JP3991132B2 - 排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸収剤として炭酸カルシウム(CaCO3)を用いた排煙脱硫装置は、一般に図3に示されるように、下部に吸収液1の液溜部1aが形成され且つ上部に多数のスプレーノズル2が配設された吸収塔3と、該吸収塔3の液溜部1aの吸収液1を汲み上げ前記スプレーノズル2から噴霧させて循環させる循環ポンプ4と、前記吸収塔3の液溜部1aに酸化用の空気を供給する酸化空気ブロワ5とを備えてなる構成を有している。
【0003】
前述の如き排煙脱硫装置の場合、吸収液1が循環ポンプ4の作動によりスプレーノズル2から噴霧されつつ循環しており、図示していない石炭焚ボイラ等から吸収塔3に送り込まれた排ガスは、前記スプレーノズル2から噴霧される吸収液1と接触することにより、SO2(硫黄酸化物)が吸収除去された後、外部へ排出される。
【0004】
一方、前記排ガスからSO2を吸収した吸収液1の一部は、吸収塔3の液溜部1aの底部から石膏スラリーとして石膏回収装置6へ導かれ石膏19が生成されるようになっている。該石膏回収装置6は、前記吸収塔3の液溜部1aの底部から抜き出される吸収液1の一部をカセイソーダ等の中和剤12と混合撹拌する中和タンク13と、該中和タンク13から抽出された吸収液14を濃縮せしめるシックナ15と、該シックナ15で濃縮された吸収液16が供給され且つ該吸収液16を撹拌する石膏分離機供給タンク17と、該石膏分離機供給タンク17から抽出される吸収液16を脱水し石膏19を生成するための石膏分離機20と、該石膏分離機20で脱水された水21が供給され且つ該水21の一部を前記シックナ15へ供給するための濾液ピット22と、前記シックナ15から上澄みの吸収液23が供給される母液タンク25とを備えてなる構成を有しており、前記母液タンク25内の吸収液23は、排水処理装置24へ供給されるようになっている。
【0005】
前記排水処理装置24は、硝化菌の作用により吸収液23に含まれる有害な窒素化合物を分解すると共に、COD(化学的酸素要求量)で表わされる還元性物質を高分子材料からなる吸着樹脂により吸着した後、前記吸収液23を清浄化された処理水として海等へ排出するようになっており、又、前記排水処理装置24内部に沈殿して残った汚泥は、適宜、産業廃棄物として処理するようになっている。
【0006】
又、前記吸収塔3内における吸収液1のpH(ペーハー)は、pH計7によって検出され、該pH計7によって検出された吸収液1のpHが所定の値に一定に保持されるよう流量調整弁8の開度を制御することにより、前記吸収塔3には、必要に応じて適宜、所要量の吸収剤スラリーが供給されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の如く、排水処理装置24内部に沈殿して残った汚泥を別途に産業廃棄物として処理するのでは、手間と時間がかかると共に費用も嵩むため、最近、前記汚泥を吸収塔3内へ導入して吸収液1に混入させることにより、最終的に石膏19に混ぜて回収することが提案されている。
【0008】
前記汚泥の絶対量は、生成される石膏19の量に比べてごく微量ではあるものの、石膏19は製品として販売されるものであり、その純度がおよそ95%以上ないと商品価値がなくなるため、前記汚泥を単純に吸収塔3内へ受け入れたのでは、石膏19の純度が低下し、石膏19の商品価値がなくなってしまう可能性があった。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、目標石膏純度を維持できるだけの量の汚泥を吸収塔内へ導入し、石膏に混ぜて回収することができ、汚泥処理費用の削減を図り得る排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、排水処理装置から排出される汚泥を排煙脱硫装置吸収塔内へ導入するようにし、脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度と吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量とを検出し、前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量を求め、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量を求め、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるように吸収塔内へ導入する汚泥の流量を制御することを特徴とする排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法にかかるものである。
【0011】
又、本発明は、排水処理装置から排出される汚泥を排煙脱硫装置吸収塔内へ導入するよう構成し、
排水処理装置から吸収塔内へ導入される汚泥の流量を調節する汚泥流量調整弁と、
吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量を検出する汚泥受入流量計と、
脱硫ガス流量を検出する脱硫ガス流量計と、
