JP3993278B2 - 制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の振動を減衰させるための制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震などによって構造物に発生する振動を抑制するための同調質量型制振機構として、振り子形式のものが提案され実用化されている。
例えば、構造物の振動に同調移動する振り子形振動体(単に「振り子」ともいう)と構造物との間に変位方向に作用するバネやダンパーを接続して設けたものなどが知られている。
また、長周期のものを得るのに吊り部材を多段に設けて吊り長さを短くする工夫がなされたもの等も実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来使用されているこの形式の制振機構は、製作コスト、装置規模などを考慮した場合、構造物の規模により適用できる範囲が限られてくる。
なぜなら、振り子の周期(単振り子)を微少振幅においてだけ考えた場合、周期は吊り長さだけに依存するためである。
【0004】
そのため固有周期の長い高層の構造物に振り子形式のものを用いようとすると当然吊り長さは長くなる。
このことは装置の巨大化を意味し、装置の設置スペース、製作コストの面からも実用的でない。
【0005】
また、固有周期が特に短い構造物に適用しようとする場合、振り子の吊り長さは短くなり装置としては小規模なもので済むが、振り子は振幅の増大に伴い長周期化する非線形系であり、有効なストローク範囲が限られてしまうといった問題が生じる。
【0006】
また、従来の振り子形式の制振機構は、装置として得られる周期が固定的であり、可変にすることが難しい。
本発明は、上述した従来の問題に鑑み、長周期用の振り子形式の制振装置をコンパクトに構成すること、長周期にも短周期にも対応可能な装置を得ることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明においては、上部側から吊るした安定振り子と、この安定振り子に対し、垂直方向には変位自由に且つ水平方向には連動変位するよう連結し、構造物の下部から立ち上げた倒立の不安定振り子とにより、制振機構を構成した制振装置において、前記安定振り子と前記不安定振り子との間に、バネ、ダンパー又は駆動系の何れかを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記安定振り子又は不安定振り子の何れか一方を外側に、その他方を内側に配置し、前記安定及び不安定振り子をそれぞれ自在継手を介し振れ方向自由に支持した。
【0009】
また、前記安定振り子を構造物の振動に対応して振動方向へ移動させる駆動系を備えた。
【0010】
また、前記構造物を、エレベータコア等の固定構造部と、この固定構造部に対し振動可能に設けた2つの構造物ブロックとにより構成し、前記2つの構造物ブロックをそれぞれの振り子マスとして安定振り子及び不安定振り子を構成した。
【0011】
〔作用〕
本発明では、構造物に生じる振動により、安定・不安定振り子が、連動して振れ位置に変位したとき、安定振り子は、元の静止位置に戻ろうと作用する。
それに対して、倒立の不安定振り子の質量は、反対方向に作用して安定振り子の動きを遅らせる働きをする。
【0012】
また、安定振り子の振幅の大きさに応じて、不安定振り子の質量による反力が比例的に変動して作用し、この作用によって、吊り長さの短い装置で周期の長い振り子を実現できる。
また、安定・不安定振り子機構の質量比と、吊り長さ、立上げ長さを適宜に選定することにより、短周期にも長周期にも対応可能な振り子形式による制振が可能になる。
【0013】
振り子機構の取付けとチューニングは、振り子機構を設置現場へ持ち込み、振り子アーム長さを調節して、振り子機構の周期を建物の振動数と合わせセットするだけでよい。
振り子機構の振動数調整は、比較的小さな錘の付け変えにより、安定振り子と不安定振り子の質量比を変えることでも可能である。
【0014】
また、安定・不安定振り子を外・内に配置し、自在継手で支持すると、この振り子形制振装置を構造物の全方位の振動に対応させることができる。
また、構造物の振動に応じて、安定振り子を振動方向へ送り駆動することで、アクティブな制振を行うことができる。
【0015】
また、安定振り子と不安定振り子との間に、駆動系を備えることで、駆動系を小型に簡易に構成し得る。
