JP2002088266A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

水性樹脂組成物

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JP2002088266A
JP2002088266A JP2000282201A JP2000282201A JP2002088266A JP 2002088266 A JP2002088266 A JP 2002088266A JP 2000282201 A JP2000282201 A JP 2000282201A JP 2000282201 A JP2000282201 A JP 2000282201A JP 2002088266 A JP2002088266 A JP 2002088266A
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vinyl chloride
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plasticizer
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Makoto Mizushima
真 水島
Kenta Kanaida
健太 金井田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニルフィルム、塩化ビニル被覆材、塩
化ビニル壁装材、塩化ビニル床材等の塩化ビニル基材中
に含まれる可塑剤の移行防止能に優れ、かつ、前記塩化
ビニル基材に対して良好な密着性を有することにより、
可塑剤移行によるべたつきや汚染を防ぐことができ、し
かも、作業環境の確保など安全性の点において優れる、
可塑剤移行防止用水性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ガラス転移点(Tg)が20℃以上であ
るカルボキシル基含有水溶性重合体(A)に、少なくと
もオキサゾリン基含有水溶性重合体(B)が配合されて
なる、可塑剤移行防止用水性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニルフィル
ム、塩化ビニル被覆材、塩化ビニル壁装材、塩化ビニル
床材等に含まれる可塑剤の移行を防止できる水性樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、建物の内装材などに用いられ
る塩化ビニルフィルム(壁紙等)、塩化ビニル被覆材、
塩化ビニル壁装材、塩化ビニル床装材、塩化ビニル塗装
材等には、可とう性や加工性を付与する目的で、ジオク
チルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DB
P)等の可塑剤が多量に配合されている。このため、例
えば、改装時にその上から一般の塗料を直接塗装する
と、形成された塗膜中に可塑剤成分が移行して塗膜を軟
化させ、塗膜表面に粘着(べたつき)が生じるといった
問題を招くことがあった。さらに、塗膜表面にべたつき
が生じると、埃や手垢などの汚れが付着し易くなる。
【0003】また、可塑剤は、建物のコンクリート外壁
やサイディングボード外壁等の部材(パネル)接合部や
目地部において、建物の水密性や気密性等を保持させる
目的で使用されるシーリング材にも、通常、多量に配合
されている。従って、シーリング材においても、前述と
同様に、可塑剤成分の移行により、塗膜表面に粘着(べ
たつき)を生じ、埃などが付着して汚れ易くなるという
問題があった。従って、一般に、塩化ビニルフィルム、
塩化ビニル被覆材、塩化ビニル壁装材、塩化ビニル床装
材、塩化ビニル塗装材、シーリング材などの上へは塗料
を直接塗装できず、下塗りに可塑剤移行防止効果のある
バリヤプライマーを塗装した後、仕上げ塗りを行うのが
現状であった。
【0004】しかし、従来、下塗りに用いられる可塑剤
移行防止効果のあるバリヤプライマーとしては、一般的
に溶剤系塗料が用いられており、この場合、有機溶剤に
よる危険性や臭気などによる作業環境の悪化が大きな問
題となっていた。また、可塑剤移行防止用のバリヤプラ
イマーとしては、塩化ビニル基材に対する密着性を備え
ていることが重要であり、たとえ可塑剤移行防止能にお
いて極めて優れた効果を発揮するものであっても、塩化
ビニル基材に対する密着性を確保できない場合には、形
成された塗膜が容易に剥離することとなり、結果として
可塑剤の移行を防止することは困難となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、塩化ビニルフィルム、塩化ビニル被覆材、塩化ビニ
ル壁装材、塩化ビニル床材等の塩化ビニル基材中に含ま
れる可塑剤の移行防止能に優れ、かつ、前記塩化ビニル
基材に対して良好な密着性を有することにより、可塑剤
移行によるべたつきや汚染を防ぐことができ、しかも、
作業環境の確保など安全性の点において優れる、可塑剤
移行防止用水性樹脂組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
解決するために、種々検討した結果、特定のガラス転移
点を有するカルボキシル基含有水溶性重合体に、架橋剤
としてオキサゾリン基含有水溶性重合体を配合すること
により、得られた塗膜が可塑剤移行を防止することを見
い出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の可塑剤
移行防止用水性樹脂組成物は、ガラス転移点(Tg)が
20℃以上であるカルボキシル基含有水溶性重合体
(A)に、少なくともオキサゾリン基含有水溶性重合体
(B)が配合されてなる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂組成物は、カルボキ
シル基含有水溶性重合体(A)を必須に含有するもので
あり、該カルボキシル基含有水溶性重合体(A)のガラ
