JP4074189B2 - 水性着色剤及びそれを用いた水性塗工剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性着色剤及びそれを用いた水性塗工剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、顔料捺染糊用や水性塗料用などとして好適に用いられ、バインダー樹脂やビヒクルに対して架橋性を有する水溶性重合体で微分散化された顔料を含む水性着色剤、及び上記水性着色剤を含み、顔料捺染糊や水性塗料などとして、耐水性、耐摩擦堅牢度、色相の安定性などに優れる捺染布や着色塗装物を与える水性塗工剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、Tシャツのプリントや、旗、幟等のプリントなどにおいては、一般に捺染法が採用されている。この捺染法は、織物、編物、レース、不織布などの布の上に、スクリーン、型紙などを通して捺染糊で柄付けを行い着色する方法であって、染料捺染法と顔料捺染法に大別することができる。
【0003】
前記捺染法の中で、顔料捺染法は、染料と異なり、染着能のない顔料を、分散剤を用いて水性媒体中に微分散させ、これに固着剤(バインダー)を加えて調製してなる顔料捺染糊を用い、布上にプリントして強固に固着させる方法である。
このような顔料捺染法は、(1)顔料を用いているため、染料のように繊維に対する選択的吸着性が少なく、あらゆる布に染着可能である、(2)一般に染料に比べて耐候性に優れている、(3)染色工程が簡単で、微細な模様を明瞭に捺染できる、(4)一般染料を併用して、多様性のある色調を現出することも可能である、などの長所を有している。
その一方で、顔料捺染糊の調製においては、顔料を水性媒体中に微分散させるために、通常ノニオン性やアニオン性界面活性剤が用いられている。その結果、バインダーの耐水性や耐洗濯性、耐摩擦堅牢度などが劣り、着色布の風合を害する上、屋外の幟などのプリント物においては、雨により顔料のブリード(色泣き)が発生しやすく、また例えば白色顔料と着色顔料を分散させた顔料捺染糊を用いて、長時間連続してプリントを行う場合に、色相に変化が生じる、などの欠点を有している。
【0004】
顔料捺染法において、バインダーの耐水性や耐洗濯性、耐摩擦堅牢度などを向上させるために、これまで種々の技術が試みられている。例えばブロックドイソシアネート系ウレタン化合物又はエポキシ系化合物を併用して捺染することが一般に行われているが、これらの化合物を用いて堅牢度に優れ、耐久性のある加工布を得ようとすると、化合物が有する官能基の反応特性に起因して過酷な熱処理が必要となり、その結果十分な熱処理を行うために加工速度の低下を余儀なくされたり、熱処理が不十分な場合には堅牢度の低下、経時で色落ちを生じるという問題が生じる。
そこで、近年、架橋剤としてオキサゾリン基含有重合体を用いる技術が提案されている。例えば(1)オキサゾリン基を含有する水溶性高分子化合物を含むアクリル系樹脂水性組成物(例えば、特許文献1参照)、(2)カルボキシル基含有重合体(A)および多価オキサゾリン化合物(B)を必須成分として含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物において、さらに、水酸基およびカルボキシル基の両方と反応可能な化合物(C)を含有するセルロース系基材加工用樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、(3)2−オキサゾリン基を有する重合体を含有する水性組成物により繊維材料を処理する繊維材料の加工方法(例えば、特許文献3参照)、(4)特定のアクリル系共重合体と、架橋剤としてオキゾリン系重合体を含む繊維加工用水分散性樹脂組成物(例えば、特許文献4参照)などが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの特許文献においては、使用するオキサゾリン化合物の顔料分散能についてはなんら言及されていない上、顔料は、該オキサゾリン化合物により、予め微分散化された状態では使用されていない。したがって、顔料をノニオン性又はアニオン性界面活性剤で微分散化してなる水性着色剤を使用し、バインダー、該オキサゾリン化合物及び上記水性着色剤を含む顔料捺染用塗工剤(顔料捺染糊)を用いてプリントした場合には、やはり顔料のブリードの問題や、白色顔料と着色顔料を併用し、長時間連続してプリントした際の色相の変化の問題などが残る。
他方、水を溶剤とする水性塗料は、有機溶剤を使用しないため、環境汚染や火災などの災害の心配がない上、はけ、ローラ、スプレーガンなどの塗装機器の掃除、塗料汚染の後始末なども水により簡単にできることから、近年、次第に需要が多くなり、特に家庭用塗料として賞用されている。
