JP3994503B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はユニット体格の小型化およびユニット通風系の低圧損化を図った車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、車室内前部の計器盤近辺に空調ユニットを配置するに際して、冷房用蒸発器、暖房用ヒータコア、吹出モード切替機構等を内蔵する空調ユニットを、計器盤のうち車両左右方向の略中央部に配置するとともに、この空調ユニットに空調空気を送風する送風機ユニットを空調ユニット側方の助手席側にオフセット配置するレイアウトのものが実用化されている。
【0003】
そして、暖房用ヒータコアを通過して温度調整された空調空気を車両窓ガラス内面に吹き出すデフロスタ吹出開口部は空調ユニットの上方部に配置され、乗員の足元部に空調空気を吹き出すためのフット吹出開口部は空調ユニットの下方部に配置されている。また、乗員の頭部側に空調空気を吹き出すフェイス吹出開口部は空調ユニットの上方部に配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来装置では、どの吹出開口部が開口する場合でも常に暖房用ヒータコアを同一方向に空調空気が流れるようになっているので、暖房用ヒータコアの空気下流側通路を、空調ユニットの下方部から一旦、上方部のデフロスタ吹出開口部およびフェイス吹出開口部側へ導くように曲げ、そして、空調ユニット上方部から再度空調ユニット下方部側に曲げて、下方部のフット吹出開口部に空調空気を導くようにしている。
【0005】
このように、暖房用ヒータコアの空気下流側通路を2度にわたって大きく曲げているので、通風系の圧損が必然的に大きくなり、送風機の大型化を招くとともに、送風騒音が大きくなるという不具合がある。また、空調ユニット内における空気流路スペースも多くなり、空調ユニットが大型化するという不具合がある。
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、車両用空調装置のユニット体格の小型化およびユニット通風系の低圧損化を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来装置では、いずれの吹出開口部に向かう空調空気も常に暖房用熱交換器を同一方向に空調空気が流れることにより、暖房用熱交換器の空気下流側通路の曲げが大きくなるという点に着目して、本発明では、暖房用熱交換器を通過する空調空気の流れ方向を、空調空気の向かう吹出開口部の変化に対応して反転させる構成とすることにより、上記目的を達成しようとするものである。
【0007】
すなわち、請求項1〜9記載の発明によれば、暖房用熱交換器(19)を、空調ケース(2)内部において車両上下方向に空気が通過するように配置し、
複数の吹出開口部(20〜37)には、暖房用熱交換器(19)よりも車両上方側に配置された第1の吹出開口部(20〜23、24〜27、32、33)と、暖房用熱交換器(19)よりも車両下方側に配置された第2の吹出開口部(28〜31、34、35、36、37)とが備えられており、
吹出モードドア(38)により第1の吹出開口部が開口されたときは、暖房用熱交換器(19)を下方から上方へ通過した空気が第1の吹出開口部に流れ、
吹出モードドア(38)により第2の吹出開口部が開口されたときは、暖房用熱交換器(19)を上方から下方へ通過した空気が第2の吹出開口部に流れるようになっており、
さらに、第1の吹出開口部と、第2の吹出開口部とが同時に開口する吹出モードの際に、暖房用熱交換器(19)を逆方向に通過する2つの空気流を仕切る仕切り板(9、11)を備えることを特徴としている。
【0008】
これによると、第1、第2の複数の吹出開口部が例えば、フット吹出開口部(36、37)とデフロスタ吹出開口部(20〜23)のごとく空調ケース(2)の上下方向に離れて配置される場合に、暖房用熱交換器通過空気の流れ方向が上向きと下向きとに反転することにより、各吹出開口部に対して大きな流路曲げを形成することなくスムースに空気を流すことができる。
しかも、第1の吹出開口部と、第2の吹出開口部とが同時に開口する吹出モードの際に、暖房用熱交換器(19)を逆方向に通過する2つの空気流を仕切り板(9、11)にて仕切ることができるから、暖房用熱交換器(19)を逆方向に通過する2つの空気流が同時に存在しても、第1、第2の吹出開口部への空気流れを何ら支障無く良好に形成できる。
また、暖房用熱交換器(19)を、空調ケース(2)内部において車両上下方向に空気が通過するように配置することで、暖房用熱交換器(19)を水平方向に延びる配置形態とすることができる。これにより、空調装置の上下方向寸法(高さ)を小さくできるので、車両への搭載が容易になる。
【0009】
その結果、空調装置通風系の圧損低減およひ送風騒音の低減を図ることができるとともに、ユニット体格も小型化できる。
【0010】
また、本発明は、請求項2のように、第1の吹出開口部として、車両窓ガラスに向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出開口部(20〜23)を少なくとも有しており、また、第2の吹出開口部として、車室内の乗員足元に空気を吹き出すフット吹出開口部(36、37)を少なくとも有している。
【0011】
請求項2によると、フット吹出開口部(36、37)とデフロスタ吹出開口部(20〜23)に向かう空気流れを、大きな流路曲げなしでスムースに流すことができる。
また、本発明は請求項3のように、フット吹出開口部(36、37)およびデフロスタ吹出開口部(20〜23)を同時に開口する吹出モードにおいて、フット吹出開口部(36、37)に向かって流れる空気通路(13、14)を中央寄りに形成し、デフロスタ吹出開口部(20〜23)に向かって流れる空気通路(12、15)を中央寄りの空気通路(13、14)の両側に形成することが好ましい。
【0012】
サイドフェイス吹出開口部(24〜31)は、デフロスタ吹出開口部(20〜23)と同様に窓ガラス曇り止めの作用を果たすものであるので、デフロスタ吹出開口部(20〜23)と同じ空気通路に接続することが望ましい。
請求項3によると、デフロスタ吹出開口部(20〜23)に向かって流れる空気通路(12、15)が中央寄りの空気通路(13、14)の両側に位置しているので、車両への搭載上、サイドフェイス吹出開口部(24〜31)を両側の空気通路(12、15)に容易に設置できる。
【0015】
また、本発明は請求項4のように、フット吹出開口部(36、37)およびデフロスタ吹出開口部(20〜23)を同時に開口する吹出モードにおいて、フット吹出開口部(36、37)には内気が流れ、デフロスタ吹出開口部(20〜23)には外気が流れる内外気2層流モードを設定することが好ましい。
請求項4によると、空調装置通風系の圧損低減、送風騒音の低減およびユニット体格の小型化を実現しながら、内外気2層流モードの設定により、冬期の暖房時に暖房効果の向上と窓ガラスの防曇性の確保とを両立させることができる。
【0016】
しかも、内外気区分のための仕切り板(9、11)をそのまま用いて、暖房用熱交換器(19)を逆方向に通過する2つの空気流を仕切ることができ、実用上、極めて有利である。
特に、請求項5記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、空調ケース(2)内を仕切り板(9、11)により車両左右方向において中央寄りの空気通路(13、14)と、この中央寄りの空気通路(13、14)の左右両側に位置する両側の空気通路(12、15)とに仕切り、
第1の吹出開口部として、車両窓ガラスに向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出開口部(20〜23)を少なくとも有しており、
また、第2の吹出開口部として、車室内の乗員足元に空気を吹き出すフット吹出開口部(36、37)、車両左右方向の中央部の乗員頭部側に空気を吹き出すセンタフェイス吹出開口部(34、35)、および車室内の左右方向両側の乗員頭部側に空気を吹き出すサイドフェイス吹出開口部(28〜31)を少なくとも有しており、
中央寄りの空気通路(13、14)および両側の空気通路(12、15)に、吹出空気温度を制御する温度制御手段(17b、17c)(17a、17d)をそれぞれ独立に備え、
車室内の上下両側に同時に空気を吹き出すバイレベル吹出モード時に、中央寄りの空気通路(13、14)にフット吹出開口部(36、37)のみを連通させ、一方、両側の空気通路(12、15)にはセンタフェイス吹出開口部(34、35)およびサイドフェイス吹出開口部(28〜31)を連通させ、
