JP3991393B2 - 化合物半導体の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物半導体の製造装置、より詳細には、窒化インジウムガリウム(Inx Ga1-x N、ただし、0<x<1)を気相成長させるための製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、現在市販されているサファイア基板を用いた窒化ガリウム(GaN)系の青色および緑色の発光素子(LED)の構造を示す断面図を示しているが、このような発光素子は、例えば、「日経サイエンス」1994年10月号、第44〜55頁に記載されている。
【0003】
この青色および緑色発光素子は、サファイア基板SBと、基板SB上に形成されたGaN(窒化ガリウム)バッファ層BFと、GaNバッファ層BF上に形成された六方晶のGaNエピタキシャル層EP1とから構成されたエピタキシャルウェハを備えている。この青色および緑色発光素子は、さらに、このエピタキシャルウェハの上に、クラッド層CL1、発光層LE、クラッド層CL2およびGaNエピタキシャル層EP2が、順次形成され、GaNエピタキシャル層EP1,EP2上には、オーミック電極ER1,ER2がそれぞれ形成されている。また、GaNバッファ層BFは、この青色および緑色発光素子において、サファイア基板SBとGaNエピタキシャル層EP1との格子定数の差による歪を緩和するために設けられるものである。
【0004】
上述した青色および緑色発光素子は、基板SBとして絶縁性のサファイアを用いており、また、電極を形成して素子を作成する際には、2種の電極を同一面側に形成する必要があることから、フォトリソグラフィによるパターニングが2回以上必要になり、さらに反応性イオンエッチングによる窒化物のエッチングを行う必要もあり、複雑な工程を要していた。
【0005】
また、サファイアは硬度が高いため、素子分離の際に切断しにくいという問題もある。この発光素子の応用について考えると、このサファイアは劈開することができないので、劈開端面を光共振器とするレーザーダイオードに適用できないという応用上の問題もあった。
【0006】
そこで、このような欠点を有するサファイアに代えて、導電性のGaAsを基板として使用するという試みがなされている。すなわち、MOCVPE法(metal organic chloride vapor phase epitaxy:有機金属クロライド気相エピタキシャル法)を用いてGaAs(砒化ガリウム)基板上にGaNを成長させる方法であって、GaNの成長速度を従来のOMVPE法(organometallic vapor phase epitaxy:有機金属気相エピタキシャル法)での成長速度と比べても十分に早いものであるものが検討されている。
それは、III 族原料を塩化物として供給し、GaNの高速成長を可能とし、発光素子の活性層となるInGaN(窒化インジウムガリウム)の成長をも可能としたものである。
【0007】
しかし、一方では高いIn(インジウム)組成を有するInGaNを用いた波長純度の良い青色の発光素子の出現が要望されているのである。しかしながら、InGaNのIn組成を高くするためには、成長温度を低くする必要があり、その結果、成長速度が小さくなり、また、成長したInGaN層の結晶性が悪くなるという問題点があった。
【0008】
また、Kristall und Technik vol.12 No6 (1977) p.541〜545 には、In原料としてクロライド化合物InCl3 (三塩化インジウム)を用い、V族原料にNH3 (アンモニアガス)を用いてサファイア基板上への六方晶のInN結晶の成長が報告されている。しかし、GaAs基板等への成長については検討されておらず、レーザーダイオードを製造するに適している立方晶のInNおよびInGaNは得られていないのである。
【0009】
周期表のIII 族のAl、Ga、Inを塩化物即ちクロライド化合物として供給する従来のMOCVPE法(有機金属クロライド気相エピタキシャル法)では、III 族原料を含む有機金属原料として、例えば、トリメチルインジウム(TMIn:C3H9In)及びトリメチルガリウム(TMGa:C3H9Ga)を用い、これらの原料と塩化水素(HCl)から塩化インジウム(InCl)から塩化インジウム(InCl)を合成し、これらの塩化物とアンモニアガス(NH3 )を反応させてGaAs等の基板上にInN及びInGaNを成長させている。しかし、この方法ではGaAs等の基板上への成長速度が小さく、InGaNの組成の再現性がない。また、結晶中へInが取り込まれにくくなるために、高いIn組成のInGaNの成長が困難である。
【0010】
従来、Inx Ga1-x Nを備えるエピタキシャルウェハを製造するのに用いられる気相成長製造装置には、例えば、図3に示されるような反応管が採用される。
【0011】
