JP3990502B2 - セルロース系基材加工用樹脂組成物およびセルロース系基材の加工方法 - Google Patents
セルロース系基材加工用樹脂組成物およびセルロース系基材の加工方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、綿織布などのセルロース系基材の顔料捺染用バインダー、繊維加工剤、含浸加工剤、接着剤、コーティング剤等として有用なセルロース系基材加工用樹脂組成物およびセルロース系基材の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tシャツのプリントや広告旗のプリント等に用いられる顔料捺染用バインダーや、繊維加工剤、含浸加工剤、接着剤、コーティング剤としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などのカルボキシル基含有重合体と架橋剤とを含むものが一般に使用されている。このとき架橋剤は、織布の素材や処理の温度などから適宜選択されて用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、多価オキサゾリン化合物は、低温硬化性、一液安定性、鮮鋭性に優れ、ポリエステル繊維との密着性に優れるという特徴を有することから、主にポリエステル繊維からなる織布の捺染に用いられる。しかしながら、オキサゾリン基は水酸基との反応性が低いため、基材が綿織布などのセルロース系基材である場合には、基材との相互作用が働かず密着性に劣るといった問題がある。
【0004】
また、多価カルボジイミド化合物は、安全性の面では他の架橋剤よりも優れるが、ポリエステル繊維、セルロース系基材のいずれに対してもあまり高い密着性を示さない。
したがって、本発明の課題は、多価オキサゾリン化合物および/または多価カルボジイミド化合物を用いた場合の長所を損なわずに、特にセルロース系基材への密着性が改善されたセルロース系基材加工用樹脂組成物およびセルロース系基材の加工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1) カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物において、
さらに、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を含有することを特徴とするセルロース系基材加工用樹脂組成物。
(2) カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、
前記樹脂組成物が、さらに、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を含有することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。
(3) カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、
水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を用いて、セルロース系基材を先処理し、
その後、前記樹脂組成物によって処理することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、従来用いられていた多価オキサゾリン化合物および/または多価カルボジイミド化合物に加えて、「水酸基と反応可能であり、該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する化合物、および、水酸基と反応可能であり、かつカルボキシル基を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)」を用いることを特徴とする。多価オキサゾリン化合物や多価カルボジイミド化合物を用いた場合にセルロース系基材との密着性に劣る主な理由は、オキサゾリン基やカルボジイミド基と基材の水酸基との反応性が低いためであると考えられる。そこで、水酸基と反応可能な化合物(C)をセルロース系基材と反応させ、この反応により生成するか、および/または最初から有していたカルボキシル基を化合物(B)のオキサゾリン基やカルボジイミド基と反応させることで、カルボキシル基含有重合体(A)とセルロース系基材との間の結合が形成される。これにより、多価オキサゾリン化合物および/または多価カルボジイミド化合物の長所を失わずにセルロース系基材との密着性が改善されるのである。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるカルボキシル基含有重合体(A)としては、少なくとも不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合してなる、側鎖として複数個のカルボキシル基を有する重合体(A−1):末端および/またはペンダントとしてのカルボキシル基を含有する縮合系樹脂(A−2);後変性によりカルボキシル基を導入した樹脂(A−3)を例示することができる。具体的には、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂、スチレン含有樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。環境への配慮から本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、カルボキシル基含有重合体(A)は水溶性、水希釈性または水分散性であることが好ましく、例えば、水分散性または水溶性のアクリル樹脂;水分散性ポリウレタン樹脂;水分散性ポリエステル樹脂;水溶性、水希釈性または水分散性のポリオレフィン樹脂などを好ましいものとして挙げることができる。
【0008】
カルボキシル基含有重合体(A)の供給形態は、有機溶剤溶液、水溶液、エマルションなどどのような形態でもよいが、上記したとおり環境への配慮から本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、カルボキシル基含有重合体(A)も水溶液あるいはエマルションの形態であることが好ましい。
本発明で用いられる化合物(B)は、多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種である。これらのうち、顔料捺染での摩擦堅牢度、耐洗濯性、樹脂組成物の保存安定性等の観点から、多価オキサゾリン化合物の方が好ましい。
