JP3601766B2 - 乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物、架橋性重合体組成物及び物品の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な親水性ポリカルボジイミド化合物、乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物、架橋性重合体組成物及び物品の接着乃至被覆処理方法に関する。更に詳しくは、本発明は、反応性皮膜形成材料の架橋剤や樹脂処理剤、接着剤等として有用な反応性基としてカルボジイミド基を有し、水性乳化可能なポリカルボジイミド化合物組成物及びその製造方法、更にそれを用いた金属製物品、合成樹脂製物品、プラスチックフィルム、木製品、織布、不織布、紙等の物品に接着、塗布、捺染、含浸あるいは印刷するための架橋性重合体組成物及び該組成物を用いた上記物品への接着ないし被覆処理方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、糸、織布、不織布、紙等の繊維性物品を樹脂加工したり、着色加工したり、鉄製品やアルミニウム製品等の金属製物品、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂製物品、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルム、木製品等の物品を塗装、樹脂加工、表面コーティングあるいは印刷するために種々の被覆組成物が使用されている。
そして、そのバインダー成分としては、反応性基を有するアクリルエステル系、ビニル系、ジエン系等の重合体が、溶液、水性溶液、あるいは水性乳化液等として使用され、それらの重合体中の反応性基と反応し得るメチロール基、アルキルメチロール基、エポキシ基、イソシアネート基あるいはエチレンイミン環基等の反応性基を有する架橋剤が使用されてきた。
【0003】
しかしながら、どの分野においても物品の素材や形状等が多岐にわたるようになり、後処理の温度も高温では素材の変質や形状の変形が起こるものもあり、加熱等の後処理の出来ない場合も多く、低温度ないし常温で架橋を起こさせることが要求されている。又、衛生性に関しても樹脂加工や着色加工された織布等の製品のみならず顔料樹脂着色剤等の繊維性物品への処理剤についても、又、被覆処理や塗装された物品等の製品同様、塗料や被覆処理剤、印刷インク等の被覆組成物についても十分衛生的であり、且つ安全であることが要求されている。
このような要求に対して、カルボジイミド基を有する化合物が注目され、最近、このカルボジイミド基を複数個持たせることによって反応性重合体の架橋性反応性基となり得ること及び他の反応性基を有する架橋剤に比し衛生性、安全性が高いことが見いだされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
カルボジイミド基を有する化合物は、前記したように従来から架橋剤として用いられている反応性化合物に比べて衛生性、安全性の観点では十分評価されるものであった。
しかしながら、水性で使用可能とするために、カルボジイミド基を有する化合物の両末端に、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、スルホン酸塩、リン酸塩、第4級アミン塩等の親水性を持つ基を付与させた水溶性タイプのものは、親水性が付与されたことによって、例えば、繊維性物品の堅牢性、特に合成繊維系の織布に対する乾及び湿の摩擦堅牢度、洗濯堅牢度に関しては十分な堅牢度を示すには至らないという欠陥があった。
【0005】
又、塗料、コーティング剤や印刷インキにおいても、塗装物や印刷物が高い堅牢性を要求されるにも拘らず、被覆処理される素材の材質的な制限や被印刷物等が大型である場合や設置場所が屋外の建造物である等の要因から、加熱架橋処理のできない場合も多い。
このような状況から、常温での放置乾燥、送風乾燥ないし低温度の乾燥処理等の処理条件で充分な堅牢性をもたらす架橋剤が要望されているが、上記同様に水溶性としたカルボジイミド化合物の使用では、常温ないし低温での後処理条件に対して十分な堅牢度、耐水性が得られないという欠陥があった。
【0006】
そこで、親水性をもたない親油性のポリカルボジイミド化合物を、水性にするためにO/W型のエマルジョンとして使用したところ、上記の問題を十分改善させるものであった。しかしながら作業性において、べたつく、洗浄性が悪い等の問題が生じた。
このような事情から、衛生性、安全性であることを前提として、水性状態で容易に使用でき、作業性においても問題が無く、且つ使用される多岐にわたる織布等の被処理物品に対して、高温度のベーキング処理は勿論のこと、低温ないし常温での後処理においても充分な堅牢性を有する改良された繊維性物品等を与える架橋剤及び該架橋剤を含む顔料樹脂着色剤等の処理剤の開発が要望されており、一方、塗装物や印刷物等に対しても高温度の加熱架橋処理は勿論のこと、低温ないし常温での後処理においても充分な堅牢性を有する改良された塗膜や印刷物を与える架橋剤及び該架橋剤を含む塗料や印刷インキ等の物品の被覆処理剤の開発が要望されている。
【0007】
