JP2001271869A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP2001271869A
JP2001271869A JP2000084900A JP2000084900A JP2001271869A JP 2001271869 A JP2001271869 A JP 2001271869A JP 2000084900 A JP2000084900 A JP 2000084900A JP 2000084900 A JP2000084900 A JP 2000084900A JP 2001271869 A JP2001271869 A JP 2001271869A
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vibration damping
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vibration
force
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Mitsuru Kageyama
満 蔭山
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Obayashi Corp
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Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振力を導入するためのアクチュエータとは
別に、制振対象物の重量を支持するために相当の剛性を
備えることが要求される弾性体を弾性変形させる補助的
な制振力を導入して、アクチュエータに必要とされる能
力を小さくすることができる制振装置を提供する。 【解決手段】 基礎2と基礎上方の構造物4との間に、
上下制振装置8用の空気バネ12および水平制振装置7
用の積層ゴム9を設ける。空気バネおよび積層ゴムそれ
ぞれに対して並列に、基礎の上下・水平振動に応答して
上下方向・水平方向の油圧シリンダ20,21の制振力
作用方向に制振補助力を導入するために、構造物と基礎
との間に形成される水平・上下方向隙間C,Vに圧縮状
態で配置され、これら構造物と基礎との上下・水平相対
移動で自然長に復元すべく伸長して各油圧シリンダそれ
ぞれの制振力作用方向に弾発力を発生する上下・水平弾
性バネ10,13を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制振装置に係り、特
に制振に必要とされる制振力を軽減することができる制
振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】制振装置は、地盤や床などの振動が入力
されるベースと、このベース上に設置される建物や精密
機器、その他の振動を嫌う設備や装置、物品などの制振
対象物との間に、弾性体および制振用のアクチュエータ
を設けて構成されている。制振装置は一般に、振動が入
力されてベースが移動しても制振対象物を同じ位置で静
止状態に維持すべく、制振対象物に対するベースの相対
移動量で、当該ベースの移動方向とは逆向きに制振対象
物を移動させるようになっている。この際、ベースに反
力をとって制振対象物を移動させるアクチュエータの駆
動力が制振力となる。そして上記弾性体は、アクチュエ
ータによるこのような制振対象物とベースとの相対移動
を許容するようになっていて、当該アクチュエータの制
振力によって強制的に弾性変形されることになる。
【0003】弾性体としては、水平振動を制振する場合
には積層ゴムなど、また上下振動を制振する場合にはコ
イルバネや空気バネなどに代表される各種のものが採用
され得る。そしてさらに、これら水平制振用と上下制振
用の弾性体を水平用および上下用のアクチュエータに組
み合わせることで、三次元制振を行うことが考えられ
る。そしてこれら弾性体は水平制振用、上下制振用のい
ずれにあっても、ベースと制振対象物との間の相対移動
を許容する目的から、ベース上に制振対象物の重量を支
持する状態で設置されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の制振装置、例え
ば水平制振用の装置にあっては、上述したように弾性体
が制振対象物の重量を支持している状態で弾性変形する