【0009】
多価オキサゾリン化合物としては、2個以上のオキサゾリン基を有する低分子化合物であっても、オキサゾリン基含有重合体であってもよいが、オキサゾリン基含有重合体が好ましい。
2個以上のオキサゾリン基を有する低分子化合物としては、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0010】
オキサゾリン基含有重合体としては、下記一般式(I)
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリールまたは置換アリール基であり、R5は付加重合性不飽和結合を有する非環状有機基である。)
で表される付加重合性オキサゾリンを必須成分として含み、必要に応じて付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体を含むモノマー成分を重合したオキサゾリン基含有重合体が挙げられる。
【0013】
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。
【0014】
付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されるものではないが、モノマー成分中の5重量%以上が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。5重量%未満では硬化の程度が不十分となる。60重量%を越えた場合は、耐水性に悪影響を及ぼす。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族単量体類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
【0015】
上記したように環境への配慮などから本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、多価オキサゾリン化合物として水溶性、水希釈性または水分散性のオキサゾリン基含有重合体を用いることが好ましく、特にオキサゾリン基含有水溶性重合体が好ましい。重合に供する単量体成分中の親水性単量体の割合を好ましくは50重量%以上とすることで、水溶性のオキサゾリン基含有重合体を得ることができ、水溶性と硬化性の面から60〜90重量%が特に好ましい。親水性単量体としては、付加重合性オキサゾリン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中で、水への溶解性の高い、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体が好ましい。
【0016】
オキサゾリン基含有重合体は、上記単量体成分を、従来公知の重合法によって水性媒体中で溶液重合を行うことで製造することができる。水性媒体とは、水と容易に混合可能な溶媒であれば特に制限はなく、水単独;水と有機溶媒との混合物;有機溶媒単独が挙げられ、特に水単独;水と有機溶媒との混合物が好ましい。使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、これらの中の1種以上が使用される。
【0017】
本発明では、オキサゾリン基含有重合体として、ポリマーの後変性でオキサゾリン基を導入したものも使用可能であり、具体的にはニトリル基とアミノエタノール基の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水反応などが利用可能である。
多価カルボジイミド化合物は、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端多価カルボジイミドを合成することにより製造できる。
【0018】
合成原料の有機ジイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式あるいは芳香族のジイソシアネートを、単独あるいは二種以上の混合物として使用することができる。具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
上記した有機ジイソシアネートとともに、モノイソシアネート等の末端イソシアネート基と反応する化合物を用いて、分子を適当な重合度に制御することもできる。末端を封止し重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。また、この他にも末端封止剤として、イソシアネート基と反応しうる活性水素含有化合物として、水酸基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等を有する脂肪族、脂環式あるいは芳香族の化合物を使用することもできる。
【0020】
上記した有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下に進行する。この触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を使用することができる。
【0021】
上記したように環境への配慮などから本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、多価カルボジイミド化合物として水溶性、水希釈性または水分散性の多価カルボジイミド化合物を用いることが好ましい。この場合、適切な分散剤を用いて分散加工し水分散体としたり、多価カルボジイミド化合物の分子構造内に親水性のセグメントを付加することにより自己乳化あるいは水溶液の形態にすることができる。水分散体を得るための分散剤としては、非イオン系界面活性剤が好適であり、具体的にはノニルフェニル系界面活性剤が挙げられる。
【0022】