本発明者らは、従来の繊維性物品の処理剤や塗料や印刷インキ等の被覆処理剤の上記の欠陥を解決するために種々研究した結果、バインダー成分として公知の架橋形成性反応性重合体を用い、その架橋剤として、親油性のポリカルボジイミド化合物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、第4級アミン塩、スルホン酸塩、リン酸塩等の親水性基を含有する親水性のポリカルボジイミド化合物を併用することにより、水性状態で容易に使用でき、作業性においても問題がなく、これらのポリカルボジイミド化合物の水性乳化液を使用した処理剤が、低温ないし常温での後処理においても優れた性質を発揮することができ、また得られた樹脂加工ないし着色加工された物品の諸物性も満足できる優れたものであることを見出し本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち本発明は、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親水性ポリカルボジイミド化合物(B)とからなり、親水性ポリカルボジイミド化合物(B)が、分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖の一方の末端に親油性の分子鎖が、他方の末端に親水性の分子鎖がそれぞれ結合した数平均分子量が300〜30,000である界面活性剤として作用するポリカルボジイミド化合物であり、分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖は少なくとも2個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族ポリイソシアネート化合物をカルボジイミド化触媒の存在下に反応させて得られる分子中にカルボジイミド基を2〜20個有するジイソシアネート化合物の残基であり、親水性分子鎖は数平均分子量が100〜20,000の、親水性モノアルコール類又はモノアミン類の残基もしくは親水性重合体鎖であり、親油性分子鎖は炭素数が1〜30の炭化水素鎖及び/又は数平均分子量が100〜20,000の疎水性重合体鎖であり、上記の親水性分子鎖及び親油性分子鎖はウレタン結合及び/又はウレア結合で分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖とそれぞれ結合していることを特徴とする親水性ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする水性乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物及びカルボジイミド基と反応性の基を有する架橋形成性重合体と上記の水性乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物を含有することを特徴とする架橋性重合体組成物並びに上記架橋性重合体組成物を用いた物品の接着乃至被覆処理方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用するポリカルボジイミド化合物は、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親水性ポリカルボジイミド化合物(B)である。
親水性ポリカルボジイミド化合物(B)は、水による作業性を向上させ、単なる乳化性を付与する界面活性剤としてだけでなく、堅牢性は弱いが架橋剤としても働く。又、親水性ポリカルボジイミド化合物(B)は親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と併用した場合には、親油性ポリカルボジイミド化合物(A)を乳化させ、且つ、乳化安定性を付与する。一方、親油性ポリカルボジイミド化合物(A)は、被処理物の特性、特に堅牢性、耐水性を著しく向上させる作用をする。
【0010】
従って、上記の2種のカルボジイミド化合物(A)及び(B)からなる乳化性カルボジイミド化合物組成物は、これらを架橋剤とする処理組成物の水性での使用を容易とし、作業性も良好で、被処理物に優れた堅牢性と耐水性を付与することができる。
親油性カルボジイミド化合物(A)と親水性カルボジイミド化合物(B)の使用割合は、該化合物(A)対該化合物(B)がモル比で0.1〜100:1、好ましくは0.5〜25:1、更に好ましくは1〜10:1である。親油性カルボジイミド化合物(A)の割合が少なすぎると、処理物品の堅牢性が改善されず、多すぎると処理剤を水性状態で使用することができなくなる。
【0011】
このような分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する化合物は、例えば、1−エチル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド、1−フェニル−3−メチル−3−ホスホレン−1−オキサイド等の公知のカルボジイミド化触媒の存在下にイソシアネート化合物を反応させて得られるカルボジイミド基とイソシアネート基とを有する化合物と、親油性化合物及び/又は親水性化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0012】
イソシアネート化合物としては従来公知の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等及びそれらをビウレット結合やイソシアヌレート結合で二量化ないし三量化したポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0013】
親油性ポリカルボジイミド化合物(A)は、例えば、上記の反応で一方の末端又は両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物(a)を生成させ、分子中に、好ましくは分子鎖末端に水酸基、アミノ基又はイミノ基を1個有する疎水性のモノアルコール類又はモノアミン類(c)もしくは片末端にカルボジイミド基と反応する活性水素(移動し易き水素)を有する基(以下では官能基と称することがある。)、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する疎水性重合体等と反応させることによって得ることができる。
【0014】
このようなモノアルコール類及びモノアミン類としては、例えば、炭素数が1〜18の脂肪族、脂環式あるいは芳香族モノアルコール類;炭素数が3〜4のポリアルキレングリコールの炭素数が1〜18の脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素のモノエーテルモノアルコール類;炭素数3〜4のポリアルキレングリコールの炭素数が1〜18の脂肪族;脂環式及び芳香族モノカルボン酸のモノエステルモノアルコール類;炭素数が1〜18の脂肪族、脂環式及び芳香族モノアミン類等が挙げられる。
