JP3997956B2 - 演奏装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、演奏データに基づいてリード等の発音体を発音させるオルゴール等の演奏装置、演奏データ編集装置、演奏装置の制御プログラム及び演奏データ編集プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バレルドラムを用いることなく、演奏データ等に基づく駆動信号に応じて、リード等の発音体を発音させるようにしたオルゴール型等の演奏装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1のオルゴールの弾鍵装置は、複数の振動弁が爪車の複数の爪で弾鍵されるように、回転駆動源によって前記爪車が回転自在に複数配設された正回転する軸と、回転駆動源により常時反回転し、歯車が固着された軸とから構成されている。そして、コントローラー部からの1パルス信号で前記爪車の回転域を進退運動源により進退運動するプランジャで、前記プランジャの先端部と爪車の爪との係合により爪車を回転制御することにより前記歯車が爪車の爪を強制的に間欠駆動することで弾鍵するようにしている。これによれば、爪車は、被駆動時には、歯車に連動して回転し、比較的ゆっくりした速度で弾鍵され、メカノイズも抑制される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−236061号公報
【特許文献2】
特開平5−002387号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1では、爪車は、正回転する軸から自重で回転力を得て回転するようになっているため、爪車の回転速度は通常、歯車の回転速度によって規定され、ゆっくりであり、爪車の爪と歯車の歯先とが係合するまでの爪の空走時間が長い。そのため、爪車の爪と歯車の歯先とを正確に係合させるために、歯車の歯先ピッチ、及びパルス信号の間隔に十分な余裕を設ける必要があり、例えば、同一音高の連弾に適さない等、適用可能な曲乃至演奏態様が限定され、用途が狭い。それに加えて、同一音高に関し可能な連弾速度は、歯車の回転数及び歯先ピッチで決まり、最小分解能をあまり小さくできないことから、速い連弾に適さない。従って、演奏可能な曲の範囲が必ずしも広くないという問題があった。
【0006】
また、爪車が自重に依存して回転するため、正回転する軸との滑りを生じる場合は、爪が所期の歯先に係合せず、発音タイミングが狂うおそれがあり、忠実な演奏を確実に行うことが容易でないという問題があった。
【0007】
ところで、演奏データを自動的に演奏するものとして、自動演奏ピアノ等の演奏装置も知られている。この演奏装置は一般に、演奏データに基づき鍵をソレノイド等を用いて駆動し、押鍵動作と同じように鍵を動作させることで、奏者による押鍵動作の場合と同様に、弾弦がなされて発音するようになっている。
【0008】
ところが、演奏に用いられる演奏データは、外部から入力されることが多く、それらの演奏データは、当該演奏装置専用に記録されたものとは限らず、通常、汎用的なデータであるため、特にハンマアクション機構を備えた演奏装置で自動演奏する場合は、打鍵速度や連打性能の関係で、適切な演奏を行えない場合がある。
【0009】
そのため、上記特許文献2では、演奏データを記録する記録用ピアノと演奏データを再生する自動演奏ピアノの両構造に関するデータを比較して、両構造の違いを補償するように打弦強度データを変換するようにしている。しかしながら、特に同一音高に関し、連打性能を超える演奏データを演奏する場合は、打弦強度データの変換だけでは対処できない。
【0010】
すなわち、一般に、リアルタイム入力により記録される演奏データは、鍵盤楽器等を利用して行われ、その演奏データは、記録に用いた鍵盤楽器の連打性能に応じたものとなる。例えば、連打性能は、ハンマアクション機構を有するグランドピアノ、アップライトピアノでそれぞれ15回/秒、7〜8回/秒程度、ハンマアクション機構を有しない鍵盤楽器では15回/秒以上である。また、ステップ入力によれば、一層高い連打性能に相当する演奏データも記録可能である。
【0011】
すなわち、演奏データの記録時には、通常、再生側の演奏装置の連打性能が考慮されないため、連打性能を超える演奏データをそのまま演奏すると、不適切な演奏となる。特に、再生側の演奏装置がアップライト型で、ハンマアクション機構を有していて連打性能がそれほど高くない場合は、適切に演奏可能な曲の範囲が結果的に限定されるという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を可能にすることができる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の演奏装置は、発音可能な複数の発音体と、軸支された係合部材と、前記係合部材を一方向に常時回転させる回転手段と、それぞれ固定的に設けられた、複数の発音体駆動部、カム部、及び、前記複数の発音体駆動部に各々対応する複数の被駆動部を有し、前記被駆動部が前記係合部材に係合可能なように回転自在に軸支された、前記複数の各発音体に対応する複数の回転部材と、前記回転部材のカム部と常時当接することで、少なくとも前記回転部材の被駆動部が前記係合部材に係合していない状態においては前記被駆動部が前記係合部材に係合可能な係合可能状態となる回転方向に前記回転部材を付勢する付勢手段と、演奏データに基づいて駆動信号を生成する信号生成手段と、前記複数の各回転部材に対応して設けられ、前記信号生成手段により生成された駆動信号に応じて動作することで、前記付勢手段による付勢力に抗して、対応する回転部材の回転の規制及び規制の解除を行う複数の動作部材とを有し、前記係合部材は、弾性部を有し、前記回転部材の被駆動部を前記弾性部の任意の位置で弾性保持しつつ回転することで前記被駆動部を駆動するように構成され、前記動作部材による回転の規制の解除によって前記回転部材が前記係合可能状態になったとき、前記回転部材の被駆動部の1つが前記係合部材の前記弾性部に弾性保持されて駆動されることで、前記回転部材が前記係合部材に連動して回転し、該回転部材の前記駆動された1つの被駆動部に対応する発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作によって該発音体を発音させるように構成されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、演奏データに基づいて生成された駆動信号に応じて動作部材が動作し、回転部材の回転の規制が解除されると、付勢手段により回転部材が係合可能状態となる回転方向に付勢されて回転する。