JP3989935B2 - グレーチング蓋用ロック装置 - Google Patents

Description

本発明は、共同溝の点検用出入口等に設置されたグレーチング蓋を固定枠体に錠止するロック装置に関するものである。

グレーチング蓋は露天設置されるので、流入した泥水の乾燥固化によって作動機構が目詰まりして作動不良を来さないように、ロック装置は精巧には構成されておらず、比較的簡略化された構造を採用している。
そのため、ロック装置は簡単な用具で比較的容易に解錠され、グレーチング蓋が無断開放される危険がある。

泥水の流入によって作動不良とならない簡略化された構造をとりながら、グレーチング蓋の無断開放を的確に阻止できるロック装置として、
グレーチング蓋に固着されるケースと；該ケース内に摺動案内して装備され、先端部がケースの側面板の透孔から出没して固定枠体の受金に係脱し、中間部側面に受動用切欠を設けた掛金板と；該受動用切欠に近接して配置され、前記ケースの上面板と下面板に貫通して固着された案内筒と；前記ケースと前記掛金板の間に設けられ、掛金板を突出方向に摺動付勢するバネと；前記案内筒に抜差され、側面に突出した鍵板によって前記受動用切欠の対向した縁面を押して前記掛金板を出没摺動させる筒型鍵とから成るものが提案されている（特許文献１参照）。

しかしながら、このロック装置では、前記筒型鍵が、前記案内筒に嵌挿され、先端部内に鍵板を収容して横断枢軸で枢着した外筒と、該外筒の基端部開口から嵌挿され、先端突起で鍵板の受動面を押圧して鍵板の先端部を外筒の側面開口から突出回転させる内筒とで構成され、前記内筒の基端部に操作ハンドルを設け、前記鍵板を押圧回転させない位置に前記内筒を待機させる保持用バネを設けたものであるから、ロック装置の形状構造の簡略化は未だ十全ではなかった。

実公平６−３３００３号公報

本発明の課題は、必要最低限の施錠機能を備えていながら、全体の構成部品点数を極限まで減らして製作組立のコストを節減することができ、操作の簡便性にも優れたグレーチング蓋用ロック装置を提供することである。

本発明のグレーチング蓋用ロック装置は、グレーチング蓋１に固着されるケース２と、
該ケース２内に摺動案内して装備され、先端部がケース２の側面板３の透孔４から出没して固定枠体５の受金６に係脱し、中間部上面に逃げ溝７を設けたラッチ体８と、
該逃げ溝７に対面して前記ケース２の上面板９に設けた案内孔１０に抜き差しされる把手軸１１と、
前記ケース内に固設され、前記ラッチ体８を摺動可能に支持するラッチホルダ１２と、
該ラッチホルダ１２と前記ラッチ体８の間に設けられ、ラッチ体８を突出方向に前進摺動させるバネ１４と、
前記把手軸１１の先端部側面に半径方向に突設され、前記案内孔１０の縁部の位置決め切欠１６を通して前記ケース２内に挿入され、ラッチ体８の前記逃げ溝７に挿入され、把手軸１１の所定方向の回転操作によって、前記逃げ溝７の一部に形成した受動カム面１８を押して、前記ラッチ体８を後退摺動させる駆動棒１７と、
前記把手軸１１の中間部側面に半径方向に突設され、前記位置決め切欠１６を通して前記ケース２内に挿入され、把手軸１１の所定方向の回転操作によって、ケース２の前記上面板９の裏面に係合する抜止め棒１９とからなり、
前記位置決め切欠１６と前記受動カム面１８を水平面に投影したときの配置角度に位相差を設定し、前記駆動棒１７と抜止め棒１９を水平面に投影したときの配置角度の位相差を、前記位置決め切欠１６と受動カム面１８間の位相差と同等に設定したものである。

