JP3990811B2 - モータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は小型の円筒形状のモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は従来の円筒形状の小型ステップモータの構成例を示す縦断面図である。図15において、図示のモータはモータ軸方向に配列された2個のステータ102を備え、各ステータ102のそれぞれは軸方向に相対向するように配置された2個のステータヨーク106を有する。各ステータ102ごとに、前記2個のステータヨーク106により保持されたボビン101には、ステータコイル105が同心状に巻回されている。前記ステータコイル105が巻回された各ボビン101は、前記2個のステータヨーク106により軸方向から挟持固定されている。各ステータヨーク106、106には、ボビン101の内径面円周方向に交互に配置されたステータ歯106a、106bが形成されている。一方、各ステータ102のケース103には、前記ステータ歯106a、106bを有する一対のステータヨーク106、106が固定されている。こうしてステータ102が構成されている。
【0003】
2組のケース103の一方(図示左側)にはフランジ115及び軸受108が固定され、他方(図示右側)のケース103には反対側の軸受108が固定されている。ロータ109はロータ磁石111をロータ軸110に固定した構造をしている。前記ロータ磁石111の外周面と前記ステータ102のステータヨーク106の内径面との間には空隙部(エアギャップ)が形成されている。そして、ロータ軸110は前記各ケース103に固定された2個の軸受108により回転自在に軸支されている。
【0004】
図17は時計などで使用されている1個のコイルで駆動するステップモータを例示する平面図である。図17において、201は永久磁石から成るロータを、202及び203はステータを、204はコイルをそれぞれ示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15に示す従来の小型ステップモータにあっては、ロータの外周にケース103、ボビン101、ステータコイル105及びステータヨーク106が同心状に配置されているため、モータの外形寸法が大きくなってしまうという不都合がある。また、ステータコイル105への通電により発生する磁束は、図16に示すように、主としてステータ歯106aの端面106a1 とステータ歯106bの端面106b1 とを通過するため、ロータ磁石111には効果的に作用せず、モータ出力が高くならないという解決すべき課題がある。また、図17に示すモータにあっても、コイル204への通電で発生する磁束がロータ201とステータ202との間のギャップが小さいところに集中しマグネット201に効果的に作用しないという解決すべき課題がある。
【0006】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、出力が高く、小型化が可能で、スムーズに起動させることができ、安価に製造し得る円筒形状のモータを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のモータは、円筒形状に形成され、少なくともその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第1の着磁部及び軸方向に隣り合う位置で第1の着磁部と位相をずらしてその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第2の着磁部を有するマグネットと、前記マグネットの軸方向に配置されたコイルと、マグネットの第1の着磁部の外周面に対向し前記コイルにより励磁される外側磁極と、マグネットの第1の着磁部の内周面に対向し前記コイルにより励磁される内側磁極とを備え、前記コイルは外側磁極と内側磁極の間に装着され、前記コイルにより前記外側磁極及び内側磁極が励磁されていない際に、前記マグネットの極の中心が前記外側磁極の中心と前記マグネットの回転中心とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネットを保持する保持手段を有し、前記保持手段は、前記外側磁極から延出し前記マグネットの第2の着磁部の外周面に対向する延出部を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の基本構成例に係るモータの分解斜視図であり、図2は本発明の基本構成例に係るモータの縦断面図である。図1及び図2において、モータは、周方向に交互に異なる極に着磁された回転可能なロータマグネット1と、該ロータマグネット1に対して空隙をもって対向する円筒形のステータ18と、該ステータ18の内部に装着されたコイル2と、を備え、前記コイル2を前記ロータマグネット1の軸方向に配置し、前記コイル2により励磁される前記ステータ18の外側磁極18a、18bを前記マグネット1の外周面に対向させ、前記ステータ18の内側磁極18c、18dを前記マグネット1の内周面に対向させ、前記マグネットの極の中心が前記外側磁極の中心と該マグネットの回転中心とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネットを保持する保持手段が設けられて構成されている。なお、以下の説明では、モータがステップモータである場合を例に挙げて説明する。