回転部材は、付勢手段により付勢されるので、回転の規制が解除されたとき、瞬時に係合可能状態となる。被駆動部が係合部材に係合するまでの空走時間が短く、しかも、係合部材は、その弾性部の任意の位置で被駆動部を弾性保持するので、被駆動部と係合部とが駆動信号に沿った正確なタイミング乃至位置で係合する。従って、演奏データの適用範囲が広い。回転部材が係合可能状態になったとき、回転部材の被駆動部の1つが係合部材の弾性部に弾性保持されて駆動されることで、回転部材が係合部材に連動して回転し、回転部材の駆動された1つの被駆動部に対応する発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作を行うことで、該発音体が発音する。回転部材は、係合部材に連動する速度で回転するので、速すぎず、発音体の発音動作が良好となり、メカノイズが少なく、澄んだ音が得られる。よって、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を可能にすることができ、メカノイズも抑制することができる。
【0015】
上記目的を達成するために本発明の請求項2の演奏装置は、発音可能な複数の発音体と、軸支された係合部材と、前記係合部材を一方向に常時回転させる回転手段と、それぞれ固定的に設けられた発音体駆動部及び被駆動部を有し、前記被駆動部が前記係合部材に係合可能なように回転自在に軸支された、前記複数の各発音体に対応する複数の回転部材と、前記回転部材の被駆動部が前記係合部材に係合可能な係合可能状態となる回転方向に前記回転部材を付勢する付勢手段と、演奏データに基づいて駆動信号を生成する信号生成手段と、前記複数の各回転部材に対応して設けられ、前記信号生成手段により生成された駆動信号に応じて動作することで、前記付勢手段による付勢力に抗して、対応する回転部材の回転の規制及び規制の解除を行う複数の動作部材とを有し、前記動作部材による回転の規制の解除によって前記回転部材が前記係合可能状態になったとき、前記回転部材の被駆動部が前記係合部材と係合し、該係合部材によって前記被駆動部が駆動されることで前記回転部材が前記係合部材に連動して回転し、該回転部材の発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作によって該発音体を発音させるように構成され、前記信号生成手段は、同一音高に関し、前記演奏データで規定される発音間隔と前記回転部材による発音動作で可能な最小可能発音間隔とに基づいて、前記演奏データを修正した後に、前記駆動信号を生成することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、演奏データに基づいて生成された駆動信号に応じて動作部材が動作し、回転部材の回転の規制が解除されると、回転部材の被駆動部が係合部材と係合し、該係合部材によって被駆動部が駆動されることで回転部材が係合部材に連動して回転し、該回転部材の発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作を行うことで、該発音体が発音する。駆動信号は、同一音高に関し、演奏データで規定される発音間隔と回転部材による発音動作で可能な最小可能発音間隔とに基づいて、演奏データが修正された後に生成される。従って、例えば、最小可能発音間隔で演奏可能なようにテンポデータやデュレーションデータ等が修正されて、演奏が可能になるので、適用可能な演奏データの範囲が広がる。また、回転部材は、係合部材に連動する速度で回転するので、速すぎず、発音体の発音動作が良好となり、メカノイズが少なく、澄んだ音が得られる。よって、演奏データを修正して、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を可能にすることができ、メカノイズも抑制することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【0027】
本装置は、CPU11に、バス15を通じて、ROM12、メモリ13、MIDIインターフェイス(MIDII/F)14及びドライバ(PWM)17が接続されて構成される。CPU11は、本装置全体の制御を司る。ROM12は、不図示のプログラムROM、データROM及びワーキングROMで構成され、CPU11が実行する制御プログラムや各種データ等を記憶する。MIDII/F14は、不図示のMIDI機器等からの演奏データをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号として入力する。メモリ13はRAM等で構成され、演奏データを記憶するほか、MIDII/F14から入力された演奏データも記憶することができる。ドライバ17は、後述するアクチュエータFLATを駆動制御する。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る演奏装置の断面図である。本装置はオルゴール装置として構成される。なお、以降、同図左方を本装置の後方と呼称する。
【0029】
台座20の後部20aには、基端部47が固定され、基端部47から発音音高の異なる複数本の発音体であるリード48が櫛歯状に延設される。図示はしないが、各リード48は音高に応じてその長さや幅が異なり、自由端部の位置は同じになっている。
【0030】
また、リード48の先端部に近接してロータリーピック46が各リード48に対応して配設される。各ロータリーピック46は、同一の支軸40に回転自在に軸支されており、支軸40を中心として各々独立して滑らかに回転することができる。また、台座20の中部20bには、板バネで構成されるカムスプリング45がロータリーピック46に対応して固定されている。
【0031】