ス転移点(Tg)は20℃以上であることが重要であ
る。好ましくは、40℃以上であるのがよい。カルボキ
シル基含有水溶性重合体(A)のガラス転移点(Tg)
が20℃未満であると、べたつきが生じやすく、本発明
の効果が期待できないこととなる。前記カルボキシル基
含有水溶性重合体(A)は、カルボキシル基含有重合体
が水性媒体中に溶解してなるものであれば、特に限定さ
れるものではない。水性媒体中に溶解するものであるこ
とにより、作業環境の確保など安全性の点で優れた樹脂
組成物とすることができる。
【0008】前記カルボキシル基含有水溶性重合体
(A)は、例えば、カルボキシル基含有単量体を含む単
量体成分(a)を重合させることにより容易に得ること
ができる。カルボキシル基含有単量体としては、具体的
には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ
皮酸等の不飽和モノかルボン酸;マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン
酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物;こ
れら不飽和ジカルボン酸のモノアミド;無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカ
ルボン酸の無水物;等が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。これらカルボキシル基含有単量体は
1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記例示のカルボキシル基含有単量体のうち、不飽和ジ
カルボン酸、不飽和ジカルボン酸のモノエステル化物、
不飽和ジカルボン酸のモノアミド、不飽和ジカルボン酸
の無水物が好ましい。言い換えれば、エチレン結合を有
するジカルボン酸およびその誘導体がより好ましい。
【0009】前記単量体成分(a)における前記カルボ
キシル基含有単量体の割合は、1〜30重量%とするこ
とが好ましい。カルボキシル基含有単量体の割合が1重
量%未満であると、得られる重合体(A)が有するカル
ボキシル基の量が少なくなりすぎ、オキサゾリン基と充
分に反応させることができなくなるので、好ましくな
い。一方、カルボキシル基含有単量体の割合が30重量
%を超えると、本発明の樹脂組成物により形成される塗
膜の耐水性等が低下するので、好ましくない。前記単量
体成分(a)は、前記カルボキシル基含有単量体のほか
に、該カルボキシル基含有単量体と共重合し、かつ、カ
ルボキシル基に対して不活性な他の単量体を含有してい
てもよい。この他の単量体としては、具体的には、例え
ば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸およびその
塩等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸を炭素数1〜1
8のアルコールでエステル化してなる、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の
(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸−2
−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロ
キシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレング
リコールもしくはポリエチレングリコールとのモノエス
テル化物等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エ
ステル;エチレン、プロピレン、n−ブテン等のオレフ
ィン;(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよ
びその塩、ビニルスルホン酸およびその塩等の不飽和ス
ルホン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリ
ン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリロニト
リル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等の
ビニルエーテル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエ
チル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニ
ルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等
の塩基性不飽和単量体;(メタ)アクリル酸を、例え
ば、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等
の多価アルコールでエステル化してなる、分子内にエチ
レン結合を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エ
ステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−
ブトキシ(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)
アクリルアミド;ビニルトリメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリル
トリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリ
ルアミン等の有機ケイ素含有不飽和単量体;(メタ)ア
クリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−メチル
グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ含