【0010】
図1及び図2において、1はロータを構成するマグネット(ロータマグネット)であり、このロータマグネット1はその外周表面を円周方向に複数箇所に分割(本実施例では4分割)してS極及びN極に交互に着磁されている。着磁部を1a、1b、1c、1dとすると、着磁部1a、1cがS極に着磁され、着磁部1b、1dがN極に着磁されている。着磁部1a、1b、1c、1dの各極の中心をK1 、K2 、K3 、K4 として図3に示す。また、マグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネット材料で作られている。このようにプラスチックマグネット材料で作ることにより、ロータマグネット1の円筒形状の半径方向に関しての厚さを非常に薄くすることができる。
【0011】
前記ロータマグネット1の中心部には軸方向貫通孔が形成され、この貫通孔の軸方向中間部には内径が小さくされた嵌合部1eが形成されている。ロータ軸となる出力軸7は前記ロータマグネット1の前記嵌合部1eに圧入して該マグネット1に固着されている。マグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネットから成るため、前記ロータ軸7を圧入するなどの組み立て方法によっても、割れを生じることはない。また、マグネット1は、その貫通孔の軸方向中央部に内径の小さい嵌合部1eを有するという複雑な形状であっても、これを容易に製造することができる。また、出力軸7とマグネット1は圧入で組み立て及び固着されるので、組み立てが容易になり、安価に製造することが可能になる。ロータ(マグネットロータ)1は前記出力軸7及び前記マグネット1で構成されている。
【0012】
前記マグネット1の材料としては、例えば、Nd−Fe−B系希土類磁性粉とポリアミドなどの熱可塑性樹脂バインダー材との混合物を射出成形することにより形成されたプラスチックマグネットが用いられる。これにより、圧縮成形されたマグネットの場合の曲げ強度が500kgf/cm2 程度であるのに対し、例えばポリアミド樹脂をバインダー材として使用した場合、800kgf/cm2 以上の曲げ強度を得ることができ、従って、圧縮成形では実現できないような薄肉円筒形状にすることができる。薄肉円筒形状にすることは、後述するように、モータの性能を高めることになる。また、前記プラスチックマグネットを用いることにより、マグネットの形状を自由に選定することができ、圧縮成形では得られない効果、つまり、ロータ軸7を固着するための形状を一体化することができ、かつ十分なロータ軸固着強度を得ることができる。また、強度的に優れているため、ロータ軸7を圧入する方法などを用いても該ロータ軸が破損する(割れる)ことはない。
【0013】
同時に、ロータ軸7の固着部が一体成形されたことにより、ロータ軸部に対するマグネット部の同軸精度が向上し、振れを少なくすることが可能となり、マグネット1とステータ部との空隙距離を少なくすることが可能となり、圧縮成形マグネットの磁気特性8MGOe以上に対して射出成形マグネットの磁気特性は5〜7MGOe程度であるが、モータの十分な出力トルクを得ることができる。また、射出成形マグネットは、表面に薄い樹脂被膜が形成されるため、圧縮成形マグネットに比べて錆の発生が大幅に減少し、塗装などの防錆処理を廃止することができる。また、圧縮マグネットで問題になる磁性粉の付着もなく、防錆塗装時に発生しやすい表面の脹らみもなく、品質を向上させることができる。
【0014】
図1及び図2において、2は円筒形状のコイルであり、該コイル2はマグネット1と同心でかつ該マグネット1の軸方向に並んで配置されている。前記コイル2の外径は前記マグネット1の外径とほぼ同じ寸法にされている。18は軟磁性材料からなるステータであり、該ステータ18は外筒部及び内筒部から成っている。このステータ18の外筒部と内筒部との間にコイル2が装着されている。このコイル2に通電することによりステータ18が励磁される。ステータ18の外筒部の先端部が外側磁極18a、18bを形成し、該ステータ18の内筒部の先端部が内側磁極18c、18dを形成している。前記内側磁極18c及び前記内側磁極18dの位相は、互いに同位相となるように360/0.5n度、すなわち本実施例のように磁極数が4の場合は180度ずれて形成されている。そして、内側磁極18cに対して外側磁極18aが対向配置され、また、内側磁極18dに対して外側磁極18bが対向配置されている。