ロータリーピック46は金属等で構成され、その外周部には、複数(例えば4つ)の駆動爪46a(46a1〜46a4)が一体に形成される。ロータリーピック46には、四角形のカム部53が両面に固定的に設けられると共に、カムスプリング45が近接している。カム部53は4つのほぼ平坦なカム面53a(53a1〜53a4、図5参照)を有する。
【0032】
カムスプリング45は金属等の板状弾性部材で構成され、例えば、各ロータリーピック46に個別に対応してコ字状に形成される。あるいは、カムスプリング45は、複数のロータリーピック46に対して1つの部材が対応するように櫛歯状に形成されてもよい。カムスプリング45は、その自由端部がロータリーピック46を挟むようにして、カム部53に常に当接し、カム部53を付勢している(図4も参照)。なお、カム部53の4隅は略弧状に処理されている。なお、カムスプリング45でなくても、カム部53を付勢できるものであればよく、上記のような形状等に限定されるものではない。
【0033】
カム部53及びカムスプリング45によって、カム機構が構成され、カムスプリング45とカム部53のいずれかのカム面53aとが略平行になったとき、ロータリーピック46は、安定状態となり、それ以外のときには、ロータリーピック46は、カムスプリング45とカム面53aとの関係によって、いずれかの回転方向に回転力を受ける。
【0034】
ロータリーピック46の前方には、アクチュエータFLATが配設される。本装置は、後述するように、アクチュエータFLATを電磁的に駆動して、ロータリーピック46の回転の規制及び規制解除を行うことで、ロータリーピック46がリード48を個々に弾く(乃至撥く)ように駆動して発音させる(以下、「弾奏」と表現する)ように構成される。
【0035】
ロータリーピック46の下方には、各ロータリーピック46に対応してリング状スペーサ101とリング状スペーサ101より大径のリング状部材152とが設けられている。各リング状部材152及びリング状スペーサ101は、台座20の凹部20cにおいて、共に回転軸100に軸支されている。
【0036】
図3(a)は、ロータリーピック46とリング状部材152とが係合した状態を示す図、図3(b)は、同図(a)のA−A線に沿う部分断面図である。
【0037】
リング状部材152は、滑りにくいゴム等の弾性部材で構成され、リング状スペーサ101は金属等で構成される。そして、図3(b)に示すように、回転軸100の軸方向に沿って、リング状部材152とリング状スペーサ101とが、回転軸100に交互に挿通配列される。
【0038】
リング状部材152は、ロータリーピック46の数より1だけ多い数が等間隔で並び、隣接するリング状部材152間に1つのロータリーピック46が位置するように配設される。隣接するリング状部材152の間隔は、ロータリーピック46の駆動爪46aの幅よりやや狭く設定され、隣接するリング状部材152間に駆動爪46aが弾性保持され得るようになっている。回転軸100は、モータ51によって回転駆動され、いずれのリング状部材152及びリング状スペーサ101も回転軸100と共に図2の反時計方向に常時回転する。
【0039】
後述するように、隣接するリング状部材152間に、嵌入されてきたロータリーピック46の駆動爪46aが弾性保持されつつリング状部材152が回転することで、該駆動爪46aが駆動され、ロータリーピック46が同図時計方向への回転力を受ける。この力によって、ロータリーピック46の他の駆動爪46aがリード48を発音させる。
【0040】
また、図2に示すように、台座20の後部20dには、アクチュエータ取付板21が固定され、アクチュエータFLATは、このアクチュエータ取付板21に取り付けられている。
【0041】
図4は、アクチュエータFLATを図2に示すF1方向からみた部分図である。同図では、同じものが複数存在する構成要素についてはそれらの一部が示されている。また、アクチュエータ取付板21の図示は省略されている。
【0042】
アクチュエータFLATは、マグネット41、ヨーク42、スイングアーム43及びフラットコイル44等で構成される。また、スイングアーム43を駆動する力を発生させるための磁場形成手段は、ネオジ系等の希土類磁石であるマグネット41とヨーク42とで構成される。
【0043】
図2に示すように、スイングアーム43は、回動軸49を中心として自由端部43aが上下方向に回動自在に構成される。スイングアーム43の回動軸49近傍において、アクチュエータ取付板21には、スイングアームスプリング54が設けられ、スプリング54はスイングアーム43を同図反時計方向に常に付勢している。同図ではスイングアーム43の初期状態が示され、初期状態では、スイングアーム43は、スプリング54による付勢力により下限ストッパ23に当接している。上限ストッパ25は、スイングアーム43の回動の終了位置を規定する。
【0044】
また、マグネット41は、アクチュエータ取付板21の天井部21aの下面に、リード48に対応してリード48の並び方向に沿って配列固定される(図4参照)。ヨーク42は、マグネット41間に配設され、従って、マグネット41とヨーク42とが交互に配列されている。ヨーク42は、隣接するマグネット41間にその上端部42aが挟着されると共に、その下端部42bが下方に延出し、これにより、マグネット41の下方であって隣接するヨーク42の下端部42b同士の間に磁場が形成される。
【0045】
フラットコイル44は板状に形成され、各スイングアーム43に取り付けられる。フラットコイル44は、上下方向及びリード48の長手方向の双方に対して略平行に設けられる。フラットコイル44は、ヨーク42の下端部42b間に形成された磁場に介在し、フラットコイル44に通電したとき、フレミングの左手の法則により、対応するスイングアーム43が上方に回動するようになっている。なお、各フラットコイル44への通電を解除すると、対応するスイングアーム43はスイングアームスプリング54により元の初期位置に復帰する。
【0046】
かかる構成において、演奏時の動作を説明する。図5は、本装置の主要部を示す動作説明図である。
【0047】
ここで、自動演奏に用いられる演奏データは、キーオン、キーオフ等のイベントを示すイベントデータと、各イベントの発生タイミングを規定する時間データとを少なくとも含んで構成される。時間データには、曲全体の演奏テンポを示すテンポデータや、各音符の発音タイミングを示す(すなわち、発音間隔を規定する)デュレーションデータ等が含まれる。
