効果があり、その必要性がなく、むしろ注出口部が嵩張ることによる、空袋の取り扱い性、充填シール機のフィーダー部への空袋の積み込み適性などが低下するため好ましくない。
【0033】
注出口部にこのようなトンネル状の膨らみ部を設けるためには、両面のフィルムのうち、一方のフィルムを、この部分に引き寄せて形成することになり、その結果、注出口部の寸法を大きくした側のフィルムは、注出口部の両側及び先端側などその周囲において、寸法を大きくしただけ不足し、歪みを生じることになる。
【0034】
しかし、注出口部の膨らみ部の高さが、前記の高さの範囲の場合、両面のフィルムの寸法差は、注出口部において、1〜2mm程度であり、この寸法は周囲に分散することにより略半減する。
従って、注出口部の周囲に発生する前記歪みは、注出口部のヒートシールを、例えば、その両側部を先にヒートシールし、その後、先端部や両側肩部のヒートシールを行うというように、分割して行うことにより、多少の歪みは残るものの、大きなシワを発生することもなく、外観上も許容できる程度に、周囲に吸収させることができる。
【0035】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。
但し、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。また、図面に付した符号は、異なる図面においても同じ名称の部分には同じ符号を用いた。
図1、図2は、それぞれ本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を示す正面図である。
【0036】
図3、図4は、それぞれ本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする一実施例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図で、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
また、図5は、本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする応用例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図で、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
【0037】
図1において、詰め替え用パウチ100は、その本体部分がスタンディングパウチ形式に製袋されている。即ち、底部2が常法に従って、フィルムを内側に折り返してなるガセット形式で形成され、内側に折り込まれたフィルムの両側下端近傍に、半円形状の切り欠き部が設けられ、舟底形の底部シール部3でヒートシールして形成されている。
また、パウチ100の胴部は、前後2面の壁面用フィルム1、1′(1′は図示されていない)の両側端縁部を胴部シール部4、4′でヒートシールして形成される。尚、胴部シール部4、4′のうち、両側の胴部シール部4の部分は、底部シール部3に続いて、先にヒートシールし、胴部シール部4′の部分は、注出口部側部シール部6a 、6a をヒートシールした後で、注出口部の先端部シール部6b 、肩部シール部6c 、6c と共にヒートシールする。
【0038】
そして、パウチ100の上部のコーナー部には、注出口部5が、その外周、即ち、先端部、両側部および両肩部を、それぞれ注出口部先端部シール部6b 、注出口部側部シール部6a 、6a 、注出口部肩部シール部6c 、6c で両面の壁面用フィルム1、1′をヒートシールして形成され、また、注出口部5の両側の側部が切り欠き部8、8で切り欠かれて、斜め上方に突出する形状に設けられている。
【0039】
尚、注出口部5の外周のヒートシール方法は、後の図3、図4の説明で詳述するが、特に、注出口部5の両側の側部シール部6a 、6a をヒートシールする際、両面のフィルム1、1′のうち、一方のフィルム、例えば図示されているフィルム1が、注出口部5において、もう一方のフィルムよりも幅方向の寸法が大きくなるようにヒートシールし、次いで、注出口部5の先端部シール部6b 及び両側の肩部シール部6c 、6c 、そして、胴部シール部4′をヒートシールする。
【0040】
このような方法で注出口部5の外周と、胴部シール部4′のヒートシールを行うことにより、注出口部5からパウチ100の内部にかけて、注出口部5の中心線Eに沿って、フィルム1によるトンネル状の外側に膨らむ膨らみ部7が形成され、また、上側の注出口部肩部シール部6c の上端と、胴部シール部4′の上端との間に、内容物充填用の未シールの開口部10が形成される。
【0041】
また、前記注出口部5の両側の切り欠き部8、8は、前記注出口部5の外周のヒートシールを行った後で、打ち抜きなどで設けることが好ましく、この時、抜き刃にノッチ部を設けておくことにより、注出口部5の先端部近傍に易開封性手段としてのノッチ9を切り欠き部8と同時に設けることができる。このようなノッチ9は、注出口部5の両側に設けることもできる。
更に、ノッチ9につながる切り取り線11の位置には、印刷による表示を設けてもよく、また、レーザー光照射などによるハーフカット線を設けて構成することもできる。
