JP3063868B2 - 着色樹脂の水性分散体 - Google Patents

着色樹脂の水性分散体

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JP3063868B2
JP3063868B2 JP5841892A JP5841892A JP3063868B2 JP 3063868 B2 JP3063868 B2 JP 3063868B2 JP 5841892 A JP5841892 A JP 5841892A JP 5841892 A JP5841892 A JP 5841892A JP 3063868 B2 JP3063868 B2 JP 3063868B2
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稔 和木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は着色樹脂の水性分散体に
関する。さらに詳しくは、建材、捺染、印刷用インキ、
筆記具用インキなどに好適に使用しうる着色樹脂の水性
分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から印刷用インキ、筆記具用インキ
などには水分散顔料や水溶性染料などが用いられてい
る。
【0003】しかしながら、水分散顔料は、ボ―ルミ
ル、サンドミルなどの分散機械によって顔料粒子を水中
に細かく分散する必要があるので、その工程が煩雑にな
るばかりでなく、経時的に水分散顔料が凝集沈澱するこ
とがあるため、その分散安定性がわるく、品質管理面に
問題があった。
【0004】一方、水溶性染料は、水分散顔料と比して
色数の豊富さ、色相の鮮明さにすぐれたものであるが、
染料自体が水溶性を呈するものであるため、耐水性に劣
り、かつ耐光性もわるいという欠点がある。
【0005】そこで、前記水分散顔料および水溶性染料
の欠点を解消する方法として、特開平1-197582号公報に
記載されているように、共重合体ラテックスに染料ポリ
マ―を吸着させる方法が提案されているが、かかる方法
によってえられた染料は、耐水性が向上したものである
とはいうものの、未だ耐溶剤性に劣り、また染料ポリマ
―自体が熱可塑性のものであるため、熱硬化性塗料など
の用途に不向きのものであった。
【0006】また、特開平4-7367号公報には、グリシジ
ル基含有不飽和単量体とカルボキシル基含有不飽和単量
体を部分的に架橋することにより、このような染料の耐
薬品性、耐溶剤性は向上することが記載されているが、
長期貯蔵安定性、耐摩擦性、密着性などの物性について
は、まだ問題を有するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、前記水溶性染料の欠点である耐水性、耐光性、耐薬
品性、耐溶剤性、長期保存安定性および耐摩擦性などの
諸物性を同時に改善し、かつ水溶性染料が本来有する色
数の豊富さ、色調の鮮明さを損なうことなく、印刷用イ
ンキ、筆記具用インキのみならず、建材、捺染、塗料な
どにも幅広く使用しうる着色樹脂の水性分散体をうるべ
く鋭意研究を重ねた結果、前記諸物性をすべて同時に具
備することは勿論のこと、種々の用途にも好適に使用し
うる着色樹脂の水性分散体をようやく見出し、本発明を
完成するにいたった。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は共役
ジエン系単量体10〜80重量%、カルボキシル基含有エチ
レン性不飽和単量体0.5 〜10重量%およびその他の共重
合可能なエチレン性不飽和単量体10〜89.5重量%からな
る単量体混合物(A)を乳化重合してなる種粒子に、シ
アノ基含有エチレン性不飽和単量体5〜30重量%、カル
ボキシル基含有エチレン性不飽和単量体1〜20重量%、
グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体1〜20重量%
およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体30
〜93重量%からなる単量体混合物(B)を、該単量体混
合物(A)と単量体混合物(B)との重量比を6:94〜
50:50で加えて乳化重合することによりえられる層構造
型乳化共重合体を染料で着色してなる平均粒子径が0.3
μm以下の着色樹脂の水性分散体に関する。
【0009】
【作用および実施例】本発明の単量体混合物(A)に用
いられる共役ジエン系単量体には、たとえばブタジエ
ン、イソプレンなどがあり、えられる着色樹脂に成膜性
を付与するとともに密着性を向上せしめる成分として用
いられるものであるが、さらに粒子比重の低下により貯
蔵安定性も飛躍的に向上する。前記共役ジエン系単量体
の使用量は、単量体混合物(A)中に10〜80%(重量
%、以下同様)、なかんづく25〜70%含有されるように
調整される。かかる共役ジエン系単量体の使用量が10%
未満であるばあいには、成膜性が不充分となり、かつ粒
子比重の低下による貯蔵安定性の向上効果も少ない。ま
た、80%をこえるばあいには、塗膜のべたつきや耐溶剤
性の低下が発生する。
【0010】本発明の単量体混合物(A)に用いられる
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、いずれ
もカルボキシル基を分子中に少なくとも1個含有するエ
チレン性不飽和単量体で、えられる染料の耐溶剤性や耐
水性を向上せしめる成分として用いられるものであり、
たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの
モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
ブテントリカルボン酸などの多価カルボン酸;マレイン
酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどの少なくとも
1個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸の部分エ
ステル化物などがあげられる。前記カルボキシル基含有
エチレン性不飽和単量体の使用量は、単量体混合物
(A)中に0.5 〜10%、なかんづく1〜5%含有される
ように調整される。かかるカルボキシル基含有エチレン
性不飽和単量体の使用量が0.5 %未満であるばあいに
は、耐溶剤性やコロイドとしての安定性が不充分とな
る。また、10%をこえるばあいには、えられる層構造型
乳化共重合体の粘度が高くなるとともに耐水性が不充分
となる。
【0011】本発明の単量体混合物(A)に用いられる
その他のエチレン性不飽和単量体は、共役ジエン系単量
体およびカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と
共重合可能な単量体であればよく、たとえば(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル
酸プロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキ
シブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル
単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アク
リルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系単量体;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロ
スチレンなどの芳香族ビニル単量体などがあげられる。
前記その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の使
用量は、単量体混合物(A)中に10〜89.5%、なかんづ
く25〜74%含有されるように調整される。
【0012】また、単量体混合物(A)に、以下に述べ
る本発明の単量体混合物(B)に用いられるシアノ基含
有エチレン性不飽和単量体およびグリシジル基含有エチ
レン性不飽和単量体を、本発明の層構造型乳化共重合体
の諸物性を低下させない範囲で使用してもよい。これら
の単量体は単独で使用してもよいし、2種以上の混合物
として使用してもよい。
【0013】本発明の単量体混合物(B)に用いられる
シアノ基含有エチレン性不飽和単量体は、染料の着色度
および耐光性を向上せしめる成分として用いられるもの
であり、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどがあげられる。前記シアノ基含有エチレン性不飽
和単量体の使用量は、単量体混合物(B)中に5〜30
%、なかんづく10〜25%含有されるように調整される。
かかるシアノ基含有エチレン性不飽和単量体の使用量が
5%未満であるばあいには、えられる層構造型乳化共重
合体に染料が充分に吸着せず、また耐光性がわるく、か
つ色相が不鮮明となる。また、30%をこえるばあいに
は、乳化重合時の安定性が低下し、凝集物の発生量が増
加する。
【0014】本発明の単量体混合物(B)に用いられる
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、染料の
発色性および鮮明度を向上せしめる成分として用いられ
るものであるが、さらに下記グリシジル基含有エチレン
性不飽和単量体と架橋して耐薬品性および耐溶剤性を向
上せしめて強靭な乳化共重合体を与える働きを有するも
のであり、前記単量体混合物(A)に用いられるものが
用いられうる。前記カルボキシル基含有エチレン性不飽
和単量体の使用量は、単量体混合物(B)中に1〜20
%、なかんづく5〜15%含有されるように調整される。
かかるカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の使
用量が1%未満であるばあいには、色相に鮮明さがなく
なり、かつ耐溶剤性やコロイド粒子としての安定性が不
充分となる。また、20%をこえるばあいには、えられる
層構造型乳化共重合体の粘度が高くなるとともに耐水性
がわるくなる。
【0015】本発明の単量体混合物(B)に用いられる
グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体は、染料の着
色度を向上せしめる成分として用いられるものであり、
たとえばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ルなどのようなエチレン性不飽和酸グリシジルエステ
ル;アリルアルコールグリシジルエーテルなどのような
不飽和アルコールのグリシジルエーテルなどがあげられ
る。前記グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体の使
用量は、単量体混合物(B)中に1〜20%、なかんづく
2〜15%含有されるように調整される。かかるグリシジ
ル基含有エチレン性不飽和単量体の使用量が1%未満で
あるばあいには、着色濃度が大きくならず、またグリシ
ジル基とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体中
のカルボキシル基との架橋の比率が小さくなって、えら
れる染料の耐溶剤性、耐薬品性などがわるくなる。ま
た、20%をこえるばあいには、えられる層構造型乳化共
重合体の粘度が高くなり、かつ乳化重合が困難となる。
【0016】本発明の単量体混合物(B)に用いられる
その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体は、前記
単量体混合物(A)に用いられるものでよいが、えられ
る層構造型乳化共重合体に硬質性を付与するとともに耐
光性を向上せしめる単量体がさらに好適である。このよ
うなものとしては、たとえばメタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、スチレン、α−メチルスチレンなどがあげられる。