【0048】
CPU11は、MIDII/F14から入力する等によってメモリ13に記憶されている演奏データに基づいて駆動信号を生成し、演奏データ中の音高データに対応したフラットコイル44に対して駆動電流(パルス)を送るよう制御する。
【0049】
演奏時には、リング状部材152が図2の反時計方向に常時回転している。また、フラットコイル44が通電されていない初期状態では、図2に示すように、カムスプリング45が少し下方に撓んで、その自由端部がロータリーピック46のカム部53に当接し、ロータリーピック46を同図時計方向に付勢している。しかし、初期状態では、スイングアーム43が下限位置にあるため、スイングアーム43の自由端部43aの当接部43aaにロータリーピック46の1つの駆動爪46a(例えば46a2)が当接し、これによって、ロータリーピック46の回転が規制された状態で維持される。この状態では、いずれの駆動爪46aもリング状部材152とは接触せず、リング状部材152は空回りしている。
【0050】
演奏データに基づく駆動信号によってフラットコイル44に通電されると、そのフラットコイル44は、形成されている磁場によって、フレミングの左手の法則に従って、上方に付勢力を受ける。これにより、図5(a)に示すように、対応するスイングアーム43が上方に回動すると、スイングアーム43の自由端部43aがロータリーピック46の駆動爪46a(46a2)と離間するので、ロータリーピック46の回転規制が解除される。すると、カムスプリング45により、カム部53を介して受けている回転力によってロータリーピック46が同図時計方向に瞬時に回転し、カム部53のカム面53a1とカムスプリング45とが略平行に接する安定状態になろうとして、ロータリーピック46の駆動爪46a(46a1)が対応する2つのリング状部材152に係合可能な位置まで移動する。これにより、両リング状部材152間に駆動爪46a(46a1)が瞬時に挟まれて嵌入状態となる。
【0051】
そして、このように、両リング状部材152間に駆動爪46a(46a1)が挟持されることで、両リング状部材152から駆動力を受ける。すなわち、図5(b)に示すように、リング状部材152が回転するのに伴い、駆動爪46a(46a1)は、リング状部材152間に弾性保持されて駆動され、それによってロータリーピック46がリング状部材152に連動して同図時計方向に回転する。
【0052】
すると、ロータリーピック46の回転方向において先行する駆動爪46a(46a4)がリード48の先端部を弾くことで、リード48が発音する。このとき、カムスプリング45の付勢力によりロータリーピック46に与えられる回転力の方向が、一時的に反時計方向となるが、リード48の発音後は再び時計方向となる。しかも、フラットコイル44への通電は一瞬であり、通電遮断によりスイングアーム43は初期位置に復帰している。従って、発音動作後は、駆動爪46a4に先行する駆動爪46a(46a3)がスイングアーム43の自由端部43aに速やかに当接する。これにより、再び図2に示す初期状態へ復帰する。このようにして、1回の発音動作が完了する。
【0053】
本実施の形態によれば、ロータリーピック46は、リング状部材152間に弾性保持されつつリング状部材152に連動する速度で回転してリード48を発音させるので、ソレノイドに直結したピックで弾奏する場合等に比し、駆動爪46aの弾奏速度が速すぎず、リード48の発音動作が良好となり、メカノイズが少なく、澄んだ音が得られる。また、カムスプリング45を設けたことで、ロータリーピック46は、回転規制の解除後、リング状部材152間に速やかに嵌入するので、駆動信号に沿った正確なタイミングで発音させることができる。しかも、各ロータリーピック46は、各々独立して回転可能であり、スイングアーム43は各々、演奏データに従った独立したタイミングで動作し、リング状部材152は任意の回転位置で駆動爪46aを保持可能である。従って、演奏データに忠実な演奏が可能になるだけでなく、例えば、同一音高の連奏にも適し、適用可能な曲乃至演奏態様が限定されず、幅広い演奏データに適用可能である。よって、メカノイズを抑えつつ、幅広い演奏データを良好な発音で忠実に演奏することができる。
【0054】
さらに、ロータリーピック46に4つ設けた駆動爪46aが、スイングアーム43と当接してロータリーピック46の回転を規制する機能、被駆動部としてリング状部材152と係合して駆動力を伝達する機能、及び発音体駆動部としてリード48を弾奏する機能を兼ねるように構成したので、構成が簡単である。
【0055】
本実施の形態によればまた、上記磁場形成手段により形成される磁場に板状のフラットコイル44を介在させ、該フラットコイル44に通電することで、対応するスイングアーム43が往復移動するように構成したので、スイングアーム43が無接触で往復移動可能であることから、耐久性が高い。また、フラットコイル44が薄型で、しかもスイングアーム43の移動方向(上下方向)及びリード48の長手方向の双方に対して略平行に設けられたので、狭いリードピッチに容易に対応でき、リードの並び方向においても省スペース化を図ることができる。
【0056】
なお、上記演奏データは、ROM等から読み出されたものに限定されず、例えば、鍵盤やパッド等の入力操作部の操作によって発生したデータであってもよい。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。上記第1の実施の形態において、ロータリーピック46の駆動爪46aでリード48を適切に弾奏した後、後続の駆動爪46aが同一のリード48を弾奏するまでの時間が発音間隔であるが、第1の実施の形態においては、発音動作によって可能な最小可能発音間隔INT(演奏速度に関わるデータ)、すなわち連打能力には限界がある。第1の実施の形態では、同一音高に関し、演奏データで規定される個々の発音間隔SD(規定発音間隔)の最小値Dminが最小可能発音間隔INTより長い場合を前提としたが、時間データ(テンポデータやデュレーションデータ等)により、Dmin>INTとなる場合は、演奏データに忠実な発音タイミングで演奏できない。
【0058】
そこで、本第2の実施の形態では、テンポデータやデュレーションデータを必要に応じて修正しつつ駆動信号を生成するようにする。
【0059】
