JP3990126B2 - 顕微鏡ズーム対物レンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顕微鏡ズーム対物レンズに関し、特に、3倍以上の変倍比を持つ顕微鏡ズーム対物レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
顕微鏡用の対物レンズは、主に1倍付近から100倍前後の倍率範囲で、作動距離や開口数(NA)等が設定されている。そして、観察方法に応じて位相差や蛍光観察に能力を発揮するもの等、様々な種類の対物レンズが用意されている。また、例えば、高い開口数を持つ100倍前後の対物レンズには、油浸対物レンズや補正環付き対物レンズ等がある。この中、補正環付き対物レンズは、カバーグラスの厚みに対応して対物レンズ内のレンズ(あるいはレンズ群)を移動することによって、収差を補正する対物レンズである。
【0003】
補正環付き対物レンズの一例として、特開平1−307717号公報に開示された構成がある。補正環付き対物レンズは、高倍、高開口数の対物レンズに多くみられる。このような高倍、高開口数の対物レンズでは、カバーグラスの厚さのばらつきによって収差が悪化する。そこで、対物レンズ内の所定のレンズ群を光軸に沿って移動させることで、主に球面収差の補正が行えるようにしている。
【0004】
ところで、顕微鏡の観察倍率を変化させる方法としては、対物レンズの後方に中間変倍光学系を配置して、観察光軸に対して中間変倍光学系を挿脱する方法がある。この方法では、2つの異なる観察倍率を得ることができる。また、別の方法としては、結像レンズとズームレンズを組み合わせた方法があり、例えば特開平6−18784号公報に開示されている。この公報には、対物レンズの後方にズーム式の結像レンズを配置した構成が開示されている。
【0005】
また、USP3,671,099やUSP3,456,998やUSP3,421,807では、対物レンズの後方にズームレンズを組み合わせたものが提案されている。
【0006】
また、実体顕微鏡では、顕微鏡に比べて倍率は低く開口数は劣るが、作動距離の長い対物レンズとズーム変倍を組み合わせることで操作性や立体感に優れたものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
顕微鏡の対物レンズは、複数の対物レンズを倍率に応じて適宜切り換えて観察を行っている。それぞれの対物レンズで光軸のずれがある場合には、低倍率の観察から高倍率の切り換えに伴い、観察中心のずれを調整するためにステージを操作しなければならない。また、それぞれの対物レンズで同焦距離に違いがあると、作動距離を調整するために準焦ハンドルを操作する必要がある。また、それぞれの倍率に応じて対物レンズを揃える必要があり、コスト的にも高くなってしまう。
【0008】
また、補正環付き対物レンズにおけるレンズ群の移動は、主に球面収差の補正を行うためのものである。したがって、レンズ群の移動量もわずかであるので、観察倍率はほとんど変化しない。
【0009】
また、対物レンズの後方に中間変倍ユニットを配置した場合には、変倍によって観察倍率が高くなったとしても、開口数が変わらないために、解像力が向上しない問題点がある。また、対物レンズと結像レンズ間に変倍部を設けるために、光学系の全長が長くなるという問題がある。そのため、顕微鏡システムをコンパクトに構成することができない。また、射出瞳の位置が、変倍に伴って大きく変化するという問題がある。
【0010】
また、特開平6−18784号公報に提案の対物レンズのように、対物レンズの後方にズーム式の結像レンズを配置する場合には、視野数が小さく通常の対物レンズに比べて収差性能で劣る。また、ズームレンズ部の全長が長く、コンパクトさやシステム性に欠ける面がある。
【0011】
また、USP3,671,099やUSP3,456,998やUSP3,421,807では、対物レンズの後方にズームレンズを組み合わせたものが提案されている。しかしながら、現在の対物レンズと光学性能を比較すると、色収差性能や球面収差や像面平坦性等の収差性能、及び、開口数や視野数といった仕様の点で劣っている。このため、現在の市場のニーズを満足するような光学性能とは言えない。
【0012】
一方、実体顕微鏡は、顕微鏡に比べて倍率が低く、さらに、開口数がかなり小さい。例えば倍率が10倍では、顕微鏡では開口数が0.25から0.4と高いのに対して、実体顕微鏡では約0.1と低い。したがって、細胞等の観察では見えの差は明らかである。つまり、実体顕微鏡は、見えの点において顕微鏡の対物レンズにはかなわない。しかも、実体顕微鏡等のアフォーカルズームは、射出瞳位置の変動が大きく、照明光学系ユニットや撮影光学系ユニットを組み込む場合には、システム上の制限事項がある。
【0013】
さらに、従来の方法による倍率の変倍では、射出瞳位置の変動が大きいので、ケラレや周辺減光等の性能の劣化や、同軸落射照明光学系等のケラレ、あるいは、撮影光学系側のシステム上の制限事項があった。
【0014】
このように、これまで提案された光学系は、顕微鏡の対物レンズと同等の開口数と光学性能を備え、対物レンズを切り換えることなく倍率変換に応じて開口数が大きくなる光学系で、かつ、コンパクトな構成であるとは言えなかった。
【0015】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学性能が良好で光学系がコンパクトに構成され、ズーム変倍比が3倍以上の顕微鏡ズーム対物レンズを提供することである。また、倍率の変化に応じて開口数が変化する顕微鏡ズーム対物レンズを提供することである。また、射出瞳位置が略一定に保たれた(射出瞳位置の変動が抑えられた)顕微鏡ズーム対物レンズを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
一般的に、顕微鏡の対物レンズは細かい構造を観察することを目的とする。そのため、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおいても、高倍側での光学性能を良好に補正する必要がある。特に、高倍側での球面収差と色収差を良好に補正することが必須である。また、ズーム変倍時の射出瞳位置の変動を抑える必要がある。
【0017】
そこで、第1の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、第1レンズ群中に正レンズと負レンズで構成された正のパワーを持つ接合レンズを少なくとも1つ備え、前記正レンズのアッベ数をνとしたとき、前記正レンズが以下の条件(1)を満足することを特徴とする。
【0018】
ν>80 ・・・(1)
第1の発明の構成における各レンズ群の作用を説明する。なお、ここでの各レンズ群についての説明は、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおけるレンズ系の基本構成に関わる説明である。したがって、各レンズ群の作用については、後述の第2乃至第5の発明、及び第23の発明においても同様である。また、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおけるレンズ系は、少なくとも3つのレンズ群で構成されるものであるが、3つのレンズ群、あるいは4つのレンズ群で構成するのが好ましい。
【0019】
第1の発明の構成において、正のパワーを持つ第1レンズ群は、物体からの光束を集光する。負のパワーを持つ第2レンズ群は、光軸上を移動することによって主に変倍を行う。レンズ系が3つのレンズ群で構成される場合(以下、3群構成とする。)、第3レンズ群は最終レンズ群になる。この第3レンズ群は正のパワーを持ち、光軸上を移動して各ズーム状態の像面の位置を所定の位置に一致させる作用をする。
【0020】
なお、レンズ系が4つのレンズ群で構成される場合(以下、4群構成とする。)は、第4レンズ群が最終レンズ群になる。この第4レンズ群は負のパワーとするのがよい。そして、この第4レンズ群も光軸に沿って移動させれば、各ズーム状態における像面位置を所定の位置に一致させることができる。また、射出瞳位置についても、所定の位置に略一致させることができる。
【0021】
最終レンズ群から射出された光束は、どのズーム状態においても無限遠光束となる。そして、最終レンズ群の後方に配置された結像レンズによって標本の像が形成され、接眼レンズによって像の観察が行われる。
【0022】
次に、各レンズ群の動きと光線の様子について、高倍側と低倍側で説明する。
【0023】
高倍側では、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が小さくなるように、第2レンズ群と第3レンズ群が光軸に沿って移動する。そのため、軸上光線の光線高は、第1レンズ群中で最も高くなり、第1レンズ群の収斂作用によって第2レンズ群中で低くなる。そして、第2レンズ群の発散作用によって、軸上光線は光線高が上がって第3レンズ群に入射する。ここで、レンズ系が3群構成の場合は、この第3レンズ群の収斂作用によって無限遠光束に変換される。一方、レンズ系が4群構成の場合は、3群構成の第3レンズ群に比べて4群構成の第3レンズ群により強いパワーが与えられる。よって、その収斂作用によって軸上光線高が下げられて第4レンズ群に入射し、第4レンズ群の発散作用によって無限遠光束に変換される。
【0024】
軸外主光線は、第1レンズ群の後側焦点位置で光軸と交わり、第2レンズ群に入射する。そして、軸外主光線は、第2レンズ群で発散され、第3レンズ群で収斂作用を受けて射出する。レンズ系が3群構成の場合、軸外主光線の光線高は第3レンズ群で高くなる。なお、3つのレンズ群が全て球面レンズのみで構成される場合は、軸外主光線は第2、第3レンズ群で高く、第1レンズ群で低い。一方、非球面レンズを有する構成では、軸外主光線は第3レンズ群で高い。また、第3レンズ群を射出した軸外主光線を延長したときに、その延長した線が光軸と交わる位置に射出瞳が形成される。
【0025】
一方、レンズ系が4群構成の場合、第3レンズ群で収斂作用を受けて射出した軸外主光線は第4レンズ群に入射する。よって、軸外主光線の光線高は第4レンズ群で最も高くなる。また、第4レンズ群を射出した軸外主光線を延長したときに、その延長した線が光軸と交わる位置に射出瞳が形成される。
【0026】
高倍側では、3群構成の場合も4群構成の場合も、第1レンズ群の後側焦点位置で軸外主光線が光軸を横切る。そのため、3群構成の場合、軸外主光線の光線高の符号は、第1レンズ群と第2、第3レンズ群とで異なる。また、4群構成の場合、軸外主光線の光線高の符号は、第1レンズ群と第2レンズ群乃至第4レンズ群とで異なる。
【0027】
一方、低倍側では、第2レンズ群と第1レンズ群の間隔が小さくなり、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が大きくなるように、第2レンズ群と第3レンズ群が光軸に沿って移動する。そのため、軸上光線の光線高は、第2レンズ群の発散作用によって第3レンズ群中で最も高くなる。ここで、レンズ系が3群構成の場合は、第3レンズ群の収斂作用によって無限遠光束に変換される。一方、レンズ系が4群構成の場合は、3群構成の第3レンズ群に比べて、4群構成の第3レンズ群により強いパワーが与えられる。よって、その収斂作用によって軸上光線高が下げられて第4レンズ群に入射し、第4レンズ群の発散作用によって無限遠光束に変換される。
【0028】
軸外主光線は、レンズ系が3群構成の場合では、次のようになる。3つのレンズ群が全て球面レンズのみで構成される場合は、軸外主光線は第3レンズ群中で最も高くなり、第2レンズ群中で最も低くなる。一方、非球面レンズを有する構成では、軸外主光線は第1、第3レンズ群で高く、第2レンズ群で低い。また、高倍側と同じように、軸外主光線は第1レンズ群の後側焦点位置で光軸と交わる。そのため、軸外主光線の光線高の符号は、第1レンズ群と第2、第3レンズ群とで異なる。
【0029】
また、レンズ系が4群構成の場合、軸外主光線は、正のパワーの第1レンズ群と負のパワーの第2レンズ群により、第1レンズ群の後側焦点位置よりも第3レンズ群側で光軸を横切り、第3レンズ群に入射する。第3レンズ群に入射した軸外主光線は、収斂作用を受けて第4レンズ群へ入射する。このとき、軸外主光線の光線高が最も高いのは、第1レンズ群である。
【0030】
このように、レンズ系が4群構成の場合、第1レンズ群の後側焦点位置よりも第3レンズ群側で軸外主光線が光軸を横切る。そのため、軸外主光線の光線高の符号は、第1、第2レンズ群と第3、第4レンズ群とで異なる。
【0031】
上記の構成において、条件式(1)を満足する場合には、高倍側での軸上色収差を良好に補正することが可能となる。本発明の顕微鏡ズーム対物レンズでは、倍率が高くなる程開口数が大きくなる。これは、高倍率になる程第1レンズ群を通過する軸上光線の光線高が高くなることを意味する。軸上光線の光線高が高いところでは、色収差が発生しやすい。そこで、第1のズーム対物レンズでは、高倍側で軸上光線高が最も高くなるレンズ群に、正パワーを持つ接合レンズを少なくとも1つ配置すると共に、条件式(1)を満足する正レンズを用いることにより、第1レンズ群で色の分散が大きく発生するのを防いでいる。このような構成により、後続する第2レンズや第3レンズ群に、色収差以外の収差を主に補正する役割を持たせることができる。
【0032】
また、接合レンズの負レンズに異常分散性の硝材を用いることで、さらに色収差補正が良好となる。
【0033】
条件(1)を満足しない場合には、高倍側の軸上色収差を良好に補正できないか、高倍側での開口数を高くできなくなる。そのため、実用性の高い顕微鏡ズーム対物レンズを実現することが困難になる。
【0034】
第2の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第2レンズ群は2つのレンズ群を少なくとも有し、該2つのレンズ群は互いに凹面を向けて構成されたことを特徴とする。
【0035】
この第2の発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおいては、第2レンズ群が2つのレンズ群を少なくとも有している。そして、その2つのレンズ群を互いに凹面を向けて配置することにより、ここで強い負のパワーが得られるようにしている。その結果、ペッツバール和を小さくすることができるが、特に、高倍側における像面の平坦性を良好にすることができる。
【0036】
なお、この2つのレンズ群が互いに凹面を向け合った構成になっていない揚合、一方のレンズ群が正のパワーを持つレンズを含むか、負のパワーのメニスカスレンズになる。正のパワーのレンズを含む場合、第2レンズ群全体の負のパワーが弱くなり、ペッツバール和を小さくすることが困難になる。また、負のパワーのメニスカスレンズの場合、互いに向き合った面の反対側の面の曲率半径が小さくなって、第2レンズ群での軸外収差が悪化してしまう。
【0037】
第3の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第3レンズ群は2つの以上のレンズ群で構成され、正レンズと負レンズで構成された少なくとも1つの接合レンズを備えたことを特徴とする。