吸収塔入口SO2濃度を検出する吸収塔入口SO2濃度計と、
前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量を求め、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量を求め、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるよう汚泥流量調整弁へ開度指令を出力して吸収塔内へ導入する汚泥の流量を制御する制御器と
を備えたことを特徴とする排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御装置にかかるものである。
【0012】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0013】
本発明の排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法においては、排煙脱硫装置の運転時には、脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度と吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量とが検出され、前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量が求められ、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量が求められ、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるよう制御が行われ、設定汚泥受入流量と等しい量の汚泥が吸収塔内へ導入される。
【0014】
又、本発明の排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御装置においては、排煙脱硫装置の運転時には、汚泥受入流量計によって吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量が検出されると共に、脱硫ガス流量計によって脱硫ガス流量が検出され、且つ吸収塔入口SO2濃度計によって吸収塔入口SO2濃度が検出され、制御器において、前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量が求められ、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量が求められ、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるよう汚泥流量調整弁へ開度指令が出力され、該汚泥流量調整弁の開度が調節され、前記設定汚泥受入流量と等しい量の汚泥が吸収塔内へ導入される。
【0015】
この結果、本発明の排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置においては、生成される石膏の純度を低下させずに目標石膏純度を維持しつつ、汚泥を石膏に混ぜて回収することが可能となり、石膏の商品価値が確保されると共に、汚泥処理費用も削減されることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0017】
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、排水処理装置24から排出される汚泥を吸収塔3内へ導入するようにすると共に、排水処理装置24から吸収塔3内へ導入される汚泥の流量を調節する汚泥流量調整弁26と、吸収塔3内へ実際に導入される実際汚泥受入流量Eを検出する汚泥受入流量計27と、脱硫ガス流量Aを検出する脱硫ガス流量計9と、吸収塔入口SO2濃度Bを検出する吸収塔入口SO2濃度計10と、前記脱硫ガス流量Aと吸収塔入口SO2濃度Bとに基づき吸収塔3内で生成される石膏量Cを求め、該石膏量Cに基づき目標石膏純度(およそ95%)を維持できるだけの設定汚泥受入流量Dを求め、前記実際汚泥受入流量Eが設定汚泥受入流量Dと等しくなるよう汚泥流量調整弁26へ開度指令Gを出力する制御器28とを具備せしめる。
【0018】
前記制御器28は、前記脱硫ガス流量計9で検出された脱硫ガス流量Aと前記吸収塔入口SO2濃度計10で検出された吸収塔入口SO2濃度Bと係数αとの積を演算することにより、吸収塔3内で生成される石膏量Cを求めて出力する乗算器29と、該乗算器29から出力される石膏量Cに基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量Dを求めて出力する関数発生器30と、前記関数発生器30から出力される設定汚泥受入流量Dと前記汚泥受入流量計27で検出された実際汚泥受入流量Eとの差を求め、汚泥受入流量偏差Fを出力する減算器31と、該減算器31から出力される汚泥受入流量偏差Fを比例積分処理して該汚泥受入流量偏差Fをなくすための汚泥流量調整弁26の開度指令Gを出力する比例積分調節器32とを備えてなる構成を有している。
【0019】
