JP3991283B2 - 高分子電解質膜電極接合体の保管方法 - Google Patents

高分子電解質膜電極接合体の保管方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、水素イオン電導性高分子電解質電極接合体の保管方法に関するものである。例えば、家庭用コージェネレーションシステム、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、家電製品、携帯用コンピュータ装置、携帯電話、携帯用音響機器、携帯用情報端末などの携帯電気装置等に用いられる、高分子電解質型燃料電池用高分子電解質膜電極接合体の保管方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素イオン電導性高分子電解質を用いた高分子電解質型燃料電池(以下、燃料電池と略称する)は、水素を含む燃料ガスと、空気など酸素を含む酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。
【0003】
図1は、高分子電解質膜電極接合体(MEA:Membrane−Electrode−Assembly)の概要構成図である。MEA10は、高分子電解質型燃料電池の基本的な部分であって、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜11、および高分子電解質膜11の両面に配置された一対の電極(アノード側電極14aおよびカソード側電極14c)で構成される。
【0004】
電極14a、14cは、白金族金属触媒を担持した導電性カーボン粉末を主成分とする触媒層12、およびこの触媒層12の外側に形成された、通気性と電子導電性を併せ持つ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーからなるガス拡散電極13から構成される。
【0005】
そして、通常は、このMEA10を複数、積層して燃料電池を構成する。
【0006】
図2は、燃料電池を構成する、MEAの積層部分の概要を示す構成図である。なお、図1と同じ構成部分については、同じ符号を用いている。
【0007】
燃料電池に供給されたガスが燃料電池の外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極14a、14cの周辺には、水素イオン電導性高分子電解質膜11を挟んでガスシール材やMEAガスケット15が配置される。さらに、MEA10の外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEA10を互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板16が配置される。セパレータ板16のMEA10と接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路18a、18cが形成される。ガス流路18a、18cは、セパレータ板16と別に設けることもできるが、セパレータ板16の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。また、隣接する2つのセパレータ板16の間には、冷却水流路19およびセパレータガスケット20が設けられている。
【0008】
この積層された複数のMEA10とセパレータ板16とを、集電板と絶縁板を介して端板で挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な燃料電池の構造である。
【0009】
高分子電解質膜11は、水分を飽和状態で含水させることにより膜の比抵抗が小さくなり、水素イオン導電性電解質として機能する。よって、燃料電池の稼動中は、高分子電解質膜11からの水分の蒸発を防ぐために、燃料ガスおよび酸化剤ガスは加湿して供給される。また、発電時には、次の(1)式および(2)式に示される電気化学反応により、カソード側で反応生成物として水が生成される。
【0010】
アノード側反応: H2 →2H++2e- ……………(1)
カソード側反応: 2H++(1/2)O2 + 2e- → H2O ……(2)
これら、加湿された燃料ガス中の水、加湿された酸化剤ガス中の水、および反応生成水は、高分子電解質膜11を飽和状態に保つために使用され、さらに余剰の燃料ガス、および余剰の酸化剤ガスとともに燃料電池の外部へ排出される。
【0011】
MEA10は、高分子電解質膜11と、アノード側およびカソード側の触媒層12との界面のプロトン伝導性を良好にする為、さらには、触媒層12とガス拡散電極13との界面の電子伝導性を良好にする為に、通常は、図1に示すように一体化されている。
【0012】
MEA10の一体化は、一般に、アノード側及びカソード側のガス拡散電極13と高分子電解質膜11との間に触媒層12が接するようにして、高分子電解質膜11を挟み、加熱、加圧する方法、あるいは、両面に触媒層12が形成された高分子電解質膜11を2枚のガス拡散電極13で挟み、加熱、加圧する方法でなされる。
【0013】
しかし、これらの方法で作製されたMEA10は、良好な接合状態を得る為に、一体化形成時の加熱温度や圧力を高くすると、高分子電解質膜11がダメージを受け、膜強度やイオン交換力が低くなるという問題があった。さらに、一体化時の高圧が、触媒層12およびガス拡散電極13の圧密化を促進し、ガス拡散性が低下するという問題もある為、高分子電解質膜11と触媒層12とを十分に接合することは困難であった。
【0014】
その結果、高分子電解質膜11と触媒層12との界面のイオン抵抗が高くなるという欠点、さらには、触媒層12とガス拡散電極13とが十分に接合されず、触媒層12とガス拡散電極13との界面の電子抵抗が高くなるという欠点があった。
【0015】
このような課題を解決する方法として、2枚の電極で高分子電解質膜を挟んだ挟持体を溶媒中で加熱、加圧し、一体化する方法が提案されている(例えば、特開平3−208262号公報参照)。この方法によると、高分子電解質膜が溶媒中で軟化またはその一部が溶解して膨潤した状態になるので、ガス拡散電極との接合が容易になる。しかも、この時、高分子電解質膜がガス拡散電極の反応膜内に入り込み易いので、触媒反応が生じる面積が大きくなる。また、結果的に高分子電解質膜が極めて薄くなるので、イオン導電の抵抗が低下するという効果が記載されている。