【0038】
第3の発明の顕微鏡ズーム対物レンズでは、低倍側において、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が大きくなり、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が小さくなる。そのため、第2レンズ群と比べると、第3レンズ群で軸上光線高と軸外主光線高が高くなる。そこで、第3レンズ群を2つ以上のレンズ群で構成し、この中の1つのレンズ群に配置した接合レンズで第1レンズ群と第2レンズ群によって発生した球面収差と色収差を主に補正している。そして、残りのレンズ群でコマ収差、非点収差、歪曲収差を良好に補正している。第3レンズ群の構成が、1つのレンズ群で構成された場合には、低倍側の球面収差、コマ収差、非点収差を良好に補正することが困難となってしまう。
【0039】
第4の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ群が物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズであって、前記接合レンズは、物体側から凹レンズ、凸レンズで構成されたことを特徴とする。
【0040】
第1レンズ群の最も物体側に配置された接合メニスカスレンズは、物体側から凹レンズ、凸レンズで構成されている。ここで、この接合メニスカスレンズの接合面が負の屈折力を持つため、この接合面で軸上光線の光線高を上げる作用が生じる。そして、光束を後続のレンズ群によって収斂光束へ変換して、第2レンズ群に入射させる。つまり、第1レンズ群内にペッツバール和を抑える効果を持たせて像面平坦性を良好に補正することができる。また、その接合メニスカスレンズは物体側に凹面を向けているので、コマ収差や非点収差等の軸外収差の発生を抑えることができる。そのため、接合メニスカスレンズは、高倍側と低倍側での収差補正に効果的である。
【0041】
本発明の第5の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、前記第1レンズ群は複数のレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、以下の条件(2)、(3)を満足することを特徴とする。
【0042】
0.25≦D1/D0≦0.7 ・・・(2)
0.05≦D2/D0≦0.5 ・・・(3)
ただし、D1は、前記第1レンズ群の全長、
D2は、前記第2レンズ群の低倍側から高倍側への移動量、
D0は、高倍側の顕微鏡ズーム対物レンズの全長、
である。
【0043】
ここで、レンズ系が4群構成の場合は、第1レンズ群は接合レンズを含み、低倍側から高倍側へ変倍する際に第4レンズ群も光軸に沿って移動する。そして、条件(2)、(3)の代わりに、次の条件(2’),(3’)を満足する。
【0044】
0.25≦D1/D0≦0.5 ・・・(2’)
0.15≦D2/D0≦0.3 ・・・(3’)
上記の構成において、条件(2’)を満足すると、特に高倍側の光学性能を良好に補正するためのレンズ群を配置するスペースを設けることが可能となる。
【0045】
また、条件(3’)を満足することで、変倍作用を持つ第2レンズ群が光軸上を移動するスペースを十分に設け、3倍以上の高い変倍比を得ることができる。
【0046】
条件(2’)の上限の0.5を上回ると、高倍側の収差補正は容易になるが、変倍に伴う第2レンズ群の移動量が少なくなって高い変倍比を得ることができない。条件(2’)の下限の0.25を下回ると、第1レンズ群の全長が短くなって高倍側の球面収差や軸上色収差を十分に補正することができなくなる。
【0047】
また、条件(3’)の下限の0.15を下回ると、第2レンズ群の変倍時の移動量が少なくなる。したがって、高い変倍比を得られない。あるいは、第2レンズ群の負のパワーが強くなって高倍側及び低倍側の収差性能が悪化してしまう。条件(3’)の上限の0.3を上回ると、第2レンズ群の変倍時の移動量が大きくなる。したがって、変倍に伴う像面を補正するための第3レンズ群と第4レンズ群の移動量が極端に少なくなるために、高い変倍比が得られない。
【0048】
また、第1レンズ群に少なくとも1つの非球面を設ける場合は、凸面を非球面にして、上記条件(2)、(3)の代わりに、次の条件(2),(3”)を満足することが望ましい。
【0049】
0.25≦D1/D0≦0.7 ・・・(2)
0.05≦D2/D0≦0.35 ・・・(3”)
第1レンズ群内の少なくとも1つの凸面を非球面にすることで、高倍側の球面収差を良好に補正することが可能となる。これは、高倍側では開口数の大きな光線を短い距離で収斂させるため、球面収差は第1レンズ群で最も大きく発生することによる。よって、第1レンズ群に非球面を設けることは、球面収差の補正に最も効果的である。これにより、顕微鏡ズーム対物レンズにおいて、高開口数化や長作動距離化を実現することができる。
【0050】
上記の構成に加えて条件(2)を満足すると、特に高倍側の光学性能を良好に補正するためのレンズ群を配置するためのスペースを確保することが可能となる。また、条件(3”)を満足することで、変倍作用を持つ第2レンズ群が光軸上を移動するためのスペースを十分確保できる。この結果、4倍以上の高い変倍比を得ることができる。
【0051】
なお、第1レンズ群に非球面がない場合、すなわち全て球面レンズで構成した場合は、球面収差の補正が難しくなる。そのため、同じレンズ枚数で高倍化、高開口数化あるいは長作動距離化を実現することは難しい。球面レンズだけで高倍側の球面収差を良好に補正しようとすると、非球面を含む場合に比べて第1レンズ群のレンズ枚数が多くなり、顕微鏡ズーム対物レンズの全長が長なる。また、レンズ枚数も増えてコストアップになるので好ましくない。
【0052】
条件(2)の上限0.7を上回ると、高倍側の収差補正は容易になるが、変倍に伴う前記第2レンズ群の移動量が少なくなって高い変倍比を得ることができない。また、条件(2)の下限0.25を下回ると、第1レンズ群の全長が短くなって高倍側の球面収差や軸上色収差を十分に補正することができなくなる。
【0053】
一方、条件(3”)の上限0.35を上回ると、第2レンズ群の変倍時の移動量が大きくなる。したがって、変倍に伴う像面を補正するための第3レンズ群の移動量が極端に少なくなるために、高い変倍比が得られない。また、条件(3”)の下限0.05を下回ると、第2レンズ群の変倍時の移動量が少なくなる。したがって、高い変倍比を得られない。あるいは、第2レンズ群の負のパワーが強くなって、高倍側及び低倍側の収差性能が悪化する。
【0054】
また、第1レンズ群内の非球面だけでなく、第2、第3レンズ群内に非球面を設けることで、低倍から高倍全域での収差補正を向上させることが可能となる。第3レンズ群では、ズーム全域で比較的光線高が高いので、第3レンズ群内に非球面を備えることは、レンズ枚数の低減や収差補正の点で効果的である。
【0055】
第6の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第4の発明に加えて、前記第1レンズ群の物体側に凹面を向けた前記接合メニスカスレンズの最も物体側の曲率半径をRG1、前記接合メニスカスレンズの最も第2レンズ群側の曲率半径をRG2、凹レンズの屈折率をGn1、凸レンズの屈折率をGn2としたとき、以下の条件(4)、(5)を満足することを特徴とする。
【0056】
Gn1−Gn2≧0.15 ・・・(4)
0.3≦RG2/RG1≦2. 0 ・・・(5)
条件(4)、条件(5)の何れかを満足した場合、その接合メニスカスレンズによって、ペッツバール和を小さくしながら、かつ、高倍側で球面収差とコマ収差を良好に補正することが可能となる。
【0057】
条件(4)の下限の0.15を下回ると、その接合メニスカスレンズの負屈折力が弱くなって、ペッツバール和が大きくなるので、像面の平坦性が悪化するので好ましくない。
【0058】
また条件(5)の上限の2.0を上回ると、その接合メニスカスレンズの負屈折力が強くなってペッツバール和は小さくなるが、高倍側での軸上光線高が高くなりすぎて球面収差、コマ収差が悪化して好ましくない。
【0059】
条件(5)の下限の0.3下回ると、そのメニスカスレンズの接合面の負屈折力が弱くなって、ペッツバール和が大きくなる。
【0060】
条件(4)、(5)を共に満足する場合には、より一層の収差補正が可能となる。
【0061】
第7の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜4の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズは3群構成であって、前記第1レンズ群の物体から軸上光線高が最も高くなるレンズ群までを前側第1レンズ群、軸上光線高が最も高いレンズ群から最も第2レンズ群側までのレンズ群を後側第1レンズ群とし、前側第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズ、正のパワーを持つ単レンズ、凹レンズと凸レンズで構成された接合レンズ、正のパワーを持つ凸レンズの少なくとも4つのレンズ群で構成され、後側第1レンズ群中に、物体側から凹レンズと凸レンズで接合された正のパワーの接合レンズと、第2レンズ群側に凹面を向けたメニスカスレンズとを少なくとも1つ備えたことを特徴とする。
【0062】
この構成によるレンズ群の作用について説明する。物体からの光束は、前側第1レンズ群では、接合メニスカスレンズの接合面による負の屈折力によって光線高が上げられた(発散する方向に屈折された)後、正のパワーを持つ単レンズによって収束する方向に(発散の度合いが小さくなるように)に屈折される。そして、凹レンズと凸レンズで構成された接合レンズと正のパワーを持つ凸レンズよって収斂光束に変換される。なお、軸上光線高は正のパワーを持つ凸レンズの位置で最も高くなる。
【0063】
次に、後側第1レンズ群では、光線高が下がりながらレンズ群に光線が入射してくる。凹レンズ、凸レンズの順に接合された接合レンズに入射した光線は、接合レンズの接合面の負のパワーで屈折作用を受けた後、第2レンズ群側に凹面を向けたメニスカスレンズを通過して第2レンズ群へ入射する。
【0064】
さて、高倍から低倍までの収差を良好に補正するためには、第1レンズ群から第3レンズ群の各群単独で収差の発生を少なくしておくことが必要である。そして、各群で補正しきれなかった収差を、第1レンズ群から第3レンズ群全体によって、最終的に補正することが好ましい。
【0065】
そこで、第1レンズ群での収差、特に球面収差を抑えるために、第7の発明では、接合レンズの接合を利用している。すなわち、前側第1レンズ群の接合メニスカスレンズと接合レンズの接合面に負のパワーを持たせて正の球面収差を発生させ、前側第1レンズ群中の残りのレンズ群で発生する負の球面収差を略キャンセルしている。さらに、後側第1レンズ群の接合レンズにおける接合面の負のパワーでも正の球面収差を発生させて、前側第1レンズ群で補正しきれなかった球面収差を補正して、第1レンズ群全体で発生する球面収差の量を小さく抑えるようにしている。
【0066】
また、前側第1レンズ群で発生するコマ収差を、後側第1レンズ群のメニスカスレンズによって補正することができる。したがって、第1レンズ群内の前側第1レンズ群と後側第1レンズ群で、逆方向の収差を与えることで、高倍側での球面収差とコマ収差を良好に補正することが可能となる。しかも、第1レンズ群中に3つの接合レンズを備えることにより、高倍側の軸上色収差についても良好に補正することが可能となった。
【0067】
さらに、上記負のパワーを持つ面はペッツバール和を小さくする働きも併せて有するので、像面の平坦性を良好にすることができる。
【0068】
さらに、第8の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜4の発明において、前記第1レンズ群の焦点距離をF1、前記第2レンズ群の焦点距離をF2としたとき、以下の条件(6)を満足することを特徴とする。
【0069】
−2.5≦F1/F2≦―0.2 ・・・(6)
条件(6)は、ズーム対物レンズをコンパクトかつ低倍側から高倍側までの収差性能を良好に保つための条件である。この条件は、第1レンズ群と第2レンズ群の焦点距離の比率を表しており、そして、この条件を満足することで、高い変倍比を持ち、全長を55mmから110mm前後と、従来の対物レンズに比べてやや長い程度の長さでズーム対物レンズを構成することが可能になる。また、低倍側から高倍側までの範囲の収差性能を、良好に維持することが可能となる。
【0070】
条件(6)の下限の−2.5を下回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが強くなって、高倍側の軸上性能と低倍側の軸外性能が悪化する。これは、第2レンズ群の負のパワーが強いと、第2レンズ群で光線が強く曲げられるために低倍側のコマ収差や高倍側の球面収差が発生し、この結果、高倍側と低倍側の性能を良好に維持することができなくなってしまうことによる。この状態で収差性能を改善しようとすると、レンズ枚数が増えてしまい、ズーム対物レンズの全長が長くなる。また、高倍側の収差性能が犠牲になって低倍側と高倍側両方の収差性能の良好にすることができない。しかも、レンズ枚数が増えてコスト高にもなる。逆に、第2レンズ群のレンズ枚数の増加を抑えようとすると、第3レンズ群の枚数が増えてしまう。このため、第2レンズ群の光軸上を移動する空間が少なくなってしまい、ズーム変倍比を高くとることができない。
【0071】
条件(6)の上限の−0.2を上回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが弱くなって、大きな変倍比をとることができなくなる。また、無理に変倍比を大きくしようとするとズーム対物レンズの全長が長くなる問題がある。また、第2レンズ群の負のパワーが小さくなるために、高倍側の像面湾曲を補正不足となって像面の平坦性が悪化するので好ましくない。
【0072】
第9の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第8の発明において、前記第2レンズ群の焦点距離をF2、前記第3レンズ群の焦点距離をF3としたとき、以下の条件(7)を満足することを特徴とする。
【0073】
−7.5≦F3/F2≦−1.5 ・・・(7)
この条件は、第2レンズ群と第3レンズ群の焦点距離の比を表しており、高いズーム変倍比を保ちながらズーム対物レンズの全長を55mmから110mm前後とコンパクトにする条件である。この条件(7)を満足すると、低倍側から高倍側にわたっての収差を良好に補正して、ズーム変倍比を高くすることができる。
【0074】
条件(7)の下限の−7.5を下回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが強くなる。そのため、条件(6)のときと同様に、高倍側の軸上性能と低倍側の軸外性能が悪化する。これは、第2レンズ群で光線が強く曲げられるために、低倍側のコマ収差や高倍側の球面収差が発生して高倍側と低倍側の性能を良好に維持することができなくなってしまうことによる。また、第3レンズ群での低倍側での光線高が高くなり、レンズ外径が大きくなるので好ましくない。