ことが求められる。ところで、弾性体に制振対象物の重
量を安定的に支持させるためには、当該弾性体には相当
の硬さ(剛性)が必要である。他方で、弾性体はベース
と制振対象物との相対移動を許容するために、アクチュ
エータによる制振力で柔軟に弾性変形される必要があ
る。従って、制振対象物を支持するために必要な弾性体
の硬さ(剛性)のために、アクチュエータには弾性体の
この硬さ(剛性)に打ち勝つ大きな駆動力が必要になっ
てしまうという課題があった。
【0005】このような課題は空気バネやコイルバネな
どの弾性体を用いた上下免振用の装置にあっても同様で
あって、特に上下制振の場合には制振対象物の重量を支
持する方向と、弾性変形する方向とが同一方向であるた
め、水平制振以上にアクチュエータの動力を要するとい
う課題があった。このため、きわめて大きな重量を備え
る大型構造物に対しては、水平・上下の二次元制振、並
びに三次元制振を実現することはきわめて困難であっ
た。
【0006】本発明は上記課題に鑑みて創案されたもの
であって、制振力を導入するためのアクチュエータとは
別に、制振対象物の重量を支持するために相当の剛性を
備えることが要求される弾性体を弾性変形させる補助的
な制振力を導入して、アクチュエータに必要とされる能
力を小さくすることができる制振装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる制振装置
は、振動が入力されるベースと該ベース上方の制振対象
物との間に、該制振対象物を該ベースに対して水平相対
移動可能に弾性支持する水平方向弾性体および該制振対
象物に水平方向の制振力を作用させる水平方向アクチュ
エータを設けた制振装置において、上記水平方向弾性体
に対して並列に、上記ベースの水平振動に応答して上記
水平方向アクチュエータの制振力作用方向に制振補助力
を導入する水平方向加力手段を設けたことを特徴とす
る。
【0008】また、前記制振対象物と前記ベースとの間
に、前記制振対象物を前記ベースに対して上下相対移動
可能に弾性支持する上下方向弾性体を前記水平方向弾性
体に対して直列に設けるとともに、該制振対象物に上下
方向の制振力を作用させる上下方向アクチュエータを設
けたことを特徴とする。
【0009】また、前記上下方向弾性体に対して並列
に、前記ベースの上下振動に応答して上記上下方向アク
チュエータの制振力作用方向に制振補助力を導入する上
下方向加力手段を設けたことを特徴とする。
【0010】また、前記制振対象物と前記ベースとの間
に、前記水平方向弾性体とともに前記制振対象物を前記
ベースに対して上下相対移動可能に弾性支持する上下方
向弾性体を、当該水平方向弾性体に対して並列に設ける
とともに、該制振対象物に上下方向の制振力を作用させ
る上下方向アクチュエータを設けたことを特徴とする。
【0011】また、前記上下方向弾性体に対して並列
に、前記ベースの上下振動に応答して上記上下方向アク
チュエータの制振力作用方向に制振補助力を導入する上
下方向加力手段を設けたことを特徴とする。
【0012】また、前記水平方向加力手段が、前記制振
対象物と前記ベースとの間に形成される上下方向隙間に
圧縮状態で配置され、これら制振対象物とベースとの水
平相対移動で自然長に復元すべく伸長して前記水平方向
アクチュエータの制振力作用方向に弾発力を発生する水
平方向付勢手段であることを特徴とする。
【0013】また、前記上下方向加力手段が、前記制振
対象物と前記ベースとの間に形成される水平方向隙間に
圧縮状態で配置され、これら制振対象物とベースとの上
下相対移動で自然長に復元すべく伸長して前記上下方向
アクチュエータの制振力作用方向に弾発力を発生する上
下方向付勢手段であることを特徴とする。
【0014】また、振動が入力されるベースと該ベース
上方の制振対象物との間に、該制振対象物を該ベースに
対して上下相対移動可能に弾性支持する上下方向弾性体
および該制振対象物に上下方向の制振力を作用させる上
下方向アクチュエータを設けた制振装置において、上記
上下方向弾性体に対して並列に、上記ベースの上下振動
に応答して上記上下方向アクチュエータの制振力作用方
向に制振補助力を導入する上下方向加力手段を設けたこ
とを特徴とする。
【0015】さらに、前記制振対象物と前記ベースとの
間に該ベースに対する該制振対象物の上下相対移動を案
内するガイド手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1および図
