JP3519582B2 - 排煙脱硫装置及び排煙脱硫方法 - Google Patents

排煙脱硫装置及び排煙脱硫方法

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JP3519582B2 JP25427897A JP25427897A JP3519582B2 JP 3519582 B2 JP3519582 B2 JP 3519582B2 JP 25427897 A JP25427897 A JP 25427897A JP 25427897 A JP25427897 A JP 25427897A JP 3519582 B2 JP3519582 B2 JP 3519582B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出口SO2濃度制
御を行う排煙脱硫装置に係り、特に負荷変動に対する追
従性が良好で、負荷変動の過渡期においても出口SO2
度を確実に上限値以下に維持でき、また副生される石膏
純度の安定化が図れる簡易な排煙脱硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発電プラント等に設けられる脱硫
装置としては、充填式の吸収塔や、スプレー式又は液柱
式の吸収塔を使用し、石灰石等のカルシウム化合物より
なる吸収剤が懸濁したスラリと排煙とを気液接触させる
ことにより排煙中の硫黄酸化物(主に亜硫酸ガス)を除
去し、石膏を副生する湿式石灰石膏法によるものが知ら
れている。
【0003】例えば、一塔式のものとしては、気液接触
効率の高い向流タイプの液柱式の吸収塔を使用したタン
ク酸化方式のものが、小型かつ高性能なものとして知ら
れている。以下、このような向流タイプの液柱式吸収塔
を使用した脱硫装置の本体構成の一例を、図6により説
明する。
【0004】この脱硫装置は、石灰石よりなる吸収剤が
懸濁したスラリ(以下、吸収剤スラリという。)が供給
されるタンク1を底部に有し、このタンク1の上方に延
設された気液接触部において、未処理排煙Aとタンク1
内の吸収剤スラリとを気液接触させる液柱式の吸収塔2
を有している。
【0005】ここで、吸収塔2は、未処理排煙Aを導入
する排煙導入部3が下部に設けられるとともに、処理済
排煙Bを導出するための排煙導出部(図示略)がその上
端部に形成されて、排煙が下部から導入されて上方に向
って流れるいわゆる向流式の吸収塔である。
【0006】なお、吸収塔2内の上部には、ミストエリ
ミネータ2aが設置され、気液接触により生じた排煙中
の同伴ミストがここで捕集されることにより、処理後排
煙中Bに亜硫酸ガス等を含んだミストが多量に含まれて
排出されないように構成されている。
【0007】また吸収塔2には、スプレーパイプ4が複
数設けられ、これらスプレーパイプ4には、この場合吸
収剤スラリを上方に向って液柱状に噴射するノズル(図
示略)が複数形成されている。また、タンク1の外側に
は、タンク1内の吸収剤スラリを吸上げる循環ポンプ5
が複数設けられ、循環ライン6を介して吸収剤スラリが
各スプレーパイプ4に送り込まれる。
【0008】そしてこの場合には、タンク1内のスラリ
を攪拌しつつ酸化用の空気Cを微細な気泡として吹込む
手段として、攪拌機7と、この攪拌機7の攪拌翼の近傍
に空気Cを吹込む吹込み管8とを備え、タンク1内で亜
硫酸ガスを吸収した吸収剤スラリと空気とを効率良く接
触させて全量酸化し石膏を得る構成となっている。
【0009】すなわち、吸収塔2でスプレーパイプ4か
ら噴射され排煙と気液接触して亜硫酸ガスや粉塵を吸収
しつつ流下する吸収剤スラリは、タンク1内において攪
拌機7と吹込み管8により攪拌されつつ吹込まれた多数
の気泡と接触して酸化され、さらには中和反応を起こし
て石膏を高濃度に含むスラリとなる。なお、これらの処
理中に起きる主な反応は以下の反応式(1)乃至(3)
となる。
【0010】
【化1】 (吸収塔排煙導入部) SO2 +H2O → H+ +HSO3 - (1) (タンク) H+ +HSO3 - +1/2O2 → 2H+ +SO4 2- (2) 2H+ +SO4 2- +CaCO3 +H2O → CaSO4・2H2O +CO2 (3)
【0011】こうしてタンク1内には、定常的には多量
の石膏と吸収剤である少量の石灰石と排煙中から捕集さ
れた僅かな粉塵とが懸濁又は溶存するようになってお
り、このタンク1内のスラリがこの場合循環ライン6か
ら分岐する配管ライン6aにより固液分離機9に供給さ
れ、ろ過されて水分の少ない石膏Dとして採り出され
る。一方、固液分離機9からのろ液は、この場合ろ液槽
10を経由してポンプ11により送り出され、一部が吸
収剤スラリを構成する水分としてタンク1に返送され、
一部が不純物の蓄積を防止すべく脱硫排水Eとして排出
される。
【0012】そして、運転中タンク1には、この場合ス
ラリ調整槽12から吸収剤である石灰石(カルシウム化
合物)がスラリとして供給される。スラリ調整槽12
は、攪拌機13を有し、図示省略したサイロから投入さ
れる粉状の石灰石Fと、供給された水G(工業用水等)
とを攪拌混合して搬送に適した所定濃度のスラリを生成
するもので、内部のスラリがスラリポンプ14によりタ
ンク1に向けて圧送されるようになっている。
【0013】スラリポンプ14の吐出側には、流量調整
弁15と流量検出器16とが接続されており、後述する
制御装置の指令を受けた流量調節器17が、流量検出器
16の検出信号を読み取りつつ流量調節弁15の開度を
調節することにより、この吸収剤スラリの供給量が後述
するような制御装置の指令どおりに調整される構成とな
っている。
【0014】なお、例えばタンク1には、必要に応じて
適宜補給水(工業用水等)が供給され、吸収塔2での蒸
発等により漸次減少する水分が補われる。また、上記タ