【0016】
しかし、この方法によると、一体化後も高分子電解質膜が膨潤した状態にある為、高分子電解質膜と触媒層との界面が剥離しやすく、界面接合状態が悪くなっていることが確認された。
【0017】
このことを改善する方法として、予め溶媒を含んだ高分子電解質膜および/または触媒層を用い、実質上溶媒には浸漬しない状態で加熱および加圧する方法が提案されている(例えば、特開2002−93424号公報参照)。この方法によると、一体化工程中にMEA内の溶媒が蒸発する為、溶媒中で一体化する際の欠点が克服され、高分子電解質膜と触媒層との界面の接合状態が良好なまま維持されるという効果が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特開2002−93424号公報に記載されている方法で一体化したMEAは、特開平3−208262号公報に記載されている方法で一体化したMEAと比較し、高分子電解質膜中の残留溶媒はほとんどないが、触媒層細孔に入り込んだ高分子電解質中の溶媒を蒸発させるには不十分であった。この触媒層中の残留溶媒の影響により、MEAを長期間保管した後に燃料電池に組み込んで燃料電池を運転させる場合は、高分子電解質膜と触媒層との界面接合状態の悪化および触媒被毒等が発生するので、MEAを一体化して作製した直後に燃料電池に組み込んで燃料電池を運転させた場合と比較して、連続運転時の電圧劣化が大きくなる課題を有していた。
【0019】
さらに、特開2002−93424号公報に記載されている以外の方法でMEAを一体化する場合においても、MEA作製工程中に混入した不純物(特に金属不純物)の影響により、MEAの長期保管中に高分子電解質膜の劣化等が発生する。そのために、MEAを長期間保管した後に燃料電池として運転させる場合は、MEAを一体化して作製した直後に燃料電池として運転させた場合と比較して、連続運転時の電圧劣化が大きくなる課題を有していた。
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化を抑制する、具体的には、燃料電池の連続運転時の電圧劣化を抑制する、高分子電解質膜電極接合体の保管方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、高分子電解質膜、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層、および前記一対の触媒層のそれぞれの外面に配置された一対のガス拡散電極を有する高分子電解質膜電極接合体の保管方法において、予め溶媒を含んだ高分子電解質膜及び触媒層の少なくともいずれかを用いて前記高分子電解質膜電極接合体を作製した後300時間以内に、前記高分子電解質膜電極接合体に発電を電圧変化が2mV/h以下になるまで行わせるステップと、その後、常温常湿で前記高分子電解質膜電極接合体を保管するステップと、を備える、高分子電解質膜電極接合体の保管方法である。このような構成により、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化を抑制する、具体的には、燃料電池の連続運転時の電圧劣化を抑制することができる。
【0022】
第2の本発明は、前記発電の電流密度は、前記触媒層の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下である、第1の本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法である。このような構成により、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化をより抑制することができる。
【0023】
第3の本発明は、前記発電を3時間以上行わせる、第1の本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法である。このような構成により、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化をより抑制することができる。
【0024】
第4の本発明は、前記高分子電解質膜電極接合体に発電を行わせる際に供給する、燃料ガスおよび酸化剤ガスの露点は、いずれも、前記高分子電解質膜電極接合体の温度の−10℃以上、+10℃以下の範囲である、第1の本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法である。このような構成により、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の、保管による劣化が抑制される、高分子電解質膜電極接合体の保管方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保管方法について説明する。
【0028】
本実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保管方法では、図1に示すようなMEA10を一体化させて作製した後、長期間保管する前に発電を行わせることを特徴とする。MEA10を一体化形成して作製させる方法は、どのような方法であってもよい。
【0029】
図3は、本発明の実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保存方法を示すフローチャートである。図に示すように、まず、一体化形成して作製したMEA10を、長期間保管する前に、発電を行わせる(ステップS1)。本実施の形態では、MEA10を燃料電池に組み込む。 具体的には、MEA10を、アノード側導電性セパレータ板16と、カソード側導電性セパレータ板16で挟む。2枚のセパレータ板で挟んだ両端に、集電板と絶縁版を介して端版を重ね合わせ、締結ボルトで締め付けて燃料電池を構成する。
【0030】
そして、燃料電池に電力負荷を接続し、MEA10のアノード側に燃料ガスを、MEA10のカソード側に酸化剤ガスをそれぞれ供給して、燃料電池に発電を行わせる。所定の電流密度で所定の時間、燃料電池に発電を行わせた後、発電を停止させる。