また、安定振り子と不安定振り子との間に、バネ系を備えることで、この構成の振り子機構の幾何学的非線形性を改善できる。
【0016】
また、別個に振動可能に設けた構造物ブロックを振り子マスとし、固定構造部側及び基礎部側に安定・不安定振り子を設けることにより、構造物自身の重量を有効に制振作用に利用し、構造物に発生する激しい振動を減衰し、抑制できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕
図1〜図4は本発明の第1実施例を示し、図1は制振装置の正面図、図2は図1のII−II矢視の横断面図、図3は図1のIII−III矢視の拡大平面図、図4は図3のIV部の拡大斜視図である。
【0018】
図1において、1は制振装置、2は制振装置1を支持する補強枠である。
制振装置1は、補強枠2の上部側に吊るして設けた振り子3(これを安定振り子という)と、補強枠2の下部側に倒立して設けた振り子4(これを不安定振り子という)と、両振り子3及び4の隣り合う端部を垂直方向に移動自由に且つ垂直方向に連動可能に連結する連結手段5とにより構成している。
【0019】
補強枠2の大きさは、一例として高さhが86cm、厚さd(図2)が26cm、幅bが160cm程度に構成できる。
安定振り子3は、補強枠2の上部側に軸6aで連結した2本のアーム7aと、各アーム7aの下端に軸8aで連結した所要質量のマス9aとにより構成している。
【0020】
不安定振り子4は、補強枠2の下部側に軸6bで連結した2本のアーム7bと、各アーム7bの上端に軸8bで連結した所要質量のマス9bとにより構成している。
各アーム7a,7bは取付け現場で振り子の振動数調整ができるように、ネジ伸縮式などの構成で、長さ調節可能にすることが望ましい。
【0021】
また、連結手段5は、安定・不安定振り子3及び4の各アーム7a,7bを相互に平行に維持した状態下で両者を垂直方向には変位自在に且つ水平方向には連動変位するよう連結している。
図2において、安定振り子3のアーム7aは、補強枠2の厚さ方向の中央に軸6aで連結して設け、マス9aは、このアーム7aを挟んでU断面に構成し、内底部をアーム7aの下端に軸8aで連結して支持している。
なお、不安定振り子4は、安定振り子3と同様の構成で倒立状態に設けている。
【0022】
図3及び図4において、連結手段5は、隣り合うマス9a,9bの一方の対向端面に縦に固定した2本の溝付きリニア軌道10と、他方のマスの対向面に固定されてリニア軌道10の溝部と直列のローラベアリングを介して係合するスライドブロック11とにより構成している。
なお、安定振り子3及び不安定振り子4は、他の任意の形状に構成してよいものである。
【0023】
上記構成を有する本実施例の制振装置の作用効果について説明する。
図5(a)、図5(b)は、図1に示した機構の静止時と変形時の状態を示す概略正面図である。
【0024】
図5(a)、図5(b)において、安定振り子3のマス9aの質量をMs、マス9aの吊り長さをLs、不安定振り子4のマス9bの質量をMu、マス9bの立上げ長さをLu、水平変位方向をx、基礎部絶対加速度を(d2x0/dt2)と定義する。この機構の運動方程式を(1)式に示す。
【0025】
【数1】
【0026】
(1)式をみると、(d2x/dt2)に掛かる質量項がxの、またxに掛かる剛性項がx並びに(dx/dt)の関数になっており、このことは、本機構が時々刻々、非線形に周期の変わる機構であることがわかる。
次に、本機構の微少振幅時について求めた振動方程式が(2)式である。(2)式は、(1)式の質量項と剛性項のxと(dx/dt)の2次以上の高次項を無視したものである。
【0027】
【数2】
【0028】
更に、この(2)式から求めた本機構の微少振幅時における周期T0を(3)式に示す。
【0029】
【数3】
【0030】
これに対して、単振り子の微少振幅時の周期Tsが(4)式である。
【0031】
【数4】
【0032】
(4)式に示す単振り子の微少振幅時の周期Tsが振り子の吊り長さL0だけに依存するのに対して、(3)式に示す本機構の周期T0は、安定振り子3の質量Ms、不安定振り子4の質量Mu、並びに安定振り子3の吊り長さLs、不安定振り子4の立上げ長さLuにより任意にとることが可能である。
また、(3)式と(4)式を等置したものが(5)式である。
【0033】
【数5】
【0034】