【0015】
又、分子鎖の片末端にカルボジイミド基と反応性の官能基を有する疎水性重合体としては、疎水性モノマーの少なくとも1種の(共)重合体が挙げられる。疎水性モノマーは、それらを用いた(共)重合体が疎水性である限り従来公知の疎水性モノマーはいずれも使用でき、特に制限されない。分子鎖の片末端にカルボジイミド基と反応性の活性水素(移動し易き水素)を有する基を有する疎水性重合体は、例えば、開裂して重合体鎖末端に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を結合させる、これらの官能基を有する従来公知のラジカル重合開始剤を用いて疎水性モノマーを(共)重合させることによって得ることができる。
これらの親油性分子鎖の好ましいGPCで測定した標準ポリスチレン換算の数平均分子量(以下も同じ)は100〜20,000である。
又、親油性ポリカルボジイミド化合物(A)の数平均分子量は、通常、300〜30,000であり、好ましくは500〜5,000である。
【0016】
親水性ポリカルボジイミド化合物(B)も上記と同様に、例えば、一方の末端又は両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド基を有する化合物(a)を生成させ、分子中、好ましくは分子鎖末端に水酸基、アミノ基又はイミノ基を1個有する親水性のモノアルコール類又はモノアミン類(b)もしくは分子鎖の片末端にカルボジイミド基と反応性の活性水素(移動し易き水素)を有する基、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する親水性重合体と反応させることによって得ることができる。特に好ましい親水性ポリカルボジイミド化合物(B)は、少なくとも1個のカルボジイミド基を有する分子鎖の一方の末端に上記の親水性分子鎖が、他方の末端に前記の疎水性分子鎖がウレタン結合及び/又はウレア結合によって結合した化合物である。
【0017】
分子中に親水性を持った水酸基、アミノ基又はイミノ基を1固有するモノアルコール類又はモノアミン類としては、例えば、肪族、脂環式及び芳香族ポリアルコールモノヒドロキシポリエーテル、モノヒドロキシポリエステル、アニオン性基、カチオン性基、ノニオンアニオン性基あるいはノニオンカチオン性基を有するモノアルコール等から選ばれた1種ないし2種以上のモノアルコール又はモノアミンが挙げられる。
【0018】
具体的には、例えば、炭素数が2ないし炭素数が2及び3のポリアルキレングリコールの炭素数1〜18の脂肪族、脂環式及び芳香族モノエーテルモノアルコール、炭素数が2ないし炭素数が2及び3のポリアルキレングリコールの炭素数1〜18の脂肪族、脂環式及び芳香族モノカルボン酸のモノエステルモノアルコール類;スルホン基、硫酸エステル基、りん酸エステル基等のアニオン性基あるいは3級アミノ基、第4級アンモニウム基、ピリジニウム基等のカチオン性基を有する炭素数1〜18の脂肪族、脂環式及び芳香族モノアルコール類等から選ばれた1種ないし2種以上のモノアルコール又はモノアミンである。アニオン性基あるいはカチオン性基を有するモノアルコール又はモノアミンとしては、例えば、ヒドロキシメタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホこはく酸モノエトキシモノヒドロキシエチルエステル、タウリン、N−メチルタウリン、スルファニル酸、メタニル酸等のスルホン酸類のナトリウム塩、トリエチルアミン塩等、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。その他にもノニオンアニオン基、ノニオンカチオン基を有するモノアルコール類、モノアミン類が挙げられる。
【0019】
分子鎖の片末端にカルボジイミド基と反応性の官能基を有する親水性重合体としては、例えば、アクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はこれらの塩;2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEMA)、ビニルアルコール(酢酸ビニルを重合後けん化する)、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマーのモノ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー;アリル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン等の親水性モノマーの少なくとも1種の水不溶性の親水性(共)重合体、上記の親水性モノマーの少なくとも1種及びそれらと共重合可能な少なくとも1種のモノマー、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18程度の(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニル等の疎水性モノマーとの共重合体が挙げられる。これらの親水性(共)重合体は、開裂して重合体鎖末端に水酸基、アミノ基等を結合させるこれらの官能基を有する従来公知のラジカル重合開始剤を用いて上記のモノマーを(共)重合させることによって得ることができる。
上記の親水性モノアルコール類又はモノアミン類の残基もしくは親水性重合体鎖である親水性分子鎖及び親水性カルボジイミド化合物(B)の数平均分子量は、それぞれ上記の疎水性分子鎖及び親油性カルボジイミド化合物(A)の数平均分子量と同じである。
【0020】
上記の親水性ポリカルボジイミド化合物(B)として特に好ましいものは、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する分子鎖の一方の末端に親油性の分子鎖が、他方の末端に親水性の分鎖がそれぞれ結合したポリカルボジイミド化合物である。
