JP4401095B2 - 長柱の制振装置及び長柱の制振構造 - Google Patents

長柱の制振装置及び長柱の制振構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、高架道路のうち柱脚に免震装置を介して支持された上部構造体に取り付けられて、加振作用を受ける長柱の制振装置あるいは、その制振構造に関する。
この種の長柱としては、標識柱や照明柱があり、標識柱としては、図1左側に示す概略F型の標識柱、右側に示す照明柱、さらには、所謂、図7に示すような門型の標識柱も含まれる。
【0002】
【従来の技術】
高架道路では、耐震性を高めるために免震化が促進されている。免震化されると、上部構造体自体は揺れやすくなって、高架道路を走る走行車両、風等により長柱は大きな加振作用を受ける。そのため、免震化されるまでは問題がなかった場合であっても、大きな加振作用を受けることで長柱の取付部など、所謂、応力集中部(具体的には長柱の根元近傍等で)で所謂疲労破壊を起こし、長柱が折れる虞がある。
【0003】
従って、新たに長柱を設置する場合は、この種の問題に対して、充分な制振対策を施す必要があり、既存の長柱に対しては、その所定部位に制振装置を追加配設して、制振を行うことが好ましい。
【0004】
この種の長柱に対する制振装置としては、振り子式のもの(特許文献1)、振動方向に任意性を持たせるために磁石を利用するもの(特許文献2)等が知られている。
前者の技術は、長柱の振動に対して逆位相で振り子を振動させて、制振を図ろうとするものであり、所定方向における制振に関して一定の効果を奏することができる。しかしながら、制振方向が限定される点で、問題が残る。
【0005】
これに対して、後者の技術では方向性の問題を解消できるが、制振能の点で限界があり、更なる開発課題を包含している。
【0006】
さて、上記のような長柱を制振対象とするものではなく、一般的な建築構造体を制振対象とする技術として、建屋の屋上に球面座を設け、この球面座内に球状の転動体を配設し、建物の振動に従った転動体の転動により、制振を行なおうとするものがある(特許文献3)。この技術にあっては、転動体が先に説明した技術における振り子の役割を果し、理論的には、その制振効果を、三次元方向で発揮できる。この構造の場合、転動体が自転しながら公転するため、その慣性モーメントにより、単に振り子を揺動させたり、平行移動させる構成よりも、同じ質量の転動体で大きな等価質量分の運動エネルギーを得ることができ、より高い制振能が発揮されることとなる。
【0007】
しかしながら、この技術では、転動体が球面座上を自転しながら公転するに当たり、その転動体の球面座上での通過経路が種々に変化することから、制振を構造物の振動に同調させることが困難な場合もあり、建物の実際の振幅、そこへの振動入力等が予想したところとわずかでも相違すると、期待通りの制振性能を得にくいという問題がある。最悪の場合は、制振ではなく加振する場合も起こりうる。
【0008】
一般的なビルディング等に適応しようとする場合、建屋全体の重量に対して制振効果を発揮しうる転動体重量が巨大となるため、事実上、実用化に到っていない。結果、現状では、実用に供されたものは見受けられない。
【0009】
そこで、この技術の適応を事実上あきらめ、転動体を円柱もしくは円筒形とし、さらに、球面座に代えて円筒内周を転動面とする技術が実用化されている(特許文献4)。この技術は、上記技術の適応の困難性に鑑み、全方向での制振をあきらめ、特定の方向に制振方向を限定することで、簡単な構造で、小型かつ低廉であるとともに、保守点検が実質上不要な、実用的な制振装置を得ている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−059543号公報
【特許文献2】
特開2002−221250号公報
【特許文献3】
特開平6−307495号公報
【特許文献4】