【0075】
条件(7)の上限の−1.5を上回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが弱くなる。そのため、条件(6)のときと同様に、大きな変倍比をとることができなくなる。また、変倍比を大きくしようとすると、ズーム対物レンズの全長が長くなる問題がある。また、第2レンズ群の負のパワーが小さくなるために、高倍側の像面湾曲を補正不足となって像面の平坦性が悪化するので好ましくない。
【0076】
なお、レンズ系が3群構成の場合は、条件(7)の代わりに、以下の条件(7’)を満足することがより好ましい。
【0077】
−6.5≦F3/F2≦−2.0 ・・・(7’)
また、条件(6)と条件(7)、あるいは、条件(6)と条件(7’)を同時に満足すれば、ズーム比を高くしながら、全長をコンパクトに構成したズーム対物レンズを実現できる。しかも、低倍側から高倍側にわたって収差を良好に補正することができるので、より好ましい。
【0078】
第10の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜4の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズは3群構成であって、低倍から高倍へと変倍する際に、作動距離が短くなるように、前記第1レンズ群は前記第2レンズ群とは反対方向へ光軸に沿って移動することを特徴とする。
【0079】
高倍側へ変倍の際に作動距離が短くなることで、第1レンズ群内を通過する軸上光線高を抑える作用が生じる。そのため、特に球面収差と軸上色収差を良好に補正することが可能である。この構成においても、第2レンズ群が主に変倍を行ない、第3レンズ群が変倍に伴う像面位置の変化を一定にし、低倍側から高倍側での収差補正の作用は、前述したズーム対物レンズの場合と同様である。
【0080】
第11の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第5の発明において、以下の条件(8)を満足することを特徴とする。
【0081】
0<FB1 /D1 ≦0.4 ・・・(8)
ただし、FB1 は、前記第1レンズ群の前記第2レンズ群側に最も近いレンズ面から、前記第1レンズ群の後側焦点位置までの距離である。
【0082】
条件式(8)を満足することで、ズーム対物レンズの射出瞳位置を、低倍側で第1レンズ群側に近く位置することなく、高倍側に近づけることが可能となる。つまり、低倍側では、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が小さくなるので、第1レンズ群の後側焦点位置よりも物体側に第2レンズ群が移動する。そのため、第1レンズ群と第2レンズ群による2つのレンズ群の後側焦点位置は、第1レンズ群の後側焦点位置よりも第3レンズ群側へ移動する。第2レンズ群は負のパワーを持つので、第2レンズ群に入射した主光線の射出角度が緩くなる。その主光線は、第3レンズ群(構成によっては、第3レンズ群に続くレンズ群)を経て像側へ射出するために、低倍側での射出瞳位置が第1レンズ群から離れる方向に位置することになり、高倍側の射出瞳位置に近づけることが可能となる。
【0083】
しかも、第2レンズ群から射出する主光線角度が緩くなることにより、第3レンズ群(構成によっては、第3レンズ群に続くレンズ群)での軸外光束の光線高を下げることができ、低倍側の軸外収差を良好に補正できる。また、第3レンズ群(構成によっては、第3レンズ群に続くレンズ群)の有効径が小さくなり、移動レンズ群の構成をコンパクトに構成できるので好ましい構成である。
【0084】
条件(8)の下限の0を下回ると、第1レンズ群の後側焦点位置は、第1レンズ群中にあるので、低倍側では第2レンズ群に入射する主光線高が高くなる。第2レンズ群は負のパワーを持つので、第2レンズ群の射出光束は光線高が高く主光線角度がきつくなる。そのため、低倍側での収差性能を補正することが困難になる。しかも、射出瞳位置は低倍側では第1レンズ群側に近く位置することになるので、射出瞳位置の変動が大きくなり好ましくない。条件(8)の上限の0.4を上回ると、第1レンズ群の正のパワーが小さくなるので、高倍側での収差補正を良好に補正することができなくなったり、高倍への変倍や高開口数を維持するのが困難になってしまう。
【0085】
第12の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第5、第11の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズは4群構成であって、第2レンズ群の焦点距離をF2、第3レンズ群の焦点距離をF3、第4レンズ群の焦点距離をF4としたときに、以下の条件(9)、(10)を満足することを特徴とする。
【0086】
−3≦F3/F2≦−1.5 ・・・(9)
3≦F4/F2≦6 ・・・(10)
条件式(9)と条件(10)を満足すると、第3レンズ群と第4レンズ群の変倍時の移動量を抑えて、高い変倍比を維持しながらズーム全域の光学性能を良好にできる。しかも、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの全長を60mmから90mm前後とコンパクトに構成でき、低倍側と高倍側での射出瞳位置を略一定の所定の位置に設定することが可能となる。本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの全長を、従来の変倍の手段に比べて短く構成できることは、顕微鏡のシステムや操作性からも好ましいのは言うまでもない。
【0087】
条件(9)の上限の−1.5を上回ると、第2レンズ群の負のパワーが弱くなるので、高い変倍比にできない。また、変倍比を大きくとった場合には、顕微鏡ズーム対物レンズの全長が長くなる問題がある。また、第2レンズ群の負のパワーが弱くなるために、高倍側の像面湾曲が補正不足となって像面の平坦性が悪化するので好ましくない。あるいは、第3レンズ群の正のパワーがきつくなった場合には、低倍側での収差性能の悪化及び射出瞳位置が第1レンズ群に近く位置するので好ましくない。
【0088】
条件式(9)の下限の−3を下回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが強くなるので、高倍側の軸上性能と低倍側の軸外性能が悪化する。これは、第2レンズ群で光線が強く曲げられることによるもので、低倍側のコマ収差や高倍側の球面収差が発生して高倍側と低倍側の性能を良好に維持することができなくなってしまう。また、第3レンズ群での低倍側での光線高が高くなり、レンズ外径が大きくなるので好ましくない。あるいは、第3レンズ群の正のパワーが緩くなるので、高い変倍比を維持しようとすると、全長が長くなってしまうのでやはり好ましくない。
【0089】
条件式(10)の下限の3を下回ると、第2レンズ群の負のパワーが弱くなるので、条件式(4)と同様に、高い変倍比にできない。また、変倍比を大きくとった場合には、顕微鏡ズーム対物レンズの全長が長くなる問題がある。また、第2レンズ群の負のパワーが弱くなるために、高倍側の像面湾曲が補正不足となって像面の平坦性が悪化する。また、低倍側の射出瞳位置が第1レンズ群に近く位置するので好ましくない。あるいは、第4レンズ群の負のパワーがきつくなった場合には、低倍側での軸外収差性能が悪化する。
【0090】
条件(10)の上限の6を上回ると、負のパワーを持つ第2レンズ群のパワーが強くなるので、条件(4)のときと同様に、高倍側の軸上性能と低倍側の軸外性能が悪化する。これは、第2レンズ群で光線が強く曲げられることによるもので、低倍側のコマ収差や高倍側の球面収差が発生して高倍側と低倍側の性能を良好に維持することができなくなってしまう。また、第3レンズ群での低倍側での光線高が高くなり、レンズ外径が大きくなるので好ましくない。
【0091】
第13の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第12の発明において、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズと正レンズの接合メニスカスレンズで構成されたことを特徴とする。
【0092】
最も物体側に配置された接合レンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズと正レンズで構成され、接合メニスカスレンズの接合面が負の屈折力を持っている。そして、この面で軸上光線高を上げた後に第2レンズ群へと光束を導く後続の第1レンズ群部分によって収斂光束へ変換して、第2レンズ群に入射させる。つまり、第1レンズ群内にペッツバール和を抑える効果を持たせて、像面平坦性を良好に補正するようにしている。また、この接合メニスカスレンズは物体側に凹面を向けているので、コマ収差や非点収差等の軸外収差の発生を抑えることができる。この接合メニスカスレンズは、高倍側と低倍側での収差補正に効果的である。
【0093】
第14の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第13の発明において、前記第1レンズ群は複数の接合レンズ群を備えており、その接合レンズ群の正レンズのアッベ数をνP、接合レンズ群の負レンズのアッベ数をνNとするとき、第1レンズ群中の何れかの接合レンズ群が以下の条件(11)を満足することを特徴とする。
【0094】
νP−νN≧35 ・・・(11)
第1レンズ群は高倍時の軸上光線高が最も高くなるので、条件(11)を満足する複数の接合レンズ群により、球面収差と軸上色収差を良好に補正することができる。また、低倍側での軸外主光線が最も高くなるので、倍率色収差も良好に補正することが可能となる。
【0095】
また、第1レンズ群内の接合レンズに異常分散性の硝材を用いることで、さらに色収差補正が良好となる。
【0096】
条件(11)を満足しない場合には、高倍側の球面収差と軸上色収差及び低倍側の倍率色収差を補正するのが困難となる。
【0097】
第15の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第12の発明において、前記第2レンズ群は、互いに凹面を向けた少なくとも2つのレンズ群で構成されたことを特徴とする。
【0098】
第2レンズ群を互いに凹面を向けた2つのレンズ群を少なくとも備えた構成にすることにより、強い負のパワーを持たせてぺッツバール和を小さくすることができる。これにより、特に高倍側での像面平坦性を良好に補正することが可能となる。第2レンズ群が互いに凹面が向き合っていないレンズ群で構成されている場合には、第2レンズ群の負のパワーが弱くなってペッツバール和を小さくすることができない。あるいは、互いに向き合った面と反対側の面の曲率半径が小さくなって、第2レンズ群での軸外収差が悪化してしまう。
【0099】
第16の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第12の発明において、前記第4レンズ群は、少なくとも第3レンズ群側に凸面を向けた正レンズと負レンズの接合メニスカスレンズと、第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群とで構成されたことを特徴とする。
【0100】
第3レンズ群側に配置された接合メニスカスレンズは、ガウスレンズと略似たような作用をするので、軸外光束の光線高を下げてコマ収差の補正に効果的である。しかも、その接合メニスカスレンズによって光線高を下げた光束は、像側に配置され第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群によって、無限遠光束へと変換される。また、その接合メニスカスレンズは、軸外主光線の光線高を入射時と射出時でほとんど変化させない作用ををする。すなわち、第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群に入射する光線高と角度は変倍にかかわらず略一定になる。この結果、第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群によって形成される射出瞳の位置は、低倍側と高倍側ほとんど変化しないことになる。
【0101】
第17の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第16の発明において、前記第4レンズ群は、第3レンズ群側から、正レンズと負レンズで構成された接合メニスカスレンズと、両凹レンズと正メニスカスレンズで構成された接合負レンズとを備え、以下の条件(12)、(13)、(14)を満足することを特徴とする。
【0102】
0.5≦|F4b/F4|≦2 ・・・(12)
ν4n−ν4p≧25 ・・・(13)
N4p≧1.68 ・・・(14)
ただし、F4は、前記第4レンズ群の焦点距離、
F4bは、前記接合負レンズの焦点距離、
ν4nは、前記接合負レンズの両凹レンズのアッベ数、
ν4pは、前記接合負レンズの正メニスカスレンズのアッベ数、
N4pは、前記接合負レンズの正メニスカスレンズの屈折率、
である。
【0103】
条件(12)を満足すると、低倍側での第4レンズ群での非点収差の発生を抑えることができる。また、球面収差とコマ収差を第3レンズ群で発生する方向と逆向きに発生させることができる。すなわち、第3レンズ群で発生する収差を打ち消す方向に収差を発生させることができるので収差補正が効果的に行える。
【0104】
条件(13)を満足すると、高倍側での主光線高は、前述の通り、第4レンズ群が最も高いので、特に高倍側の倍率色収差を補正することが可能となる。
【0105】
条件(14)を満足すると、像側の曲率半径を比較的緩い面で構成されるので、低倍側のコマ収差や非点収差の補正と高倍側の球面収差の補正に効果的である。
【0106】
条件(12)を満足しない場合には、低倍側のコマ収差と球面収差の補正が悪化してしまうので、好ましくない。
【0107】
条件(13)を満足しない場合には、高倍側の倍率色収差が補正できなくなる。
【0108】
条件(14)を満足しない場合には、正メニスカスレンズの曲率半径がきつくなって低倍側の球面収差やコマ収差が悪化してしまうので、好ましくない。
【0109】
第18の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜5、第11の発明において、前記第1レンズ群の後側焦点位置近傍に、開口絞りを備えていることを特徴とする。
【0110】
一般的な顕微鏡対物レンズは、入射瞳位置が無限遠に設定されるテレセントリック光学系であるため、開口絞りを第1レンズ群の後側焦点位置近傍に配置している。本発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおいても、開口絞りを第1レンズ群の後側焦点位置近傍に配置することで、テレセントリック光学系に構成することが可能である。また、開口絞りは第2レンズ群よりも物体側に配置されるので、ズーム変倍の際に光軸上に沿って移動させる必要がない。そのため、入射瞳位置の変動が生じないので好ましい構成と言える。