ンク1への補給水の流量や配管ライン6aからのスラリ
抜き出し流量などが調整されることによって、タンク1
内には、石膏や吸収剤を含有する固形分濃度略一定のス
ラリが常に一定範囲のレベル内に蓄えられた状態に維持
される。
【0015】次に、この種の脱硫装置の従来の制御技術
について説明する。この種の脱硫装置の脱硫性能は、排
煙と気液接触するタンク1内のスラリの性状や吸収塔2
における気液接触量により当然影響を受け、また運転コ
ストと裏腹の関係にある。このため、できるだけ必要最
低限の性能に維持して低コスト化を図るべく、運転中の
負荷変動等に応じてスラリの循環流量や吸収剤の投入流
量をなるべく必要最低限に調整する制御方法が従来より
提案されている。
【0016】このうち、スラリの循環流量による制御で
は、吸収塔の壁や充填物等に固形分が付着するのを防止
するために循環流量をそれほど小さくできないという問
題や、固形分を含むスラリであるために弁による循環流
量調整が困難といった問題があるため、通常は吸収剤の
投入流量の調整により基本的に装置性能を制御する方
式、又は吸収剤の投入流量の調整と循環流量の調整を組
合わせた方式が一般的である。
【0017】そして従来、このような吸収剤の投入流量
の制御は、実際の脱硫負荷量(未処理排煙中の亜硫酸ガ
ス量)から逐次演算される化学量論的当量の投入流量
に、逐次検出されるスラリのpH或いは出口SO2濃度
等の実測値を、設定値付近に維持するための修正量を加
えた値を目標値として行われていた。
【0018】例えば図7は、処理後排煙中の亜硫酸ガス
濃度(出口SO2濃度)を一定に制御する方式の制御装置
の構成を示すブロック図である。ここで、未処理排煙の
流量(脱硫ガス流量)及び未処理排煙中の亜硫酸ガス濃
度(入口SO2濃度)は、センサ21,22によりリアル
タイムで検出され、乗算器23に入力される。乗算器2
3は、これら検出値を乗算することにより、脱硫負荷量
に比例した値(前述の化学量論的当量に対応する値)を
出力し、加算器24に入力する。
【0019】一方、出口SO2濃度は、センサ25によ
り検出され、設定器26からの出口SO2濃度の設定値と
ともに、フィードバック制御部27に入力される。フィ
ードバック制御部27は、出口SO2濃度の検出値PVと
設定値SVの偏差から前述の修正量に対応する値MVを
算出して加算器24に入力する。加算器24では、乗算
器23の前述の出力とフィードバック制御部27からの
出力を加算して、加算結果を吸収剤スラリの流量設定部
28に入力する。そして流量設定部は、この入力信号に
応じた流量になるように、例えば前述の図6における流
量調整器17に指令を出す構成となっている。
【0020】この図7に示す制御装置によれば、負荷変
動があってもこれに対応した化学量論的当量の吸収剤が
基本量として投入され、なおかつ出口SO2濃度がフィー
ドバック制御されることにより、排煙性状の変動等の性
能低下の要因があっても、出口SO2濃度が設定値に維
持されるように、吸収剤の投入量が調整される。このた
め、長期的にみれば、ほぼ負荷に見合った必要最低限の
吸収剤が投入されて、ある程度の脱硫性能の維持や低コ
スト化が図れる。
【0021】このことは、スラリのpHをフィードバッ
ク制御して、スラリのpHが設定値(最適な値として求
められたもの)に維持されるように投入量を調整する場
合も概略同じであり、この場合制御装置の構成として
は、図7のセンサ25がpHセンサとなり、設定器26
がpHの設定器となる。
【0022】すなわち、一般にpHが高ければスラリの
循環流量が同じでも脱硫性能が向上する傾向にあるた
め、脱硫性能を目標値以上に維持するとともに吸収剤の
投入量を必要最低限に維持するためには、その時点での
脱硫負荷等の条件に対応したスラリpHの最適値が存在
し、このようなpHが正確に算出できてかつこのような
値に正確に調整することができれば、最低限のコストで
の所定の脱硫性能が発揮できることになる。
【0023】なお、この種の脱硫装置の制御装置として
は、負荷変動に対する追従性のさらなる向上や運転コス
トのさらなる低減等を目的として、以上のような基本的
制御に加えて従来各種の方式が提案されている。例え
ば、特開昭59−199020号公報や、特開昭59−
199021号公報には、脱硫負荷量に対応するスラリ
の最適pH値と最適稼働ポンプ台数の関係を、予め或い
はリアルタイムでシミュレーション等により設定し、こ
の関係に基づいて、吸収剤の供給流量及び稼働ポンプ台
数を制御する方法が開示されている。
【0024】この方法では、負荷の変動速度に比較して
吸収剤による中和速度が非常に小さいといった問題点
や、スラリの循環流量が固形分付着防止のためにそれほ
ど小さくできないといった問題点を考慮して、負荷に応
じて稼働ポンプ台数を変更するとともに、スラリのpH
が設定された最適値になるように吸収剤の供給流量を調
整する。
【0025】また、例えば特開昭59−150339号
公報には、スラリ中の炭酸塩濃度(未反応吸収剤濃度)
を連続測定する方法が述べられている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上説明し
た従来の制御装置には、負荷に対する追従性のさらなる
向上を図る上で、また副生品である石膏純度(カルシウ
ム利用率)を安定化する上で、以下のような問題点があ
った。 (1)まず、スラリのpHをフィードバックして、この
pHを設定値に維持するように、吸収剤の投入流量を調
整する従来の方式では、特に図6に示すようなタンク酸
化方式の場合に、pHの測定誤差及び制御上の誤差の影
響が相対的に大きくなり、負荷変動等に対して脱硫性能
や石膏純度を所定の値に安定的に維持することが困難と
なる。
【0027】というのは、この種の脱硫装置において排
