JP6900941B2 - マフラーカッターの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、排気系部品の末端部に取り付けられるマフラーカッター、あるいはフィニッシャーと呼ばれる部品は、車両の後部で外側から見えるため、外観上のデザイン性や美しさといった意匠性が要求される。
また、カーリング加工の他の例としては、特許文献2にも開示がある。
しかしながら、図8に示したようなものでは、折り返し部の狭い隙間に煤や砂塵が入り込み、そこに燃焼排気からの凝縮水が染み込んだ状態で溜まると乾燥しにくく、これらが長期間に亘って湿潤状態で滞留するとマフラーカッターが内側から腐食され、ひどい場合には穴が開くという問題があった。
かかる凝縮水による穴あきを回避する対策として、従来よりもさらに高合金で耐腐食性の良好なステンレス素材が用いられたりするものの、素材コストの上昇は避けられない。
円筒面部と、該円筒面部の先端円周に沿ってドーナツ状に設けられて先端に向かって凹となる湾曲凹面部とを有する外金型と、該外金型の内面側に所定の隙間を介して前記外金型の内面に沿うように配置され、かつ前記湾曲凹面部に沿うように形成された先端に向かって凸となる湾曲凸面部と、該湾曲凸面部から前記円筒面部に平行になるように形成された内ガイド面部とを有する内金型とを備えた金型を用いて、
前記ステンレス鋼管を前記円筒面部の内面に沿うように前記外金型と前記内金型の隙間に挿入し、前記隙間を維持した状態で前記外金型と内金型を前記ステンレス鋼管に対して、その軸方向に相対移動させることによって、前記ステンレス鋼管の先端部を前記外金型の前記湾曲凹面部に沿うように内側にカーリングさせ、かつ先端を前記内ガイド面部にガイドさせるようにしたことを特徴とするものである。
前記ステンレス鋼管を前記円筒面部の内面に沿うように前記外金型と前記内金型の隙間に挿入し、前記隙間を維持した状態で前記外金型と内金型を前記ステンレス鋼管に対して、その軸方向に相対移動させることによって、前記ステンレス鋼管の先端部を前記外金型の前記湾曲凹面部に沿うように内側にカーリングさせ、かつ先端を前記内ガイド面部にガイドさせるようにしたことにより、外管部と内管部が平行になるように内側にカーリングさせてなり、意匠性に優れると共に凝縮水腐食の問題のないマフラーカッターを低い製造コストで製造することができる。
まず、図2に基づいて製造対象としているマフラーカッターの形状を説明し、次に、使用する金型について図1に基づいて説明し、その後、製造方法について説明する。
本実施の形態において対象としているマフラーカッター1の形状は、図2に示すように、円筒管の先端が全周に亘ってカーリングによって折り返されて、先端の湾曲面部3、外管部5、外管部と平行な管壁を有する内管部7が形成されたものである。
図2において、φODは外管部5の外径を、φIDは内管部7の内径を、Lは折り返し部の長さを、それぞれ示している。
φODとφIDの好ましい範囲は、0.65≦φID/φODであり、より好ましくは、0.75≦φID/φODである。この理由については、後述の実施例において説明する。
素管となるステンレス鋼管は、外径φODが30mmから180mm、厚さが0.3mmから1.2mmのものが適用可能であるが、カーリング加工の容易さと加工後の形状を良好にする観点から外径φODが50mmから150mm、厚さが0.3mmから1.0mmのものがより好ましい。
金型9の形状について、金型形状の概要を軸方向断面で示す図1に基づいて説明する。なお、図1中Aは後述する内金型の厚みを示している。
本実施の形態で用いる金型は、外金型11と外金型11の内部に配設された内金型13からなるものである。
《外金型》
外金型11は、円筒面部15と、円筒面部15の先端円周に沿ってドーナツ状に設けられて先端に向かって凹となる湾曲凹面部17と、湾曲凹面部17に連続して円筒状に形成された外ガイド面部19とを有している。
外金型11の湾曲凹面部17が、マフラーカッター1の湾曲面部3を成形するものである。
なお、外ガイド面部19は必須ではなく、外金型11の内側は湾曲凹面部17の端部までとしてもよい。
内金型13は、外金型11の内面側に所定の隙間を介して外金型11の内面に沿うように配置された円筒形状をしている。内金型13の先端部は、外金型11の湾曲凹面部17に沿うように形成された先端に向かって凸となる湾曲凸面部21となっている。また、内金型13は、外金型11の外ガイド面部19と平行な内ガイド面部23を有している。
さらに、内金型13は、成形加工中は外金型11と所定の隙間を保持した状態にする必要があるが、加工終了後には、成形品を取り外す必要から、外金型11に対して着脱可能になっている。
本実施の形態のマフラーカッター1の製造方法を図3、図4に基づいて説明する。
まず、図3、図4(a)に示すように、素管となるステンレス鋼管25を、外金型11の円筒面部15に沿うように、外金型11と内金型13で形成される隙間に挿入する。
この状態で、金型9(外金型11及び内金型13)を外金型11と内金型13の隙間を保持した状態で、ステンレス鋼管25の軸方向であって、ステンレス鋼管25に押し付ける方向に相対移動させる。
これによって、ステンレス鋼管25の先端部は、図4(b)に示すように、外金型11の湾曲凹面部17と内金型13の湾曲凸面部21の隙間に沿って、徐々にカーリング成形が開始される。