【0111】
変倍に伴って、高倍側では径を広げて開口数を高く、低倍側では径を小さくして開口数を低くなるように開口絞りの径を変化させることで、従来の対物レンズと同様の開口数と周辺光量を確保できるので好適である。
【0112】
なお、レンズ系が3群構成の場合、第2レンズ群の位置は常に第1レンズ群の後側焦点位置より像側になる。よって、上記のように変倍に応じて開口絞りの径を変化させることができる。これに対して、レンズ系が4群構成の場合は、低倍側で第2レンズ群が第1レンズ群の後側焦点位置よりも第1レンズ群側に位置する。そのため、開口絞りと第2レンズ群が接触しないようにするためにも、絞り径を可変にしておくことは有効である。
【0113】
第19の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜5、第11、第12の発明において、前記第1レンズ群と物体の間隔をWD、前記第1レンズ群の焦点距離をF1 としたとき、以下の条件(15)を満足することを特徴とする。
【0114】
WD≦0.25F1 ・・・(15)
第19の発明において、WDをより正確に述べると、第1レンズ群の最も物体側のレンズ面と物体の間の軸上間隔である。ただし、実質的には作動距離と同じである。よって、条件(15)は作動距離の条件式とみなすことができる。
【0115】
特に、第11、第12の発明において、条件(15)を満足すると、比較的長い作動距離WDと高倍側での球面収差の補正をバランス良く実現できる。しかも、第11の顕微鏡ズーム対物レンズに関して述べたように、条件(8)を満足するので、変倍時の射出瞳位置の変動を抑えながら高変倍化を実現することができる。
【0116】
条件(15)の上限の0.25F1 を上回ると、作動距離が長くなりすぎて、第1レンズ群に入射する光線高が高くなり、高倍側の球面収差の補正が困難になるか、高い変倍比を実現することができなくなってしまうので、好ましくない。
【0117】
なお、第1〜4の発明においては、以下の条件(15’)を満足することが好ましい。
【0118】
WD≦0.2F1 ・・・(15’)
第1〜第4の発明において条件(15’)を満足する場合は、高倍側での第1レンズ群での軸上光線高を極端に高くせずに抑えることができるので、第1レンズ群のレンズ枚数を抑えて全長を短くでき、球面収差や軸上色収差を良好に補正することが可能となる。
【0119】
条件(15’)の上限の0.2F1を上回ると、高倍側での球面収差や軸上色収差が悪化する。また、悪化した球面収差を補正するためにレンズ枚数を増やさなければならなくなる。また、第2レンズ群や第3レンズ群の収差補正の寄与が非常に大きくなるので、低倍から高倍までの性能を良好に維持するには問題がある。
【0120】
第20の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜4、第15の発明において、前記第2レンズ群は、少なくとも1つの正レンズと負レンズで構成された接合メニスカスレンズを備え、前記正レンズの屈折率をN2P、アッベ数をν2P、前記負レンズのアッベ数をν2Nとしたとき、以下の条件(16)、(17)を満足することを特徴とする。
【0121】
N2P≧1.65 ・・・(16)
ν2N−ν2P≧20 ・・・(17)
第1〜4の発明においては、以下の条件(16)、(17’)を満足するのが好ましい。
【0122】
N2P≧1.65 ・・・(16)
ν2N−ν2P≧25 ・・・(17’)
条件(16)を満足すると、その接合レンズの正レンズの屈折率が高いので、第3レンズ群側のレンズ面の曲率半径を大きくすること、すなわち、比較的緩い面で構成することができる。そのため、コマ収差や非点収差の発生を抑えることができる。また、その接合レンズの負レンズの屈折率は比較的小さい方が、ペッツバール和を小さくできる。
【0123】
条件(16)の下限の1.65を下回ると、その接合レンズの正レンズの屈折率が低いので、第3レンズ群側のレンズ面の曲率半径が比較的小さくなって、コマ収差や非点収差が悪化する。また、高倍での軸上色収差や球面収差の曲がりが大きくなってしまう。
【0124】
条件(17’)を満足すると、倍率色収差を良好に補正できる。レンズ系が3群構成の場合、高倍では、軸外主光線高が第2レンズ群と第3レンズ群において高くなり、低倍側では、第3レンズ群での軸外主光線高が高く、第2レンズ群での軸外主光線高が低くなる。条件(17’)は、高倍側での倍率色収差を良好に補正する。
【0125】
条件(17’)の下限の25を下回ると、倍率色収差が悪化する。また、第3レンズ群の倍率色収差の補正効果を高めると、低倍側の軸上色収差軸外収差が悪化して、低倍から高倍までをバランス良く補正することが難しい。
【0126】
一方、第15の発明においては、条件(16’)、(17)を満足するのが好ましい。
【0127】
N2P≧1.68 ・・・(16’)
ν2N−ν2P≧20 ・・・(17)
条件(16’)を満足すると、接合レンズの正レンズの屈折率が高いので、第3レンズ群側のレンズ面の曲率半径を比較的大きくすることができる。この結果、コマ収差や非点収差の補正に大きな効果が得られる。また、その接合レンズの負レンズの屈折率は比較的小さい方が、ペッツバール和を小さくできる。条件(16’)の下限の1.68を下回ると、接合レンズの正レンズの屈折率が低いので、第3レンズ群側のレンズ面の曲率半径が小さくなって、コマ収差や非点収差が悪化する。また、高倍での軸上色収差や球面収差の曲がりが大きくなってしまう。
【0128】
条件(17)を満足すると、倍率色収差を良好に補正できる。これは、レンズ系が4群構成の場合、第2レンズ群での主光線高は高倍と低倍では光軸に対して符号が異なるので、低倍側と高倍側の倍率色収差をバランス良く補正するのに効果的である。条件(17)の下限の20を下回ると、高倍側と低倍側の倍率色収差の何れかが悪化してしまい、ズーム全域での倍率色収差を補正するのが困難となってしまう。
【0129】
第21の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜4、第12の発明において、前記第3レンズ群のアッベ数が最も高い正レンズのアッベ数をν3p、アッベ数が最も低い負レンズのアッベ数をν3nとしたとき、以下の条件(18)を満足することを特徴とする。
【0130】
ν3p−ν3n≧35 ・・・(18)
第1〜第4の発明においては、このレンズ構成により、低倍側での球面収差と軸外収差を効果的に補正でき、さらに、条件(18)を満足すると、低倍側の軸上色収差及び低倍から高倍に至る倍率色収差を良好に補正することが可能となる。また、異状分散性の硝材を用いることで、一層の色収差補正が可能である。
【0131】
条件(18)の下限の35を下回ると、低倍側での軸上色収差や低倍から高倍に至る倍率色収差補正が困難になってくる。また、高倍側での倍率色収差も悪化し、他のレンズ群によって色収差補正を行なうと、低倍側、高倍側での性能をバランス良く補正することができなくなる。
【0132】
また、第12の発明においては、次のようになる。第3レンズ群は、変倍作用を持つ第2レンズ群からの光束を受けるレンズ群である。第3レンズ群は、像面を一定にする作用を持つ移動群であるので、ズーム全域で第3レンズ群に入射する光束の光線高は大きく変化しない。したがって、第12の顕微鏡ズーム対物レンズの構成により、低倍側での球面収差と軸外収差を効果的に補正できる。
【0133】
そして、第12の発明においても、上述のように、さらに、条件(18)を満足すると、低倍側の軸上色収差及び低倍から高倍に至る倍率色収差を良好に補正することが可能となる。また、異常分散性の硝材を用いることで、一層の色収差補正が可能である。条件(18)の下限の35を下回ると、低倍側での軸上色収差や低倍から高倍に至る倍率色収差補正が困難になってくる。また、高倍側での倍率色収差も悪化し、他のレンズ群によって色収差補正を行うと、低倍側、高倍側での性能をバランス良く補正することができなくなる。
【0134】
第22の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜第5、第11、第12の発明において、変倍比が3以上であることを特徴とする。なお、第5、第11、第12の発明においては、変倍比が4以上である。
【0135】
第23の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、少なくとも1つの非球面を備え、以下の条件(19)を満足することを特徴とする。
【0136】
NA≧0.5 ・・・(19)
ただし、NAは高倍側の顕微鏡ズーム対物レンズの開口数である。
【0137】
第1レンズ群中に少なくとも1つの非球面を備えることにより、高倍側の収差性能を良好に補正した顕微鏡ズーム対物レンズの高変倍化あるいは高開口数化が達成できる。さらに、第1レンズ群中に非球面を用いることで、第1レンズ群の全長を抑えることが可能となる。また、変倍作用の第2レンズ群の移動量を確保して、高変倍化と、変倍時の射出瞳位置の変動を抑えることが可能となる。
【0138】
なお、第1レンズ群を全て球面レンズで構成すると、以下のようになる。高変倍化あるいは高開口数化を実現しようとすると、第1レンズ群の正のパワーが非常に大きくなり、そのために球面収差及び軸上色収差がより大きく発生する。この補正のために第1レンズ群のレンズ枚数を非常に多くしなければならない。しかも、変倍作用の第2レンズ群のパワーも強くなり、変倍のための移動量もより大きく必要となってくる。
【0139】
しかしながら、第1レンズ群の全長が長くなり、かつ、第2レンズ群の移動量が大きくなると、特にレンズ系が4群構成の場合は、第3レンズ群と第4レンズ群の配置から、どうしても顕微鏡ズーム対物レンズの全長をコンパクトにすることができない。さらに、第1レンズ群の全長が長くなると、第1レンズ群の後側焦点位置が第1レンズ群中に入り込んでしまうので、変倍時の射出瞳位置の変動を抑えることができなくなり、顕微鏡のシステム性が損なわれてしまう。しかも、第1レンズ群のレンズ枚数の増加に伴ってコストアップも招いてしまう。
【0140】
第24の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第5、第11発明において、前記第1レンズ群又は第3レンズ群中に、少なくとも1つの非球面を備えたことを特徴とする。
【0141】
第1レンズ群中に少なくとも1つの非球面を備えることにより、高倍側の収差性能を良好に補正した顕微鏡ズーム対物レンズにおいて、高変倍化あるいは高開口数化が達成できる。さらに、第1レンズ群中に非球面を用いることで、第1レンズ群の全長を抑えることが可能となる。また、変倍作用をする第2レンズ群の移動量を確保して、高変倍化と、変倍時の射出瞳位置の変動を抑えることが可能となる。
【0142】
また、第3レンズ群中に少なくとも1つの非球面を備えることにより、低倍側から高倍側に至る球面収差及び軸外収差を全般的に良好に補正した顕微鏡ズーム対物レンズが達成できる。低倍側から高倍側にかけて第3レンズ群に入射する光束径は極端に変化しないので、非球面を第3レンズ群に設けることで、低倍側の球面収差とコマ収差、及び高倍側の非点収差とコマ収差の補正が可能である。
【0143】
なお、第3レンズ群に非球面を設けると、以下のようになる。高変倍化あるいは高開口数化を実現しようとすると、第1レンズ群の正のパワーが強くなり、しかも変倍作用の第2レンズ群のパワーも強くなる。この結果、第3レンズ群に入射する光束径が大きくなり、しかも、軸上光線高及び軸外主光線の入射角度もきつくなる。そのため、第3レンズ群のレンズ枚数が増えてしまい、結果として顕微鏡ズーム対物レンズの全長をコンパクトに抑えることができなくなってしまう。
【0144】
第25の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜第5、第11、第12、第23、第24の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズの作動距離をWDとしたとき、以下の条件(20)を満足することを特徴とする。
【0145】
0.5≦WD≦1.5 (mm) ・・・(20)
一般の顕微鏡対物レンズでは、40倍で作動距離が0.5mm程度であり、10倍では開口数によって異なるが3〜10mm程度である。作動距離が長い程標本と対物レンズの先端の接触が回避でき、また、操作性の向上にもつながる。しかしながら、作動距離が余りに長いと球面収差の補正が困難になる。したがって、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおいて、条件(20)を満足すると、高倍側の球面収差を補正しながら、高い変倍比を実現し、かつ、作動距離を比較的長くしながら、標本の操作性や対物レンズ先端と標本との接触の回避をバランス良く実現させることが可能となる。
【0146】
条件(20)の下限の0.5mmを下回ると、作動距離が短くなって、合焦の際に対物レンズの先端と標本が接触して標本の破損のおそれがある。また、標本の位置出しや操作性が悪化するので、好ましくない。
【0147】
条件(20)の上限の1.5mmを上回ると、作動距離が長くなって操作性は向上するが、高倍側での球面収差の補正が困雌となる。あるいは、高い変倍比を実現することが困難になってしまう。
【0148】
第26の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜第5、第11、第12、第23、第24の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズの最も像側にあるレンズ群の像側に最も近い面から物体までの距離をLとするとき、以下の条件(21)を満足することを特徴とする。
【0149】
55≦L≦110 (mm) ・・・(21)
ここで、レンズ系が3群構成の場合、最終レンズ群は第3レンズ群になる。また、レンズ系が4群構成の場合、最終レンズ群は第4レンズ群になる。
【0150】
条件(21)を満足すると、高い変倍比でありながら、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズ及び顕微鏡システムを従来の手法に比べて非常にコンパクトに構成することができる。
【0151】
条件(21)の下限の55mmを下回ると、移動群である第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群の移動するスペースが少なくなって、高い変倍比を実現できなくなる。また、高い変倍比を実現するために移動群の第2、第3、第4レンズ群の移動量を確保すると、第1レンズ群の全長が短くなって高倍側の球面収差の補正が困難となる。
【0152】
条件(21)の上限の110mmを上回ると、高倍化や高変倍化には有利となるが、全長が長くなって顕微鏡システムをコンパクトに構成できなくなるので好ましくない。
