JP3987964B2 - 静電気的アシスタンスにより塗布可能なカチオン重合性組成物 - Google Patents
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Description
本発明は静電気的アシスタンスの手段により基材に塗布可能な組成物に関連する。さらに詳しくは本発明は導電率エンハンサーを含有するカチオン重合性組成物、これらの組成物により塗布された基材、および基材の塗布方法に関する。
発明の背景
大気中への化学物質の放出は、しばしば空気を汚染し、大きな関心事となっている。したがって、化学工業における新製品およびプロセスが開発される場合の一つのキーファクターは環境への影響である。化学物質の放出を減する一つの手段は、溶剤を使用しないプロセスを開発し、化学物質が処理中に、あるいは最終生成物から蒸発しないようにすることである。
液体塗布は従来溶剤ベースのプロセスであった。液体塗布は、基材、通常フィルムあるいはウエブなどの固体面、に接触している、ガス、通常は空気、を液体の層と置換するプロセスである。塗膜の付着後、塗膜は液体のままで存在するかもしれない、もしそれが、揮発性の液体に溶解した固体を含んでいるなら、乾燥後に固体からなる、通常密着性の層を残すかもしれない。あるいは塗膜は「硬化」され(すなわち重合され)、あるいは何か他の方法で固化されて、機能的な通常密着性の層となるかもしれない。特に薄い塗布膜が望まれる場合には、通常塗布プロセスには揮発性溶剤を使用し、それを蒸発により除去して所望の組成物を後に残す。
塗布プロセスは通常所望の塗布膜高さ(すなわち、塗布膜厚)に基づいて選択される。約5μm以上の高さに組成物を滑らかな基材に塗布するには、一般に連続液体塗布技法(ロール、カーテン、スロット、スライド、グラビアなどおよびそれらの組み合わせ)が好まれる。概要はモダン コーティング アンド ドライイング テクノロジー、E. CohenおよびE. Gutoff、VCH出版、ニューヨーク、1992年を参照のこと。粗面あるいは「3次元」の面は好ましくはスプレープロセスによって塗布される。
従来、溶剤希釈型の薄い塗膜、すなわち、乾燥膜厚が約5μm以下の塗膜はリリースコーティング、プライマー、あるいは帯電防止層として使用するために基材に塗布され、一方、より厚い塗膜は、接着剤あるいは塗布研摩剤製造などに使用されている。連続液体塗布技法を薄いコーティングを塗布するために使うこともできる。しかし、通常、組成物は大量の溶剤で希釈され、これを後に蒸発で除去し、望ましい層厚の組成物を後に残している。最終的な乾燥した層の均一性と層厚は特に粗面上では制御が困難な場合がある。加えられた溶剤により、材料費、製造経費および溶剤除去コストがより高額になる。さらに通常使用される溶剤は環境に対して有害であるかもしれない。
連続液体塗布プロセスでは、塗布のラインスピードが増加すると、プロセスは不安定になり、組成物が最初に基材に出会う領域において空気の閉じ込めが生じる。この領域は通常「塗布ビード」と呼ばれる。幸いに、塗布ビードと基材の間に生じる空気閉じ込め問題を改善するには静電気的アシスタンスを使用することができる。しかしすべての組成物が静電気的アシスタンス方法によって塗布できるわけではない。電場が加わったとき、自由イオンが組成物の中で動くことができるように、組成物は十分な導電率を持っていなくてはならない。さらに組成物と基材の間に高い電位差が加わるので、組成物中に電場が生じ、組成物中のある極性を持つイオンが基材に最も近い塗布ビード表面へと移動する。一つも塗布ビードを持たない塗工機の場合(例えば、グラビア)でも、イオンは基材に最も近い組成物表面(例えば、グラビアセル中の組成物表面)に向かって移動する。組成物のこの「誘導帯電」は塗布ビード表面で静電圧を引き起こし、それが塗布ビードの形を変形し、空気が塗布ビードと基材の間に入り込むのを妨げる。したがって、連続塗布を行う際には静電気的アシスタンスにより、均等性を維持しつつラインスピードを増加させることができるかもしれない。個別のグラビア印刷法を使用する場合でさえ、静電圧により組成物がグラビアセルから「引き」出されるため、静電気的アシスタンスによりラインスピードが増加する。
溶剤希釈型の薄いコーティングは同じくスプレープロセスによって塗布することもできる。スプレーコーティングは組成物を滑らかな基材に塗布するために使用することもできるが、これはとりわけ粗面あるいは3次元物体、および粗面あるいは3次元の表面を持つシート状のウエブの塗装方法として特に有用である。静電スプレープロセスは通常、溶媒含有組成物の5μm以上の高さの塗膜を粗面上に設けるために好ましく使用される。しかし、スプレープロセスに伴う問題としてオーバースプレーがある(すなわち、組成物の50から80パーセントが基材に届かないことがある)。(Miller、E.P.、静電学およびその応用、第11章、静電塗布;Wiley-Interscience(1973年)編集者:A.D. Moore)。静電スプレープロセスは、より制御されたスプレー手段を供給し、それにより物質的な損失を減少させる。
いっそう効率的な静電スプレープロセスにおいては、液滴は誘導帯電を用いてその形成中に帯電される。誘導帯電では、噴霧器において組成物内の電場を通して液滴が帯電され、それによって電場は正の自由イオンを負の自由イオンと反対の方向に移動させる。一方の極性を持つイオンが過剰になると組成物表面に沿った領域において蓄積し、そして組成物を破壊して帯電された液滴ミストを作り出すのに必要な静電圧が生じる。この誘導帯電をおこなうためには、組成物は妥当な数の自由イオンの存在を保証するに十分な導電率を持っていなくてはならない。静電スプレイコーティング中の液滴は直径が約50μmから約200μmまでであるが、一方従来の(非静電)スプレープロセスでは液滴の大きさは500μmまでである。
静電スプレイ法内の一つの明確なサブクラスであるエレクトロスプレイはが低流量に限定されており、そのため約0.005μmから約10μmの厚みの塗膜を塗布するのに有用である。エレクトロスプレイは溶剤を使用しない薄い塗膜を塗布するのに使用することもできる。エレクトロスプレイプロセスにおいてはスプレイヘッドでの組成物表面上の静電圧により組成物の一つあるいはそれ以上の精密に制御された円すいが形成され、そこから液体の細いフィラメントが発出する。各フィラメントはフィラメントの直径のオーダーの直径を持つ液滴のミストとなって砕ける。液滴の直径は塗布溶液の導電率によって制御することができる。液滴の直径は通常50μm未満であり、導電率が十分に大きいなら、1μm未満も可能である。
エレクトロスプレイプロセスは薄膜塗布に対する効率的な手段であるが、すべての組成物がエレクトロスプレイできるわけではない。あらゆる静電気的アシスタンス法について言えるように、この組成物はある特定の必要条件を満たさなくてはならない。塗布される組成物の粘性と導電率の必要条件は静電気的アシスタンス方法により、また所望の塗布膜厚により異なる。エレクトロスプレイでは、組成物は本質的に単相溶液あるいは非イオン的に安定化された分散液あるいはエマルジョンでなければならない。そうでないと組成物がエレクトロスプレイのプロセス中に不安定になるかもしれない。単相溶液(「真の溶液」)中では各成分が完全に可溶性である。
組成物が単相溶液あるいは非イオン的に安定化したエマルジョンあるいは分散液であるなら、組成物は溶剤の有無にかかわらずエレクトロスプレイすることができる。しばしば必要な成分溶解度を得るため、溶剤も組成物に加えなくてはならない。この加えられた溶剤は、特にもし有機質であり、それが処理中にあるいは処理後に蒸発し、捕捉されない場合、環境問題を引き起こすかもしれない。
組成物が真に無溶剤性である場合、実質的にすべての初期成分は何らかの形で最終製品に存在している。溶液流延の薄いコーティングもあるが、溶剤が処理中に蒸発により失われるので、この定義には当てはまらない。例えば、エタノールあるいはメタノールを溶解度と導電率を強化するためにエレクトロスプレイ性組成物に加えることもできるが、それらは処理中に蒸発する。
水ベースの組成物が「無溶剤性」と呼ばれる事もあるがこれらは少なくとも完全に乾燥しないとカチオン重合を行うことがことができない。
導電率を強化するために溶剤を組成物に加えることができる。望ましい導電率範囲を達成するために、組成物は導電率エンハンサー、すなわち、塩、に加えて、通常揮発性有機化合物(「VOC」)と見なされている極性溶媒をしばしば含有している。これらの揮発性有機化合物は環境に対して有害となり得る。
導電率を強化するために第四級アンモニウム塩が印刷インクに加えられている。しかし、選択する負イオンによっては、これらの塩はカチオン重合と両立できないかもしれない。
米国特許第4,059,444号はインクに硫酸塩、ホウ酸塩とヨウ化物のような比較的低分子量のアニオンを持つ第四級アンモニウム塩を加えることを開示している。これらの導電率制御剤は、静電的に塗布されるインクの導電率を増加するために0.05から約1重量パーセントのレベルで添加されている。
米国特許第4,303,924号はVa.族元素の鉱酸あるいは有機酸第四級塩のような油溶性の塩を極性有機溶剤を0から30%含有する硬化性印刷インクに添加することを開示している。すべての例において極性有機溶剤が含有されている。