有単量体;(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)
アクリル酸−2−アジリジニルエチル等のアジリジニル
基含有単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、ジアリル
フタレート;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)ア
クリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,
2,6,6−ペンタメチルピペリジン等のピペリジン誘
導体;等が挙げられる。これら単量体の中でも特に(メ
タ)アクリル酸エステルが好ましく、単量体成分(a)
として該(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合に
は、単量体成分(a)における(メタ)アクリル酸エス
テルの割合が30重量%以上であることが好ましく、5
0重量%以上であることがより好ましい。なお、これら
単量体は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0010】前記単量体成分(a)の重合方法について
は、特に限定はなく、公知の重合方法を採用することが
でき、例えば、水性媒体中で溶液重合または塊状重合さ
せる方法が好ましく挙げられる。反応条件は、単量体成
分(a)の組成等に応じて適宜設定すればよいが、例え
ば、反応温度は20〜150℃程度が好適であり、反応
時間は1〜24時間程度が好適である。前記単量体成分
(a)は、例えば、反応器に一括して仕込んでもよい
し、滴下等の方法によって連続的あるいは逐次的に仕込
んでもよい。前記単量体成分(a)の重合は、窒素ガス
等の不活性ガスの雰囲気下で行うことがより好ましい。
【0011】前記単量体成分(a)の重合に際しては、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩等のアゾ化
合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオ
キサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化
物;等の重合開始剤を必要に応じて用いることが好まし
い。重合開始剤の使用量は、単量体成分(a)の組成等
に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものでは
ない。重合開始剤は、単量体成分(a)とともに反応器
に一括して仕込んでもよいし、滴下等の方法によって連
続的あるいは逐次的に仕込んでもよい。
【0012】また、前記単量体成分(a)の重合に際し
ては、必要に応じて、界面活性剤等を用いることもでき
る。前記カルボキシル基含有重合体としては、例えば、
カルボキシル基を導入した付加重合系重合体、中でも、
先に例示した単量体群から得られるような、アクリル樹
脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリル系共重合体樹脂
(アクリル/スチレン系樹脂等)等に代表されるアクリ
ル系樹脂や、SBR(スチレン/ブタジエンラバー)等
が挙げられる。カルボキシル基含有重合体としては、こ
れらのほかに、カルボキシル基を導入した重縮合系重合
体も用いることができる。カルボキシル基を導入した重
縮合系重合体は、カルボキシル基を1個以上含有する化
合物を含む原料を使用することにより得られ、例えば、
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹
脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。さらに、前記カル
ボキシル基含有重合体としては、上記の樹脂以外にも、
カルボキシル基を導入したフッ素含有樹脂、ポリオレフ
ィン、エポキシ樹脂等を用いることもできる。カルボキ
シル基含有重合体としては、上記例示の中でも特にアク
リル樹脂が好ましい。なお、これらカルボキシル基含有
重合体は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以
上を併用してもよい。
【0013】前記カルボキシル基含有水溶性重合体
(A)は、前記カルボキシル基含有重合体が水性媒体中
に溶解してなるものであるが、その際、カルボキシル基
含有重合体を溶解する水性媒体としては、例えば、水;
水と均一に混合する溶剤と、水との混合溶剤;が挙げら
れ、特に水が好ましい。前記水と均一に混合する溶剤と
しては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のグリコ
ール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;等が
挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種
類以上を併用してもよい。なお、水性媒体の使用量は特
に限定されない。また、前記単量体成分(a)を溶液重
合する際の水性媒体としても、上記と同様の水性媒体を
用いればよい。
【0014】前記重合体(A)中の樹脂固形分(不揮発
分)の割合は、好ましくは1〜70重量%の範囲内であ
り、より好ましくは30〜60重量%の範囲内である。
本発明においては、前記カルボキシル基含有水溶性重合
体(A)の構成単位となる全重合性モノマーのうち、1
重量%以上が水溶性モノマーであることが好ましい。よ
り好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは10
重量%以上である。全重合性モノマーのうち、水溶性モ
ノマーが1重量%未満であると、得られる重合体の水溶
性が不足し、本発明の効果を発現しえない恐れがある。
前記水溶性モノマーとしては、単量体成分(a)として