フット吹出開口部(36、37)からの吹出空気温度および両フェイス吹出開口部(34、35、28〜31)からの吹出空気温度を両温度制御手段(17b、17c)(17a、17d)により独立に制御することを特徴としている。
【0017】
これによると、バイレベル吹出モード時に車室内上下両方向への吹出空気温度を独立に制御できる。従って、車室内上下の温度分布を頭寒足熱型、あるいは上下同温度型等の分布に任意に設定できる。
請求項5記載の発明は、具体的には、請求項6に記載のように、仕切り板(9、11)に、両側の空気通路(12、15)を中央寄りの空気通路(13、14)に連通させる連通口(43、44)、およびこの連通口(43、44)を開閉する送風路切替ドア(45、46)を設けることにより、良好に実施できる。
【0018】
また、請求項5記載の発明は、具体的には、請求項7に記載のように、仕切り板(9、11)のうち、センタフェイス吹出開口部(34、35)とサイドフェイス吹出開口部(28〜31)との間を仕切るフェイス用の仕切り板(9a、11a)の位置を、両側の空気通路(12、15)側にずらして配置することにより、両側の空気通路(12、15)をセンタフェイス吹出開口部(34、35)に連通させる連通口(43a、44a)を形成するようにしてもよい。
また、請求項8に記載の発明のように、暖房用熱交換器(19)は、具体的には車両前後方向寸法よりも車両左右方向寸法を大きくした横長形状でもって水平方向から微小角度だけ傾斜して配置されている。
【0019】
さらに、請求項9のように、空調ケース(2)を車室内前方の計器盤(100)部に、車両左右方向の略中央部に位置するように設置し、
空調ケース(2)内において、車両前方側に送風ファン(7a〜7d)を設置し、送風ファン(7a〜7d)より車両後方側に冷房用熱交換器(16)を設置し、
送風ファン(7a〜7d)の作動により空調ケース(2)内の空気通路を、冷房用熱交換器(16)から暖房用熱交換器(17)の順に、車両前方から車両後方側へ向かって空気が流れるようにしてもよい。
【0020】
請求項9によると、請求項1〜8記載の発明による作用効果を持つ空調装置をコンパクトな一体型ユニットとして構成することができ、車両への搭載が容易となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜6は本発明の第1実施形態を示すものであり、本実施形態の車両用空調装置は、フット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードにおいて内外気2層流モードが設定可能であるとともに、車室内の運転席側領域と助手席側領域とを独立に温度制御可能な、いわゆる左右独立温度制御可能なものである。
【0022】
図1〜6において、本実施形態の空調装置通風系は、1つの一体型空調ユニット1として構成され、この空調ユニット1は車室内前方の計器盤100(図5参照)下方のうち、車両左右方向の中央部に設置される。この際、空調ユニット1は車両の前後、左右、上下方向に対して図1、2に示す方向となるように配置されて、車両に搭載される。
【0023】
ここで、計器盤100内のスペースは、車両エンジン101の車室内へのくい込みにより上下方向の寸法が小さくなっており、そのため、空調ユニット1は図1、2に例示するように車両左右方向および車両前後方向の寸法に比して上下方向の寸法が小さい、全体として偏平な横長形状にしてある。
そして、空調ユニット1は空気通路を形成する樹脂製の空調ケース2を有し、この空調ケース2内に後述の各機器が収容される。空調ユニット1のうち、最も車両前方側の部位に、内外気切替機構3が配置されており、この内外気切替機構3には車両前方側から外気(車室外空気)を吸入する3個の外気吸入口4a、4b、4cが車両左右方向に並列に設けられている。
【0024】
また、この3個の外気吸入口4a、4b、4cの下方側にそれぞれ隣接して、空調ユニット1の下方側から内気(車室内空気)を吸入する3個の内気吸入口5a、5b、5cが設けられている。ここで,外気吸入口4a、4b、4cと内気吸入口5a、5b、5cは図1に示すように、空調ケース2の最前部に形成された円弧面に形成されている。
【0025】
内外気切替機構3の内部には、上記した3個づつ設けた外気吸入口4a、4b、4cと内気吸入口5a、5b、5cとを切替開閉する3枚の内外気切替ドア6a、6b、6cが摺動可能に配置されている。この3枚の内外気切替ドア6a、6b、6cは、上記両吸入口4a〜5cの円弧面に沿った円弧状に形成されている。
【0026】
そして、3枚の内外気切替ドア6a、6b、6cの内側円弧面には内歯車が形成されており、各内外気切替ドア6a、6b、6cの内歯車には駆動歯車60a、60b、60cが噛み合っており、この駆動歯車60a、60b、60cの回転により各内外気切替ドア6a、6b、6cが両吸入口4a〜5cの円弧面に沿って図1の上下方向に摺動する。また、駆動歯車60a、60b、60cは図示しない回転伝達機構を介して、共通のアクチュエータ(サーボモータ)201(後述の図6参照)に連結されて、回転駆動される。アクチュエータ201の回転量は図6に示す空調用制御装置200により制御される。
【0027】
そして、上記外気吸入口4a、4b、4cと内気吸入口5a、5b、5cからの吸入空気を送風する送風機として、本例では、車両右側および左側にそれぞれ2個づつ配置された合計4個の送風ファン7a、7b、7c、7dを用いている。これら4個の送風ファン7a、7b、7c、7dは共通の1本の回転軸7eに連結され、この回転軸7eを介してモータ7fにより回転駆動される構成となっている。
【0028】
これらの送風ファン7a〜7dは周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)からなるものであって、スクロールケース8a〜8d内に配置され、ファン吸入口8e〜8hから吸入した空気をスクロールケース8a〜8dの渦巻き形状に沿って矢印Aのように送風する。
一方、空調ケース2内の空気通路は、本例では、車両右側の仕切り板9と、車両中央部の仕切り板10と、車両左側の仕切り板11とにより4つの空気通路12、13、14、15に仕切られている。なお、図2では、空気通路12〜15の図示の明確化のために、各空気通路12〜15内に設置される熱交換器16、17を概略図示し、吹出開口部等の図示は省略している。
【0029】
ここで、後述の内外気2層流モード時には、車両中央側の2つの空気通路13、14が内気の流れる第1空気通路となり、車両左右両側の空気通路12、15が外気の流れる第2空気通路となる。従って、左右両側の仕切り板9、11は内外気区分のための仕切りである。また、車両中央部の仕切り板10は後述の左右独立温度制御のための仕切りである。上記各仕切り板9〜11は樹脂製の空調ケース2に一体成形することができる。
【0030】
空調ケース2内において、送風ファン7a〜7dのスクロールケース8a〜8dの出口直後の部位に蒸発器(冷房用熱交換器)16が上記空気通路12〜15の全域を横切るように配置されている。特に、本例では、蒸発器16を車両左右方向の寸法を長くした横長形状とするとともに、蒸発器16を水平方向から微少角度θ1 だけ傾斜させた配置形態とすることより、蒸発器16を車両上下方向に対して小さなスペース内で配置できるようにしている。
【0031】
このように蒸発器16を配置しているため、送風ファン7a〜7dからの送風空気は矢印Aのごとく空調ケース2内の底部側に送風された後に、蒸発器16を下方から上方へ通過する。
蒸発器16は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却するものである。また、蒸発器16は周知の積層型のものであって、アルミニュウム等の2枚の金属薄板を最中状に張り合わせて構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。蒸発器16の偏平チューブは車両左右方向と平行に配置される。
【0032】
そして、蒸発器16の直ぐ上方の部位(空気流れ下流側)にはエアミックスドア(温度制御手段)17a〜17dが車両前後方向(図1の左右方向)に摺動可能に隣接配置されている。このエアミックスドア17a〜17dは、図2には図示してないが、4つの空気通路12、13、14、15にそれぞれ独立に設置され、独立に摺動可能になっている。
【0033】