本発明のグレーチング蓋用ロック装置では、駆動棒１７を位置決め切欠１６に合わせて把手軸１１を案内孔１０に真直ぐに挿入し、駆動棒１７の下面がラッチ体８の上面に突き当たった段階で、抜止め棒１９が位置決め切欠１６に合うように把手軸１１を回転させると、前記駆動棒１７と抜止め棒１９との配置角度の位相差を前記位置決め切欠１６と受動カム面１８との配置角度の位相差と同等に設定してあることによって、駆動棒１７が受動カム面１８の真上付近に整列した位置に到達しており、そこで把手軸１１を押し下げることによって駆動棒１７が受動カム面１８に正対することになるので、把手軸１１の挿入から解錠方向への回転準備に至るまでの一連の操作が簡単かつ的確になされる。

そして、前記対面位置において把手軸１１を所定角度回すと、ラッチ体８が駆動棒１７によってバネ１４の付勢に抗して後退摺動させられ、ラッチ体８の先端部が受金６から離脱し、この解錠成立後、把手軸１１を引き上げると、案内孔１０の周囲の上面板９の裏面に当接した抜止め棒１９によって、グレーチング蓋１が開放位置へ引き上げられるものであり、駆動棒１７と抜止め棒１９を備えた把手軸１１が、ラッチ体８を解錠位置に駆動するための鍵部材と、グレーチング蓋１を開放位置に持ち上げるための把手部材を兼ねているため、ロック装置全体の形状構造が極限まで簡略化され、製作組立のコストを大幅に節減することができる。

本発明のグレーチング蓋用ロック装置では、前記位置決め切欠１６と前記受動カム面１８を水平面に投影したときの配置角度間に位相差を設定してあるため、部外者が先端部を直角に曲げた鉤状部材を持参し、当該曲げ先端部を位置決め切欠１６に合わせて鉤状部材を案内孔１０から挿入しても、当該曲げ先端部がラッチ体８の上面に突き当たるだけであり、曲げ先端部を受動用カム面１８に正対させることができないので、無権限の部外者による不当解錠に対して最低限度の安全性は確保されている。

図示の実施例では、金属棒よりなる把手軸１１の基端部には交差方向に金属製の握り棒２９が溶接され、把手軸１１の中間部には、ケース２の上面板９の板厚相当分の間隔を置いて金属製の位置決め盤２８が溶接されている。駆動棒１７は金属棒よりなり、把手軸１１の先端部の横断孔３１に挿入して固着されている。抜止め棒１９も金属棒よりなり、把手軸１１の中間部の横断口２に挿入して固着されている。駆動棒１７は把手軸１１の片側の側面から半径方向に突出しているだけであるが、抜止め棒１９は把手軸１１の両側の側面から直径方向に突出している。

ケース２は平面視Ｕ字状に曲げた金属板よりなる本体部分の上面側に金属板製の上面板９を溶接してなるものであり、金属板のプレス加工により成形されたラッチホルダ１２が当該本体部分の内側に溶接されている。略円形状の案内孔１０は上面板９の右側に片寄らせて形成されており、位置決め切欠１６は案内孔１０の直径方向に一対に形成されている。ケース２の側面板３の透孔４とラッチホルダ１２の側面板２０の割溝２１とラッチホルダ１２の側面板１３の透孔２５に摺動案内されている金属製のラッチ体８は、中央部に左右方向に長い逃げ孔２３が形成され、該逃げ孔２３には把手軸１１の先端部が係合している。ラッチ体８の基端部の螺子孔２６には、バネガイド棒１５が捻じ込まれており、バネガイド１５の先端部は前記透孔２５に嵌合支持されている。

ラッチ体８の先端部裏面は移動方向に対して傾斜したカム面３３に形成されており、グレーチング蓋１を閉鎖回転したとき、該傾斜カム面３３が受金６の上端部に当たることによって、ラッチ体８がバネ１４の付勢に抗して一旦後退摺動し、ラッチ体８が受金６の錠止孔２２に正対する位置着来たとき、前記バネ１４の付勢によって前進摺動し、ラッチ体８が錠止孔２２自動的に係合するようになっている。

逃げ溝７は前記逃げ孔２３の中間部分と交差してラッチ体８の上面部に形成されており、受動カム面１８は逃げ溝７の左側の溝壁面が逃げ孔２３に交わる隅角部に、逃げ孔２３の長さ方向に対して傾斜して一対に形成されている。前記位置決め切欠１６と受動カム面１８を水平面に投影したときの配置角度間にはαの位相差が設定されており、前記駆動棒１７と抜止め棒１９を水平面に投影したときの配置角度にも同じαの位相差が設定されている。