【0015】
ステータ18の外側磁極18a、18bは切欠き穴と軸と平行方向に延出する歯により構成されている。この構成により、モータの直径を最小限にしつつ磁極の形成が可能となる。つまり、もし外側磁極を半径方向に延びる凹凸で形成すると、その分モータの直径は大きくなってしまうが、切欠き穴と軸と平行方向に延出する歯により外側磁極を構成しているので、モータの直径を最小限に抑えることができる。
【0016】
前記ステータ18の外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dは、ロータマグネット1の一端側の外周面及び内周面に対向して該ロータマグネット1の一端側を挟み込むように設けられている。また、ステータ18の穴18eには、出力軸7の一端部7bが回転可能に嵌合している。したがって、コイル2により発生する磁束は、外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dとの間のロータであるマグネット1を横切るので、効果的にロータであるマグネットに作用し、モータの出力を高める。また、マグネット1は前記したように射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により構成されており、これにより、円筒形状の半径方向に関しての厚さは非常に薄く構成することができる。そのため、ステータ18の外側磁極18a、18bと内側磁極18c、18dとの距離を非常に小さくすることができ、コイル2とステータ18により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、モータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化が達成されることになる。
【0017】
20は非磁性材料から成る円筒形状部材としてのカバーであり、このカバー20の内径部20aにはステータ18の外径部(外側磁極18a、18bが形成された部分)が嵌合し接着剤等で固定される。出力軸7の嵌合部7aがカバー20の嵌合孔20bと、一端部7bがステータ18の嵌合穴18eと回転可能に嵌合している。
【0018】
図3〜図6は図1及び図2のモータの動作を図2中の線3−3に沿った断面図を用いて順次示す説明図である。図3〜図6において、Q1 はステータ18の外側磁極18aの中心を示し、Q2 はステータ18の外側磁極18bの中心を示し、Q3 はロータマグネット1の回転中心を示す。21、22は軟磁性材料から成る位置出しステータである。これらの位置出しステータ21、22はカバー20の内径部20a(図2)に固着されている。
【0019】
位置出しステータ21、22はロータマグネット1の外周面に対向している。一方の位置出しステータ21は、図3に示すように、ステータ18の外側磁極18a、18bの間であって外側磁極18a寄りに位置している。もう一つの位置出しステータ22は、図3に示すように、ステータ18の外側磁極18a、18bの間であって外側磁極18b寄りに位置している。これらの位置出しステータ21、22は、ステータ18と接触しておらず、かつ内側磁極18c、18dと対向していないか、あるいは十分離れていることにより、コイル2に通電しても外側磁極18a、18bに比べほとんど磁化されず、従って、ロータマグネット1を回転駆動させるのには寄与しない。
【0020】
前記位置出しステータ21、22を設けることにより、コイル2に通電しないときのマグネット1の停止位置は図3に示す位置に設定される。すなわち、マグネット1の着磁部の各極の中心K1 、K2 、K3 、K4 がステータ18の外側磁極18a、18bの中心と該マグネット1の回転中心とを結ぶ直線L1 上からずれた位置(図3に示す位置)に停止するように設定される。K2 に関して言えば、角度θだけずれた位置に停止している。この位置からコイル2に通電すると、前述したように位置出しステータ21、22は励磁されず、外側磁極18a、18bと内側磁極18c、18dが励磁され、励磁された外側磁極18a、18bがマグネット1の着磁部に作用する力は必ず該マグネット1の回転方向に向くことになる。このため、マグネット(ロータマグネット)1はスムーズに起動される。
【0021】
前記位置出しステータ21、22を有しないモータの場合は、コイル2に通電しない時にマグネット1が安定的に停止する位置は図13又は図14のどちらかになる。図13及び図14はこれら安定的に停止する2つの位置を示す模式的断面図である。図13の位置では、マグネット1の着磁部の極の中心K1 、K2 、K3 、K4 が外側磁極の中心Q1 、Q2 とマグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上にあるため、コイル2に通電しても電磁力はマグネット1を回転させる方向には作用しない。