より具体的に説明すると、エアミックスドア17a〜17dは、図1に示すように、平板に近似した大きな曲率半径を持つ円弧状の板部材からなり、その内側円弧面には内歯車が形成されている。そして、このエアミックスドア17a〜17dの内歯車にはそれぞれ駆動歯車18a〜18dが噛み合っており、この駆動歯車18a〜18dの回転により各エアミックスドア17a〜17dが車両前後方向(図1の左右方向)に摺動する。
【0034】
この各エアミックスドア17a〜17dの摺動により、4つの空気通路12、13、14、15においてそれぞれ後述のヒータコア(暖房用熱交換器)19を通過する温風とヒータコア19をバイパスする冷風との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を制御できるようにしてある。
また、各駆動歯車18a〜18dは図示しない回転伝達機構を介して、それぞれ独立の(合計4個の)アクチュエータ(サーボモータ)204a、204b、204c、204dに連結されて、回転駆動される。この温度制御用のアクチュエータ204a〜204dの回転量は空調用制御装置200により調整される。
【0035】
ヒータコア19は、蒸発器16を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア19は上記駆動歯車18a〜18dおよびエアミックスドア17a〜17dの上方部位から車両後方側にかけて空気通路12〜15の全域を横切るように配置されている。
【0036】
このヒータコア19も蒸発器16と同様に、車両左右方向の寸法を長くした横長形状とするとともに、ヒータコア19を水平方向から微少角度θ2 だけ傾斜させた配置形態とすることより、ヒータコア19を車両上下方向に対して小さなスペース内で配置できるようにしている。ここで、蒸発器16とヒータコア19の傾斜方向は逆方向であり、蒸発器16は車両後方に向かって下向きに傾斜し、ヒータコア19は車両後方に向かって上向きに傾斜している。
【0037】
また、ヒータコア19は周知の構成であって、アルミニュウム等の金属薄板を溶接等により断面偏平状に接合してなる偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。ヒータコア19の偏平チューブは車両左右方向と平行に配置される。
次に、本実施形態における吹出モード切替機構を説明すると、空調ケース2の空気通路下流端には複数の吹出開口部20〜37が形成されており、この各吹出開口部20〜37の下流側に、さらに、空調空気を車室内の所定場所に向けて吹き出させるための吹出ダクト(図示せず)が接続される。図3は空調ケース2における吹出開口部20〜37の開口パターンを示すもので、一平面上に展開して示している。図4は、これらの吹出開口部20〜37を開閉するフィルム状の吹出モードドア38の開口パターンを示している。
【0038】
図3において、20〜23はデフロスタ吹出開口部であり、2層流モード時に外気側通路となる左右両側の空気通路12、15に位置するデフロスタ吹出開口部20、23の開口面積を、2層流モード時に内気側通路となる中央寄りの空気通路13、14に位置するデフロスタ吹出開口部21、22の開口面積よりも大きくしてある。
【0039】
これらのデフロスタ吹出開口部20〜23は図1に示すように空調ケース2の上面部において車両前後方向の略中央部位で開口している。そして、右側の2つのデフロスタ吹出開口部20、21には共通のデフロスタダクト(図示せず)が接続され、また、左側の2つのデフロスタ吹出開口部22、23にも共通のデフロスタダクト(図示せず)が接続され、それぞれデフロスタダクトの内部において左右2つづつのデフロスタ吹出開口部20、21と22、23からの吹出空気を合流する。
【0040】
上記デフロスタダクトの先端には車両窓ガラス内面に向けて空調空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口(図示せず)が設置されている。
次に、サイドフェイス吹出開口部24〜31は、空調ケース2の上面部において、デフロスタ吹出開口部20〜23よりも車両後方側の部位に開口するものであり、本例では、2層流モード時に外気側通路となる左右両側の空気通路12、15にサイドフェイス吹出開口部24〜31が位置して開口している。右側の空気通路12に開口するサイドフェイス吹出開口部24、25、28、29は図示しない右側の共通のサイドフェイスダクトに接続され、このサイドフェイスダクトの内部で各開口部24、25、28、29からの空調空気を合流するとともに、ダクト先端に設けた右側サイドフェイス吹出口(図示せず)から車両の右側の側面窓ガラスまたは右側乗員の頭部側に向けて空調空気を吹き出す。
【0041】
同様に、左側の空気通路15に開口するサイドフェイス吹出開口部26、27、30、31は図示しない左側の共通のサイドフェイスダクトに接続され、このサイドフェイスダクトの内部で各開口部26、27、30、31からの空調空気を合流するとともに、ダクト先端に設けた左側サイドフェイス吹出口(図示せず)から車両の左側の側面窓ガラスまたは左側乗員の頭部側に向けて空調空気を吹き出す。
【0042】
また、サイドフェイス吹出開口部24〜31のうち、サイドフェイス吹出開口部24〜27はサイドフェイス吹出開口部28〜31よりも車両上方側に配置されて、ヒータコア19の上方空間に連通可能にしてある。そして、残余のサイドフェイス吹出開口部28〜31はヒータコア19の下方空間に連通可能に配置してある。
【0043】
中央寄りの空気通路13、14内に開口するように配置されたセンタフェイス吹出開口部32、33は、図1に示すように上記サイドフェイス吹出開口部24〜27と車両前後方向および車両上下方向に対しては同一位置に配置されており、これよりセンタフェイス吹出開口部32、33はヒータコア19の上方空間に連通可能にしてある。
【0044】
また、同じく中央寄りの空気通路13、14内に開口するように配置されたセンタフェイス吹出開口部34、35は、図1に示すように上記サイドフェイス吹出開口部24〜27およびセンタフェイス吹出開口部32、33よりも車両下方側に配置されており、これにより、ヒータコア19の下方空間に連通可能にしてある。
【0045】
右側のセンタフェイス吹出開口部32、34は図示しない右側の共通のセンタフェイスダクトに接続され、このセンタフェイスダクトの内部で各開口部32、34からの空調空気を合流するとともに、ダクト先端に設けた右側センタフェイス吹出口(図示せず)から車両の右側乗員の頭部側に向けて空調空気を吹き出す。
【0046】
同様に、左側のセンタフェイス吹出開口部33、35は図示しない左側の共通のセンタフェイスダクトに接続され、このセンタフェイスダクトの内部で各開口部33、35からの空調空気を合流するとともに、ダクト先端に設けた左側センタフェイス吹出口(図示せず)から車両の左側乗員の頭部側に向けて空調空気を吹き出す。
【0047】
フット吹出開口部36、37は、図1に示すように空調ケース2の最も車両後方側の下方側部位に配置され、そして、図3に示すように右側のフット吹出開口部36は右側の中央寄りの空気通路13のみから空気を導入できるように形成され、また、左側のフット吹出開口部37は左側の中央寄りの空気通路14のみから空気を導入できるように形成されている。この左右のフット吹出開口部36、37には、それぞれフットダクト(図示せず)が接続され、このフットダクトの先端には乗員の足元部に向けて空調空気を吹き出すためのフット吹出口が設置されている。
【0048】
図4に示すフィルム状の吹出モードドア38は薄膜状の可撓性材料、具体的には、ポリエチレン樹脂のごとく可撓性、強度に優れた樹脂製フィルム材にて構成された周知のものである。
このフィルム状の吹出モードドア38は空調ケース2の車両左右方向の幅寸法と略同等の幅寸法を有し、後述の所定の開口パターンの形成により、上記の各吹出開口部20〜37への空気流れを切替制御するものである。
【0049】
図1に示すように、空調ケース2内には、駆動軸39と従動軸40が、空調ケース2に対して回転自在に支持されている。この駆動軸39および従動軸40には、フィルム状の吹出モードドア38の両端が固定および巻回されている。そして、フィルム状の吹出モードドア38は、駆動軸39と従動軸40と中間ガイド部41、42とによって上記の各吹出開口部20〜37をそれぞれ横切るようにして、一定の張力が付与された状態で空調ケース2の内壁面に沿って摺動可能に配設されている。
【0050】