【0153】
第27の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第1〜第5、第11、第12、第23、第24の発明において、前記顕微鏡ズーム対物レンズは4群構成であって、最も低倍側での射出瞳位置をE1、最も高倍側での射出瞳位置をE2としたとき、以下の条件(22)を満足することを特徴とする。
【0154】
|E1−E2|≦15 (mm) ・・・(22)
条件(22)を満足すると、顕微鏡ズーム対物レンズの瞳位置と照明光学系の瞳位置との共役関係を、低倍側から高倍側まで略一致させることができる。また、軸外光線のケラレ等による周辺光量の低下を防止することが可能となる。よって、取り付け可能な中間鏡筒ユニット(付属ユニット)の種類が増えるので、顕微鏡のシステム性が大きく向上する。なお、射出瞳位置とは、顕微鏡ズーム対物レンズの射出瞳位置のことである。
【0155】
条件(22)の上限の15mmを上回ると、低倍側と高倍側の射出瞳位置の変動が大きくなるので、顕微鏡照明光学系による光線のケラレやが生じる。また、中間鏡筒ユニットを組み合せた場合に周辺光量が低下するので、顕微鏡のシステム性を低下させてしまう。
【0156】
第28の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第5、第11の発明において、非球面が設けられたレンズ面の面形状が、光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなるような面形状であることを特徴とする。
【0157】
球面レンズ系の場合、高倍側の開口数が大きい場合に、第1レンズ群で発生する球面収差が非常に大きくなる。これは、入射する光線に対して面の傾きが大きい(屈折力が大きい)からである。そこで、非球面の形状を光軸から離れるに従って曲率半径が緩くなる形状にすると、面の屈折力が弱くなる。したがって、第28の発明のように、軸上光線の開口比が大きくなるにつれて非球面の屈折力が弱くなる面形状にすることで、効果的に球面収差の補正を行うことができる。
【0158】
そして、非球面の効果により第1レンズ群内での球面収差の発生量を少なくできれば、全体の球面収差を補正のために、その他のレンズ群で発生させている逆向きの球面収差を少なくさせることができる。これは、その他のレンズ群が持っている収差補正能力を、球面収差以外の収差補正のために使うことができることを意味する。よって、球面収差以外の収差も良好に補正することができる。また、各レンズ群での収差発生量を小さくできるので、製作上の公差を緩くすることが可能となる。
【0159】
なお、第28の発明の顕微鏡ズーム対物レンズにおいて、第2レンズ群の構成を第2の発明と同じようにしてもよい。また、第20の発明の条件(16)、(17)を満足するようにしてもよい。
【0160】
第29の発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、第28の発明において、前記第4レンズ群を備え、該第4レンズ群は、第3レンズ群側に凸面を向けた正レンズと負レンズの接合メニスカスレンズと、第3レンズ群側に凹面を向けたレンズ群で少なくとも構成され、条件(12)、(13)を満足することを特徴とする。
【0161】
第4レンズ群は全体として負のパワーを備える。そして、第3レンズ群側に凸面を向けた正レンズと負レンズの接合メニスカスレンズと、第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群で構成されている。第3レンズ群側に配置された接合メニスカスレンズは、ガウスレンズの作用を生じる。そのため、ここで軸外光束の光線高を下げられて、コマ収差が効果的に補正される。しかも、像側に配置され第3レンズ群側に凹面を向けたレンズ群に負のパワーが与えられているので、接合メニスカスレンズによって光線高を下げた光束はこの負のパワーを持つレンズ群によって無限遠光束へと変換される。
【0162】
また、接合メニスカスレンズは、変倍時に軸外主光線の角度と光線高をほとんど変化させない。そのため、負のパワーを持つレンズ群に入射する軸外主光線の角度と光線高は、低倍側と高倍側で略一定になるので、低倍側と高倍側の射出瞳位置の変動を抑える作用をする。
【0163】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例について説明する。
【0164】
まず、3群構成の実施例1〜10について説明する。以下に述べる実施例1〜10の顕微鏡ズーム対物レンズは、無限遠設計であって、単独では結像しない。そのため、図16に示すように、両凸レンズと物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズとの接合レンズと、両凸レンズと両凹レンズとの接合レンズとからなり、後記するレンズデータを有する結像レンズを各実施例の顕微鏡ズーム対物レンズの像側に配置して使用する。なお、この結像レンズの焦点距離は179.994mmである。
【0165】
また、後記する実施例1〜8の収差図は、顕微鏡ズーム対物レンズの後方に、物体から結像レンズの物体側のレンズ面までの距離を150mmの位置に配置したときの収差図であり、実施例9〜10の収差図は、顕微鏡ズーム対物レンズの後方に、物体から結像レンズの物体側のレンズ面までの距離を100mmの位置に配置したときの収差図である。なお、物体から結像レンズの物体側のレンズ面までの間隔が、100〜200mm程度の間では収差はほとんど変化しない。
【0166】
以下、図面と後記の各実施例のレンズデータ表を参照にして、本発明のズーム対物レンズの実施例1〜10について説明する。なお、後記の各実施例のレンズデータ表中には、上記の結像レンズも含めて示してある。
【0167】
実施例1の構成を図1に示す。図1(a)は倍率10X、NA0.25、図1(b)は倍率20X、NA0.4、図1(c)は倍率40X、NA0.6の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0168】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合負レンズ、両凸レンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと負メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズのパワーのほとんどない接合負メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0169】
実施例1のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.6である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように絞り径が変化する機構を備えている。
【0170】
実施例2の構成を図2に示す。図2(a)は倍率10X、NA0.25、図2(b)は倍率20X、NA0.4、図2(c)は倍率30X、NA0.55の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0171】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズと両凸レンズのパワーのほとんどない接合正メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合負レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズで構成される。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹レンズとパワーのほとんどない正メニスカスレンズの3枚で構成された接合負レンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0172】
実施例2のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から30倍まで変倍し、開口数が0.25から0.55である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0173】
実施例3の構成を図3に示す。図3(a)は倍率10X、NA0.25、図3(b)は倍率20X、NA0.4、図3(c)は倍率40X、NA0.6の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0174】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのパワーのゆるい接合正レンズ、物体側に凸面を向けたパワーのゆるい正メニスカスレンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと両凹レンズのパワーの弱い接合負メニスカスレンズで構成されている。
【0175】
実施例3のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.6である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0176】
実施例4の構成を図4に示す。図4(a)は倍率10X、NA0.25、図4(b)は倍率20X、NA0.4、図4(c)は倍率30X、NA0.55の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0177】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの弱いパワーを持つ接合正メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側にゆるい凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと正メニスカスレンズの接合正メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、像側にゆるい凸面を持つ両凸レンズ、物体側にゆるい凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのパワーの弱い接合正レンズで構成されている。
【0178】
実施例1と同様に、開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0179】
実施例4のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から30倍まで変倍し、開口数が0.25から0.55である。
【0180】
実施例5の構成を図5に示す。図5(a)は倍率10X、NA0.25、図5(b)は倍率20X、NA0.4、図5(c)は倍率30X、NA0.55の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0181】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側にゆるい凸面を持つ両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのパワーのゆるい接合正レンズ、両凸レンズで構成される。第2レンズ群G2は、物体側にゆるい凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。第3レンズ群G3は、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0182】
実施例5のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から30倍まで変倍し、開口数が0.25から0.55である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0183】
実施例6の構成を図6に示す。図6(a)は倍率10X、NA0.25、図6(b)は倍率20X、NA0.4、図6(c)は倍率40X、NA0.6の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0184】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズ、物体側にゆるい凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのパワーのほとんどない接合負レンズ、両凸レンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、物体側にゆるい凸面を持つ両凸レンズ、両凸レンズと両凹レンズの接合負メニスカスレンズで構成されている。
【0185】
実施例6のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.6である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0186】
実施例7の構成を図7に示す。図7(a)は倍率10X、NA0.25、図7(b)は倍率20X、NA0.4、図7(c)は倍率40X、NA0.6の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さく、また、第1レンズ群G1は第2レンズ群G2とは光軸上を逆方向に移動するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0187】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのパワーのゆるい接合負レンズ、両凸レンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと負メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズのほとんどパワーのない接合負メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0188】
実施例7のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.6である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0189】
実施例8の構成を図8に示す。図8(a)は倍率10X、NA0.25、図8(b)は倍率20X、NA0.4、図8(c)は倍率40X、NA0.6の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0190】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、物体側に非常にゆるい凸面を持つ両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズのほとんどパワーのない接合負レンズ、両凸レンズで構成される。第2レンズ群G2は、両凹レンズと負メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズで構成されている。第3レンズ群G3は、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0191】