【0042】
このような構成を採ることにより、詰め替え用パウチ100は、上部の未シールの開口部10から内容物を容易に充填し密封することができ、また、内容物が充填されたパウチ100は、自立性があり、取り扱い易く、外観にも優れている。
そして、内容物をボトルなどに移し替える際には、注出口部5の先端部をノッチ9を利用して、切り取り線11の方向に引き裂くことにより、容易に注出口部5を開封することができる。
【0043】
開封された注出口部5は、片側のフィルム1が外側に膨らむように形成されているため、開封と同時に、自動的に保形性のよい状態で開口する。
そして、注出口部5の両側は、切り欠き部8、8で切り欠かれ、注出口部5が細く突出するように形成されているので、パウチ100を手で持ち上げ、注出口部5をボトルの口部に差し込むようにして内容物を移し替えることができる。
従って、注出の途中で注出口部5が閉塞することもなく、また、内容物を外にこぼすこともなく、安全且つ容易に最後まで移し替えることができる。
【0044】
次に、図2に示した詰め替え用パウチ200は、前記図1に示した詰め替え用パウチ100の構成において、パウチ本体の形態のみを四方シール形式のパウチに変え、その他の部分は、総て図1の詰め替え用パウチ100と同様に加工して構成したものである。
【0045】
このような構成を採った場合、前記図1に示したパウチ100と比較して、パウチ200は、自立性がなく、取り扱い易さ、外観の点ではやや劣るが、製袋が容易で生産性がよく、安価となる利点があり、また、内容物の充填適性、注出口部5の開封性、開口性、保形性などは同様に優れており、内容物の移し替えも同様に安全且つ容易に行うことができる。
【0046】
図3は、本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする一実施例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
図3の(イ)に示したヒートシール装置は、下部の固定されたシール用受け型Dと、その上の水平方向(具体的にはパウチの注出口部の中心線Eの方向)に動く棒状体A、及び、上下方向に動き、パウチの注出口部の両側部を加熱圧着してヒートシールするヒートシール型Cとで構成されている。
【0047】
パウチの注出口部の両側部をヒートシールする際には、ヒートシール型Cが上に移動している時に、底部と胴部の注出口部より下の部分がヒートシールされたパウチの中間製品が、横方向からヒートシール装置に送り込まれる。この時、注出口部の両面のフィルム1、1′は、ガイド(図示せず)で上下に分離され、下側のフィルム1′は、棒状体Aの下側にシール用受け型Dの上面に沿って平面状に送り込まれ、上側のフィルム1は、棒状体Aの上側に送り込まれ、所定の位置で停止した後、ヒートシール型Cが下降し、図示されるように上側のフィルム1が棒状体Aをくるむようにして、棒状体Aの両側で注出口部の両側部が、所定の温度、圧力、時間で加熱圧着されヒートシールされる。
【0048】
次いで、棒状体Aが、注出口部の中心線Eに沿って先端部側に移動し、注出口部から引き抜かれると共に、ヒートシール型Cが上昇し、パウチは次のセクションに送られる。
そして、注出口部の先端部、両側の肩部、そして、胴部シール部の上部のヒートシールを行った後、注出口部の両側の切り欠き部の打ち抜きが行われて、パウチの製袋が終了する。
このようにして注出口部のヒートシールを行うことにより、注出口部を形成する両面のフィルムを、一方のフィルムの寸法が、もう一方のフィルムより大きく、内部に空隙部が形成されるように注出口部を設けることができる。
【0049】
図3の(ロ)に示した注出口部を含むパウチ上部のヒートシールパターン図により、パウチの各部のヒートシールの手順を説明する。
先ず、底部シール部(図示せず)と両側の胴部シール部の下部4、4がヒートシールされたパウチが、前記図3の(イ)に示したヒートシール装置に送られ、注出口部5の両側の側部シール部6a 、6a がヒートシールされる。
次いで、パウチが次のヒートシールセクションに搬送され、注出口部先端部シール部6b 、両側の注出口部肩部シール部6c 、6c 、そして、上部の胴部シール部4′が、通常のヒートシールと同様な方法でヒートシールされる。このヒートシールは、同時に行ってもよく、また、適宜分割して逐次行ってもよい。
【0050】
その後、注出口部5の両側の切り欠き部8、8の打ち抜き、及びパウチ側面の切断を行って詰め替え用パウチが完成される。
尚、注出口部先端部近傍のノッチ9につながる切り取り線11の部分に、ハーフカット線を設ける場合は、切り欠き部8、8の打ち抜きの前、または後に、例えば、レーザー光照射装置を組み込んで加工することができる。
【0051】
前記のような順序で注出口部を含むパウチ上部のヒートシールを行うことにより、注出口部5が、その両面のフィルム1、1′のうち、一方のフィルム1の寸法が、もう一方のフィルム1′よりも大きくなるように形成されても、それによって他の部分に生じるフィルム寸法の差を、注出口部5の両側に分散して吸収させることができるので、大きなシワの発生もなく、良好な状態でヒートシールすることができる。