前記その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体の使
用量は、単量体混合物(B)中に30〜93%、なかんづく
45〜83%含有されるように調整される。
【0017】本発明の着色樹脂の水性分散体は、共役ジ
エン系単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単
量体およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量
体からなる単量体混合物(A)を乳化重合したものを種
粒子として、さらにこれに、シアノ基含有エチレン性不
飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体、グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体およびそ
の他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる単
量体混合物(B)を加えて乳化重合することによりえら
れる層構造型乳化共重合体を染料で着色してなるもので
ある。
【0018】本発明において単量体混合物(A)と単量
体混合物(B)との重量比は6:94〜50:50、なかんづ
く10:90〜40:60である。単量体混合物(A)と(B)
との配合比率が6:94未満のばあいには、成膜性が不充
分となるとともに密着性が低下する。さらに粒子比重の
低下による効果が無くなり、貯蔵安定性もわるくなる。
また、50:50をこえるばあいには、塗膜のべたつきや耐
溶剤性の低下が発生する。これは単量体混合物(B)の
量が少ないため、種粒子であるべき単量体混合物(A)
の乳化共重合体が粒子表面に露出するためと考えられ
る。
【0019】本発明における単量体混合物(B)中のカ
ルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体とグリシジル
基含有エチレン性不飽和単量体との配合比率は重量比で
25:75〜75:25、なかんづく30:70〜70:30であり、こ
の配合比率範囲内で両者のカルボキシル基とグリシジル
基とのあいだで架橋を生ぜしめ、耐薬品性、耐水性など
の物性を向上させる。両者の配合比率が前記範囲に含ま
れないばあいには、両基のあいだの架橋により向上する
前記各特性は低下する。
【0020】本発明の着色樹脂の水性分散体に用いられ
る層構造型乳化共重合体は、前記したごとく、共役ジエ
ン系単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体
からなる単量体混合物(A)を乳化重合したものを種粒
子として、さらにこれに、シアノ基含有エチレン性不飽
和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量
体、グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体およびそ
の他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる単
量体混合物(B)を加えて乳化重合することによりえら
れる。
【0021】前記層構造型乳化共重合体を調製するに際
しては、通常の乳化重合法を採用しうる。
【0022】まず、種粒子を乳化重合により調製する
が、その方法についてはとくに制限はなく、回分式乳化
重合、半回分式乳化重合、連続式乳化重合のいずれでも
よい。重合温度についてもとくに限定されない。またこ
れに包接させるべく乳化重合を前記種粒子と同様にして
行うが、該乳化重合の様式についてもなんら制限はな
い。さらに本発明の着色樹脂の水性分散体に用いられる
層構造型乳化共重合体を効率よくえるためには、種粒子
の重合転化率が80%以上であることが望ましい。
【0023】本発明における単量体混合物(B)中のカ
ルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に含まれるカ
ルボキシル基と、グリシジル基含有エチレン性不飽和単
量体に含まれるグリシジル基との架橋反応を効果的に進
行させるために、たとえばN,N−ジメチルエタノール
アミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどの架橋
反応を促進させる働きを有するアミン触媒を添加しても
よい。
【0024】乳化重合の際に用いられる界面活性剤とし
ては、通常の乳化重合の際に用いられているものであれ
ばとくに限定はない。かかる界面活性剤の具体例として
は、たとえばステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリ
ウムなどの脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリ
ル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナ
トリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩;アル
キルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどの
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムな
どのポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;ナフ
タレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系
高分子界面活性剤などの陰イオン系界面活性剤や、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルな
どのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;テ
トラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポ
リオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタ
ン脂肪酸エステル;グリセロールモノステアレート、グ
リセロールモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エス
テル;ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエ
チレングリコールモノラウレートなどのポリオキシエチ
レン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤などが
あげられる。これらの界面活性剤は、通常単独でまたは
2種以上を混合して用いられる。本発明においては、前
記界面活性剤の使用量は、単量体混合物(A)、(B)
いずれのばあいにおいても、重合に供せられる単量体混
合物100 部(重量部、以下同様)に対して0.1 〜3部で
あり、該範囲の量で重合中の微細な凝集物や反応器壁へ
のスケール付着の極めて少ない安定な重合が可能であ
る。
【0025】また乳化重合の際に用いられる重合開始剤
としては、たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素水などの水溶性重合
開始剤;過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2´−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2
´−アゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性重合開始
剤;過酸化物を重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤と組み
合わせたレドックス系の重合開始剤などをあげることが
できる。前記重合開始剤の使用量は、単量体混合物
(A)、(B)いずれのばあいにおいても、重合に供せ
られる単量体混合物100 部に対して0.1 〜3部が重合の
コントロールやえられる乳化物の物性の点で好ましい。
【0026】また必要に応じて、乳化重合の際にたとえ
ばメルカプタン類、キサントゲンジスルフィド類、ハロ
ゲン化炭化水素類などの分子量調整剤を使用することが
できる。
【0027】乳化重合の際の系内に含まれる全単量体の
濃度はとくに限定されるものではないが、通常種粒子を
調製するばあいには10〜40%であり、層構造型乳化共重
合体を調製するばあいには30〜60%であることが好まし
い。
【0028】また、重合後に残留しているラジカル開始
剤の影響を排除するために、亜硝酸ナトリウム、硫酸ヒ
ドロキシルアミンなどの重合禁止剤を添加してもよい。
【0029】なお、本発明においては、前記乳化重合に
よってえられた層構造型乳化共重合体の数平均粒子直径
(以下、平均粒子径という)は、 0.3μmをこえるばあ
いには、沈澱物が生じやすくなって経時安定性がわるく
なる傾向にあるので、平均粒子径は0.3 μm以下である
ことが好ましい。
【0030】前記層構造型乳化共重合体の染料による着
色は、常法によって行ないうる。その方法の一例をあげ
れば、たとえば乳化重合時に染料の存在下で乳化重合を
行なう方法、えられた層構造型乳化共重合体をあとから
染料で着色する方法などがあるが、本発明はかかる方法
のみに限定されるものではない。
【0031】本発明に用いられうる染料としては、たと
えばアゾ系、オキサジン系、フタロシアニン系などの直
接染料;スルホン基やカルボキシル基を有するアゾ系、
アントラキノン系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、
ニトロソキサンテン系などの酸性染料;アミノ基または
その誘導基を有するトリフェニルメタン系、ジフェニル
メタン系、キサンテン系、アジン系、チアジン系、オキ
サジン系などの塩基性染料;アゾ系、ニトロアリルアミ
ン系、アントラキノン系などの分散染料などがあげられ
るが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではな
い。なお、前記染料のほかにも、鮮明な色相を必要とす
る用途に対しては、螢光染料などを用いることができ
る。前記染料は通常単独でまたは2種以上を混合して用
いられる。前記染料の使用量は、その種類、えられた分
散体の用途などによって異なるので一概には決定するこ
とができないが、通常層構造型乳化共重合体(樹脂固形
分)100 部に対して 0.1〜20部であることが好ましい。
【0032】本発明においては、たとえば分散体として
の各種物性を向上せしめるために、必要に応じて通常用
いられているたとえば防腐剤、防カビ剤、消泡剤、紫外
線吸収剤などの添加剤、水溶性有機溶剤、水溶性樹脂、
エマルジョンなどのバインダー類を、層構造型乳化共重
合体を乳化重合する際に添加してもよい。
【0033】つぎに本発明の着色樹脂の水性分散体を実
施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかか
る実施例のみに限定されるものではない。
【0034】実施例1 還流冷却管付反応容器に、ブタジエン60部、スチレン38
部、メタクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.15
部、イオン交換水270 部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム4.0 部、炭酸水素ナトリウム0.2 部、エチレ
ンジアミン四酢酸四ナトリウム塩0.05部および過硫酸カ
リウム0.5 部を仕込み、撹拌混合しながらチッ素気流下
で昇温し80℃で6時間反応させ種粒子をえた。
【0035】別の還流冷却管付反応容器に、前記種粒子
20部(乾燥重量部)、イオン交換水59部およびドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5 部を仕込み、80℃に