特開平11−094016号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上が、所謂、長柱の一例としてのポールに関する制振技術及びビルディング等の建築構造物に対する制振技術であるが、本願が対象とするような、免振構造を採用した高架構造物上のポール等の長柱の制振を考える場合、その問題点を整理すると、以下のようになる。
【0012】
1 長柱の制振に関しては、主に、その一次振動を対象とすればよい。
この場合、一次振動の共振周波数を問題とすればいいが、長柱の水平方向の振動を考えた場合、その共振周波数は、長柱の構造に従って容易に推定できるとともに、現場での測定から、問題となる振動の振動数を特定することも可能である。
【0013】
2 制振の対象となる長柱の振動は、例えば、高速道における車の走行方向、及び、それに直交する方向の少なくとも2方向を問題とする必要がある。
【0014】
3 また、比較的低いレベルの振動も抑えられていることが好ましい。
4 高架道路上に設置されるポール等の長柱に関しては、既設のものが多数存在するため、この種、既存のものに対しても、比較的容易に設置可能で、構造簡単、且つ、メンテナンスが容易あるいは実質フリーなものを得ることが好ましい。
【0015】
これら課題に対する、上記の従来技術に関する問題点を指摘すると、上記の第一、第四の技術は、制振に方向性がある故に、採用しづらい。
上記、第二の技術に関しては、上記従来技術の項で説明した通りであり、その制振能に限界があり、実用化は、限定的である。
【0016】
従って、上記第三の技術の流れ上で、制振を図ることが好ましいのであるが、第四の技術が開発された要因からも判るように、実用化には到っていない。
【0017】
本発明の目的は、制振に方向性を有さず、免振された高速道路等に備えられる長柱であるポール等の制振を良好におこなうことができる制振装置、あるいは、この制振装置を所定位置に設置することで揺れ難く、疲労破壊を発生し難い長柱の制振構造を得ることにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するための、長柱の制振装置の特徴構成は、請求項1に記載されているように、外周に非変形な転動面を有し、中心周りに転動する球状の転動型制振子と、前記転動型制振子の転動を許容する曲面凹状ガイド面を有し、減衰材料であって、かつ変形してエネルギー散逸可能なゴムで構成された転動ガイドと、前記転動ガイドが内部に配設され、当該転動ガイドを保持する取付け座とを備え、前記曲面凹状ガイド面の曲率半径をR、前記転動型制振子の外周の転動面の曲率半径をrとして、両者の比(r/R)が、0.5〜0.9の範囲に設定されるとともに、前記長柱の質量Msに対する前記転動型制振子の質量maの比(ma/Ms)が、0.01〜0.1の範囲に設定され、柱脚に免震装置を介して支持された上部構造体に取り付けられる長柱に対して配設されることにある。
【0019】
これまで説明してきた本願が対象とする長柱は、その質量が50〜6000Kg程度であり、制振に効果を発揮できる制振子質量(長柱の質量に対する比で、0.01〜0.1程度)を、その長柱の径程度のデイメンジョンで取ることができる。
また、本願が採用する制振構造にあっては、長柱側の固有振動数と制振装置側の転動型制振子の運動の振動数とが一致すること(さらには位相が逆転すること)が制振を達成するために必要となる。
従来型の様に、転動型制振子と転動ガイド面とが共に、非変形面から構成される場合は、この制振装置における制振子の運動の固有振動数は、その振動数に急峻なピークを描く。従って、有効な制振を実行しようとすると、このピークに長柱側の固有振動数もほぼ完全に一致している必要があり、現実的な意味で、実効性のある制振を達成しにくい。