【0006】
この水性塗料は、ビヒクルがエマルジョンであるエマルジョン型水性塗料と、ビヒクルが溶解している水溶性塗料に大別することができる。エマルジョン型及び水溶性塗料のいずれにおいても、顔料を微分散化することが重要であり、そのためには、分散剤として、通常ノニオン性やアニオン性界面活性剤が用いられている。
また、この水性塗料においては、ビヒクルを水分散性又は水溶性にするために、該ビヒクルに親水基を多量に導入する必要があり、その結果塗膜の耐水性や耐久性などが低下するのを免れないという問題があった。
このような問題に対処するために、近年、硬化剤としてアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アジリジン系化合物などを配合して塗膜の諸性能を向上させることが試みられている。また、カルボキシル基を含有するラテックスを、2−オキサゾリン基を有するラテックスで架橋させた硬化性組成物が知られている。
【0007】
しかしながら、硬化剤としてアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アジリジン系化合物を使用する場合には、硬化剤が比較的低分子量のものであることから、得られる塗膜の耐水性、密着性及び耐久性などは、十分に満足し得るものではなかった。また、オキサゾリン基を含有するラテックスを使用する場合には、粒子状であるために反応性基との架橋効率が悪く、硬化速度及び得られる塗膜の機械的強度、耐水性、耐溶剤性などに問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、水溶性、水希釈性もしくは水分散性の重合体(A)を主剤として含有し、該重合体(A)のうちの少なくとも一部が2−オキサゾリン基と反応し得る官能基を有する重合体(A1)であり、2−オキサゾリン基を有する水溶性重合体(B)を前記重合体(A1)の架橋剤として含む水性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献5においては、2−オキサゾリン基を有する水溶性重合体の顔料分散能についてはなんら言及されていない。また、実施例における塗膜性能は、他の硬化剤を用いた比較例の塗膜性能に比べて優れているが、これらの例においては顔料は使用されておらず、各例における水性樹脂組成物を水性塗料に用いる場合には、顔料を分散させる必要があり、該顔料の分散にノニオン性やアニオン性界面活性剤を用いると、得られる塗膜性能が低下するおそれがある上、顔料のブリードや色相の変化が生じやすいなどの問題が生じる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−251474号公報
【特許文献2】
特開2000−129144号公報
【特許文献3】
特開2001−262472号公報
【特許文献4】
特開2002−302876号公報
【特許文献5】
特開平5−295272号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、耐水性、耐摩擦堅牢度、色相の安定性などに優れる捺染布や着色塗装物を与える捺染糊、水性塗料などとして好適な水性塗工剤、及び該水性塗工剤の着色材料として好適に用いられる水性着色剤を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、架橋性官能基を有し、かつ顔料分散能を有する水溶性重合体を用いて微分散化された顔料を含む水性着色剤、及び該水性着色剤と、この水性着色剤における水溶性重合体の架橋性官能基に対して反応性を有する重合体を少なくとも含む水溶性又は水分散性重合体との組合わせからなる水性塗工剤がその目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)架橋性官能基を有する水溶性重合体と、それにより微分散化された顔料を含むことを特徴とする水性着色剤、
(2)顔料100重量部当たり、架橋性官能基を有する水溶性重合体5〜40重量部を含む上記(1)の水性着色剤、
(3)架橋性官能基を有する水溶性重合体が、分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体である上記(1)、(2)の水性着色剤、
(4)顔料捺染用又は塗料用に用いられる上記(1)、(2)、(3)の水性着色剤、
(5)(A)上記(1)、(2)、(3)の水性着色剤と、(B)該(A)成分における水溶性重合体の架橋性官能基に対して反応性を有する重合体を少なくとも含む水溶性又は水分散性重合体との組合わせからなる水性塗工剤、及び