昇温した。これと並行して別の容器に、イオン交換水32
部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2 部、ス
チレン50部、メタクリル酸メチル18部、メタクリロニト
リル17部、メタクリル酸グリシジル5部、メタクリル酸
10部およびN,N−ジメチルエタノールアミン0.1 部を
仕込み、充分に撹拌してモノマーエマルジョンを調製
し、チッ素気流下で3時間かけて前記反応容器に滴下し
た。モノマーエマルジョンを滴下する際に反応容器に過
硫酸アンモニウムの5%水溶液14部を添加して反応を開
始させた。
【0036】モノマーエマルジョンの滴下終了後、80℃
に保ちながらさらに2時間にわたって反応を続けたの
ち、室温まで冷却して反応を完結させ、層構造型乳化共
重合体をえた。
【0037】えられた層構造型乳化共重合体100 部に染
料としてベーシックイエロー51(商品名:カヤクリルイ
エロー3G−S、日本化薬(株)製)3部、アルキルナ
フタレンスルホン酸ナトリウム2部およびイオン交換水
20部の混合物を常温にて加え、2時間かけて徐々に90℃
まで昇温したあと1時間保ったのち室温まで冷却し、樹
脂固形分39.4%、粘度8.5 cP、平均粒子径0.14μmの
黄色の着色樹脂の水性分散体をえた。
【0038】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を下記の方法にしたがって調べた。その
結果を表1に示す。
【0039】つぎに、この着色樹脂の水性分散体 120部
にエチレングリコール50部およびイオン交換水 130部を
混合撹拌して黄色の筆記具用水性インキをえた。このイ
ンキを用いて筆記試験を行なったところ、ペン先からの
流出性およびドライアップ性にすぐれ、また描画試験を
行なったところ、筆記500mでかすれはなかった。
【0040】(貯蔵安定性)60℃の恒温槽の中に、着色
樹脂の水性分散体を密閉したガラス容器を入れ、6カ月
間静置し、異常があるかどうか目視にて確認し、貯蔵安
定性を評価した。
【0041】異常とは、沈澱物などの発生、増粘などの
粘度変化が生じた状態をいう。
【0042】表中、「○」は異常なし、「×」は異常あ
りを示す。
【0043】(耐水性)着色樹脂の水性分散体をケント
紙にバーコーター#10で塗工し、乾燥させてその塗工紙
を水に1分間浸漬し、溶出するかどうかを目視にて確認
し、耐水性を評価した。
【0044】溶出とは、着色樹脂の水性分散体が塗工し
た紙から多少にかかわらずにじみ出たことをいう。
【0045】表中、「○」は溶出なし、「×」は溶出あ
りを示す。
【0046】(耐光性)耐水性試験で用いた塗工紙をカ
ーボンアークフェードメーターで紫外線の照射を行な
い、JIS L-0841ブルースケール8等級を用いて退色度合
いを目視にて確認し、以下の判定基準にしたがって耐光
性を評価した。
【0047】(判定基準) 1:色の変退色がブルースケール1級と同程度 2:色の変退色がブルースケール2級と同程度 3:色の変退色がブルースケール3級と同程度 4:色の変退色がブルースケール4級と同程度 5:色の変退色がブルースケール5級と同程度 6:色の変退色がブルースケール6級と同程度 7:色の変退色がブルースケール7級と同程度 8:色の変退色がブルースケール8級と同程度 なお、1〜3等級は、耐光性に劣り、実用的でないこと
を示す。
【0048】(耐薬品性)耐水性試験で用いた塗工紙を
1%塩酸水溶液(耐酸性)および1%水酸化ナトリウム
水溶液(耐アルカリ性)にそれぞれ1分間浸漬し、イン
キが溶出するかどうか目視にて確認し、耐酸性および耐
アルカリ性を評価した。
【0049】溶出とは、着色樹脂の水性分散体が塗工し
た紙から多少にかかわらずにじみ出たことをいう。
【0050】表中、「○」は溶出なし、「×」は溶出あ
りを示す。
【0051】(耐溶剤性)耐水性試験で用いた塗工紙を
イソプロピルアルコールに1分間浸漬し、溶出するかど
うか目視にて確認し、耐溶剤性を評価した。
【0052】溶出とは、着色樹脂の水性分散体が塗工し
た紙から多少にかかわらずにじみ出たことをいう。
【0053】表中、「○」は溶出なし、「×」は溶出あ
りを示す。
【0054】(耐摩擦性)耐水性試験で用いた塗工紙に
学振式耐摩擦試験機で荷重200 gを5回かけて、塗工紙
に着色樹脂の水性分散体がどの程度残っているかを目視
にて確認し、耐摩擦性を評価した。
【0055】表中、「○」は大部分残る、「×」はほと
んど残らずを示す。
【0056】(架橋判定)着色樹脂の水性分散体を乾燥
して粉末化し、テトラヒドロフラン 200ml中に1.0g溶解
し、濾紙を用いて濾過を行ない不溶解分があるかどうか
を調べて架橋の有無の判定を行なった。わずかでも不溶
解分があれば架橋していると評価した。
【0057】実施例2 還流冷却管付反応容器に、実施例1でえられた種粒子40
部(乾燥重量部)、イオン交換水40部およびドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム2.5 部を仕込み、80℃に昇
温した。これと並行して別の容器に、スチレン50部、メ
タクリル酸メチル18部、メタクリロニトリル17部、メタ
クリル酸グリシジル5部、メタクリル酸10部およびN,
N−ジメチルエタノールアミン0.1 部を仕込み単量体混
合物を調製し、チッ素気流下で3時間かけて前記反応容
器に滴下した。単量体混合物を滴下する際に反応容器に
過硫酸アンモニウムの5%水溶液14部を添加して反応を
開始させた。
【0058】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、層構造型乳化共重合体をえ
た。
【0059】えられた層構造型乳化共重合体100 部に染
料としてアシッドレッド52(商品名:ソラーローダミン
B、住友化学工業(株)製)5部、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸ナトリウム7部およびイオン交換