【0022】
図14の位置では、コイル2への通電によってマグネット1の起動は可能であるが、あるタイミングで通電を変えていかない限りマグネット1を安定状態で回転させることはできない。すなわち、図14の状態から外側磁極18a、18bを例えばN極に励磁した場合、マグネット1が図13と同じ位置に停止してからコイル2への通電を逆方向に切り換え、外側磁極18a、18bをS極に励磁しても、図13で説明したとおり、電磁力はマグネット1を回転させる方向には作用しない。前記位置出しステータ21、22は、ロータマグネット1と共働して該マグネット1を保持する保持手段を構成している。また、位置出しステータ21、22は、ステータ18の外側磁極18a、18bの間に位置しているので、モータのサイズを大きくすることなく構成することができる。
【0023】
次に、図3〜図6を参照して、以上説明したステップモータの動作を説明する。図3の状態からコイル2に通電して、ステータ18の外側磁極18a、18bをN極とし、内側磁極18c、18dをS極に励磁すると、ロータであるマグネット1は図中の反時計方向に回転し、図4に示す状態になる。位置出しステータ21、22はコイル2によりほとんど励磁されないので、実質的にはマグネット1の着磁部とステータ18の外側磁極18a、18b、内側磁極18c、18dのコイル2による励磁状態によりマグネット1の位置は決められ図4に示す状態となる。この状態からコイル2への通電を遮断すると、マグネット1の磁力により安定する状態(図5の位置)になる。
【0024】
次にコイル2への通電を反転させて、ステータ18の外側磁極18a、18bをS極とし、内側磁極18c、18dをN極に励磁すると、ロータであるマグネット1はさらに反時計方向に回転し、図6に示す状態になる。以後、このようにコイル2への通電方向を順次切り換えていくことにより、ロータであるマグネット1は通電位相に応じた位置へと回転していく。すなわち、モータが回転していく。モータが回転している状態からコイル2への通電を遮断すると、ロータマグネット1の磁力により安定する状態である図3の位置に停止する。
【0025】
以上説明した基本構成例によれば、モータの径はマグネット1の外周面にステータ18の磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、モータの長さはマグネット1の長さにコイル2の長さを加えただけの長さがあればよいことになる。このため、モータの大きさは、マグネット1及びコイル2の径と長さによって決まることになり、マグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすることでモータを超小型にすることができる。すなわち、モータの径はロータマグネット1の外周面に対向する外側磁極18a、18bで実質的に決められ、モータの軸方向の長さはコイル2及びロータマグネット1を軸方向に並べる(配置する)ことで決められ、モータを非常に小型化することができる。
【0026】
また、コイル2により発生する磁束は、外側磁極と内側磁極との間にあるマグネットを横切るので、効果的に作用する。さらに、ロータマグネット1と該マグネット1の外周面に対向する位置出しステータ21、22とで構成される保持手段を設けたので、コイル2への非通電時に、該マグネット1の極の中心が外側磁極の中心と該マグネットの回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネット1を保持することができ、従って、モータの停止時からコイル2への最初の通電時にはコイル2から発生する磁束がマグネット1に作用する力は、該マグネット1の回転中心に向かわず、従って円滑で安定したモータの起動を行うことが可能になる。
【0027】
また、部品の数も、ロータマグネット1、コイル2、ステータ18及び出力軸7といった非常に少ない部品点数でモータを構成することができ、コストを低く抑えることができる。また、ロータマグネット1を中空の円筒形状に形成し、この中空の円筒形状に形成されたロータマグネット1の外周面及び内周面に外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dを対向させることにより、モータとして効果的な出力を得ることができる。前記出力軸(ロータ軸)7は、ロータであるマグネット1の中心孔の嵌合部1eに圧入にて固着されている。ロータマグネット1は射出成形により成形されるプラスチックマグネットから成るため、圧入による組み立てでも、ロータマグネット1に割れが発生することはなく、また、軸方向中央部に内径が小なる嵌合部1eを設けるという複雑な形状でも、容易に製造することができる。また、出力軸7とマグネット1は圧入で組み立て及び固着されるので、組み立てが容易で安価に製造することが可能となる。