図6は、本実施の形態における駆動信号生成処理のフローチャートを示す図である。本処理は、例えば、演奏開始指示により開始される。
【0060】
まず、演奏データをアドレス(の今回値n)に従って読み出し(ステップS601)、次に、連打検出、すなわち、同一音高に関し先行する発音との発音間隔SD(n)を、時間データに基づき算出する(ステップS602)。そして、発音間隔SD(n)が最小可能発音間隔INT以下であるか否かを判別し(ステップS603)、SD(n)>INTである場合はステップS609に進む一方、SD(n)≦INTである場合は、演奏データ中のテンポデータTPの修正目標値TPOを算出する(ステップS604)。ここで、修正目標値TPOは、発音間隔SD(n)が最小可能発音間隔INTと一致するような値として算出される。また、最小可能発音間隔INTは、事前にROM12等に記憶されているものとする。
【0061】
次に、上記算出した修正目標値TPOが、演奏テンポの許容範囲の下限を示す限界値TPLMT以下であるか否かを判別する(ステップS605)。その判別の結果、TPO≦TPLMTである場合は、テンポデータTPを修正目標値TPOに修正し(ステップS606)、修正後のテンポデータTPを踏まえて、今回の発音データに関する駆動信号を生成、供給する(ステップS609)。前記ステップS603からステップS609に移行した場合は、元の(修正前の)テンポデータTPのまま、駆動信号の生成がなされる。本ステップS609で生成、供給された駆動信号によって、上記したように、対応するフラットコイル44に通電され、リード48が発音する。
【0062】
次に、アドレス歩進を行い(n=n+1)(ステップS610)、次のデータがエンドデータであるか否かを判別して(ステップS611)、エンドデータでなければ前記ステップS601に戻る一方、エンドデータであれば本処理を終了する。
【0063】
一方、前記ステップS605の判別の結果、TPO>TPLMTである場合は、テンポデータTPの限界値TPLMT内の修正だけでは、発音間隔SD(n)が依然として最小可能発音間隔INTより短く、適切なタイミングで発音できない。そこで、テンポデータTPを限界値TPLMTに修正し(ステップS607)、さらに、今回の発音データのデュレーションデータを修正する(ステップS608)。ここで、デュレーションデータは、発音間隔SD(n)が最小可能発音間隔INTと一致するような値に修正される。
【0064】
その後、前記ステップS609に進んで、この場合は、修正後のテンポデータTP及びデュレーションデータを踏まえて、今回の発音データに関する駆動信号を生成し、その後、前記ステップS610以降の処理を実行する。
【0065】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するだけでなく、テンポの速い曲や、同一音高の速い連奏がある曲についても、テンポデータTPやデュレーションデータの修正により、一応の曲らしい演奏が可能になるので、適用可能な曲の範囲を一層広げることができる。特に、本演奏装置よりも連打性能の優れた装置を用いて記録された演奏データであっても、本演奏装置の連打性能の範囲内で適切に演奏できるようにすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、発音データをアドレス歩進に従って読み出し、発音間隔SD(n)を逐次算出してテンポデータTP等を修正しつつ駆動信号を生成するようにしたが、これに限るものでなく、例えば、1曲分の演奏データを終わりまで一度に読み出して、演奏データで規定される発音間隔の最小値Dminが最小可能発音間隔INTより短くなるように、予めテンポデータを全体に亘って修正し、必要に応じてデュレーションデータも個々に修正した後に、駆動信号を生成するようにしてもよい。
【0067】
なお、本実施の形態では、テンポデータTPの修正で足りない場合は、デュレーションデータを修正したが、連奏される発音データの一部を所定の条件下で省略するようにしてもよい。
【0068】
なお、第1、第2の実施の形態では、ロータリーピック46の駆動爪46aをリング状部材152で挟持して駆動するようにしたが、駆動爪46aを任意の回転位置で弾性保持でき、回転することで駆動力を与える構成であればよく、例えば、リング状部材152に代えて、次に示すような変形例を採用可能である。
【0069】
図7は、ロータリーピック46を駆動するための機構の変形例を示す図である。
【0070】
例えば、同図に示すように、モータ51によって回転駆動される円筒状のローラ252をゴムや発泡プラスチック等の弾性部材で構成する。さらに、ロータリーピック46の回転規制が解除され、ロータリーピック46の駆動爪46aと係合したとき、ローラ252表面(外周部)が凹むように構成する。ローラ252が凹むことで、駆動爪46aを弾性保持し、駆動爪46aに回動力が伝わり、ロータリーピック46が時計方向に回転する。その後の動作は、上記リング状部材152の場合と同様であり、回転方向において先行する駆動爪46aによってリード48が弾奏される。
【0071】
なお、上記第1、第2の実施の形態において、カムスプリング45とカム部53のカム面53aとが略平行になる安定状態時においては、カムスプリング45はカム部53に必ずしも当接していなくてもよい。
【0072】
なお、上記第1、第2の実施の形態では、ロータリーピック46をリング状部材152と係合する位置に付勢するために、カム部53及び板バネであるカムスプリング45を用いた構成を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、板バネの代わりにコイルばねでカム部53のカム面53aを押圧する構成でもよい。あるいは、支軸40に代えて、円形ではなく駆動爪46aの数に合わせた多角形に形成した軸を採用すると共に、ロータリーピック46の内周に、ゴム等の弾性部材で上記多角形の軸よりやや大きめで相似形の多角形の穴を設け、この多角形の穴に上記多角形の軸を貫通させる。そして、多角形の穴と軸とが嵌合的な位置関係になったとき、ロータリーピック46が安定状態となるようにし、それ以外のときには、ロータリーピック46が、上記多角形の軸から、安定状態となる回転方向に回転力を受けるように構成してもよい。
【0073】