(5)式は、吊り長さLuの単振り子の周期Tsを本機構で実現するためのLs、Lu、Ms/Muの組み合わせを決定する式であり、この(5)式による計算例を表したものが図6の設計図表である。
この設計図表は、振り子のマスの質量比Ms/Mu=1,2,3,4のものに付いて示している。
【0035】
図6の設計図表で、0<Ls/L0<1、0<Lu/L0<1の領域が単振り子を用いたものよりも本機構を用いることによってコンパクトな装置の実現が可能な領域である。
【0036】
次に、図1〜図4に示した機構の模型により行った実証実験の内容を示す。
模型装置の大きさは、補強梁2を高さ86cm、厚さ26cm、幅160cm、安定振り子3の吊り長さLSを単振り子の微少振幅時の周期Ts=1秒の吊り長さL0とほぼ等しい25cmとして、両振り子の質量比Ms/Mu、並びに不安定振り子4の立ち上げ長さLuを変えることにより、2秒、3秒、4秒の周期を実現するものとした。
【0037】
【表1】
【0038】
表1は、模型装置の周期決定に用いたパラメータである。
表1では、安定振り子3の吊り長さをLu=25cm、質量をMs=34kgの一定値とし、(5)式により、目標周期2.00秒、3.00秒、4.00秒に近い周期を得るに必要な不安定振り子4の立上げ長さLu、質量Mu及び質量比Ms/Muの6例(▲1▼〜▲6▼)の組合わせを求めた。
【0039】
実験では、表1の諸元で構成した振り子機構(制振装置)を使用し、自由振動試験下で制振装置の水平方向変位波形の計測を行った。
図7(a)、図7(b)、図7(c)は、前記表1の、No.▲1▼、▲3▼、▲5▼の構成になる振り子機構の自由振動試験下で計測した制振装置の水平方向変位波形である。
【0040】
図7(a)〜図7(c)から、本発明の振り子機構が、両振り子の質量比Ms/Mu、安定振り子の吊り長さLs、並びに不安定振り子の立ち上げ長さLuを変えることによって、微少振動時の長い周期に対応できることが明らかである。
【0041】
上述した制振機構によると、装置の構成が単純になり、装置1の大きさが著しくコンパクトになり、構造物の規模に装置を適応し易くなり、固定された装置で長周期の振動にも、短周期の振動にも、振り子の吊り長さLs、立上げ長さLuの調節だけで対応できる効果が得られる。
【0042】
また、構造物への取り付けは、振り子3,4の各アーム7a、立上げアーム7b長さの調節により、振り子機構の周期を構造物の振動数に合わせてセットするだけで良くなる。
【0043】
〔実施例2〕
図8、図9は本発明の第二実施例を示し、図8は制振装置の正面図、図9は図8のX−X矢視の平面図である。
この実施例は、安定振り子3を外側に配置し、不安定振り子4を安定振り子3の内側に配置して設けた場合である。
【0044】
逆に、安定振り子3を内側に、不安定振り子4を外側に配置して構成することもできる。
図8、図9において、19aは四角筒断面に形成した安定振り子3のマス、19bは四角断面に形成し、マス19a内に配置した不安定振り子4のマス、15は外側マス19aの内面と、内側マス19bの外面に係合可能に、何れかのマス側に固定して設けたリニアボールベアリング型の連結手段である。
【0045】
連結手段15は外側マス19aと内側マス19bを相互に垂直方向には移動自由に且つ水平方向には連動するよう連結している。
17aは外側マス19aを補強枠2の上部へ自在継手16a及び18aで接続し支持した平行な複数本の吊りアーム、17bは内側マス19bを補強枠2の上部へ自在継手16b及び18bで接続し支持した平行な複数本の立上げアームである。
【0046】
20は構造物のX、Y方向の特性が多少異なる場合に、必要に応じX、Y何れか一方向に、外側マス19a側面と補強枠2の側部間に接続して設けるコイルバネである。
外側マス19a及び内側マス19bは、四角断面のほか任意の形状の断面とすることができる。
【0047】
上記構成を有する本実施例の制振装置の作用効果について説明する。
この構成の振り子機構は、安定振り子3と不安定振り子4が、垂直方向には相対移動しながら、水平方向には全方位方向へ連動して振動できる。
従って、振り子機構が、構造物の全方位方向の振動に対して対応できるようになり、高層の鉄塔や煙突構造などX,Y方向のサイズのほぼ等しい構造物の全方向の制振を1台の制振装置で抑制することが可能となる。
【0048】
また、構造物のX,Y方向の特性が多少異なる場合でも、図8に示すようにX,Y何れか一方向に必要な強さのコイルバネ20を追設することで、X,Y両方向の制振に対応可能である。
【0049】
