JP4056857B2 - 外壁目地の構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外壁目地の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
外壁パネル等を用いた住宅等の建物における外壁パネル間の目地には、湿式のシーリングが施工してあるか、縦目地についてはガスケットなどの乾式目地材が嵌め込まれることも多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、湿式のシーリングでは、メンテナンス性が良いとは言えず、施工後の養生期間も必要となるなどの問題がある。
【0004】
これに対し、ガスケットなどの乾式目地材を目地に嵌め込む構造では、そのような問題はないが、その一方で、乾式目地材を目地空間を挟む両側の面部に弾力的に当接させるようにして取り付けるものであるため、取付け状態が目地空間を挟む両側の面部への当接状態に依存してしまい、安定した取付け状態を維持するのが難しい場合がある。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、乾式目地材を用いる外壁目地の構造を対象とし、乾式目地材の取付け状態を安定したものにすることができる外壁目地の構造を提供することを課題の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、目地内に乾式目地材取付け用の継ぎ手部品が備えられ、乾式目地材がこの継ぎ手部品に嵌合保持されて目地に取り付けられていることを特徴とする外壁目地の構造によって解決される。
【0007】
この構造では、乾式目地材が、目地に備えられた継ぎ手部品に嵌合保持されて目地に取り付けられているので、乾式目地材の取付け状態が目地空間を挟む両側の面部への当接状態に依存せず、そのため、乾式目地材の取付け状態を安定したものにすることができる。なお、本構造では、乾式目地材が、目地空間を挟む両側の面部又はいずれか一方の面部に当接しているか否かは問わない。
【0008】
上記の構造において、前記目地が横目地であり、前記乾式目地材の背後に止水手段が備えられ、該止水手段によって屋内側への侵入を阻止された水が、目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を通じて屋外に排出されるようになされているのもよい。
【0009】
この構造では、横目地を乾式目地材によって隠すことができ、しかも、屋内側への水の侵入は止水手段によって阻止することができ、そして、止水手段によって侵入を阻止された水は横目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を通じて屋外に排出することができる。
【0010】
即ち、横目地において、乾式目地材の背後に止水手段が備えられているので、止水手段で止水した水を乾式目地材を越えて屋外に排出できなければならないが、その水を、本発明では、横目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を通じて屋外に排出するようにしている。そして、このような排水機構を実現するためには、乾式目地材の取付け状態が目地空間を挟む両側の面部に依存する構造であっては、止水手段で止水した水が横目地を通じて外に排出されず、そのため、本発明では、乾式目地材を目地に備えられた継ぎ手部品に嵌合保持させて取り付けるようにし、乾式目地材の取付け状態が目地空間を挟む両側の面部に依存しない構造とすることで、横目地を乾式目地材で隠しながら、上記のような横目地からの水の排出を実現するようにしたものである。
【0011】
前記乾式目地材が、屋外からの風圧及び/又は水圧を受けると、目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を閉じるよう復元可能に弾性変形して屋外側からの水の侵入を抑制又は阻止するようになされているのもよい。この場合は、目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を通じた屋外への水の排出を可能としながら、目地を挟む下側の壁と乾式目地材との間を通じた屋外側からの水の侵入を抑制又は阻止することができ、乾式目地材に排水機能と止水機能という相反する両機能を併せもたせることができる。
【0012】