2には本発明にかかる制振装置の実施形態として、三次
元制振装置1が例示されている。上下振動成分および水
平振動成分を含む地震動などの振動が入力されるベース
としての鉄筋コンクリート製の基礎2の上方には、鉄筋
コンクリート製の上部基礎3が構築されるとともに、こ
の上部基礎3の上方には制振対象物としての構造物4が
構築され、この構造物4は上部基礎3を介して基礎2上
に設けられる。上部基礎3は、構造物4の下部を取り囲
むようにその外周縁部に周方向に沿って環状に縦壁5が
立設されて、皿状に形成される。また基礎2には、これ
より立ち上げて上部基礎3を前後左右から取り囲みつつ
縦壁5の外周壁面に水平方向から相対向する鉄筋コンク
リート製の突起6が複数構築される。これら基礎2と上
部基礎3との間には、構造物4および上部基礎3の重量
を支持しつつ水平振動を制振するための水平制振装置7
が設けられるとともに、上部基礎3と構造物4との間に
は、構造物4の重量を支持しつつ上下振動を制振するた
めの上下制振装置8が設けられる。従ってこの実施形態
では、上下制振装置8と水平制振装置7とが上下方向に
直列に設けられている。
【0017】水平制振装置7は主に、基礎2と構造物側
となる上部基礎3との間の上下方向隙間Vに互いに間隔
を隔てて複数設けられる水平方向弾性体、例えば積層ゴ
ム9と、この積層ゴム9に隣接させて上下方向隙間Vに
互いに間隔を隔てて複数設けられる、後述する水平方向
加力手段としての水平方向付勢手段、例えばコイルバネ
などの水平弾性バネ10と、基礎2の各突起6と上部基
礎3の縦壁5の外周壁面との間に上部基礎3を前後左右
から取り囲むように複数設けられ、上部基礎3に水平方
向の制振力を作用させる水平方向アクチュエータ、例え
ば油圧シリンダ20とから構成される。積層ゴム9は、
その上下端部がそれぞれ上部基礎3および基礎2に一体
的に固定して設けられ、構造物4の重量を負担した状態
で構造物側の上部基礎3を基礎2に対して水平相対移動
可能に弾性支持している。また油圧シリンダ20はその
両端が突起6と縦壁5に結合され、水平振動する基礎2
に対して上部基礎3を一定位置で静止状態に維持すべ
く、構造物側である上部基礎3に対する基礎2の水平移
動量に相当する変位で上部基礎3を水平移動させるため
に、これら突起6と縦壁5との間で伸縮駆動される。ま
た、図1および図2には図示しないけれども、基礎2と
上部基礎3との間には、これら両者の水平相対移動によ
って作動されて水平振動を減衰する油圧ダンパなどの水
平方向減衰手段11が設けられる。
【0018】他方、上下免振装置9は主に、構造物4と
基礎側となる上部基礎3との間の上下方向隙間Wに互い
に間隔を隔てて複数設けられる上下方向弾性体、例えば
皿バネやコイルバネ、空気バネ12と、上部基礎3の縦
壁5の内周壁面と構造物4の側面との間の水平方向隙間
Cに構造物4を前後左右から取り囲むように互いに間隔
を隔てて複数設けられる、後述する上下方向加力手段と
しての上下方向付勢手段、例えばコイルバネなどの上下
弾性バネ13と、空気バネ12に隣接させて上下方向隙
間Wに互いに間隔を隔てて複数設けられ、構造物4に上
下方向の制振力を作用させる上下方向アクチュエータ、
例えば油圧シリンダ21とから構成される。空気バネ1
2は、その上下端部がそれぞれ上部基礎3および構造物
4に一体的に固定して設けられ、構造物4の重量を負担
した状態で構造物4を基礎側の上部基礎3に対して上下
相対移動可能に弾性支持している。また油圧シリンダ2
1はその両端が構造物4と上部基礎3に結合され、上下
振動する上部基礎3に対して構造物4を一定高さ位置で
静止状態に維持すべく、基礎側である上部基礎3の構造
物4に対する上下移動量に相当する変位で構造物4を上
下移動させるために、これら上部基礎3と構造物4との
間で伸縮駆動される。また、構造物4と上部基礎3との
間には、これら両者の上下相対移動によって作動されて
上下振動を減衰する油圧ダンパなどの上下方向減衰手段
14が設けられる。
【0019】さらに図示するように、基礎2や上部基礎
3、構造物4の適宜箇所には、上下・水平制振用の油圧
シリンダ20,21の駆動を制御するために、これら基
礎2、上部基礎3および構造物4の振動状態を検出する
変位センサや速度センサ、加速度センサなどの検出手段
22が配設され、これら検出手段22からの検出信号
は、油圧シリンダ20,21の制御量を決定する図示し
ない制御手段に入力されるようになっていて、これによ