均一な層厚を持つ薄層をエレクトロスプレイするためには、エレクトロスプレイミストの各液滴は基材上で適度に延展するために粘度が十分に低くなくてはならない。しかし、塗布によっては基材、例えば、スリップシート上で個別の液滴を硬化することが望ましいかもしれない。粘性を制御するために、溶剤と反応性希釈剤が加えられている。例えばEPO Appln No. 93.924905.8(Leirら)はエレクトロスプレイできる、カチオン重合性のポリシロキサンリリースコーティングの粘度を調整するために反応性希釈剤を添加する事を開示している。
基材にコーティングを塗布する方法とは無関係に、成分が製品の最終性能に対する有害な妨害を行わないことがことが好ましい。成分は蒸発するか、重合に干渉しないか、あるいは処理中にコーティング中に物理的に閉じ込められることが好ましい。そうでないと、この成分は基材中へ移行し、製品の性能に有害な影響を与えるかもしれない。あるいは、この成分は後に蒸発し環境を汚染するかもしれず、あるいは後に別の表面と接触し、摩擦落ちし、その表面を汚染するかもしれない。静電気的アシスタンス法が提供する利点を利用するためには、組成物は十分な導電率を持っていなくてはならない。したがって、実質的にすべての成分が最終製品に存在し、それらは他の成分と共重合可能であるか、あるいはコーティングの永久部分となっているような静電気的アシスタンス(すなわち、静電的に支援された連続液体塗布(ロール、カーテン、スロット、スライド、グラビアなど)、静電スプレーコーティング、あるいは静電塗装)によって塗布できるコーティング組成物が必要なのである。
発明の要約
我々は、静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布することができ、その成分が重合に干渉せず、基材上に置かれて実質的に重合されるとき、製品の物性を有害に劣化することのない組成物を見いだした。
本発明に従い、導電率エンハンサーを添加することによって、静電気的アシスタンスにより塗布を行うには導電性が不十分であった組成物を所望の導電率を達成するような配合とすることができる。適切な導電率を達成するのに加えて、導電率エンハンサーは組成物中に可溶性で、組成物の粘性に悪影響を与えず、好ましくは実質的に共重合性であるか、あるいは最終組成物の永久部分となるもので、そして最終生成物を有害に劣化しないものでなければならない。非配位性炭素を含有するアニオンを持つ不揮発性の塩はこれらの要求事項を満たす。
本発明は静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布可能な導電率エンハンサーを含有する組成物を提供する。この組成物は一つあるいはそれ以上のカチオン重合性の単量体、一つあるいはそれ以上のカチオン性開始剤、一つあるいはそれ以上の、単量体に可溶性のアニオンおよびカチオン部分を持ち、カチオン重合と干渉しない不揮発性の導電率エンハンサーを含有する。ここで前記のアニオン部分は非配位性親有機性炭素を含有するアニオンである。単量体および開始剤は組み合わせたときにそれらが静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するには不十分な導電率を持っているようなものである。さらに特定の性能を重合した塗膜に与えるために、この組成物はさらに一つあるいはそれ以上の解離強化剤、ラジカル硬化性単量体、ラジカル発生開始剤、均展材、好ましくは共反応性のオリゴマーあるいはポリマー、さらに他の添加剤と補助剤を含有しても良い。粘度要求事項は静電気的アシスタンス塗布方法によって異なる。
本発明のもう一つの実施例は、静電気的アシスタンスによって基材に塗布できる「無溶剤性」組成物である。
本発明のもう一つの実施例は、基材、特に粗面あるいは三次元の基材にエレクトロスプレイできる組成物である。
詳細な説明
カチオン重合性の単量体を含んでいる有機組成物に導電率エンハンサーとしてある種の塩を添加すると溶剤を加えなくてもその組成物の導電率が大きく増加する。導電率エンハンサーの添加により、静電気的アシスタンスによる塗布には不十分な導電率を持つ組成物は必要な導電率を達成し、連続液体塗布、静電スプレー塗布、エレクトロスプレイコーティングなどの方法により静電気的に塗布できるようになる。
導電率要求事項は塗布工程にだけ当てはまる。組成物がいったん基材に塗布されると、導電率は大きく減少、あるいは除去される。
誘導帯電に基づく静電気的アシスタンス塗布方法はイオン伝導体として働く、溶液中のイオン(すなわち、非配位イオンとして挙動するように物理的に分離されているイオン)を必要とする。公知のイオン伝導体としては塩、酸、水、および解離した化学種を含有する極性溶媒があげられる。水はカチオン重合と両立できない。酸はしばしば揮発性であり腐食性である。上に論じたように、解離強化剤として作用することにより、極性溶媒を導電率強化に使用することもできる。しかし、極性溶媒はしばしば処理中に蒸発し、環境に有害となることがある。従って、静電気的アシスタンス方法によって塗布できる無溶剤性の組成物を作るために、導電率を強化するには塩が有用である。しかし、すべての塩が有機組成物中で有用であるわけではない。
無溶剤性組成物すなわち固体含有量の高い溶液に対し、ひとつの定義を普遍的に使用することはない。理想的には、無溶剤性組成物は100%反応的でありVOCを含有しないあるいは製造しない。当該分野で知られているように、この理想的な組成物はたとえ不可能でないにしても達成することは困難である。特に、塊状重合は転換率が高いと遅くなり、したがって100パーセントの転換すなわち重合は経済的な制約を考慮しなくても、達成が困難である。組成物の非理想的性質を説明するために、いくらかのレベルの非反応性成分あるいは揮発性成分が仮定される。合衆国環境庁(EPA)はアメリカ材料試験協会(ASTM)スタンダードD5403−93にあるように、放射線硬化材料のVOC含有量を測るためのテスト方法論を確立した。テスト方法Aは「本質的に100%反応性であるが、不純物として、あるいは種々の添加剤を包含することによって導入された揮発性材料をごくわずか(3%以下)含むかもしれない放射線硬化性材料」に適用される。揮発性材料が存在するかどうかを決定するために、組成物を硬化しついで100±5℃で60分間強制通風炉で熱する。加熱後に基材、硬化前の組成物、硬化後の組成物および加熱後の硬化された組成物重量測定が(すべて室温において)行われる。本発明において「無溶剤性」組成物とはこの標準に従うものであり、VOC含有量が3重量パーセントを上回わらないものである。
この標準を満たすことに加え、本発明の無溶剤性組成物は、当初の成分の全合計量の2重量パーセント未満がASTM D5403−93、テスト方法Aの実施中に熱抽出性であることが好ましい。したがって単量体、開始剤、導電率エンハンサーおよび他の添加剤の少なくとも98重量パーセントが遊離基硬化法に使用されたエネルギー源とは無関係に、最終重合製品中に存在している。
この重合の非理想的性質によりまた2重量パーセント未満の損失要求が見込まれている。
この無溶剤性組成物を達成するためには、処理や重合の間および最終生成物で組成物が2重量パーセント以上の物質を蒸発あるいは「熱抽出」によって失わないように各成分が選択されなくてはならない。
さらに、これらの成分は最終生成物の他の層中に移行しないことが好ましい、そうでないと製品の物性が不利な変化を受けるかもしれない。
組成物の導電率必要条件は、静電塗布方法(表A参照)によって異なるが、この塗布方法は所望の塗布高さによって決定することができる。
ヴァルデンの法則(Jordan、P.C.,Chemical Kinetics and Transport, Plenum Press、ニューヨーク(1980年))は所定のシステムに対し、イオン導電率と粘度の積はほぼ定数であることを示している。したがって、イオン導電率は粘度を減少することによって増加することができる。しかし、スプレー塗装においては、短時間にほどよく延展し、コーティングの平滑化を行うために液滴粘性は、好ましくは非常に低く保たれている。従って、静電塗装において、とりわけエレクトロスプレイコーティングにおいて、組成物の粘性は通常1パスカル−セカンド未満である。同様の制限が他の方法にも当てはまる。(表A参照)。ほとんどの静電気的アシスタンス方法にとって粘性はすでに低いことが要求されているので、望ましい導電率は粘性を調整することによって容易に得ることはできない。
必要な導電率がないと、組成物は静電気的アシスタンスによって塗布することができない。このことがこれらの塗布方法を使用する上での大きな制限になっている。しかし、本発明に従い、十分な導電率を提供するためこれらの組成物にある種の塩を加えることによって、以前には静電気的アシストができなかった組成物が今や静電気的アシスタンス法によって基材に塗布できるようになる。
導電率エンハンサー
導電率エンハンサーとしての塩はクーロン引力によって一つに結合したイオンを含有している。ただイオンが存在するというだけでは塩溶液が十分なイオン伝導体であることにはならない。静電引力により正負の荷電イオンが結合してイオン対を形成しイオン伝導率が大きく減少する。従って、十分な伝導体であるためには、イオン対は少なくとも部分的に解離し、イオンが独立した、すなわち自由イオン(あるいは、これよりは好ましくないが、イオントリプレット)にならなくてはならない。自由イオンは、組成物に加えられた電解に容易に応答するに十分な固有移動度を持っているなら、組成物のイオン導電率を大幅に増加することができる。イオン対が組成物中で解離する能力は媒体の誘電率などのようないくつかの因子に依存する。