上記駆動軸39はステップモータ等のアクチュエータ205によって駆動され、このアクチュエータ205の回転量は空調用制御装置200により制御される。駆動軸39の回転は図示しない回転伝達機構を介して従動軸40に伝達される。従って、アクチュエータ205により駆動軸39を正逆両方向に回転させることにより、従動軸40も連動して正逆両方向に回転し、これにより、フィルム状の吹出モードドア38の一端部が両軸39、40の一方から巻き戻され、他方に巻回されるという運動を行って、各吹出開口部20〜37の内壁面に沿ってフィルム状の吹出モードドア38が摺動する。
【0051】
そして、フィルム状の吹出モードドア38には、図4に示すように、空気を通過させるための合計10個の開口部38a〜38jが形成されており、上記アクチュエータにより駆動軸39を正逆両方向に回転させて吹出モードドア38を所定の位置で停止させることによって、この開口部38a〜38jと前記各吹出開口部20〜37との連通、遮断を切り替えることにより、吹出モードの切替を行うようになっている。
【0052】
ここで、4つの空気通路12〜15のうち、2層流モード時に外気側通路となる左右両側の空気通路12、15にはそれぞれ3個の開口部38a、38e、38gと開口部38d、38f、38jが位置するようにしてある。また、2層流モード時に内気側通路となる中央寄りの空気通路13、14にはそれぞれ2個の開口部38b、38hと開口部38c、38iが位置するようにしてある。
【0053】
図6は本実施形態における電気制御の概要を示すブロック図であり、空調用制御装置200には周知のセンサ群202、および図示しない空調操作パネルに設けられた周知の操作スイッチ群203等から入力信号が加えられるとともに、これら入力信号に対して、予め設定されたプログラムに基づいて所定の演算処理を行って、アクチュエータ201、204a〜204d、205、送風用モータ7f等の作動を制御するようになっている。
【0054】
次に、上記構成において本実施形態の作動を吹出モードごとに説明する。
「フット吹出モード」
フット吹出モード時にはフィルム状の吹出モードドア38がモード切替用アクチュエータ205により図7の位置に操作されるため、吹出モードドア38の開口部38h、38iによりフット吹出開口部36、37は空気通路13、14に全開状態で連通する。また、デフロスタ吹出開口部20〜23のうち、左右両側のデフロスタ吹出開口部20、23が吹出モードドア38の開口部38a、38dにより空気通路12、15に小開度で連通する。
【0055】
また、サイドフェイス吹出開口部24〜31のうち、左右両側のサイドフェイス吹出開口部24、27が吹出モードドア38の開口部38e、38fにより空気通路12、15に全開状態で連通する。しかし、他のサイドフェイス吹出開口部25、26、28、29、30、31はこのとき閉塞される。また、センタフェイス吹出開口部32〜35は全閉状態にある。
【0056】
一方、暖房始動時のごとく、最大暖房状態を設定するときは、内外気2層流モードを設定する。そのため、内外気切替機構3においては、アクチュエータ201および駆動歯車60a、60b、60cにより内外気切替ドア6a、6cが以下の位置に駆動される。すなわち、図8に示すように、左右両側の内外気切替ドア6a、6cは内気吸入口5a、5cを閉じて、外気吸入口4a、4cを開く位置に駆動され、また、中央部の内外気切替ドア6bは外気吸入口4bを閉じて、内気吸入口5bを開く位置に駆動される。
【0057】
これにより、送風用モータ7fを作動させると、左右両側の送風ファン7a、7dは外気吸入口4a、4cから外気を吸入して左右両側の空気通路12、15に送風する。また、中央寄りの送風ファン7b、7cは、内気吸入口5bから内気を吸入して中央寄りの空気通路13、14に送風する。
次に、最大暖房状態におけるエアミックスドア17a〜17dの操作位置について説明すると、エアミックスドア17a〜17dは各空気通路12〜15に対応してそれぞれ設けられており、そして、それぞれ駆動歯車18a〜18dを介して、アクチュエータ204a〜204dにより独立した移動を行うことができる。
【0058】
図8(a)はフット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードの最大暖房時における外気側空気通路12、15の空気流れを示し、図8(b)は同吹出モードの最大暖房時における内気側空気通路13、14の空気流れを示している。外気側空気通路12、15におけるエアミックスドア17a、17dは駆動歯車18a、18dの回転により、最も車両前方側の位置に移動している。
【0059】
そのため、外気側空気通路12、15では送風ファン7a、7dにより送風される外気が、蒸発器16を通過した後に、その全量がエアミックスドア17a、17dの車両後方部に形成される流路を通ってヒータコア19の下方からヒータコア19に流入し、ヒータコア16にて加熱される。この加熱された温風はヒータコア19の上方へ流れて、左右両側のデフロスタ吹出開口部20、23を通って車両窓ガラスの内面に向かって吹き出す。
また、同時に、外気側空気通路12、15においてヒータコア19で加熱された温風の一部は左右両側のサイドフェイス吹出開口部24、27を通って車両側面の窓ガラス内面に向かって吹き出す。
【0060】
これに対し、内気側空気通路13、14では送風ファン7b、7cにより送風される内気が、蒸発器16を通過した後に、その全量がエアミックスドア17b、17cの車両前方部に形成される流路を通ってヒータコア19の上方空間に至る。しかし、このとき、ヒータコア19の上方側に位置する吹出開口部が1つも内気側空気通路13、14には連通していない(図7参照)ので、一旦、ヒータコア19の上方に至った内気の全量がヒータコア19を上方から下方へと通過して加熱され温風となる。
【0061】
この内気の温風はフット吹出開口部36、37を通って、車室内の乗員足元に吹き出す。
ここで、フット吹出開口部36、37を通って、車室内の乗員足元に吹き出す温風は、車室内の温度の高い内気を再循環して加熱しているので、温風温度が十分高くなり、暖房効果を向上できる。しかも、デフロスタ吹出開口部20、23およびサイドフェイス開口部24、27から車両窓ガラスに向けて吹き出す温風は低湿度の外気を加熱した温風であるので、窓ガラスの防曇性を十分確保できる。
【0062】
上記説明から理解されるように、仕切り板9、11は内外気を仕切る役割を果たすとともに、ヒータコア19を上下逆方向に通過する2つの空気流を仕切る役割を果たす。
また、前述した通り、デフロスタ吹出開口部20、23は吹出モードドア38の開口部38a、38dにより空気通路12、15に小開度で連通するので、フット吹出モードにおける、デフロスタ吹出開口部20、23からの吹出風量を少量に抑制している。同様に、サイドフェイス開口部についても、小開口面積の一部のサイドフェイス開口部24、27のみが開口しているので、吹出風量を少量に抑制できる。これにより、フット吹出モード時に、乗員の頭部が火照るのを防止できる。
【0063】
ここで、デフロスタ吹出開口部20、23およびサイドフェイス吹出開口部24、27からの吹出風量と、フット吹出開口部36、37からの吹出風量との風量割合は例えば、3:7程度である。
次に、車室内温度が上昇して、暖房負荷が減少すると、吹出空気温度制御のため、エアミックスドア17a〜17dを最大暖房位置から中間開度位置に操作し、外気側空気通路12、15および内気側空気通路13、14に送風される送風空気の一部をヒータコア19をバイパスして流す。
【0064】
すなわち、図9(a)、(b)に示すように、外気側空気通路12、15、および内気側空気通路13、14のいずれにおいても、エアミックスドア17a、17dと、エアミックスドア17b、17cを中間開度位置に操作することにより、送風空気の一部がヒータコア19をバイパスして流れるようになり、車室内への吹出空気温度を任意に調整できる。
【0065】
ところで、中間温度制御域では、最大暖房能力を必要としないため、内外気吸入モードは、通常、3個の内外気切替ドア6a、6b、6cにより内気吸入口5a、5b、5cを全て閉塞し、外気吸入口4a、4b、4cを全て開放する全外気モードに設定する。
しかし、乗員の手動操作よる設定にて、3個の内外気切替ドア6a、6b、6cにより外気吸入口4a、4b、4cを全て閉塞して、内気吸入口5a、5b、5c、2aを全て開放する全内気モードとしたり、前述のように内気と外気とを同時に導入する内外気2層流モードとすることもできる。
【0066】
なお、冬期の暖房時には外気温度が低いため、蒸発器16を有する冷凍サイクルは停止している。
「フットデフロスタ吹出モード」
