JP3997290B2 - カーリング加工用溶接鋼管 - Google Patents
カーリング加工用溶接鋼管 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3997290B2 JP3997290B2 JP2001313103A JP2001313103A JP3997290B2 JP 3997290 B2 JP3997290 B2 JP 3997290B2 JP 2001313103 A JP2001313103 A JP 2001313103A JP 2001313103 A JP2001313103 A JP 2001313103A JP 3997290 B2 JP3997290 B2 JP 3997290B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- curling
- welded
- steel pipe
- thickness
- bead
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、溶接鋼管の管端をカーリング加工した際、溶接部の陥没(凹み)が発生することがないカーリング加工用の溶接鋼管に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の排ガス管のテールパイプ等に、鋼管端部をカーリング加工(折返し加工)し、加工部を鏡面研磨したものが使用されている。カーリング加工は、図1にその概要を示すように、チャック2により固定された溶接鋼管Pの端部からストッパー1の方向にカーリング金型3を押し込み、溶接鋼管の端部を折返す加工法である。そして折返し加工部を鏡面研磨されて上記テールパイプやその他の装飾部材として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、溶接鋼管をカーリング加工すると、加工後の溶接部に陥没(凹部)が生じ、外観上の不具合となっている。この外観上の不具合を目立たないようにするために研削等の手直しを必要とし、全体としてのコストを引き上げる要因にもなっている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、カーリング加工する際、陥没(凹部)の発生がないカーリング加工用溶接鋼管を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のカーリング加工用溶接鋼管は、その目的を達成するため、溶接鋼管の溶接部の内面ビード研削面を素管厚さに対して−15〜0%の割合の内面ビード高さにするとともに、外面ビード研削面を素管厚さに対して0〜35%の割合の外面ビード高さにし、しかも溶接部板厚を素管板厚に対して0〜20%の範囲で厚くしたことを特徴とする。
【0005】
【作用】
本発明者等は、まずカーリング加工するとき加工部の溶接個所に陥没(凹部)が発生するメカニズムについて検討した。
カーリング加工では、外径増加による円周方向の引張応力と管を反転させるための軸方向の圧縮応力が作用している。そして溶接部の陥没は、主に円周方向の引張応力に起因していると思われる。通常、カーリング加工用の溶接管は内外面のビードがカットされ、均一な板厚にされているが、溶接部の板厚がわずかに薄くなり易い傾向にある。母材部に板厚に対し溶接部の板厚が薄くなると、カーリング加工時に薄肉部である溶接部に引張応力が集中して溶接部のみが局部的に減肉し、外観上陥没となる。
【0006】
このような溶接部への応力集中を抑制するには、母材部と同等以上の板厚の確保が必要である。特に溶接後の急冷でも焼き入れ効果が生じにくい材料では板厚確保が必要である。
溶接部の板厚を確保する手段として、一般に内面ビードをプラスカットすることが行われているが、カーリング加工する場合、内面ビードがカーリング金型に接触し、金型に溶接金属が凝着する上、製品にも疵が生じ外観が低下するという弊害が伴ってくる。
したがって、カーリング加工に供する溶接管の内面ビードに関しては面一カット(ゼロカット)狙いが理想であるが、生産上アンダーカット狙いになる。
【0007】
ところで、溶接鋼管は一般的に溶接部近傍の外観、真円度を良好にするために、できるだけ外面ビードを残さないようにビードカットを深めに行ったり、ビードカット後にベルトグラインダーによる研削を行ったりしている。このような従来の手法によりカーリング加工用の溶接鋼管を準備すると、上記のように溶接部の板厚が素管母材部よりも薄肉化する傾向になって、カーリング加工後に溶接部の陥没を引き起こしていた。
【0008】
そこで、本発明は、溶接鋼管の溶接部の内面はゼロカットないしマイナスカットして内面ビード研削面を素管の内面以上とするとともに外面はゼロカットないしプラスカットして外面ビード研削面を素管の外面以上とし、しかも溶接部板厚を素管板厚以上としたことにより、カーリング加工の際、製品に疵を付けず、溶接部への円周方向の引張応力の集中を防いで陥没の発生を抑制することができたものである。
しかし、溶接部の板厚が厚くなりすぎると、カーリング加工時に溶接部は円周方向の変形がしにくくなり、その近傍の母材部に円周方向の引張応力が集中しやすくなって、カーリング加工後に溶接近傍の方が減肉し、陥没し易くなる。
本発明者は、次に示すような各種事例を積み重ねることにより、溶接部の板厚を素管板厚に対し、20%までの範囲で厚くすることが好ましいことを実験的に見出した。
【0009】
【実施例】
供試材として、自動車の排ガス管テールパイプに良く使用されているフェライト系ステンレス鋼を使用した。その組成を表1に示す。
このステンレス鋼を高周波溶接で造管し、内外面のビード高さを種々に調整した外径60.5mm×板厚1.2mm×長さ350mmの溶接管を準備した。
カーリング金型3として工具R4を3.3×(板厚)の4mmとしたものを使用し、潤滑油として粘度60mm2/sのものを使用し、溶接管内面およびカーリング加工金型に塗布した。溶接鋼管の管端からカーリング金型を押し込み、外径74.5mm、2重管長さ80mmのものを製造した。
【0010】
【0011】
陥没の判定は、表面粗さ測定器を使用し、形状測定にて判定した。
後工程の研磨性の観点から、20μm以下の凹みは問題なしとした。その評価結果を表2に示す。
内面ビードを残したものにあっては、カーリング加工の際、内面ビードが金型に凝着し製品に疵が残っていた。外面ビードを削りすぎて溶接部の板厚が薄くなったもの、あるいは外面ビードの削り量が不足し溶接部の板厚が厚すぎるものにあっては、溶接部あるいは母材部に陥没が生じていた。
一方、内面ビードをきれいになくし外面ビードも溶接部の板厚が素材の板厚よりも0〜20%の増加範囲で厚くなるように削り量を調節することにより、確実に陥没を抑えることができた。
【0012】
【0013】
【発明の効果】
以上に説明したように、カーリング加工に供する溶接鋼管として、溶接鋼管の溶接部の内面はゼロカットないしマイナスカットして内面ビード研削面を素管の内面以上とするとともに外面はプラスカットして外面ビード研削面を素管の外面以上とし、溶接部板厚を素管板厚以上としたものを使用することにより、カーリング加工の際、溶接部への円周方向の引張応力の集中を防ぎ、陥没の発生を抑えることができた。
陥没のないカーリング製品を研磨することにより、少ない研磨で外観の優れたきれいな鋼管を得ることができ、自動車の排ガス管テールパイプやその他装飾部材として最適な材料の供給が低コストでできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カーリング加工を模式的に説明する図
【符号の説明】
1:ストッパー 2:チャック 3:カーリング金型 4:工具R
P:溶接管
Claims (1)