り三次元制振が達成されるようになっている。
【0020】他方、構造物4と基礎側の上部基礎3との
間には、構造物4を前後左右から取り囲むようにして、
上部基礎3に対する構造物4の上下相対移動を案内する
ガイド手段として、例えばリニアベアリング15が複数
設けられる。これらリニアベアリング15は、一対の上
下弾性バネ13の間に挟んで、上下方向に沿って設けら
れる。このリニアベアリングは主に、構造物の各側面に
上下方向に沿って設けられたリニアレールと、このリニ
アレールが相対向する縦壁の各内周壁面にリニアレール
に沿って設けられ、当該リニアレールを水平方向両側お
よび縦壁側から挟み込んで拘束するU字状のガイドレー
ルと、これらガイドレールとリニアレールとの間に転動
自在に設けられ、両レールをスライド可能とするベアリ
ングとから構成される。そして構造物の前後左右を取り
囲んで配設されたこれらリニアベアリングは、そのリニ
アレールとガイドレールとのスライドで上部基礎と構造
物との間の上下相対移動を許容しつつ案内するととも
に、特にガイドレールによるリニアレールの水平方向両
側および縦壁側からの拘束によって、上部基礎に対する
構造物の水平変位や水平面内回転変位(ロッキング)を
拘束できるようになっている。
【0021】そして特に、水平弾性バネ10および上下
弾性バネ13は次のように配設されている。水平弾性バ
ネ10を例にとって説明すると、図3にも示すように水
平弾性バネ10は、その上下両端部それぞれが基礎2お
よび上部基礎3に少なくとも水平軸周りに回転自在にピ
ンジョイント17で結合されて、水平方向へ傾動可能
に、かつ軸力のみが作用されるようになっている。また
水平弾性バネ10は、基礎2と上部基礎3との上下方向
隙間Vの寸法よりも長く形成されて、当該隙間Vに圧縮
状態で垂直に真っ直ぐ配置される。すなわち、圧縮状態
の水平弾性バネ10は、基礎2の静止状態ではその弾発
力Pが基礎2および上部基礎3に対して上下方向から垂
直に作用するように、基礎2と上部基礎3との間の上下
方向隙間Vに最短でかつこれらに対して垂直に装着され
ている。そしてこの水平弾性バネ10は、上部基礎3が
基礎2に対して水平相対移動yするとこれに応答して図
3に示したように、斜めに傾いて圧縮状態から自然長に
復元すべく伸長できるようになっている。このように傾
動された水平弾性バネ10は、上部基礎3と基礎2双方
に対し垂直に作用する分力Pzだけでなく、上部基礎3
と基礎2とに水平相対移動を生じさせる分力Pyをも生
じさせ、これにより基礎2と上部基礎3との間の水平相
対移動を助長させることができるようになっている。
【0022】上下弾性バネ13についても同様であっ
て、上下弾性バネ13は、その左右両端部それぞれが構
造物4の側面および上部基礎3の縦壁5の内周壁面に少
なくとも水平軸周りに回転自在にピンジョイント16で
結合されて、上下方向へ傾動可能に、かつ軸力のみが作
用されるようになっている。また上下弾性バネ13は、
構造物4の側面と縦壁5の内周壁面との水平方向隙間C
の寸法よりも長く形成されて、当該隙間Cに圧縮状態で
垂直に真っ直ぐ配置される。すなわち、圧縮状態の上下
弾性バネ13は、構造物4の静止状態ではその弾発力
(P)が縦壁5および構造物4に対して水平方向から垂
直に作用するように、縦壁5と構造物4との間の水平方
向隙間Cに最短でかつこれらに対して垂直に装着されて
いる。そしてこの上下弾性バネ13は、構造物4が上部
基礎3に対して上下相対移動(y)するとこれに応答し
て斜めに傾いて、圧縮状態から自然長に復元すべく伸長
できるようになっている。このように傾動された上下弾
性バネ13は、上部基礎3と構造物4双方に対し垂直に
作用する分力(Pz)だけでなく、上部基礎3と構造物
4とに上下相対移動を生じさせる分力(Py)をも生じ
させ、これにより構造物4と上部基礎3との間の上下相
対移動を助長させることができるようになっている。
【0023】上記構成を有する本実施形態の三次元制振
装置1にあっては、水平振動成分および上下振動成分を
含む地震動などが基礎2に入力されると、水平振動成分
については水平制振装置7が、また上下振動成分につい
ては上下制振装置8が制振作用を発揮する。
【0024】水平振動成分について説明すると、水平振
動成分は基礎2に対して上部基礎3を水平方向に振動さ
せようとする。この際、上部基礎3には、油圧ダンパ1
1による減衰作用の下、油圧シリンダ20からの水平方
向制振力が作用されて、これにより積層ゴム9の水平方