この反応管は、基板サセプタSSを内蔵する反応チャンバーRCに対して、不活性キャリアガスIGと共に三塩化インジウム(InCl3 )の蒸気を導入するための第1のガス導入口MI1、同様のキャリアガスIGと共にアンモニア(NH3 )ガスを導入するための第2のガス導入口MI2、キャリアガスIGと共にトリメチルガリウムTMGa(trimethylgallium;C3 H9 Ga)ガスを導入するための第3のガス導入口MI3、及び、キャリアガスIGと共に塩化水素(HCl)ガスを導入するための第4のガス導入口MI4等の導入口や、排気口GO等が設けられている。反応チャンバーRCには、また、外部に抵抗加熱ヒータRHが備えられている。
【0012】
第1のガス導入口MI1は第1の管路FPに連通しており、第2のガス導入口MI2は、基板サセプタSSの上部に至る第2の管路、つまり、内側管IPに連通しており、そして、第3のガス導入口MI3及び第4のガス導入口MI4は、第3の管路TPに連通している。第1及び第3の管路FP,TPの出口は、反応管の上部に導かれている。
【0013】
このような装置における製造工程の一例を示すと、先ず、反応チャンバーRC内の底部に設けられた基板サセプタSSに、砒化ガリウム(GaAs)製の基板2Aが設置され、この基板2Aは、抵抗加熱ヒーターRHからのチャンバーRC内の加熱によって第1の所定温度に保持される。
【0014】
この状態で、第1のガス導入口MI1からは、加熱されたInCl3 蒸気がキャリアガスIGにより第1の管路FPを通してチャンバーRC内に導入される一方、第2のガス導入口MI2からは、NH3 ガスがキャリアガスIGによって内側管IPを通して導入されるので、GaAs基板2Aの上では、InCl3 及びNH3 が反応する。所定の時間、このエピタキシャル成長を行わせることによって、図2に示されるInNバッファ層2Bが形成される。
【0015】
次の第二工程では、このようにInNからなるバッファ層2Bが形成された基板2Aの温度を、抵抗加熱ヒーターRHにより第2の所定温度にまで昇温した後、InCl3 及びNH3 に加えて、TMGa及びHClが第3及び第4のガス導入口MI3からキャリアガスIGによって導入される。これらのガスは、互いに反応してGaClとなった後、キャリアガスによって、GaAs基板2Aの上に導入される。そして、所定の時間、エピタキシャル成長が行われる。その結果、バッファ層2上には、図2に示されるように、Inx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層2Cが形成される。
【0016】
図3の製造装置によると、このような工程の結果、GaAs基板2A上に、次式(1),(2)で示される基本的な所望の反応機構に従って、高品質のInNバッファ層2B及びInx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層2Cを順次形成することができる。
InCl3 +NH3 → InN (1)
GaCl +NH3 → GaN (2)
【0017】
しかしながら、図3のような製造装置では、第二工程において、所望の反応機構に対して、TMGa及びInCl3 が反応チャンバーRCの上部で、次式(3)に従った反応が併発される。
InCl3 +TMGa→InCl+GaCl (3)
このため、インジウム(In)とガリウム(Ga)の供給比を制御するのが非常に困難になり、所望のIn組成「x」を有するInx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層を得ることが困難になってしまう。
【0018】
さらに、このような供給比制御の困難性に加えて、上式(3)に伴ってH2 が発生されると想定され、このH2 によりInCl3 の熱分解が生じる傾向があるので、必要なInの取り込みが難かしくなって、Inx Ga1-x Nの成長を困難にするという不都合をも招くと考えられる。そして、このような傾向は、特に、InCl3 を用いて高温成長を行う場合にInCl3 の分解が促進されるため、InCl3 を用い比較的高温で高速成長させようとする上記気相成長方法にとっては大きな問題である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、反応管内部に新規な構造を採用してことにより、上述の諸問題点を解決すること、つまり、Inx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層のIn組成「x」の制御性を改善して、所望のIn組成比「x」をもつInx Ga1-x Nエピタキシャル層を容易に得ることができる製造装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明による化合物半導体の製造装置は、Inx Ga1-x N(ただし、0<x<1)の気相成長させるのに、三重管構造の反応管が採用される。つまり、本発明によると、インジウム(In)原料として三塩化インジウム(InCl3 )を用いて基板の上に窒化インジウムガリウム(Inx Ga1-x N、ただし、0<x<1)を気相成長させるための化合物半導体の製造装置において、内側管、中間管及び外側管がほぼ同心状に設けられ、これらの管により形成される空間が、少なくとも、三塩化インジウムを含むガス、ガリウム化合物を含むガス及び窒素化合物を含むガスを前記基板の近傍まで個別的に導入するための通路として構成される。