【0031】
次に、MEA10を保管する(ステップ2)。本実施の形態では、発電を停止させた後、燃料電池からMEA10を取り外して保管する。あるいは、MEA10を燃料電池に組み込んだ状態のまま、MEA10を保管しても構わない。
【0032】
なお、本実施の形態1では、MEAをスタックに組み込み、燃料電池を構成させて発電を行なわせることとしたが、MEAに発電を行わせることができればよく、必ずしも燃料電池を構成させる必要はない。例えば、MEA10の性能検査等に用いられる発電試験装置を用いて、MEA10に発電をさせてもよい。
【0033】
本実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保管方法は、上記のように、保管する前に、MEA10のアノード側へ燃料ガスを、MEA10のカソード側へ酸化剤ガスを供給し、電力負荷へ出力する、すなわち発電を行わせることを特徴とするものである。
【0034】
本実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保管方法では、MEA10を保管する前に発電を行わせていることで、その後の保管による劣化を抑制できる。これは、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ排出させることができるためと考えられる。
【0035】
また、MEA10を保管する前の発電における所定の電流密度を、触媒層12の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下にすることにより、その後の保管による劣化をより抑制することができる。これは、MEA10内での電気化学反応を均一にし、ムラ無く燃料ガスと酸化剤ガスとの反応生成水を発生させることができ、これによって、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ排出させることができるためと考えられる。
【0036】
また、MEA10を保管する前の発電における所定の時間を、3時間以上にすることにより、その後の保管による劣化をより抑制することができる。これは、十分な発電時間によって、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ十分に排出させることができるためと考えられる。
【0037】
また、MEA10を保管する前の発電において、MEA10の単位時間当たり電圧変化(dV/dt)が2mV/h以下になるまで発電させることにより、その後の保管による劣化をより抑制することができる。これは、十分な電気化学反応によって、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ十分に排出させることができるためと考えられる。
【0038】
また、MEA10を保管する前の発電を、MEAを一体化形成して作製した後、MEA10が劣化しない期間内に行わせることにより、その後の保管による劣化をより抑制することができる。これは、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物によるMEA10の劣化が進行する前に、発電による排出水とともにこれらをMEA10外へ十分に排出させることができるためと考えられる。なお、MEA10が劣化しない期間とは、MEA10が未使用の期間であって、かつ上記発電後の保管期間における劣化抑制の効果が確認される期間をいう。例えば、下記実施例のような運転試験によって求めることができる。一例としては、MEA10を一体化形成して作製してから300時間以内である。
【0039】
また、MEA10を保管する前の発電において、供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスの露点を、MEA10の温度の−10℃以上、+10℃以下の範囲の温度とすることにより、その後の保管による劣化をより抑制することができる。これは、MEA10へ過多になることなく十分な水を供給でき、排出水のガス流路閉塞による電気化学反応のムラが無くなり、MEA10内で均一に燃料ガスと酸化剤ガスとの反応生成水を発生させることができる。これによって、高分子電解質膜−電極一体化工程で蒸発し切れなかった触媒細孔中などの溶媒、およびMEA作製工程において混入した金属などの不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ十分に排出させることができるためと考えられる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
まず、各実施例および各比較例における燃料電池に共通したMEA作製方法について説明する。
【0042】
MEA10を作製するにあたり、まず、以下の方法で高分子電解質膜―触媒層接合体を形成させた。
【0043】
触媒粉末10g、水35g、およびパーフルオロスルホン酸イオン交換樹脂のアルコール分散液(旭硝子(株)製、商品名:9%FFS)59gを超音波攪拌機を用いて混合し、触媒層用ペーストを調製した。この触媒粉末には、比表面積800m2/gで、DBP吸油量が360ml/100gのケッチェンブラックEC(KETJENBLACK EC)に、白金を重量比で50:50の割合で担持させたものを用いた。
【0044】
この触媒層用ペーストを、塗工機(HIRANO TECSEED Co. Ltd.製 M200L)により、膜厚50μmのポリプロピレン製支持体フィルム(Toray Industries Inc.製、Torayfan(登録商標)50―2500)上に塗布し、乾燥させて触媒層12を形成させた。この触媒層12の大きさは、6×6cm2である。
【0045】
次に、12×12cm2の高分子電解質膜11(JAPAN GORE-TEX INC.製、Gore―Select(登録商標))の両面を、このポリプロピレン製支持体フィルム上に形成させた2枚の触媒層12で、その触媒層側の面が高分子電解質膜側になるようにして挟んだ。そして、ロールプレスした後にポリプロピレン製支持体フィルムのみを両面とも剥がし、両面に触媒層12が付いた高分子電解質膜11を作製した。こうして得られた触媒層12中の白金量は、片面に付き0.3mg/cm2であった。