フットデフロスタ吹出モードでは、フィルム状の吹出モードドア38がアクチュエータ205により図10の位置に操作されるため、フット吹出開口部36、37の開度が図7のフット吹出モードの場合に比して半減する。これに対し、デフロスタ吹出開口部20、23は吹出モードドア38の開口部38a、38dにより空気通路12、15にそれぞれ略半分の開度で連通し、デフロスタ吹出開口部20、23の開度が図7のフット吹出モードの場合に比して倍増する。このとき、サイドフェイス開口部24、27の開度は変化しない。
【0067】
以上の結果、デフロスタ吹出開口部20、23およびサイドフェイス吹出開口部24、27からの吹出風量と、フット吹出開口部36、37からの吹出風量との風量割合を例えば、5:5程度にすることができ、窓ガラスの曇り止め性能を高めることができる。
なお、フットデフロスタ吹出モードでは上記のように、吹出風量の風量割合が変化するだけであり、他の点、すなわち、最大暖房状態における内外気2層流モードの設定、エアミックスドア17a〜17dによる吹出空気温度の制御等はすべてフット吹出モードと同じである。
【0068】
「デフロスタ吹出モード」
デフロスタ吹出モードにおいては、フィルム状の吹出モードドア38がアクチュエータ205により図11の位置に操作されるため、吹出モードドア38の開口部38a、38dによりデフロスタ吹出開口部20、23が外気側空気通路12、15にそれぞれ全開状態で連通する。また、吹出モードドア38の開口部38b、38cによりデフロスタ吹出開口部21、22が内気側空気通路13、14にそれぞれ全開状態で連通する。
【0069】
また、サイドフェイス吹出開口部24〜31のうち、左右両側のサイドフェイス吹出開口部24、27が吹出モードドア38の開口部38e、38fにより空気通路12、15に全開状態で連通する。しかし、他のサイドフェイス吹出開口部25、26、28、29、30、31はこのとき閉塞される。また、センタフェイス吹出開口部32〜35およびフット吹出開口部36、37は全閉状態にある。
【0070】
そして、このデフロスタ吹出モードにおいては、窓ガラスの防曇性確保のために、内外気吸入モードを通常、全外気モードとする。すなわち、内外気切替機構3においては、図12に示すようにアクチュエータ201および駆動歯車60a、60b、60cにより内外気切替ドア6a、6b、6cを、内気吸入口5a、5b、5cが全て閉塞され、外気吸入口4a、4b、4cがすべて開放される位置に駆動する。
【0071】
これにより、送風用モータ7fを作動させると、送風ファン7a〜7dにより外気吸入口4a、4b、4cから外気が吸入され、4つの空気通路12〜15にすべて外気が送風される。
そして、最大暖房状態では、図12(a)に示すように、4つの空気通路12〜15におけるエアミックスドア17a〜17dはすべて駆動歯車18a〜18dの回転により、最も車両前方側の位置に移動している。
【0072】
そのため、4つの空気通路12〜15において、送風ファン7a〜7dにより送風される外気が、蒸発器16を通過した後に、その全量がエアミックスドア17a〜17dの車両後方部に形成される流路を通ってヒータコア19の下方からヒータコア19に流入し、ヒータコア16にて加熱される。この加熱された温風はヒータコア19の上方へ流れて、上述のデフロスタ吹出開口部20〜23を通って車両前面の窓ガラスの内面に向かって吹き出す。
【0073】
また、同時に、ヒータコア19で加熱された温風の一部は左右両側のサイドフェイス吹出開口部24、27を通って車両側面の窓ガラス内面に向かって吹き出す。これにより、車両前面窓ガラスおよび車両側面の窓ガラスの曇り止めを行うことができる。
図12(b)はデフロスタ吹出モードにおける1/2暖房状態を示すもので、4つの空気通路12〜15におけるエアミックスドア17a〜17dはすべて駆動歯車18a〜18dの回転により、車両前後方向の中間位置に移動して、ヒータコア19で加熱された温風とヒータコア19をバイパスした冷風とを混合して所定の吹出空気温度とした後に、温風が上述のデフロスタ吹出開口部20〜23およびサイドフェイス吹出開口部24、27を通って車両窓ガラス内面に吹き出される。
「フェイス吹出モード」
フェイス吹出モードにおいて、最大冷房状態であるときは、フィルム状の吹出モードドア38がアクチュエータ205により図13の位置に操作されるため、吹出モードドア38の開口部38h、38iによりセンタフェイス吹出開口部32〜35が中央寄りの空気通路13、14にそれぞれ全開状態で連通する。これと同時に、吹出モードドア38の開口部38g、38jによりサイドフェイス吹出開口部24〜31が左右両側の空気通路12、15にそれぞれ全開状態で連通する。
【0074】
このとき、デフロスタ吹出開口部20〜23およびフット吹出開口部36、37は全閉状態にある。
ここで、最大冷房状態であるときは、冷房熱負荷の低減のために、内外気吸入モードを通常、全内気モードとする。すなわち、内外気切替機構3においては、図14に示すようにアクチュエータ201および駆動歯車60a、60b、60cにより内外気切替ドア6a、6b、6cを、外気吸入口4a、4b、4cが全て閉塞され、内気吸入口5a、5b、5cがすべて開放される位置に駆動する。
【0075】
これにより、送風用モータ7fを作動させると、送風ファン7a〜7dにより内気吸入口5a、5b、5cから内気が吸入され、4つの空気通路12〜15にすべて内気が送風される。
また、冷凍サイクルが運転され、蒸発器16により各空気通路12、13、14、15の送風空気は冷却されて、冷風となる。
【0076】
そして、最大冷房状態では、図14(a)に示すように、4つの空気通路12〜15におけるエアミックスドア17a〜17dはすべて駆動歯車18a〜18dの回転により、車両前後方向の中間位置に移動している。
そのため、4つの空気通路12〜15において、送風ファン7a〜7dにより送風される内気が蒸発器16で冷却されて冷風となった後に、その全量がエアミックスドア17a〜17dの車両前方側および車両後方側に形成される流路を通ってヒータコア19の下方空間および上方空間に流れ込む。
【0077】
そして、ヒータコア19の下方空間にはセンタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31が開口しているので、冷風はヒータコア19を通過することなく、ヒータコア19の下方空間からそのままセンタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31を通って車室内へ吹き出す。
【0078】
また、このとき、ヒータコア19の上方空間には、センタフェイス吹出開口部32、33およびサイドフェイス吹出開口部24〜27が開口しているので、冷風はヒータコア19を通過することなく、ヒータコア19の上方空間からそのままセンタフェイス吹出開口部32、33およびサイドフェイス吹出開口部24〜27を通って車室内へ吹き出す。
【0079】
以上により、蒸発器16で冷却された冷風がヒータコア19により再加熱されることなく車室内へ吹き出して、最大暖房能力が発揮される。なお、サイドフェイス吹出開口部24〜31からの空調空気を吹き出すサイドフェイス吹出口は手動操作にて空気の吹出方向が調整可能なグリル機構を有しているので、夏期の冷房時には空気の吹出方向を乗員側に変更する。
【0080】
また、最大冷房時には、通常、ヒータコア19に温水を循環する温水回路に設けた温水弁を閉じて、ヒータコア19への温水循環を停止する。
次に、車室内温度が低下して冷房負荷が減少すると、最大冷房状態から冷房能力を制限した温度制御状態に移行する。この温度制御状態では、空調制御装置200での演算処理によりアクチュエータ205の回転位置が制御されて、フィルム状の吹出モードドア38が図15の位置に操作される。そのため、吹出モードドア38の開口部38h、38iによりセンタフェイス吹出開口部34、35が中央寄りの空気通路13、14にそれぞれ全開状態で連通する。これと同時に、吹出モードドア38の開口部38g、38jによりサイドフェイス吹出開口部28〜31が左右両側の空気通路12、15にそれぞれ全開状態で連通する。
【0081】
しかし、最大冷房状態では開口していたセンタフェイス吹出開口部32、33およびサイドフェイス吹出開口部24〜27は温度制御状態への移行に伴って閉塞される。
また、デフロスタ吹出開口部20〜23およびフット吹出開口部36、37は依然として全閉状態のままである。
【0082】
以上のように、センタフェイス吹出開口部32、33およびサイドフェイス吹出開口部24〜27が閉塞される結果、ヒータコア19の上方空間に連通する吹出開口部が1つもないため、ヒータコア19の上方空間に至った冷風は図14(b)に示すようにヒータコア19を上方から下方へと通過して、ヒータコア19で再加熱され、温風となる。