前記のように受動カム面１６は逃げ孔２３の左端部を中心にして対称に２個設けられているため、把手軸１１の挿入に当たって、駆動棒１７を２個の位置決め切欠１６，１６のどちらか一方に位置合わせして把手軸１１をケース２に挿入しても、その後、抜止め棒１９を位置決め切欠１６に位置合わせして把手軸１１を押し下げることによって、駆動棒１７をどちらか一方の受動カム面１８に正対させることができ、使い勝手が良い。

固定枠体５を構成する金属製のアングル型材は、路面３０の掘下げ部に埋め込み固定されている。金属板製の受金６は、当該アングル部材の水平板部に直立に溶接されている。ケース２の平面視Ｕ字状の本体部分は、グレーチング蓋１の縦材１ａと横材１ｂで構成される桝目の一つに嵌合されており、上面板９の周縁部が縦材１ａと横材１ｂの上端と当接している。ケース２は溶接によってグレーチング蓋１に固着されている。ケース２の本体部分とラッチホルダ１２の間の底面は大きく開口され、ラッチホルダ１２の底面板には円形孔２４が形成されており、泥水等が内部に滞留固化して、機能部品の作動を阻害しないようになっている。

本発明の一実施例に係るグレーチング蓋用ロック装置を適用したグレーチング蓋の閉鎖状態の要部平面図である。 図１のＡ−Ａ線断面図である。 図２のＢ−Ｂ線断面図である。 図１のグレーチング蓋用ロック装置の平面図である。 図１のグレーチング蓋用ロック装置の正面図である。 図１のグレーチング蓋用ロック装置の左側面図である。 図１のグレーチング蓋用ロック装置の右側面図である。 図４のＣ−Ｃ線断面図である。 図１のグレーチング蓋用ロック装置に使用する把手軸の正面図である。 図９の把手軸の右側面図である。 図９の把手軸の平面図である。 図９の把手軸の底面図である。

符号の説明

１ グレーチング蓋
２ ケース２
３ ケースの側面板
４ 側面板の透孔
５ 固定枠体
６ 受金
７ 逃げ溝
８ ラッチ体
９ ケースの上面板
１０ 上面板の案内孔
１１ 把手軸
１２ ラッチホルダ
１４ ラッチ体の付勢用バネ
１５ バネガイド
１６ 位置決め切欠
１７ 駆動棒
１８ 受動カム面
１９ 抜止め棒

Claims (1)

1. グレーチング蓋１に固着されるケース２と、
   該ケース２内に摺動案内して装備され、先端部がケース２の側面板３の透孔４から出没して固定枠体５の受金６に係脱し、中間部上面に逃げ溝７を設けたラッチ体８と、
   該逃げ溝７に対面して前記ケース２の上面板９に設けた案内孔１０に抜き差しされる把手軸１１と、
   前記ケース内に固設され、前記ラッチ体８を摺動可能に支持するラッチホルダ１２と、
   該ラッチホルダ１２と前記ラッチ体８の間に設けられ、ラッチ体８を突出方向に前進摺動させるバネ１４と、
   前記把手軸１１の先端部側面に半径方向に突設され、前記案内孔１０の縁部の位置決め切欠１６を通して前記ケース２内に挿入され、ラッチ体８の前記逃げ溝７に挿入され、把手軸１１の所定方向の回転操作によって、前記逃げ溝７の一部に形成した受動カム面１８を押して、前記ラッチ体８を後退摺動させる駆動棒１７と、
   前記把手軸１１の中間部側面に半径方向に突設され、前記位置決め切欠１６を通して前記ケース２内に挿入され、把手軸１１の所定方向の回転操作によって、ケース２の前記上面板９の裏面に係合する抜止め棒１９とからなり、
   前記位置決め切欠１６と前記受動カム面１８を水平面に投影したときの配置角度に位相差を設定し、前記駆動棒１７と抜止め棒１９を水平面に投影したときの配置角度の位相差を、前記位置決め切欠１６と受動カム面１８間の位相差と同等に設定したグレーチング蓋用ロック装置。

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