JP3868568B2 - スタンディングパウチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体などの流動性を有する内容物を密封包装するために用いられるスタンディングパウチに関し、更に詳しくは、開封時に内容物をボトルなど他の容器に安全且つ容易に移し替えられるよう、パウチ上部の一部に細くて長い注出口が延設されたスタンディングパウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スタンディングパウチは、プラスチックフィルムなどの軟包装材で形成されているにも拘わらず、自立性があり立体容器としての特徴も備えていることから、液体、粉体などの容器としても広く用いられている。
しかし、その開封に関しては、▲1▼スタンディングパウチの上部に設けられたノッチ部を利用して上部全体を切り取って開封する方法、▲2▼鋏などでパウチ上部のコーナー部を切り取って開封し、これを注ぎ口とする方法、更には、▲3▼プラスチック成形品などによる別体のキャップ付き注出口などを、パウチの上部開口部に予め熱接着などで取り付けておいて、キャップを取り外すことにより開封する方法などが採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼のスタンディングパウチの上部全体を切り取って開封する方法は、特に内容物が液体の場合、パウチが軟らかいため手で持ったときに上部から溢れやすいという問題がある。また、▲2▼のパウチ上部のコーナー部を切り取って開封し、これを注ぎ口とする方法は、開口部を狭くできる点で上記▲1▼の方法と比較すると、内容物を誤って溢れさせる危険性は少なくできる。しかし、開口部が狭くなると開口部両面のフィルムが内面同士で密着しやすくなるため、継続的に安定した流れで最後まで注ぎ出すことが難しく、特に残量が少なくなった場合、手でパウチを圧迫して押し出す必要を生じ、手で圧迫すると瞬間的に勢いよく流出するため他の容器などに移し替える場合、内容物をこぼしやすいという問題があった。
【0004】
また、▲3▼のキャップ付き注出口などを、上部開口部に予め熱接着などで取り付けておいて、キャップを取り外すことにより開封する方法は、開口部の大きさなどを予め内容物の性状や注出条件に適するように安定した形状で設定できるので、前記▲1▼、▲2▼の方法と比較すると注出の安全性、安定性とも優れている。しかし、このようなプラスチック成形品などによる注出口をスタンディングパウチに取り付ける場合、製造工程が複雑になると同時に、包装袋が嵩張り、内容物の充填も通常、口径の小さな注出口から行う必要があるため、特別な充填装置を必要とし、更に、注出口のコストも余分にかかるため、包装にかかるコストが大幅に高くなる欠点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、成形品などによる別体の注出口を必要とせず、通常のスタンディングパウチと同様な工程で製造でき、内容物の充填が容易で、しかも使用時には、パウチ上部の一部に延設された注出口の先端部を切り取って開口させるだけで、口径の小さなボトルなどに対しても、安全且つ容易に最後まで注ぎ出すことができるという、移し替えなどの使用適性に優れたスタンディングパウチを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、底部がフィルムを内側に折り返してなるガセット形式にヒートシールして形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側端縁部をヒートシールして形成され、上部が開口する形式のスタンディングパウチにおいて、該パウチが、少なくとも二軸延伸ナイロンフィルムを含む基材層と、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムまたは無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層とを貼り合わせてなる積層フィルムで形成されると共に、パウチ上部の開口部の一部に、周囲がヒートシールにより封止され、内部がパウチ内部に連通する細くて長い首状の注出口が上方に延設され、更に、該注出口の上部周囲のヒートシール部が、該注出口の先端部近傍のヒートシール部を切り取って開口させた後も、該開口部の左右両側に所定の幅と長さの突出部を有するように形成され、該注出口を内容物の移し替えを行うボトルの口部に差し込んだ際に、該突出部がボトルの口部の下の肩部に接して該注出口の抜けを防止するようにしたことを特徴とするスタンディングパウチからなる。
【0007】