【0046】
次に、両面に触媒層12が付いた高分子電解質膜11を、純水中で30分間煮沸して水を含ませ、その後室温の純水中に保管し水を含んだ状態を保たせた。
【0047】
そして、パーフルオロスルホン酸イオン交換樹脂の分散液(旭硝子(株)、商品名:9%FFS)をエタノールで濃度5wt%に希釈して製造された接着剤を、予めそれぞれの片面にスプレー法により塗布した2枚のガス拡散層13(JAPAN GORE-TEX INC.製、Carbel―CL(登録商標))で、水を含んだ状態の両面に触媒層12が付いた高分子電解質膜11の両面を挟み、温度100℃、時間60分間、圧力50×105Paでホットプレスし、高分子電解質膜電極接合体(MEA)10を作製した。ここで使用したガス拡散層13の大きさは、6.2×6.2cm2である。
【0048】
作製したMEA10を、大きさが120mm角、厚さが5mmであるアノード側導電性セパレータ板16およびカソード側導電性セパレータ板16で挟み、その両端のそれぞれに、集電板と絶縁板を介して端板を重ね合わせ、締結ボルトで締結力14kNで締め付けて燃料電池を構成させた。
【0049】
燃料電池は、その温度を70℃に保持し、加温、加湿した水素ガスおよび空気を燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%に設定した。
【0050】
なお、各実施例および各比較例において、MEA10に発電動作を行わせた後に、常温常湿下で8週間保管している。この8週間という保管期間は、本発明の、溶媒または不純物の影響により高分子電解質膜11が劣化する期間としての一例であり、本実施例の説明では、この期間を、MEA10に発電を行わせる前の保管期間と区別して、長期保管という表現としている。
【0051】
(実施例1)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0052】
(実施例2)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、MEA10をこの燃料電池から取出して、MEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0053】
(比較例1)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。ガスを供給せず、かつ発電もさせずに、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で、8週間保管した。
【0054】
以上の実施例1および比較例1の各燃料電池について、また、実施例2は再度燃料電池を作製し、各燃料電池の温度を70℃に保持しながら、アノードおよびカソードにはそれぞれ露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温して各燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0055】
表1に、実施例1、実施例2及び比較例1の運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0056】
【表1】
┌──────┬───────┐
│ │ΔV(mV) │
├──────┼───────┤
│ 実施例1 │ 10 │
├──────┼───────┤
│ 実施例2 │ 8 │
├──────┼───────┤
│ 比較例3 │ 100 │
└──────┴───────┘
表1から明らかなように、実施例1および実施例2は、比較例1と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。
【0057】
この結果から、MEA10を長期保管する前に発電を行わせたことにより、保管による劣化を抑制する効果があることを確認できた。
【0058】
また、実施例1と実施例2の比較により、長期保管する前に発電したMEA10を燃料電池に組み込んだ状態、および燃料電池から取り出した状態のいずれにおいても、同様に保管による劣化を抑制する効果があることを確認できた。
【0059】
(比較例2)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、発電を行わせない状態のまま、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温して3時間この燃料電池に供給した。供給後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0060】
比較例2の燃料電池について、燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してその燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0061】
表2に、実施例1及び比較例2の運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0062】
【表2】
┌──────┬───────┐
│ │ΔV(mV) │
├──────┼───────┤
│ 実施例1 │ 10 │
├──────┼───────┤
│ 比較例2 │ 90 │
└──────┴───────┘
表2から明らかなように、実施例1は、比較例2と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。この結果から、MEAを長期保管する前に、加温、加湿したガスの供給のみではなく、発電を行わせることにより、保管による劣化を抑制する効果があることを確認できた。
【0063】
(実施例3)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.1A/cm2で12時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0064】
(比較例3)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.05A/cm2で12時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0065】
