JP3987779B2 - 突出型付帯物の取付構造および建物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バルコニー(ベランダも含む)、出窓等の躯体本体から外側へ突出した突出型付帯物、特に突出型下側付帯物の上に位置する突出型上側付帯物を躯体本体に取り付ける突出型付帯物の取付構造およびこれら突出型付帯物を備えた建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の突出型付帯物の取付構造および建物は、図8に示すようなものがあり、下記特許文献1に開示されている。
【0003】
これによれば、建物の躯体本体1から外方に突出した出窓等突出型下側付帯物2の真上にバルコニーのような突出型上側付帯物3が位置して設けられていた。
【0004】
【特許文献1】
実開平6-54888号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、突出型下側付帯物2の上に突出型上側付帯物3の荷重がそのまま掛かるように作られていたため、突出型上側付帯物3を大きくしたり、突出型下側付帯物2の開口を大きくすると、荷重を支える壁が十分でなくなり、開口部の変形が生じたりして時間の経過と共にサッシュなどの建具4の開閉が困難になったりする。そのため、突出型上側付帯物3の大きさや突出型下側付帯物2における開口の大きさが制限されていた。
【0006】
そこで、この発明は、突出型上側付帯物を大きくしたり、突出型下側付帯物の開口を大きくすることができる突出型付帯物の取付構造およびこの取付構造を備えた建物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明では、突出型下側付帯物が取り付けられた建物の躯体本体に、前記突出型下側付帯物の真上に突出型上側付帯物を配設する突出型付帯物の取付構造において、前記突出型上側付帯物の荷重を前記突出型下側付帯物に負担させないように前記躯体本体に前記突出型上側付帯物を取り付けるとともに、前記突出型上側付帯物の下端周縁と、該下端周縁より高い位置に形成された前記突出型下側付帯物の上部周縁と、の間には縁切り部を設けて、前記突出型上側付帯物の下端周縁が、前記突出型下側付帯物の上部周縁に建物外側方向から覆い被さるようにされていることを特徴とする突出型付帯物の取付構造としている。
【0008】
この構成によれば、突出型下側付帯物に突出型上側付帯物の荷重が掛からないので、突出型下側付帯物の開口や建具の大きさや形状の自由度が大きいし、開口や建具を大きくすることができる。また、雨が降っても雨漏れの心配がない。
【0009】
また、請求項2に記載された発明では、請求項1において、前記縁切り部には、間隙変化に対応するシール材が設けられていることを特徴とする突出型付帯物の取付構造としている。
【0010】
この構成によれば、請求項1の効用に加え、風雨が強くても風や雨が縁切り部から吹き込むことがなく、風きり音や雨漏れのおそれもない。
【0011】
また、 請求項3に記載された発明では、請求項1または2において、前記突出型上側付帯物はバルコニーあるいは出窓であり、前記突出型下側付帯物は、出窓であることを特徴とする突出型付帯物の取付構造としている。
【0012】
この構成によれば、請求項2の効用に加え、出窓の上に、出窓やバルコニーを設置することができる。
【0013】
また、請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の突出型付帯物の取り付け構造を躯体本体に備えたことを特徴とする建物としている。
【0014】
この構成によれば、突出型上側付帯物または突出型下側付帯物の大きさや形状の自由度を大きくすることができる建物を提供することができる。
また、請求項5に記載された発明では、請求項4において、前記突出型上側付帯物および前記突出型下側付帯物の外表面が外観上一体と見られる化粧が施されていることを特徴とする建物としている。
【0015】
この構成によれば、請求項4の効用に加え、上側、下側の突出型付帯物は統一性が取れ見栄えもよい。
【0016】
さらに、請求項6に記載された発明では、請求項5において、前記突出型上側付帯物、前記突出型下側付帯物および前記躯体本体の外表面が外観上一体と見られる化粧が施されていることを特徴とする建物としている。
