JP4068733B2 - セルロース系基材加工用樹脂組成物および加工方法 - Google Patents

セルロース系基材加工用樹脂組成物および加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、綿織布などのセルロース系基材の顔料捺染用バインダー、繊維加工剤、含浸加工剤、接着剤、コーティング剤等として有用なセルロース系基材加工用樹脂組成物およびこれを用いたセルロース系基材の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Tシャツのプリントや広告旗のプリント等に用いられる顔料捺染用バインダーや、繊維加工剤、含浸加工剤、接着剤、コーティング剤としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などのカルボキシル基含有重合体と架橋剤とを含むものが一般に使用されている。このとき架橋剤は、織布の素材や処理の温度などから適宜選択されて用いられ、例えば、多価オキサゾリン化合物は、低温硬化性、一液安定性、鮮映性に優れ、ポリエステル繊維との密着性に優れるという特徴を有することから、主にポリエステル繊維からなる織布の捺染に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オキサゾリン基は水酸基との反応性が低いため、基材が綿織布などのセルロース系基材である場合には、基材との相互作用が働かず密着性に劣るといった問題がある。
したがって、本発明の課題は、多価オキサゾリン化合物を用いた場合の長所を損なわずに、セルロース系基材への密着性が改善されたセルロース系基材加工用樹脂組成物およびこれを用いたセルロース系基材の加工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
(1) カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物(B)を必須成分として含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物において、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としてブロックイソシアネートを含有することを特徴とするセルロース系基材加工用樹脂組成物。
(2) カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、前記樹脂組成物が、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としてブロックイソシアネートを含有することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明では、従来用いられていた多価オキサゾリン化合物に加えて、「水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)」をも用いることを特徴とする。多価オキサゾリン化合物を用いた場合にセルロース系基材との密着性に劣る主な理由は、オキサゾリン基と基材の水酸基との反応性が低いためであると考えられる。そこで、水酸基ともカルボキシル基とも反応可能な化合物(C)を用いて、好ましくはカルボキシル基含有重合体(A)とセルロース系基材との間の結合を形成することで、多価オキサゾリン化合物の長所を失わずにセルロース系基材との密着性が改善されるのである。化合物(C)のいくつかについてはセルロース系基材加工用樹脂組成物に用いること自体は既に知られている。しかしながら、多価オキサゾリン化合物と併用することにより、セルロース系基材に対して100〜130℃程度での低温処理が可能となるという新たな効果が発揮されるということは本発明者らが見出した驚くべき効果である。なぜなら、多価オキサゾリン化合物はセルロース系基材に対しては密着性を有さず、一方、化合物(C)はセルロース系基材に対する密着性を有するが、硬化には130℃程度以上を必要とし、低温での硬化は不可能であるためである。さらに、化合物(C)は単独で用いた場合には、長期保管時の着色および性能低下の問題を有するが、多価オキサゾリン化合物と併用することでこの問題も解決される。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるカルボキシル基含有重合体(A)としては、少なくとも不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合してなる、側鎖として複数個のカルボキシル基を有する重合体(A−1):末端および/またはペンダントとしてのカルボキシル基を含有する縮合系樹脂(A−2);後変性によりカルボキシル基を導入した樹脂(A−3)を例示することができる。具体的には、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂、スチレン含有樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。環境への配慮から本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、カルボキシル基含有重合体(A)は水溶性、水希釈性または水分散性であることが好ましく、例えば、水分散性または水溶性のアクリル樹脂;水分散性ポリウレタン樹脂;水分散性ポリエステル樹脂;水溶性、水希釈性または水分散性のポリオレフィン樹脂などを好ましいものとして挙げることができる。
【0007】
カルボキシル基含有重合体(A)の供給形態は、有機溶剤溶液、水溶液、エマルションなどどのような形態でもよいが、上記したとおり環境への配慮から本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、カルボキシル基含有重合体(A)も水溶液あるいはエマルションの形態であることが好ましい。