また、自己乳化型または水溶性の多価カルボジイミド化合物は、有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端多価カルボジイミドを合成した後、さらにイソシアネート基との反応性を有する官能基を有する親水性セグメントを付与することにより製造することができる。該親水性セグメントとしては、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩(例えば2−ジメチルアミノエタノールの四級塩等)、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級塩(例えば3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン等)、反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個以上有するアルキルスルホン酸塩(例えばヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム等)、アルコキシ基で末端封鎖されたポリエチレンオキサイドまたはポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとの混合物(例えばメトキシ基またはエトキシ基で末端封鎖されたポリエチレンオキサイド等)等が使用可能である。
【0023】
このような化合物としては、例えばカルボジライトV−01、V−02、V−03、V−04、V−05、V−06(日清紡社製)、UCARLNK XL−29SE、XL−29MP(ユニオンカーバイド社製)として市販されているものが使用できる。
化合物(B)の使用量としては、カルボキシル基含有重合体(A)に対して0.1〜100重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。化合物(B)の使用量が0.1重量%より少ない場合には硬化の程度が不充分であり、化合物(B)の使用量が100重量%よりも多い場合には、反応に寄与しない化合物(B)が多く残存し、耐水性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0024】
本発明で用いられる化合物(C)は、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種である。水酸基と反応可能な官能基としては、酸無水物基、アルデヒド基、エポキシ基、イソシアネート基、メチロール基等を挙げることができ、このうち、水酸基との反応によりカルボキシル基を生成するものは、酸無水物基である。なお、カルボキシル基のように過酷な条件下でのみ水酸基と反応可能なものは「水酸基と反応可能な官能基」には含めない。
【0025】
したがって、「水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物」としては、酸無水物基含有化合物が挙げられる。但し、酸無水物基含有化合物における酸無水物基は、その全部または一部が開環していてもよいし、あるいはモノエステル化物またはモノアミド化物となっていてもよい。酸無水物基の開環物とは、酸無水物基の全部または一部が加水分解により開環したもので、カルボキシル基同士が隣接したものである。上記酸無水物基含有化合物としては、酸無水物基含有低分子化合物および酸無水物基含有重合体が挙げられる。
【0026】
酸無水物基含有低分子化合物としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水コハク酸、テトラプロペニルコハク酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、無水ジグリコール酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、およびこれらの全部または一部の開環物、モノエステル化物、モノアミド化物等を挙げることができる。
【0027】
酸無水物基含有重合体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、これらの全部または一部の開環物、モノエステル化物およびモノアミド化物から選択される一種以上のモノマーを必須の繰り返し単位として含むものが挙げられ、上記のモノマーの一種以上を必須成分として含むモノマー成分を重合するか、あるいはエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物のみを必須成分として含むモノマー成分を重合し、重合中または重合後に、該不飽和ジカルボン酸無水物基の全部または一部を開環、モノエステル化、もしくはモノアミド化することによって得ることができる。前記モノマーとしては、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、およびこれらの開環物、モノエステル化物、モノアミド化物が挙げられる。このような酸無水物基含有重合体としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、後変性により酸無水物基を導入した重合体も使用可能であり、例えば無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸グラフト重合体、これら重合体に含まれる酸無水物基の全部または一部の開環物、モノエステル化物、モノアミド化物が挙げられる。
【0028】
これら酸無水物基含有化合物としては、分子内に2個以上の酸無水物基を含有する化合物が好ましく、耐水性等の物性を低下させない面から、特に酸無水物基含有重合体が好ましい。
酸無水物基の開環物、モノエステル化物およびモノアミド化物は、加熱により70〜140℃付近で再び閉環して酸無水物基に一旦戻り、次いでセルロース系基材の水酸基と反応する。これら開環物、モノエステル化物およびモノアミド化物は常温では酸無水物基を有しないために反応性が低く安定性に優れるという特徴を有するため、特に好ましい。酸無水物基をモノエステル化するためのモノエステル化剤としては、メタノール、エタノール、i−プロパノール、t−ブタノール、i−ブタノール、n−ブタノール、メチルセロソルブ、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アセトールなどの低分子量アルコールが挙げられる。酸無水物基をモノアミド化するためのモノアミド化剤としては、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジエチルアミン、アニリンなどの低分子量アミン類が挙げられる。これらの中で、メタノール、n−ブタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アセトールが好ましい。
【0029】
これら酸無水物基含有化合物のうち、酸無水物基をそのままの形で有する場合は、有機溶剤溶液、または有機溶剤溶液を水中に分散した水分散体として使用することができる。酸無水物基の開環物、モノエステル化物およびモノアミド化物の場合は、それらの水分散体または水溶液として使用することができる。