【0017】
この構成によれば、請求項5の効用に加え、建物全体で統一感がとれ見栄えも良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、図面に基づいてこの発明を説明する。
【0019】
図1乃至図7は、この発明の実施の形態を示す図である。
【0020】
まず、構成を説明すると、この発明に係る建物10では、図1に示すように、躯体本体20に外方に突出して突出型下側付帯物30が取り付けられ、この突出型下側付帯物30の真上に突出型上側付帯物40が配設されて突出型付帯物の取付構造とされている。
【0021】
具体的には、この突出型付帯物の取付構造は、突出型上側付帯物40の荷重を突出型下側付帯物30に負担させないように空間を空けて躯体本体20に突出型上側付帯物40を取り付けるとともに、突出型上側付帯物40の下端周縁41が突出型下側付帯物30の上部周縁31に縁切り部32を設けて覆い被さるようにされている。
【0022】
突出型下側付帯物30は、躯体本体20から外方に突出した床面から天井付近まで開口した掃き出し出窓あるいは腰高から天井付近まで開口した出窓となっている。この例では、突出型下側付帯物30は、平面視半多角形であり、上部周縁31を有する天井構成部34が主として躯体本体20に支持固定され、その下側に開放感あふれる大きな建具33が嵌め込まれている。
【0023】
突出型上側付帯物40は、図2のように平面視、正12角形の半分の半多角形を呈しており、半多角形に構成された床フレーム42と、この床フレーム42の周囲に設けられた手摺壁43と、手摺壁43の上面に立てられた手摺44と、床フレーム42上で手摺壁43に囲まれ、雨仕舞いされた床パネル45と、床フレーム42を支持する床支持フレーム46とから構成されている。
【0024】
床フレーム42あるいは床支持フレーム46は、チャネル材や角パイプを用いて溶接やボルトナットなどの固定手段で組みつけられている。手摺壁43は、床フレーム42に固定され、上側は床パネル45より上方に延在し、下側は突出型下側付帯物30の上部周縁31、すなわち、天井構成部34の上部を覆う位置まで延在している。手摺44は、手摺壁43の上面に立ち上げられ、図4および図5に示すように両端が手摺壁43とともに躯体本体20にボルトで固定されており、また、図2および図3に示すように床フレーム42を支持する2本の床支持フレーム46が離間して躯体本体20にボルトで固定されている。
【0025】
床パネル45は、裏側が桟47で補強され、躯体本体20側に溝48が形成され、溝47に水が流れるように先上がりに傾斜されている。
【0026】
したがって、ベランダ、バルコニーといわれる突出型上側付帯物40は、躯体本体20に片持ち梁状に固定されている。
【0027】
前述の縁切り部32は、突出型下側付帯物30と突出型上側付帯物40との間に力の伝達がなされない構造とされており、突出型下側付帯物30に突出型上側付帯物40の荷重が掛からないので、突出型下側付帯物30の開口や建具の大きさや形状の自由度が大きく、開口や建具33を大きくすることができる。また、雨が降っても突出型下側付帯物30が雨漏れするという問題はない。
【0028】
しかし、風雨が強い場合には、風や雨が縁切り部32から入り、風切り音や突出型下側付帯物30に漏水させる恐れがあり、さらに、下側から見上げるようになるので見栄えが悪い恐れもある。したがって、この縁切り部32には、間隙変化に対応するシール材が設けられている。図3、図4、図6において、モール部材35が、手摺壁43の下端に取り付けられ、突出型下側付帯物30の上部周縁31に、図6のように弾性シール部材36を介して当接されている。また、弾性シール部材36を無くして、モール部材35を上部周縁31に近付けて合成ゴムあるいは軟質合成樹脂としてシール材とすることもできる。
【0029】
また、図7のように外装材35aの内側に弾性シール部材37を設けてもよい。弾性シール部材37は、例えばウレタン樹脂発泡体からなる。さらに、図6、図7に示すようなジョイントシール部材38がある。ジョイントシール部材38は、手摺壁43および突出型下側付帯物30のそれぞれに挟み込まれて固定された二枚のシートが拝み合わせに接続された形状をしており、間隙の変化に十分対応することができる。
【0030】