このような親水性ポリカルボジイミド化合物は、例えば、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基と両末端にイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物(a)に、片末端のみ反応させるように、前記の分子中に親水性をもった水酸基、アミノ基又はイミノ基を1個有するモノアルコール類又はモノアミン類(b)もしくは片末端にカルボジイミド基と反応する官能基を有する親水性重合体を反応させ、更に他方の末端に前記の疎水性のモノアルコール類又はモノアミン類(c)もしくは末端に官能基を有する疎水性重合体を反応させることによって得ることができる。
【0021】
又、親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と上記の特に好ましい親水性ポリカルボジイミド化合物(B)とからなる乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物は、例えば、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基及び2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)のイソシアネート基に片末端の一部分のみ反応させるように、前記の分子中に親水性をもった、水酸基、アミノ基又はイミノ基を1個有するモノアルコール類又はモノアミン類(b)もしくは親水性重合体を反応させ、さらに残余のイソシアネートを疎水性のモノアルコール類又はモノアミン類(c)もしくは末端に官能基を有する疎水性重合体を反応させることによって得ることができる。
上記の反応において、分子中に2個乃至3個の水酸基、アミノ基及び/又はイミノ基を有するポリオール、ポリアミン及び/又はアミノアルコールを添加、併用して分子鎖を延長させてもよい。
【0022】
上記で使用する少なくとも1個のカルボジイミド基及び両末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)は、前記の従来公知の方法に従い、ジ乃至ポリイソシアネート化合物を、例えば、3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド等のカルボジイミド化触媒の存在下に2個のイソシアネート基を反応させてカルボジイミド基とすることによって得ることができる。
上記で得られるポリカルボジイミド化合物(a)の一分子中のカルボジイミド基の個数は特に限定されるものではないが、架橋剤の原料であることから1〜20、好ましくは2〜10程度である。
使用されるジ−ないしポリイソシアネート化合物、前記と同じである。
【0023】
本発明を特徴付ける親油性ポリカルボジイミド化合物(A)の水性乳化を可能とし、架橋剤としても作用する親水性ポリカルボジイミド化合物(B)の好ましいものは、分子中にカルボジイミド基を少なくとも1個有する分子鎖の一方の末端に親油性の分子鎖が、他方の末端に親水性の分鎖がそれぞれ結合したポリカルボジイミド化合物である。分子中にカルボジアミド基を少なくとも1個有する分子鎖は、少なくとも1個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族ポリイソシアネート化合物を従来公知のカルボジイミド化触媒の存在下に反応させて得られるカルボジイミド基を2〜20個有するポリイソシアネート化合物残基であり、親水性分子鎖は、数平均分子量(前記と同じ)が100〜20,000の前記の親水性分子鎖であり、親油性分子鎖は数平均分子量(前記と同じ)が100〜20,000の前記の疎水性分子鎖であり、これらの親水性分子鎖及び親油性分子鎖は、それぞれウレタン結合及び/又はウレア結合で分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖と結合しており、親水性ポリカルボジイミド化合物(B)の数平均分子量(前記と同じ)は300〜30,000の化合物である。又、親油性ポリカルボジイミド化合物(A)の数平均分子量(前記と同じ)も300〜30,000である。
【0024】
本発明の架橋性重合体組成物は、上記した架橋剤である親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と親水性ポリカルボジイミド化合物(B)及びこれらのカルボジイミド化合物のカルボジイミド基と反応し得る移動し易き水素を有する反応性基を有する架橋形成性重合体からなるものである。
上記のカルボジイミド基と反応し得る移動し易き水素を有する反応性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、チオール基等が挙げられ、架橋形成性重合体中には上記反応性基の少なくとも1種が含有される。
上記の架橋形成性重合体中に含有される移動し易き水素を有する反応性基の含有量は、反応性基の種類によって異なり、一概に決められるものではないが、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0025】
架橋形成性重合体としては、上記の反応性基を有する従来公知の、例えば、各種の接着剤、塗料、コーティング剤、印刷インク、顔料樹脂捺染剤、繊維樹脂加工剤等に使用されている架橋形成性重合体が使用される。具体的には、それぞれ上記の反応性基を有するポリアクリルエステル系、ポリビニル系、ポリジエン系等の付加重合系重合体;ポリウレタン系、ポリウレタン尿素系、エポキシ樹脂系等の付加縮合系重合体;アルキッド樹脂系、ポリエステル系、ポリアミド系等の縮合重合系重合体;ロジン変性樹脂、セルロース誘導体等の天然物の誘導体等が挙げられる。
【0026】
上記の架橋形成性付加重合系重合体を合成するために使用される、上記の移動し易き水素を有する反応性基を有する共単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、及びそれらのヒドロキシアルキル(但し、アルキル基は炭素数が2〜4程度 )エステル、ポリオキシアルキレン(但し、アルキレンの炭素数は2〜4程度)エステル、グリセリルエステル等、アリルアルコール、アリルアミン、上記の不飽和ジカルボン酸のモノエステル及びモノアミド等からなる単量体群から選ばれた反応性単量体が挙げられる。
それらの反応性基を有する共単量体と共重合される単量体としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン等のビニル系、エチレン、ブタジエン、イソプレン等のアルキレン系単量体、アクリル酸のメチル(C1)乃至ステアリル(C18)エステル、シクロヘキシルエステル、ベンジルエステル等のアクリル酸エステル系及びメタクリル酸のメチル(C1 )乃至ステアリル(C18)エステル、シクロヘキシルエステル、ベンジルエステル等のメタクリル酸エステル系の単量体が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上混合して使用される。
【0027】
又、上記の架橋形成性付加縮合系重合体或は縮合重合系重合体を合成するために使用される移動し易き水素を有する反応基を有する共単量体としては、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、それらの酸無水物とジオールとの半エステル類、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
【0028】
又、本発明の架橋性重合体組成物には、上記した架橋性重合体及びポリカルボジイミド化合物架橋剤成分に、顔料の分散性や物品との親和性等から非反応性の重合体を塗膜の物性を阻害しない程度に添加併用してもよい。
【0029】
本発明の架橋性重合体組成物を物品の被覆処理剤、例えば、顔料樹脂捺染剤や塗料の如く着色を目的として用いる場合には、更に、かかる用途で従来から使用されている着色剤が添加される。着色剤としては、例えば、従来公知の顔料、染料、着色ポリマービーズ、マイクロカプセル化色素等が挙げられる。
【0030】
顔料の例としては、有機顔料としては、フタロシアニン系、アゾ系、アゾメチンアゾ系、アゾメチン系、アンスラキノン系、ペリノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、イソインドリノン・イソインドリン系顔料等や、カーボンブラック顔料であり、無機顔料としては酸化チタン顔料、酸化鉄系顔料、スピンネル系焼成顔料、体質顔料等が挙げられる。
これらの顔料を水性あるいは溶剤系の塗料や顔料樹脂捺染剤に使用する場合には、分散助剤として従来公知の界面活性剤、水溶性あるいは溶剤可溶性高分子分散剤を用いて顔料を予め微分散化した高濃度分散カラーを用いるのが好ましい。
【0031】
本発明の架橋性重合体組成物で被覆処理される物品としては、例えば、金属製物品、合成樹脂製物品、プラスチックフィルム、木製品、織布、不織布、紙等であり、物品を更に説明すると、鉄製品やアルミニウム製品等の小型の物品、自動車の車体等の大型物品、建造物等の金属製物品、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂製物品、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のプラスチックフィルム、木製製品、合板製品、木製建造物等の木製品、糸、織布、不織布、紙等の繊維性物品等が挙げられる。
【0032】
これらの物品に本発明の架橋性重合体組成物を塗布、捺染、含浸、印刷あるいは付着、圧着、接着する等、物品への接着処理あるいは被覆処理をする方法について説明する。
架橋形成性重合体(反応性高分子物)及びその架橋剤を含む架橋性重合体組成物を含む接着剤あるいは被覆処理用の被覆組成物は、架橋剤が前記の乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物であり、反応性高分子物がカルボジイミド基と反応し得る移動し易き水素を有する反応性基を架橋形成性重合体からなるものであり、更に、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、増粘剤、平滑剤等を加えて調製される。
【0033】
この被覆組成物を物品に塗布、捺染、含浸あるいは印刷し、常温ないし低温乾燥及び/又は加熱処理をすることによって物品の被覆処理がなされる。特に好ましい親水性ポリカルボジイミド化合物(B)は、前記の、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する分子鎖の一方の末端に親水性鎖分子鎖が、他方の末端に疎水性分子鎖が、それぞれ結合した親水性化合物である。
特に本発明の架橋剤は、低温度でも反応し得るポリカルボジイミド化合物であり、常温乃至100℃以下の後処理が望ましい繊維性製品、プラスチックフィルム製品、木製品、大型部品、大型構造物、建造物等の物品の捺染、樹脂加工、印刷、塗装、接着等の被覆処理或は接着の際に効果的である。
【0034】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中部又は%とあるのは重量基準である。
合成例1(カルボジイミド基含有ジイソシアネート−(I)の合成)
攪拌機、温度計、蛇管コンデンサーを付けた水分定量受器、窒素ガス導入管、滴下濾斗の付いた縮合反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、トルエンジイソシアネート174部を仕込み、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド 0.17部を添加し、60℃、2時間反応させた。IRでイソシアネート基が、カルボジイミド基に変化しているのを確認した。
また、一部採取した生成物中のイソシアネート基の含有量を測定したところ、15.7%であり、下記の式(1)で示されるポリカルボジイミド化合物が生成した。次に固形分50%に希釈し、これをカルボジイミド基含有イソシアネート−(I)溶液とする。