本発明で用いられる多価オキサゾリン化合物(B)としては、2個以上のオキサゾリン基を有する低分子化合物であっても、オキサゾリン基含有重合体であってもよいが、オキサゾリン基含有重合体が好ましい。
【0008】
2個以上のオキサゾリン基を有する低分子化合物としては、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0009】
オキサゾリン基含有重合体としては、下記一般式(I)
【0010】
【化1】
Figure 0004068733
【0011】
(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリールまたは置換アリール基であり、R5は付加重合性不飽和結合を有する非環状有機基である。)
で表される付加重合性オキサゾリンを必須成分として含み、必要に応じて付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体を含むモノマー成分を重合したオキサゾリン基含有重合体が挙げられる。
【0012】
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。
【0013】
付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されるものではないが、モノマー成分中の5重量%以上が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。5重量%未満では硬化の程度が不十分となる。60重量%を越えた場合は、耐水性に悪影響を及ぼす。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族単量体類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
【0014】
上記したように環境への配慮などから本発明の樹脂組成物は水性であることが望ましいので、多価オキサゾリン化合物(B)として水溶性、水希釈性または水分散性のオキサゾリン基含有重合体を用いることが好ましく、特にオキサゾリン基含有水溶性重合体が好ましい。重合に供する単量体成分中の親水性単量体の割合を好ましくは50重量%以上とすることで、水溶性のオキサゾリン基含有重合体を得ることができ、水溶性と硬化性の面から60〜90重量%が特に好ましい。親水性単量体としては、付加重合性オキサゾリン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中で、水への溶解性の高い、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体が好ましい。
【0015】
オキサゾリン基含有重合体は、上記単量体成分を、従来公知の重合法によって水性媒体中で溶液重合を行うことで製造することができる。水性媒体とは、水と容易に混合可能な溶媒であれば特に制限はなく、水単独;水と有機溶媒との混合物;有機溶媒単独が挙げられ、特に水単独;水と有機溶媒との混合物が好ましい。使用可能な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリーブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられ、これらの中の1種以上が使用される。
【0016】
本発明では、オキサゾリン基含有重合体として、ポリマーの後変性でオキサゾリン基を導入したものも使用可能であり、具体的にはニトリル基とアミノエタノール基の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水反応等が利用可能である。
多価オキサゾリン化合物(B)の使用量としては、カルボキシル基含有重合体(A)に対して0.1〜100重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。使用量が0.1重量%より少ない場合には硬化の程度が不充分であり、使用量が100重量%よりも多い場合には、反応に寄与しない多価オキサゾリン化合物が多く残存し、耐水性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0017】
本発明で用いられる水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としては、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な官能基を有する化合物であってもよいし、水酸基と反応可能な官能基と、カルボキシル基と反応可能な官能基とを有する化合物であってもよい。水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、メチロール基、カルボジイミド基等を挙げることができる。水酸基と反応可能な官能基としては、上記以外にアルデヒド基、酸無水物基等を挙げることができる。カルボキシル基と反応可能な官能基としては、上記以外にアジリジニル基、オキサゾリン基等を挙げることができる。ただし、カルボキシル基のように過酷な条件下でのみ水酸基と反応可能なものは「水酸基と反応可能な官能基」には含めない。以上から化合物(C)としては、イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物が挙げられるが、中でもイソシアネート化合物が好ましく、特にブロックイソシアネート化合物が好ましい。本発明の樹脂組成物を水系で用いる場合、ブロック化していないイソシアネート化合物では水中でイソシアネート基が加水分解しやすく本発明の効果が望めず、また同じ理由から長期保管による性能維持も期待できないためである。ブロックイソシアネート化合物としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure MDI)、MDI重合物、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加XDI、水素添加MDI等のブロック化物を挙げることができ、ブロック化剤としては、フェノール、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、活性メチレン化合物等を挙げることができる。特に好ましいブロックイソシアネート化合物としては、100〜150℃で解離するブロックイソシアネート化合物が好ましい。100℃未満で解離するブロックイソシアネート化合物を使用した場合、樹脂組成物の保存安定性が悪化し、ゲル化するおそれがあるためである。一方、150℃より高い温度で解離するブロックイソシアネート化合物を使用した場合、低温処理時の添加効果が期待できない。
【0018】
化合物(C)の使用量は、多価オキサゾリン化合物(B)の使用量の5〜2000重量%であることが好ましく、10〜300重量%がより好ましく、25〜100重量%がさらに好ましい。化合物(C)の使用量が5重量%より少ない場合には化合物(C)の添加効果が期待できず、化合物(C)の使用量が2000重量%よりも多い場合には、長期保管による組成物の黄変や性能低下のおそれがある。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、上記以外の各種添加剤を適宜含有していてもよく、例えば、溶剤、可塑剤、無機または有機の充填剤、着色顔料、染料、増粘剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、防腐防カビ剤、防錆剤を添加することができる。また、この他に、SBRやポリウレタンエラストマーのような水性エラストマーを適宜添加することにより、本発明の樹脂組成物の耐洗濯性を向上させることができる。水性エラストマーの使用量はカルボキシル基含有重合体(A)の使用量の2〜10重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることが好ましい。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、前記したように環境への配慮などから水性であることが好ましく、従って溶剤としては水を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物によって加工を行うセルロース系基材とは、セルロースを含む材料からなる基材である。基材の形状としては繊維、フィルム、板状物等が挙げられる。具体的には、綿、綿混紡(綿と各種合成繊維との混紡をいう。具体的には、綿/ポリエステル混紡など、以下同じ)、木材、紙、パルプ、麻の他、セルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロイド、セルロースラッカー、アセチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、ビスコースレーヨン、CMC、HEC等)、これらを含む基材、およびこれらを塗布した基材が挙げられる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、セルロース系基材の加工に用いられる。具体的には、顔料捺染用バインダー、繊維加工剤、塗布または含浸加工剤、接着剤、コーティング剤などの用途が挙げられる。
顔料捺染用バインダーとして用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションや水性ウレタン樹脂を用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に綿や綿混紡の繊維である。具体的には、Tシャツや広告旗のプリントが挙げられる。樹脂組成物の組成としては、カルボキシル基含有重合体(A)、多価オキサゾリン化合物(B)および化合物(C)の他に、顔料および希釈剤(例えばターペン、ヘプタン、オクタン、石油ベンジン、灯油などの疎水性有機溶剤の水中乳化物、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、CMCなど)を含むものが通常用いられる。
【0022】
繊維加工剤として用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションやゴムラテックスを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に綿、綿混紡、麻、レーヨンの繊維である。具体的には、繊維加工用接着剤として不織布のバインダーなどが挙げられる。
塗布または含浸加工に用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)として水溶性アクリル、アクリルエマルション、スチレン含有樹脂を用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に紙や綿、特に紙である。具体的には、紙力増強、しわ加工が挙げられる。
【0023】
接着剤として用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)としてアクリルエマルションやウレタンを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に繊維(綿、綿混紡など)、木材、紙、セロハン等であり、これら同士の接着、他の基材との接着のいずれにも使用でき、特に木材、紙またはセルロース系繊維の接着(木材、紙またはセルロース系繊維同士の接着;木材、紙またはセルロース系繊維と他の基材との接着)に有効である。