(6)顔料捺染用又は塗料用に用いられる上記(5)の水性塗工剤、
を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の水性着色剤について説明する。
本発明の水性着色剤においては、水性媒体中に顔料を微分散させるために、架橋性官能基を有する水溶性重合体(以下、架橋性ポリマーと称すことがある。)が用いられる。水溶性重合体は、疎水性部分と親水性部分を有する高分子化合物であり、顔料を分散させる機能を有している。この架橋性ポリマーに導入されている架橋性官能基としては、後述の水性塗工剤において、(B)成分として用いられる水溶性又は水分散性重合体に含まれる被架橋性重合体の反応性官能基と反応して、該被架橋性重合体を架橋し得る基であればよく、特に制限されず、該被架橋性重合体の反応性官能基に対応した様々な基を挙げることができる。
前記被架橋性重合体における反応性官能基としては、例えばカルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基、メルカプト基、アミド基、アミノ基、イミノ基などが挙げられる。したがって、前記架橋性ポリマーに導入される架橋性官能基としては、上記の被架橋性重合体の反応性官能基と反応し得る基、例えば2−オキサゾリン基、ブロックイソシアネート基、エポキシ基、メチロール基、カルボジイミド基、アルデヒド基、酸無水物基、アジリジニル基などが挙げられる。これらの架橋性官能基は、1分子中に一種導入されていてもよく、二種以上導入されていてもよいが、架橋性の点から、上記架橋性官能基は、1分子中に2個以上導入されていることが肝要である。
【0014】
本発明における架橋性官能基を有する水溶性重合体としては、例えば被架橋性重合体中のカルボキシル基や無水カルボン酸基などとの反応性に優れる2−オキサゾリン基やカルボジイミド基を2個以上有する水溶性重合体、被架橋性重合体中の水酸基、メルカプト基、アミド基、アミノ基、イミノ基などとの反応性に優れるブロックイソシアネート基を2個以上有する水溶性重合体などを好ましく挙げることができるが、これらの中で、分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体が特に好適である。
前記分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体としては、(a)2−オキサゾリン基含有単量体及び必要に応じて用いられる(b)エチレン性不飽和単量体を重合してなるものを用いることができる。
ここで、(a)成分の2−オキサゾリン基含有単量体としては、例えば一般式(I)
【0015】
【化1】
Figure 0004074189
【0016】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、フェニル基又は置換フェニル基、Yは付加重合性不飽和結合をもつ非環状有機基を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく、好適である。
【0017】
一方、必要に応じて用いられる(b)成分のエチレン性不飽和単量体としては、オキサゾリン基と反応せず、前記(a)成分と共重合可能な単量体であればよく、特に制限されず、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族単量体類が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体は、前記(a)成分の2−オキサゾリン基含有単量体と、必要に応じて用いられる前記(b)成分のエチレン性不飽和単量体とを、従来公知の重合法によって、水性媒体中で溶液重合を行うことにより製造することができる。この際、水性媒体としては、水、又は水と、それに対して混和性を有する有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリープタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等との混合溶液が挙げられる。
【0018】
前記(a)成分の2−オキサゾリン基含有単量体の使用量は特に制限はないが、単量体全量に基づき、5重量%以上であることが好ましい。この量が5重量%未満では重合体中の架橋性官能基の含有量が少なく、本発明の目的が十分に達せられず、好ましくない。
また、この重合体に水溶性を付与するために、全単量体中の親水性単量体の割合は50重量%以上であることが好ましく、特に70重量%以上であることが好ましい。該親水性単量体としては、(a)成分の2−オキサゾリン基含有単量体及び(b)成分のエチレン性不飽和単量体の中の(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル及びその塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明においては、分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体として、ポリマーの後変性で2−オキサゾリン基を導入したものも使用することができる。2−オキサゾリン基の導入には、例えばニトリル基とアミノエタノール基との反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水反応などが利用可能である。
【0019】
次に、分子内にカルボジイミド基を2個以上有する水溶性重合体を製造するには、例えば、まずジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端カルボジイミド基含有重合体を製造する。
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記ジイソシアネート化合物と共に、モノイソシアネート化合物などの末端イソシアネート基と反応する化合物を用いて、分子を適当な重合度に制御することもできる。末端を封止し重合度を制御するためのモノイソシアネート化合物としては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。また、この他にも末端封止剤として、イソシアネート基と反応しうる活性水素含有化合物として、水酸基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基等を有する脂肪族、脂環式あるいは芳香族の化合物を使用することもできる。
前記ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応においては、カルボジイミド化触媒を用いることができる。この触媒としては、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を使用することができる。
【0021】
次に、カルボジイミド基含有重合体を水溶性にするために、カルボジイミド基含有重合体の分子構造内に親水性セグメントを付与する。例えばイソシアネート基と反応性を有する官能基をもつ親水性セグメントを付与することにより、カルボジイミド基含有水溶性重合体を得ることができる。該親水性セグメントとしては、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩(例えば2−ジメチルアミノエタノールの四級塩等)、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級塩(例えば3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン等)、反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個以上有するアルキルスルホン酸塩(例えばヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム等)、アルコキシ基で末端封鎖されたポリエチレンオキサイドまたはポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとの混合物(例えばメトキシ基またはエトキシ基で末端封鎖されたポリエチレンオキサイド等)などを用いることができる。
さらに、分子内にブロックイソシアネート基を2個以上有する水溶性重合体としては、例えばイソシアネート基と反応し得る官能基を有する水溶性重合体の該官能基の一部に、ポリイソシアネート化合物を付加させ、さらに遊離のイソシアネート基をブロックした水溶性重合体を用いることができる。
【0022】
この際用いることができるポリイソシアネート化合物としては、前述のカルボジイミド基を有する水溶性重合体の説明において、ジイソシアネート化合物として例示したものと同じ化合物を挙げることができる。また、ブロック化剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、フェノール等の脂肪族、脂環族又は芳香族アルコール;ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのヒドロキシ第三アミン;アセトキシム、メチルエチルケトオキシム等のケトオキシム類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エステル等の活性メチレン化合物;ε−カプロラクタム等のラクタム類などが挙げられる。このようなブロック化剤により、イソシアネート基をブロックすることにより、水性媒体中におけるイソシアネート基の加水分解を抑制することができる。また、加熱により、容易に脱ブロック化し、イソシアネート基としての機能を発現する。
【0023】
本発明の水性着色剤においては、前述の架橋性官能基を有する水溶性重合体を一種又は二種以上組み合わせて用い、顔料を水性媒体中に微分散させる。この際、水性媒体としては、水、又は水と、それに対して混和性を有する有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ターシャリープタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン等との混合溶液が挙げられる。
【0024】
一方、顔料としては特に制限はなく、従来顔料捺染糊や塗料などにおいて慣用されているものの中から一種又は二種以上を任意に選択して用いることができる。この顔料は無機顔料、体質顔料及び有機顔料に大別することができる。
無機顔料の例としては、カーボンブラック顔料、酸化チタン系顔料、黄色酸化鉄、弁柄、酸化クロム、群青、複合酸化物顔料、硫化亜鉛などが挙げられる。体質顔料の例としては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウムなどが挙げられる。一方、有機顔料の例としては、溶性アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、ポリアゾ系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン−ペリレン系顔料、アゾメチン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ピロロピロール系顔料、蛍光顔料などが挙げられる。これは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の水性着色剤においては、前記顔料100重量部に対し、架橋性官能基を有する水溶性重合体を、好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜20重量部の割合で用い、該顔料を水性媒体中に微分散させる。架橋性官能基を有する水溶性重合体の量が5重量部未満では顔料の分散が不十分となるおそれがあり、また40重量部を超えるとその量の割には分散効果の向上が認められず、40重量部以下で該顔料は十分に微分散する。
【0025】
本発明の水性着色剤の調製は、従来公知の分散装置、例えばサンドミル分散機などを用いて行うことができる。この際、顔料の湿潤性や分散安定性などを向上させるために、所望により、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール類を顔料100重量部に対し、20〜80重量部程度用いることができる。また、顔料組成により、経時で顔料成分が沈降するような水性着色剤においては、顔料100重量部に対し、ノニオン性界面活性剤を5〜10重量部程度添加することができる。
本発明の水性着色剤における顔料濃度としては特に制限はないが、取り扱い性や経済性などの面から、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲である。また、水性媒体中に微分散された顔料の平均粒径は、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
本発明の水性着色剤は、顔料捺染糊、塗料、印刷インキなどの各種用途に用いることができるが、これらの中で、特に顔料捺染糊及び塗料用途に好適である。
【0026】
次に、本発明の水性塗工剤について説明する。
本発明の水性塗工剤は、(A)前述の水性着色剤と、(B)該(A)成分における水溶性重合体の架橋性官能基に対して、反応性を有する重合体を少なくとも含む水溶性又は水分散性重合体との組合わせからなる水性組成物である。
この水性組成物において、(B)成分として用いられる水溶性又は水分散性重合体は、(A)成分の水性着色剤における水溶性重合体の架橋性官能基に対して、反応性を有する重合体を少なくとも含むものである。ここで、水溶性重合体の架橋性官能基に対して、反応性を有する重合体としては、該架橋性官能基が2−オキサゾリン基やカルボジイミド基である場合には、カルボキシル基、無水カルボン酸基などの反応性官能基を、架橋性官能基がブロックイソシアネート基である場合には、水酸基、メルカプト基、アミド基、アミノ基、イミノ基などの反応性官能基を、分子内に2個以上有する水溶性又は水分散性重合体を用いることができる。