- 溶接鋼管の溶接部の内面ビード研削面を素管厚さに対して−15〜0%の割合の内面ビード高さにするとともに、外面ビード研削面を素管厚さに対して0〜35%の割合の外面ビード高さにし、しかも溶接部板厚を素管板厚に対して0〜20%の範囲で厚くしたことを特徴とするカーリング加工用溶接鋼管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001313103A JP3997290B2 (ja) | 2001-10-10 | 2001-10-10 | カーリング加工用溶接鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001313103A JP3997290B2 (ja) | 2001-10-10 | 2001-10-10 | カーリング加工用溶接鋼管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003117615A JP2003117615A (ja) | 2003-04-23 |
JP3997290B2 true JP3997290B2 (ja) | 2007-10-24 |
Family
ID=19131650
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001313103A Expired - Lifetime JP3997290B2 (ja) | 2001-10-10 | 2001-10-10 | カーリング加工用溶接鋼管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3997290B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103386438A (zh) * | 2012-05-10 | 2013-11-13 | 江阴德玛斯特钻具有限公司 | 钻杆螺纹保护套的卷边模具 |
WO2020032461A1 (ko) * | 2018-08-10 | 2020-02-13 | 김기년 | 파이프 가공장치 |
JP7296705B2 (ja) * | 2018-09-28 | 2023-06-23 | 日鉄ステンレス株式会社 | フェライト系ステンレス鋼管、管端増肉構造体及び溶接構造体 |
CN109351829A (zh) * | 2018-12-12 | 2019-02-19 | 唐山市腾骥锻轧农具制造有限公司 | 一种制作钢锹柄端部窝边的装置及方法 |
CN113399815B (zh) * | 2021-06-24 | 2023-03-21 | 内蒙古工业大学 | 一种流体导通支管与干管卷边焊接设备 |
CN114505387B (zh) * | 2022-01-20 | 2023-09-01 | 湖州师范学院 | 一种薄壁低碳合金翻卷管制造方法 |
-
2001
- 2001-10-10 JP JP2001313103A patent/JP3997290B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003117615A (ja) | 2003-04-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Emmens et al. | The technology of incremental sheet forming—a brief review of the history | |
TWI711498B (zh) | 成形材製造方法及該成形材 | |
JP3997290B2 (ja) | カーリング加工用溶接鋼管 | |
JP2000516540A (ja) | ホイールリムを製造するための線形摩擦溶接プロセス | |
WO2010035883A1 (ja) | 異形断面への成形方法およびスポット溶接性に優れた四辺形断面成形品 | |
JP2007098420A (ja) | スピニング加工方法 | |
WO2019189873A1 (ja) | 成形品の製造方法 | |
JP2019005823A (ja) | 金属部材の製造方法 | |
JP3857744B2 (ja) | 板材のヘム加工方法並びにヘム加工用治具 | |
JP6900941B2 (ja) | マフラーカッターの製造方法 | |
JP3544401B2 (ja) | アルミニウム板のv曲げ加工法及びその工具 | |
JPH07270306A (ja) | クラッド鋼板の接合強度評価方法 | |
JP4035073B2 (ja) | ハイドロフォーム加工用金型及びハイドロフォーム加工方法 | |
JPH10277692A (ja) | オーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼の大径リング製造方法 | |
JP2001219219A (ja) | 金属板の曲げ加工方法及び曲げ加工用ダイ | |
JP2002059220A (ja) | ハイドロフォーム加工性に優れた電縫鋼管 | |
JP2003181547A (ja) | ヘミング加工装置 | |
JP2005319482A (ja) | 金属製マフラーシェルの製造方法 | |
JP4294164B2 (ja) | 摩擦溶接による部材接合方法 | |
JP3264153B2 (ja) | Uoe鋼管の製造方法 | |
JPH0825097A (ja) | プレス加工用金型 | |
SU709228A1 (ru) | Способ изготовлени профильных кольцевых деталей | |
RU2108186C1 (ru) | Способ формообразования плоских кольцевых заготовок | |
JP2001018015A (ja) | 後研磨不要なステンレス製ミラーの製造方法 | |
JP2001096316A (ja) | 鋼管のハイドロフォーミング方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060830 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060926 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20070327 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070327 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070403 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20070427 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070710 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070711 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100817 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100817 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110817 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120817 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120817 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130817 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |