JP3995121B2 - 内燃機関制御方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1つの燃料ポンプが、低圧領域から高圧領域に燃料を供給し、燃料をインジェクタの制御によって内燃機関の燃焼室に配分することができ、高圧領域における燃料圧力を調整手段によって予め設定可能な値に調整する内燃機関の制御のための方法及び装置に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】
上記のような方法及び装置は、ドイツ特許出願公開第19539885号公報から公知である。この文献には、内燃機関制御のための装置の方法が記述されており、少なくとも1つの燃料ポンプが、低圧領域から高圧領域に燃料を供給する。高圧領域の燃料圧力を所定の値に調整することができる。インジェクタの制御によって、燃料を内燃機関の個々の燃焼室に配分することができる。インジェクタを介して高圧下の燃料を燃焼室に配分するこのような装置は、通常、コモンレール装置(Common-Rail-Systeme)と呼ばれる。
【0003】
燃料配分のためにインジェクタを制御する際、高圧領域の圧力は短時間目標値より下に下がってしまう。しかし、正確な燃料配分は、一定圧力においてのみ可能である。この理由から、高圧領域の圧力は、できるだけ一定値をとるべきである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高圧領域の圧力が、できるだけ一定値をとる内燃機関制御のための方法及び装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、少なくとも内燃機関の回転数及び / 又は噴射量に依存して、前記調整手段を燃料圧力の上昇方向に制御し、当該調整手段の制御を、所定の遅延時間の分だけインジェクタの制御より前に、またはインジェクタの制御中に行うことによって解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の方法によって、圧力を一定値に保持することができる。
【0007】
本発明を次に図面に図示された実施形態にもとづいて説明する。
【0008】
図1には、コモンレール装置をブロック図として図示してある。いわゆるレールは、100で記されている。このレール100は、圧力下にある燃料を貯蔵するのに使用され、インジェクタ110と接続されている。インジェクタ110は、燃料を、ここには図示されていない内燃機関の燃焼室に配分する。インジェクタには、制御装置115から制御信号が供給される。この制御装置は、圧力センサ120、回転数センサ122及び燃料量プリセット124ならびに内燃機関の作動状態を検出するその他のセンサの信号を処理する。
【0009】
制御装置115は、さらに圧力調整弁130に制御信号を供給する。この圧力調整弁130は、レール100とフューエルタンク135との間の接続路に配置されている。圧力調整弁130は、有利には、レール100内の圧力が所定の圧力Pである場合に、フューエルタンク135への接続路を開放するように構成されている。この接続路を開放する圧力値は、制御信号の大きさによって可変である。
【0010】
さらに、フューエルタンク135は、吐出ポンプ140及び高圧ポンプ145を介してレール100と接続されている。高圧ポンプ145とレール100との間には、逆止め弁148を配置することができる。吐出ポンプ140と高圧ポンプ145との間には、制限弁150が配置されている。この制限弁150は、フューエルタンク135への接続路を開放することができる。
【0011】
高圧ポンプ145とインジェクタとの間の領域は、高圧領域と呼ばれる。フューエルタンクと高圧ポンプ145との間の領域は、低圧領域と呼ばれる。
【0012】
この装置は次のように動作する。
【0013】
吐出ポンプ140は、フューエルタンク135から高圧ポンプ145へ燃料を供給する。高圧ポンプ145は、燃料を比較的高圧まで圧縮する。通常、外部点火式内燃機関用の装置の場合には、圧力値をほぼ30から100barまでの値にし、自己点火式内燃機関の場合には、圧力値をほぼ1000から2000barまでの値にする。燃料は、高圧ポンプ145から逆止め弁148を介してレール100に達する。ここでは、燃料は高圧下にある。
【0014】
制御装置115の制御信号に依存して、インジェクタ110は、レールと個々の燃焼室との間の接続路を開放する。従って、噴射開始、噴射終了、そして個々の燃焼室への燃料配分噴射量も、制御装置115によって制御される。
【0015】