水20部の混合物を常温にて加え、2時間かけて徐々に90
℃まで昇温したあと1時間保ったのち室温まで冷却し、
樹脂固形分38.9%、粘度14.0cP、平均粒子径0.22μm
の鮮明なピンク色の着色樹脂の水性分散体をえた。
【0060】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0061】さらに、この着色樹脂の水性分散体10部に
レジューサ(ミネラル・ターペンの60%乳化物)80部と
固着剤(アクリルエマルジョン)10部を混合撹拌したの
ち、シルクスクリーン法で綿布に印捺し、130 ℃で3分
間ベーキングを行なった。このものは風合いがよく耐ド
ライクリーニング性などにすぐれたものであった。
【0062】実施例3 還流冷却管付反応容器に、実施例1でえられた種粒子40
部(乾燥重量部)、イオン交換水40部およびドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム2.5 部を仕込み、80℃に昇
温した。これと並行して別の容器に、スチレン50部、メ
タクリル酸メチル18部、アクリロニトリル17部、メタク
リル酸グリシジル5部、メタクリル酸10部およびN,N
−ジメチルエタノールアミン0.1 部を仕込み単量体混合
物を調製し、チッ素気流下で3時間かけて前記反応容器
に滴下した。単量体混合物を滴下する際に反応容器に過
硫酸アンモニウムの5%水溶液14部を添加して反応を開
始させた。
【0063】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、層構造型乳化共重合体をえ
た。
【0064】えられた層構造型乳化共重合体100 部に染
料としてベーシックブルー54(商品名:カチロンブルー
BRHL、保土谷化学工業(株)製)1部、ベーシック
イエロー40(商品名:カチロンブリリアントフラビン10
GFH、保土谷化学工業(株)製)3部、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム4部およびイオン交換水20部の
混合物を常温にて加え、2時間かけて徐々に90℃まで昇
温したあと1時間保ったのち室温まで冷却し、樹脂固形
分39.3%、粘度15.0cP、平均粒子径0.12μmの鮮明な
緑色の着色樹脂の水性分散体をえた。
【0065】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0066】さらに、この着色樹脂の水性分散体20部、
アクリルエマルジョン40部、オレフィン系ワックス乳化
物1部、イソプロピルアルコール3部およびイオン交換
水36部を混合撹拌して印刷用水性インキをえた。この水
性インキを用いてライナー紙上にグラビア印刷したもの
は耐摩擦性、機上安定性などにすぐれたものであった。
【0067】実施例4 還流冷却管付反応容器に、実施例1でえられた種粒子40
部(乾燥重量部)、イオン交換水40部およびドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム2.5 部を仕込み、80℃に昇
温した。これと並行して別の容器に、スチレン35部、メ
タクリル酸メチル18部、メタクリロニトリル17部、メタ
クリル酸グリシジル5部、メタクリル酸10部、メタクリ
ル酸n−ブチル15部およびN,N−ジメチルエタノール
アミン0.1 部を仕込み単量体混合物を調製し、チッ素気
流下で3時間かけて前記反応容器に滴下した。単量体混
合物を滴下する際に反応容器に過硫酸アンモニウムの5
%水溶液14部を添加して反応を開始させた。
【0068】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、層構造型乳化共重合体をえ
た。
【0069】えられた層構造型乳化共重合体100 部に染
料としてディスパースバイオレット77(商品名:カヤロ
ンポリエステルバイオレット3RL−S、日本化薬
(株)製)2部、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル4部およびイオン交換水20部の混合物を常温に
て加え、2時間かけて徐々に90℃まで昇温したあと1時
間保ったのち室温まで冷却し、樹脂固形分38.3%、粘度
16.4cP、平均粒子径0.12μmの紫色の着色樹脂の水性
分散体をえた。
【0070】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0071】さらに、この着色樹脂の水性分散体10部を
紙パルプ100 部(LBKP:NBKP=1:1)に添加
し、これをタッピ式角型シートマシンにて抄造した。で
きあがった抄紙は、耐光性、耐水性などにすぐれたもの
であった。
【0072】実施例5 還流冷却管付反応容器に、ブタジエン35部、スチレン60
部、メタクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.1
部、イオン交換水270 部、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム4.0 部、炭酸水素ナトリウム0.2 部、エチレ
ンジアミン四酢酸四ナトリウム塩0.05部および過硫酸カ
リウム0.5 部を仕込み、撹拌混合しながらチッ素気流下
で昇温し80℃で6時間反応させ種粒子をえた。
【0073】別の還流冷却管付反応容器に、前記種粒子
40部(乾燥重量部)、イオン交換水85部、ラウリル硫酸
ナトリウム1部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
硫酸ナトリウム3部および染料としてディスパースレッ
ド60(商品名:スミカロンレッドE−FBL、住友化学
工業(株)製)5部を仕込み、80℃に昇温した。これと
並行して別の容器に、スチレン52部、メタクリル酸メチ
ル18部、メタクリロニトリル17部、メタクリル酸グリシ
ジル5部、メタクリル酸8部およびN,N−ジエチルエ
タノールアミン0.1 部を仕込み単量体混合物を調製し、
チッ素気流下で3時間かけて前記反応容器に滴下した。