〔実施例3〕
図10、図11は本発明の第三実施例を示し、図10は制振装置の正面図、図11は図10のXII−XII矢視の側面図である。
この実施例は、第一実施例の振り子制振機構に、構造物の振動に応じて、振り子機構を振動変位方向へ送り移動する駆動系を付加して構成したものである。
【0050】
図10、図11において、21は安定振り子3のマス9aの中央下面に固定して設けた突出部材、22は突出部材21の下位の補強枠2上に軸受23により支持して安定振り子3の振動方向沿いに水平配置したボールネジ、24はボールネジ22にナットを介して螺合い係合し且つ上部を前記突出部材21まわりに緩く嵌合して設けた送り部材、25はボールネジの駆動モータ、26は補強枠2上に設けた構造物の振動量検出器、27は振動量検出器26からの信号により構造物の振動に応じた速さでボールネジの駆動モータ24を駆動する制御部である。
【0051】
送り移動駆動系には、上記ボールネジによる駆動機構のほか、スプロケットチェンによる駆動機構など、他の既知の駆動機構を用いて良い。
また、この送り移動駆動系は、第二実施例型の振り子制振機構に対しても、適用可能である。
【0052】
上記構成を有する本実施例の制振装置の作用効果について説明する。
この実施例では、検出器26により構造物の振動量を検出し、送り移動駆動系21〜27を介し、構造物の振動に応じて振り子制振装置を振動駆動するから、振り子機構の自然の応動を助け、より敏速に高精度の制振作用を得ることが可能になる。
【0053】
〔実施例4〕
図12は本発明の第四実施例を示す制振装置の正面図である。
この実施例は、第三実施例で示した送り移動駆動系21〜27に代えて、マス9aと9bの間に縦方向の駆動手段30を設けた場合を示す。
【0054】
縦方向の駆動手段30は一方のマス9b上に他方のマス9a側へ張出して設けたブラケット28と、ブラケット28の先端と他方のマス9a上面との間に縦方向に設けたアクチュエータ29とで構成している。
【0055】
上記構成を有する本実施例の制振装置の作用効果について説明する。
構造物2に振動が発生したとき、その振動に応じて、アクチュエータ29を伸縮駆動し、安定・不安定振り子3,4のマス9a、9bを同調加振することにより、構造物2側の振動が抑制される。
【0056】
この構成によると、アクチュエータ29の駆動ストロークが小さくなり、小さい加振速度でマス9a,9bに必要な振動を与えることが可能である。
また、マス送り駆動装置がよりコンパクトになる効果がある。
【0057】
〔実施例5〕
図13は本発明の第五実施例を示す制振装置の正面図である。
この実施例は、第四実施例で示したアクチュエータ29に代えて、安定振り子3と不安定振り子4との間に、縦方向にバネ31a、ダンパー31b等のバネ系31を設けて構成した場合である。
【0058】
前記した振り子機構の最大変位は、安定振り子3と不安定振り子4のアーム長さのうち、より短い方の長さで規定される。
しかし、振り子の変位が最大変位以下の場合でも、機構の質量とアームの長さの組み合わせ次第では、ある一定以上の変形が発生すると、機構の幾何学的非線形性のために、機構全体として不安定になり、振り子が原点に復帰できなくなる場合がある。
また、このように不安定にはならずとも機構の動特性が変化し、意図した振動抑制効果が得られなくなる可能性がある。
【0059】
この第五実施例では、安定振り子3と不安定振り子4との間に、ローラ支承型の連結部5とともにバネ系31を設置することで、本機構の幾何学的非線形性を改善することができる。
すなわち、ローラ支承型の連結部5とバネ系31とを設置した安定・不安定振り子機構の振動方程式は、次の(6)式として得られる。
【0060】
【数6】
【0061】
表1で示す「モデル▲3▼」を対象として、この(6)式を用い、バネ定数(k=0,0.1,0.5,1.0[kg/cm])のバネ31aを設置した場合について、数値シュミレーションを行った結果を図14に示す。
適当なバネを設定することにより、本機構の幾何学的非線形性が改善されることが判り、この機構の制振作用を高める効果がもたらされる。
【0062】
〔実施例6〕
図15は本発明の第六実施例を示す制振装置の正面図である。
この実施例は、制振すべき構造物全体32を、エレベータ・コア部等からなる固定構造部33と、この固定構造部33に対して振動可能に上下2個に分割した上層階構造物ブロック34と、下層階構造物ブロック35とにより構成し、上層階構造物ブロック34及び下層階構造物ブロック35をマス9a及び9bとして利用し、固定構造部33側及び基礎36側にそれぞれアーム7a及び7bを介し軸6a,8a,6b,8bで連結し、安定振り子3及び不安定振り子4を構成している。