出規制を遵守すべく最低限維持する必要のある出口SO
2濃度は、循環流量(気液接触容量)や脱硫負荷或いは排
煙の性状(不純物量)等の条件が一定であれば、本質的
には図3に示す如くスラリ液中に存在する未反応の吸収
剤(例えば石灰石;炭酸カルシウム)の濃度に依存す
る。また、スラリ中に存在する石膏以外の固形分のほと
んどは未反応の吸収剤であるため、スラリを固液分離し
て得られる石膏の不純物濃度もまた、この吸収剤濃度に
より略一義的に決る。
【0028】ところが、この吸収剤濃度とpHとの関係
は比例関係にはなく、特にタンク酸化方式の場合には吸
収剤の反応性が向上するため、上記吸収剤濃度の運転範
囲における変化に対してpHは僅かしか変化しない。
【0029】つまり、脱硫性能を判断する指標としての
スラリpHは、正確なものではなく、特にタンク酸化方
式の場合には感度が極めて鈍くなる。このため、前述し
たようなpHを例えば一定に調整する制御を行っていて
も、pH計の測定誤差等の影響が大きくなり、実際には
スラリ中の吸収剤濃度が適正値から変動してしまい、結
果として脱硫性能や石膏純度が変動することになる。
【0030】(2)また、排煙の出口SO2濃度をフィ
ードバックして、この値を負荷によらない一定の設定値
に維持するように、吸収剤の投入流量を調整する従来の
方式でも、やはりスラリ中の吸収剤濃度が必ずしも適正
値に制御されるとは限らないので、脱硫性能の負荷変化
への高い追従性や、石膏純度の安定的な維持が実現でき
ない。
【0031】例えば、出口SO2濃度一定制御の場合に
は、低負荷時における吸収剤の濃度は高負荷時に比較し
て格段に少なくなる。そして、一般に発電プラント等に
おけるボイラ負荷は例えば3〜5%/分といった程度で
急速に変動するが、これに比較して吸収塔タンクの容量
に対する吸収剤の供給能力は設備の低コスト化等のため
通常僅かである。このため、例えば図5に示す如く低負
荷から高負荷に変動した場合、負荷の変動に対してスラ
リ中の吸収剤濃度(例えば、炭酸カルシウム濃度)の増
加がこれに追いつかず、図5に示すように実際の出口S
2濃度が一時的に大きく増加して上限値をオーバーし
てしまう現象が起こる。また、スラリ中の吸収剤濃度が
負荷によって変動するため、石膏純度が安定化できな
い。
【0032】(3)なお、前述した公報に示された装置
は、シミュレーションモデルによりより妥当な制御目標
値や制御操作量を設定する点で優れているが、基本的に
pHを指標とした制御方式であるため、上記pHの測定
誤差の問題があり、制御の精度に限界があった。
【0033】(4)また、特開昭59−150339号
公報に開示された装置の場合には、スラリ中の炭酸塩濃
度を連続測定しているので、上記の負荷追従性向上及び
石膏純度確保の目的は達成できるが、炭酸塩濃度の連続
測定装置が必要となり設備が割高となる短所がある。
【0034】本発明は、このような従来の事情に鑑みて
なされたもので、特に負荷変動に対する追従性が良好で
負荷変動の過渡期においても出口SO2濃度を確実に上
限値以下に維持でき、また副生される石膏純度の安定化
が図れる簡易な排煙脱硫装置を提供することを目的とし
ている。
【0035】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の排煙脱硫装置は、未処理排煙とカル
シウム化合物よりなる吸収剤を含有するスラリとを吸収
塔内において接触させることにより、未処理排煙中の少
なくとも亜硫酸ガスを吸収する排煙脱硫装置において、
処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度を検知する出口SO2
度検知手段と、処理すべき未処理排煙中の亜硫酸ガス量
を検知する負荷検知手段と、この負荷検知手段の出力か
ら所定の出口SO2濃度特性に基づいて、処理後排煙中の
亜硫酸ガス濃度の設定値を決定する出口SO2濃度設定
手段と、この出口SO2濃度設定手段により、設定された
前記設定値と前記出口SO2濃度検知手段による実測値
との偏差を算出する偏差出力手段と、この偏差出力手段
の出力と前記負荷検知手段の出力に基づいて、前記亜硫
酸ガス量に対応する化学量論的当量に対して前記偏差に
対応した補正量を加算した吸収剤の投入量を算出する吸
収剤投入量設定手段と、この吸収剤投入量設定手段によ
り算出された投入量に基づいて前記スラリ内に吸収剤を
投入する吸収剤投入手段とを備え、前記出口SO2濃度
設定手段における出口SO2濃度特性は、負荷と処理後
排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定値との関係であって、負
荷変動に対して前記スラリ中の未反応吸収剤の濃度が一
定になるように設定されるものであることを特徴とす
る。
【0036】また、請求項2記載の排煙脱硫装置は、前
記出口SO2濃度設定手段における出口SO2濃度特性
が、最新のプロセス値に基づく脱硫シミュレーションを
行って処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度を予想するシミュ
レーションモデルにより周期的に求められ、所定周期で
更新設定されることを特徴とする。
【0037】また、請求項3記載の排煙脱硫装置は、前
記スラリを吸収塔内で循環させるポンプを複数台有し、
前記シミュレーションモデルは、このポンプの稼働台数
毎に前記出口SO2濃度特性を設定するとともに、前記脱
硫シミュレーションにより負荷変動に対する前記ポンプ
の最適稼働台数を示すポンプ稼働台数特性をも設定する
構成であり、さらに前記出口SO2濃度設定手段は、実際
のポンプ稼働台数により前記出口SO2濃度特性のうち
の対応する特性を選択し、この選択された特性に基づい