【0083】
この温風はヒータコア19下方空間の冷風と混合して所定温度の冷風が得られる。この所定温度の冷風がセンタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31を経て車室内へ吹き出す。
フェイス吹出モードにおける吹出空気の温度制御は、4つの空気通路12〜15におけるエアミックスドア17a〜17dを図14(b)に示す車両前後方向の中間位置から車両後方側へ移動させることにより、ヒータコア19で加熱される温風の風量割合が増加して吹出空気温度が上昇する。
【0084】
なお、フェイス吹出モードでは、最大冷房状態以外の温度制御状態から最大暖房状態に至るまで、常に、フィルム状の吹出モードドア38は図15の位置に維持される。フェイス吹出モードでも内外気吸入モードは内外気切替ドア6a、6b、6cにより、全内気、全外気、内外気2層流のいずれも選択可能となる。
「バイレベル吹出モード」
バイレベル吹出モードにおいては、フィルム状の吹出モードドア38がアクチュエータにより図16の位置に操作されるため、吹出モードドア38の開口部38h、38iによりセンタフェイス吹出開口部34、35およびフット吹出開口部36、37が両方とも、中央寄りの空気通路13、14に連通する。ここで、フット吹出開口部36、37は全開状態であり、また、センタフェイス吹出開口部34、35は全開状態より若干量絞った中間開度状態である。
【0085】
これと同時に、吹出モードドア38の開口部38g、38jによりサイドフェイス吹出開口部28〜31が左右両側の空気通路12、15にそれぞれ連通する。ここで、サイドフェイス吹出開口部28、31は全開状態であり、また、サイドフェイス吹出開口部29、30は全開状態より若干量絞った中間開度状態である。
【0086】
このとき、デフロスタ吹出開口部20〜23およびサイドフェイス吹出開口部24〜27は全閉状態にある。
ここで、バイレベル吹出モードは主に春秋の中間季節に使用されるため、冷凍サイクルが運転され、蒸発器16により各空気通路12、13、14、15の送風空気は冷却されて、冷風となった後に、この冷風の一部がヒータコア19により再加熱されて、所定温度に調整される。
【0087】
このヒータコア19による温度調整について説明すると、バイレベル吹出モードでは、通常、4つの空気通路12〜15におけるエアミックスドア17a〜17dを図17(a)、(b)に示すように車両前後方向の中間位置に操作する。
これにより、4つの空気通路12〜15において、送風ファン7a〜7dにより送風される外気(または内気)が蒸発器16で冷却されて冷風となった後に、その全量がエアミックスドア17a〜17dの車両前方側および車両後方側に形成される流路を通ってヒータコア19の下方空間および上方空間に流れ込む。
【0088】
このとき、ヒータコア19の上方空間に対応して設けられた、センタフェイス吹出開口部32、33およびサイドフェイス吹出開口部24〜27が全て閉塞されているので、ヒータコア19の上方空間に連通する吹出開口部は1つもない。
そのため、4つの空気通路12〜15において、ヒータコア19の上方空間に至った冷風は、図17(a)、(b)に示すようにヒータコア19を上方から下方へと通過して、ヒータコア19で再加熱され、温風となる。
【0089】
この温風はヒータコア19下方空間の冷風と混合して所定温度の空調風が得られる。この所定温度の空調風がセンタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31を経て車室内上方側へ吹き出す。これと同時に、ヒータコア19下方空間の空調風はフット吹出開口部36、37を経て車室内の乗員足元部に吹き出す。以上により、車室内の上下両方へ同時に空調風を吹き出して車室内の空調を行うことができる。
【0090】
図17(a)に示すように、外気側空気通路12、15では、ヒータコア19下方空間はサイドフェイス吹出開口部28〜31を経て車室内上方側へのみ空調風を吹き出す。また、内気側空気通路13、14では図17(b)に示すように、センタフェイス吹出開口部34、35およびフット吹出開口部36、37の両方から空調風を吹き出す。
【0091】
ところで、上記した作動説明から理解されるように、本実施形態によると、ヒータコア19の上方空間に連通する第1の吹出開口部(すなわち、デフロスタ開口部20〜23、サイドデフロスタ開口部24〜27およびセンタフェイス吹出開口部32、33)に対しては、ヒータコア19を下方から上方へと通過する空気を吹き出している。
【0092】
一方、ヒータコア19の下方空間に連通する第2の吹出開口部(すなわち、サイドデフロスタ開口部28〜31、センタフェイス吹出開口部34、35およびフット吹出開口部36、37)に対しては、ヒータコア19を上方から下方へと通過する空気を吹き出している。
従って、空調ケース2の上面部に設けられるデフロスタ開口部20〜23、サイドデフロスタ開口部24〜27およびセンタフェイス吹出開口部32、33に対して、大きな流路曲がりを形成することなく、ヒータコア19下方側から上方へとスムースに空気を流すことができる。同様に、空調ケース2の底面部に設けられるフット吹出開口部36、37等に対しても、ヒータコア19上方側から下方へとスムースに空気を流すことができる。その結果、通風系の圧損低減およひ送風騒音の低減を図ることができる。
【0093】
また、本実施形態によると、内外気の2層流モードを実施しないときに、複数の空気通路12〜15からの吹き出し空気を吹出モードドア38の下流側にて合流させているため、吹出モードドア38の上流側にて空気の合流を行う場合に比して、空気流れの合流に伴う圧損の増大を抑制でき、より一層の圧損低減を図ることができる。
【0094】
また、本実施形態によると、車両左右方向の中央部に配置した仕切り板10により、4つの空気通路12〜15を左右方向に2分割することができるので、右側の2つのエアミックスドア17a、17bと、左側の2つのエアミックスドア17c、17dとを、空調用制御装置200により、右側設定温度および左側設定温度に応じて、それぞれ独立に制御することにより、車室内の左右(運転席側と助手席側)領域を独立の温度に調整することができる。
【0095】
この左右独立の温度制御の手法自体は周知のものでよいため、具体的な説明は省略する。
(第2実施形態)
上記した第1実施形態によると、図17に示すように、センタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31がヒータコア19に近接した位置にあり、一方、フット吹出開口部36、37がヒータコア19をバイパスする冷風流れに近接している。このため、バイレベル吹出モード時に、フェイス吹出開口部34、35、28〜31に温風が流入しやすくなり、フット吹出開口部36、37に冷風が流入しやすくなって、フェイス吹出温度がフット吹出温度より高くなるという、上下吹出温度の逆転現象が起こることがある。
【0096】
そこで、第2実施形態では、バイレベル吹出モードにおける上下吹出温度を独立に任意に制御可能とするものである。
第1実施形態では、バイレベル吹出モード時に、中央寄りの空気通路13、14にはセンタフェイス吹出開口部34、35およびフット吹出開口部36、37を両方とも連通させ、一方、左右両側の空気通路12、15には、サイドフェイス吹出開口部28〜31のみを連通させているが、第2実施形態では、図18に示すように、中央寄りの空気通路13、14にはフット吹出開口部36、37のみを連通させて、センタフェイス吹出開口部34、35は連通させないようにする。
【0097】
すなわち、フット吹出開口部36、37は吹出モードドア38の開口部38h、38iにより中央寄りの空気通路13、14に連通し、一方、センタフェイス吹出開口部34、35は吹出モードドア38の膜部により中央寄りの空気通路13、14と遮断されるようにしている。
そして、左右の仕切り板9、11のうち、吹出モードドア38の空気流れ下流側の部位に、それぞれ連通口43、44を設けるとともに、この連通口43、44を開閉する送風路切替ドア45、46を設けている。この切替ドア45、46の作動は、図6の空調用制御装置200により図示しないアクチュエータを介して制御される。
【0098】
バイレベル吹出モード時には、吹出モードドア38の開口部38g、38jにより左右両側の空気通路12、15にサイドフェイス吹出開口部28〜31が連通するが、切替ドア45、46をバイレベル吹出モード時に図18の実線位置に操作して連通口43、44を開口することにより、センタフェイス吹出開口部34、35を連通口43、44と開口部38g、38jを介して左右両側の空気通路12、15に連通させることができる。