(比較例4)
MEA10作製後、常温常湿にて1週間保管したMEAを用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.5A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿状況下で8週間保管した。
【0066】
以上の実施例3および比較例3、4の各燃料電池について、各燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温して各燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0067】
表3に、実施例1、実施例3、比較例3及び比較例4における、発電時の触媒層12の面積当たり電流密度I、発電終了時におけるMEA10の時間当たり電圧変化dV/dt及び運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0068】
【表3】
┌──────┬────────┬───────────┬──────┐
│ │I(A/cm2)│dV/dt(mV/h)│ΔV(mV)│
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 実施例1 │ 0.4 │ 1.5 │ 10 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 実施例3 │ 0.1 │ 0.0 │ 8 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 比較例3 │ 0.05 │ 5.0 │ 50 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 比較例4 │ 0.5 │ 3.0 │ 70 │
└──────┴────────┴───────────┴──────┘
表3から明らかなように、実施例1および実施例3は、比較例3および比較例4と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。したがって、電流密度Iの範囲が0.1A/cm2〜0.4A/cm2以外の場合は、電極面内での電気化学反応が不均一になり、触媒層内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA外へ十分には排出させることができなかったものと考えられる。この結果から、MEA10を長期保管する前に行わせる発電における電流密度を、0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下にすることにより、保管による劣化をより抑制する効果があることを確認できた。
【0069】
さらに、表3から明らかなように、実施例1および実施例3は、比較例3および比較例4と比較すると、発電の終了時における電圧変化dV/dtが小さいことがわかる。この電圧変化は、触媒層内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA外へ排出中である為に起こると考えられる。したがって、発電終了時における電圧変化dV/dtが1.5mV/h以下であれば、触媒層内の細孔中にある不純物の排出が十分にできているものと考えられる。
【0070】
(比較例5)
MEA10作製後、常温常湿にて15時間、約1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加温された水素ガスおよび空気をこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で2時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で、8週間保管した。
【0071】
比較例5の燃料電池について、燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃となるように加湿された水素ガスおよび空気を70℃に加温してその燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0072】
表4に、実施例1及び比較例5における、発電終了時におけるMEA10の時間当たり電圧変化dV/dt及び運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0073】
【表4】
┌──────┬────────────┬──────┐
│ │ dV/dt(mV/h) │ΔV(mV)│
├──────┼────────────┼──────┤
│ 実施例1 │ 1.5 │ 10 │
├──────┼────────────┼──────┤
│ 比較例5 │ 4.5 │ 60 │
└──────┴────────────┴──────┘
表4から明らかなように、実施例1は、比較例5と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。よって、発電の時間が3時間以上でない場合には、触媒層12内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ十分には排出することができなかったものと考えられる。この結果から、MEA10を長期保管する前に行わせる発電の時間を3時間以上にすることにより、保管による劣化をより抑制する効果があることを確認できた。
【0074】
さらに、表4から明らかなように、実施例1は比較例5と比較すると、発電終了時における電圧変化dV/dtが小さいことがわかる。この電圧変化は、触媒層内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA外へ排出中である為に起こると考えられる。したがって、前述の表3と同様、発電終了時における電圧変化dV/dtが1.5mV/hであれば、触媒層内の細孔中にある不純物の排出が十分にできているものと考えられる。
【0075】
(実施例4)