て処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定を行う構成であ
り、なおかつ前記ポンプ稼働台数特性に基づいて前記ポ
ンプの起動停止を行うポンプ制御手段を備えたことを特
徴とする。
【0038】また、請求項4記載の排煙脱硫方法は、前
記スラリを吸収塔内で循環させるポンプを複数台有し、
このポンプの稼働台数毎に前記出口SO2濃度特性を設
定するとともに、前記出口SO2濃度設定手段は、実際
のポンプ稼働台数により前記出口SO2濃度特性のうち
の対応する特性を選択し、この選択された特性に基づい
て処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定を行う構成であ
り、かつ、負荷変動に対する前記ポンプの最適稼働台数
を示すポンプ稼働台数特性に基づいて、前記ポンプの起
動停止を行うポンプ制御手段を備えたことを特徴とする
請求項1記載の排煙脱硫装置。
【0039】また、請求項5記載の排煙脱硫方法は、未
処理排煙とカルシウム化合物よりなる吸収剤を含有する
スラリとを吸収塔内において接触させることにより、未
処理排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを吸収する排煙脱硫
方法において、未処理排煙中の亜硫酸ガス量の変動に対
して前記スラリ中の未反応吸収剤の濃度が一定になるよ
うに、前記亜硫酸ガス量と処理後排煙中の亜硫酸ガス濃
度との関係である出口SO2濃度特性を設定し、この出
口SO2濃度特性に基づいて、実際の未処理排煙中の亜硫
酸ガス量から前記亜硫酸ガス濃度の設定値を求め、この
設定値に基づいて吸収剤の投入量を調整して前記亜硫酸
ガス濃度を制御することを特徴とする。
【0040】また、請求項6記載の排煙脱硫方法は、未
処理排煙とカルシウム化合物よりなる吸収剤を含有する
スラリとを吸収塔内において接触させることにより、未
処理排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを吸収する排煙脱硫
方法において、処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度と処理す
べき未処理排煙中の亜硫酸ガス量を検出し、前記亜硫酸
ガス量の検出値から所定の出口SO2濃度特性に基づい
て処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定値を決定し、こ
の設定値と前記亜硫酸ガス濃度の検出値との偏差を算出
し、この偏差と前記亜硫酸ガス量の検出値とに基づい
て、前記亜硫酸ガス量に対応する化学量論的当量に対し
て前記偏差に対応した補正量を加算した吸収剤の投入量
を算出し、この算出された投入量に基づいて前記スラリ
内に吸収剤を投入するようにし、前記出口SO2濃度特
性は、前記亜硫酸ガス量と前記亜硫酸ガス濃度との関係
を示す特性として、前記亜硫酸ガス量の変動に対して前
記スラリ中の未反応吸収剤の濃度が一定になるように設
定することを特徴とする。
【0041】また、請求項7記載の排煙脱硫方法は、前
記スラリを複数台のポンプにより吸収塔内で循環させる
ようにし、このポンプの稼働台数毎に前記出口SO2濃度
特性を設定するとともに、実際のポンプ稼働台数によ
り、前記出口SO2濃度特性のうちの対応する特性を選択
し、この選択された特性に基づいて処理後排煙中の亜硫
酸ガス濃度の設定を行い、かつ、負荷変動に対する前記
ポンプの最適稼働台数を示すポンプ稼働台数特性に基づ
いて、前記ポンプの起動停止を行うことを特徴とする。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて説明する。図1は、本例の排煙脱硫装
置の制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図
6及び図7に示す従来の装置と同様の構成要素には、同
符号を使用して重複する説明を省略する。
【0043】この制御装置は、具体的には各種センサ類
と制御装置本体により構成されるもので、機能的には、
脱硫シミュレーションを行うシミュレーションモデル3
1と、このシミュレーションモデル31により演算され
る出口SO2濃度特性に基づいて出口SO2濃度の設定値
を出力する演算器32(出口SO2濃度設定手段)と、
シミュレーションモデル31により設定されるポンプ稼
働台数特性に基づいてポンプ稼働台数の設定値を出力す
る演算器33(ポンプ制御手段)とを備える点に主な特
徴を有する。
【0044】シミュレーションモデル31は、石膏純度
の下限値や出口SO2濃度の上限値の設定入力31a,
31bと、各種プロセス値の最新の検出信号31cに基
づいて脱硫シミュレーションを行い、ポンプ稼働台数特
性と、ポンプ稼働台数毎の出口SO2濃度特性を出力す
る処理を一定周期(例えば1回/時間)で繰返すもので
ある。
【0045】ここでプロセス値31cとしては、未処理
排煙のガス流量、未処理排煙中の亜硫酸ガス濃度(入口
SO2濃度)、処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度(出口S
2濃度)、吸収塔スラリのCaCO3濃度、スラリ循環
流量等の最新データが入力される。
【0046】また、ポンプ稼働台数特性とは、例えば図
1に示すような負荷と稼働ポンプ台数との関係であり、
負荷に応じた必要最小限の稼働ポンプ台数を示す特性で
ある。さらに、出口SO2濃度特性とは、例えば図1に
示すような負荷と出口SO2濃度との関係であり、負荷
やポンプ稼働台数等の条件が変動しても吸収塔スラリ中
のCaCO3の濃度が一定になるように設定されるもの
である。
【0047】このシミュレーションモデル31は、例え
ば次のように実現される。即ち、脱硫装置の性能は、一