【0099】
従って、バイレベル吹出モード時に、フット吹出開口部36、37からの吹出空気温度を中央部のエアミックスドア17b、17cにより制御し、センタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31からの吹出空気温度を左右両側のエアミックスドア17a、17dにより制御できる。すなわち、フット側吹出温度とフェイス側吹出温度とをそれぞれ独立に制御できるので、バイレベル吹出モードにおける上下吹出温度を乗員の好みに応じた温度に任意に制御することが可能となる。
【0100】
図19はフェイス吹出モードの状態を示しており、切替ドア45、46は連通口43、44の閉塞位置に操作される。従って、左右両側の空気通路12、15には吹出モードドア38の開口部38g、38jによりサイドフェイス吹出開口部28〜31のみが連通する。
また、フット吹出開口部36、37は吹出モードドア38の膜部により中央寄りの空気通路13、14と遮断され、中央寄りの空気通路13、14には吹出モードドア38の開口部38h、38iによりセンタフェイス吹出開口部34、35が連通する。
【0101】
以上により、センタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31から車室内に空気を吹き出すことができ、第1実施形態と同様のフェイス吹出モードを実行できる。
(第3実施形態)
図20は第3実施形態であり、上記第2実施形態と同様にバイレベル吹出モードにおける上下吹出温度を独立に制御できるようにするためのものであって、左右の仕切り板9、11のうち、吹出モードドア38の空気流れ下流側に位置するフェイス用の仕切り板9a、11aを、仕切り板9、11よりも外側(空気通路12、15側)にずらして配置している。
【0102】
これにより、吹出モードドア38の空気流れ下流側の部位に、左右両側の空気通路12、15をセンタフェイス吹出開口部34、35に連通可能とする連通口43a、44aを形成している。
従って、バイレベル吹出モード時に、吹出モードドア38の開口部38g、38jにより左右両側の空気通路12、15にサイドフェイス吹出開口部28〜31が連通すると同時に、開口部38g、38jから連通口43a、44aを介して、センタフェイス吹出開口部34、35を左右両側の空気通路12、15に連通させることができる。
【0103】
その結果、上記第2実施形態と同様に、フット吹出開口部36、37からの吹出空気温度と、センタフェイス吹出開口部34、35およびサイドフェイス吹出開口部28〜31からの吹出空気温度とをそれぞれ独立に制御できる。
なお、上記第2、第3実施形態において、左右独立温度制御の必要のないときは、中央部の仕切り板10を廃止すればよい。
【0104】
(他の実施形態)
上記第1〜第3実施形態は本発明の好適な例を示すものであるが、本発明はこれに限定されることなく、以下述べるように種々な態様で実施可能である。
▲1▼上記実施形態では、吹出空気温度の調整手段として、ヒータコア19を通過する温風とヒータコア19をバイパスする冷風との風量割合を調整するエアミックスドア17a〜17dを用い、このエアミックスドアの移動により吹出空気温度を調整する方式の空調装置について説明したが、ヒータコア19に循環する温水の流量または温度を調整する温水弁を用いて吹出空気温度を調整する方式の空調装置においても、本発明は実施できる。
【0105】
▲2▼上記実施形態では、フット吹き出しモードおよびフットデフロスタ吹き出しモードにおいて内外気2層流モードが設定可能な空調装置について説明したが、この内外気2層流モードを設定しない、通常のタイプの空調装置にも本発明は同様に適用できる。
▲3▼上記実施形態では、車室内の左右(運転席側と助手席側)領域を独立に温度調整できる、いわゆる左右独立温度制御方式の空調装置について説明したが、この左右独立温度制御の機能を持たない通常のタイプの空調装置にも本発明は同様に適用できる。
【0106】
なお、上記▲2▼、▲3▼のように内外気2層流モードや左右独立温度制御を採用しない通常のタイプの空調装置では、内外気区分の仕切り板、およひ左右の通路仕切りが不要となるが、ヒータコア19を下方から上方へと通過して、デフロスタ開口部20〜23等へ流れる温風の流れと、ヒータコア19を上方から下方へと通過して、フット吹出開口部36、37等へへ流れる温風の流れとを仕切る仕切りは必要である。
【0107】
このヒータコア19部分での仕切りは、上記実施形態のように吹出空気温度の調整手段としてエアミックスドア17a〜17dを用いるタイプの空調装置では、少なくともエアミックスドア17a〜17dよりも下流側から各吹出開口部の上流に至るまで設置する必要がある。
▲4▼上記実施形態では、遠心多翼ファンからなる4個の送風ファン7a〜7dを使用しているが、これを横長の1つのクロスフローファンに置換することも可能である。
【0108】
▲5▼上記実施形態では、吹出モードドアとしてフィルム状の吹出モードドア38を使用しているが、フィルム状の吹出モードドア38の代わりに、複数枚の板状の吹出モードドアを使用できる。
▲6▼上記実施形態では、フット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードにおける最大暖房時のみにおいて、内外気2層流モードを設定しているが、フット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードには、この吹出モードの設定と連動して常時、内外気2層流モードを設定するようにしてもよい。
【0109】
▲7▼上記実施形態では、車両の前後方向に内外気切替機構3、送風ファン7a〜7d、蒸発器16、およびヒータコア19の四者を直列的に配置し、これらを空調ユニット1内に一体的に構成しているが、蒸発器16、およびヒータコア19を収容する空調ケース2を車室内の左右方向の中央部に配置し、そして、内外気切替機構3と送風ファン7a〜7dはこの中央部の空調ケース2の側方にオフセット配置する構成でもよい。
【0110】
▲8▼空調ユニット1内に蒸発器(冷房用熱交換器)16を配設しないタイプの空調装置にも同様に本発明を適用できることはもちろんである。
▲9▼上記実施形態では、車室内前部の計器盤100下方部に配置される空調ユニット1について説明したが、本発明は車室内後部に配置され、車室内後部側を空調する後部空調ユニットに対しても同様に適用できる。この後部空調ユニットでは通常、デフロスタ吹出開口部は設置されず、フェイス吹出開口部とフット吹出開口部の2種類の吹出開口部が設けられるだけであるので、ヒータコア19を通過する空気の流れ方向を、フェイス吹出開口部に向かう場合とフット吹出開口部に向かう場合とで反転させるようにする。
【0111】
また、車両における空調ユニットは、車両の形態(乗用車、商用車等の違い)により種々な姿勢で車両に搭載されるので、ヒータコア19を通過する空気の流れ方向の反転は、上記実施形態のような上下方向の反転だけに限らず、左右方向、前後方向等の反転を採用する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の概略縦断面図である。
【図2】第1実施形態の概略上面断面図である。
【図3】第1実施形態における空調ケースの吹出開口部の開口パターンを示す展開図である。
【図4】第1実施形態におけるフィルム状の吹出モードドアの開口パターンを示す展開図である。
【図5】第1実施形態の車両搭載状態を示す説明図である。
【図6】第1実施形態の電気制御ブロック図である。
【図7】第1実施形態のフット吹出モードにおける、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図8】第1実施形態のフット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードにおける、最大暖房状態のユニット内空気流れを説明する概略縦断面図である。
【図9】第1実施形態のフット吹出モードおよびフットデフロスタ吹出モードにおける、1/2暖房状態のユニット内空気流れを説明する概略縦断面図である。
【図10】第1実施形態のフットデフロスタ吹出モードにおける、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図11】第1実施形態のデフロスタ吹出モードにおける、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図12】第1実施形態のデフロスタ吹出モードにおけるユニット内空気流れを説明する概略縦断面図である。