他の添加剤と同様、イオン対(すなわち塩)は、組成物が潜在的に静電スプレイ可能であるためには真の溶液を形成するために可溶性でなければならない。種々の単量体混合物が伝導性となるためにはイオンが必要である、しかし塩の溶解度は異なるので、いくつかの塩は他のものよりいっそう効果的となる。重要なのは有機組成物であるから、通常少なくとも1つの有機イオンを持つ塩がより良い溶解度を持っている。このような有機塩の溶解度は有機基を適切に選択することによって調整することができる。
一般に、より高い誘電率(より高い極性)を持つ材料は自由イオンをより安定させることが可能である。極性材料は正負の荷電イオン間の引力を減らし、イオン対を分離させ自由イオンとする。一般に、溶解した塩イオンはしっかりと対を作り(配位し)、したがって本質的に非伝導性であるかもしれないし、あるいは(それらの構造と環境の結果として)容易に物理的に分離し、イオンが実質的に伝導性の非配位(または自由な)イオンとして作用するかもしれない。有機組成物の極性が低くなり、したがってより低い誘電率を持つと、自由イオンと密接なイオン対間の均衡は後者の方へシフトする。したがって溶解したのち、より好ましくない条件にもかかわらず(すなわち、低極性でありかつ低い誘電率)容易に解離して自由イオンとなるようなイオン対を形成する塩を導電率の強化のために選ぶことが望ましい。
2つのイオンの解離による分離が容易であるかどうかは対イオンが緊密に配位し、イオン対を形成することを妨げる、電荷中心のまわりの立体障害および/またはイオンの一方あるいは両方の電荷の非局在化により、好ましい影響を受けると考えられている。イオンの電荷部位の周りの立体障害は対イオンへのアクセシビリティを弱めるため、イオンがよりゆるやかに結合される傾向がある。もし立体障害を起こしている基が塩の溶解度に干渉しないなら、立体障害がより大きい方が個別のイオンへとイオン対を分離するのに有利に働き、組成物のイオン導電率を強化することになろう。しかしイオン径が増大すると、それによりイオン移動度が減少するため、結局は導電率が減少するであろう。電子求引基、特にフッ素あるいはフッ素化基は、一般にアニオン部分中で電荷非局在化を増大し、導電率を強化する。
イオン類は多数の電荷を持っていてもよい。一般に、一価イオンは選択された単量体混合物でより容易に可溶化し、解離して自由イオンを形成する。二価と三価のイオンも使用することができるが、よく「安定化」されていない限り、一般にはあまり好ましくない、というのも余分の電荷がより長い距離にわたり緊密なイオン凝集に有利に働くからである。ポリアクリル酸の塩などの重合体のイオンは、移動度が厳しく制約をされているため、特に粘着性の媒体中で導電率に制限がある。
導電率エンハンサーは不揮発性であり、25℃においてそれらの蒸気圧は1kPa以下、好ましくは25℃において0.5kPa以下、より好ましくは25℃において0.1kPa以下である。この導電率エンハンサーは、分解して、処理中に、あるいは最終生成物から揮発分、すなわち熱あるいは水で抽出される成分を形成しないことが好ましい。導電率エンハンサーは比較的小量加えたときに組成物の導電率を増やすことが好ましい。通常添加量は約0.001重量パーセントから約10重量パーセントまで、好ましくは約0.001重量パーセントから約1重量パーセントまでである。さらに、導電率エンハンサーは重合を妨害してはならない。本発明で有用な導電率エンハンサーは、有機単量体中で塩の溶解とイオン解離を促進するために、大きな炭素含有非配位性親有機性アニオンと無機または有機カチオンとを持つ塩を含有する。好ましくは負イオンは少なくとも200kg/kmolの式量を持つ。
好ましくは、選択された導電率エンハンサーの少なくとも1部は組成物の残りと共重合する。しかし、もし導電率エンハンサーが小量添加され、硬化組成物中に物理的に閉じ込められており、したがって実質的に基材の他層へ移行せず、加熱および水にさらされたときに蒸発や抽出が行われない時、導電率エンハンサーは共重合する必要がない。移行する導電率エンハンサーは最終生成物の物性に望ましくない影響を与えるかもしれない。
有用なアニオンとしては、これに限定するわけではないが、アルキル、シクロアルキル、およびアリールスルホナート、フルオロアルキルスルフォニルイミド、フルオロアルキルスルフォニルメチド、アリールボレート、カルボランアニオンおよびメタロカルボランアニオンがあげられる。いくつかの場合には、ボロンカテコレートが有用である。好ましくは、アニオンはハロゲン置換されたものであり、最も好ましくはハロゲンはフッ素である。
最も好ましい本発明の塩(導電率エンハンサー)はフッ素化アニオンを含有しており、それらは各式
ここでXはH、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリル、−SO2R、−SO2Rf、−C(O)R、−SO2Fおよび−C(O)Rfであるが好ましくは−SO2Rfである、
を持つ、(フルオロアルキルスルフォニル)イミド(I)、(フルオロアルキルスルフォニル)メチド(II)、フルオロアルキルスルフォネート(III)、およびフッ素化あるいはフルオロアルキル化アリールボレートアニオン(IV)である。
Rはアルキル、シクロアルキル、アラルキル、置換されたアルキル、アリール、および置換されたアリール基から成る群から選択される。置換されたアリールはハロゲンあるいはハロアルキル置換基、好ましくはフッ素あるいはフルオロアルキル置換基を含有しても良い。
Rfは少なくとも1つの炭素原子を含んでいる一価のフッ化飽和脂肪族ラジカルであってよい。このラジカルが骨格鎖に複数の炭素原子を含有している場合、この鎖は分岐していても環状であってもよい。炭素原子の骨格鎖は、それぞれが炭素原子、あるいは六価の硫黄原子とだけ結合している、二価の酸素や三価の窒素原子のような、ヘテロ部分によって中断されていてもよく、これらはそれぞれ炭素、フッ素、あるいは酸素原子に結合していてもよいが、このようなヘテロ部分が存在する場合はこのような骨格鎖において炭素原子2個につき当該ヘテロ部分が含有されるのは1個までであることが好ましい。水素原子、臭素原子あるいは塩素原子と結合した炭素が時折存在していてもよい。しかし、存在する場合は、それらは平均で2個の炭素原子につき1個までであることが好ましい。したがって非骨格原子価結合は好ましくは炭素−フッ素結合である。つまりRfは好ましくは過フルオロ化されている。
Rfの炭素原子の総数はさまざまであるが、例えば1から12個、好ましくは1から8個、より好ましくは1から4個である。Rfが環状構造であるか、あるいは環状構造を含有している場合、このような構造は好ましくは、5または6員環であり、それらの環員の一つあるいは二つは前記のヘテロ部分、たとえば酸素および/または窒素であってよい。式中にRf基が2個以上含有される場合、それらは同一であっても異なっていてもよくまた結合して環を構成していても良い。あるいは、Rfはフッ化、あるいはフルオロアルキル化された芳香族基あるいはフッ素原子であってもよい。
式(IV)中のRf‘の部分は芳香環毎に一つ以上のフッ素化された置換基であり、一つ以上のフッ素原子あるいは上の説明に従うRf基であってよく、ここでRfは好ましくはCF3である。集合的にRfで表される、芳香環毎の非環状炭素原子の総数は好ましくは4より大きくない。最も好ましくは式(IV)はPFTPB(テトラキス[ペンタフルオロフェニル]ボレート)およびTFPB(テトラキス[3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル]ボレート)である。ひとつのボレートアニオンと結合した、複数のRf部分は同一であっても異なっていてもよくまたどのように組み合わされていても良い。
RとRfはさらに、塩が溶解している単量体と反応する重合機能性を持ち、重合中にアニオンを固定化する機能を示してもよい。これは固定化硬化組成物中の塩を抽出、浸出あるいは移行するのが望ましくない用途において必要であるかもしれない。
式(I)から(IV)で表されるアニオンのうち式(I)、(II)および(IV)のイミド、メチドおよびアリールボレートアニオンは溶解度と導電率の点からもっとも好ましい。
本発明を実施するうえで有用なアニオンの例をあげると、これらに限定するわけではないが、下記の通り;
(C2F5SO2)2N-,
(C4F9SO2)2N-,
(C8F17SO2)3C-,
(CF3SO2)3C-,
(CF3SO2)2N-,
(C4F9SO2)3C-,
(CF3SO2)2(C4F9SO2)C-,
(CF3SO2)(C4F9SO2)N-,
[(CF3)2NC2F4SO2]2N-,
(CF3)2NC2F4SO2C-(SO2CF3)2,
(3,5-(CF3)2C6H3)SO2N-SO2CF3,
(CF3SO2)(FSO2)N-,
(CF3SO2)2(FSO2)C-,
(CF3SO2)2(H)C-,
CF3SO2)2(C6H5)C-,