なお、上記第1、第2の実施の形態では、ロータリーピック46の回転規制及び解除のための機構を、フラットコイル44とスイングアーム43とで構成したが、この構成に限定されるものでなく、例えば、ソレノイドでプランジャを駆動して、回転規制及び解除を行うように構成してもよい。
【0074】
なお、上記第1、第2の実施の形態では、カム部53及びカムスプリング45と、フラットコイル44及びスイングアーム43とで、ロータリーピック46とリング状部材152とが係合する状態と係合しない状態とを選択的に取るように構成したが、これに限るものでない。例えば、各ロータリーピック46にロータリーエンコーダと超音波モータとを設け、ロータリーピック46の回転位置を対応するロータリーエンコーダで検出し、スイングアーム43を駆動する信号とロータリーピック46の回転位置とに応じて、個々のロータリーピック46を、対応する超音波モータで回転させることで、ロータリーピック46と歯車52とが係合する状態と係合しない状態とを選択的に取るように構成してもよい。
【0075】
(第3の実施の形態)
次に、図6、図8、図9を用いて本発明の第3の実施の形態を説明する。第1、第2の実施の形態では、演奏データを再生する演奏装置としてオルゴール装置を例示したが、本第3の実施の形態では、外観は図示しないが、ハンマアクション機構を有するアップライト型の自動演奏ピアノを例示する。
【0076】
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る演奏装置の構成を示すブロック図である。図9は、本演奏装置の1つの鍵に対応する演奏機構部MPの概略構造を示す図である。
【0077】
図8に示すように、本装置は、CPU11に、バス15を通じて、ROM12、メモリ13、MIDII/F14及びドライバ(PWM)17が接続されるほか、さらに、操作部16、表示部22及び外部記憶装置18が接続されて構成される。
【0078】
CPU11、ROM12、MIDII/F14、メモリ13及びドライバ17の構成は第1の実施の形態と同様である。操作部16は、各種操作子を備え、各種指示の入力に用いられる。表示部22は、各種情報を画面表示する。外部記憶装置18は、フロッピ(登録商標)ディスク、CD−ROM、CD−RW等の外部記憶媒体19をドライブし、外部記憶媒体19に対して各種データの記憶及び読み取り動作を行う。ドライバ17は、演奏機構部MP内の後述するアクチュエータ30を駆動制御する。また、第2の実施の形態と同様に、本演奏装置の最小可能発音間隔INT(連打性能データ)は、例えばROM12に予め記憶されている。演奏機構部MP内の鍵盤29は、図示しない複数の鍵から成る。
【0079】
演奏機構部MPには、アクチュエータ30、鍵盤29のほか、図9に示すアクション機構31、ハンマ32、弦33及びダンパ34が含まれる。
【0080】
図9は、鍵盤29のうち1つの白鍵29(1)に対応する構造を示しており、黒鍵を含めて他の鍵に対応する構造も同様である。白鍵29(1)はアクション機構31に接続されており、アクション機構31は白鍵29(1)の動きに対応してハンマ32及びダンパ34を駆動する。白鍵29(1)の後端部下方にはソレノイドを含んで構成されるアクチュエータ30が設けられており、アクチュエータ30により白鍵29(1)の後端部が上方に突き上げられる。白鍵29(1)が奏者によって押下されるか、または演奏データに基づきアクチュエータ30が駆動されることで、白鍵29(1)が揺動し、ダンパ34が弦33から離れ、白鍵29(1)の揺動速度に対応した速度でハンマ32が弦33を打つ。これによって弦33が振動し楽音が発音する。
【0081】
かかる構成において、第2の実施の形態と同様に、図6の駆動信号生成処理が実行される。そして、ステップS609で駆動信号が生成、供給され、この駆動信号によって、アクチュエータ30の駆動がなされると、対応する鍵、アクション機構31、ハンマ32の動作を介して対応する弦33が発音する。
【0082】
本実施の形態によれば、テンポデータTPやデュレーションデータを、演奏装置の連打性能の範囲内で演奏可能となるように修正することで、自動演奏ピアノにおいて、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を可能にすることに関し、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(第4の実施の形態)
次に、図10、図11を用いて本発明の第4の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、演奏データを再生する側の演奏装置内で、演奏データを修正、再生する態様を示したが、本第4の実施の形態では、再生側の演奏装置とは別個に設けられる演奏データ編集装置で演奏データを修正、出力する場合を説明する。
【0084】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る演奏データ編集装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本演奏データ編集装置EDには、自動演奏ピアノPNが接続可能になっている。接続される自動演奏ピアノPNは単数でもよいが、本第4の実施の形態では、自動演奏ピアノPN(1)〜PN(n)というように複数が接続可能であるとする。各自動演奏ピアノPNの構成は、第3の実施の形態で演奏装置であるとした自動演奏ピアノと同様であり、図9に示すようなハンマアクション機構を有している。ただし、各自動演奏ピアノPNの連打性能は異なっていてもよい。
【0085】
図10に示すように、演奏データ編集装置EDは、CPU11に、バス15を通じて、ROM12、メモリ13、MIDII/F14及びドライバ(PWM)17、操作部16、表示部22及び外部記憶装置18が接続されて構成される。
【0086】
CPU11、ROM12、MIDII/F14、メモリ13、ドライバ17、操作部16、表示部22、外部記憶装置18及び外部記憶媒体19の構成は、第3の実施の形態における演奏装置の同符号の構成要素と同様である。各自動演奏ピアノPNは、MIDII/F14を介して演奏データ編集装置EDに接続されるだけでなく、ドライバ17によって駆動制御されるように所定の信号線でも接続される。
【0087】