単量体混合物を滴下する際に反応容器に過硫酸アンモニ
ウムの5%水溶液14部を添加して反応を開始させた。
【0074】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、樹脂固形分39.5%、粘度1
2.8cP、平均粒子径0.13μmの赤色の着色樹脂の水性
分散体をえた。
【0075】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0076】さらに、この着色樹脂の水性分散体20部と
水性アルキッド樹脂80部を混合撹拌して赤色の水性塗料
をえた。この塗料を用いて電着焼付をしたものは平滑
性、耐溶剤性、密着性などにすぐれたものであった。
【0077】実施例6 還流冷却管付反応容器に、実施例5でえられた種粒子40
部(乾燥重量部)、イオン交換水85部、ラウリル硫酸ナ
トリウム1部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫
酸ナトリウム3部および染料としてベーシックオレンジ
22(商品名:カチロンオレンジRH、保土谷化学工業
(株)製)5部を仕込み、80℃に昇温した。これと並行
して別の容器に、スチレン52部、メタクリル酸メチル18
部、メタクリロニトリル17部、メタクリル酸グリシジル
8部、メタクリル酸5部およびN,N−ジエチルエタノ
ールアミン0.1 部を仕込み単量体混合物を調製し、チッ
素気流下で3時間かけて前記反応容器に滴下した。単量
体混合物を滴下する際に反応容器に過硫酸アンモニウム
の5%水溶液14部を添加して反応を開始させた。
【0078】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、樹脂固形分40.0%、粘度1
9.5cP、平均粒子径0.15μmのオレンジ色の着色樹脂
の水性分散体をえた。
【0079】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0080】つぎに、この着色樹脂の水性分散体120 部
にグリセリン20部、尿素30部およびイオン交換水130 部
を混合撹拌してオレンジ色の筆記具水性インキをえた。
このインキを用いて筆記試験を行なったところ、ペン先
からの流出性、およびドライアップ性にすぐれ、また描
画試験を行なったところ、筆記500 mでかすれはなかっ
た。
【0081】比較例1 反応容器にポリビニルアルコール10部、染料としてダイ
レクトオレンジ6(商品名:ニッポンオレンジGGコン
ク、住友化学工業(株)製)3部およびイオン交換水87
部を仕込み、20℃で1時間撹拌してオレンジ色の水性分
散体をえた。
【0082】えられた水性分散体の貯蔵安定性、耐水
性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性および架橋
の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。そ
の結果を表1に示す。
【0083】比較例2 反応容器にスチレン−マレイン酸樹脂8部、染料として
ベーシックレッド14(商品名:カチロンブリリアントレ
ッド4GH、保土谷化学工業(株)製)4部およびイオ
ン交換水88部を仕込み、50℃で1時間撹拌して赤色の水
性分散体をえた。
【0084】えられた水性分散体の貯蔵安定性、耐水
性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性および架橋
の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。そ
の結果を表1に示す。
【0085】比較例3 実施例2において、単量体混合物を調製する際に用いた
スチレンの量を27部に、メタクリロニトリルの量を40部
に変更したほかは、実施例2と同様にして層構造型乳化
共重合体をえた。えられた層構造型乳化共重合体は凝集
物が多いものであった。
【0086】この層構造型乳化共重合体を用いて、実施
例2と同様にして樹脂固形分37.6%、粘度28.7cP、平
均粒子径0.34μmの鮮明なピンク色の着色樹脂の水性分
散体をえた。
【0087】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0088】比較例4 実施例3において、単量体混合物を調製する際に用いた
スチレンの量を55部に変更し、メタクリル酸グリシジル
を用いなかったほかは、実施例3と同様にして層構造型
乳化共重合体をえた。
【0089】えられた層構造型乳化共重合体を用いて、
実施例3と同様にして樹脂固形分38.9%、粘度17.4c
P、平均粒子径0.17μmの鮮明な緑色の着色樹脂の水性
分散体をえた。
【0090】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0091】比較例5 還流冷却管付反応容器に、スチレン98部、メタクリル酸
2部、t−ドデシルメルカプタン0.15部、イオン交換水
270 部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0
部、炭酸水素ナトリウム0.2 部、エチレンジアミン四酢
酸四ナトリウム塩0.05部および過硫酸カリウム0.5 部を
仕込み、撹拌混合しながらチッ素気流下で昇温し80℃で
6時間反応させ種粒子をえた。
【0092】別の還流冷却管付反応容器に、前記種粒子
40部(乾燥重量部)、イオン交換水40部およびドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5 部を仕込み、80℃に
昇温した。これと並行して別の容器に、スチレン50部、
メタクリル酸メチル18部、メタクリロニトリル17部、メ
タクリル酸グリシジル5部、メタクリル酸10部および
N,N−ジメチルエタノールアミン0.1 部を仕込み単量
体混合物を調製し、チッ素気流下で3時間かけて前記反
応容器に滴下した。単量体混合物を滴下する際に反応容
器に過硫酸アンモニウムの5%水溶液14部を添加して反