また、 突出型上側付帯物はバルコニーあるいは出窓であり、突出型下側付帯物は、出窓である場合に適用されている突出型付帯物の取付構造としているので、出窓の上に、荷重負担をさせずに出窓やバルコニーを設置している。
【0031】
また、以上説明した種々の構成の突出型付帯物の取付構造を躯体本体20に備えて建物としているので、突出型上側付帯物または突出型下側付帯物の大きさや形状の自由度を大きくすることができ、しかも時間経過後も開閉の不具合のない建物となっている。
【0032】
なお、経時変化により、縁切り部32の間隙が狭くなったり、突出型上側付帯物40が突出型下側付帯物30が介在させている弾性シール材が大きく変形するようになったときには、床支持フレーム46と床フレーム42との間に図示しないスペーサを入れて正規間隙にする調整をすることができる。
【0033】
また、図6、図7に示されるように突出型上側付帯物および突出型下側付帯物の外表面が外観上一体と見られる化粧、例えば同一化粧板や同一タイルが施されて、上側、下側の突出型付帯物が統一性が取れ見栄えもよい建物とされている。
【0034】
さらに、図示はしないが、突出型上側付帯物、突出型下側付帯物および躯体本体20の外表面が外観上一体と見られる化粧、例えばボード、タイル、塗装等それぞれ同一のものが施され、建物全体で統一感がとれ見栄えも良い。
【0035】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、突出型下側付帯物に突出型上側付帯物の荷重が掛からない、突出型下側付帯物の開口や建具の大きさや形状の自由度が大きい、時間経過後も開閉に不具合のない、しかも、雨が降っても雨漏れの心配のない突出型付帯物の取付構造およびこの取付構造を備えた建物を提供することができるという実用的な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る突出型付帯物の取付構造を備えた建物を示す要部斜視図である。
【図2】この発明の突出型上側付帯物の取付構造の右半分の手摺を除去した平面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図2のV-V断面図である。
【図6】この発明の縁切り部の拡大断面図である。
【図7】この発明の縁切り部の他の拡大断面図である。
【図8】従来の突出型付帯物の取付構造を備えた建物を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
10:建物
20:躯体本体
30:突出型下側付帯物
31:上部周縁
32:縁切り部
35:モール部材(シール材)
36:37:弾性シール材(シール材)
38:ジョイントシール部材(シール材)
40:突出型上側付帯物
41:下端周縁
42:床フレーム
43:手摺壁
44:手摺
Claims (6)
- 突出型下側付帯物が取り付けられた建物の躯体本体に、前記突出型下側付帯物の真上に突出型上側付帯物を配設する突出型付帯物の取付構造において、
前記突出型上側付帯物の荷重を前記突出型下側付帯物に負担させないように前記躯体本体に前記突出型上側付帯物を取り付けるとともに、
前記突出型上側付帯物の下端周縁と、該下端周縁より高い位置に形成された前記突出型下側付帯物の上部周縁と、の間には縁切り部を設けて、
前記突出型上側付帯物の下端周縁が、前記突出型下側付帯物の上部周縁に建物外側方向から覆い被さるようにされていることを特徴とする突出型付帯物の取付構造。 - 請求項1において、
前記縁切り部には、間隙変化に対応するシール材が設けられていることを特徴とする突出型付帯物の取付構造。 - 請求項1または2において、
前記突出型上側付帯物は、バルコニーまたは出窓であり、前記突出型下側付帯物は出窓であることを特徴とする突出型付帯物の取付構造。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の突出型付帯物の取り付け構造を躯体本体に備えたことを特徴とする建物。
- 請求項4において、
前記突出型上側付帯物および前記突出型下側付帯物の外表面が外観上一体と見られる化粧が施されていることを特徴とする建物。 - 請求項5において、
前記突出型上側付帯物、前記突出型下側付帯物および前記躯体本体の外表面が外観上一体と見られる化粧が施されていることを特徴とする建物。
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