【0035】
合成例2(カルボジイミド基含有ジイソシアネート−(II)の合成)
合成例1と同様にして、縮合重合反応装置にヘキサメチレンジイソシアネート168部仕込んだ。ついで3−メチル−1フェニル−2−ホスホレン−1−オキサイド0.3部添加し、160℃、3時間反応させた。一部採取した生成物のイソシアネート基含有量は16.7%であり、下記の式(2)で示されるポリカルボジイミド化合物が生成した。反応液の固形分が50%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた。これをカルボジイミド含有イソシアネート−(II)の溶液とする。
【0036】
合成例3(一端が親水性分子鎖、他端が疎水性分子鎖の親水性ポリカルボジイミド化合物の合成)
合成例1と同じ縮合反応装置に合成例1のカルボジイミド含有ジイソシアネート−(I)の溶液(固形分50%)283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート166.7部を仕込み、室温でブタノール19.8部を1時間かけて反応温度が40℃を超えないように滴下し、更に1時間反応させた。
IRで水酸基の消滅を確認した後、上記反応混合物にポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量550)146.9部を添加して残余のイソシアネート基と反応させた。用いた疎水性アルコールと親水性アルコールのモル比は1/1であり、得られた親水性ポリカルボジイミド化合物はカルボジイミド基を有する分子鎖の一端がブタノール残基鎖で、他端がポリエチレングリコールモノメチルエーテル残基鎖を有し、GPCで測定した標準ポリスチレン換算の数平均分子量は1200であった。上記の反応混合物を水で希釈したところ、乳化して半透明青白色のエマルジョンとなった。
【0037】
実施例1(乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−I の合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド基含有イソシアネート−( I )の溶液(固形分50%)を283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート103.9部を仕込み、室温でポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量1000) 69.5部を1時間かけて滴下し、ついで2時間その温度で攪拌した。IRで水酸基が無くなったのを確認後、ブタノール34.4部を室温で1時間かけて滴下した。発熱で40℃を超えない様に調整しながら、2時間反応させた。
【0038】
次いで、反応混合物を縮合反応装置から取り出し、乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−1を得た。このものの組成は、両末端が疎水性の分子鎖である親油性ポリカルボジイミド化合物対一端が疎水性分子鎖で、他端が親水性分子鎖である親水性ポリカルボジイミド化合物が約2.8対1(モル比)であった。
固形分50%、疎水性のアルコールであるブタノールと親水性を付与するアルコールであるポリエチレングリコールモノメチルエーテルのモル比は6.6/1である。またこれを水で希釈したところ、乳化して半透明青白色のエマルジョンとなった。
尚、生成物の組成は、両末端が疎水性の分子鎖である親油性ポリカルボジイミド化合物対一端が疎水性分子鎖で、他端が親水性分子鎖である親水性ポリカルボジイミド化合物が約2.8対1(モル比)であった。
【0039】
実施例2(乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−IIの合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド基含有イソシアネート−(II)の溶液(固形分50%)を283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート95.6部を仕込み、室温でポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量1000) 60.6部を1時間かけて滴下し、ついで2時間その温度で攪拌した。IRで水酸基が無くなったのを確認後、ブタノール35部を室温で1時間かけて滴下した。発熱で40℃を超えない様に調整しながら、2時間反応させた。
【0040】
次いで、反応混合物を縮合反応装置から取出し、乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−2を得た。固形分50%、疎水性のアルコールであるブタノールと親水性を付与するアルコールであるポリエチレングリコールモノメチルエーテルのモル比は7.8/1である。またこれを水で希釈したところ、乳化して白色のエマルジョンとなった。
尚、生成物の組成は、両末端が疎水性の分子鎖である親油性ポリカルボジイミド化合物対一端が疎水性分子鎖で、他端が親水性分子鎖である親水性ポリカルボジイミド化合物が約3.4対1(モル比)であった。
【0041】
実施例3(乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−IIIの合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド含有イソシアネート−I(固形分50%) を283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート99.1部を仕込み、室温でポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量550) 60.1部を1時間かけ、次いで2時間その温度で攪拌した。IRで水酸基が無くなったのを確認後、ペンタノール39.0部を室温で1時間かけて滴下した。発熱で40℃を超えない様に調整しながら、1時間反応させた。