C6F5SO2C-(SO2CF3)2,
C6F5SO2N-SO2CF3,
(F-C6H4SO2)(CF3SO2)N-,
(H-CF2CF2SO2)N-,
(ClCF2CF2SO2)2N-,
CF3SO3 -,
(CF3)2NC2F4SO3 -,
C4F9SO3 -,
3,5-(CF3)2C6H3SO3 -,
[3,5-(CF3)2C6H3]4B-,
(C6F5)4B-,
(C6H4-p-CF3)4B-,
(C6H4-m-CF3)4B-,
(C6H4-p-F)4B-,
(C6F5)3(CH3)B-,
(C6F5)3(n-C4H9)B-,
(C6H4-p-CH3)3(C6F5)B-,
(C6F5)3FB-,
(C6H5)3(C6F5)B-,
(CH3)2(C6H4-p-CF3)2B-,
(C6F5)3(n-C18H37O)B-,
一般に、上述のビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドと環状パーフルオロアルキレンジスルホニルイミド塩はU.S.S.N. 08/531,598(Lamannaら)およびU.S.S.N. 08/398,859(Waddell)に記載されているように製造することができる。これらの塩はフルオロアルキルスルホニルフルオライド、RfSO2F、あるいはパーフルオロアルキレンジスルホニルフルオライド、FSO2Rff3SO2F、を無水アンモニアと反応することによって製造される。Rf1とRf2が同じである対称なイミドはスキームIに示すようにトリエチルアミンのような弱塩基性有機溶剤を使って一段で製造できるが、Rf1とRf2が異なっている非対称イミドはスキームIIに示すように、2段で製造しなくてはならない。
環状パーフルオロアルキレンジスルホニルイミド塩は米国特許第4,387,222号に記載されているように、製造することができる。
本発明のイミドおよびメチド塩の前駆体として使用されるパーフルオロアルキルスルホニルフルオライドとパーフルオロアルキレンジスルホニル−フルオライドは例えば米国特許第3,542,864号、5,318,674号、3,423,299号、3,951,762号、3,623,963号、2,732,398号およびS.Temple、J. Org. Chem.、33(1)、344(1968)、D.D, DesMarteau、Inorg., Chem.、32、5007(1993)に記載のように当該分野で公知のさまざまな方法によって製造できる。
重合性官能基を持つフルオロアルキレンスフホニルフルオライドはJ. Fluorine Chem 66、105(1994)、Gardら、Coordination Chemistry Reviews112、47(1992)、Gardら、J. Fluorine Chem、49、331(1990)、Gardら、J. Fluorine Chem43、329(1989)、Gardら、J. Fluorine Chem67、27(1994)、Gardら、J. Fluorine Chem55、313(1991)、Gardら、J. Fluorine Chem38、3(1988)、Gardら、Inorg. Chem.、29、4588(1990)、米国特許第5,414,117号(Armand)および米国特許第5,463,005号(DesMarteau)に記載されている。重合性官能基を持つフルオロアルキレンスフホニルフルオライドから製造されるポリマーはDesMarteau、Novel Fluorinated Acids for Phosphoric Acid Fuel Cells, Gas Research Institute Report # GRI-92/0385、1992年7月およびJ. Fluorine Chem.、72、203(1995)に記載されている。
一般に上記のパーフルオロ有機スルホナート塩はU.S.S.N.08/398,859(Waddellら)に記載されている方法で概ね製造される。これらの塩は、水の存在下、場合によってはさらに極性溶媒の存在下で所望のカチオン(例えば炭酸塩、水酸化物、あるいはアルコキシド塩)を持つ塩基性の塩との反応により、対応するパーフルオロ有機スルホニルフルオライドを加水分離することによって製造される。
フルオロケミカルイミド塩の合成に有用なプロセスは下記に記載されている;
1.D.D. Des Marteauら、Inorg Chem.、1984、23、3720−3723頁;
2.D.D. Des Marteauら、Inorg Chem.、1990、29、2982-2985頁;
3.カナダ特許 2000142−A;
4.米国特許第4,505,997;および
5.米国特許第5,072,040号。
フルオロケミカルメチド塩とそれらの共役酸の合成に有用なプロセスは下記に記載されている;
1.米国特許第5,273,840号および
2.TurowskyとSeppelt, Inorg Chem.、(1988)27pp.2135-2137。
パーフルオロ有機スルホニルフルオライドを製造するには、対応する炭化水素スルホニルフルオライド(例えば、Hansen米国特許第3,476,753号に記載の方法によって製造される)をHansen米国特許第3,476,753号、Simons米国特許第2,519,983号およびChemistry of Organic Fluorine Compounds、Milos Hudlicky,ed., 2d ed., PTR Prentice Hall(ニューヨーク)pp 73-76、に記載の方法にしたがって電気化学フッ素化法で過フッ素化し、精製する。
一般に、本発明の導電率エンハンサーは、WO95/03338(Lamannaら)に記載されているように所望のカチオンと、塩化物、PF6 -,SbF6 -,あるいはBF4 -などの従来の対アニオンを含有する塩を、適当な溶剤中で、本発明の非求核性アニオンのアルカリあるいはアルカリ土類金属塩あるいはアルキルアンモニウム塩などの単塩と共にアニオン交換あるいはメタセシス反応させることによって製造できる。一般にメタセシス反応は約−80℃から約100℃の範囲の温度において行うことができるが、好ましくは周囲温度において、本発明の塩かまたはメタセシス副生物が選択的に沈殿する、したがって本発明の塩が溶液あるいは純粋な固体のかたちで分離される条件下で行われる。あるいは本発明の非求核性アニオンを含有する不溶性のアニオン交換樹脂のカラムに塩の溶液を通すことによって、イオンメタセシスを行ってもよい。もし上記の個別の成分が静電気的アシスタンスによって塗布可能な組成物に直接加えられるのであれば、本発明の塩はin situで形成されるであろう。しかし、静電的アシスト可能な組成物に添加し、塗布および重合プロセスを行うに先立ち、純粋な塩(導電率エンハンサー)を別のステップで固体としてあるいは適当な溶剤中に形成することはより好ましい。
適当なメタセシス溶剤は一般にメタセシスに必要な少なくとも一つの、好ましくはすべての試薬に反応せず、かつこれらを溶解できるものである。一般に所望の塩あるいはメタセシス副産物が選択的に沈殿し、それにより所望の塩が比較的純粋な形で分離できるような溶剤が選択される。通常、特定のシステムのための望ましい溶剤は経験的に決定される。アニオン交換樹脂が使われる場合、溶剤は樹脂を溶解してはならないが、メタセシス試薬と生成物である所望の塩は溶解しなくてはならない。適当な溶剤の例をあげると、これに限定するわけではないが、水、塩化メチレンとクロロホルムのようなフロロカーボン類;エーテル類;トルエンとクロロベンゼンのような芳香族炭化水素類;アセトニトリルのようなニトリル類;メタノールとエタノールのようなアルコール類;ニトロベンゼン;ニトロメタン、アセトンとメチルエチルケトンなどのケトン類;および他の同じようなクラスの有機溶剤がある。試薬と製造された塩の溶解度を制御するために、溶剤を混合することはしばしば望ましい。
[3,5-(CF3)2C6H3]4B-(TFPB-)のナトリウムとリチウム塩を、下記の公表された技法で製造した(H.小林ら、in Bull chem. Soc., Jpn., 57, 2600(1984)。
[Li[B(C6F5)4]]2(C2H5)2OをWO95/03338(Lamannaら)に記載のされたように製造した。
C6F5Li(70mmole)をA.G. MasseyおよびA.H. Park, Organometallic Synthesis, 3, 461 (1986)に記載の方法に従い、溶剤として200ミリリットルのヘキサンと50ミリリットルのジエチルエーテルの混合物を用いる修正を加えて製造した。この混合物に−78℃で、17.5mlの1.0MのBCl3のヘキサン溶液を滴下した。一晩攪拌した後の、粗生成物をSchlenkフィルターで濾し取り、真空乾燥させた。粗物質は無水塩化メチレンを用いたSoxhlet抽出により真空で精製され、白い粉状の生成物を得た。この生成物を高真空下で乾燥したところ13グラム(77パーセント)の収率を得た。1H NMR分析によりこの生成物が式量あたり2.1モルのジエチルエーテルを含んでいることを示した。この生成物は吸湿性であったため、それは乾燥した窒素の下に保存した。