上記において、パウチ上部開口部の一部に設けられる首状の注出口の幅(実質的には内径)および長さは、特に限定されるものではなく、パウチに充填される内容物の流動性、および、移し替えに用いる場合は、移し替えられるボトルなど容器の口部の内径と長さを考慮して適宜設定することが好ましい。
即ち、注出口の内径の下限は、少なくともパウチに充填された内容物をスムーズに注ぎ出すことができる大きさであり、また、上限は、移し替えられる容器の口部の内径と同等程度であることが好ましい。
また、注出口の長さは、移し替えられる容器の口部に注出口を差し込んだ時、余裕を持ってその先端が容器の口部の下に突き出る程度であることが好ましい。
【0008】
このような構成を採ることにより、通常のスタンディングパウチの機能に加えて、液状などの内容物が密封包装されたスタンディングパウチの内容物をボトルなど口径の小さな容器に移し替える場合でも、注出口の先端部を切り取って開口させ、注出口をボトルなどの口部に深く差し込むことができるため、内容物が外にこぼれることがなく、最後まで安全且つ容易に移し替えることができる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、前記注出口が、パウチ上部開口部の左右いずれか一方の端部寄りの位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のスタンディングパウチからなる。
【0010】
このような構成を採ることにより、パウチの上部開口部の一部に首状に突出する注出口が設けられていても、残りの開口部の幅を広くできるため、内容物の充填をパウチ上部から容易に行うことができる。
【0012】
尚、上記において、注出口の上部両側のヒートシール部に形成される所定の幅と長さの突出部は、注出口の先端部近傍のヒートシール部を切り取って開口させ、ボトルなど移し替えを行う容器の口部に差し込んだ時、前記突出部が容器口部の下の肩部に引っ掛かり、注出口を抜けにくくするために設けたものであり、特に、前記突出部の左右両端までの幅は、注出時においても容器口部の内径よりも大きくなるように設定することが好ましい。
【0013】
このような構成を採ることにより、液状などの内容物が密封包装されたスタンディングパウチの内容物をボトルなどに移し替える際、注出口の先端部近傍のヒートシール部を切り取って開口させ、注出口をボトルの口部から内部に深く差し込むことにより、注出口先端の開口部の両側に設けられた突出部が、ボトル内で口部の下の肩部に引っ掛かるため、誤って抜けることがなく、一層安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
【0014】
そして、請求項3に記載した発明は、前記注出口の先端部近傍の所定の位置に、該注出口の先端のヒートシール部を切り取って注出口を開口させるためのノッチ及び/又は切り取り表示線が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスタンディングパウチからなる。
上記において、切り取り表示線は、印刷による点線、破線などで設けてもよく、また、ハーフカット線で設けてもよい。
【0015】
このような構成を採ることにより、液状などの内容物が密封包装されたスタンディングパウチの使用に際して、注出口先端のヒートシール部を切り取って開口させる時、鋏などの切断具を必要とせず、手で容易に所定の箇所を引き裂いて開口させることができ、使用適性が一層向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のスタンディングパウチの製造方法など実施の形態について説明する。
先ず、本発明のスタンディングパウチの製造に用いる材料は、特に限定はされず、公知のスタンディングパウチに用いられている材料はいずれもそのまま使用でき、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適する材料を自由に選定して使用することができる。
通常、スタンディングパウチにはプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられるが、その構成の具体例として以下のようなものが挙げられる。
【0017】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム
(5) ONフィルム(シリカ蒸着層)/接着剤/一軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム
(8) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム
(10)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0018】
尚、上記において、ONフィルムは2軸延伸ナイロンフィルム、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、PPフィルムはポリプロピレンフィルム、PETフィルムは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルムを指すものである。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0019】
前記の積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や印刷適性を付与し、一軸延伸HDPEフィルム、一軸延伸PPフィルムは、その延伸方向をパウチを開口させる際の引き裂き方向と一致するように用いることにより、引き裂きの方向性を一層安定化させることができる。
そして、アルミニウム箔、シリカ蒸着層、EVOHフィルムなどは、ガスバリヤー性を付与するために積層するものである。
また、シーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0020】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており安定したシールが得られる点で好ましい。
【0021】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明のスタンディングパウチの製造方法について説明する。
本発明のスタンディングパウチは、先にも説明したように、液状などの内容物が密封包装されたスタンディングパウチを開封して使用する際に、ボトルなど他の容器に安全且つ容易に移し替えられるよう、パウチ上部開口部の一部に、周囲がヒートシールにより封止され、内部がパウチの内部に連通する細くて長い首状の注出口を上方に延設して構成したものである。
【0022】
この場合、注出口はパウチ上部の中央部に設けることもできるが、左右いずれかの端部寄りに設けることが好ましい。
注出口を端部寄りに設けることにより、パウチ上部に残される開口部の幅を広くできるため、上部からの内容物の充填を一層容易に行える利点がある。また、製袋の際にも、2列でパウチの上部同士を中央で突き合わせ、注出口部が入り組んだ形状(通称、入れ子状)に面付けできるため、壁面フィルムの無駄を少なくできる利点もある。
【0023】
また、注出口先端部近傍の左右両側のヒートシール部に、所定の大きさで外側に広がる突出部を形成し、注出口先端部のヒートシール部を切り取って開口させた後も、開口部の左右両側のヒートシール部に所定の幅と長さの突出部が残るように注出口を形成することができる。
注出口先端部近傍の左右両側のヒートシール部にこのような突出部を設けた場合、パウチに充填された内容物を例えばボトルに移し替える際、注出口をボトルの口部に深く差し込むことにより、突出部がボトルの口部の下の肩部に引っ掛かるようになり、注出口が誤ってボトルから抜けるようなことがなくなるため、一層安全且つ容易に内容物の移し替えを行うことができる。
更に、注出口の先端部近傍の所定の位置には、注出口先端のヒートシール部を容易に切り取って開口できるように、ノッチ、及び/又は切り取り表示線を設けることができる。
【0024】
このようなスタンディングパウチを製造する場合、通常のスタンディングパウチと同様に、例えば、表面の基材フィルムに適宜印刷を施し、これにシーラント層、または中間層とシーラント層などをラミネートにより積層し、所定の寸法(幅)に仕上げた前後2面の壁面フィルムと底面フィルムとを用いて、スタンディングパウチ用製袋機により底部(ガセット形式)と胴部、およびパウチ上部開口部の一部に設ける注出口部を所定のヒートシールパターンでヒートシールして形成すると共に、注出口の周囲には所定幅のヒートシール部を残し、また、注出口の設けられていないパウチ上部は開口部とする形状に、パウチ上部をトリミングし、更に、横方向に連接されるパウチを、胴部ヒートシール部間で切断することにより、個々のスタンディングパウチを作製することができる。
【0025】
尚、前記注出口の先端近傍に設ける切り取り表示線を印刷で設ける場合は、壁面フィルムの表面の基材フィルムに絵柄やその他の表示事項などを印刷する際、同時に印刷することができる。また、切り取り表示線をハーフカット線で設ける場合は、製袋の際、インラインで機械的手段またはレーザー光照射により設けることができる。また、ノッチについては、例えば、製袋段階でパウチ上部のトリミングを行う際、その刃にV字形などのノッチ部を設けておいて、トリミングと同時に設けてもよく、また、製袋後、オフラインで設けることもできる。