実施例8のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.6である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0192】
実施例9の構成を図9に示す。図9(a)は倍率10X、NA0.25、図9(b)は倍率20X、NA0.4、図9(c)は倍率40X、NA0.7の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3の3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群と第3レンズ群が光軸上を移動する。
【0193】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に平面を向けた平凸レンズ、物体側に大きな曲率半径の凸面を向けた両凸レンズ、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズの3枚で構成された正の接合レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズからなる。第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹レンズの接合レンズ、両凹レンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズの接合レンズで構成されている。第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズで構成されている。
【0194】
非球面は、第1レンズ群G1中の平凸レンズの凸面と、3枚で構成された接合正レンズの物体側の凸面と第2レンズ群G2側の凸面に配置されている。
【0195】
第1レンズ群G1中に配置された非球面は、高倍側の軸上マージナル光線高が高い3枚の接合正レンズと軸外主光線と従属光線の光線高が比較的高い平凸レンズ群の凸面に配置され、高倍側での球面収差とコマ収差の補正に効果的である。また、第1レンズ群G1中の3枚の接合正レンズは軸上色収差等に効果的である。また、第1レンズ群G1の物体側に配置された接合負メニスカスレンズは、ペッツバール和を抑える作用を持ち、その接合負メニスカスレンズは物体側に凹面を向けているので、コマ収差や非点収差等の軸外収差の発生を抑えるので、高倍側と低倍側での収差補正に効果的である。
【0196】
実施例9のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.7である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0197】
実施例10の構成を図10に示す。図10(a)は倍率10X、NA0.25、図10(b)は倍率20X、NA0.4、図10(c)は倍率40X、NA0.65の場合のレンズ断面と光路を示す。物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3の3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群と第3レンズ群が光軸上を移動する。
【0198】
第1レンズ群G1の構成は、物体側から両凹レンズと凸レンズの接合負メニスカスレンズ、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズの3枚で接合された接合正レンズ、第2レンズ群側に非球面を備える両凸レンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成される。第2レンズ群G2は、第1レンズ群側に凹面をむけた正メニスカスレンズと両凹レンズの接合負レンズ、両凹レンズと物体側に凸面を向けた凸平レンズの接合負レンズで構成され、互いに凹面を向けた構成である。第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0199】
第1レンズ群G1中の非球面は、高倍側の軸上マージナル光線高が高いところに配置され、球面収差の補正に効果的である。また、第1レンズ群G1の物体側に配置された接合負メニスカスレンズは、実施例9と同様に、ペッツバール和を抑えている。3枚で構成された接合正レンズについても、その接合正レンズの接合面の負屈折力により光線高を上げているので、ペッツバール和を抑え、コマ収差の補正にも効果的である。
【0200】
実施例10のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.65である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0201】
以上の実施例1〜10の顕微鏡ズーム対物レンズの収差図をそれぞれ図17〜図26に示す。これらの収差図において、(a)、(b)、(c)はぞれぞれ図1〜図10の(a)、(b)、(c)の状態に対応する倍率のときの収差図であり、各状態において、“SA”は球面収差、“AS”は非点収差、“DZ”は軸外縦収差、“DT”は歪曲収差を示す。これら収差図中、“IH”は像高を示す。
【0202】
次に、本発明の4群構成の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例11〜15について説明する。各実施例のレンズデータは後記するが、図11〜図15はそれぞれ実施例11〜15のレンズ構成を示す断面図であり、図11(a)、(b)、(c)は実施例11の10倍、20倍、40倍での光路を示す断面図、図12(a)、(b)、(c)は実施例12の10倍、20倍、40倍での光路を示す断面図、図13(a)、(b)、(c)は実施例13の20倍、40倍、80倍での光路を示す断面図、図14(a)、(b)、(c)は実施例14の10倍、20倍、50倍での光路を示す断面図、図15(a)、(b)、(c)は実施例15の10倍、20倍、40倍での光路を示す断面図である。
【0203】
以下に述べる各実施例の顕微鏡ズーム対物レンズは、無限遠設計であって、単独では結像しない。そのため、図16の構成で、後記するレンズデータを有する結像レンズを各実施例での顕微鏡ズーム対物レンズの像側に配置して使用する。なお、後記の各実施例のレンズデータ中にはこの結像レンズのレンズデータも含めて示してある。
【0204】
また、後記する各実施例の収差図は、顕微鏡ズーム対物レンズの後方に、物体から結像レンズの物体側のレンズ面までの距離を100mmの位置に配置したときの収差図である。なお、物体から結像レンズの物体側のレンズ面までの間隔が100〜200mm程度の間では、収差はほとんど変化しない。
【0205】
以下、図面と後記のレンズデータを参照にして、本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例11〜15について説明する。
【0206】
図11に実施例11の構成を示す。本実施例のズーム対物レンズは、物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3、負のパワーを持つ第4レンズ群G4で構成されている。そして、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなり、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が一旦大きくなり再度小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G3が光軸上を移動する。
【0207】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと正メニスカスレンズの接合正メニスカスレンズ、物体側に緩い凸面を向けた負メニスカスレンズと第2レンズ群G2側に強い凸面を向けた両凸レンズの接合正レンズ、両凸の単レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合負レンズで構成される。
【0208】
第2レンズ群G2は、両凹レンズと負メニスカスレンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズで構成され、互いに凹面を向けた構成である。
【0209】
第3レンズ群G3は、両凹レンズと両凸レンズの接合正レンズ、両凸レンズで構成されている。
【0210】
第4レンズ群G4は、第3レンズ群G3側に凸面を向けた正メニスカスレンズと像側に凹面を向けた負メニスカスレンズのパワーの緩い正の接合メニスカスレンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。
【0211】
実施例11のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.65である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。各倍率での収差図を図27(a)、(b)、(c)に示す。各収差図中、球面収差は“SA”、非点収差は“AS”、像高比1.0における軸外収差は“DZ1”、像高比0.5における軸外収差は“DZ2”、歪曲収差は“DT”で示す。また、“FIY”は像高で、実施例1乃至実施例10の収差図における“IH”と同じである。以下の収差図においても同じ。
【0212】
図12に実施例12の構成を示す。本実施例のズーム対物レンズは、物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3、負のパワーを持つ第4レンズ群G4で構成されている。そして、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなり、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が一旦大きくなり再度小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4が光軸上を移動する。
【0213】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズの3枚で接合された接合正レンズ、両凸レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成される。
【0214】
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1側に凹面を向けた負メニスカスレンズと緩い曲率半径を持つ両凹レンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズで構成され、互いに凹面を向けた構成である。
【0215】
第3レンズ群G3は、両凹レンズと両凸レンズの接合正レンズ、両凸レンズで構成されている。
【0216】
第4レンズ群G4は、第3レンズ群G3側に凸面を向けた正メニスカスレンズと像側に凹面を向けた負メニスカスレンズのパワーの緩い接合正メニスカスレンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。
【0217】
実施例12のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.65である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。各倍率での収差図を図28(a)、(b)、(c)に示す。
【0218】
図13に実施例13の構成を示す。本実施例のズーム対物レンズは、物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3、負のパワーを持つ第4レンズ群G4で構成されている。そして、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなり、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4が光軸上を移動する。
【0219】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズからなる接合正レンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成されている。
【0220】
ここで、第1レンズ群G1中の、両凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズの3枚からなる接合正レンズの物体側と第2レンズ群G2側の空気接触面は、非球面で構成されている。
【0221】
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1側に緩い凸面を持つ負メニスカスレンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合正レンズで構成され、互いに凹面を向けた構成となっている。
【0222】
第3レンズ群G3は、第2レンズ群G2側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと負メニスカスレンズの接合正レンズで構成されている。
【0223】
第4レンズ群G4は、第3レンズ群G3側に強い凸面を向けた正メニスカスレンズと像側に強い凹面を向けた負メニスカスレンズの接合負メニスカスレンズ,両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。第4レンズ群G4の2つのレンズ群は互いに凹面を向けた構成となっている。
【0224】
ここで、第4レンズ群G4の第3レンズ群G3側に最も近い凸面形状のレンズ面は、非球面で構成されている。
【0225】
実施例13のズーム対物レンズは、視野数22、20倍から80倍まで変倍し、開口数が0.4から0.77である。開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。各倍率での収差図を図29(a)、(b)、(c)に示す。
【0226】
実施例13では、第1レンズ群G1中に非球面を2面、第4レンズ群G4中に非球面を1面設けることで、高開口数化と高倍率化と、全長がコンパクトでありながら射出瞳の変動を5mm以内に抑えることを実現している。
【0227】