Li[B(n-ブチル)(C6F5)3]をU.S.S.N. 08/097,279(Lamannaら)に記載のように製造した。1.17g(2.3mmoles)の(C6F5)を10mlのヘキサンに懸濁させた液を攪拌し、そこに0.95mLの2.5Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液を窒素下で加えた。白い固体生成物が沈殿し、30分後、それをろ過により分離し、5mlのヘキサンで洗浄した。真空乾燥後の収率は0.98グラムであった。11B NMR(トルエン):BF3(Oet2)と比較して-7.7(s)ppm。
本発明の塩のカチオン部分は事実上いかなる有機のあるいは無機のカチオンであってもよい。例えば、好ましいカチオンはアルカリ金属、アルカリ土類金属、あるいはVa.、VIa、あるいはアンモニウムのようなVIIa族オニウムカチオン、アルキルアンモニウムと他の窒素−オニウム、ホスホニウム、アルソニウム、イオドニウムおよびスルホニウムカチオンである。前記のカチオンは塩の固定化のために好ましくは重合性であってよい。
最も望ましい塩は1重量パーセント未満の濃度で使用することができ、解離強化剤を必要としない。比較的非導電性の混合物のイオンの導電率を上げるために解離強化剤を使用してもよく、あるいは塩を1重量パーセント以上の濃度で使用してもよい。
エポキシ類やジビニルエーテル類のような、カチオン重合性単量体混合物に適した導電率エンハンサーは生長する化学種(生長するポリマーの鎖端カチオン)と結合する傾向があり、重合速度を大きく減じるか、あるいは抑制することになる高度に求核性のアニオンを持たないものである。カルボキシレートやハロゲン化物などのような求核性イオンが存在すると、重合不活性な化学種が、特に低い誘電率媒体中で、容易に形成される。この問題を避けるために、BF4 -、PF6 -、AsF6 -とSbF6などの非求核性のアニオンが一般に使用されている。ビニルエーテル類やエポキシ類のような高度に無極性の単量体では、CF3SO3−(トリフレート)、C(SO2CF3)3 -、N(SO2CF3)2 -,CH(SO2CF3)2 -,TFPB-などのもう少し可溶化性のアニオンを使うことは有益であるかもしれない。これらの対イオンと一緒に、カチオン硬化性単量体の重合を行うことは依然として可能である。フッ化無機アニオン(上記)と同じように、重合速度は単量体とアニオンの非求核性の度合いによって異なるであろう。
エレクトロスプレイ可能な単量体混合物を硬化するために使われた開始剤もまた塩であってもよく、その溶解度、反応性、イオン導電率、および/または安定度を改善するために、本発明のアニオンと会合していてもよい。イオン触媒あるいは開始剤が十分に伝導性である場合、それは硬化、あるいは重合開始剤として並びに導電率エンハンサーとしての二重の機能を果たすことができる。同一のあるいは異なったアニオンを含む塩の混合物(すなわち、開始剤と導電率エンハンサー)は、混合物が相溶性である、すなわち、塩が単量体混合物中に本質的に完全に溶解し、他の成分の活動に干渉したり、基材上に塗布される前に重合を開始することなく、その所定の活性を保つ、という条件の下で静電気的アシスタンスによって塗布できる組成物中に使用できる。
解離強化剤
イオン対の解離もまた一つ以上の解離強化剤の添加によって強化できる。これらの解離強化剤は塩の片方あるいは両方のイオンと会合する(すなわち「安定化する」)であろう。それぞれの成分と同じように、解離強化剤は加えられる際、好ましくは「無溶剤性」要求事項を満たすべきであり、そして重合を妨害しないことが好ましい。通常、解離強化剤が組成物の一部であるときは、少なくとも0.1重量パーセント好ましくは約0.5から約5重量パーセントが添加される。好ましい解離強化剤は20℃における誘電率が少なくとも5である。
いっそう好ましくは、誘電率は20℃で少なくとも10であり、もっとも好ましくは20℃で少なくとも20である。それらの例は当該分野でよく知られているが、ポリエチレングリコール類、クラウンエーテル類とポリ(エチレンオキシド類)のような物質であり、これらはアルカリ塩と共に選択的にイオン対の金属イオンと錯体を形成し、解離を誘発する。硬化したコーティングの物性に悪影響を与えないなら、小量の共反応性でより極性の高い、N−ビニルピロリジノンのような単量体を解離を強化するために使用することもできる。
単量体
これらの組成物のために選択された単量体は混合物の他の成分と本質的に完全に混和性である。さらに、これらの単量体は十分に低い蒸気圧を持つので処理中は、物質の損失はほとんど生じない。好ましくは、単量体は不揮発性であり、25℃においてそれらの蒸気圧は1kPa以下、より好ましくは25℃において0.5kPa以下、もっとも好ましくは25℃において0.1kPa以下である。単量体は同じく組成物の所望の用途に基づいた、濃度であり、かつ選択される。有用な単量体には単官能性と多官能性の単量体が含まれる。
典型的なカチオン重合性の、および/または共重合性の単量体としては、ビニル、またはビニリデンエーテル類、N−ビニルカルバゾール類、ビニルシラン類、N−ビニルピロリドン、1,1−ジアルキル−、トリアルキル−、およびテトラアルキル−置換オレフィン類、環状オレフィン類、共役ジオレフィン類などのエチレン性不飽和化合物およびスチレン類があげられる。他のカチオン反応性単量体には環状エーテル類、特にエポキシドのような張力環、がある。
典型的な有用なビニルエーテル単量体としては炭素原子数が4から18のアルキルあるいはシクロアルキル基で置換されたビニルオキシ基があげられる。炭素数が4以下のアルキル基は、一般に高い揮発性と非常に低い発火点のために取り扱いが難しい。アルキル基の炭素原子が18以上のビニルエーテル類は商業的に入手が容易ではなく、また通常反応がにぶい。
1つ以上のビニルオキシ基を持つビニルエーテル類もまた同じく適している。これらは単官能性の物質と組み合わせて組成物を共有結合架橋によって物性を強化することができる。
これらビニルエーテルの例をあげると、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどがある。
電子に富むビニル化合物も同じく適している。通常反応性はより低いが、イソプロペニルエーテル類などの置換ビニル類縁体もまた例としてあげられる。例えば、フェニル置換ビニル化合物と、スチレン、α−メチルスチレン、アネトール、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、プロペニルフェノール、ジビニルベンゼンおよびジイソプロペニルベンゼンなどのスチレン性の化合物が使用できる。これらの化合物は通常重合して低分子量と堅いコーティングを生じるので、それらは単独重合されるというよりはむしろ最も一般に他の単量体と共重合される。
他の適当な電子に富むオレフィン類としては多アルキル置換オレフィン類、ジ−およびポリオレフィン類と環状オレフィン類があげられる。具体的に例をあげるとリモネン、ピネン、シトラールとカンフェンがある。
エポキシドも同じくこれらの組成物に適した単量体である。多くのエポキシ単量体は静電気的アシスタンスによって塗布されるには粘性が高すぎるので、これらの単量体には反応的な希釈剤が一般に使われる。
低粘性エポキシド材料の例としては、Atochem(ペンシルバニア州、フィラデルフィア)からVikoloxの商品名で発売されているエポキシド化α−オレフィン類、スチレンオキシド、リモネンオキシド、ビニルシクロヘキセン二酸化物(Ciba-Geigy(ニューヨーク州、ホーソーン)からAraldite RD-2の商品名で発売されている)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(Ciba-GeigyからAraldite RD−4の商品名で発売されている)、ブチルグリシジルエーテル(Ciba-GeigyからAraldite RD−1の商品名で発売されている)、ジペンテン二酸化物(コネティカット州、ダンバリーのユニオン・カーバイドからERL−4269として入手可能)などがある。
すでに希釈された物質を始めとするその他の例は参考文献「エポキシ樹脂ハンドブック」Lee & Neville, McGraw-Hill, 1982, Appendix 4-2, pp.4-58から4-70)から当業者によって選択できる。
組成物の所望の物性によっては、若干のカチオン共反応性オリゴマーあるいはポリマーをその動作特性を修正するために組成物の一部とすることも望ましいかもしれない。
これらの共反応性材料の例にはエポキシド化ポリブタジエン類、エポキシ官能性ポリジメチルシロキサン類、EKP201(エポキシド化スターポリマー)やEKP207(直鎖状エポキシド化モノオールポリマー)(共にシェル・ケミカル(テキサス州、ヒューストン)から市販されている)などのイソプレン、ブタジエンおよびスチレンをベースとしたエポキシ官能性水素化アニオンブロックコポリマーがある。
エポキシ類と共に通常共反応性希釈剤が使用される。これらの共反応性材料の例にはHPVM1201あるいはHPVM1202、共にシェル・ケミカルから市販されている、のようなビニルエーテル類、スチレン類およびアルコール官能性物質があげられる。