般に下記式(4),(5)にて表される。
【0048】
【数1】 Yso2 out = f(G,Yso2 in,[CaCO3],L,k) (4) ηso2 = g(G,Yso2 in,[CaCO3],L,k) (5)
【0049】但しここで、Yso2 outは脱硫装置出口
SO2濃度、Yso2 inは脱硫装置入口SO2濃度、Gは
処理ガス量、[CaCO3]は吸収塔スラリ中のCaCO
3濃度、Lはスラリ循環流量、f,gは脱硫装置特性を表
す関数、ηso2は脱硫率、kは吸収剤の活性値(溶解
速度)である。
【0050】即ち、脱硫装置出口SO2濃度は、上記入力
値に対して関数fを介して求めることができる。この関
数fは、特開昭59−199021号或いは特開昭63
−229126号公報に示されるような化学反応モデル
により実現してもよく、また制御対象となる脱硫装置実
機について種々の運転条件における特性を計測し、これ
を統計処理等の方法によりモデル化することも可能であ
る。
【0051】なお、上述の先行出願公報においては、吸
収塔スラリ中のCaCO3濃度の代りに、吸収塔pHを
変数としているが、本質的には吸収塔内の中和反応に寄
与するCaCO3濃度の方が、pHより直接的に脱硫性
能に影響する変数である。
【0052】本制御方式では、吸収塔スラリ中の未反応
石灰石の濃度、即ちCaCO3濃度を一定にするような出
口SO2濃度の設定値を求めるため、CaCO3濃度は例
えば一定値に固定して、上記シミュレーションモデルに
より、各負荷における出口SO2濃度を計算する。そし
て、この一定値は、例えば以下のようにして決定すれば
よい。
【0053】すなわち、脱硫装置の運転上の制約条件と
して、一般に石膏純度を確保する必要があるが、吸収塔
スラリ中のCaCO3が吸収塔から石膏と共に抜出され、
石膏中の不純物となるため、他の不純物(ばいじん、石
灰石中の不純物等)の濃度を考慮した上で、石膏純度を
確保するためのCaCO3濃度の上限値が決定される。
そして、この上限値を上記一定値として運転すれば、出
口SO2濃度を目標値以下に保ちつつ、吸収塔循環ポン
プ台数の低減、ひいては省エネルギを図ることができ
る。
【0054】なお、この各負荷における出口SO2濃度
の設定値は、排煙の性状(ボイラ燃料の性状)及び循環
流量(吸収塔循環ポンプ稼働台数)毎に設定する必要が
あり、予めオフラインシミュレーション計算又は実機運
転データ計測結果により設定値を決定しておくことも可
能だが、これら燃料性状及び循環流量毎の設定値を記
憶,選択等する煩雑さを避けるためには、シミュレーシ
ョンモデル31の処理により一定周期で最新の条件での
最適値を毎回求めて設定するのが好ましい。
【0055】こうしてシミュレーションモデル31で
は、毎周期以上のような計算が、各種負荷条件に対して
実行され、石膏純度の下限値を下回らない前述したよう
な一定値に石灰石濃度が維持されるような出口SO2
度の負荷に対する目標値(即ち、出口SO2濃度特性)
が、ポンプ台数毎に設定され、なおかつ、負荷に見合っ
た必要最低限のポンプ稼働台数(即ち、ポンプ稼働台数
特性)が、出口SO2濃度の上限を越えない範囲で求め
られる。
【0056】次に、演算器32(出口SO2濃度設定手
段)は、実際のポンプ運転台数の信号32aと、乗算器
23から出力される脱硫負荷の信号23aを受けて、シ
ミュレーションモデル31により設定される出口SO2
濃度特性に基づいて出口SO2濃度の設定値を出力する
ものである。
【0057】なお、この場合出口SO2濃度特性は、前述
したようにポンプ稼働台数毎に設定されているので、こ
の演算器32は、入力されたポンプ運転台数の信号32
aに対応する出口SO2濃度特性を選択し、この特性に基
づいて入力されている脱硫負荷の信号から出口SO2
度の出力値を決定する。例えば、図1に示すような出口
SO2濃度特性が選択された場合に、脱硫負荷の信号が
100%相当であると40ppm相当となり、50%相
当であると20ppm相当となる。
【0058】そして、演算器33(ポンプ制御手段)
は、発電量指令(ボイラ負荷)の信号33aを受けて、
シミュレーションモデル31により設定されるポンプ稼
働台数特性に基づいてポンプ稼働台数の設定値を出力す
るものである。例えば、図1に示すようなポンプ稼働台
数特性が設定されている場合に、発電機出力の信号が4
0〜100%相当であると3台となり、0〜40%相当
であると2台となる。なお、この演算器33の出力は、
ポンプの駆動制御を行うポンプ駆動制御部34(ポンプ
制御手段)に入力され、このポンプ駆動制御部34の制
御により設定値どおりの台数のポンプが定格一定回転数
で運転される。
【0059】なおこの場合、演算器33に入力される負
荷の信号として、負荷変動の変化が最初に現れる発電量
指令33aが使用されているため、負荷変動に対する応
答性がより良好となる。またこの場合、発電量指令の信
号33aは、石灰石スラリ(吸収剤スラリ)の投入量を
修正する加算器24にも入力され、急激な負荷変化があ
った場合には、先行して吸収剤スラリの投入量が増加修
正される構成となっている。
【0060】また本例においては、従来技術において説
明した流量調節器17(図6に示す)等が、本発明の吸
収剤投入手段を、センサ21,22及び乗算器23が本
発明の負荷検知手段を、センサ25が本発明の出口SO
2濃度検知手段を、加算器24及び流量設定部28が吸収
剤投入量設定手段を、またフィードバック制御部27が
偏差出力手段を構成している。
【0061】次に、上述した排煙脱硫装置の制御装置の
作用を説明する。上記のような制御装置であれば、シミ
ュレーションモデル31と演算器32(出口SO2濃度
設定手段)の機能により、出口SO2濃度の制御目標値
が負荷条件等に応じて変更され、これに基づくフィード