これに対して、本願のように、外周に非変形な転動面を有し、中心周りに転動する転動型制振子と、転動ガイドが減衰材料であって、かつ変形してエネルギー散逸可能なゴムにより構成されて、転動ガイドの曲面凹状ガイド面が当該ゴムからなっている場合、この制振装置における制振子の運動の固有振動数は、比較的ブロードで、鈍いピークを描く。換言すると、上記の意味での非常に有効な制振効果を得るという面では疑問があるが、長柱側の固有振動数に対して、この固有振動数を含む近傍の振動数領域で、所定の制振効果を得ることができる。結果、現実的な意味で、実効性のある制振を達成することができたものと発明者らは、考えている。
【0020】
また、減衰材料としてのゴムを備えることで、制振子側の運動が、長柱に発生している振動に良好に追従したものとなり、先に、転動球構造を採用する場合に問題となる、予定外の制振子の運動の発生を抑制することができる。
さらに、曲面凹状ガイド面を振動減衰可能なゴムとすることで、長柱側の振動減衰速度を早める効果を奏することができる。
従って、この制振対象にあっては、制振子あるいは曲面凹状ガイド面の物理的諸元(質量、曲率半径等)が特定されるため、結果的に、所要の制振能を発揮できる制振装置を得ることができる。
【0021】
ここで、転動型制振子の質量を上記の範囲でとるのは、制振効果を得るのに,最も好ましい範囲であるためであり、この範囲より小さいと、制振効果を得にくく、大きいと、所定の制振効果を得られたとしても、全体質量が大きくなりすぎ、望ましくないためである。
さて、曲面凹状ガイド面の曲率半径をR、前記転動型制振子の外周の転動面の曲率半径をrとしては、上記の範囲が好ましい。
この範囲にあっては、制振子の質量を適度にかせぎながら、制振子の曲率半径が比較的大きくなることで、相手側面との接触面積を比較的大きくすることができ、制振子の運動を、長柱側の運動に適度に追随するものとすることが可能となるためである。上記範囲より大きい場合は、制振子の運動に制限が掛かりやすく、小さい場合は、制振子が不測の好ましくない運動を行なう可能性が高くなる。
また、前記長柱が、柱脚に支持された上部構造体上に備えられる場合に適応する。
先にも説明した様に、免震構造が施された構造においては、その上部構造体が振動しやすくなっているが、本願構造を採用することで、上部構造体が振動しても、長柱自体に振動を起こすことなく、疲労破壊等の問題を起こすことはない。
【0022】
さて、上記の制振装置の適応対象に関して、請求項2に記載されているように、本願が対象とする長柱として、その軸径Dに対する長手方向長さLの比(L/D)が、15〜40の範囲にあるものに対して、上記のように、曲面凹状ガイド面の曲率半径をR、前記転動型制振子の外周の転動面の曲率半径をrとして両者の比(r/R)を設定し、前記長柱の質量Msに対する前記転動型制振子の質量maの比(ma/Ms)を設定することが、好ましい。
【0023】
さらに、上述の構成において、前記転動ガイドが、複数の分割型転動ガイド部材からなり、前記複数の分割型転動ガイド部材を組み合わせて、閉曲面である環状ガイド面を構成可能とされることが好ましい。
【0024】
このように、転動ガイドを分割型とすることで、例えば、図3に示すような、単一の制振子で賄える系に対しては、半割下側のガイド部を採用することで、制振効果を発揮することができる。
一方、制振効果を得るのに、制振子側の重量が足りない、さらに、例えば、特定3方向で制振効果を得たい等の場合に、分割型転動ガイド部材を、図6、7に示すように組み合わせて使用することにより、これら複雑な目的に対して、比較的容易に対応できる。
【0025】
さて、請求項に記載されているように、前記転動面が金属表面であることが好ましい。
【0026】
制振子側を金属材料からなるものとし、転動ガイド部材側をゴム材とすることで、長柱との取り合い形状を任意に設定することが可能となるとともに、本願の目的を達しやすく、結果的に長柱の迅速な減衰効果を得ることができる。
【0027】
更に、請求項に記載されているように、前記曲面凹状ガイド面が球状凹部面もしくは楕円球状凹部面であることが好ましい。
球状凹部の場合は、長柱を横断する面内の直交する2軸において、ほぼ、均等な振動が加わる場合に良好に対応できる。