他のカチオン重合性あるいは共重合性の単量体としてはアジリジンとアゼチジンなどの張力環アミン類、ラクタムとラクトンなどの環状モノマー、5員環エーテル類、トリオキサン、ケトン類およびアルデヒド類などがあげられる。これらの単量体は、水膨潤性などの意図された用途に矛盾するような物性を導入する可能性があるため、通常あまり好ましくない。しかし、ある特定のケースにおいては、特に小量で使用する場合、それらは接着性やぬれ性を好ましく増加することがある。
開始剤
開始剤は、触媒性であってもよく、一般に重合プロセスを活性化することが要求される。活性化エネルギーは放射エネルギーあるいは熱エネルギーでよい。熱活性化用の、触媒はルイス酸、有機ブレンステッド酸、あるいは無水物のような材料から選択できる。Radiation Curing in Polymer Science and Technology, Elsevier Applied Science, 1993, vol. 2;Radiation Curing Science and Technology, S.P. Pappas, Plenum Press, NY. 1992.を参照のこと。単量体の反応性によっては100℃を越える活性化温度が必要とされるかもしれない。これらの開始剤に共通の問題は、単量体/開始剤混合物の重合が早く起こりすぎてしまう危険性があることである。単量体を開始剤と混ぜると重合が早く起こりすぎてしまうため取り扱いが困難になるような場合、開始剤を基材に最初に塗布し、そしてその後に、選択された静電気的アシスタンス方法を使って単量体組成物を塗布することが好ましい。これが必要である場合、開始剤は通常塗布温度において本質的に不揮発性であり、そして好ましくは極めて小量が、例えば、従来の真空蒸着や希薄溶液から塗布されることになるであろう。
触媒のブロッキングがもう一つの可能性である。例としては、(CF3SO2)2CH2のような有機酸と共にトリエチルアミンのような揮発性塩基を使用するものがあげられる。熱により酸は遊離され反応が開始される。例えば、米国特許第4,049,861号(Nozari)およびGB1327205−A(R・Koshar)を参照の事。
カチオン重合を開始するもう1つの方法は、加熱すると「自発的に」重合を行うヨードニウム塩類と求核性単量体と共に安息香酸第二銅のような、触媒を使うことである(Ring Opening Polymerization, J.E. McGrath, ACS Symposium Series, 1985, page 198)。触媒がいつでもエレクトロスプレイのために必要な完全に溶解性の混合物を形成するわけではないから、そのような場合触媒を最初に上記のように基材の上にたい積し、ついで、単量体/開始剤混合物を塗布するべきである。
紫外光もまた重合開始のために使用できる。有用な光開始剤は、基材上に塗布する前の早期重合を避けるため、単量体混合物に完全に溶解性で、安定なものである。必要であるなら、最初に開始剤が基材に塗布され(どのような従来の塗布方法によってでもよい)続いて単量体の塗布が行われる。
有用な光開始剤の例としてはこれに限定するわけではないが、スルホニウム塩類、ヨードニウム塩類から選択されるオニウム塩およびその混合物があげられる。特に有用なものはそれぞれ一般的式Ar2I+X-およびAr3S+X-で表されるジアリールヨードニウム塩類あるいはスルホニウム塩類であり、ここでArはアリール基、そしてX-がBF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -、ClO4 -などような強い一価酸のアニオンから選択される。HC-(SO2CF3)2、-C(SO2CF3)3、-N(SO2CF3)2、-B(C6F5)4、C6H5C-(SO2C3)2のような有機アニオンもまた有用である。トリフレートや過塩素酸塩のようなアニオンを持つそれほど反応的でないオニウム塩は、ジビニルエーテル類のようなさらに反応的な単量体の場合においてのみ有用である。より反応的な塩もまた、ある特定のエポキシドのような、より反応の遅い単量体の場合に有用である。
ジアリールヨードニウム化合物の例は米国特第4,279,717号(Eckbergら)に見ることができる。米国特許第4,231,511号(スミスら)、第4,256,828号(スミスら)、第4,101,513号(フォックスら)、第4,049,861号(Nozariら)および第4,058,400号(Crivelloら)に記載の一般式Ar3S+X-を持つトリアリールスルホニウム塩もまた適当である。
カチオン重合の開始剤として有用なフッ素化アリールボレートアニオンのオニウムおよび有機金属塩の例がWO95/03338に見られる。
他の適当な化合物としては、ヨードニウムあるいはスルホニウム塩よりは反応性が低い、Ciba-Geigy製のIrgacure 261などのフェロセニウム塩があげられる。単量体によっては、硬化を完了するためにUV照射のほか加熱が必要とされるかもしれない。(J・Crivello、Radiation Curing in Polymer Science and Technology, Elsevier Applied Science, 1993, Volume II, pages 435-471)。
チオキサントン、アントラセン、キサントンなどのような、感光剤が開始プロセスを加速するためにこれらの光開始剤と共に使用できる。参考文献Steven L., Murov, Handbook of Photochemistry, Marcel Dekker, Inc., NY 27-35(1973)の表2-1を参照のこと。
通常、開始剤濃度は単量体の反応性と望ましい重合速度に基き選択される。ビニルエーテル化合物のような、大いに反応的な単量体では、開始剤レベルは約0.05から約1重量パーセントのオーダーとなるであろう。それほど反応的でないエポキシドの場合、開始剤レベルは約0.5から約4重量パーセントの間がより普通である。
ヨードニウム塩のようないくつかの開始剤の場合は単量体混合物で十分な溶解度とイオン化性を持つため、静電気的アシスタンスによる付着ができるに十分導電率が強化できるであろう。しかし、導電率は開始剤濃度に依存している。したがって開始剤濃度を変えずに導電率を変えることは基本的に不可能である。開始剤濃度が高いと制御の困難な反応速度あるいは重合コーティングの老化安定性の低下が生じる。もし導電率要求事項が使用される開始剤濃度を低レベルに制限するなら、重合速度は経済的に受容できる速度以下に落ちてしまうかもしれない。
したがって本発明の静電的アシスタンス可能な組成物中では開始剤と導電率エンハンサー濃度は独立して制御されることが好ましい。
追加の添加剤
アクリレート類、メタクリレート類、ビニルエステル類、メタクリルアミド類、アクリルアミド類、フマレート類、スチレン類、マレイミド類などのような、ラジカル重合性の単量体は「ハイブリッド」組成物を得るため、本発明のカチオン重合性の単量体に加えてもよい。ラジカル重合性の単量体を加える時にはラジカル開始剤もまた加えなくてはならない。ラジカル開始剤の例としては、これらに制限するわけではないが、ベンゾインエーテル類、カンフルキノン、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンゾイルパーオキシド、2,2−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、1,1−アゾ−ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジクミルパーオキシドおよび過硫酸塩/亜硫酸水素塩レドックス対があげられる。いくつかの開始剤はラジカル重合とカチオン重合の両方を開始させることができる。例えば、オニウムやジアリールヨードニウムやトリアリールスルホニウム塩のような有機金属塩およびアニオンPF6-とSbF6-の(シクロペンタジエニル)(アレーン)鉄+塩は有用であるかもしれない。
2つの開始剤が存在するとき、その活性化機構は同じでも異なっていてもよい。メカニズムが同じ(例えば、熱あるいは放射線)であるとき、活性化エネルギーの差により異なった時点で重合が引き起こすように、開始剤を選択することができる。例えばコーティングに有用である相互貫通しているポリマーネットワークなど場合によってはカチオン重合とラジカル重合が同時に起こっることが望ましいかもしれない。異なる活性化機構の例としてはラジカル重合にUV開始剤を、カチオン重合に熱活性開始剤を使用する例があげられる。
仕上げられたコーティングにおいて特定の機能性を達成するために、望ましい物性を与えるような単量体および他の成分が選ばれる。
艶消し剤、染料、色素、可塑剤あるいは粘着性付与剤などの添加剤が使用でき、またコーティングの外観を改善するために非機能性フローエンハンサーや湿潤剤を加えられることができる。これらの添加剤は組成物中で好ましくは溶解性で不揮発性であり、そして好ましくは組成物の導電率あるいは硬化性を不当に妨害しない。
組成物は適当な容器中で一つ以上のカチオン重合性の単量体と一つ以上のカチオン開始剤とを、組み合わせた時に静電気的アシスタンス(すなわち静電気的アシスタンスによる連続液体塗布、静電スプレーコーティング、エレクトロスプレイコーティング)の手段によって応用されるには不十分な導電率を持つように混合することによって作成できる。一つ以上の導電率エンハンサー、そしてオプションとして一つ以上の解離強化剤を塗布組成物が持つ導電率を増加させるために加えてもよい。ついでこの塗布組成物を静電気的アシスタンスにより基材に塗布し、その後重合することができる。通常、基材は2つの主要な面を持ち、そして組成物は少なくとも1つの主面の1部に塗布される。