向弾性変形を伴いつつ、上部基礎3は基礎2に対して駆
動されて水平方向に制振されるようになっている。この
とき、上部基礎3が基礎2に対して水平相対移動yする
とこれに応答して、すなわち水平相対移動を起因として
図3に示したように、水平弾性バネ10はその両端部の
ピンジョイント17を介して垂直面となす角度θで自然
に斜めに傾動されて、圧縮状態から自然長に復元すべく
伸長していく。傾動された水平弾性バネ10は、上部基
礎3と基礎2双方に対し垂直に作用する分力Pzだけで
なく、上部基礎3と基礎2とに水平相対移動を生じさせ
る分力Pyを生じさせる。そして水平弾性バネ10が自
然長に復元するまでの間、この後者の水平相対移動を誘
発する分力Pyは図3からも明らかなように、油圧シリ
ンダ20の制振力作用方向へ、すなわち油圧シリンダ2
0が上部基礎3を基礎2に対して相対的に右方へ駆動す
るときには右方へ、また相対的に左方へ駆動するときに
は左方へ、両者の相対移動を助長させる方向に作用す
る。このように基礎2と上部基礎3との水平相対移動に
よって発生される水平弾性バネ10の水平方向への弾発
力Pyは、油圧シリンダ20から上部基礎3への制振力
の導入で既に水平方向へ相当の弾性変形をしている積層
ゴム9をさらに変形させる、油圧シリンダ20の制振力
に対する制振補助力となり、この制振補助力の導入によ
って油圧シリンダ20に求められる必要性能、必要能力
を小さくすることができる。
【0025】図4には定性的な意味合いで、水平方向弾
性体9および水平弾性バネ10それぞれの弾性特性K
s,Kと、これら水平方向弾性体9および水平弾性バネ
10を組み合わせた弾性特性Kcとが示されている。水
平方向弾性体9はリニアな特性Ksを示す。これに対
し、水平弾性バネ10は上記配置構成から、圧縮状態よ
り自然長に復元する(ほぼS位置からS位置まで)まで
の間で水平方向弾性体9とは逆の弾性特性Kを示してい
て、この領域Rにおいて上記制振装置1に適用される。
そしてこれら両者を並列関係の弾性体9,10として組
み合わせると、領域Rにおいて水平方向弾性体9単独の
場合よりも柔らかな弾性特性Kcを確保することができ
ることが理解される。
【0026】他方、上下振動成分について説明すると、
上下振動成分は上部基礎3に対して構造物4を上下方向
に振動させようとする。この際、構造物4には、油圧ダ
ンパ14による減衰作用の下、油圧シリンダ21からの
上下方向制振力が作用されて、これにより空気バネ12
の上下方向弾性変形を伴いつつ、構造物4は上部基礎3
に対して駆動されて上下方向に制振されるようになって
いる。このとき、構造物4が上部基礎3に対して上下相
対移動するとこれに応答して、すなわち上下相対移動を
起因として、上下弾性バネ13はその両端部のピンジョ
イント16を介して自然に斜めに傾動されて、圧縮状態
から自然長に復元すべく伸長していく。傾動された上下
弾性バネ13は、上部基礎3と構造物4双方に対し垂直
に作用する分力だけでなく、上部基礎3と構造物4とに
上下相対移動を生じさせる分力を発生し、それが自然長
に復元するまでの間この上下相対移動を誘発する分力
が、油圧シリンダ21の制振力作用方向へ両者の相対移
動を助長させる方向に作用する。このように構造物4と
上部基礎3との上下相対移動によって発生される上下弾
性バネ13の上下方向への弾発力は、油圧シリンダ21
から構造物4への制振力の導入で既に上下方向へ相当の
弾性変形をしている空気バネ12をさらに変形させる、
油圧シリンダ21の制振力に対する制振補助力となり、
この制振補助力の導入によって油圧シリンダ21に求め
られる必要性能、必要能力を小さくすることができる。
図4に示した水平方向弾性体9および水平弾性バネ10
の組み合わせ特性は、上下方向弾性体12と上下弾性バ
ネ13との組み合わせにあっても同様である。
【0027】従って、本実施形態の三次元制振装置1に
あっては、上下振動および水平振動双方に対して、油圧
シリンダ20,21とは別に、構造物4等の重量を支持
するために相当の剛性を備えることが要求される積層ゴ
ム9や空気バネ12などの上下・水平方向弾性体を弾性
変形させる補助的な制振力を導入して、油圧シリンダ2
0,21に必要とされる能力を小さくすることができ、
有効な三次元制振を実現することができる。
【0028】また本実施形態では、構造物4が上部基礎
3に対して上下相対移動する際、リニアベアリング15
によって上部基礎3に対する構造物4の水平変位や水平