一方、振動に方向性がある場合に、例えば、長柱の振動が所定方向で異なる場合に、一方を楕円長軸側とし、もう一方の側を短軸側とすることで、所定方向における制振効果を得ることも可能である。この構成にあっても、減衰に効果的な振動数を範囲として捕らえることができる。
例えば、高架高速道に備えられるポールの場合、疲労破壊の初期にあっては、高速道上を走行する走行車の走行方向に沿った方向に、初期の亀裂が発生しているため、ポールは、走行方向に直行する、高速道横断方向の振動を一意に制振することが好ましい。
【0028】
さて、これまで説明してきた制振装置にあっては、単一の制振子と転動ガイドとの組み合わせにおいて制振を行なうものとしたが、制振子側の質量が所定の効果を発揮するのに不足する等の問題が考えられる。
【0029】
そこで、請求項に記載されているように、これまで説明してきた制振装置を複数、固定連結して、制振システムを構築することが可能である。
【0030】
このような構成とすることで、制振装置を組み合わせて、比較的大型の長柱にも対応できる。また、既設のポール等に対して、組み合わせて、既存の設備に対して適切な制振システムを得ることができる。
【0031】
さて、請求項に記載されているように、これまで説明してきた制振装置を制振部に備えて長柱を構成することで、制振構造の長柱を得ることができる。
【0032】
【0033】
【発明の実施の形態】
本願の制振装置1を高架道路2に備えられるポール3に適応した実施の形態を、以下図面に基づいて説明する。
【0034】
〔実施場所〕
本願が対象とする加振作用を受ける長柱3としては、図1に示すように、高架道路2のうち柱脚4に支点5を介して支持された上部構造体6に一体形成された張り出しブラケット7に取り付けられる標識取付用の長柱3aや照明装置取付用の長柱3bを挙げることができる。図示するように、標識取付用の長柱3aは概略F型であり、照明装置取付用の長柱3bは、その中心線が曲線を成す構造とされている。
【0035】
〔制振対象の長柱3〕
長柱3は、図1、2に示すように、張り出しブラケット7にアンカーボルト8を介して固定される取付板9と、この取付板9に固着した鋼管利用の長柱本体30と、側辺で長柱本体30の側面に固着しかつ底辺で取付板9に固着する周方向複数の補強リブ10とを備えて構成される。
【0036】
標識取付用の長柱3aは、その頭部近傍から横方向に標識支持用のバー31が延出されている。一方、照明装置32は、長柱本体30の上端に装着されている。
この種の長柱3において、補強リブ10の長柱本体30及び取付板9への固着は溶接とされる。
【0037】
この構造の長柱3では、図2に示すように、長柱本体30のうち、補強リブ10との溶接部11よりもやや上方で溶接時に加熱された部分が応力集中部12となる。従って、この部位での疲労破壊が問題となる場合がある。
【0038】
〔長柱の制振部〕
長柱の制振部13は、上記した長柱の頭部近傍部位に、本願に係る制振装置1を備えて構成される。
図3に、その具体的構成を、図4に原理を説明するための説明図を示した。
制振装置1は、制振子20と、この制振子20が配設される転動ガイド21としてのゴム製の転動座と、この転動ガイド21が内部に配設され、当該転動ガイドを保持する取付け座14とから成立しており、制振子20が、この転動座21上を転動することにより、その制振能を発揮することができる。
この制振子20の外表面22が本願にいう転動面を成し、転動ガイドの内面23が曲面凹状ガイド面を成す。
【0039】
制振子20に関しては、後述するように、長柱3に対する制振能を適切に発揮すべく、その質量ma及びその球径(具体的には曲率半径r)が、長柱3の質量Ms、剛性Ksとの関係、あるいは制振すべき具体的な振動数との関係、及び、転動ガイド内面23の曲率半径Rとの関係から適切に設定されている。
【0040】
さらに、その表面22は、転動ガイド内面23のゴム表面との関係から、スベリを起こさず、適切に転動を起こす程度の表面状態とされている。
【0041】