本発明の実施例の一つは、第一と第二の面を持つバッキングと、二つの面を持つ接着層と(その片面はこのバッキングの第一の面に塗布されており)、リリースコーティングとして処方された重合組成物を含有し、このバッキングの第二の面上に設けた剥離層とを含有する基材上に設けたリリースコーティング組成物である。好ましくはこのリリースコーティング組成物はバッキングの第二の面にエレクトロスプレイされる。リリースコーティングを舗装道路マーキングテープやその他の巻き上げられた基材上に使用する場合、基材はバッキングの第一の面(もしすでに接着剤が塗布されている場合、その接着剤層)がこの剥離層と接触するようにして巻かれる。
他の実施例には、これらに限定するわけではないが、プライマー、薄い接着剤、曇り止めコーティング、アイスリリースコーティング、落書き防止コーティング、耐摩耗性コーティング、耐久コーティング、光散乱コーティング、ハードコート、耐汚染性コーティング、擦り傷防止コーティングあるいはつや消しコーティングが上げられる。それぞれの用途に適当な単量体と、添加剤ならびに層厚の選択は容易に当業者によってなされるであろう。
適当な基材としては、前記の開始、あるいは伝搬プロセスを局部的に失活させるような塩基性基を持たないもので、シート、ファイバ、あるいは成形物があげられるが、これらに限定されるわけではない。組成物は、適当な柔軟、あるいは柔軟でないバッキング材料の少なくとも−主面に塗布された後硬化することができる。有用な柔軟なバッキング材料にはポリ(プロピレン)、ポリ(エチレン)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(テトラフルオロエチレン)のようなプラスチックフィルム、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))、デュポンのKapton(商標)のようなポリイミドフィルム、酢酸セルロースおよびエチルセルロースがある。バッキングまたは織物、不織布、紙、あるいは粗面などの不規則な表面を持つ構造であってもよい。バッキングは綿、ナイロン、レーヨン、ガラス、あるいはセラミック材料のような合成または天然の材料の糸から作られた織物であってもよく、あるいは、あまり多孔性ではないかぎり、天然または合成のファイバーあるいはこれらのブレンドをエアーレイした不織布であってもよい。高い多孔性のため、紙の吸い込みを補うためには1μ以上の厚いコーティングを行わなければならず通常紙自身は適さない。しかし、グラシン紙、プラスチックコート紙、あるいは樹脂含浸紙は適当である。粗面にはエンボスや型押し面、また研摩粒子塗布(エポキシ)樹指のような、粒子含浸樹指およびグラスビーズカバー樹脂、などがあげられるが、表面、樹脂あるいは粒子が重合を妨害するほどの塩基性性質を持っていないことが条件である。さらに、適当な基材を金属、メタライズされたポリマーフィルム、セラミックシート材、天然あるいは合成ゴムまたは舗装道路マーキングテープから形成する。
実施例
次の実施例は本発明の種々の特定の特徴、利点と他の細部を例証する。これらの実施例にあげられた特定の材料および量は他の条件や詳細と同様に本発明の範囲を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
溶解度試験
それぞれの組成物のための導電率エンハンサーの溶解度を次の方法によって決定した。導電率エンハンサーのサンプルを室温において清澄な単量体溶液と最大2時間の間混合し、ついで攪拌しながら光学的清澄性についてチェックした。もしエンハンサーを含有しているサンプル導電率が完全に清澄、すなわち「本当の溶液」、ではない場合、サンプルを適度に加熱(サンプルを手で持てる程度)してから室温にもどした。目に見える導電率エンハンサー粒子を含んでいたサンプルは失格とした。
粘性測定
ブルックフィールド粘度(単位:センチポイズ(cp)、1cp=1mPa・s)をB型デジタル粘度計モデルDV-II(マサチューセッツ州、ストートンのBrookfield Engineering Laboratories, Inc.製)を使用し、室温で測定した。
導電率測定
溶液の電気の伝導度を電極として作用する2本の平行したステンレス鋼棒で構成された単純な電池を溶液を入れたガラスジャーに挿入することにより測定した。それぞれ長さ約9cm、直径約3mmの棒をその一端を絶縁材料(標準的な瓶のゴム栓か、またはイリノイ州、シカゴのMcMaster−Carr社から市販されているGaroliteの一片)の中に埋め込み、棒をそれぞれ平行に1cmの間隔(中心間距離)で隔てて保った。高さHは棒の底部に対する溶液メニスカスの高さとした。棒を溶液中の高さHの所におき、棒の間に電位差を加えると、電流が棒の間を流れようとした。溶液、空気および絶縁物により電流に正味抵抗Rが与えられた。棒を空気より伝導性が適度に高い溶液中の高さHに置くと、実効抵抗は溶液の実効抵抗であった。例えば、空気の導電率は約10-12S/mあるいは10-6μS/mであり、絶縁体の導電率はさらに低いので、0.001μS/mを越える導電率を持つ溶液に対しては、抵抗Rは、0.1パーセント以内までは実質的に単に溶液によるものとなる。抵抗Rは形状ファクターGに正比例し、そして電気導電率σに反比例するため、G=Rσとなる。Gは高さHおよびその他、棒の分離距離や棒の直径などの固定したパラメーターによって変わる。もしこれらの固定したパラメーターを第二の形状ファクターgと定義すると、g=GHとなり、ここでgは電極構造の特定の形状によって定義される定数である。gの値は既知の導電率σ0を持っている溶液を使って決定され、それにより棒が溶液中のある特定の高さH0に置かれるときの抵抗Roが求まる。σ0は既知であり、Roは測定されたので、形状ファクターGoはGo=Roσ0から求められる。Hoがわかると、gがg=GoHoを使って決定された。ここでgは定数なので、g=GoHo=GHであり、gは既知なので、Gはどのような棒−電極浸漬深さHに対しても決定できる。
捧−電極電池を較正するために、電池定数gを導電率既知のいくつかの塩溶液を用いて決定した(メリーランド州ゲーサーズバーグのNational Institute of Standards and Technology(NIST)から入手できる標準参照物質(1500、10000および50000μS/m))。定数gは1500μS/mでの約60cm/mから50,000μmでの約70cm/mの値まで変化した。インピーダンスアナライザを使用してメタノール、イソプロピルアルコール(IPA)およびメチルエチルケトン(MEK)の誘電率を測ると、Handbook of chemistry and Physics (CRC Press, Inc., Boca Raton, FL)に記載された誘電率を得るためにはgを調整しなければならなかった。これらのg値をIPA、MEK、およびメタノールの測定された導電率の自然対数に対してプロットし、NIST溶液値を使用して決定したg値をまたNIST溶液値の自然対数に対してプロットしたところ、すべてのg値は同じ直線上に乗った。その結果、1000μS/mにおける正確な導電率を与えるものとしてg=59.45cm/mが選択された。gのこの値を用いるとすべての報告された導電性データは、導電性が1000μS/mを下回るものは導電率デケード毎に約10パーセント1000μS/mより低く、導電性が1000μS/mを上回るものは導電率デケード毎に約10パーセント1000μS/mより高い。例えば、100μS/mと報告された導電率は実際は約10パーセントより低く、10μS/mと報告された導電率は実際は20パーセント低い等。g=59.45cm/mを用いて、導電率σを式σ=g/(HR)により、電池の抵抗から求めた。ここでRは電池を溶液の高さHに挿入したときの溶液の抵抗である。
3つの方法を抵抗Rとそれによって溶液の導電率を決定するために使用した。
方法Iにおいて、ヒューレット・パッカードLF(低周波)インピーダンスアナライザモデル4192A(カリフォルニア、パロアルトのヒューレット・パッカード社)を電池の両端に接続し、アドミタンスYと角度Dを棒の溶液そう入深さHとともに100、300、500、700、900、および1000キロヘルツの周波数F(kHz)で記録した。この情報を用いて式σ=(gYcosD)/Hから導電率を計算した。方法Iでは溶液の誘電率εtもまた式εt=(gYsinD)/(2πεoFH)から計算できる。ここでεoは自由空間の誘電率(1mにつき8.85x10-12ファラッド(F/m))である。
方法IIにおいて、BKプレシジョンモデル878ユニバーサルLCRメータ(イリノイ州、シカゴのBK Precision, Maxtec International Corporation)を電池の両端に結合し、溶液中の棒の浸漬深さHとともに1kHzの振動数Fにおける抵抗Rを測定した。導電率をそれから式σ=g/(HR)によって計算した。
方法IIIでは電池を1MΩのレジスタ、マイクロアンペア計AとスイッチSに直列に接続した。この直列回路を標準的な9ボルトの乾電池に接続した。電池を溶液中の高さHに浸漬したのち、スイッチSをしばらく閉じて、電流計の初期値Isを記録した。Isとともに、電極の浸漬深さHを記録した。方法IIIでは電池電圧Vbは電流計と1MΩの較正レジスタと直列に接続されているスイッチの両端に接続してもよい。このスイッチが閉じている時、測定された電流Icに抵抗Rcをかけたものが電池の電圧を与える。この情報を用いて、式
によって溶液の導電率を計算した。
実施例1
室温で25gのUV9300エポキシ−シリコン、75gのリモネンおよび3gのGE 9380C UV開始剤を混合し、カチオン硬化性単量体混合物を製造した。高さH=4cmにおける混合物の抵抗は方法IIを使って測定したところ10MΩの機器限度を越えていた。0.5 pph HQ−115を添加すると抵抗が8.2MΩに減少した(導電率1.8μS/m)。更に0.5 pph HQ−115を混合物に加えると、抵抗がさらに5.5MΩ(導電率2.7μS/m)に減少した。さらに
HQ−115を加え、混合物に添加した全量を3.5 pphとした。抵抗はさらに減少し約893kΩ(導電率16.6μS/m)となった。HQ115を3.5pph添加すると、この混合物の導電率はエレクトロスプレイ可能な溶液のために最も望ましい範囲内となる。UV光(300W/インチ(11.8kw/m)溶融H-球、100fpm(30.5m/分)で1パス)に露光すると、硬化性単位が出てきた後、混合物は重合してリリースコーティングを形成する。
この混合物の1つの限界は溶液の貯蔵期限である。暗所に保存していても、溶液の粘性はゆっくりと増加した。したがってHQ−115を使用する際は、小ロットのみ混合するか、あるいは光開始剤を別に送達する(例えば、共スプレーする、あるいは組成物の塗布に先立ちウエブ上に載せておく)あるいは塗布直前に溶液中に量り入れることが推奨される。
実施例2
実施例1に記載した(HQ-115の添加前)のと同じ単量体混合物を製造した。0.5pph NaTFPBをエポキシシリコーン/リモネン混合物へ添加すると抵抗が439kΩ(導電率34μS/m)(方法IIを使用)に減少した。3pph GE9380C開始剤の添加はさらに抵抗を141kΩに減少(導電率105μS/m)した。このサンプルは一晩粘性の増加が見られずUV光に露光すると重合しリリースコーティングを形成した。
実施例3
0.2pph NaTFPBを0.5pphに変えて実施例2に記載した組成物を調製した。この組成物は方法Iに従って測定したところ導電率が28μS/mであった。
この組成物は単一の、ナンバー24ステンレス鋼バイオメディカルピペッティングニードル、1.25 mm ID,2.15 mm OD(ニューヨーク州、ニューハイドパークのPopper & Sons社から入手)からエレクトロスプレイした。この針を金属板に設けた19.1mmの直径の穴の中心に挿入し、その流体出口端が金属板の下に8ミリ突き出るようにした。この金属板は大地電位に保ち、針の先より11cm下に設けた第二の金属板も大地電位に保った。サンプルを適当な容器(覆いのあるガラスジャー)に入れ、そしてポンプ(Masterflex(商標)100rpmポンプドライブモデル7530−35、Micropump(商標)モデル07002−25ポンプヘッド、ともにイリノイ州シカゴのCole−Parmer Instrument社から入手可能)で汲み出して、5.2mの長さ、内径2.44mm、外径3.18mm、肉厚0.38mmの半硬質ナイロン6/6チューブ(ならびに適当なフィッティング、すべてイリノイ州、エルムハーストのMcMaster−Carr Supply Co.製)にそって移動させた。針と接地板の間には負の電源(ニュージャージー州、ホワイトハウスステーションのGlassman High Voltage, Inc., から入手可能なモデルPS/WG-20N15-DM)を用いて高電圧がかけられた。1分あたり136マイクロリットル(1時間あたり8160マイクロリットル)の流量、−4kVの電位で、針の先端に安定なコーンとフィラメントとして観測される、安定したエレクトロスプレイが得られた。導電率と流量の両方とも典型的なエレクトロスプレイプロセスにおけるそれらと一致していた(例えば、米国特許第4,748,043号、実施例2)。
実施例4
室温で20gのDDVE、12gのDVE−3および0.44gのHQ−115を混合してサンプルを製造した。方法IIを使用したところ、抵抗は469kΩ(導電率32μS/m)であったのに対し、HQ-115を使用しないと抵抗は機器の限度10MΩを超えた。
0.64gのGE 9380C開始剤を添加すると抵抗が121kΩ(導電率123μS/m)に減少した。サンプルをその後ポリエステルライナー上に塗布し、300W/インチ(11.8kw/m)溶融H-球、75fpm(22.9m/分)で1パス)で重合させた。
実施例5
この実施例はDDSA(カチオン重合用熱開始剤)をGE9380C UV開始剤に代え、実施例4で記載したように製造した。方法IIによる抵抗は251kΩであった(導電率59μS/m)。このサンプルは熱硬化可能であった。
実施例6
これらのサンプルは、エポキシ(Araldite RD-1)、オレフィン(リモネン)、およびビニルエーテル(CHVE)のようなカチオン硬化性単量体における異なる塩の有効性を表す。サンプルは本発明の塩が単量体の導電率を変えるために使用できることを明示する。Araldite RD-1より極性の低い、リモネンは、同じような塩の濃度における伝導度がより低いことによって示される通り、塩が解離するにはあまり好ましくない環境である。より極性が高く、すでに導電性であるAralditeはもっと容易に変性させることができる。
塩は好ましくは最小プロトンあるいはルイス酸性度を持つ。さもなければそれらはCHVEと組み合わせるとHQ−115のようなより反応的な単量体を早々と重合させてしまうであろう。サンプルの電流は方法IIIを用いてマイクロアンペア(μA)で測定した。
本発明の範囲と精神から逸脱することなく、本発明の種々の修正と変更ができることは当業者には明白であろう。そして本発明がここに明らかにされた例示的実施例に不当に限定されないことが理解されるべきである。
Claims (7)
- 静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するのに適したカチオン重合性組成物であり、
a)一つあるいはそれ以上のカチオン重合性の単量体と、
b)一つあるいはそれ以上のカチオン性開始剤と、
c)カチオンおよびアニオン部分を持つ一つあるいはそれ以上の、前記の単量体に可溶性の、重合と干渉しない不揮発性の導電率エンハンサーと、
を含有し、
ここで前記のアニオン部分は非配位性親有機性炭素含有アニオンであり、前記導電率エンハンサーc)は前記カチオン性開始剤b)とは化学的に異なる物質であり、前記の組成物は静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するのに十分な導電性を持ち、前記の単量体および開始剤は組み合わせたときに静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するには不十分な導電率を持つ静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するのに適したカチオン重合性組成物。 - 前記の非配位性親有機性炭素含有アニオンがさらに
(a)少なくとも200kg/kmolの式量を持ち;
(b)アルキル−、シクロアルキル−およびアリールスルホネート、フルオロアルキルスルホニルイミド、フルオロアルキルスルホニルメチド、アリールボレート、カルボランアニオン、メタロカルボランアニオンおよびボロンカテコレートからなる群から選択され;あるいは
(c)フッ素化されている、
の少なくとも1つを特徴とする請求項1の組成物。 - 一つあるいはそれ以上のカチオン重合性の単量体と一つあるいはそれ以上のカチオン性開始剤とを含有し、組み合わせたときにそれらが静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するには不十分な導電率を持つ組成物を塗布する方法であって、
a)一つ以上の導電率エンハンサーと任意成分として一つ以上の解離強化剤を前記の組成物に添加し、塗布組成物を製造するステップと;
b)前記の塗布組成物を静電気的アシスタンスの手段によって基材に塗布するステップと;さらに
c)前記の塗布組成物を重合するステップと;
を含有し、前記導電率エンハンサーは、カチオンおよびアニオン部分を持ち、前記カチオン重合性の単量体に可溶性であり、かつ重合と干渉しない不揮発性の導電率エンハンサーであり、前記のアニオン部分は非配位性親有機性炭素含有アニオンである、方法。 - 請求項1の組成物が少なくとも一つの主面の一部の上にエレクトロスプレイされている2つの主面を持つ基材。
- プライマー、接着剤、曇り止めコーティング、アイスリリースコーティング、落書き防止コーティング、耐摩耗性コーティング、耐久コーティング、光散乱コーティング、ハードコート、耐汚染性コーティング、擦り傷防止コーティングあるいはつや消しコーティングである請求項1の組成物。
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