面内回転変位(ロッキング)を拘束しつつ、その上下動
を案内することができるので、構造物4に不安定な挙動
が生ずることを防止できるとともに、また上下制振装置
8を安定して機能させることができる。
【0029】上記実施形態にあっては、上下制振装置8
を上方に設け、水平制振装置7を下方に設けたが、これ
ら制振装置7,8の配置関係は上下反対であってもよ
い。
【0030】図5には、上記実施形態の変形例が各種示
されている。(a)は上下制振装置8を省略して、水平
制振装置7のみで構成したモデル、(b)は水平制振装
置7を省略して、上下制振装置8のみで構成したモデ
ル、(c)は(a)のモデルを基に、積層ゴム9に対し
て上下方向に直列に空気バネ12のみを設け、上下弾性
バネ13を省略したモデル、(d)は(a)のモデルを
基に、積層ゴム9に対して並列に空気バネ12を設けて
これら両者で構造物4の重量を支持させるようにしたも
ので、上下弾性バネ13は省略したモデル、(e)は
(d)のモデルを基に、空気バネ12に対して並列に上
下弾性バネ13を設けたモデルで、上記実施形態の水平
制振装置7と上下制振装置8の上下直列モデルを、横置
き並列モデルに変化させたものであり、これらモデルに
あっても上記実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0031】また上記実施形態にあっては、構造物4全
体が皿状の上部基礎3に取り囲まれて設置される構造を
例示して説明したが、図6に示すように、構造物4の底
面から互いに間隔を隔てて縦横に複数の脚部4aを垂下
形成するとともに、基礎2側にはこれら脚部4aそれぞ
れに対応させて複数の上部基礎3を設けて構成してもよ
く、このようにすれば底面積の大きな構造物4に対して
も好ましく三次元制振装置1を設備することができる。
【0032】上記実施形態のピンジョイント16,17
については、三軸周りの回転を許容するユニバーサルジ
ョイントであってもよい。
【0033】また水平方向アクチュエータおよび上下方
向アクチュエータとして油圧シリンダ20,21を例示
して説明したが、これらアクチュエータとしては、モー
タ駆動のボールネジ機構など、さまざまな動力駆動手段
を採用することができる。
【0034】また水平方向減衰手段および上下方向減衰
手段として油圧ダンパ11,14を例示して説明した
が、これら減衰手段としては、摩擦ダンパや鋼棒ダン
パ、粘弾性材を採用したダンパなど、二物体間の距離の
変化に応じて減衰作用を発揮するいかなる減衰手段を用
いてもよい。
【0035】さらに上記実施形態にあっては、制振対象
物として構造物4を例示して説明したが、精密機器およ
びその他の振動を嫌う設備や装置、物品を対象としても
よいことはもちろんである。
【0036】またさらに上記実施形態にあっては、入力
振動として地震動を例示して説明したが、交通振動や日
常振動であってもよいことはもちろんである。
【0037】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、水平方向
加力手段や上下方向加力手段によって、制振力を導入す
るためのアクチュエータとは別に、制振対象物の重量を
支持するために相当の剛性を備えることが要求される弾
性体を弾性変形させる補助的な制振力を導入することが
できて、制振用アクチュエータに必要とされる能力を小
さくすることができ、有効な制振効果を確保することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる制振装置の好適な一実施形態を
示す三次元制振装置の概略側面断面図である。
【図2】本発明にかかる制振装置の好適な一実施形態を
示す三次元制振装置の概略平面断面図である。
【図3】本発明にかかる制振装置の好適な一実施形態に
用いられる上下弾性バネの作動状況を示す要部拡大側面
図である。
【図4】本発明にかかる制振装置の好適な一実施形態に
用いられる上下弾性バネと上下方向弾性体との組み合わ
せによる弾性特性を示すグラフである。
【図5】本発明にかかる制振装置の変形モデルを示す概
略説明図である。
【図6】本発明にかかる制振装置の他の実施形態を示す
要部概略側面図である。
【符号の説明】
2 基礎 4 構造物 7 水平制振装置 8 上下制振装置 9 積層ゴム 10 水平弾性バネ 12 空気バネ 13 上下弾性バネ 20 水平方向油圧シリンダ 21 上下方向油圧シリンダ C 水平方向隙間 V 上下方向隙間