【0052】
以上のような詰め替え用パウチの製造方法は、請求項5に記載した詰め替え用パウチの製造方法に該当するものであり、このような製造方法を採ることにより、前記図1、2に示した詰め替え用パウチ100、200のように、注出口部からパウチ本体の上部にかけて、一方のフィルムが外側に膨らみ部7のように膨らみ、開口性とその保形性に優れた注出口部を備え、使用適性に優れた本発明の詰め替え用パウチを生産性よく製造することができる。
【0053】
図4は、本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする別の一実施例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図で、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
図4の(イ)に示した注出口部の両側部のヒートシール装置は、前記図3の(イ)に示したヒートシール装置の構成において、注出口部の両面のフィルムの間に挿入される棒状体Aを取り除き、その代わりにシール用受け型Dの上面に、注出口部の中心線に沿う、所要の高さの棒状の凸部B(図では断面が半円形の凸部)を設けて構成したものである。
【0054】
そして、パウチの注出口部の両側部をヒートシールする際には、図に示すように、注出口部の両面のフィルム1、1′が棒状の凸部Bの上に乗るように配置し、ヒートシール型Cが下降した時、両面のフィルム1、1′が棒状の凸部Bを上からくるむようにして、所定の温度、圧力、時間で注出口部5の両側の側部シール部6a 、6a をヒートシールし、棒状の凸部Bによる周差により、上側のフィルム1の寸法が、下側のフィルム1′よりも注出口部の幅方向に大きくなるようにし、平面状に戻した時、両面のフィルム1、1′の間に空隙部が形成されるようにしたものである。
【0055】
上記以外のパウチ各部のヒートシール、及び打ち抜きなどの加工方法は、前記図3で説明した方法と同様であるため説明を省略する。
このような詰め替え用パウチの製造方法は、請求項6に記載した詰め替え用パウチの製造方法に該当するものであり、このような製造方法を採ることによっても、前記図3で説明した製造方法と同様に、図1、図2に示した詰め替え用パウチ100、200のように、その注出口部5からパウチ本体の上部にかけて、一方のフィルム1が、外側に膨らみ部7のように膨らみ、開口性とその保形性に優れた注出口部5を備え、使用適性に優れた本発明の詰め替え用パウチを一層生産性よく製造することができる。
【0056】
図5は、本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする応用例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図で、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
この製造方法は、図5の(イ)に示すように、パウチの注出口部5の両側部をヒートシールする上下運動可能なヒートシール型Cを、(ロ)のヒートシールパターンに示すように両側の側部シール部6a 、6a だけでなく、その中間部にも注出口部中間部シール部6d に示す形状にヒートシールできるように3列構成とし、また、注出口部5の両面のフィルム1、1′の間に挿入される棒状体を棒状体A、Aのように、前記3列のシールヘッドの間に2本を平行に配置し、一方(図において左側)の棒状体Aは、注出口部への挿入及び引き抜きが可能なように水平方向に動き、もう一方(図において右側)の棒状体Aは、図に示すように更に上下方向にも所定のストロークで動く構成とし、更に、シール用受け型Dを、この右側の棒状体Aの上下方向の運動が可能なように溝状の凹部を設けた構成として、ヒートシール装置を構成したものである。
【0057】
このようなヒートシール装置を用いて、前記図3で説明した方法と同様な手順で注出口部5をヒートシールすることにより、注出口部5が、注出口部中間部シール部6d で上下2列に分割されると共に、分割された注出口部5が、各列において2本の棒状体A、Aにより、それぞれ両面のフィルム1、1′のうち、一方のフィルムの寸法が、もう一方のフィルムよりも大きくなるように形成され、且つ、両面のフィルム1、1′が互いに異なる方向にトンネル状に膨らむように形成される。
従って、このように2列に分割して形成された注出口部5の膨らみ部も、その開口性と保形性は、前記図3、図4に示した方法で形成されたものと同様に優れている。
【0058】
このように注出口部5を形成することにより、図5の(ロ)に示したヒートシールパターンにおいて、注出口部中間部シール部6d の上側に形成される膨らみ部を、内容物の注出時の空気の流入口に利用し、注出口部中間部シール部6d の下側に形成される膨らみ部を内容物の注出口に利用できるので、内容物の注出の際、パウチを傾けるだけで、途中で内容物の流れが途切れるようなこともなく、最後まで一層スムーズに注出できるようになる。