【0024】
コーティングに用いる場合、カルボキシル基含有重合体(A)として水溶性アクリル、アクリルエマルション、ポリエステル、ウレタンなどを用いることが好ましく、対象となるセルロース系基材は主に紙、木材、セルロース系の材料で塗布された基材などである。
本発明の樹脂組成物を用いて加工を行う方法としては、セルロース系基材に本発明の樹脂組成物を塗布または含浸して、乾燥した後、熱処理する方法が採用される。熱処理の温度としては、100〜200℃程度の広い範囲で選択可能であるが、前記したように本発明の樹脂組成物は100〜130℃程度での低温で処理した場合にもセルロース系基材に対する十分な密着性が発揮される。
【0025】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中で「部」、「%」とは特にことわりがない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。
[水溶性オキサゾリン基含有重合体(1)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール92.1部、イオン交換水368.5部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調整しておいた、メタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレート130A)84部からなる単量体混合物と、V−50(和光純薬(株)製の重合開始剤:2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩)21部、イソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液をそれぞれ滴下ロートより2時間かけて滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。滴下終了後も5時間同じ温度に保った後冷却し、不揮発分40.4%、pH8.7、粘度570センチポイズの2−オキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液を得た。
[水分散性オキサゾリン基含有重合体(2)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、適量のアンモニア水(28%)でpH9.0に調整し、ゆるやかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ過硫酸カリウムの5%水溶液64部を注入し、続いて予め調製しておいたアクリル酸ブチル288部、スチレン288部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン64部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間攪拌を続けて反応を完結させた。その後冷却し、不揮発分39.8%、pH8.0の2−オキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液を得た。
[カルボキシル基含有重合体(1)の調製例]
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、脱イオン水782.4部およびハイテノールN−08(第一工業製薬(株)製のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩)の15%水溶液128部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ過硫酸カリウムの5%水溶液64部を注入し、続いて予め調製しておいたアクリル酸ブチル320部、スチレン288部およびアクリル酸32部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時間攪拌を続けて反応を完結させた。その後冷却し、適量のアンモニア水(28%)でpH8.5に調整し、不揮発分39.8%のカルボキシル基含有重合体(1)の水分散液を得た。
[カルボキシル基含有重合体(2)の調製例]
カルボキシル基含有重合体(1)の調製例において、単量体混合物を、アクリル酸ブチル544部、アクリロニトリル64部およびアクリル酸32部と変更した以外は全く同様にして、不揮発分40.2%のカルボキシル基含有重合体(2)の水分散液を得た。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
まず、増粘性乳化剤(ビスサーフ1400、(株)花王製)3部を水34部に溶解し、ホモミキサーで攪拌しながら、ミネラルターペン63部を添加し、レデューサーを得た。
【0026】
上記レデューサー、カルボキシル基含有重合体としてニカゾールA−01(日本カーバイド工業(株)製の水分散性アクリル樹脂の45.2%水分散体)、化合物(B)として上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液またはオキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、化合物(C)としてブロックイソシアネート(TDI系アダクト体のフェノールブロック化イソシアネートの45%水分散体;解離温度130℃)、および水性顔料(Ryudye−W Blue KW(大日本インキ化学工業(株)製、固形分40.3%の水分散体))を表1に示す量で配合して顔料捺染用樹脂組成物を調製し、下記条件で捺染布を得た。
<捺染条件>
捺染方法:フラットスクリーン捺染(100メッシュスクリーン紗使用)
布地:綿40番ブロード