MEA10作製後、常温常湿にて300時間、約2週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気をこの燃料電池に供給して、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で、8週間保管した。
【0076】
(比較例6)
MEA10作製後、常温常湿にて500時間、約3週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気をこの燃料電池に供給して、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で、8週間保管した。
【0077】
以上の実施例4および比較例6の各燃料電池について、各燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を各燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0078】
表5に、実施例4及び比較例6における、発電終了時におけるMEA10の時間当たり電圧変化dV/dt及び運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0079】
【表5】
┌──────┬────────────┬──────┐
│ │ dV/dt(mV/h) │ΔV(mV)│
├──────┼────────────┼──────┤
│ 実施例4 │ 2.0 │ 12 │
├──────┼────────────┼──────┤
│ 比較例6 │ 1.5 │ 80 │
└──────┴────────────┴──────┘
表5から明らかなように、実施例4は比較例6と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。また、実施例4は比較例6と比較すると、発電終了時における電圧変化dV/dtには、ほとんど差がない。このような結果から、MEA10作製後300時間以内に発電しなかった場合には、触媒層12内の細孔中にある不純物による触媒劣化、さらには、高分子電解質膜−触媒の界面接合状態の不均一化が進行してしまい、MEA10が劣化しない期間以後に、発電を行わせることにより不純物を排出させても、劣化抑制の効果がないものと考えられる。つまり、MEA10の発電を、MEA10が劣化しない期間内に行わせることにより、保管による劣化をより抑制する効果があることを確認できた。
【0080】
また、MEA10が劣化しない期間の一例として、MEA作製後300時間が好適であることを確認できた。
【0081】
(実施例5)
MEA10作製後、常温常湿にて150時間、約1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点60℃(供給ガス露点T=60℃)に加湿された水素ガスおよび空気を60℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で8週間保管した。
【0082】
(実施例6)
MEA10作製後、常温常湿にて150時間、約1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点80℃(供給ガス露点T=80℃)に加湿された水素ガスおよび空気を80℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、スタックに組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で8週間保管した。
【0083】
(比較例7)
MEA10作製後、常温常湿にて150時間、約1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点T50℃(供給ガス露点T=50℃)に加湿された水素ガスおよび空気を50℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で8週間保管した。
【0084】
(比較例8)
MEA10作製後、常温常湿にて150時間、約1週間保管したMEA10を用いて燃料電池を作製した。この燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点85℃(供給ガス露点T=85℃)に加湿された水素ガスおよび空気を85℃に加温してこの燃料電池に供給し、電流密度0.4A/cm2で3時間発電を行わせた。発電後、この燃料電池に組み込まれた状態のままのMEA10を常温常湿下で8週間保管した。
【0085】
以上の実施例5、6および比較例7、8の各燃料電池について、各燃料電池の温度を70℃に保持しながら、露点70℃となるように加湿した水素ガスおよび空気を70℃に加温して各燃料電池に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間連続運転試験を行った。
【0086】
表6に、実施例5、実施例6、比較例7及び比較例8における、供給ガス露点T、発電終了時におけるMEA10の時間当たり電圧変化dV/dt及び運転試験におけるMEA10の電圧低下量ΔVを示す。
【0087】
【表6】
┌──────┬────────┬───────────┬──────┐
│ │ T(℃) │dV/dt(mV/h)│ΔV(mV)│
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 実施例5 │ 60 │ 1.5 │ 15 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 実施例6 │ 80 │ 2.0 │ 14 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 比較例7 │ 50 │ 3.0 │ 55 │
├──────┼────────┼───────────┼──────┤
│ 比較例8 │ 85 │ 5.0 │ 65 │
└──────┴────────┴───────────┴──────┘