【0028】
次に、以上説明した構成のステップモータがモータを超小型化するうえで最適な構成であることについて、更に説明する。すなわち、ステップモータの基本構成例において、第1に、ロータマグネット1を中空の円筒形状にしていること、第2に、ロータマグネット1の外周面を周方向に複数に分割して異なる極を交互に着磁していること、第3に、ロータマグネット1の軸方向にコイル2を並べて配置していること、第4に、コイル2により励磁されるステータ18の外側磁極及び内側磁極をロータマグネット1の外周面及び内周面に対向させていること、第5に外側磁極18a、18bを切り欠き穴と軸と平行方向に延出する歯により形成していること、第6に、コイル2に通電していないときには、ロータマグネット1の極の中心が外側磁極18a、18bの中心と該マグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置に該ロータマグネット1を保持する保持手段を備えていること、である。
【0029】
このステップモータ(モータ)の径は、ロータマグネット1の径にステータ18の磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、このステップモータの長さは、ロータマグネット1の長さにコイル2の長さを加えるだけの長さがあればよいことになる。そのため、ステップモータの大きさは、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さによって決まることになり、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすれば、ステップモータを超小型にすることができる。
【0030】
この時、ロータマグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステップモータとしての精度を維持することが難しくなるが、前記基本構成例においては、ロータマグネット1を中空の円筒形状に形成し、この中空の円筒形状に形成されたロータマグネット1の外周面及び内周面にステータ18の外側磁極及び内側磁極を対向させる単純な構成により、前記ステップモータの精度の問題を解決している。その場合、ロータマグネット1の外周面だけでなく、ロータマグネット1の内周面も円周方向に複数に分割して着磁すれば、モータ出力を更に高めることができる。また、ロータマグネット1をずれた位置に保持する前記保持手段を設けるので、モータの停止時からコイル2へ通電(最初の通電)する際に、該コイル2からの磁束によりマグネット1に作用する力は該マグネット1の回転中心に向かわないようになり、そのため円滑で安定したモータの起動を行うことができる。
【0031】
また、ロータマグネット1は前述のように射出成形により形成されるプラスチックマグネット材料により構成されており、これにより円筒形状の半径方向に関しての厚さは非常に薄く構成することができる。そのため、ステータ18の外側磁極18a、18bと内側磁極18c、18dとの距離を非常に小さくすることができ、コイル2とステータ18により形成される磁気回路の磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、少ない電流で多くの磁束を発生させることができ、モータの出力アップ、低消費電力化、コイルの小型化を達成するすることが可能になる。
【0032】
図7は本発明を適用したモータの一実施例の分解斜視図であり、図8は図7の一実施例に係るモータの縦断面図であり、図9〜12は図7及び図8のモータの動作を図8中の線9−9に沿った断面図を用いて順次示す説明図である。本実施例もモータがステップモータである場合を示す。本実施例では、前述の基本構成例の位置出しステータ21、22に代えて、ステータ18の外側磁極18a、18bを更に延ばして保持手段が構成されている。外側磁極18a、18bは、内側磁極18c、18dと対向する18a1 、18b1 と延ばした部分の18a2 、18b2 から成る。この延出部18a2 、18b2 は、内側磁極18c、18dと対向していないので、コイル2に通電しても対向部18a1 、18b1 に比べほとんど磁化されず、従って駆動力を発生しない。
【0033】