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動が入力されるベースと該ベース上方
    の制振対象物との間に、該制振対象物を該ベースに対し
    て水平相対移動可能に弾性支持する水平方向弾性体およ
    び該制振対象物に水平方向の制振力を作用させる水平方
    向アクチュエータを設けた制振装置において、 上記水平方向弾性体に対して並列に、上記ベースの水平
    振動に応答して上記水平方向アクチュエータの制振力作
    用方向に制振補助力を導入する水平方向加力手段を設け
    たことを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記制振対象物と前記ベースとの間に、
    前記制振対象物を前記ベースに対して上下相対移動可能
    に弾性支持する上下方向弾性体を前記水平方向弾性体に
    対して直列に設けるとともに、該制振対象物に上下方向
    の制振力を作用させる上下方向アクチュエータを設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記上下方向弾性体に対して並列に、前
    記ベースの上下振動に応答して上記上下方向アクチュエ
    ータの制振力作用方向に制振補助力を導入する上下方向
    加力手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の制
    振装置。
  4. 【請求項4】 前記制振対象物と前記ベースとの間に、
    前記水平方向弾性体とともに前記制振対象物を前記ベー
    スに対して上下相対移動可能に弾性支持する上下方向弾
    性体を、当該水平方向弾性体に対して並列に設けるとと
    もに、該制振対象物に上下方向の制振力を作用させる上
    下方向アクチュエータを設けたことを特徴とする請求項
    1に記載の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記上下方向弾性体に対して並列に、前
    記ベースの上下振動に応答して上記上下方向アクチュエ
    ータの制振力作用方向に制振補助力を導入する上下方向
    加力手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の制
    振装置。
  6. 【請求項6】 前記水平方向加力手段が、前記制振対象
    物と前記ベースとの間に形成される上下方向隙間に圧縮
    状態で配置され、これら制振対象物とベースとの水平相
    対移動で自然長に復元すべく伸長して前記水平方向アク
    チュエータの制振力作用方向に弾発力を発生する水平方
    向付勢手段であることを特徴とする請求項1〜5いずれ
    かの項に記載の制振装置。
  7. 【請求項7】 前記上下方向加力手段が、前記制振対象
    物と前記ベースとの間に形成される水平方向隙間に圧縮
    状態で配置され、これら制振対象物とベースとの上下相
    対移動で自然長に復元すべく伸長して前記上下方向アク
    チュエータの制振力作用方向に弾発力を発生する上下方
    向付勢手段であることを特徴とする請求項3または5に
    記載の制振装置。
  8. 【請求項8】 振動が入力されるベースと該ベース上方
    の制振対象物との間に、該制振対象物を該ベースに対し
    て上下相対移動可能に弾性支持する上下方向弾性体およ
    び該制振対象物に上下方向の制振力を作用させる上下方
    向アクチュエータを設けた制振装置において、 上記上下方向弾性体に対して並列に、上記ベースの上下
    振動に応答して上記上下方向アクチュエータの制振力作
    用方向に制振補助力を導入する上下方向加力手段を設け
    たことを特徴とする制振装置。
  9. 【請求項9】 前記制振対象物と前記ベースとの間に該
    ベースに対する該制振対象物の上下相対移動を案内する
    ガイド手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8いず
    れかの項に記載の免震装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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