表6から明らかなように、実施例5および実施例6は比較例7および比較例8と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。よって、供給する水素ガスおよび空気の露点が、燃料電池の温度(70℃)の−10℃以上かつ+10℃以下の内の温度以外の場合には、水分の供給不足または供給過多になることから、電極面内での電気化学反応が不均一になると考えられる。したがって、この場合には、触媒層12内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA外へ十分には排出させることができなかったものと考えられる。
【0088】
この結果から、発電における供給ガスの露点を、燃料電池の温度の−10℃以上かつ+10℃以下の範囲内の温度にすることにより、保管による劣化をより抑制する効果があることを確認できた。
【0089】
さらに、表6から明らかなように、実施例5および実施例6は、比較例7および比較例8と比較し、発電終了時における電圧変化dV/dtが小さいことがわかる。この電圧変化は、触媒層12内の細孔中にある不純物を、発電による排出水とともにMEA10外へ排出中である為に起こると考えられる。したがって、上述の表3及び表4に示される結果と併せて分析すると、発電終了時における電圧変化dV/dtが2.0mV/h以下の場合には、触媒層12内の細孔中にある不純物の排出が十分にできていると考えられる。この結果から、発電終了時における電圧変化dV/dtを、2.0mV/h以下にすることにより、保管による劣化をより抑制する効果があることを確認できた。
【0090】
以上に説明したように、本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法は、高分子電解質膜電極接合体10を長期保管する前に、高分子電解質膜電極接合体10のアノード側触媒層12へ燃料ガス、カソード側触媒層12へ酸化剤ガスを供給しながら電力負荷へ出力させる、すなわち発電を行わせることにより、保管による高分子電解質膜電極接合体10の劣化を抑制し、保管後の連続運転時の電圧劣化を抑制することができる。これは、高分子電解質膜電極接合体10のアノード側とカソード側との間に触媒層12細孔中も含めて、水の流れが形成される。そして、高分子電解質膜電極接合体一体化工程で蒸発し切れなかった残留溶媒、および高分子電解質膜電極接合体作製工程で混入した不純物が、その水の流れで洗い流されるためと考えられる。
【0091】
また、本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法を用いることにより、保管後の高分子電解質膜電極接合体10を組み込んだ燃料電池の安定した出力電圧を実現することができる。また、製作直後の高分子電解質膜電極接合体の連続運転時の電圧劣化性能と同等の性能を有する、高分子電解質膜電極接合体を提供することができる。
【0092】
なお、本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法は、本実施例に記載の発電方法などに限定されるものではなく、発明の趣旨から容易に置換可能な様々な発電方法が可能である。
【0093】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法は、保管する前に、高分子電解質膜電極接合体のアノード側へ燃料ガス、高分子電解質膜電極接合体のカソード側へ酸化剤ガスを供給しながら電力負荷へ出力する、すなわち発電処理を有することにより、保管による劣化を抑制させる保管方法として有用である。
【0095】
また、本発明の高分子電解質膜電極接合体の保管方法は、保管後においても安定した出力電圧が必要な、家庭用コージェネレーションシステム、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、家電製品、携帯用コンピュータ装置、携帯電話、携帯用音響機器、携帯用情報端末などの携帯電気装置等に用いる燃料電池の高分子電解質膜電極接合体に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、高分子電解質膜電極接合体(MEA)の概要構成図である。
【図2】図2は、燃料電池を構成するMEAの積層部分の概要を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1の高分子電解質膜電極接合体の保存方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
10 高分子電解質膜電極接合体(MEA)
11 高分子電解質膜
12 触媒層
13 ガス拡散電極
14a アノード側電極
14c カソード側電極
15 MEAガスケット
16 セパレータ板
17 MEA
18a、18c ガス流路
19 冷却水流路
20 セパレータガスケット

Claims (4)

  1. 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層、および前記一対の触媒層のそれぞれの外面に配置された一対のガス拡散電極を有する高分子電解質膜電極接合体の保管方法において、
    予め溶媒を含んだ高分子電解質膜及び触媒層の少なくともいずれかを用いて前記高分子電解質膜電極接合体を作製した後300時間以内に、前記高分子電解質膜電極接合体に発電を電圧変化が2mV/h以下になるまで行わせるステップと、
    その後、常温常湿で前記高分子電解質膜電極接合体を保管するステップと、を備える、高分子電解質膜電極接合体の保管方法。
  2. 前記発電の電流密度は、前記触媒層の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下である、請求項1に記載の高分子電解質膜電極接合体の保管方法。
  3. 前記発電を3時間以上行わせる、請求項1に記載の高分子電解質膜電極接合体の保管方法。
  4. 前記高分子電解質膜電極接合体に発電を行わせる際に供給する、燃料ガスおよび酸化剤ガスの露点は、いずれも、前記高分子電解質膜電極接合体の温度の−10℃以上、+10℃以下の範囲である、請求項1に記載の高分子電解質膜電極接合体の保管方法。
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