【0042】
反応混合物を縮合反応装置から取出し、乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−III を得た。固形分50%、疎水性のアルコールであるペンタノールと親水性を付与するアルコールであるポリエチレングリコールモノメチルエーテルのモル比は4.4/1である。またこれを水で希釈したところ、乳化して白色のエマルジョンとなった。
尚、生成物の組成は、両末端が疎水性の分子鎖である親油性ポリカルボジイミド化合物対一端が疎水性分子鎖で、他端が親水性分子鎖である親水性ポリカルボジイミド化合物が約1.5対1(モル比)であった。
【0043】
実施例4(乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−IVの合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド含有イソシアネート−II溶液(固形分50%)を274部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88.0部を仕込み、室温でポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量550) 55.0部を1時間かけて滴下し、ついで80℃で2時間攪拌した。IRで水酸基が無くなったのを確認後、ブタノール33部を添加し、1時間反応させた。
反応混合物を縮合反応装置から取出し、乳化性ポリカルボジイミド系架橋剤−4を得た。固形分50%、疎水性のアルコールであるブタノールと親水性を付与するアルコールであるポリエチレングリコールモノメチルエーテルのモル比は4.4/1である。またこれを水で希釈したところ、半透明青白色のエマルジョンとなった。
尚、生成物このものの組成は、両末端が疎水性の分子鎖である親油性ポリカルボジイミド化合物対一端が疎水性分子鎖で、他端が親水性分子鎖である親水性ポリカルボジイミド化合物が約1.7対1(モル比)であった。
【0044】
比較例1(親油性ポリカルボジイミド系架橋剤の合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド含有イソシアネート−I 溶液(固形分50%)を283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート148.1部を仕込み、室温でオレイルアルコール148.1部を1時間かけて滴下し、ついで2時間その温度で攪拌した。ついで取出し、親油性ポリカルボジイミド系架橋剤を得た。固形分50%、またこれを水で希釈したところ、油滴状になった。
【0045】
比較例2(親水性ポリカルボジイミド系架橋剤の合成)
合成例1と同様にして、縮合反応装置に、カルボジイミド含有イソシアネート−化合物(I)を283.3部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート193.4部を仕込み、室温でポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量350)193.4部を1時間かけて滴下し、2時間その温度で攪拌した。ついで、取出し、親水性ポリカルボジイミド系架橋剤を得た。固形分50%、またこれを水で希釈したところ、透明に溶解した。
【0046】
以上を表1にまとめた。
表 1
PEGME:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量)
○:水性状態での使用及び水洗い性が良好
×:水性状態の使用は不可であり、水洗い性も不可
【0047】
実施例5(織布への捺染)
カルボキシル基含有エチルアクリレート−スチレン−アクリル酸(60:36:4)共重合体ラテックス(固形分40%)20部、ポリカルボジイミド系架橋剤−1〜4および比較例1〜2(固形分50%)を2部、水10部及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル水溶液(固形分20%)5部を混合、溶解し、ホモミキサーで攪拌しながらミネラルターペン55部を徐々に添加してO/Wエマルジョンとし、そこに銅フタロシアニンブルー顔料の水性分散液(顔料分20%)5部を配合し十分混合して青色顔料樹脂捺染剤を調製した。
スクリーン捺染機でポリエステル布に青色顔料樹脂捺染剤をプリントし、常温にて乾燥して、乾、湿摩擦堅牢性、洗濯堅牢性及び耐ドライクリーニング性の試験を行った。評価は、全く色調に変化が見られない場合を5、褪色が著しい場合を1とする5段階表示で行った。評価結果を表2に示した。
架橋剤I〜IVおよび親油性架橋剤は諸堅牢性に優れ、柔軟で且つ発色の鮮明な青色のプリント布を得た。しかし作業性から見ると親油性架橋剤は作業性に若干劣った。
【0048】
【0049】
実施例6(織布への透湿性コーティング処理)
ポリウレタン系重合体分散液を合成した。グリコール成分として、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量:1000)、エチレングリコール及びジメチロールプロピオン酸を用い、ジイソシアネート成分としてジフェニールメタンジイソシアネートを用い(モル比でそれぞれ0.4:0.3:0.3:1.0)、メチルエチルケトン中で反応させ、乳白色のポリウレタン分散液(固形分30%)を得た。
次に、ポリウレタン系重合体溶液を合成した。グリコール成分として、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー(重量比:70/30)を用い、ジイソシアネート成分としてジフェニールメタンジイソシアネートを用い(モル比で1:1)、メチルエチルケトン中で反応させ、ポリウレタン溶液(固形分50%)を得た。
【0050】