金型9を徐々にステンレス鋼管25に押し付けることで、ステンレス鋼管25の先端は、カーリング成形が進み(図4(c))、ステンレス鋼管25の外管部5に平行な内管部7が二重管状態で折り返され(図4(d))、外ガイド面部19と内ガイド面部23に沿って、曲げ戻されて真っ直ぐになり(図4(e))、真っ直ぐな部位が所定の長さになったら成形が終了する(図4(f))。
なお、折り返し部の厚みは、内金型13の厚みAにほぼ相当するものとなるので、折り返し部の厚みを変更する場合には、内金型13の厚みAを適宜設定して、これに合わせて外金型11の形状を設定するようにすればよい。
本発明のマフラーカッター1の製造方法の効果を実証するために、具体的な加工を実施したので、以下に説明する。
加工の素材としては、厚さt=0.5mm、外管部5の外径φOD=φ70のフェライト系ステンレス鋼管を用いた。そして、折り返し長さL(図2参照)は30mmとし、その際に内金型13の厚みAを変更することで、内管部7の内径φIDを変更して成形の様子を観察した。
その成形品を目視観察した結果を表1に示す。
なお、腐食防止および加工時の内金型13の強度の観点から、外管部5と内管部7の隙間を確保するため、外管部5の外径φODと内管部7の内径φIDとの差に基づく値(φOD−φID)/2を4mm以上とした。
なお、シワ26が発生せずに折り返し加工ができた場合でも、内管部7の内径φIDがφ52.5mmを超えて小さくなると折り返した内管部7の表面に肌荒れが生じた。
他方、内管部7の内径φIDがφ52.5mm以上では、シワおよび肌荒れの発生もなく、良好な結果が得られた。
次に、厚さt=0.8mm、外管部5の外径φOD=φ120のフェライト系ステンレス鋼管を用い、折り返し長さLは50mmとし、その際に内金型13の厚みAを変更することで、内管部7の内径φIDを変更して成形の様子を観察した。成形品を目視観察した結果を表2に示す。
なお、腐食防止および加工時の内金型13の強度の観点から、外管部5と内管部7の隙間を確保するため、外管部5の外径φODと内管部7の内径φIDとの差に基づく値(φOD−φID)/2を4mm以上とした。
シワ26が発生せずに折り返し加工ができた場合でも、内管部7の内径φIDがφ90mmを超えて小さくなると折り返した内管部7の表面に肌荒れが生じた。
他方、内管部7の内径φIDがφ90mm以上であれば、シワおよび肌荒れの発生もなく良好な結果が得られた。
実施例1、実施例2の結果を詳細にみると、鋼管の板厚、外径、折り返し長さLの値にかかわらず、0.75≦φID/φODではシワおよび肌荒れの発生もなく良好な折り返し加工が可能であることが分かる。
また、0.65≦φID/φOD<0.75では肌荒れが発生するもののシワのない折り返し加工は可能であることがわかる。
他方、φID/φOD<0.65ではシワ26が発生するため意匠性を重視する部品に適さない。
本発明が対象として想定するマフラーカッター1では意匠性が重視されるため表面の肌荒れは好ましくないが、肌荒れの発生する折り返した内管部7は必要に応じて後の工程で肌荒れを研磨除去することも可能である。言うまでもなく肌荒れの発生しない条件での実施が好ましい。
以上から、折り返し加工の適する条件としては0.65≦φID/φODであり、より好適な範囲は0.75≦φID/φODである。
以上から、煤や砂塵、および染み込んだ凝縮水などが排出され腐食されにくくし、且つ内金型13の強度も十分確保するため、外管部5の外径φODと内管部7の内径φIDは、4mm≦(φOD−φID)/2の関係を満たす範囲とするのが好ましい。
以上から、本発明は、厚さが0.3mm≦t≦1.0mm、外管部5の外径が50mm≦φOD≦150mmのステンレス鋼管25を用いた加工に適している。
3 湾曲面部
5 外管部
7 内管部
9 金型
11 外金型
13 内金型
15 円筒面部
17 湾曲凹面部
19 外ガイド面部
21 湾曲凸面部
23 内ガイド面部
25 ステンレス鋼管
26 シワ
27 湾曲凹面部(従来例)
29 金型(従来例)
31 筒状部品(従来例)
33 ドーナツ状部品(従来例)
Claims (2)
- ステンレス鋼管の先端を、外管部と内管部が平行になるように内側にカーリングさせてなるマフラーカッターの製造方法であって、
円筒面部と、該円筒面部の先端円周に沿ってドーナツ状に設けられて先端に向かって凹となる湾曲凹面部と該湾曲凹面部に連続して円筒状に形成された外ガイド面部とを有する外金型と、該外金型の内面側に所定の隙間を介して前記外金型の内面に沿うように配置され、かつ前記湾曲凹面部に沿うように形成された先端に向かって凸となる湾曲凸面部と、該湾曲凸面部から前記円筒面部と前記外ガイド面部に平行になるように形成された内ガイド面部とを有する内金型とを備えた金型を用いて、
前記ステンレス鋼管を前記円筒面部の内面に沿うように前記外金型と前記内金型の隙間に挿入し、前記隙間を維持した状態で前記外金型と前記内金型を前記ステンレス鋼管に対して、その軸方向に相対移動させることによって、前記ステンレス鋼管の先端部を前記外金型の前記湾曲凹面部に沿うように内側にカーリングさせ、かつ先端を前記内ガイド面部と前記外ガイド面部にガイドさせて曲げ戻されるようにしたことを特徴とするマフラーカッターの製造方法。 - 前記ステンレス鋼管の厚さtが0.3mm≦t≦1.0mm、前記外管部の外径φODが50mm≦φOD≦150mm、カーリング加工後に内側に折り返された前記内管部の内径をφIDとしたときに、0.65≦φID/φOD、かつ、4mm≦(φOD−φID)/2であることを特徴とする請求項1記載のマフラーカッターの製造方法。
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