応を開始させた。
【0093】単量体混合物の滴下終了後、80℃に保ちな
がらさらに2時間にわたって反応を続けたのち、室温ま
で冷却して反応を完結させ、層構造型乳化共重合体をえ
た。
【0094】えられた層構造型乳化共重合体100 部に染
料としてベーシックイエロー51を3部、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム2部およびイオン交換水20部
の混合物を常温にて加え、2時間かけて徐々に90℃まで
昇温したあと1時間保ったのち室温まで冷却し、樹脂固
形分39.4%、粘度9.2 cP、平均粒子径0.11μmの黄色
の着色樹脂の水性分散体をえた。
【0095】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0096】比較例6 還流冷却管付反応容器に、実施例5でえられた種粒子15
0 部(乾燥重量部)、ラウリル硫酸ナトリウム1部、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム3部
および染料としてディスパースレッド60を5部仕込み、
80℃に昇温した。これと並行して別の容器に、スチレン
50部、メタクリル酸メチル18部、メタクリロニトリル17
部、メタクリル酸グリシジル5部、メタクリル酸10部お
よびN,N−ジエチルエタノールアミン0.1 部を仕込み
単量体混合物を調製し、実施例5と同様にして樹脂固形
分38.4%、粘度51.2cP、平均粒子径0.11μmの赤色の
着色樹脂の水性分散体をえた。
【0097】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0098】比較例7 還流冷却管付反応容器に、イオン交換水60部、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5 部を仕込み、80℃に
昇温した。
【0099】内温を80℃に保ったまま、チッ素気流下で
スチレン2部を添加し、撹拌したのち過硫酸アンモニウ
ムの5%水溶液10部を添加して反応を開始させた。
【0100】1時間反応させたのち、並行して別の容器
に調製したイオン交換水40部、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム0.5 部、スチレン48部、メタクリル酸メ
チル18部、メタクリロニトリル17部、メタクリル酸グリ
シジル5部およびメタクリル酸10部のモノマーエマルジ
ョンを3時間かけて前記反応容器に滴下した。その際、
過硫酸アンモニウムの5%水溶液6部も同時に滴下し
た。
【0101】モノマーエマルジョンの滴下終了後、80℃
に保ちながらさらに2時間にわたって反応を続けたの
ち、室温まで冷却して反応を完結させ、乳化共重合体を
えた。
【0102】えられた乳化共重合体100 部に染料として
ディスパースバイオレット77を3部、アルキルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム3部およびイオン交換水20部の
混合物を常温にて加え、2時間かけて徐々に90℃まで昇
温したあと1時間保ったのち室温まで冷却し、樹脂固形
分38.5%、粘度9.0 cP、平均粒子径0.10μmの紫色の
着色樹脂の水性分散体をえた。
【0103】えられた着色樹脂の水性分散体の貯蔵安定
性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐溶剤性、耐摩擦性お
よび架橋の有無を実施例1と同様の方法にしたがって調
べた。その結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】本発明の着色樹脂の水性分散体は、従来
の水溶性染料の欠点である耐水性および耐光性に飛躍的
にすぐれたものであり、加えて耐薬品性、耐溶剤性、長
期貯蔵安定性、耐摩擦性などにもすぐれ、かつ色数が豊
富で色相が非常に鮮明であるため、たとえば建材、捺
染、印刷用インキ、筆記具用インキなどの着色に有用で
ある。また、本発明の着色樹脂の水性分散体は熱硬化性
を有するものであるため、とくに熱架橋を必要とする分
野にも有用であり、今後種々の用途に幅広く使用される
ことが期待されるものである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン系単量体10〜80重量%、カル
    ボキシル基含有エチレン性不飽和単量体0.5 〜10重量%
    およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体10
    〜89.5重量%からなる単量体混合物(A)を乳化重合し
    てなる種粒子に、 シアノ基含有エチレン性不飽和単量体5〜30重量%、カ
    ルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体1〜20重量
    %、グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体1〜20重
    量%およびその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量
    体30〜93重量%からなる単量体混合物(B)を、該単量
    体混合物(A)と単量体混合物(B)との重量比を6:
    94〜50:50で加えて乳化重合することによりえられる層
    構造型乳化共重合体を染料で着色してなる平均粒子径が
    0.3 μm以下の着色樹脂の水性分散体。
  2. 【請求項2】 単量体混合物(B)が、カルボキシル基
    含有エチレン性不飽和単量体とグリシジル基含有エチレ
    ン性不飽和単量体との重量比が25:75〜75:25であり、
    カルボキシル基とグリシジル基が架橋されたものである
    請求項1記載の着色樹脂の水性分散体。
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