先に例示した単量体のうち、水への溶解度が5g/10
0ml(水)以上の単量体が好ましく挙げられる。例え
ば、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、
リン酸エステル基等のアニオン性基を有する単量体;ア
ミノ基、イミノ基、第3アミン基、第4アンモニウム塩
基、ヒドラジド基等のカチオン性基を有する単量体;ヒ
ドロキシル基、エーテル基、アミド基等のノニオン性基
を有する単量体;等が挙げられる。具体的には、例え
ば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メ
タ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステ
ル化物、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびそ
の塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリ
ル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリ
ルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルピロ
リドン等が挙げられる。これら水溶性モノマーは、それ
ぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用しても
よい。
【0015】なお、カルボキシル基含有水溶性重合体
(A)の構成単位となる全重合性モノマーのうちの少な
くとも1重量%以上が前記水溶性モノマーであれば、前
記重合性モノマーとして、例えば、メチルメタクリレー
ト、スチレン等の非水溶性モノマーを含んでいても良
い。本発明においては、前記カルボキシル基含有水溶性
重合体(A)の酸価が40mgKOH/g以上であるこ
とが好ましい。酸価が40mgKOH/g未満である
と、可塑剤移行防止性効果が充分でない傾向があるので
好ましくない。本発明の樹脂組成物は、前記カルボキシ
ル基含有水溶性重合体(A)に、少なくともオキサゾリ
ン基含有水溶性重合体(B)が配合されてなる。これに
より、可塑剤の移行を防止し、可塑剤移行によるべたつ
きや汚染を防ぐことができるのである。
【0016】前記オキサゾリン基含有水溶性重合体
(B)は、オキサゾリン基含有重合体が水性媒体中に溶
解してなるものであれば、特に限定されるものではな
い。水性媒体中に溶解するものであることにより、可塑
剤移行防止効果を発現させると同時に、作業環境の確保
など安全性の点で優れた樹脂組成物とすることができ
る。例えば、オキサゾリン基含有水溶性樹重合体(B)
の代わりに、水不溶性である水分散型の重合体を用いる
と、可塑剤の移行を防止することは困難となる。オキサ
ゾリン基含有重合体は、下記一般式(1)で表されるオ
キサゾリン基を有する重合体であればよく、特に限定さ
れるものではない。
【0017】
【化1】
【0018】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
クロアルキル基、アラルキル基、シクロアルケニル基、
アリール基、または置換アリール基である。) 前記オキサゾリン基含有重合体は、下記一般式(2)で
表される付加重合性オキサゾリンを必須成分として含
み、必要に応じて付加重合性オキサゾリンと共重合可能
な単量体を含む単量体成分(b)を重合させることによ
り、容易に得られる。なお、一般式(2)中のR5 で表
される置換基は、アルケニル基、または、シクロアルケ
ニル基が好ましい。
【0019】
【化2】
【0020】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
クロアルキル基、アラルキル基、シクロアルケニル基、
アリール基、または置換アリール基であり、R5 は、付
加重合性不飽和結合を持つ非環状有機残基である。) 前記付加重合性オキサゾリンとしては、具体的には、例
えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4
−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル
−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサ
ゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサ
ゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサ
ゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサ
ゾリン等が挙げられる。これら付加重合性オキサゾリン
は、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併
用してもよい。上記例示の付加重合性オキサゾリンの中
でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業
的に入手しやすいので、より好ましい。
【0021】前記付加重合性オキサゾリンの使用量は、
特に限定されるものではないが、単量体成分(b)中に
おいて、5重量%以上となる量であることが好ましく、
より好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10
〜60重量%、特に好ましくは30〜60重量%であ
る。5重量%未満であると、可塑剤移行防止効果が充分
に発揮されにくい傾向があり、好ましくない。また、6
0重量%を超えた場合には、耐水性に悪影響を及ぼすお
それがあるので、好ましくない。前記付加重合性オキサ
ゾリンと共重合可能な単量体としては、具体的には、例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アク