バック制御により石灰石の投入流量が調整されて、スラ
リ中の石灰石濃度(吸収剤濃度)が略一定に維持され
る。いいかえると、スラリ中の石灰石濃度が略一定にな
るように、出口SO2濃度制御が行われ、なおかつこの出
口SO2濃度が上限値を越えない範囲で運転される。
【0062】例えば、図3において符号S1に示すよう
な値に石灰石濃度が保持され、負荷が100%のときに
は符号Aで示すポイントに制御され、負荷が50%のと
きには符号Bで示すポイントに制御される。そして、石
灰石濃度が一定に保持されるということは、吸収塔タン
クの容量は一定であるので、未反応石灰石の保有量が一
定ということを意味し、本装置では負荷変動等の条件変
化があってもこの保有量は変更する必要がない。したが
って、急な負荷上昇があった場合でも、石灰石の投入量
増加が大きく遅れることはなく、例えば図4に示す如く
出口SO2濃度の実測値の変動は少ない。
【0063】これに対して、例えば従来の出口SO2
度一定制御であると、例えば負荷が100%のときには
図3の符号Aで示すポイントに制御され、負荷が50%
のときには例えば符号Cで示すポイントに制御され、石
灰石濃度(石灰石保有量)はS1からS2へと大きく変
動する。
【0064】このため、例えば負荷50%で符号Cで示
す状態から、急な負荷上昇があり100%負荷に上昇す
る際には、石灰石保有量をS2からS1に即座に増やす
ことは不可能であるため、装置の実際の状態は一時的に
符号Dで示すポイント付近になり、出口SO2濃度が大
きく上昇して上限を越えてしまう。
【0065】また本例の場合には、石灰石濃度が一定に
維持されるため、副生される石膏の純度が下限以上の安
定したものとなる。
【0066】また本例の装置では、脱硫装置の挙動を忠
実に模擬することができるシミュレーションモデル31
を用いて、前述の出口SO2濃度特性が求められ、この特
性に基づく出口SO2濃度の目標値になるようにフィー
ドバック制御される。このため、制御の精度が高く、負
荷変動に対する追従性や石膏純度の安定化がより高度に
実現される。
【0067】また本例の装置では、シミュレーションモ
デル31により、ポンプ稼働台数特性(負荷に応じた最
適な稼働台数)が設定され、この特性に基づいて演算器
33やポンプ駆動部34(ポンプ制御手段)の動作によ
り、ポンプの起動停止が行われる。このため、常時最高
の循環流量(全数稼働状態)に維持する場合に比較して
低負荷の場合にポンプ動力が削減される。
【0068】また本装置は、出口SO2濃度制御により、
間接的にスラリ中の石灰石濃度を制御して、負荷変動に
対する脱硫性能等の維持を図っているので、前述した従
来のpH制御の場合の問題点も解消される。
【0069】なお、本発明は上記形態例に限られず、各
種の態様があり得る。例えば、本発明の出口SO2濃度
特性は、シミュレーションモデルにより周期的に更新設
定される必要は必ずしもなく、排煙性状等の条件変動が
少ないプラントでは、例えば図2に示すように、予めオ
フラインシミュレーション又は実機性能計測により求め
た一定の出口SO2濃度特性により出口SO2濃度の設定
を行う構成でもよい。また、省エネルギの要請が少ない
場合には、循環ポンプ稼働台数の制御は不要で、この場
合制御装置は、図2に示すような極めて簡素な構成とな
る。
【0070】また本発明の制御方法は、必ずしも制御装
置による自動制御で行う必要はなく、その制御処理全体
又は一部を手計算等を含む人的作業により行ってもよ
い。また本発明は、タンク酸化方式の脱硫装置に限られ
ず、酸化塔を吸収塔と別個に設置するタイプの脱硫装置
に適用しても、同様の効果を奏することができる。
【0071】
【発明の効果】請求項1記載の排煙脱硫装置では、出口
SO2濃度設定手段が、負荷検知手段の出力から所定の出
口SO2濃度特性に基づいて処理後排煙中の亜硫酸ガス
濃度(出口SO2濃度)の設定値を決定し、偏差出力手段
が、この設定値と出口SO2濃度の実測値との偏差を出
力し、吸収剤投入量設定手段が、この偏差と負荷検知手
段の出力に基づいて、亜硫酸ガス量に対応する化学量論
的当量に対して前記偏差に対応した補正量を加算した吸
収剤の投入量を算出し、吸収剤投入手段が、この投入量
に基づいてスラリ内に吸収剤を投入する。そして、前記
出口SO2濃度特性は、負荷変動に対してスラリ中の未
反応吸収剤の濃度が一定になるように設定される。
【0072】このため本装置によれば、出口SO2濃度
設定手段の機能により、出口SO2濃度の制御目標値が
負荷条件に応じて変更され、これに基づくフィードバッ
ク制御により吸収剤の投入量が調整されて、スラリ中の
吸収剤濃度が略一定に維持される。いいかえると、スラ
リ中の吸収剤濃度が略一定になるように、出口SO2濃度
制御が行われる。
【0073】そして、吸収剤濃度が一定に保持されると
いうことは、未反応吸収剤の保有量が一定ということを
意味し、本装置では負荷変動があってもこの保有量は変
更する必要がない。したがって、急な負荷上昇があった
場合でも、吸収剤の投入量増加が大きく遅れることはな
く、例えば図4に示す如く出口SO2濃度の実測値の変動
は減少し、負荷追従性が格段に向上する。また、吸収剤
濃度が一定に維持されるため、副生される石膏の純度が
安定したものとなる効果もある。
【0074】また本装置は、出口SO2濃度制御により、
間接的にスラリ中の石灰石濃度を制御して、負荷変動に
対する脱硫性能等の維持を図っているので、前述した従
来のpH制御の場合の問題点も解消される。
【0075】さらに、請求項2記載の排煙脱硫装置で
は、前記出口SO2濃度設定手段における出口SO2濃度
特性が、最新のプロセス値に基づく脱硫シミュレーショ
ンを行って処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度を予想するシ