工程:捺染−乾燥(100℃×3分)−熱処理(130℃×3分)
得られた捺染布を下記評価方法に従って、評価した結果を表1に示す。また、顔料捺染用樹脂組成物を室温(25℃)×2週間保存した後の着色について、観察した結果もあわせて表1に示す。さらに、該保存後の顔料捺染用樹脂組成物を用いて上記と同様にして捺染布を製造し、評価した結果もあわせて表1に示す。
<捺染布の評価方法>
・摩擦堅牢度試験:JIS L−0849(湿式)
◎:変化なし,○:やや色落ち,△:かなり色落ち,×:激しい色落ち,
××:非常に激しい色落ち
・耐洗濯性:JIS L−0217(103法)
◎:変化なし,○:やや色落ち,△:かなり色落ち,×:激しい色落ち,
××:非常に激しい色落ち
【0027】
【表1】
Figure 0004068733
【0028】
[実施例5〜8、比較例4〜6]
実施例1〜4、比較例1〜3と全く同様にして顔料捺染用樹脂組成物を調製し、捺染条件における熱処理条件を「100℃×3分」とした以外は全く同様にして捺染布を得た。得られた捺染布および顔料捺染用樹脂組成物を実施例1〜4、比較例1〜3と同様に評価した結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
Figure 0004068733
【0030】
[実施例9〜11、比較例7〜9]
上記で調製したカルボキシル基含有重合体(1)の水分散液、化合物(B)としての上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液またはオキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、および化合物(C)としてブロックイソシアネート(TDI系アダクト体のフェノールブロック化イソシアネートの45%水分散体;解離温度130℃)を表3に示す量で配合して紙含浸加工用樹脂組成物を調製し、下記条件で紙含浸加工を行った。
<含浸条件>
基材(ろ紙:#1、アドバンテック製)に対して30重量%の含浸量となるように含浸した後、100℃×3分で熱処理を行い、試験片を得た。
【0031】
得られた含浸紙を下記評価方法に従って、評価した結果を表3に示す。また、紙含浸加工用樹脂組成物を室温(25℃)×2週間保存した後の着色について、観察した結果もあわせて表3に示す。
<含浸紙の評価方法>
試験片を、蒸留水に1時間浸漬した後の引張強度をJIS P−8113に準拠して測定した。
【0032】
【表3】
Figure 0004068733
【0033】
[実施例12〜14、比較例10〜12]
上記で調製したカルボキシル基含有重合体(2)の水分散液、化合物(B)としての上記で調製したオキサゾリン基含有重合体(1)の水溶液またはオキサゾリン基含有重合体(2)の水分散液、および化合物(C)としてのブロックイソシアネート(TDI系アダクト体のフェノールブロック化イソシアネートの45%水分散体;解離温度130℃)を表4に示す量で配合して木材接着用樹脂組成物を調製し、下記条件で5m/m厚のマサ目カバ材同士の接着を行った。
<接着条件>
塗布量:150g/m2
圧締め:10kg/cm2×1時間
熱処理:圧締め後、100℃×5分
接着した木材を下記評価方法に従って、評価した結果を表4に示す。また、木材接着用樹脂組成物を室温(25℃)×2週間保存した後の着色について、観察した結果もあわせて表4に示す。
<接着した木材の評価方法>
インストロン万能試験機により、常態接着性(20℃、65%RHの引っ張り試験時の材および界面の破壊常態)および耐水接着性(20℃の水中に1日間放置し濡れたままの状態の引っ張り試験時の材および界面の破壊常態)を評価した。
【0034】
○:材料破壊,△:凝集剥離,×:界面剥離
【0035】
【表4】
Figure 0004068733
【0036】
【発明の効果】
本発明によると、多価オキサゾリン化合物を用いた場合の長所を損なわずに、セルロース系基材への密着性を改善することができ、しかもセルロース系基材に対して100〜130℃程度での低温処理が可能となるという新たな効果が発揮される。さらに、化合物(C)を単独で用いた場合の長期保管時の着色や性能低下の問題も、多価オキサゾリン化合物と併用することで解決される。

Claims (3)

  1. カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物(B)を必須成分として含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物において、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としてブロックイソシアネートを含有することを特徴とするセルロース系基材加工用樹脂組成物。
  2. カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物(B)を必須成分として含有する樹脂組成物によってセルロース系基材を加工する方法であって、前記樹脂組成物が、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としてブロックイソシアネートを含有することを特徴とするセルロース系基材の加工方法。
  3. カルボキシル基含有重合体(A)、多価オキサゾリン化合物(B)および顔料を必須成分として含有する樹脂組成物をセルロース系繊維に塗布または含浸し、乾燥した後、熱処理する、セルロース系繊維への顔料捺染方法であって、前記樹脂組成物が、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)としてブロックイソシアネートを含有することを特徴とする顔料捺染方法。
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