【0063】
37は相互に間隙をおいて嵌まり合うよう上層階・下層階構造物ブロック34,35に設けた凹凸嵌合部、38は凹凸嵌合部37の対向する垂直面間に介装した垂直方向に相対移動可能で、且つ水平方向に連動可能な連結部である。
連結部38には、第一実施例と同様な構成、あるいは積層ゴム等の縦方向の可撓手段に水平方向のストッパーを併用したもの等を使用することができる。
【0064】
上記構成を有する本実施例の制振装置の作用効果について説明する。
本実施例では、地震等による構造物32の振動は、エレベータ・コア部等からなる固定構造部33に発生し、この固定構造部33の振動とともに、構造物の上層階構造物ブロック34及び下層階構造物ブロック35をマスとする安定振り子3及び不安定振り子4が連動して振動することにより、構造物32全体の振動が減衰され、抑制される。
【0065】
このとき、安定振り子3、不安定振り子4の、各大重量の上層階・下層階構造物ブロック34,35をマスとする振り子作用によって、構造物に発生する激しい振動が吸収され、抑制される効果が得られる。
また、この構成は、構造物32が細長い矩形断面の場合は、幅方向に振り子機構を構成し、又構造物32が正方形に近い断面の場合は、x軸方向及びy軸方向の両方向に振れ動き可能な振り子機構として構成することが可能である。
また、固定構造部33、上層階構造物ブロック34及び下層階構造物ブロック35は、他の適当な区分で分けて構成してよいものである。
【0066】
〔実施例7〕
図16は本発明の第七実施例を示す制振装置の正面図である。
この実施例は、第六実施例のように、構造物ブロックを振り子機構のマスとして利用する場合に、構造物ブロックを、構造物32の外壁構造物ブロック43と、内部構造物ブロック44とに区分し、これをマスとして振り子機構を構成したものである。
【0067】
外壁構造物ブロック43は、外壁と外壁を支持する柱・梁部分等を含む一体構造体とし、内部構造物ブロック44は、エレベータ・コア等の固定構造部33を除く構造物32の他の内部構造全体を含む一体構造体とし、外壁構造物ブロック43と内部構造物ブロック44の間は、第六実施例と同様な連結部38を用いて相互を縦方向には相対移動可能に、且つ水平方向には連動移動可能に連結する。
【0068】
また、外壁構造物ブロック43と内部構造物ブロック44の間隙は、可撓性のコーキング剤等により上下方向に可動にシールを行う。
この構成では、地震等による構造物32の振動は、固定構造部33に発生し、この固定構造部33の振動とともに、外壁構造物ブロック43及び内部構造物ブロック44をマスとする安定振り子3及び不安定振り子4が連動して振動することにより、構造物32全体の振動が抑制される。
他の作用・効果は、第六実施例(図15)の場合と同様である。
【0069】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて具体的に説明したように、本発明の請求項1に係る制振装置は、構造物の上部側から吊るした安定振り子と、この安定振り子に対し、垂直方向には変位自由に且つ水平方向には連動変位するよう連結し、構造物の下部から立ち上げた倒立の不安定振り子とにより構成したことによって、単純な構成で、長周期の振動にも、短周期の振動にも対応できる利用し易いコンパクトな制振装置を提供する効果を奏する他、安定振り子と不安定振り子との間に、バネ、ダンパー等のバネ系を併用設置することによって、この振り子機構に存在する幾何学的非線形性を改善し、本装置による振動抑制作用を有効に機能させる効果を奏する。
【0070】
また、本発明の請求項2に係る制振装置は、前記請求項1において、安定又は不安定振り子の何れか一方を外側に、その他方を内側に配置し、安定及び不安定振り子をそれぞれ自在継手を介し振れ方向自由に支持したことによって、高層の鉄塔や煙突構造など横方向のサイズのほぼ等しい構造物の全方向の振動を1台の装置で抑制する効果を奏する。
また、本発明の請求項3に係る制振装置は、請求項1又は2において、前記安定振り子を構造物の振動に対応して振動方向へ移動させる駆動系を備えることにより、この形式の装置を使用し、より敏速に高精度の制振作用を得る効果を奏する。
【0071】