【0026】
また、パウチ上部の一部に突出するように設けられる注出口が、外観上問題となる場合は、製袋後から内容物の充填シール後までの適宜の段階で、注出口をパウチ胴部側に折り畳んで、粘着シールなどで仮止めするか、或いはホットメルトなどで剥離可能に接着し、目立たないようにすることができる。
【0027】
【実施例】
以下に、図面および試験例により、本発明を更に具体的に説明する。
但し、本発明はこれらの図面、試験例に限定されるものではない。
また、図面に付した符号は、異なる図面においても同じ名称の部分には同じ符号を用いた。
【0028】
図1、図2は、それぞれ本発明のスタンディングパウチの一実施例の構成を示す正面図である。
図2は、本発明の一実施例のスタンディングパウチの使用時(充填された内容物の移し替え時)の状態を説明する斜視図である。
【0029】
図1において、スタンディングパウチ30は、底部(ガセット形式)と胴部がそれぞれ底部ヒートシール部2と胴部ヒートシール部3でヒートシールされて形成されると共に、パウチ上部開口部の一部(図では左側端部寄りの位置)には、周囲がヒートシール部5で封止され、内部がパウチ内部に連通する細くて長い首状の注出口4が上向きに延設され、該注出口4の先端部近傍の所定の位置には、注出口4の先端のヒートシール部を切り取って、注出口開口部9を開口させるためのノッチ8と切り取り表示線7が設けられ、また、パウチ上部開口部の注出口4が設けられていない部分は、これを内容物の充填口に使用するため、未シールの上部開口部10として、開口させて構成したものである。
【0030】
このような構成のスタンディングパウチ30に液状などの内容物を充填する場合、パウチ上部開口部、即ち、未シールの上部開口部10の幅は、注出口4が設けられている分、狭くなっているため、充填シール機のシールヘッドの形状変更は必要であるが、前記未シールの上部開口部10から、通常のスタンディングパウチと同様に、充填し、ヒートシールすることができる。
この時、注出口4が充填部のノズルなどと接触し、支障を来す場合は、充填部に簡単なガイド板などを取り付けて、注出口4をパウチの前後いずれかの方向に寝かせることにより対処できる。
【0031】
また、内容物が密封包装されたスタンディングパウチ30から、内容物をボトルなど他の容器に移し替える際は、パウチ上部に設けられた注出口4の先端近傍のヒートシール部をノッチ8と切り取り表示線7で切り取って注出口開口部9を開口させ、注出口4を容器の口部に深く差し込んだ後、パウチを持ち上げて傾けることにより、内容物を外にこぼすことなく安全且つ容易に最後まで移し替えることができる。
【0032】
図2は、前記図1に示したスタンディングパウチ30とは、注出口4の先端部近傍の形状が異なる例のスタンディングパウチ40の構成を示したものである。
即ち、図2において、スタンディングパウチ40は、底部と胴部は図1に示したスタンディングパウチ30と同様に形成され、上部開口部の一方の端部寄りの位置(図では左側端部寄りの位置)に設けられた注出口4の先端部近傍の左右両側のヒートシール部を外側に所定の大きさで拡大して突出部6を設け、注出口4の先端近傍のヒートシール部を切り取って開口させた後も、前記突出部6が所定の幅と長さで残るように構成すると共に、該注出口4の先端部近傍の所定の位置に、注出口4の先端近傍のヒートシール部を切り取って、注出口開口部9を開口させるためのノッチ8と切り取り表示線7を設け、また、パウチ上部開口部の注出口4が設けられていない部分は、内容物の充填口として使用するため、未シールの上部開口部10として開口させて構成したものである。
【0033】
このような構成のスタンディングパウチ40も、内容物の充填およびシールは、前記図1に示した構成のスタンディングパウチ30の場合と同様に、未シールの上部開口部10から充填し、ヒートシールして密封包装することができる。
また、スタンディングパウチ40に密封包装された液状などの内容物を、口径の小さいボトルなどの容器に移し替える場合は、パウチ上部に設けられた注出口4の先端近傍のヒートシール部を、ノッチ8と切り取り表示線7で切り取って注出口開口部9を開口させ、次いで、開口した注出口4を、容器の口部から深く差し込んで、注出口4の先端部近傍の両側のヒートシール部に設けられた突出部6を、容器口部の下に連なる肩部から下に突き出させ、注出口4が誤って引き上げられても、前記突出部6が容器の肩部に引っ掛かる状態とした上で、パウチを持ち上げて傾けることにより、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に最後まで移し替えることができる。(図3参照)