ロータマグネット1は、図7に示すように、外側磁極18a、18bの18a1 、18b1 に対向する部分Eと延出部18a2 、18b2 に対向する部分Dとで着磁位相を変えてある。つまり、ロータマグネット1は、図7に示すように、位相をずらした2つの着磁部E、Dを有する。これにより、図9に示すように、コイル2へ通電していない時には、マグネット1のE部分は前記外側磁極18a、18bのコイル2により磁化される磁化部18a1 、18b1 の中心とマグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置に保持される。一方、延出部18a2 、18b2 は、内側磁極18c、18dと対向していないので、コイル2に通電しても磁化部18a1 、18b1 に比べほとんど磁化されず、駆動力を発生しない。従って、コイル2への通電によって該コイルから発生する磁束は実質的には磁化部18a1 、18b1 と内側磁極18c、18dとを通過するので、ロータマグネット1に作用する力は該ロータマグネットの回転中心に向かわない。そのため、モータを安定してスムーズに起動することができる。
【0034】
前記延出部18a2 、18b2 は、コイル2に通電しても、磁化部18a1 、18b1 に比べほとんど磁化されず、コイル2への通電により発生する駆動力にほとんど影響を及ぼさない。そのため、モータから十分にして安定した出力を取り出すことができる。本実施例では、マグネット1の極の中心が外側磁極18a、18bの中心と該マグネット1の回転中心Q3 とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネット1を保持する保持手段は、該マグネット1と該マグネット1の外周面に対向する前記延出部18a2 、18b2 によって構成されている。この延出部18a2 、18b2 は、前述の位置出しステータ21、22に対応するものであり、外側磁極18a、18bと一体的に形成された位置出しステータを形成している。
【0035】
次に、図9〜図12を参照して、本実施例によるモータ(ステップモータ)の動作を説明する。図9の状態からコイル2に通電して、ステータ18の外側磁極18a、18bをN極とし、内側磁極18c、18dをS極に励磁すると、ロータであるマグネット1は図中の反時計方向に回転し、図10に示す状態になる。前述の位置出しステータ21、22に相当する延出部18a2 、18b2 はコイル2によりほとんど励磁されないので、実質的にはマグネット1の着磁部とステータ18の外側磁極18a、18b、内側磁極18c、18dのコイル2による励磁状態によりマグネット1の位置は決められ図10に示す状態となる。この状態からコイル2への通電を遮断すると、マグネット1の磁力により安定する状態である図11の状態になる。
【0036】
次にコイル2への通電を反転させて、ステータ18の外側磁極18a、18bをS極とし、内側磁極18c、18dをN極に励磁すると、ロータであるマグネット1はさらに反時計方向に回転し、図12に示す状態になる。以後、このようにコイル2への通電方向を順次切り換えていくことにより、ロータであるマグネット1は通電位相に応じた位置へと回転していく。すなわち、モータが回転していく。モータが回転している状態からコイル2への通電を遮断すると、ロータマグネット1の磁力により安定する状態である図9の位置に停止する。
【0037】
図7〜図12の実施例は、以上説明した点で図1〜図6の基本構成例と相違している。従って、図7〜図12の実施例によれば、図1〜図6の基本構成例と同様の効果が得られる他にのような効果を奏することができる。図7〜図12の実施例によれば、保持手段はステータ18の外側磁極と一体的に形成された延出部18a2 、18b2 とマグネット1とにより構成されているので、さらに、部品点数が少なく組み立てが容易になり、コストも低減することができる。また、前述の基本構成例と同様、このステップモータの径はマグネット1の外周面にステータ18の磁極を対向させるだけの大きさがあればよく、また、モータの長さはマグネット1の長さにコイル2の長さを加えただけの長さがあればよいことになる。このため、モータの大きさは、マグネット1及びコイル2の径と長さによって決まることになり、マグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすることでモータを超小型にすることができる。
【0038】
この時、マグネット1及びコイル2の径と長さをそれぞれ非常に小さくすると、ステップモータとしての精度を維持するのが難しくなるが、これはマグネット1を中空の円筒形状に形成し、この中空の円筒形状に形成されたマグネット1の外周面及び内周面にステータ18の外側磁極18a、18b及び内側磁極18c、18dを対向させるという単純な構造によりステップモータの精度の問題を解決することができる。その際、マグネット1の外周面だけでなく、該マグネットの内周面も円周方向に複数に分割して着磁すれば、モータの出力を更に高めることができる。