演奏データ編集装置EDに接続可能な自動演奏ピアノPNについては、各自動演奏ピアノPNの最小可能発音間隔INT(連打性能データ)と、その自動演奏ピアノPNを特定する固有の情報(識別情報等)とが対応付けられた1対の情報として、例えばROM12に予め記憶されている。あるいは、演奏データ編集装置EDにいずれかの自動演奏ピアノPNを接続したとき、その自動演奏ピアノPNから、最小可能発音間隔INTと固有の情報とを逐一取得して、メモリ13等に記憶するように構成してもよい。
【0088】
CPU11が、後述する編集後の演奏データに基づいて駆動信号を生成し、その駆動信号に従って、ドライバ17によって自動演奏ピアノPN内のアクチュエータ30が駆動制御されることで、自動演奏が行われる。
【0089】
図11は、本発明の第4の実施の形態における駆動信号生成処理のフローチャートを示す図である。本処理は、例えば、操作部16の図示しない編集開始指示ボタンの押下によって開始される。
【0090】
まず、ステップS1101では、初期設定を行う。ここでは、本演奏データ編集装置EDに接続されており、且つ駆動信号の出力先となるべき自動演奏ピアノPNを選択し、その自動演奏ピアノPNに対応する最小可能発音間隔INTをROM13から読み出す。自動演奏ピアノPNの選択は、ユーザによってなされるが、接続されている自動演奏ピアノPNが1つである場合は、それに対応する最小可能発音間隔INTが自動的に読み出される。
【0091】
続くステップS601〜S611の処理は、図6のS601〜S611と同様である。ただし、本実施の形態では、ステップS609で生成、供給された駆動信号が、ドライバ17による駆動制御という形で、上記選択された自動演奏ピアノPNに時系列的に出力される。これにより、その自動演奏ピアノPNの連打性能の範囲内で適切な自動演奏がなされる。
【0092】
本実施の形態によれば、接続された、再生を行わせるべき自動演奏ピアノの連打性能に合わせてテンポデータTPやデュレーションデータを修正することで、自動演奏ピアノに、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を行わせることができる。
【0093】
特に、複数の自動演奏ピアノPNの最小可能発音間隔INTを記憶しておき、選択した自動演奏ピアノPNに応じたデータ修正を行うようにしたので、本演奏データ編集装置EDを、連打性能の異なる自動演奏ピアノPNに対して汎用的に利用でき、利用範囲が広い。
【0094】
なお、第4の実施の形態では、演奏データ編集装置EDから自動演奏ピアノPNへの、編集後の演奏データに基づく出力の態様として、駆動信号の供給を例示したが、これに限るものではない。すなわち、MIDII/F14からは、MIDIデータである演奏データを自動演奏ピアノPNに送ることもでき、その自動演奏ピアノPNでは、送られた演奏データに従って、自動演奏を行うこともできる。従って、図11のステップS609で、駆動信号を生成する代わりに、修正後のテンポデータTP及びデュレーションデータを有する「編集後の演奏データ」(MIDIデータ)をMIDII/F14を通じて自動演奏ピアノPNに送るように構成してもよい。その場合は、「編集後の演奏データ」を受けた自動演奏ピアノPNでは、それをリアルタイムで演奏するだけでなく、一旦記憶部に記憶してから、後で演奏することも可能である。
【0095】
あるいは、演奏データ編集装置EDにおける他の出力態様として、上記「編集後の演奏データ」を、外部記憶装置18により外部記憶媒体19に記憶させることで出力するようにしてもよい。その場合、外部記憶媒体19に記憶された「編集後の演奏データ」を読み出す機能を自動演奏ピアノPNに持たせれば、所望の時に自動演奏ピアノPNで適切な演奏を行うことができる。
【0096】
なお、第2〜第4の実施の形態において、時間データは、個々の発音間隔SDを規定するものであればよく、テンポデータ及びデュレーションデータに限定されるものではない。
【0097】
なお、上記各実施の形態では、演奏データを再生する側の装置である演奏装置または自動演奏ピアノPNの連打性能を示す最小可能発音間隔INTは、事前に把握され記憶されているものとしたが、これに限るものでなく、再生側の演奏装置毎に連打テストを行って演奏装置毎に求めるようにしてもよい。例えば、第4の実施の形態において、テストモードを設け、演奏データ編集装置EDから、所定のデュレーション値から始めて間隔を徐々に短くしながら、キーオン信号を自動演奏ピアノPNに送る。そして、演奏データ編集装置ED側で、キーオン信号に基づく自動演奏ピアノPNでの発音を集音し、完全に(キーオン信号通り)発音されているか否かを判断して、完全に発音されなくなる時点におけるデュレーション値に基づき、その自動演奏ピアノPNの最小可能発音間隔INTを決定するようにしてもよい。
【0098】
なお、本発明は、発音体を弾いて発音する演奏装置であれば適用可能であり、装置の態様は、オルゴールや自動演奏ピアノに限定されない。
【0099】
なお、発音体としてリードを例示したが、これ限定されるものではなく、アコースティックな発音をするもの、すなわち、接触等で作用して、機械的に励振されて発音する「弦」や「音板」のような延設発音体であれば本発明を適用可能である。例えば、金属製や木製等の板状発音体も含まれる。従って、本発明が適用される場合の「弾奏」には、「弾く」、「撥く」のほか、「打撃する」等、接触動作を介して励振させるための各種動作が含まれる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、連打に関し、幅広い演奏データの良好な演奏を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る演奏装置の制御機構の構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施の形態に係る演奏装置の断面図である。
【図3】 ロータリーピックとリング状部材とが係合した状態を示す図(図(a))、及び同図(a)のA−A線に沿う部分断面図(図(b))である。
【図4】 アクチュエータを図2に示すF1方向からみた部分図である。
【図5】 本装置の主要部を示す動作説明図である。
【図6】 第2の実施の形態における駆動信号生成処理のフローチャートを示す図である。