吐出ポンプと高圧ポンプとの間で、高すぎる燃料圧が形成された場合、制限弁150がフューエルタンクへの接続路を開放する。
【0016】
高圧領域、とりわけレール100内の圧力は、圧力センサ120によって検出される。この圧力値Pに依存して、制御装置はインジェクタ110のための制御信号を計算する。さらに、この信号は、圧力調整のためにも使用される。すなわち、圧力調整弁130を開閉することによって、レール内の圧力Pを所定の値に調節することができる。
【0017】
インジェクタの制御は、回転数、所望の燃料量QK及び高圧領域内の圧力Pに依存して行われる。
【0018】
高圧ポンプ145と内燃機関との間に回転数結合を有するコモンレール装置では、回転数が低い場合及び/又は大量の燃料量がある場合に、問題が発生する。この問題とは、望ましくないことに、レール内の圧力が、噴射中に下がってしまう、ということである。このような装置では、高圧ポンプ145は、内燃機関に結合されており、直接的に又は変速装置を介して内燃機関によって駆動される。問題の原因は、この領域における高圧ポンプの吐出率の低さ、ならびに圧力調節に必要な圧力調整弁130の閉鎖の遅れである。原理的には、レールの容積を拡大することによって圧力降下を制限することができる。しかし、これはまたレール内の圧力ダイナミック特性の劣化、とりわけスタート時の圧力形成における圧力ダイナミックの劣化を引き起こす。
【0019】
図2には、より詳細に圧力調整部を図示してある。すでに図1で説明した部品装置は同じ参照記号で示してある。
【0020】
調整器200は圧力調整弁130に制御信号を供給する。この圧力調整器200は結合点205の制御信号を処理する。この結合点205には、負の符号の付いた圧力センサ120の出力信号PIと正の符号の付いた制御部210の出力信号PSとが供給される。
【0021】
制御部210は、回転数センサ122の信号N及び燃料量プリセット124の信号QKを処理する。この制御部210は、インジェクタ110の出力段215に信号を供給する。この出力段215は、インジェクタ110への制御信号を供給する。出力段215への制御信号は、さらに出力段220にも供給される。この出力段220も圧力調整弁130に信号を供給する。
【0022】
この装置は、次のように動作する。まず、制御部210によって予め設定される目標値PSと、圧力センサ120から供給される実際値PIとが比較され、調整器200が圧力調整弁130に供給するための制御信号を計算する。この信号に依存して、圧力調整弁は、所定の位置をとる。圧力調整弁のこの所定の位置に依存して、レール100内で相応の圧力が形成される。この圧力が圧力センサ120によって検出され、再び結合点205に供給される。
【0023】
さらに、制御部210は、出力段215に、インジェクタ110に供給するための制御信号を供給する。この制御信号は出力段220にも到達し、この出力段220もまた圧力弁130に制御信号を供給する。
【0024】
これは、インジェクタ110のうちの1つが噴射するように制御されるやいなや、同時に圧力調整弁130が圧力を上昇させるように制御される、ということを意味する。
【0025】
図3には、時間t上にプロットされた異なる信号が示されている。図3のaには圧力Pが、図3のbにはインジェクタのための制御信号が、図3のcには圧力調整弁の変位Hが示されている。通常の制御においては、実線で記された曲線が現れる。
【0026】
図3のaには、一点鎖線によって、圧力Pに対する目標値PSが記入されている。この一点鎖線に平行な一点鎖線によって、調整範囲が示されている。この調整範囲は、2つの垂直な矢印によって示されている。圧力が目標値PSより大きくなるやいなや、圧力調整弁が開放され、減圧が行われる。圧力が、調整範囲の下側に降下するやいなや、圧力調整弁は、閉鎖され、増圧が可能になるように制御される。
【0027】
時点tまでは圧力調整が行われ、圧力は通常その目標値PSである。調整動作中に、圧力調整弁は、結果的に圧力がその目標値PSになるような位置を圧力調整弁がとるように、圧力調整器200によって制御される。
【0028】
図3bの相応の信号によって示されているように、時点tでインジェクタの制御が行われると、噴射のために圧力が降下する。調整偏差の増大に応じて、圧力調整器200が応答し、圧力調整弁130を閉鎖の方向に制御する。圧力が調整範囲を下回るやいなや、圧力調整器200は、結果的に圧力調整弁を完全に閉鎖する信号を送出する。これによって、短い遅延時間の後で、弁ニードルが閉鎖位置の方へ動く。弁ニードルは、その慣性及びコイルのインダクタンスのせいで、この運動のために若干の時間を必要とするのである。この時間中に圧力はさらに降下する。
【0029】
圧力調整弁130が完全に閉鎖されたかもしくは噴射が終了した時点tで、圧力は再び上昇する。圧力値が時点tで再び調整範囲に到達するやいなや、圧力調整器200はアクティブになり、圧力がその目標値PSにとどまるように弁ニードルを調整する。
【0030】
圧力降下を小さくするために、次のことを提案する。すなわち、時点tで、インジェクタの制御と同時に、圧力形成させる位置に圧力調整弁130がすぐに移行するように、圧力調整弁130を制御することを提案する。これは、使用可能な最大エネルギーを圧力調整弁130に供給することを意味している。このような制御においては、圧力及び弁ニードルの変位Hに対して破線で示された曲線が生じる。
【0031】
圧力はそれほど大きく降下しないし、弁ニードルははるかに迅速にその新しい位置に到達する。圧力形成の際、圧力は、より早い時点tで圧力調整範囲に到達する。フューエルタンクに流れる燃料量ははるかに少なく、これにより圧力降下は小さくなる。圧力の目標値にはるかに迅速に再び到達する。
【0032】
本発明の方法は、アナログ的にインジェクタと圧力調整弁130とを同時に制御することによって実現される。本発明をデジタル的に実施すれば、とりわけ有利である。このようにデジタル的に実施する実施形態を図4に図示する。
【0033】
図4のaには、圧力調整弁130を制御するためのプログラムが図示されている。第1のステップ400で、例えば回転数N及び噴射される燃料量QKのような異なる動作特性量に基づく目標値PSを出力する。回転数信号としては、センサの信号が使用される。このセンサは内燃機関及び/又は噴射装置の回転数を使用する。噴射装置の回転数は、高圧ポンプを駆動する回転数に相応する。圧力目標値のための値PSは、有利には、この値と、場合によっては他の量とに依存して、特性マップに格納される。
【0034】
続く質問ステップ410で、回転数が目標値NSより大きいか又は等しいか質問される。イエスの場合にはステップ420でインジェクタ110が制御される。質問ステップ410で、回転数が目標値より小さいと識別されると、ステップ430で、回転数Nと噴射される燃料量QKとの関数Fとして生じる値ΔPが算出される。続くステップ440で、圧力調整器130のための目標値PSが、値PSと値ΔPとを加算することによって算出される。続いて、ステップ450で、圧力調整弁130の制御が行われる。次いでステップ420で、インジェクタ110の制御が行われる。
【0035】
有利な実施例では、圧力調整弁の制御は時点tに行われる。この時点tは、所定の遅延時間の分だけ時点tより前の時点である。この時点tにインジェクタ110の制御が行われる。この遅延時間は、圧力調整弁が、閉鎖状態にあるように選択される。この閉鎖状態は、噴射が開始される時に圧力形成を可能にする。
【0036】
インジェクタの制御と同時に圧力調整弁の制御が行われる場合、より迅速な圧力形成を行うことができる。なぜなら、さもないと圧力が降下してやっとはじめて制御が行われるからである。圧力調整弁の制御が、所定の遅延時間の分だけインジェクタ110の制御より以前に行われる場合、圧力形成をすでに噴射開始の時点で行うことができる。これは、圧力が降下しない、もしくはほんのすこしだけしか降下しないことを意味する。
【0037】
ステップ430と440とを本発明の実施形態から削除してもよい。この簡素化された実施形態では、インジェクタと同時に圧力調整弁130の制御が行われるか、もしくは相応の遅延時間の分だけインジェクタより前に圧力調整弁130の制御が行われる。
【0038】
回転数が目標値NSよりも小さい場合にのみ圧力調整弁130の制御が行われる。回転数が上昇するとポンプの吐出率が大きくなるため圧力降下が比較的小さくなるので、回転数が目標値NSよりも高い場合には圧力調整弁130の早めの制御は必要ない。従って、圧力調整弁130の切換動作は、弁へのより大きい負荷を引き起こし、これによりさらに高価な材料部品の使用が必要となるので、本発明の方法では、所定の回転数値NS以上では圧力調整弁130の切換動作を行わない。
【0039】
ステップ430及び440では、低い回転数による圧力降下を補償するために、本来の目標値PSに値ΔPを加算することによって圧力目標値を大きくする。この値は、平均圧力がほぼ圧力目標値PSになるような値の分だけ高められるのである。圧力が噴射量QK及び回転数に依存する値ΔPだけ高められると、とりわけ有利である。この値(ΔP)は、噴射中の圧力降下の半分の値に相応するように選択される。
【0040】