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、本発明のモータによれば、円筒形状に形成され、少なくともその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第1の着磁部及び軸方向に隣り合う位置で第1の着磁部と位相をずらしてその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第2の着磁部を有するマグネットと、前記マグネットの軸方向に配置されたコイルと、マグネットの第1の着磁部の外周面に対向し前記コイルにより励磁される外側磁極と、マグネットの第1の着磁部の内周面に対向し前記コイルにより励磁される内側磁極とを備え、前記コイルは外側磁極と内側磁極の間に装着され、前記コイルにより前記外側磁極及び内側磁極が励磁されていない際に、前記マグネットの極の中心が前記外側磁極の中心と前記マグネットの回転中心とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネットを保持する保持手段を有し、前記保持手段は、前記外側磁極から延出し前記マグネットの第2の着磁部の外周面に対向する延出部を有する構成としたので、小型化が可能で、スムーズに起動させることができるモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本構成例に係るモータの模式的分解斜視図である。
【図2】 本発明の基本構成例に係るモータ(図1)の縦断面図である。
【図3】 図2中の線3−3の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図4】 図2中の線3−3の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図5】 図2中の線3−3の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図6】 図2中の線3−3の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図7】 本発明の一実施例に係るモータの模式的分解斜視図である。
【図8】 本発明の一実施例に係るモータ(図7)の縦断面図である。
【図9】 図8中の線9−9の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図10】 図8中の線9−9の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図11】 図8中の線9−9の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図12】 図8中の線9−9の断面図を用いてモータの動作を示す説明図である。
【図13】 保持手段を備えないモータにおけるコイル非通電時のマグネットの一つの安定停止状態を示す説明である。
【図14】 保持手段を備えないモータにおけるコイル非通電時のマグネットの他の安定停止状態を示す説明である。
【図15】 従来の円筒形状の小型ステップモータの構成例を示す縦断面図である。
【図16】 図15のモータのステータの状態を示す部分断面図である。
【図17】 時計などで使用されている1個のコイルで駆動するステップモータを例示する平面図である。
【符号の説明】
1 ロータマグネット(マグネット)
2 コイル
7 出力軸(ロータ軸)
18 ステータ
18a 外側磁極
18b 外側磁極
18a1 磁化部(外側磁極18a)
18b1 磁化部(外側磁極18b)
18a2 延出部(外側磁極18a)
18b2 延出部(外側磁極18b)
18c 内側磁極
18d 内側磁極
20 カバー
21 位置出しステータ
22 位置出しステータ
Claims (1)
- 円筒形状に形成され、少なくともその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第1の着磁部及び軸方向に隣り合う位置で第1の着磁部と位相をずらしてその外周面を周方向に異なる極に交互に着磁された第2の着磁部を有するマグネットと、
前記マグネットの軸方向に配置されたコイルと、
マグネットの第1の着磁部の外周面に対向し前記コイルにより励磁される外側磁極と、 マグネットの第1の着磁部の内周面に対向し前記コイルにより励磁される内側磁極とを備え、
前記コイルは外側磁極と内側磁極の間に装着され、前記コイルにより前記外側磁極及び内側磁極が励磁されていない際に、前記マグネットの極の中心が前記外側磁極の中心と前記マグネットの回転中心とを結ぶ直線上からずれた位置に該マグネットを保持する保持手段を有し、前記保持手段は、前記外側磁極から延出し前記マグネットの第2の着磁部の外周面に対向する延出部を有することを特徴とするモータ。
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