【図7】 ロータリーピックを駆動するための機構の変形例を示す図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態に係る演奏装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 本演奏装置の1つの鍵に対応する演奏機構部の概略構造を示す図である。
【図10】 本発明の第4の実施の形態に係る演奏データ編集装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 本実施の形態における駆動信号生成処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
11 CPU(信号生成手段、演奏制御手段、比較手段、修正手段)、 12ROM(連打性能データ記憶手段)、 14 MIDIインターフェイス(MIDII/F)(演奏データ入力手段)、 17 ドライバ(出力手段、演奏制御手段、出力手段)、 44 フラットコイル、 43 スイングアーム(動作部材)、 45 カムスプリング(付勢手段)、 46 ロータリーピック(回転部材)、 46a 駆動爪(発音体駆動部、被駆動部)、 48 リード(発音体)、 51 モータ(回転手段)、 53 カム部、 100 回転軸、 101 リング状スペーサ、 152 リング状部材(係合部材、弾性部) FLAT アクチュエータ、 PN 自動演奏ピアノ(演奏装置)、 ED 演奏データ編集装置、 MP 演奏機構部
Claims (6)
- 発音可能な複数の発音体(48)と、
軸支された係合部材(152)と、
前記係合部材を一方向に常時回転させる回転手段(51)と、
それぞれ固定的に設けられた、複数の発音体駆動部(46a)、カム部(53)、及び、前記複数の発音体駆動部に各々対応する複数の被駆動部(46a)を有し、前記被駆動部が前記係合部材に係合可能なように回転自在に軸支された、前記複数の各発音体に対応する複数の回転部材(46)と、
前記回転部材のカム部と常時当接することで、少なくとも前記回転部材の被駆動部が前記係合部材に係合していない状態においては前記被駆動部が前記係合部材に係合可能な係合可能状態となる回転方向に前記回転部材を付勢する付勢手段(45)と、
演奏データに基づいて駆動信号を生成する信号生成手段(11)と、
前記複数の各回転部材に対応して設けられ、前記信号生成手段により生成された駆動信号に応じて動作することで、前記付勢手段による付勢力に抗して、対応する回転部材の回転の規制及び規制の解除を行う複数の動作部材(43)とを有し、
前記係合部材は、弾性部を有し、前記回転部材の被駆動部を前記弾性部の任意の位置で弾性保持しつつ回転することで前記被駆動部を駆動するように構成され、
前記動作部材による回転の規制の解除によって前記回転部材が前記係合可能状態になったとき、前記回転部材の被駆動部の1つが前記係合部材の前記弾性部に弾性保持されて駆動されることで、前記回転部材が前記係合部材に連動して回転し、該回転部材の前記駆動された1つの被駆動部に対応する発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作によって該発音体を発音させるように構成されたことを特徴とする演奏装置。 - 発音可能な複数の発音体(48)と、
軸支された係合部材(152)と、
前記係合部材を一方向に常時回転させる回転手段(51)と、
それぞれ固定的に設けられた発音体駆動部(46a)及び被駆動部(46a)を有し、前記被駆動部が前記係合部材に係合可能なように回転自在に軸支された、前記複数の各発音体に対応する複数の回転部材(46)と、
前記回転部材の被駆動部が前記係合部材に係合可能な係合可能状態となる回転方向に前記回転部材を付勢する付勢手段(45)と、
演奏データに基づいて駆動信号を生成する信号生成手段(11)と、
前記複数の各回転部材に対応して設けられ、前記信号生成手段により生成された駆動信号に応じて動作することで、前記付勢手段による付勢力に抗して、対応する回転部材の回転の規制及び規制の解除を行う複数の動作部材(43)とを有し、
前記動作部材による回転の規制の解除によって前記回転部材が前記係合可能状態になったとき、前記回転部材の被駆動部が前記係合部材と係合し、該係合部材によって前記被駆動部が駆動されることで前記回転部材が前記係合部材に連動して回転し、該回転部材の発音体駆動部が対応する発音体に接触する発音動作によって該発音体を発音させるように構成され、
前記信号生成手段は、同一音高に関し、前記演奏データで規定される発音間隔と前記回転部材による発音動作で可能な最小可能発音間隔とに基づいて、前記演奏データを修正した後に、前記駆動信号を生成することを特徴とする演奏装置。 - 前記信号生成手段は、前記演奏データの演奏速度に関わるデータを修正した後に、前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項2記載の演奏装置。
- 前記複数の回転部材は、各々独立して回転可能であり、前記複数の動作部材は、各々独立したタイミングで、対応する回転部材の回転の規制及び規制の解除を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の演奏装置。
- 前記信号生成手段は、同一音高に関し、前記演奏データで規定される発音間隔が前記回転部材による発音動作で可能な最小可能発音間隔より短い場合は、前記演奏データで規定される発音間隔が前記最小可能発音間隔の範囲内に収まるように、前記演奏データのテンポデータを修正した後に、前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の演奏装置。
- 前記信号生成手段は、前記演奏データのテンポデータを許容範囲内で修正しただけでは、前記演奏データで規定される発音間隔が前記最小可能発音間隔の範囲内に収まらない場合は、前記演奏データのテンポデータを前記許容範囲内で修正することに加えて、前記演奏データで規定される発音間隔を規定するデータを修正した後に、前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項5記載の演奏装置。
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