また、「水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物」としては、一分子中にアルデヒド基とカルボキシル基とをそれぞれ一個以上有する、脂肪族、脂環式あるいは芳香族のアルデヒド基含有カルボン酸等を挙げることができる。上記アルデヒド基含有カルボン酸としては、グリオキシル酸、ホルミル酢酸、β−ホルミルプロピオン酸、β−ホルミルアクリル酸、フタルアルデヒド酸等を挙げることができる。また、本発明において、化合物(C)として、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基と、カルボキシル基とを有する化合物を用いてもよいのは当然である。
【0030】
これらアルデヒド基含有カルボン酸は、水分散体または水溶液として使用することができる。
化合物(C)の使用量は、多価オキサゾリン化合物(B)の使用量の5〜2000重量%であることが好ましく、10〜500重量%がより好ましく、25〜200重量%がさらに好ましい。化合物(C)の使用量が5重量%より少ない場合には化合物(C)の添加効果が期待できず、化合物(C)の使用量が2000重量%よりも多い場合には、反応に寄与しない化合物(C)が多く残存し、耐水性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、上記以外の各種添加剤を適宜含有していてもよく、例えば、溶剤、可塑剤、無機または有機の充填剤、着色顔料、染料、増粘剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、防腐防カビ剤、防錆剤を添加することができる。また、この他に、SBRやポリウレタンエラストマーのような水性エラストマーを適宜添加することにより、本発明の樹脂組成物の耐洗濯性を向上させることができる。水性エラストマーの使用量はカルボキシル基含有重合体(A)の使用量の2〜10重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、前記したように環境への配慮などから水性であることが好ましく、従って溶剤としては水を用いることが好ましい。
本発明のセルロース系基材の加工方法について説明する。
加工の方法としては、次の(1)および(2)の2通りの方法が挙げられる。
(1) 上記で説明した本発明の樹脂組成物を用いて加工を行う方法
(2) まず化合物(C)を用いてセルロース系基材を先処理し、その後、カルボキシル基含有重合体(A)と化合物(B)とを含有する樹脂組成物によって処理する方法
(1)の方法の場合、セルロース系基材に上記で説明した本発明の樹脂組成物を塗布または含浸して、乾燥した後、熱処理する方法が採用される。熱処理の温度としては、100〜200℃程度の広い範囲で選択可能である。
【0033】
(2)の方法の場合、第一工程として、セルロース系基材に化合物(C)を塗布または含浸して、乾燥した後、熱処理する。続いて、第二工程として、カルボキシル基含有重合体(A)と化合物(B)とを含有する樹脂組成物を塗布または含浸して、乾燥した後、熱処理する方法が採用される。第一工程および第二工程の熱処理の温度としては、100〜200℃程度の広い範囲で選択可能である。
【0034】
(2)の場合の化合物(B)の使用量としては、(1)の場合と同様であり、カルボキシル基含有重合体(A)に対して0.1〜100重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。化合物(C)の使用量としては、用いるセルロース系基材の種類や厚み等により適宜選択されるものであり、特に限定されない。
本発明においてセルロース系基材とは、セルロースを含む材料からなる基材である。基材の形状としては繊維、フィルム、板状物等が挙げられる。具体的には、綿、綿混紡(綿と各種合成繊維との混紡をいう。具体的には、綿/ポリエステル混紡など、以下同じ)、木材、紙、パルプ、麻の他、セルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロイド、セルロースラッカー、アセチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、ビスコースレーヨン、CMC、HEC等)、これらを含む基材、およびこれらを塗布した基材が挙げられる。
【0035】
セルロース系基材の加工とは、具体的には、顔料捺染用バインダー、繊維加工剤、塗布または含浸加工剤、接着剤、コーティング剤などが挙げられる。
顔料捺染用バインダーとして用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションや水性ウレタン樹脂を用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に綿や綿混紡の繊維である。具体的には、Tシャツや広告旗のプリントが挙げられる。樹脂組成物の組成としては、カルボキシル基含有重合体(A)、化合物(B)および化合物(C)の他に、顔料および希釈剤(例えばターペン、ヘプタン、オクタン、石油ベンジン、灯油などの疎水性有機溶剤の水中乳化物、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、CMCなど)を含むものが通常用いられる。
【0036】
繊維加工剤として用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションやゴムラテックスを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に綿、綿混紡、麻、レーヨンの繊維である。具体的には、繊維加工用接着剤として不織布のバインダーなどが挙げられる。
塗布または含浸加工に用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)として水溶性アクリル、アクリルエマルション、スチレン含有樹脂を用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に紙や綿、特に紙である。具体的には、紙力増強、しわ加工が挙げられる。
【0037】