リル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシ
ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレ
ングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル
酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル
酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリ
ル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等
の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナ
トリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アク
リル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)ア
クリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレ
ン、プロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−
不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレ
ン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和
芳香族炭化水素;等が挙げられる。これら単量体は、1
種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよ
い。
【0022】前記単量体成分(b)の重合によって得ら
れるオキサゾリン基含有重合体が水性媒体中に溶解しう
るようにするためには、単量体成分(b)中の親水性単
量体の割合を50重量%以上とすることが好ましい。よ
り好ましくは60〜90重量%である。前記親水性単量
体しては、前述の付加重合性オキサゾリン、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メ
トキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸と
ポリエチレングリコールのモノエステル化物、(メタ)
アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)ア
クリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウ
ム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2
−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレ
ンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中で
も、水への溶解性の高い、(メタ)アクリル酸メトキシ
ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエ
チレングリコールとのモノエステル化物等のポリエチレ
ングリコール鎖を有する単量体が好ましい。
【0023】前記単量体成分(b)の重合方法について
は、特に限定はなく、公知の種々の重合方法を採用する
ことができる。この重合方法としては、例えば、水性媒
体中で溶液重合、乳化重合、懸濁重合、または塊状重合
させる方法が挙げられる。反応条件は、単量体成分
(b)の組成等に応じて設定すればよく、特に限定され
るものではないが、例えば、反応温度は20〜150℃
程度が好適であり、反応時間は1〜24時間程度が好適
である。前記単量体成分(b)は、例えば、反応器に一
括して仕込んでもよく、滴下等の方法によって連続的あ
るいは逐次的に仕込んでもよい。前記単量体成分(b)
の重合に際しては、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下
で行うことがより好ましい。
【0024】前記単量体成分(b)の重合に際しては、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩等のアゾ化
合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオ
キサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化
物;等の重合開始剤を必要に応じて用いることが好まし
い。重合開始剤の使用量は、単量体成分(b)の組成等
に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものでは
ない。重合開始剤は、単量体成分(b)とともに反応器
に一括して仕込んでもよいし、滴下等の方法によって連
続的あるいは逐次的に仕込んでもよい。
【0025】また、前記単量体成分(b)の重合に際し
ては、必要に応じて、界面活性剤等を用いることもでき
る。前記オキサゾリン基含有重合体としては、ポリマー
の後変性でオキサゾリン基を導入したものも使用可能で
あり、具体的には、ニトリル基を有するポリマーとモノ
アミノアルコールとを反応させる方法(特開平9−23
5320号公報)や、ポリメタクリル酸エステルのエス
テル部分にモノエタノールアミンを反応させ、さらに脱
水環化させてオキサゾリン基を導入する方法(米国特許
第5705573号)等が挙げられる。
【0026】前記オキサゾリン基含有水溶性重合体
(B)は、前記オキサゾリン基含有重合体が水性媒体中
に溶解してなるものであるが、その際、オキサゾリン基
含有重合体を溶解する水性媒体としては、例えば、水;
水と均一に混合する溶剤と、水との混合溶剤;が挙げら
れ、特に水が好ましい。前記水と均一に混合する溶剤と
しては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のグリコ
ール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;等が
挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種
類以上を併用してもよい。なお、水性媒体の使用量は特
に限定されない。また、前記単量体成分(b)を溶液重
合する際の水性媒体としても、上記と同様の水性媒体を
用いればよい。
【0027】前記重合体(B)中の樹脂固形分(不揮発
分)の割合は、好ましくは1〜70重量%の範囲内であ
り、より好ましくは10〜50重量%の範囲内である。
前記オキサゾリン基含有水溶性重合体(B)の数平均分
子量は、硬化性、耐久性、耐水性を得るため、1000
以上であることが好ましい。本発明の樹脂組成物におけ
る前記カルボキシル基含有水溶性重合体(A)の割合
は、特に限定されるものではないが、重量比で、全樹脂
組成物に対して重合体(A)が10〜99.9重量%の
範囲にあることが好ましく、20〜99.5重量%の範
囲にあることがより好ましく、50〜98重量%の範囲
にあることが特に好ましい。
【0028】本発明の樹脂組成物における前記オキサゾ
リン基含有水溶性重合体(B)の割合は、特に限定され
るものではないが、重量比で、全樹脂組成物に対して化
合物(B)が0.1〜90重量%の範囲にあることが好
ましく、0.5〜80重量%の範囲にあることがより好
ましく、2〜50重量%の範囲にあることが特に好まし
い。重合体(A)と重合体(B)の割合が上記の範囲外
の場合は、カルボキシル基およびオキサゾリン基のいず
れか一方の官能基が極端に不足し、架橋反応が十分に進
行しなくなり、充分な可塑剤移行防止能が得られないお
それがあるので好ましくない。
【0029】さらに、本発明の樹脂組成物においては、
前記カルボキシル基含有水溶性重合体(A)と前記オキ
サゾリン基含有水溶性重合体(B)との割合が、重量比
で、重合体(A)に対して化合物(B)が0.1〜10
0重量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜50重
量%の範囲にあることがより好ましく、2〜20重量%
の範囲にあることが最も好ましい。重合体(A)に対し
て化合物(B)が0.1重量%未満であると、可塑剤移
行防止性効果が低下する傾向があり、一方、100重量
%を超えると、形成される塗膜の耐水性等の物性に悪影
響を及ぼすおそれがある。
【0030】本発明の樹脂組成物は、貯蔵安定性を確保
するために、反応抑制剤としてアンモニアおよび/また
はアミン類を含有することもできる。硬化速度をより速
くするという点からは、アンモニアが好ましい。アミン
類としては、メチルアミン等の一級アミン;ジメチルア
ミン等の二級アミン;トリエチルアミン、ジメチルアミ
ノエタノール、ジエチルヒドロキシアミン等の三級アミ
ン;n−ブチルアミン、ジエチルアミン等の脂肪族アミ
ン;シクロヘキシルアミン等の環状脂肪族アミン;ピペ
リジン、モルホリン、N−エチルピペリジン、N−エチ
ルモルホリン、ピリジン等のヘテロ環状アミン;ベンジ
ルアミン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニ
リン等の芳香族アミン;等のアミン化合物を挙げること
ができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用で
きる。これらの反応抑制剤を含有させることにより、例
えば、20〜40℃で10〜60日程度、安定に保存す
ることができる。
【0031】反応抑制剤を含有する場合、その配合量
は、カルボキシル基含有水溶性重合体(A)のカルボキ
シル基1当量に対し、0.3〜3.0当量の範囲とする
のが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5当量であ
る。反応抑制剤が0.3当量未満であると、充分な貯蔵
安定性が得られにくくなり、一方、3.0当量を超える
と、架橋硬化性や硬化物の耐侯性に悪影響を及ぼす恐れ
があるため、好ましくない。本発明の樹脂組成物は、必
要に応じて、さらに、水;メチルアルコール、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール
等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジエチレングリコール等のグリコー
ル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;等の水
性溶剤を含有していてもよい。これらは1種のみを用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。これら溶剤を含
有させる場合、その配合量は、本発明の効果を阻害しな
い範囲で適宜設定すればよく、特に制限されない。
【0032】本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、さ
らに、チタン白、ベンガラ、カーボンブラック、フタロ
シアニンブルー、アゾ系レッド等の着色顔料;炭酸カル
シウム、タルク、クレー等の通常、塗料分野で使用され
ている体質顔料;溶剤;分散剤;増粘剤;消泡剤;造膜
助剤;防腐剤;防かび剤;凍結防止剤;等の塗料用添加
剤を含有していてもよい。本発明の樹脂組成物は、前記
カルボキシル基含有水溶性重合体(A)、前記オキサゾ
リン基含有水溶性重合体(B)、および必要に応じて、
反応抑制剤、溶剤、塗料用添加物などを混合することに
より得られるのであるが、その際の混合方法、混合順序
等については、特に制限はない。
【0033】本発明の樹脂組成物により移行防止可能な
可塑剤としては、特に制限されるものではないが、例え
ば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)等のフタル酸エステル類およびその変性