また、注出口部5の全体としては、両面のフィルム1、1′が、略均等に引き寄せられて両側の側部シール部6a 、6a 、及び中間部シール部6d がヒートシールされるため、その後にヒートシールされる両側の注出口部肩部シール部6c 、6c や、胴部シール部4′のヒートシールの際、両面のフィルム1、1′の間には寸法差がなく、より安定したヒートシールを行える利点も得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、成形物などによる別体の注出口を必要とせず、通常のパウチと略同様な工程で生産性よく製造でき、内容物の充填も容易で、使用時には、パウチ上部の一部に設けられた狭い幅の注出口部の先端を容易に切り取って開封することができ、それにより自動的に保形性に優れた注出口が開口され、注出の途中で注出口が閉じることもなく、口径の小さなボトルなどに対しても、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に最後まで移し替えることができるという安価で使用適性に優れた詰め替え用パウチと、その製造方法を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の詰め替え用パウチの一実施例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の詰め替え用パウチの別の一実施例の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする一実施例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
【図4】本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする別の一実施例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
【図5】本発明の詰め替え用パウチの製造方法において、注出口部の両側部をヒートシールする応用例の方法を説明する図であり、(イ)は、注出口部の両側部をヒートシールする装置を説明する要部の断面図、(ロ)は、パウチの注出口部を含む上部のヒートシールパターンを示す部分正面図である。
【符号の説明】
A 棒状体
B 棒状の凸部
C ヒートシール型
D シール用受け型
E 注出口部の中心線
1、1′ フィルム
2 底部
3 底部シール部
4、4′ 胴部シール部
5 注出口部
6a 注出口部側部シール部
6b 注出口部先端部シール部
6c 注出口部肩部シール部
6d 注出口部中間部シール部
7 膨らみ部
8 切り欠き部
9 ノッチ
10 未シールの開口部
11 切り取り線
100、200 詰め替え用パウチ
Claims (5)
- プラスチックを主とする積層フィルムを袋状にヒートシールしてなるパウチにおいて、該パウチの上部の端縁部の一部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び肩部がヒートシールされてなる狭い幅の注出口部が設けられ、且つ、該注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部が設けられた詰め替え用パウチであって、該注出口部をヒートシールする際、対向する注出口部の両面のフィルムの間に、注出口部の中心線に沿って、所要の厚さを有する棒状体を介在させ、一方のフィルムは平面状とし、もう一方のフィルムで棒状体をくるむようにして、少なくとも注出口部の両側部をヒートシールし、次いで、棒状体を取り除いた後、注出口部の先端部及び肩部をヒートシールする方法で、注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部を形成したことを特徴とする詰め替え用パウチ。
- 前記注出口部の少なくとも一方の側部に切り欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え用パウチ。
- 前記注出口部に易開封性手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチ。
- 前記パウチがスタンディングパウチであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の詰め替え用パウチ。
- プラスチックを主とする積層フィルムを袋状にヒートシールしてパウチの本体を形成し、該パウチの上部の端縁部の一部に、外周、即ち、先端部、両側部、及び肩部をヒートシールして狭い幅の注出口部を形成する詰め替え用パウチの製造方法において、前記注出口部をヒートシールする際、対向する注出口部の両面のフィルムの間に、注出口部の中心線に沿って、所要の厚さを有する棒状体を介在させ、一方のフィルムは平面状とし、もう一方のフィルムで棒状体をくるむようにして、少なくとも注出口部の両側部をヒートシールし、次いで、棒状体を取り除いた後、注出口部の先端部及び肩部をヒートシールすることにより、注出口部を形成する両面のフィルムのうち、一方のフィルムの寸法を、もう一方のフィルムより大きくし、内部に空隙部が形成されるように注出口部の外周をヒートシールすることを特徴とする詰め替え用パウチの製造方法。
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