【0034】
図3は、本発明の一実施例のスタンディングパウチの使用時(内容物の移し替え時)の状態を説明する斜視図であり、特に、注出口の形状が、図2に示したタイプに形成されたスタンディングパウチを用いてボトルに内容物を移し替えている状態を示す図である。
図3において、スタンディングパウチ50は、パウチ上部の端部寄りの一部に設けられた注出口4の先端のヒートシール部を切り取って開口させた後、その注出口4を、注出口4の先端部両側のヒートシール部に設けられた突出部が、内容物の移し替えを行うボトル20の口部21の下に連なる肩部22に突き出るまで差し込み、該突出部がボトルの肩部22に引っ掛かって、注出口4がボトルから誤って抜けることのないようにして、内容物をボトル20に注ぎ出している。
このような方法で移し替えを行うことにより、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に最後まで移し替えることができる。
【0035】
〔試験例1〕
基材フィルムとして厚さ15μmのONフィルムを用い、これにシーラント層として厚さ130μmのL・LDPEフィルムを、ポリエステル/イソシアネート系2液硬化型接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、40℃で3日間エージングして、スタンディングパウチ用の積層フィルム(胴部および底部に共通に用いる)を作製した。
【0036】
上記積層フィルムを用いて、図1に示した構成のスタンディングパウチを作製することとし、各部の寸法を下記のように設定すると共に、製袋機に注出口を加工するためのヒートシール装置とトリミング用のカッティング装置を付設して加工し、試験例1のスタンディングパウチを作製した。
また、前記基材フィルムでパウチの壁面に用いるフィルムには、予め所定の寸法で絵柄および切り取り表示線を裏刷り方式で印刷した。
【0037】
パウチ本体部の外形寸法は、幅130mm、長さ235mmで、底部の折り返し部の長さは37mmとし、底部のヒートシール部は、通常のスタンディングパウチと同様に、上部に下反りの湾曲部(湾曲部の高さ32mm)を有し、湾曲部の下側がヒートシールされ、湾曲部の底部ではパウチ下端までの長さが5mmのヒートシール部を有するパターンでヒートシールして底部を形成し、胴部はヒートシール幅5mmでパウチの左右両側をヒートシールして形成した。
【0038】
そして、パウチ本体部の上部開口部の左端寄りの位置に、パウチの上方に突出する注出口を延設するため、注出口の外形寸法を幅24mm、長さ55mmとし、外周が幅4mmでヒートシールされ、内部に幅16mm、長さ51mmの非シール部を有する形状とし、この注出口をパウチ上部開口部の左端から12mmの位置に注出口の左端下端が位置するように設けられるよう注出口用のヒートシールパターンと、トリミング用のカッティング装置とを作製し、製袋機に付設して製袋した。
尚、注出口の先端部近傍の所定の位置に設ける切り取り表示線は注出口の先端から6mm下の位置、即ち、先端のヒートシール部からは2mm下の位置に印刷により設けられており、ノッチは製袋後、前記切り取り表示線の右側の端部にオフラインで設けた。
以上のようにしてパウチ上部開口部の左端寄りの位置に、上方に細長く突出する注出口を有し、該注出口が設けられていない部分が、内容物充填用に未シールの上部開口部として開口する試験例1のスタンディングパウチを作製した。
【0039】
〔試験例2〕
試験例2として、図2に示した形状のスタンディングパウチを作製することとし、前記試験例1と同じ積層フィルム(注出口先端部近傍の切り取り表示線も同じ位置に印刷したもの)を用いて、パウチ本体部分の外形寸法および注出口を設ける位置、また、注出口もその長さ、幅など基本部分は試験例1と同一とし、注出口先端部分のヒートシール部の形状のみを、その先端部両側のヒートシール部をそれぞれ左右外側に、幅6mm、長さ16mmで拡大して突出部を設けた形状に変更し、これに伴って、パウチ上部をトリミングするカッティング装置の刃をこの形状に変更して試験例2のスタンディングパウチを作製した。
この場合も、ノッチは製袋後、注出口先端部近傍の切り取り表示線の右側端部にオフラインで設けた。
【0040】
以上のように作製した試験例1および試験例2のスタンディングパウチに、それぞれの未シールの上部開口部から、内容物として台所用液体洗剤500mlを充填した後、開口部を脱気シールしてパウチを密封し、試験例1および試験例2のスタンディングパウチ包装体を作製した。(包装体は各20個作製)