ミュレーションモデルにより周期的に求められ、所定周
期で更新設定される。このため、制御の精度が高くな
り、負荷変動に対する追従性や石膏純度の安定化がより
高度に実現される。
【0076】また、請求項3記載の排煙脱硫装置では、
シミュレーションモデルにより、ポンプ稼働台数特性
(負荷に応じた最適な稼働台数)が設定され、この特性
に基づいてポンプ制御手段の動作により、ポンプの起動
停止が行われる。このため、ポンプの運転動力が低減さ
れる効果がある。
【0077】また、請求項4記載の排煙脱硫装置では、
ポンプ制御手段により、例えば予め設定されたポンプ稼
働台数特性(負荷に応じた最適な稼働台数)に基づい
て、ポンプの起動停止が行われる。このため、ポンプの
運転動力が低減される効果がある。
【0078】請求項5記載の排煙脱硫方法では、未処理
排煙中の亜硫酸ガス量の変動に対してスラリ中の未反応
吸収剤の濃度が一定になるように、前記亜硫酸ガス量と
処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度との関係である出口SO
2濃度特性を設定し、この出口SO2濃度特性に基づいて、
実際の未処理排煙中の亜硫酸ガス量から前記亜硫酸ガス
濃度の設定値を求め、この設定値に基づいて吸収剤の投
入量を調整して前記亜硫酸ガス濃度を制御する。
【0079】このため、出口SO2濃度の制御目標値が
負荷条件に応じて変更され、これに基づく制御により吸
収剤の投入量が調整されて、スラリ中の吸収剤濃度が略
一定に維持される。したがって、負荷追従性が向上し、
副生される石膏の純度が安定したものとなるとともに、
前述した従来のpH制御の場合の問題点も解消される。
【0080】請求項6記載の排煙脱硫方法では、未処理
排煙中の亜硫酸ガス量の変動に対してスラリ中の未反応
吸収剤の濃度が一定になるように、前記亜硫酸ガス量と
処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度との関係である出口SO
2濃度特性を設定し、前記亜硫酸ガス量の検出値から前記
出口SO2濃度特性に基づいて、処理後排煙中の亜硫酸ガ
ス濃度の設定値を決定し、この設定値と前記亜硫酸ガス
濃度の検出値との偏差を算出し、この偏差と前記亜硫酸
ガス量の検出値とに基づいて、前記亜硫酸ガス量に対応
する化学量論的当量に対して前記偏差に対応した補正量
を加算した吸収剤の投入量を算出し、この算出された投
入量に基づいてスラリ内に吸収剤を投入する。
【0081】このため、出口SO2濃度の制御目標値が
負荷条件に応じて変更され、これに基づくフィードバッ
ク制御により吸収剤の投入量が調整されて、スラリ中の
吸収剤濃度が略一定に維持される。したがって、負荷追
従性が格段に向上し、副生される石膏の純度が安定した
ものとなるとともに、前述した従来のpH制御の場合の
問題点も解消される。
【0082】請求項7記載の排煙脱硫方法では、例えば
予め設定され、或いはリアルタイムシミュレーションモ
デルにより適宜設定されるポンプ稼働台数特性(負荷に
応じた最適な稼働台数)に基づいて、ポンプの起動停止
を行う。このため、ポンプの運転動力が低減される効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排煙脱硫装置の制御装置の一例を示す
ブロック図である。
【図2】本発明の排煙脱硫装置の制御装置の他の例を示
すブロック図である。
【図3】吸収剤濃度と出口SO2濃度との関係において、
本発明の作用を説明する図である。
【図4】本発明の作用(負荷追従性)を説明する図であ
る。
【図5】従来の問題点(負荷追従性)を説明する図であ
る。
【図6】排煙脱硫装置の本体構成の一例を示す図であ
る。
【図7】従来の排煙脱硫装置の制御技術の一例(出口S
2濃度一定制御)を示す図である。
【符号の説明】
5 循環ポンプ 17 流量調節器(吸収剤投入手段) 21,22 センサ(負荷検知手段) 23 乗算器(負荷検知手段) 24 加算器(吸収剤投入量設定手段) 25 センサ(出口SO2濃度検知手段) 27 フィードバック制御部(偏差出力手段) 28 流量設定部(吸収剤投入量設定手段) 31 シミュレーションモデル 32 演算器(出口SO2濃度設定手段) 33 演算器(ポンプ制御手段) 34 ポンプ駆動制御部(ポンプ制御手段)
フロントページの続き (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (56)参考文献 特開 平9−19623(JP,A) 特開 平2−180618(JP,A) 実開 昭63−160927(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未処理排煙とカルシウム化合物よりなる
    吸収剤を含有するスラリとを吸収塔内において接触させ
    ることにより、未処理排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを
    吸収する排煙脱硫装置において、 処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度を検知する出口SO2
    度検知手段と、処理すべき未処理排煙中の亜硫酸ガス量
    を検知する負荷検知手段と、この負荷検知手段の出力か
    ら所定の出口SO2濃度特性に基づいて、処理後排煙中の
    亜硫酸ガス濃度の設定値を決定する出口SO2濃度設定
    手段と、この出口SO2濃度設定手段により、設定された
    前記設定値と前記出口SO2濃度検知手段による実測値
    との偏差を算出する偏差出力手段と、この偏差出力手段
    の出力と前記負荷検知手段の出力に基づいて、前記亜硫