このような反応性官能基を分子内に2個以上有する水溶性又は水分散性重合体としては特に制限はなく、様々な重合体を用いることができる。具体的には前記反応性官能基を分子内に2個以上有する、アクリル系樹脂、合成ゴム、ウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂などが用いられるが、これらの中で、耐候性などに優れ、かつ反応性官能基の導入が容易なアクリル系樹脂が好適である。
【0027】
前記反応性官能基を有する水溶性又は水分散性アクリル系樹脂は、例えば(イ)疎水性アクリル系単量体、(ロ)反応性官能基を有する親水性単量体及び必要に応じて用いられる(ハ)他の疎水性単量体などを共重合させることにより、製造することができる。
前記(イ)成分の疎水性アクリル系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(ロ)成分の反応性官能基を有する親水性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−メルカプトエチル、(メタ)アクリル酸2−メルカプトプロピル、(メタ)アクリル酸3−メルカプトプロピル、(メタ)アクリル酸2−メルカプトブチル、(メタ)アクリル酸3−メルカプトブチル、(メタ)アクリル酸4−メルカプトブチルなどの(メタ)アクリル酸メルカプトアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの反応性官能基を有する親水性単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、(A)成分の水性着色剤における架橋性ポリマーの架橋性官能基が2−オキサゾリン基である場合には、反応性官能基を有する親水性単量体として、少なくともエチレン性不飽和カルボン酸を用いることが好ましい。
【0029】
次に、必要に応じて用いられる(ハ)成分の他の疎水性単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記反応性官能基を有する水溶性又は水分散性アクリル系樹脂は、水性媒体中において公知の溶液重合法や乳化重合法により、前記(イ)成分の疎水性アクリル系単量体、(ロ)成分の反応性官能基を有する親水性単量体及び必要に応じて用いられる(ハ)成分の他の疎水性単量体を共重合させることにより、製造することができる。
前記(ロ)成分の反応性官能基を有する親水性単量体の全単量体に占める割合については特に制限はなく、重合の際の安定性や得られたアクリル系樹脂水性液の保存安定性などを考慮して、適宜決めればよい。
【0030】
本発明の水性塗工剤においては、(B)成分として、反応性官能基を有する水溶性又は水分散性重合体のみを用いてもよいし、必要に応じ、基材への密着性、塗工性、顔料混和性などを向上させる目的で、反応性官能基を有しない水溶性又は水分散性重合体を併用することができる。このような重合体としては、公知の水性ラテックス、具体的にはアクリル系水分散液、酢酸ビニル系水分散液、スチレン−ブタジエン系水分散液、天然ゴムラテックスなどを挙げることができる。
本発明の塗工剤においては、(B)成分における全重合体中の反応性官能基の含有量は特に制限はなく、該塗工剤の用途に応じて、所望の物性を有する塗膜が得られるように適宜選定することができる。
【0031】
本発明の水性塗工剤においては、顔料の含有量は特に制限はなく、該塗工剤の用途に応じて適宜選定されるが、通常顔料と全重合体との合計重量に基づき、5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%の範囲である。また、固形分濃度としては特に制限はなく、該塗工剤の用途に応じ、作業性(取扱い性)などの面から、適宜選定されるが、通常5〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲である。
本発明の水性塗工剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により各種添加剤、例えば溶剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、防腐防カビ剤、消泡剤、染料などを適宜配合することができる。
【0032】
本発明の水性塗工剤は、顔料捺染糊用及び水性塗料用などとして好適に用いられる。
顔料捺染糊の調製においては、従来、顔料を水性媒体中に微分散させるために、通常ノニオン性やアニオン性界面活性剤が用いられている。その結果、バインダーの耐水性や耐洗濯性、耐摩擦堅牢度などが劣り、着色布の風合を害する上、屋外の幟などのプリント物においては、雨により顔料のブリード(色泣き)が発生しやすく、また、例えば白色顔料と着色顔料を分散させた顔料捺染糊を用いて、長時間連続してプリントを行う場合に、色相に変化が生じるなど、不都合を招来するという問題があった。
その上、多量の顔料を必要とする顔料捺染糊の調製においては、自ずと捺染糊中のノニオン性やアニオン性界面活性剤の含有量が多くなることから、前記の不都合がさらに顕著に現れるという問題があった。
【0033】
これに対し、本発明は顔料捺染糊を調製する場合、架橋性官能基を有する水溶性重合体を用いて、水性媒体中に顔料を微分散させてなる水性着色剤と、該架橋性官能基に対して反応性を有する水溶性又は水分散性重合体(反応性バインダー)とを組み合わせて顔料捺染糊を調製することから、前記のような不都合の発生が抑制される。
また、多量の顔料を必要とする顔料捺染糊の調製においては、自ずと捺染糊中の架橋性官能基の含有量が多くなり、その結果反応性バインダーの架橋化度が高くなって、該バインダーの耐水性や耐摩擦堅牢度などがさらに向上し、より一層顔料ブリード(色泣き)を抑えることができる。
さらに、一般的には、架橋反応を利用した物性向上策は、着色剤の保存安定性や経時による物性低下が懸念されるが、本発明においては、水性着色剤及び顔料捺染糊の保存安定性の低下や経時による物性低下はほとんどない。
【0034】
一方、水性塗料においては、ビヒクルを水分散性又は水溶性にするために、親水基を多量に導入する必要があり、その結果塗膜の耐水性や耐久性などが低下するのを免れないという問題があった。しかも、顔料を微分散するために、通常ノニオン性やアニオン性界面活性剤が用いられており、これら界面活性剤は塗膜性能をさらに低下させ、顔料のブリードや色相の変化などの要因となる。
これに対し、本発明は、水性塗料を調製する場合、架橋性官能基を有する水溶性重合体を用いて、水性媒体中に顔料を微分散させてなる水性着色剤と、該架橋性官能基に対して反応性を有する水溶性又は水分散性重合体(反応性ビヒクル)とを組み合わせて水性塗料を調製することから、耐水性、耐溶剤性、耐久性などに優れる架橋塗膜が得られ、しかも顔料のブリードや色相の変化を抑制することができる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)水性着色剤の調製
銅フタロシアニンブルー顔料20重量部、2−オキサゾリン基含有水性アクリル樹脂(日本触媒社製「エポクロスWS−700」、固形分濃度25重量%、オキサゾリン基当量:220g・固形分/当量、GPC測定による分子量:数平均分子量3700、重量平均分子量6000)10重量部、プロピレングリコール10重量部及び水60重量部を混合し、この混合物を横型サンドミル分散機で、顔料の平均粒子径が0.15μmになるように分散処理することにより、水性着色剤を作製した。
(2)顔料捺染糊の調製
上記(1)で得た水性着色剤15重量部に、捺染用インスタントバインダー(大日精化工業社製「セイカペーストDH−7」、カルボキシル基含有アクリル樹脂エマルジョン、固形分濃度18重量%)85重量部を混合して、顔料捺染糊を調製した。
(3)捺染布の作製
上記(2)で得た顔料捺染糊を用い、ポリエステルポンジー(布)に、100メッシュスクリーンにて印捺量がウェットで40g/mになるようにプリントしたのち、40℃で48時間乾燥処理し、捺染布を作製した。
(4)捺染布の顔料ブリード試験
上記(3)で得た捺染布について、下記の方法により顔料ブリード(色泣き)試験を行った。その結果、顔料のブリードは確認されず、発色性及び耐摩擦堅牢度は良好であった。
【0036】
比較例1
捺染用インスタントバインダー「セイカペーストDH−7」(前出)85重量部及びノニオン性界面活性剤で銅フタロシアニンブルー顔料を微分散してなる水性着色剤(大日精化工業社製「ラクチミンカラー:Blue FLGB Conc」、固形分濃度36重量%)15重量部を混合して、顔料捺染糊を調製した。
次に、実施例1と同様にして捺染布を作製したのち、この捺染布について顔料ブリード試験を行った。
その結果、顔料のブリードが確認された。
比較例2
捺染用インスタントバインダー「セイカペーストDH−7」(前出)85重量部に、ノニオン性界面活性剤で銅フタロシアニンブルー顔料を微分散してなる水性着色剤「ラクチミンカラー:Blue FLGB Conc」(前出)15重量部及び2−オキサゾリン基含有水性アクリル樹脂「エポクロスWS−700」(前出)1.5重量部を混合して顔料捺染糊を調製した。
次に、実施例1と同様にして捺染布を作製したのち、この捺染布について顔料ブリード試験を行った。
その結果、顔料のブリードが確認された。
【0037】
実施例2
・ 顔料捺染糊の調製