【0041】
以上のように作製した試験例1および試験例2のスタンディングパウチ包装体は、35℃で3か月間の保存後も、いずれも自立性に支障はなく、また、内容物の漏れも認められなかった。
【0042】
また、上記スタンディングパウチ包装体の使用適性をテストするため、移し替え用の容器として、台所用液体洗剤のプラスチック製空ボトル(容量は600mlで口部の内径24mm、口部の長さ20mm)を用意し、また、各スタンディングパウチ包装体の注出口の先端部を、手でノッチから切り取り線に沿って切り取り、それぞれの注出口を開口させた。この時、開口性はいずれも問題なく良好に開口できた。
【0043】
次に、試験例1の包装体は、注出口をボトルの口部から、その先端がボトル口部の下に突き出るまで差し込み、その後、パウチをボトル上で傾け、内容物をボトル内に注ぎ出した。また、試験例2の包装体は、注出口をボトルの口部から、その先端部両側の突出部が総て口部の下に突き出るまで差し込み、その後、パウチをボトル上で傾け、内容物をボトル内に注ぎ出した。
このようにして移し替えを行うことにより、いずれのスタンディングパウチ包装体も、内容物を外にこぼすことなく、安全且つ容易に最後まで移し替えることができた。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、成形品などによる別体の注出口を取り付ける必要がなく、製袋、および内容物の充填も容易に行え、且つ、液状などの内容物が密封包装されたスタンディングパウチ包装体の使用時には、パウチ上部の一部に突出するように設けられた注出口の先端部を切り取って開口させ、その注出口をボトルなど移し替えを行う容器の口部に深く差し込んで内容物を注ぎ出すことにより、内容物が外にこぼれることもなく、安全且つ容易に最後まで移し替えを行うことができるという、便利で使用適性に優れたスタンディングパウチを生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスタンディングパウチの一実施例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明のスタンディングパウチの別の一実施例の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施例のスタンディングパウチの使用時(内容物の移し替え時)の状態を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 壁面フィルム
2 底部ヒートシール部
3 胴部ヒートシール部
4 注出口
5 ヒートシール部
6 突出部
7 切り取り表示線
8 ノッチ
9 注出口開口部
10 未シールの上部開口部
20 ボトル
21 口部
22 肩部
30,40,50 スタンディングパウチ
Claims (3)
- 底部がフィルムを内側に折り返してなるガセット形式にヒートシールして形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側端縁部をヒートシールして形成され、上部が開口する形式のスタンディングパウチにおいて、該パウチが、少なくとも二軸延伸ナイロンフィルムを含む基材層と、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムまたは無延伸ポリプロピレンフィルムからなるシーラント層とを貼り合わせてなる積層フィルムで形成されると共に、パウチ上部の開口部の一部に、周囲がヒートシールにより封止され、内部がパウチ内部に連通する細くて長い首状の注出口が上方に延設され、更に、該注出口の上部周囲のヒートシール部が、該注出口の先端部近傍のヒートシール部を切り取って開口させた後も、該開口部の左右両側に所定の幅と長さの突出部を有するように形成され、該注出口を内容物の移し替えを行うボトルの口部に差し込んだ際に、該突出部がボトルの口部の下の肩部に接して該注出口の抜けを防止するようにしたことを特徴とするスタンディングパウチ。
- 前記注出口が、パウチ上部開口部の左右いずれか一方の端部寄りの位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のスタンディングパウチ。
- 前記注出口の先端部近傍の所定の位置に、該注出口の先端のヒートシール部を切り取って注出口を開口させるためのノッチ及び/又は切り取り表示線が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のスタンディングパウチ。
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