    酸ガス量に対応する化学量論的当量に対して前記偏差に
    対応した補正量を加算した吸収剤の投入量を算出する吸
    収剤投入量設定手段と、この吸収剤投入量設定手段によ
    り算出された投入量に基づいて前記スラリ内に吸収剤を
    投入する吸収剤投入手段とを備え、 前記出口SO2濃度設定手段における出口SO2濃度特性
    は、負荷と処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定値との
    関係であって、負荷変動に対して前記スラリ中の未反応
    吸収剤の濃度が一定になるように設定されるものである
    ことを特徴とする排煙脱硫装置。
  2. 【請求項2】 前記出口SO2濃度設定手段における出
    口SO2濃度特性は、最新のプロセス値に基づく脱硫シ
    ミュレーションを行って処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度
    を予想するシミュレーションモデルにより周期的に求め
    られ、所定周期で更新設定されることを特徴とする請求
    項1記載の排煙脱硫装置。
  3. 【請求項3】 前記スラリを吸収塔内で循環させるポン
    プを複数台有し、前記シミュレーションモデルは、この
    ポンプの稼働台数毎に前記出口SO2濃度特性を設定す
    るとともに、前記脱硫シミュレーションにより負荷変動
    に対する前記ポンプの最適稼働台数を示すポンプ稼働台
    数特性をも設定する構成であり、さらに前記出口SO2
    濃度設定手段は、実際のポンプ稼働台数により前記出口
    SO2濃度特性のうちの対応する特性を選択し、この選
    択された特性に基づいて処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度
    の設定を行う構成であり、なおかつ前記ポンプ稼働台数
    特性に基づいて前記ポンプの起動停止を行うポンプ制御
    手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の排煙脱硫
    装置。
  4. 【請求項4】 前記スラリを吸収塔内で循環させるポン
    プを複数台有し、このポンプの稼働台数毎に前記出口S
    2濃度特性を設定するとともに、 前記出口SO2濃度設定手段は、実際のポンプ稼働台数
    により前記出口SO2濃度特性のうちの対応する特性を
    選択し、この選択された特性に基づいて処理後排煙中の
    亜硫酸ガス濃度の設定を行う構成であり、 かつ、負荷変動に対する前記ポンプの最適稼働台数を示
    すポンプ稼働台数特性に基づいて、前記ポンプの起動停
    止を行うポンプ制御手段を備えたことを特徴とする請求
    項1記載の排煙脱硫装置。
  5. 【請求項5】 未処理排煙とカルシウム化合物よりなる
    吸収剤を含有するスラリとを吸収塔内において接触させ
    ることにより、未処理排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを
    吸収する排煙脱硫方法において、 未処理排煙中の亜硫酸ガス量の変動に対して前記スラリ
    中の未反応吸収剤の濃度が一定になるように、前記亜硫
    酸ガス量と処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度との関係であ
    る出口SO2濃度特性を設定し、 この出口SO2濃度特性に基づいて、実際の未処理排煙中
    の亜硫酸ガス量から前記亜硫酸ガス濃度の設定値を求
    め、この設定値に基づいて吸収剤の投入量を調整して前
    記亜硫酸ガス濃度を制御することを特徴とする排煙脱硫
    方法。
  6. 【請求項6】 未処理排煙とカルシウム化合物よりなる
    吸収剤を含有するスラリとを吸収塔内において接触させ
    ることにより、未処理排煙中の少なくとも亜硫酸ガスを
    吸収する排煙脱硫方法において、 処理後排煙中の亜硫酸ガス濃度と処理すべき未処理排煙
    中の亜硫酸ガス量を検出し、前記亜硫酸ガス量の検出値
    から所定の出口SO2濃度特性に基づいて処理後排煙中
    の亜硫酸ガス濃度の設定値を決定し、この設定値と前記
    亜硫酸ガス濃度の検出値との偏差を算出し、この偏差と
    前記亜硫酸ガス量の検出値とに基づいて、前記亜硫酸ガ
    ス量に対応する化学量論的当量に対して前記偏差に対応
    した補正量を加算した吸収剤の投入量を算出し、この算
    出された投入量に基づいて前記スラリ内に吸収剤を投入
    するようにし、 前記出口SO2濃度特性は、前記亜硫酸ガス量と前記亜硫
    酸ガス濃度との関係を示す特性として、前記亜硫酸ガス
    量の変動に対して前記スラリ中の未反応吸収剤の濃度が
    一定になるように設定することを特徴とする排煙脱硫方
    法。
  7. 【請求項7】 前記スラリを複数台のポンプにより吸収
    塔内で循環させるようにし、このポンプの稼働台数毎に
    前記出口SO2濃度特性を設定するとともに、実際のポ
    ンプ稼働台数により、前記出口SO2濃度特性のうちの対
    応する特性を選択し、この選択された特性に基づいて処
    理後排煙中の亜硫酸ガス濃度の設定を行い、 かつ、負荷変動に対する前記ポンプの最適稼働台数を示
    すポンプ稼働台数特性に基づいて、前記ポンプの起動停
    止を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の排煙脱
    硫方法。
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