カルボキシル基を有するアクリル共重合樹脂エマルジョンに白色顔料として酸化チタンを分散させてなる捺染剤(大日精化工業社製「セイカプレンNF−404 White」、樹脂含有量24重量%、酸化チタン含有量30重量%、酸化チタンの平均粒径0.2μm)95重量部に、実施例1(1)で調製した水性着色剤5重量部を添加して、顔料捺染糊を調製した。
(2)発色性の試験
上記(1)で得た顔料捺染糊を用いて、綿天竺ニット上に80メッシュスクリーンで連続してプリントし、1枚目の発色性を標準とし、100枚毎に発色性の確認を行った。その結果を第1表に示す。
【0038】
比較例3
実施例2で用いた捺染剤「セイカプレンNF−404 White」(前出)95重量部に、ノニオン性界面活性剤で銅フタロシアニンブルー顔料を微分散してなる水性着色剤「ラクチミンカラー:Blue FLGB Conc」(前出)5重量部を添加して顔料捺染糊を調製し、実施例2と同様にして発色性の試験を行った。その結果を第1表に示す。
比較例4
実施例2で用いた捺染剤「セイカプレンNF−404 White」(前出)95重量部に、ノニオン性界面活性剤で銅フタロシアニンブルー顔料を微分散してなる水性着色剤「ラクチミンカラー:Blue FLGB Conc」(前出)5重量部及び2−オキサゾリン基含有水性アクリル樹脂「エポクロスWS−700」(前出)0.5重量部を添加して顔料捺染糊を調製し、実施例2と同様にして発色性の試験を行った。その結果を第1表に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004074189
【0040】
第1表から、架橋性ポリマーで顔料を微分散させてなる水性着色剤を用いた実施例2は、ノニオン性界面活性剤で顔料を微分散させてなる水性着色剤を用いた比較例3、及びノニオン性界面活性剤で顔料を微分散させてなる水性着色剤と架橋性ポリマーを用いた比較例4に比べて、捺染適正が良好であることが確認できた。
【0041】
【発明の効果】
本発明の水性着色剤は、架橋性官能基を有する水溶性重合体により、水性媒体中に顔料を微分散させたものであり、該水性着色剤を含む本発明の水性塗工剤は、顔料捺染糊や水性塗料などとして好適に用いられ、耐水性、耐摩擦堅牢度、色相の安定性などに優れる捺染布や着色塗装物を与えることができる。

Claims (9)

  1. (A)架橋性官能基を有する水溶性重合体及びそれにより微分散化された顔料を含む水性着色剤と、(B)該(A)成分における水溶性重合体の架橋性官能基に対して反応性を有する重合体を少なくとも含む水溶性又は水分散性重合体との組合わせからなる顔料捺染用水性塗工剤。
  2. 顔料100重量部当たり、架橋性官能基を有する水溶性重合体5〜40重量部を含む請求項1記載の顔料捺染用水性塗工剤
  3. 架橋性官能基を有する水溶性重合体が、分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体である請求項1又は2記載の顔料捺染用水性塗工剤
  4. 架橋性官能基に対して反応性を有する重合体が、カルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基、メルカプト基、アミド基、アミノ基またはイミノ基を分子内に2個以上有する、アクリル系樹脂、合成ゴム、ウレタン系樹脂又はエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料捺染用水性塗工剤
  5. 架橋性官能基を有する水溶性重合体と顔料を水性媒体中で予め混合することにより、少なくとも前記水溶性重合体および微分散させた顔料を含有する水性着色剤を得、次いで、前記水溶性重合体の架橋性官能基に対して反応性を有する重合体を少なくとも含む水溶性又は水分散性重合体と前記水性着色剤を混合することによる、顔料捺染用水性塗工剤の製造方法。
  6. 顔料100重量部当たり、架橋性官能基を有する水溶性重合体5〜40重量部を含む請求項5記載の顔料捺染用水性塗工剤の製造方法。
  7. 架橋性官能基を有する水溶性重合体が、分子内に2−オキサゾリン基を2個以上有する水溶性重合体である請求項5又は6記載の顔料捺染用水性塗工剤の製造方法。
  8. 架橋性官能基に対して反応性を有する重合体が、カルボキシル基、無水カルボン酸基、水酸基、メルカプト基、アミド基、アミノ基またはイミノ基を分子内に2個以上有する、アクリル系樹脂、合成ゴム、ウレタン系樹脂又はエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の顔料捺染用水性塗工剤の製造方法
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の製造方法により得られる顔料捺染用水性塗工剤。
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