尚、前記脱硫ガス流量Aと吸収塔入口SO2濃度Bとを掛けると、吸収塔3内へ導入される排ガス中に含まれるSO2量が求められ、該SO2量に所定の係数αを掛ければ、吸収塔3内で生成される石膏量Cは求められる。
【0020】
又、前記関数発生器30には、図2に示されるような関数が入力されており、該関数は、石膏量Cの増減に対し略比例させて設定汚泥受入流量Dを増減させることを表わしている。
【0021】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0022】
排煙脱硫装置の運転時には、汚泥受入流量計27によって吸収塔3内へ実際に導入される実際汚泥受入流量Eが検出されると共に、脱硫ガス流量計9によって脱硫ガス流量Aが検出され、且つ吸収塔入口SO2濃度計10によって吸収塔入口SO2濃度Bが検出され、制御器28の乗算器29において前記脱硫ガス流量計9で検出された脱硫ガス流量Aと前記吸収塔入口SO2濃度計10で検出された吸収塔入口SO2濃度Bと係数αとの積を演算することにより、吸収塔3内で生成される石膏量Cが求められて関数発生器30へ出力され、該関数発生器30において前記乗算器29から出力される石膏量Cに基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量Dが求められて減算器31へ出力され、該減算器31において前記関数発生器30から出力される設定汚泥受入流量Dと前記汚泥受入流量計27で検出された実際汚泥受入流量Eとの差が求められ、汚泥受入流量偏差Fが比例積分調節器32へ出力され、該比例積分調節器32において前記減算器31から出力される汚泥受入流量偏差Fが比例積分処理されて該汚泥受入流量偏差Fをなくすための開度指令Gが汚泥流量調整弁26へ出力され、該汚泥流量調整弁26の開度が調節され、前記設定汚泥受入流量Dと等しい量の汚泥が吸収塔3内へ導入される。
【0023】
この結果、生成される石膏19の純度を低下させずに目標石膏純度を維持しつつ、汚泥を石膏19に混ぜて回収することが可能となり、石膏19の商品価値が確保されると共に、汚泥処理費用も削減されることとなる。
【0024】
こうして、目標石膏純度を維持できるだけの量の汚泥を吸収塔3内へ導入し、石膏19に混ぜて回収することができ、汚泥処理費用の削減を図り得る。
【0025】
尚、本発明の排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法及び装置によれば、目標石膏純度を維持できるだけの量の汚泥を吸収塔内へ導入し、石膏に混ぜて回収することができ、汚泥処理費用の削減を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例の全体概要構成図である。
【図2】図1に示す関数発生器に設定されている関数を表わす線図である。
【図3】従来例の全体概要構成図である。
【符号の説明】
3 吸収塔
9 脱硫ガス流量計
10 吸収塔入口SO2濃度計
19 石膏
24 排水処理装置
26 汚泥流量調整弁
27 汚泥受入流量計
28 制御器
29 乗算器
30 関数発生器
31 減算器
32 比例積分調節器
A 脱硫ガス流量
B 吸収塔入口SO2濃度
C 石膏量
D 設定汚泥受入流量
E 実際汚泥受入流量
F 汚泥受入流量偏差
G 開度指令
Claims (2)
- 排水処理装置から排出される汚泥を排煙脱硫装置吸収塔内へ導入するようにし、脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度と吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量とを検出し、前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量を求め、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量を求め、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるように吸収塔内へ導入する汚泥の流量を制御することを特徴とする排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御方法。
- 排水処理装置から排出される汚泥を排煙脱硫装置吸収塔内へ導入するよう構成し、
排水処理装置から吸収塔内へ導入される汚泥の流量を調節する汚泥流量調整弁と、
吸収塔内へ実際に導入される実際汚泥受入流量を検出する汚泥受入流量計と、
脱硫ガス流量を検出する脱硫ガス流量計と、
吸収塔入口SO2濃度を検出する吸収塔入口SO2濃度計と、
前記脱硫ガス流量と吸収塔入口SO2濃度とに基づき吸収塔内で生成される石膏量を求め、該石膏量に基づき目標石膏純度を維持できるだけの設定汚泥受入流量を求め、前記実際汚泥受入流量が設定汚泥受入流量と等しくなるよう汚泥流量調整弁へ開度指令を出力して吸収塔内へ導入する汚泥の流量を制御する制御器と
を備えたことを特徴とする排煙脱硫装置吸収塔への汚泥受入制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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