接着剤として用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションやウレタンを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に繊維(綿、綿混紡など)、木材、紙、セロハン等であり、これら同士の接着、他の基材との接着のいずれにも使用でき、特に木材、紙またはセルロース系繊維の接着(木材、紙またはセルロース系繊維同士の接着;木材、紙またはセルロース系繊維と他の基材との接着)に有効である。
【0038】
コーティングに用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)として水溶性アクリル、アクリルエマルション、ポリエステル、ウレタンなどを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に紙、木材、セルロース系の材料で塗布された基材などである。
【0039】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中で「部」、「%」とは特にことわりがない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。
[水溶性オキサゾリン基含有重合体(1)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール92.1部、イオン交換水368.5部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調整しておいた、メタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレート130A)84部からなる単量体混合物と、V−50(和光純薬(株)製の重合開始剤:2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)21部、イソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液をそれぞれ滴下ロートより2時間かけて滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。滴下終了後も5時間同じ温度に保った後冷却し、不揮発分40.4%、pH8.7、粘度570センチポイズの2−オキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液を得た。
[水分散性オキサゾリン基含有重合体(2)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、適量のアンモニア水(28%)でpH9.0に調整し、ゆるやかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ過硫酸カリウムの5%水溶液64部を注入し、続いて予め調製しておいたアクリル酸ブチル288部、スチレン288部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン64部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間攪拌を続けて反応を完結させた。その後冷却し、不揮発分39.8%、pH8.0の2−オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液を得た。
[カルボキシル基含有重合体(1)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ過硫酸カリウムの5%水溶液64部を注入し、続いて予め調製しておいたアクリル酸ブチル320部、スチレン288部およびアクリル酸32部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間攪拌を続けて反応を完結させた。その後冷却し、適量のアンモニア水(28%)でpH8.5に調整し、不揮発分39.8%のカルボキシル基含有重合体(1)の水分散液を得た。
[カルボキシル基含有重合体(2)の調製例]
カルボキシル基含有重合体(1)の調製例において、単量体混合物を、アクリル酸ブチル544部、アクリロニトリル64部およびアクリル酸32部と変更した以外は全く同様にして、不揮発分40.2%のカルボキシル基含有重合体(2)の水分散液を得た。
[実施例1〜6、比較例1〜3]
まず、増粘性乳化剤(ビスサーフ1400、(株)花王製)3部を水34部に溶解し、ホモミキサーで攪拌しながら、ミネラルターペン63部を添加し、レデューサーを得た。
【0040】
上記レデューサー、カルボキシル基含有重合体としてニカゾールA−01(日本カーバイド工業(株)製の水分散性アクリル樹脂の45.2%水分散体)、化合物(B)(上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液、オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、または多価カルボジイミド化合物(UCARLNK XL−29SE(ユニオンカーバイド社製):50%メチルプロパゾールアセテート溶液)、化合物(C)(酸無水物基含有化合物またはグリオキシル酸)、および水性顔料(Ryudye−W Blue KW(大日本インキ化学工業(株)製、固形分40.3%の水分散体)を表1に示す量で配合して顔料捺染用樹脂組成物を調製し、下記条件で捺染布を得た。
<捺染条件>
捺染方法:フラットスクリーン捺染(100メッシュスクリーン紗使用)
布地:綿40番ブロード
工程:捺染−乾燥(100℃×3分)−熱処理(130℃×3分)
得られた捺染布を下記評価方法に従って、評価した結果を表1に示す。
<捺染布の評価方法>
・摩擦堅牢度試験:JIS L−0849(湿式)
◎:変化なし,○:やや色落ち,△:かなり色落ち,×:激しい色落ち,
××:非常に激しい色落ち
・耐洗濯性:JIS L−0217(103法)
◎:変化なし,○:やや色落ち,△:かなり色落ち,×:激しい色落ち,
××:非常に激しい色落ち
【0041】
【表1】
【0042】
[実施例7〜12、比較例4〜6]
上記で調製したカルボキシル基含有重合体(1)の水分散液、化合物(B)(上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液、オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、または多価カルボジイミド化合物(UCARLNK XL−29SE(ユニオンカーバイド社製):50%メチルプロパゾールアセテート溶液)および化合物(C)(酸無水物基含有化合物またはグリオキシル酸)を表2に示す量で配合して紙含浸加工用樹脂組成物を調製し、下記条件で紙含浸加工を行った。