更に、前記安定振り子と不安定振り子との間に、縦に駆動系を備えれば、駆動ストロークを小さくし、駆動装置を小型化する効果を奏する。
【0072】
また、本発明の請求項4に係る制振装置は、請求項1又は2において、制振すべき構造物を、固定構造部と、この固定構造部に対し振動可能な2つの構造物ブロックにより構成し、この構造物ブロックをそれぞれの振り子マスとして、安定振り子、不安定振り子を構成することによって、構造物自体を制振構造化し、構造物に発生する激しい振動を効果的に減衰し、抑制する装置を提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図2】図1のII−II矢視の横断面図である。
【図3】図1のIII−III矢視の拡大平面図である。
【図4】図3のIV部の拡大斜視図である。
【図5】図5(a)は制振機構の静止状態の正面図、図5(b)は制振機構の変位状態の正面図である。
【図6】本発明の機構を微少振幅時の周期に適用する試験の設計図表である。
【図7】図7(a)、図7(b)、図7(c)は、不安定振り子の立ち上げ長さを変更し自由振動試験で計測した3例の振り子機構の水平方向変位波形グラフである。
【図8】本発明の第二実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図9】図8のX−X矢視の平面図である。
【図10】本発明の第三実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図11】図10のXII−XII矢視の側面図である。
【図12】本発明の第四実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図13】本発明の第五実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図14】第五実施例の振動方程式を用い、モデル▲3▼に付いて行った数値シュミレーションの結果を示すグラフである。
【図15】本発明の第六実施例にかかる制振装置の正面図である。
【図16】本発明の第七実施例にかかる制振装置の正面図である
【符号の説明】
1 制振装置
2 補強枠
3 安定振り子
4 不安定振り子
5,15 連結手段
6a,6b 連結軸
7a,7b アーム
8a,8b 連結軸
9a,9b マス
10 リニア軌道
11 リニアボールベアリング
Ls 安定振り子の吊り長さ
Lu 不安定振り子の立上げ長さ
Ms 安定振り子のマスの質量
Mu 不安定振り子のマスの質量
x 振り子のマスの水平方向変位
16a,16b,18a,18b 自在継手
19a 外側マス
19b 内側マス
20 コイルバネ
21 突出部材
22 ボールネジ
23 軸受
24 送り部材
25 モータ
26 振動量検出器
27 送り駆動系の制御部
28 ブラケット
29 アクチュエータ
30 縦方向の駆動手段
31 バネ系
31a バネ
31b ダンパー
32 制振すべき構造物
33 固定構造部
34 上層階構造物ブロック
35 下層階構造物ブロック
36 基礎部
37 凹凸嵌合部
38 連結部
43 外壁構造物ブロック
44 内部構造物ブロック
Claims (4)
- 構造物の上部側から吊るした安定振り子と、この安定振り子に対し、垂直方向には変位自由に且つ水平方向には連動変位するよう連結し、構造物の下部から立ち上げた倒立の不安定振り子とにより構成した制振装置において、前記安定振り子と前記不安定振り子との間に、バネ、ダンパー又は駆動系の何れかを備えたことを特徴とする制振装置。
- 前記安定振り子又は不安定振り子の何れか一方を外側に、その他方を内側に配置し、前記安定振り子及び不安定振り子をそれぞれ自在継手を介し振れ方向自由に支持したことを特徴とする請求項1記載の制振装置。
- 前記安定振り子を構造物の振動に対応して振動方向へ移動させる駆動系を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の制振装置。
- 前記構造物を、エレベータコア等の固定構造部と、この固定構造部に対し振動可能に設けた2つの構造物ブロックとにより構成し、前記2つの構造物ブロックをそれぞれの振り子マスとして安定振り子及び不安定振り子を構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の制振装置。
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