図5は、目標値に値ΔPの分だけ加算した場合の圧力Pの経過をプロットした線図である。 PSによって所望の圧力が記されている。時点tで圧力はPS+ + ΔPの値に調整されている。時点tで噴射がスタートし圧力は降下する。噴射は時点tに終了する。その後、圧力は再び上昇し、 PS+ + ΔPになる。
【0041】
図4のbは、本発明の別の実施形態である。第1のステップ460で目標値PSが設定される。第2のステップ465で実際値PIが検出される。続くステップ470で、少なくとも回転数Nの関数Fとして値Dが設定される。続く質問ステップ480でPSからPIを減算した差の値が値Dより大きいかが質問される。ノーであるならば、ステップ460にあらためて戻る。イエスならば、これは、圧力実際値PIが、差異値Dよりも大きく目標値PSから逸脱していることを意味する。このイエスの場合、ステップ490で切換動作に切り替えられる。これは、圧力調整弁130が、その閉鎖状態に移行し、圧力上昇できるように制御されることを意味する。切換動作から調整動作への切り替え又は調整動作から切換動作への切り替えのための閾値は、回転数に依存して可変的に設定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】コモンレール装置の概略的なブロック図である。
【図2】圧力調整部の概略的なブロック図である。
【図3】時間t上にプロットされた様々な信号を示す線図である。
【図4】本発明の方法を明瞭に示すためのフローチャートである。
【図5】時間t上にプロットされた圧力を示す線図である。
【符号の説明】
100 レール
110 インジェクタ
115 制御装置
120 圧力センサ
122 回転数センサ
124 燃料量プリセット
130 圧力調整弁
135 フューエルタンク
140 吐出ポンプ
145 高圧ポンプ
148 逆止め弁
150 制限弁
200 調整器
205 結合点
210 制御部
215 出力段
220 出力段

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの燃料ポンプが、低圧領域から高圧領域に燃料を搬送し、
    該燃料を、インジェクタの制御によって内燃機関の燃焼室に配分することができ、
    前記高圧領域における燃料圧力を、調整手段によって、予め設定可能な値に調整する内燃機関の制御方法において、
    少なくとも内燃機関の回転数及び / 又は噴射量に依存して、前記調整手段を燃料圧力の上昇方向に制御し、
    当該調整手段の制御を、所定の遅延時間の分だけインジェクタの制御より前に、またはインジェクタの制御中に行う
    ことを特徴とする内燃機関の制御方法。
  2. 燃料圧力を30barと100barとの間の範囲内の値又は1000barと2000barとの間の範囲内の値に調整する請求項1項記載の方法。
  3. 燃料圧力が、所定の値(D)より大きな値の分だけ目標値(PS)からずれる場合に、燃料圧力の上昇制御を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 調整手段の制御をインジェクタの制御中に行う場合、該調整手段に使用可能な最大エネルギーを供給することを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 燃料圧力の目標値(PS)を噴射の前に所定の値(ΔP)の分だけ上げることを特徴とする請求項1〜4までのうちの1項記載の方法。
  6. 燃料圧力の目標値(PS)を噴射の前にその分だけ上げる前記値(ΔP)及び前記値(D)を、少なくとも回転数(N)及び/又は噴射される燃料量に依存して予め設定することを特徴とする請求項5項記載の方法。
  7. 燃料圧力の目標値(PS)を噴射の前にその分だけ上げる前記値(ΔP)を、噴射の間の圧力降下の半分の値に相応して調節することを特徴とする請求項5記載の方法。
  8. 少なくとも1つの燃料ポンプが、低圧領域から高圧領域に燃料を供給し、
    該燃料を、インジェクタの制御によって内燃機関の燃焼室に配分することができ、
    前記高圧領域における燃料圧力を、調整手段によって、予め設定可能な値に調整する内燃機関の制御のための装置において、
    少なくとも内燃機関の回転数及び / 又は噴射量に依存して、前記調整手段を燃料圧力の上昇方向に制御し、当該調整手段の制御を、所定の遅延時間の分だけインジェクタの制御より前に、またはインジェクタの制御中に行う手段が設けられていることを特徴とする内燃機関の制御のための装置。
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