【0021】
本発明による化合物半導体の製造装置においては、InCl3 を含むガス及びガリウム化合物を含むガスが、独立した案内路を通して基板の近傍まで個別的に導入されるので、InCl3 とガリウム化合物との反応を抑制することができ、InCl3 の熱分解を抑制することができる。従って、本発明によると、In組成の制御性が改善され、所望のIn組成「x」を有する高品質のInx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層を容易に且つ再現性よく得ることができる。
【0022】
本発明の好適な実施例に従うと、3つの管によって内側管内、内側管と中間管との間及び中間管と外側管との間の各空間が、それぞれ、窒素化合物を含むガス、三塩化インジウム(InCl3 )を含むガス及びガリウム化合物を含むガスを前記基板の近傍まで個別的に導入するための通路として構成され、内側管及び中間管は、前記基板を設置するための手段に向かって開口しており、外側管はこの手段を包囲するように延びており、外側管の周りの外部には、前記基板を加熱するための手段が設けられる。
【0023】
本発明による化合物半導体の製造装置を使用するに当たっては、キャリアガスとして用いられる不活性ガスIGには、窒素(N2 )ガス或いはヘリウム(He)ガスを用いるのが好適であり、これらのガスは、例えば、特に廉価性が追及されるときにはN2 を採用し、特に組成及び膜厚の均一性が追及されるときにはHeを採用するというように、必要に応じて選択される。また、基板の材料には、砒化ガリウム(GaAs)、燐化ガリウム(GaP)、砒化インジウム(InAs)、燐化インジウム(InP)および炭化珪素(SiC)からなる群から選ばれる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図4には、本発明の一実施例によるInx Ga1-x Nの製造装置が示されており、この製造装置は、石英からなる反応チャンバー1内の下部のほぼ中央に基板サセプタ2を内蔵し、上部には第1乃至第4のガス導入口3〜6を備えている。反応チャンバー1内には、基板サセプタ2の周辺に反応空間11が形成され、さらに、底部には排気口12が設けられ、外部にはチャンバー内全体を加熱するための抵抗加熱ヒータ13が設けられている。
【0025】
第1のガス導入口3の内部側には III族原料として三塩化インジウム(InCl3 )を収納するためのリザーバー31が設けられ、リザーバー31の外部には三塩化インジウム(InCl3 )の蒸気圧を制御するためのリザーバー用抵抗加熱ヒータ32が設けられる。このInCl3 蒸気を反応空間11に搬送するために、第1のガス導入口3には、例えば、窒素(N2 )ガスやヘリウム(He)ガスのような不活性キャリアガスIGが導入されるようになっている。また、第2のガス導入口4は、V族原料としてアンモニア(NH3 )ガスを導入するために設けられ、反応管のほぼ中心軸に沿う内側管7に連通している。内側管7は基板サセプタ11の上で開口し、この内側管7の周りを中間管8が取巻いている。この中間管8は、上部が管路33を介してリザーバー31に連通しており、下部が反応空間11の上部で開口しており、内側管7との間に中間通路81を形成している。これらの管7,8は石英で作製される。
【0026】
第3のガス導入口5は、トリメチルガリウムTMGa(trimethylgallium;C3 H9 Ga)ガスを導入するために設けられ、第4のガス導入口6は、塩化水素(HCl)ガスを導入するために設けられる。両導入口5,6に連通する管路51は、これらのガスを混合してチャンバー上部に導入するために、反応チャンバー1内の上部で開口している。
【0027】
反応チャンバー1内の側部には外側管9が設けられる。外側管9は、管路51から導入された混合ガスを案内する下り側部通路91を形成すると共に、基板サセプタ2の近傍に基本的な反応機構を生起するための反応空間11を形成するために設けられ、中間管8、内側管7及び基板サセプタ2を取り囲んで管の底部に達している。
【0028】
この例では、反応空間11でのガスの混合乃至反応の均一性を向上するために、反応チャンバー1の底部の周縁には別のキャリアガス導入口14が設けられ、ここからも不活性キャリアガスIGを導入することができるようになっている。このキャリアガス導入口14は、反応チャンバー1の側壁15と外側管9と間に形成された上り側部通路16を通り、外側管の上端の開口部を経た上、中間管8と外側管9と間に形成された下り側部通路91を通り、反応空間11の上部に連通している。