図14に実施例14の構成を示す。本実施例のズーム対物レンズは、物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3、負のパワーを持つ第4レンズ群G4で構成されている。そして、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなり、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が一旦大きくなり再度小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4が光軸上を移動する。
【0228】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に緩い凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと負メニスカスレンズと正メニスカスレンズからなる接合正レンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズで構成される。
【0229】
ここで、物体側から4つめのレンズ群である正メニスカスレンズの第2レンズ群G2側のレンズ面は、非球面で構成されている。
【0230】
第2レンズ群G2は、第1レンズ群G1側に凹面を向けた正メニスカスレンズと両凹レンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズで構成され、互いに凹面を向けた構成である。
【0231】
第3レンズ群G3は、物体側に緩い凸面を持つ負メニスカスレンズと両凸レンズの接合正レンズ、両凸レンズで構成されている。
【0232】
第4レンズ群G4は、第3レンズ群G3側に凸面を向けた正メニスカスレンズと像側に凹面を向けた負メニスカスレンズのパワーの緩い接合正メニスカスレンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。
【0233】
この実施例は、実施例11と同様に、開口絞りSは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間にあり、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、変倍と共に所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備えている。
【0234】
実施例14のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から50倍まで変倍し、開口数が0.25から0.7である。各倍率での収差図を図30(a)、(b)、(c)に示す。
【0235】
実施例14では、第1レンズ群G1内の非球面により、高開口数化と高い収差性能を実現し、しかも、射出瞳位置の変動が10mm以内とズーム低倍から高倍の範囲で略一定の値に構成されている。
【0236】
図15に実施例15の構成を示す。本実施例のズーム対物レンズは、物体側から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群G1、負のパワーを持つ第2レンズ群G2、正のパワーを持つ第3レンズ群G3、負のパワーを持つ第4レンズ群G4で構成されている。そして、低倍側から高倍側へ変倍する際に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔が小さくなり、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が一旦大きくなり再度小さくなるように、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4が光軸上を移動する。
【0237】
第1レンズ群G1の構成は、物体側に凹面を向け、物体側から両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ、両凸レンズと両凹レンズと両凸レンズからなる接合正レンズ、物体側に非球面を持つ両凸レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズで構成されている。
【0238】
第2レンズ群G2は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと両凹レンズの接合負レンズ、両凹レンズと両凸レンズの接合負メニスカスレンズで構成され、互いに凹面を向けた構成となっている。
【0239】
第3レンズ群G3は、両凹レンズと両凸レンズの接合正メニスカスレンズ、両凸レンズで構成されている。
【0240】
第4レンズ群G4は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの接合正メニスカスレンズ、両凹レンズと正メニスカスレンズの接合負レンズで構成されている。第4レンズ群G4の2つのレンズ群は、互いに凹面を向けた構成となっている。
【0241】
第1レンズ群G1の物体側に配置された接合負メニスカスレンズは、実施例9と同様に、ペッツバール和を抑えている。3枚で構成された接合正レンズについても、その接合正レンズの接合面の負屈折力により光線高を上げているので、ペッツバール和を抑え、コマ収差や軸上色収差補正にも効果的である。高倍側の軸上マージナル光線が高い部分に非球面を配置することで、高倍側の球面収差を効果的に補正することが可能となる。
【0242】
実施例15のズーム対物レンズは、視野数22、10倍から40倍まで変倍し、開口数が0.25から0.8である。開口絞りSは、第1レンズ群G1の後側焦点位置近傍に配置され、低倍側では第2レンズ群G2が第1レンズ群G1の後側焦点位置よりも物体側に移動する。このとき、低倍側の射出瞳位置を潜らせることなく高倍側の射出瞳位置に近づける作用をする。また、開口絞りSは所定の開口数になるように、絞り径が変化する機構を備える。各倍率での収差図を図31(a)、(b)、(c)に示す。
【0243】
この実施例15では、第1レンズ群G1中の両凸レンズの物体側に非球面を1つ配置することで、開口数が0.8で4倍の変倍比を備えながら、全長をコンパクトに構成し、4つのレンズ群の構成により射出瞳の変動を5mm以内に抑えることを実現している。
【0244】
以下に、上記各実施例の顕微鏡ズーム対物レンズとそれらにおいて共通に用いられている結像レンズのレンズデータを示す。記号は、上記の外、Mは倍率、φは開口絞り径、NAは開口数、IHは像高、r1 、r2 …は物体側から順に示した各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は物体側から順に示した各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は物体側から順に示した各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は物体側から順に示した各レンズのアッべ数である。非球面形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向にとると、下記の式にて表される。
【0245】
ただし、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4、A6、A8、A10 はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
【0246】
ただし、上記実施例1〜10の顕微鏡ズーム対物レンズにおいて、r1 、r2 は物体面とその上に配置されるカバーグラスの面の曲率半径であり、r3 以下が各レンズ面の曲率半径を示し、d1 はカバーグラスの厚さであり、d2 はカバーグラスと顕微鏡ズーム対物レンズの第1面の間の距離である。また、上記実施例11〜15の顕微鏡ズーム対物レンズにおいては、r0 は物体面の曲率半径、r0 、r1 はカバーガラスの両面の曲率半径、d0 はカバーガラスの両面間の間隔、d1 は作動距離、nd0はカバーガラスのd線の屈折率、νd0はカバーガラスのアッベ数である。
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
次に、本発明の条件(1)〜(22)に関するパラメータの値を以下に示す。
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
以上の本発明の顕微鏡ズーム対物レンズは、例えば次のように構成することができる。
【0270】
〔1〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、第1レンズ群中に正レンズと負レンズで構成された正のパワーを持つ接合レンズを少なくとも1つ備え、前記正レンズのアッベ数をνとしたとき、前記正レンズが以下の条件(1)を満足することを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0271】
ν>80 ・・・(1)
〔2〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第2レンズ群は2つのレンズ群を少なくとも有し、該2つのレンズ群は互いに凹面を向けて構成されたことを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0272】
〔3〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第3レンズ群は2つの以上のレンズ群で構成され、正レンズと負レンズで構成された少なくとも1つの接合レンズを備えたことを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0273】
〔4〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ群が物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズであって、前記接合レンズは、物体側から凹レンズ、凸レンズで構成されたことを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0274】
〔5〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、前記第1レンズ群は複数のレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、以下の条件(2)、(3)を満足することを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0275】
0.25≦D1/D0≦0.7 ・・・(2)
0.05≦D2/D0≦0.5 ・・・(3)
ただし、D1は、前記第1レンズ群の全長、
D2は、前記第2レンズ群の低倍側から高倍側への移動量、
D0は、高倍側の顕微鏡ズーム対物レンズの全長、
である。
【0276】
〔6〕 第4レンズ群をさらに備え、前記第1レンズ群は接合レンズを含み、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第4レンズ群も光軸に沿って移動し、次の条件(2’),(3’)を満足することを特徴とする上記5記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0277】
0.25≦D1/D0≦0.5 ・・・(2’)
0.15≦D2/D0≦0.3 ・・・(3’)
〔7〕 前記第1レンズ群に少なくとも1つの非球面を設け、該非球面は凸面に設けられ、次の条件(2),(3" )を満足することを特徴とする上記5記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0278】
0.25≦D1/D0≦0.7 ・・・(2)
0.05≦D2/D0≦0.35 ・・・(3”)
〔8〕 前記第1レンズ群の物体側に凹面を向けた前記接合メニスカスレンズの最も物体側の曲率半径をRG1、前記接合メニスカスレンズの最も第2レンズ群側の曲率半径をRG2、凹レンズの屈折率をGn1、凸レンズの屈折率をGn2としたとき、以下の条件(4)、(5)を満足することを特徴とする上記4記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0279】
Gn1−Gn2≧0.15 ・・・(4)
0.3≦RG2/RG1≦2. 0 ・・・(5)
〔9〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズは3群構成であって、前記第1レンズ群の物体から軸上光線高が最も高くなるレンズ群までを前側第1レンズ群、軸上光線高が最も高いレンズ群から最も第2レンズ群側までのレンズ群を後側第1レンズ群とし、前側第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズ、正のパワーを持つ単レンズ、凹レンズと凸レンズで構成された接合レンズ、正のパワーを持つ凸レンズの少なくとも4つのレンズ群で構成され、後側第1レンズ群中に、物体側から凹レンズと凸レンズで接合された正のパワーの接合レンズと、第2レンズ群側に凹面を向けたメニスカスレンズとを少なくとも1つ備えたことを特徴とする上記1から4の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0280】
〔10〕 前記第1レンズ群の焦点距離をF1、前記第2レンズ群の焦点距離をF2としたとき、以下の条件(6)を満足することを特徴とする上記1から4の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0281】
−2.5≦F1/F2≦―0.2 ・・・(6)
〔11〕 前記第2レンズ群の焦点距離をF2、前記第3レンズ群の焦点距離をF3としたとき、以下の条件(7)を満足することを特徴とする上記10記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0282】
−7.5≦F3/F2≦−1.5 ・・・(7)
〔12〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズは3群構成であって、以下の条件(7' )を満足することを特徴とする上記11記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0283】
−6.5≦F3/F2≦−2.0 ・・・(7’)
〔13〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズは3群構成であって、低倍から高倍へと変倍する際に、作動距離が短くなるように、前記第1レンズ群は前記第2レンズ群とは反対方向へ光軸に沿って移動することを特徴とする上記1から4の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0284】
〔14〕 以下の条件(8)を満足することを特徴とする上記5記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0285】
0<FB1 /D1 ≦0.4 ・・・(8)
ただし、FB1 は、前記第1レンズ群の前記第2レンズ群側に最も近いレンズ面から、前記第1レンズ群の後側焦点位置までの距離である。