物、リン酸トリブチル等のリン酸エステル類、オレイン
酸ブチル、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル等の脂
肪酸エステル類、ジエチレングリコールベンゾエート等
のアルコールエステル類、塩素化パラフィン類等が挙げ
られる。また、このような可塑剤を含む塩化ビニル基材
としては、例えば、塩化ビニルフィルム、塩化ビニル被
覆材、塩化ビニル壁装材、塩化ビニル床材、塩化ビニル
塗装材、シーリング材等が挙げられる。
【0034】本発明の樹脂組成物の使用に際しては、ロ
ールコーター、スプレー、浸漬、刷毛塗り等、公知の方
法で基材に直接塗布すればよい。そして、塗布後、例え
ば、室温で1〜14日程度、あるいは、加熱(80〜1
20℃)をして5〜60分間程度で架橋反応を行うこと
により、塗膜を形成することができる。また、本発明の
樹脂組成物を塗布した後、硬化前および/または硬化後
に、従来公知の仕上げ塗料などの別の塗料を塗布して全
体として2層以上の塗膜を形成してもよい。本発明の樹
脂組成物は、可塑剤を含む基材の表面に直接塗装して
も、可塑剤移行防止効果が発揮できるため、一般に使用
されるバリヤプライマーを使用することなく、本発明の
樹脂組成物のみの仕上げが可能である。また、本発明の
樹脂組成物を他の仕上げ塗りの下塗り(バリヤプライマ
ー)として用いることも可能である。
【0035】本発明の樹脂組成物は、例えば、塩化ビニ
ル製の、フィルム(壁紙等)、タイル、レザー、被覆コ
ーティング、プライマー、塗料等の用途において好適に
用いられる。
【0036】
〔カルボキシル基含有水溶性重合体(A)の調製〕
(製造例1)攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温
度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール28
9部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら70℃に
加熱した。そこへ、予め調製しておいた、メタクリル酸
メチル616部、アクリル酸84部からなる単量体混合
物、および、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニ
トリル)(日本ヒドラジン工業(株)製重合開始剤、商
品名「ABN−E」)21部、イソプロピルアルコール
21部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下ロートより
3時間かけて滴下した。滴下中は窒素ガスを流し続け、
フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後、
さらに5時間同温度に保った後、反応を完結させた。そ
の後、冷却し、イオン交換水1783部、28%アンモ
ニア水71部を投入して、不揮発分(固形分)25.1
%、pH9.2のカルボキシル基含有水溶性重合体(A
−1)を得た。
【0037】(製造例2)製造例1と同様のフラスコ
に、イソプロピルアルコール289部を仕込み、緩やか
に窒素ガスを流しながら70℃に加熱した。そこへ、予
め調製しておいた、メタクリル酸メチル343部、アク
リル酸ブチル287部、アクリル酸70部からなる単量
体混合物、および、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)(日本ヒドラジン工業(株)製重合開始
剤、商品名「ABN−E」)21部、イソプロピルアル
コール21部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下ロー
トより3時間かけて滴下した。滴下中は窒素ガスを流し
続け、フラスコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終
了後、さらに5時間同温度に保った後、反応を完結させ
た。その後、冷却し、イオン交換水1794部、28%
アンモニア水60部を投入して、不揮発分(固形分)2
5.3%、pH9.4のカルボキシル基含有水溶性重合
体(A−2)を得た。
【0038】(市販品)市販のカルボキシル基含有水溶
性重合体(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナー
ルLW−904」:不揮発分(固形分、アクリル主鎖)
28.1%、pH8.8)をイオン交換水で25%に希
釈したものをカルボキシル基含有水溶性重合体(A−
3)とした。以上のカルボキシル基含有水溶性重合体
(A−1)〜(A−3)のガラス転移点、酸価、水溶性
モノマー共重合量について表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】〔オキサゾリン基含有水溶性重合体(B)
の調製〕 (製造例3)攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温
度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール46
0.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80
℃に加熱した。そこへ、予め調製しておいた、メタクリ
ル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサ
ゾリン210部、メトキシポリエチレングリコールアク
リレート84部からなる単量体混合物、および、2,
2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒ
ドラジン工業(株)製重合開始剤、商品名「ABN−
E」)21部、イソプロピルアルコール189部からな
る開始剤溶液を、それぞれ滴下ロートより2時間かけて
滴下した。滴下中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の