【0029】
このように、この製造装置では、三重管構造の反応管が採用されている。つまり、第1のガス導入口3から導入される不活性キャリアガスIGによって、リザーバー31からのInCl3 蒸気が、中間管8による中間通路81を介して基板サセプタ2の近傍に形成される反応空間11に導入されるようになっている。また、第2のガス導入口4から導入されるNH3 ガスは、内側管7を介して反応空間11に導入することができるようになっている。そして、第3のガス導入口5からのTMGaガス及び第4のガス導入口6からのHClガスは、互いに混合され反応して塩化ガリウム(GaCl)となった後、外側管9による下り側部通路91を介して、反応空間11に導入することができるようになっている。
【0030】
このように構成された本発明の一実施例による装置における製造工程の一例を説明しよう。先ず、石英からなる反応チャンバー1内の基板サセプタ2に、導電性の化合物半導体製基板2A、例えば、硫黄(H2 SO4 )系の通常のエッチング液で前処理した砒化ガリウムGaAsのような基板2Aが設置される。抵抗加熱ヒーター13により外部からチャンバーRC内全体を加熱することによって、この基板2Aは、第1の所定温度、例えば、 300〜500 ℃、特に好適な態様として、この例では 400℃に加熱され、この第1の温度状態に保持される。一方、リザーバー31は III族原料のInCl3 が収納され、抵抗加熱ヒータ32でInCl3 の気化温度にまで、例えば、 350℃に、加熱される。
【0031】
この状態で、第1のガス導入口3からは、加熱されたリザーバー31に、不活性キャリアガスIG、例えば、ヘリウム(He)ガスが導入され、これにより、リザーバー31内のInCl3 は、管路33及び中間通路81を通して所定の分圧にて反応空間11に所定の分圧、例えば1×10-4atm (気圧)で導入される。一方、第2のガス導入口2からは、V族原料としてアンモニアガス(NH3 )が内側管7を通して所定の分圧、例えば3×10-1atm で反応空間11に導入される。各ガスの分圧は、ガスの温度による飽和蒸気圧と流量により管理される。このような条件の下で、GaAs基板2Aの上でInCl3 及びNH3 を前述の基本的反応機構の式(1)に従って反応させ、所定の時間、エピタキシャル成長を行わせることによって、図2に示されるInNバッファ層2Bが数十nmオーダの所定の厚さで形成される。
【0032】
次に、このようにInNからなるバッファ層2Bが形成された基板2Aの温度を、抵抗加熱ヒーター13によって第2の所定温度、例えば 800℃以上、特に好適な態様として、この例では 800℃に加熱され、この第2の温度状態に保持される。このようにして基板2Aを 800℃にまで昇温した後、InCl3 及びNH3 に加えて、さらに、TMGa及びHClが第3及び第4のガス導入口5,6からHeキャリアガスIGによって導入される。なお、インジウム(In)及びガリウム(Ga)の総気相(In+Ga)に対するインジウム(In)気相の比は、0.85であり、Ga分圧は3×10-5atm 、総流量は2800sccm(standard cubic centimeter per minute:標準状態での1分当たり流量)であった。
【0033】
ガスTMGa,HClは、管路51を介して互いに反応してGaClとなり、InCl3 と式(3)のような反応を生起することがない。このGaClは、キャリアガス導入口14からのHeキャリアガスIGと共に下り側部通路91を通り、内側管7及び中間通路81からのInCl3 及びNH3 と共に、反応空間11に導入される。そして、InNバッファ層2Bが形成されたGaAs基板2Aの上で、InCl3 及びNH3 並びにGaCl及びNH3 を前述の基本的反応機構の式(1),(2)に従って反応させ、所定の時間、例えば9分間、エピタキシャル成長が行われる。
【0034】
その結果、バッファ層2B上には、図2に示されるように、鏡面状の高品質Inx Ga1-x N(ここで、x=0.2 )エピタキシャル層2Cがμmオーダまで所定の膜厚で形成されていることが確認された。
【0035】
実際に、本発明に従って三重管構造とした場合、及び、従来技術のように二重管構造とした場合に、成長温度 500℃及び 800℃ではインジウムの供給比に対してインジウム窒素組成比がどのようになるのかを実験してみると、図5に示すような特性が得られた。この図に示すように、従来技術の二重管構造では、In供給の気相比〔In/(In+Ga)〕の値に拘わらずIn組成が全然得られないのに対して、本発明に従って三重管構造とした場合には、In供給気相比が増大するにつれて、Inx Ga1-x Nに対する(InN)x の固相組成比、つまり、「x」が比例的に増大することが分かる。従って、本発明の製造装置によりIn組成の制御性を向上するという効果が確認される。