【0286】
〔15〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズは4群構成であって、第2レンズ群の焦点距離をF2、第3レンズ群の焦点距離をF3、第4レンズ群の焦点距離をF4としたときに、以下の条件(9)、(10)を満足することを特徴とする上記5又は14記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0287】
−3≦F3/F2≦−1.5 ・・・(9)
3≦F4/F2≦6 ・・・(10)
〔16〕 前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズと正レンズの接合メニスカスレンズで構成されたことを特徴とする上記15記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0288】
〔17〕 前記第1レンズ群は複数の接合レンズ群を備えており、その接合レンズ群の正レンズのアッベ数をνP、接合レンズ群の負レンズのアッベ数をνNとするとき、第1レンズ群中の何れかの接合レンズ群が以下の条件(11)を満足することを特徴とする上記16記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0289】
νP−νN≧35 ・・・(11)
〔18〕 前記第2レンズ群は、互いに凹面を向けた少なくとも2つのレンズ群で構成されたことを特徴とする上記15記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0290】
〔19〕 前記第4レンズ群は、少なくとも第3レンズ群側に凸面を向けた正レンズと負レンズの接合メニスカスレンズと、第3レンズ群側に凹面を向けた負のパワーを持つレンズ群とで構成されたことを特徴とする上記15記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0291】
〔20〕 前記第4レンズ群は、第3レンズ群側から、正レンズと負レンズで構成された接合メニスカスレンズと、両凹レンズと正メニスカスレンズで構成された接合負レンズとを備え、以下の条件(12)、(13)、(14)を満足することを特徴とする上記19記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0292】
0.5≦|F4b/F4|≦2 ・・・(12)
ν4n−ν4p≧25 ・・・(13)
N4p≧1.68 ・・・(14)
ただし、F4は、前記第4レンズ群の焦点距離、
F4bは、前記接合負レンズの焦点距離、
ν4nは、前記接合負レンズの両凹レンズのアッベ数、
ν4pは、前記接合負レンズの正メニスカスレンズのアッベ数、
N4pは、前記接合負レンズの正メニスカスレンズの屈折率、
である。
【0293】
〔21〕 前記第1レンズ群の後側焦点位置近傍に、開口絞りを備えていることを特徴とする上記1から5、14の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0294】
〔22〕 前記第1レンズ群と物体の間隔をWD、前記第1レンズ群の焦点距離をF1 としたとき、以下の条件(15)を満足することを特徴とする上記1から5、14、15の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0295】
WD≦0.25F1 ・・・(15)
〔23〕 以下の条件(15' )を満足することを特徴とする上記1から4の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0296】
WD≦0.2F1 ・・・(15' )
〔24〕 前記第2レンズ群は、少なくとも1つの正レンズと負レンズで構成された接合メニスカスレンズを備え、前記正レンズの屈折率をN2P、アッベ数をν2P、前記負レンズのアッベ数をν2Nとしたとき、以下の条件(16)、(17)を満足することを特徴とする上記1から4、18の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0297】
N2P≧1.65 ・・・(16)
ν2N−ν2P≧20 ・・・(17)
〔25〕 以下の条件(16)、(17' )を満足する上記1から4の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0298】
N2P≧1.65 ・・・(16)
ν2N−ν2P≧25 ・・・(17’)
〔26〕 以下の条件(16' )、(17)を満足する上記18記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0299】
N2P≧1.68 ・・・(16’)
ν2N−ν2P≧20 ・・・(17)
〔26〕 前記第3レンズ群のアッベ数が最も高い正レンズのアッベ数をν3p、アッベ数が最も低い負レンズのアッベ数をν3nとしたとき、以下の条件(18)を満足することを特徴とする上記1から4、15の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0300】
ν3p−ν3n≧35 ・・・(18)
〔27〕 変倍比が3以上であることを特徴とする上記1から5、14、15の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0301】
〔28〕 物体から順に、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、少なくとも1つの非球面を備え、以下の条件(19)を満足することを特徴とする顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0302】
NA≧0.5 ・・・(19)
ただし、NAは高倍側の顕微鏡ズーム対物レンズの開口数である。
【0303】
〔29〕 前記第1レンズ群又は第3レンズ群中に、少なくとも1つの非球面を備えたことを特徴とする上記5又は14記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0304】
〔30〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズの作動距離をWDとしたとき、以下の条件(20)を満足することを特徴とする上記1〜5、14、15、28、29の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0305】
0.5≦WD≦1.5 (mm) ・・・(20)
〔31〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズの最も像側にあるレンズ群の像側に最も近い面から物体までの距離をLとするとき、以下の条件(21)を満足することを特徴とする上記1〜5、14、15、28、29の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0306】
55≦L≦110 (mm) ・・・(21)
〔32〕 前記顕微鏡ズーム対物レンズは4群構成であって、最も低倍側での射出瞳位置をE1、最も高倍側での射出瞳位置をE2としたとき、以下の条件(22)を満足することを特徴とする上記1〜5、14、15、28、29の何れか1項記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0307】
|E1−E2|≦15 (mm) ・・・(22)
〔33〕 非球面が設けられたレンズ面の面形状が、光軸から離れるに従って曲率半径が大きくなるような面形状であることを特徴とする上記5又は14記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0308】
〔34〕 前記第2レンズ群は2つのレンズ群を少なくとも有し、該2つのレンズ群は互いに凹面を向けて構成されていることを特徴とする上記33記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0309】
〔35〕 条件(16)、(17)を満足することを特徴とする上記33記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0310】
〔36〕 前記第4レンズ群を備え、該第4レンズ群は、第3レンズ群側に凸面を向けた正レンズと負レンズの接合メニスカスレンズと、第3レンズ群側に凹面を向けたレンズ群で少なくとも構成され、条件(12)、(13)を満足することを特徴とする上記33記載の顕微鏡ズーム対物レンズ。
【0311】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、55mmから110mm程度の長さで、3つのレンズ群で、低倍から高倍にわたって収差性能に優れた10倍から40倍、開口数が0.6の顕微鏡ズーム対物レンズを提供することができる。
【0312】
また、本発明によると、物体側から、正、負、正、負のパワーを持つ4つのレンズ群で、全長が80mm程度とコンパクトでありながら、従来にない変倍比が4〜5 倍と高変倍で高開口数を備え、低倍から高倍にわたって収差性能に優れた顕微鏡ズーム対物レンズを提供することができる。しかも、射出瞳が略一定の位置に設定されているので、瞳の変動による周辺減光やシステム性の欠点がなく、システム性に優れた顕微鏡ズーム対物レンズが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例1の構成と光路を示す断面図である。
【図2】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例2の図1と同様の断面図である。
【図3】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例3の図1と同様の断面図である。
【図4】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例4の図1と同様の断面図である。
【図5】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例5の図1と同様の断面図である。
【図6】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例6の図1と同様の断面図である。
【図7】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例7の図1と同様の断面図である。
【図8】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例8の図1と同様の断面図である。
【図9】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例9の図1と同様の断面図である。
【図10】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例10の図1と同様の断面図である。
【図11】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例11の図1と同様の断面図である。
【図12】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例12の図1と同様の断面図である。
【図13】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例13の図1と同様の断面図である。
【図14】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例14の図1と同様の断面図である。
【図15】本発明の顕微鏡ズーム対物レンズの実施例15の図1と同様の断面図である。
【図16】本発明の実施例1〜15の顕微鏡ズーム対物レンズの後方に配置する結像レンズの構成と光路を示す断面図である。
【図17】実施例1の収差図である。
【図18】実施例2の収差図である。
【図19】実施例3の収差図である。
【図20】実施例4の収差図である。
【図21】実施例5の収差図である。
【図22】実施例6の収差図である。
【図23】実施例7の収差図である。
【図24】実施例8の収差図である。
【図25】実施例9の収差図である。
【図26】実施例10の収差図である。
【図27】実施例11の収差図である。
【図28】実施例12の収差図である。
【図29】実施例13の収差図である。
【図30】実施例14の収差図である。
【図31】実施例15の収差図である。
【符号の説明】
G1…第1レンズ群
G2…第2レンズ群
G3…第3レンズ群
G5…第3レンズ群
S …開口絞り
Claims (4)
- 物体から順に、物体から開口絞りまでの光学系を構成する正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、第1レンズ群中に正レンズと負レンズで構成された正のパワーを持つ接合レンズを少なくとも1つ備え、前記正レンズのアッベ数をνとしたとき、前記正レンズが以下の条件(1)を満足することを特徴とするテレセントリックな顕微鏡ズーム対物レンズ。
ν>80 ・・・(1) - 物体から順に、物体から開口絞りまでの光学系を構成する正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第2レンズ群は2つのレンズ群を少なくとも有し、該2つのレンズ群は互いに凹面を向けて構成されたことを特徴とするテレセントリックな顕微鏡ズーム対物レンズ。
- 物体から順に、物体から開口絞りまでの光学系を構成する正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ群が物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズであって、前記接合レンズは、物体側から凹レンズ、凸レンズで構成されたことを特徴とするテレセントリックな顕微鏡ズーム対物レンズ。
- 物体から順に、物体から開口絞りまでの光学系を構成する正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の少なくとも3つのレンズ群で構成され、前記第1レンズ群は複数のレンズ群で構成され、低倍側から高倍側へ変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群が光軸上を移動し、以下の条件(2)、(3)を満足することを特徴とするテレセントリックな顕微鏡ズーム対物レンズ。
0.25≦D1/D0≦0.7 ・・・(2)
0.05≦D2/D0≦0.5 ・・・(3)
ただし、D1は、前記第1レンズ群の全長、
D2は、前記第2レンズ群の低倍側から高倍側への移動量、
D0は、高倍側の顕微鏡ズーム対物レンズの全長、
である。
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