温度を80±1℃に保った。滴下終了後、さらに5時間
同温度に保った後、反応を完結させた。その後、冷却し
て、不揮発分(固形分)40.4%、pH8.7、粘度
670センチポイズ、GPCにより測定された数平均分
子量が20000のオキサゾリン基含有水溶性重合体
(B−1)を得た。
【0041】(実施例1および2)カルボキシル基含有
水溶性重合体(A−1)または(A−3)、オキサゾリ
ン基含有水溶性重合体(B−1)、イオン交換水、イソ
プロピルアルコールを、表2に示す配合割合で混合、撹
拌して、水性樹脂組成物を製造した。得られた水性樹脂
組成物を、0.2mm厚の塩化ビニルシート(可塑剤4
0部含有)に、バーコーター6番で乾燥塗膜が約1μm
になるように塗布し、その後、熱風乾燥機にて120℃
で2分間熱処理した試験用塩化ビニルシートを用いて、
以下の性能試験を行った。結果を表2に示す。
【0042】(1)耐汚染性試験 試験用塩化ビニルシートと、黒色にコピーしたコピー紙
を、それぞれ直径10cmの円形に切り取り、試験用塩
化ビニルシートの樹脂組成物塗布面と黒色のコピー面と
を貼り合わせ、試験片とした。この試験片の上下をガラ
ス板で挟み、2kgのおもりをのせ、60℃の熱風乾燥
機中で24時間養生した。その後、放冷し、塩化ビニル
シートとコピー紙とを剥がし、塩化ビニルシートの樹脂
組成物塗布面のカーボンの汚染度合いを目視にて下記の
ように判定した。カーボンによる汚染が少ないほど可塑
剤移行防止能は良好であると言える。 〇:汚染なし、△:樹脂組成物塗布面の20〜60%が
汚染、×:全面汚染 (2)可塑剤移行量試験 試験用塩化ビニルシートを直径10cmの円形に切り取
った。次に、ポリエチレンシート(厚み50μm)を直
径10cmの円形に切り取った後、秤量した(Wa
(g)とする)。このポリエチレンシートと試験用塩化
ビニルシートの樹脂組成物塗布面とを貼り合わせ、試験
片とした。この試験片の上下をガラス板で挟み、5kg
のおもりをのせ、70℃の熱風乾燥機中で24時間養生
した。その後、放冷し、塩化ビニルシートとポリエチレ
ンシートとを剥がして再度ポリエチレンシートを秤量し
(Wb(g)とする)、以下の式により、ポリエチレン
シートの増量分から可塑剤移行量を算出した。移行量が
少ないほど可塑剤移行防止能は良好であると言える。 可塑剤移行量(mg/100cm2 )=〔Wb(g)−
Wa(g)〕×1.273×100 (3)密着性試験 試験用塩化ビニルシートの樹脂組成物塗布面のセロテー
プ(登録商標)剥離試験を行い、セロテープを剥離した
ときの基材(塩化ビニルシート)への塗膜の残り具合を
目視にて下記のように判定した(常態密着性)。また、
(2)の試験と同様の養生を施したセロテープ剥離試験
も行った(耐熱密着性)。 〇:剥離なし、△:塗膜の20〜60%が剥離、×:全
面剥離 (4)耐ブロッキング(べたつき)性試験 試験用塩化ビニルシートを3cm×7cmの大きさに切
り取り、同じ大きさに切り取った樹脂組成物を塗布して
いない塩化ビニルシートを、樹脂組成物塗布面と未処理
面とが合わさるように貼り合わせ、試験片とした。この
試験片の上下をガラス板で挟み、1kgのおもりをの
せ、70℃の熱風乾燥機中で2時間養生した。その後、
放冷し、インストロン万能試験機でT字剥離(引き剥が
し)試験を行い、引き剥がしに要する力を測定した。引
き剥がし速度は10cm/分とした。引き剥がしに要す
る力が少ないほど耐ブロッキング性は良好であると言え
る。
【0043】(比較例1〜3)カルボキシル基含有水溶
性重合体(A−1)〜(A−3)、オキサゾリン基含有
水溶性重合体(B−1)、イオン交換水、イソプロピル
アルコールを、表2に示す配合割合で混合、撹拌して、
比較水性樹脂組成物を製造した。得られた比較水性樹脂
組成物に実施例1と同様の処理を施した試験用塩化ビニ
ルシートを用いて性能試験を行った。結果を表2に示
す。 (比較例4)水性樹脂組成物を塗布しないこと以外は、
実施例1と同様の処理を施した試験用塩化ビニルシート
を用いて性能試験を行った。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の可塑剤移行防止用水性樹脂組成
物は、塩化ビニルフィルム、塩化ビニル被覆材、塩化ビ
ニル壁装材、塩化ビニル床材等の塩化ビニル基材中に含
まれる可塑剤の移行防止能に優れ、かつ、前記塩化ビニ
ル基材に対して良好な密着性を有することにより、可塑
剤移行によるべたつきや汚染を防ぐことができる。しか
も、本発明の可塑剤移行防止用水性樹脂組成物は、作業
環境の確保など安全性の点においても優れるものであ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移点(Tg)が20℃以上である
    カルボキシル基含有水溶性重合体(A)に、少なくとも
    オキサゾリン基含有水溶性重合体(B)が配合されてな
    る、可塑剤移行防止用水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記カルボキシル基含有水溶性重合体
    (A)の酸価が40mgKOH/g以上である、請求項
    1に記載の可塑剤移行防止用水性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記カルボキシル基含有水溶性重合体
    (A)の構成単位となる全重合性モノマーのうち、1重
    量%以上が水溶性モノマーである、請求項1または2に
    記載の可塑剤移行防止用水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記オキサゾリン基含有水溶性重合体
    (B)の数平均分子量が1000以上である、請求項1
    から3までのいずれかに記載の可塑剤移行防止用水性樹
    脂組成物。
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