<含浸条件>
基材(ろ紙:#1、アドバンテック製)に対して30重量%の含浸量となるように含浸した後、130℃×3分で熱処理を行い、試験片を得た。
【0043】
得られた含浸紙を下記評価方法に従って、評価した結果を表2に示す。
<含浸紙の評価方法>
試験片を、蒸留水に1時間浸漬した後の引張強度をJIS P−8113に準拠して測定した。
【0044】
【表2】
【0045】
[実施例13〜18、比較例7〜9]
上記で調製したカルボキシル基含有重合体(2)の水分散液、化合物(B)(上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液、オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、または多価カルボジイミド化合物(UCARLNK XL−29SE(ユニオンカーバイド社製):50%メチルプロパゾールアセテート溶液)および化合物(C)(酸無水物基含有化合物またはグリオキシル酸)を表3に示す量で配合して木材接着用樹脂組成物を調製し、下記条件で5m/m厚のマサ目カバ材同士の接着を行った。
<接着条件>
塗布量:150g/m2
圧締め:10kg/cm2×1時間
熱処理:圧締め後、130℃×3分
接着した木材を下記評価方法に従って、評価した結果を表3に示す。
<接着した木材の評価方法>
インストロン万能試験機により、常態接着性(20℃、65%RHの引っ張り試験時の材および界面の破壊常態)および耐水接着性(20℃の水中に1日間放置し濡れたままの状態の引っ張り試験時の材および界面の破壊常態)を評価した。
【0046】
○:材料破壊,△:凝集剥離,×:界面剥離
【0047】
【表3】
【0048】
[実施例22〜26、比較例10]
〔第一工程:基材の処理〕
まず、増粘性乳化剤(ビスサーフ1400、(株)花王製)3部を水34部に溶解し、ホモミキサーで攪拌しながら、ミネラルターペン63部を添加し、レデューサーを得た。
【0049】
上記レデューサー、基材処理剤としての化合物(C)を表4に示す量で配合して基材処理用組成物を調製し、下記条件で処理済み基材を得た。
<基材処理条件>
塗布方法:フラットスクリーン捺染(100メッシュスクリーン紗使用)
布地:綿40番ブロード
工程:捺染−乾燥(100℃×3分)−熱処理(130℃×3分)
〔第二工程:捺染〕
ついで、上記レデューサー、カルボキシル基含有重合体としてニカゾールA−01(日本カーバイド工業(株)製の水分散性アクリル樹脂の45.2%水分散体)、化合物(B)(上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液、オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、または多価カルボジイミド化合物(UCARLNK XL−29SE(ユニオンカーバイド社製):50%メチルプロパゾールアセテート溶液))、および水性顔料(Ryudye−W Blue KW(大日本インキ化学工業(株)製、固形分40.3%の水分散体))を表5に示す量で配合して3種類の樹脂組成物を調製し、工程1で処理した基材に下記条件で捺染し、捺染布を得た。
<捺染条件>
捺染方法:フラットスクリーン捺染(100メッシュスクリーン紗使用)
布地:工程1で処理した基材
工程:捺染−乾燥(100℃×3分)−熱処理(130℃×3分)
得られた捺染布を実施例1と同様に評価した結果を表5に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【発明の効果】
本発明によると、多価オキサゾリン化合物および/または多価カルボジイミド化合物を用いた場合の長所を損なわずに、セルロース系基材への密着性を改善することができる。すなわち、化合物(C)を用いることによって、セルロース系基材の色々な加工に好ましく利用できる、セルロース系基材加工用樹脂組成物および加工方法を提供できる。具体的には、本発明により、顔料捺染時の顔料の摩擦堅牢度や耐洗濯性改良、紙力増強、接着性改良等の効果が得られる。
Claims (5)
- カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物において、
さらに、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を含有することを特徴とするセルロース系基材加工用樹脂組成物。 - 前記化合物(C)が、酸無水物基含有化合物および/またはアルデヒド基含有カルボン酸である、請求項1記載のセルロース系基材加工用樹脂組成物。
- カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、
前記樹脂組成物が、さらに、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を含有することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。 - カルボキシル基含有重合体(A)、多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)、および顔料を必須成分として含有する樹脂組成物をセルロース系繊維に塗布または含浸し、乾燥した後、熱処理する、セルロース系繊維への顔料捺染方法であって、
前記樹脂組成物が、さらに、水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を含有することを特徴とする顔料捺染方法。 - カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物および多価カルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、
水酸基と反応可能であり該水酸基との反応によりカルボキシル基を生成する官能基を有する化合物、および、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物(C)を用いて、セルロース系基材を先処理し、
その後、前記樹脂組成物によって処理することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。
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