【図13】第1実施形態のフェイス吹出モードの最大冷房時における、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図14】第1実施形態のフェイス吹出モードにおけるユニット内空気流れを説明する概略縦断面図である。
【図15】第1実施形態のフェイス吹出モードの1/2冷房時における、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図16】第1実施形態のバイレベル吹出モードにおける、空調ケースの吹出開口部とフィルム状吹出モードドアの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図17】第1実施形態のバイレベル吹出モードにおけるユニット内空気流れを説明する概略縦断面図である。
【図18】第2実施形態を示す要部の平面断面図であり、バイレベル吹出モードの状態を示す。
【図19】第2実施形態を示す要部の平面断面図であり、フェイス吹出モードの状態を示す。
【図20】第3実施形態を示す要部の平面断面図であり、バイレベル吹出モードの状態を示す。
【符号の説明】
2…空調ケース、4a、4b、4c…外気吸入口、
5a、5b、5c…内気吸入口、6a、6b、6c…内外気切替ドア、
7a〜7d…送風ファン、9、10、11…仕切り板、12〜15…空気通路、
16…蒸発器、19…ヒータコア、20〜23…デフロスタ吹出開口部、
24〜31…サイドフェイス吹出開口部、
32〜35…センターフェイス吹出開口部、36、37…フット吹出開口部、
38…フィルム状吹出モードドア、38a〜38j…開口部。
Claims (9)
- 空気通路を形成する空調ケース(2)と、
前記空気通路の一端側に配置され、空気を吸入する吸入口(4a、4b、4c、5a、5b、5c)と、
前記空気通路の他端側に配置され、車室内に空気を吹き出す複数の吹出開口部(20〜37)と、
前記吸入口から前記複数の吹出開口部(20〜37)に向かって空気を送風する送風ファン(7a〜7d)と、
前記空調ケース(2)内に収容され、前記送風ファン(7a〜7d)の送風空気を加熱する暖房用熱交換器(19)と、
前記複数の吹出開口部(20〜37)への空気流れを制御する吹出モードドア(38)とを備え、
前記暖房用熱交換器(19)は、前記空調ケース(2)内部において車両上下方向に空気が通過するように配置されており、
前記複数の吹出開口部(20〜37)には、前記暖房用熱交換器(19)よりも車両上方側に配置された第1の吹出開口部(20〜23、24〜27、32、33)と、前記暖房用熱交換器(19)よりも車両下方側に配置された第2の吹出開口部(28〜31、34、35、36、37)とが備えられており、
前記吹出モードドア(38)により前記第1の吹出開口部が開口されたときは、前記暖房用熱交換器(19)を下方から上方へ通過した空気が前記第1の吹出開口部に流れ、
前記吹出モードドア(38)により前記第2の吹出開口部が開口されたときは、前記暖房用熱交換器(19)を上方から下方へ通過した空気が前記第2の吹出開口部に流れるようになっており、
さらに、前記第1の吹出開口部と、前記第2の吹出開口部とが同時に開口する吹出モードの際に、前記暖房用熱交換器(19)を逆方向に通過する2つの空気流を仕切る仕切り板(9、11)を備えることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記第1の吹出開口部として、車両窓ガラスに向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出開口部(20〜23)を少なくとも有しており、
また、前記第2の吹出開口部として、車室内の乗員足元に空気を吹き出すフット吹出開口部(36、37)を少なくとも有していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記フット吹出開口部(36、37)および前記デフロスタ吹出開口部(20〜23)を同時に開口する吹出モードにおいて、前記フット吹出開口部(36、37)に向かって流れる空気通路(13、14)が中央寄りに形成され、前記デフロスタ吹出開口部(20〜23)に向かって流れる空気通路(12、15)が前記中央寄りの空気通路(13、14)の両側に形成されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
- 前記フット吹出開口部(36、37)および前記デフロスタ吹出開口部(20〜23)を同時に開口する吹出モードにおいて、前記フット吹出開口部(36、37)には内気が流れ、前記デフロスタ吹出開口部(20〜23)には外気が流れる内外気2層流モードを設定することを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
- 前記空調ケース(2)内を前記仕切り板(9、11)により車両左右方向において中央寄りの空気通路(13、14)と、前記中央寄りの空気通路(13、14)の左右両側に位置する両側の空気通路(12、15)とに仕切り、
前記第1の吹出開口部として、車両窓ガラスに向かって空気を吹き出すデフロスタ吹出開口部(20〜23)を少なくとも有しており、
また、前記第2の吹出開口部として、車室内の乗員足元に空気を吹き出すフット吹出開口部(36、37)、車両左右方向の中央部の乗員頭部側に空気を吹き出すセンタフェイス吹出開口部(34、35)、および車室内の左右方向両側の乗員頭部側に空気を吹き出すサイドフェイス吹出開口部(28〜31)を少なくとも有しており、
前記中央寄りの空気通路(13、14)および前記両側の空気通路(12、15)に、吹出空気温度を制御する温度制御手段(17b、17c)(17a、17d)をそれぞれ独立に備え、
車室内の上下両側に同時に空気を吹き出すバイレベル吹出モード時に、前記中央寄りの空気通路(13、14)に前記フット吹出開口部(36、37)のみを連通させ、一方、前記両側の空気通路(12、15)には前記センタフェイス吹出開口部(34、35)および前記サイドフェイス吹出開口部(28〜31)を連通させ、
前記フット吹出開口部(36、37)からの吹出空気温度および前記両フェイス吹出開口部(34、35、28〜31)からの吹出空気温度を前記両温度制御手段(17b、17c)(17a、17d)により独立に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記仕切り板(9、11)に、前記両側の空気通路(12、15)を前記中央寄りの空気通路(13、14)に連通させる連通口(43、44)、およびこの連通口(43、44)を開閉する送風路切替ドア(45、46)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
- 前記仕切り板(9、11)のうち、前記センタフェイス吹出開口部(34、35)と前記サイドフェイス吹出開口部(28〜31)との間を仕切るフェイス用の仕切り板(9a、11a)の位置を、前記両側の空気通路(12、15)側にずらして配置することにより、前記両側の空気通路(12、15)を前記吹出モードドア(38)を介して前記センタフェイス吹出開口部(34、35)に連通させる連通口(43a、44a)を形成することを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
- 前記暖房用熱交換器(19)は、車両前後方向寸法よりも車両左右方向寸法を大きくした横長形状でもって水平方向から微小角度だけ傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 前記空調ケース(2)が車室内前方の計器盤(100)部に、車両左右方向の略中央部に位置するように設置され、前記空調ケース(2)内において、車両前方側に前記送風ファン(7a〜7d)が設置され、前記送風ファン(7a〜7d)より車両後方側に空気を冷却する冷房用熱交換器(16)が設置されており、前記送風ファン(7a〜7d)の作動により前記空調ケース(2)内の空気通路を、前記冷房用熱交換器(16)から前記暖房用熱交換器(17)の順に、車両前方から車両後方側へ向かって空気が流れることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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