【0036】
このように、図4に例示されるように本発明に従って三重管構造を採用する化合物半導体の製造装置によると、高品質のInx Ga1-x N(ただし、0<x<1)エピタキシャル層2Cが形成されるだけでなく、In気相比と対応性のよいIn組成「x」が得られ、図3に示される二重管型の製造装置によるものに比べて、In気相比に対するIn組成「x」の制御性が著しく改善され、所望のIn組成比「x」をもつInx Ga1-x Nエピタキシャル層を容易に且つ再現性よく得ることができる。
【0037】
図4の製造装置の例では、不活性キャリアガスIGを独立的に導入するためのキャリアガス導入口14が設けられ、これらのキャリアガスの通路にも工夫がなされているので、キャリアガスの流入制御を効果的に行うことができ、しかも、反応空間11における原料ガスの均一な混合を促進することができる。そして、導入口14からのキャリアガス導入は必要に応じて行うことができる。
【0038】
なお、図4の製造装置の例のように不活性キャリアガスIGを独立的に導入するために設けられたキャリアガス導入口14は、必要に応じて、省略し或いは増設することができる。この場合、例えば、外側キャリアガス導入口14を省略した構造では、外側管9は反応チャンバー1の側壁15として兼用することができるというように、任意の設計変更が可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、Inx Ga1-x N(ただし、0<x<1)気相成長させるのに三重管構造の反応管を採用するので、Inx Ga1-x Nエピタキシャル層のIn組成「x」の制御性を改善して、所望のIn組成比「x」をもつ高品質のInx Ga1-x Nエピタキシャル層を容易に且つ再現性よく作製することができる製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】青色および緑色の発光素子の一例の構造を示す断面図である。
【図2】本発明による化合物半導体の製造装置によって作製される化合物半導体エピタキシャルウェハの構造例を示す断面図である。
【図3】従来技術における化合物半導体の製造装置の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施例による化合物半導体の製造装置を概略的に示す図である。
【図5】本発明に従う三重管構造及び従来技術の二重管構造におけるインジウムの供給比とインジウム窒素組成比の対応関係のグラフを示す図である。
【符号の説明】
2A:GaAs基板、
2B:InN基板、
2C:Inx Ga1-x Nエピタキシャル層:
1:反応チャンバー、
2:基板サセプタ、
3〜6:第1乃至第4のガス導入口、
7:内側管、
8:中間管、
9:外側管。
Claims (4)
- インジウム(In)原料として三塩化インジウム(InCl 3 )を用いて基板の上に窒化インジウムガリウム(In x Ga 1-x N、ただし、0<x<1)を気相成長させるための化合物半導体の製造装置において、内側管、中間管及び外側管がほぼ同心状に設けられ、これらの管により形成される空間が、少なくとも、三塩化インジウムを含むガス、ガリウム化合物を含むガス及び窒素化合物を含むガスを前記基板の近傍まで個別的に導入するための通路として構成されており、内側管及び中間管は、前記基板を設置するための手段に向かって開口しており、外側管はこの手段を包囲するように延びており、外側管の周りの外部には、前記基板を加熱するための手段が設けられることを特徴とする化合物半導体の製造装置。
- 内側管内、内側管と中間管との間及び中間管と外側管との間の各空間が、それぞれ、窒素化合物を含むガス、三塩化インジウム(InCl 3 )を含むガス及びガリウム化合物を含むガスを前記基板の近傍まで個別的に導入するための通路として構成されることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体の製造装置。
- 三塩化インジウム(InCl3)を含むガスを導入するための通路は、外部加熱手段を有する三塩化インジウム(InCl3)収納手段に連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体の製造装置。
- 前記基板の材料は、GaAs、GaP、InAs、InPおよびSiCからなる群から選ばれ、前記ガスを搬送するためのキャリアガスは、窒素(N2)ガス又はヘリウム(He)ガスの不活性ガスからなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化合物半導体の製造装置。
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