上記で得たポリウレタン分散液100部、ポリウレタン溶液5部及び乳化型ポリカルボジイミド系架橋剤−I 溶液を2部を充分に混合し、ホモミキサーで攪拌しながらメチルエチルケトン−トルエン−水の混合溶媒(重量比で1:1:4)120部を添加して均一に混合しW/O型ポリウレタンエマルジョン(固形分14%)を調製した。
上記で得られたW/O型ポリウレタンエマルジョンをポリエステル織布表面に約200g/m2で塗布し、80℃で3分間乾燥し、多孔性シート層を形成させた。この繊維加工製品は優れた水蒸気透過性を有し、又、多孔性層に拘らず優れた耐乾、湿摩耗性を示した。
又、上記の乳化型型ポリカルボジイミド系架橋剤−I 溶液に代えて乳化型ポリカルボジイミド系架橋剤−II、−III −IV溶液をそれぞれ使用してW/O型ポリウレタンエマルジョンを調製し、上記と同様にして塗布、乾燥を行い、優れた水蒸気透過性と耐乾、湿摩耗性を有する繊維加工製品を得た。
【0051】
【発明の効果】
本発明の金属製物品、合成樹脂製物品、プラスチックフィルム、木製品、糸、織布、不織布、紙等の物品の接着ないし被覆処理は反応性高分子物に対して架橋剤として乳化性カルボジイミド化合物を用いて架橋形成性重合体を網状化することにより物品間の強固な接着或は物品上に堅牢な被覆皮膜を形成させようとするものである。
カルボジイミド化合物が衛生性及び安全性の高い化合物であるに加えて、常温ないし低温度の反応条件で反応が進む特徴のある反応基である。しかしながら、水性に使用する為に水溶性のポリカルボジイミドでは諸堅牢性が弱く、そして油性カルボジイミドでは堅牢性が向上するが、作業面に問題があった。それに比べて疎水性ポリカルボジイミドと親水性ポリカルボジイミドの混合物である乳化性ポリカルボジイミド架橋剤は水性に容易に使用でき、作業性の問題もなく、かつ室温乾燥において高堅牢性をしめし、接着剤 塗料、印刷インク、顔料樹脂捺染剤、繊維用樹脂加工剤等に使用されて、常温ないし比較的低温度の後処理条件でも物品上に強固な接着ないし堅牢な被覆皮膜が形成される効果を有するものである。
Claims (13)
- 分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と、分子中に少なくとも1個のカルボジイミド基を有する親水性ポリカルボジイミド化合物(B)とからなり、親水性ポリカルボジイミド化合物(B)が、分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖の一方の末端に親油性の分子鎖が、他方の末端に親水性の分子鎖がそれぞれ結合した数平均分子量が300〜30,000である界面活性剤として作用するポリカルボジイミド化合物であり、分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖は少なくとも2個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族ポリイソシアネート化合物をカルボジイミド化触媒の存在下に反応させて得られる分子中にカルボジイミド基を2〜20個有するジイソシアネート化合物の残基であり、親水性分子鎖は数平均分子量が100〜20,000の、親水性モノアルコール類又はモノアミン類の残基もしくは親水性重合体鎖であり、親油性分子鎖は炭素数が1〜30の炭化水素鎖及び/又は数平均分子量が100〜20,000の疎水性重合体鎖であり、上記の親水性分子鎖及び親油性分子鎖はウレタン結合及び/又はウレア結合で分子中にカルボジイミド基を有する分子鎖とそれぞれ結合していることを特徴とする親水性ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物。
- 親水性ポリカルボジイミド化合物(B)が、少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物をカルボジイミド化触媒の存在下にカルボジイミド化して得られる少なくとも1個のカルボジイミド基と少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(a)と親水性基を有するモノアルコール又はモノアミン(b)及び親油性モノアルコール又はモノアミン(c)との反応生成物である請求項1に記載の乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物。
- 親油性ポリカルボジイミド化合物(A)は、数平均分子量が300〜30,000である請求項1又は2に記載の乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物。
- 親油性ポリカルボジイミド化合物(A)と親水性ポリカルボジイミド化合物(B)のモル比((A):(B))が0.1〜100:1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物。
- カルボジイミド基と反応性の基を有する架橋形成性重合体及び請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳化性ポリカルボジイミド化合物組成物とからなることを特徴とする架橋性重合体組成物。
- 接着剤である請求項5に記載の架橋性重合体組成物。
- コーティング剤である請求項5に記載の架橋性重合体組成物。
- 着色剤を含む着色コーティング剤である請求項7に記載の架橋性重合体組成物。
- 繊維用樹脂加工剤である請求項5に記載の架橋性重合体組成物。
- 顔料樹脂捺染剤である請求項5に記載の架橋性重合体組成物。
- 請求項5に記載の架橋性重合体組成物を含む被覆組成物を物品に塗布、捺染、含浸又は印刷し、常温ないし低温乾燥及び/又は加熱処理をすることを特徴とする物品の接着乃至被覆処理方法。
- 被覆組成物が、着色剤を含む着色コーティング剤である請求項11に記載の物品の接着乃至被覆処理方法。
- 物品が金属製物品、合成樹脂製物品、プラスチックフィルム、木製品、糸、織布、不織布、紙からなる群から選ばれた物品である請求項11に記載の物品の接着乃至被覆処理方法。
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