上記転動ガイド21は、具体的には下記の防振ゴム材から形成されるものであり、その天面に凹部を設けて転動ガイドの内面23を成す球状凹部としている。具体的には、転動ガイドが上下2分割された共に半球上の分割型転動ガイド部材を組み合わせて成立している。
この球状凹部23の曲率半径Rは、上記の制振子20及び長柱3に関する諸量との関係で、適切な制振能を発揮できるようになっている。
【0042】
さらに、図3に示すように、転動ガイド21は、長柱3の先端近傍に設けられる取付け座14に配設できる概略立方形状のものとされており、設置状態で確実に長柱3、所定部位に配設することができる。
以下の表1に、転動ガイド21に採用したゴムの特性を示した。
【0043】
【表1】
〔球状凹部関係〕
ゴム 種類 耐候性合成ゴム
硬さ HA70
静的せん断弾性率 1.6MPa
伸び 300%
【0044】
〔具体的な実施例とその制振原理〕
本願が採用する制振系は、最も簡略した場合、図4のようにモデル化できる。
図上、制振子20の質量ma 半径r、転動ガイド21に設けられた球状凹部面としての内面23の曲率半径をRとしている。さらに、制振対象となる長柱3は一定x方向に振動するものとし、長柱3の質量をMs 、x方向に振動する場合の剛性(バネ定数)を夫々Ksとする。
【0045】
a 理論計算からのアプローチ
この系における運動は、制振子20の転動の形態をとり、重力加速度、回転運動している場合には運動方向と反対方向のころがり摩擦力が作用する。
制振子20が球状凹部面23内を滑らずに転がりながら運動した場合、制振子20の等価質量は、me=ma +(Ia /(r・r) )となり、制振子20の加速度は常に中心に向かい、変位xo に比例する。ここで、Iaは、制振子20の質量中心まわりの慣性モーメントである。
よって、重力加速度をgとして、制振子20は、
振動数ωa =SQRT{ma ・g/me (R −r )}
で、単振動する。
【0046】
一方、制振装置1を設けない場合の長柱3の振動に関しては、
固有振動数ωs =SQRT(Ks /Ms )
として推定することができる。
【0047】
さて、長柱3の質量Ms と、制振子20の等価質量me との比ρを、ρ=me /Msとすると、長柱3の自由振動に対して1次の振動モードの減衰が最大になるように制振子20の固有振動数ωa を定めることとなる。
この系にあっては、ωa ={1/(1+ρ)}ωs であるときのωa が最適値であることが知られているので、R、r、maを、適切に選択することが可能となる。
この時、制振子20の質量maは、長柱1の質量Msに対して、0.01〜0.1の範囲内に入るものとし、R ,r 間は、r/Rが0.5〜0.9の範囲内のものとする。
【0048】
〔具体例〕
上記過程を経て、実際に採用した長柱3の具体例を以下に説明する。
【0049】
【表2】
〔長柱関係〕
長柱長さ L 7250mm
長柱径 D f287.4mm
肉厚 t 9.3mm
長柱の質量 Ms 1350Kg
長柱の剛性 Ks 4000N/mm
長柱の設置場所 高架道路のブラケット上
制振対象の振動数 ωs 1.8Hz
この振動数は、長柱の一次の固有振動数として求めた
【0050】
【表3】
〔制振子〕
制振子は以下のものとした。
制振子の質量 ma 33.6Kg
制振子の半径 r 100mm
として、
ρ=me/Ms 0.03
制振子の単振動数 ωa 1.74Hz
【0051】
〔制振効果〕
上記制振装置を設けた場合と、設けない場合との長柱の振動状態を、図5に示した。評価においては、ノイズの影響を無くすため、減衰波形の自己相関係数を用いた。図5において、縦軸は自己相関係数を横軸は時間差を示している。
【0052】
制御装置を備えないもの(図5(イ))と、備えるもの(図5(ロ))とで、減衰効果に顕著な差が見られた。結果、本願制振装置の有用性が確認できた。
【0053】
〔本願の別実施例〕
上記の実施の形態にあっては、制振子が金属球であり、転動ガイドがゴムからなる例を示したが、非変形な転動面を成す剛性材料としては、鉄その他の金属等を採用することができ、転動ガイドの減衰材料としては、ゴムを採用できるが、この種のゴムとしては、天然ゴム、合成ゴム(ウレタンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム等を含む)等を採用することができる。
さらに制振子及び転動ガイドに関して、転動面及び曲面凹状ガイド面に関しては、本願の要件(転動面が非変形な面で、曲面凹状ガイド面が減衰材料としてのゴムからなる面)を満たす必要はあるが、制振子全体が、単一の材料で構成されている必要はない。
(2) 上記の実施の形態にあっては、制振体を単一設け、球状の球状凹部面として転動ガイドを備えてものとしたが、例えば、図6に示すように、長柱が大型のものであり、長柱が捻り振動を受けるようなF型柱の場合は、本願の制振装置を複数備えるものとしてもよい。
図示するものは、本願の制振装置を柱頭部に3ケ連結して設けたものであり、さらに、標識の裏側にねじり用に1ケ設けている。
一方、図7に図示するものは、所謂門型の標識柱であり、概略門型をしており、左右両側の支柱に本願の制振装置を柱頭部に3ケそれぞれ連結して設けたものである。
このように複数個を設ける場合、転動ガイドは、上側と下側とに分割した構成でこれを組み合わされて成立するものとされ、さらに、転動ガイドが内部に配設され、当該転動ガイドを保持する取付け座14により、固定連結されている。この取付け座14は、具体的には、図6、7の場合、3ヶの制振装置を長柱に連結固定する部材となる。
【0054】
(3) さて、上記の実施の形態にあっては、転動ガイドの曲面凹状ガイド面を、球面とする例を示したが、制振効果に方向性を持たせる場合、楕円球面としてもよい。
【0055】
(4) また、上記の実施例においては、標識柱、照明柱の場合に関して説明したが、信号柱、情報板柱、バタフライ型規制標識柱等任意の長柱に適応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高架道路の縦断正面図
【図2】 長柱取付部の斜視図
【図3】 制振装置を取付けた長柱の要部断面図
【図4】 制振装置のモデル構造の説明図
【図5】 制振装置を備えた長柱の制振効果を示す図
【図6】 別実施の形態を示す図
【図7】 別実施の形態を示す図
【符号の説明】
1 制御装置
2 高架道路
3 長柱(ポール)
6 上部構造体
13 制振部
14 取付け座
20 制振子
21 制振ガイド
22 転動面
23 転動ガイドの内面
30 長柱本体

Claims (6)

  1. 外周に非変形な転動面を有し、中心周りに転動する球状の転動型制振子と、
    前記転動型制振子の転動を許容する曲面凹状ガイド面を有し、減衰材料であって、かつ変形してエネルギー散逸可能なゴムで構成された転動ガイドと、
    前記転動ガイドが内部に配設され、当該転動ガイドを保持する取付け座とを備え
    前記曲面凹状ガイド面の曲率半径をR、前記転動型制振子の外周の転動面の曲率半径をrとして、両者の比(r/R)が、0.5〜0.9の範囲に設定されるとともに、前記長柱の質量Msに対する前記転動型制振子の質量maの比(ma/Ms)が、0.01〜0.1の範囲に設定され、
    柱脚に免震装置を介して支持された上部構造体に取り付けられる長柱に対して配設される長柱の制振装置。
  2. 軸径Dに対する長手方向長さLの比(L/D)が、15〜40の範囲にある前記長柱に対して使用される請求項1記載の長柱の制振装置。
  3. 前記転動面が金属表面である請求項1又は2記載の長柱の制振装置。
  4. 前記曲面凹状ガイド面が球状凹部面もしくは楕円球状凹部面である請求項1〜のいずれか一項記載の長柱の制振装置。
  5. 請求項1〜のいずれか一項記載の制振装置を複数、固定連結してなる制振システム。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の制振装置を制振部に備えてなる長柱の制振構造。
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