また、目地が横目地であり、前記乾式目地材が、目地を挟む上側の壁の側において、屋外に向けて斜め下方に傾斜している場合は、目地を挟む上側の壁と乾式目地材との間を通じた水の侵入を抑えて水を屋外側に誘導することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1乃至図5に示す第1実施形態は、住宅等の建物の階間胴差部の横目地に適用した場合のものである。1は胴差、2は階上外壁パネル、3は階下の外壁パネル、4は胴差面材、5,5は乾式目地材である。
【0015】
各外壁パネル2,3は、図1及び図2に示すように、外壁面材2a,3aの背面側に下地材2b,3bを介してパネルフレーム2c,3cが取り付けられたもので、各外壁パネル2,3はパネルフレーム2c,3cを介して胴差1に保持されている。そして、階上階下の外壁面材2a,3a間に胴差面材4が設置され、階下の外壁面材3aと胴差面材4との間、及び、胴差面材4と階上外壁面材2aとの間のそれぞれに横目地9,9が設けられ、これら横目地9,9にそれぞれ乾式目地材5,5が取り付けられている。
【0016】
更に、上下の各外壁パネル2,3間に次のような止水手段が備えられている。即ち、各外壁パネル2,3の下地材2b,3bは、発泡樹脂などの止水性を備えたものからなっていて、階上外壁パネル2の下地材2bは外壁面材2aよりも下方に突出すると共に、階下外壁パネル3の下地材3bは外壁面材3aよりも上方に突出しており、これら下地材2b,3bの突出部間に胴差部水切り金物6が渡され、この水切り金物6によって胴差部が止水されるようになされている。
【0017】
この水切り金物6は、下縁部側が階下外壁パネル3の下地材3bの正面側に配置され、脚部6aでこの下地材3bを前後方向から挟んだ状態にすると共に、上縁部側が階上外壁パネル2の下地材2bの背面側に配置され、ピース物の固定金物7でこの下地材2bを前後方向から挟んだ状態することで取り付けられている。そして、水切り金物6の下縁部側には、階下の外壁パネル3の外壁面材3aの上面に沿う部分6bが備えられ(図3参照)、上下の横目地9,9等を通じて胴差面材4の背面側に侵入した水が下側の横目地9を通じて屋外側に排出されるようになされている。なお、上記の胴差面材4は、図示しない金物によって水切り金物6に取り付けられて胴差部に保持されている。また、8,8はスポンジ状のシール材であり、圧縮状態となって水切り金物6と階上階下の外壁パネル2,3との間をシールしている。
【0018】
そして、乾式目地材5,5を取り付けるため、横目地9,9内には、目地材取付け用の継ぎ手部品10,10が備えられ、乾式目地材5,5は、この継ぎ手部品10,10に嵌合保持されることで、横目地空間部9を挟む上下の面部に依存することなく、横目地9,9に取り付けられるようになされている。
【0019】
本実施形態では、図3及び図5に示すように、継ぎ手部品10に嵌合用の雄部10aが備えられると共に、乾式目地材5に雌型の嵌合基部5aが備えられ、乾式目地材5の雌の嵌合基部5aを屋外側から継ぎ手部品10の雄10aと嵌合することで乾式目地材5を継ぎ手部品10に嵌合保持させることができるようになされている。なお、継ぎ手部品10,10はその基部が水切り金物6や外壁パネルの下地材等に取り付けられて備えられているが、水切り金物などの他の部品に一体的に組み込まれたものであってもよい。
【0020】
上記の乾式目地材5には、屋外側に弧状に膨らむ目地カバー部5bが備えられている。この目地カバー部5bは、上縁側が傾斜部を介して嵌合基部5aと一体に連接されると共に、下縁側がフリーであり、図3(イ)(ハ)に示すように、下側の横目地9への取付け状態において、横目地カバー部5bの下縁部5cが、横目地9を挟む階下の外壁パネル3の外壁面材3aから離間してそれらの間に隙間11が形成され、背後の水切り金物6で屋内側への侵入を阻止された水が、この隙間11を通じて屋外側に排出されるようになされている。なお、継ぎ手部品10は、胴差の延びる方向に間隔的に備えられており、水の排出が継ぎ手部品10によって妨げられないようになされている。上側の横目地9についても、図5に示すように、同様の態様で乾式目地材5が取り付けられている。
【0021】
更に、乾式目地材5は、嵌合基部5aから目地カバー部5bの下縁部5cの手前までの部分が、風圧や水圧で変形しにくい比較硬質の良納まり構造になっており、目地カバー部5bの下縁部5cは風圧や水圧で弾性変形するゴム状などの比較的軟質の構造からなっていて、図4(ロ)に示すように、乾式目地材5に対して屋外側から風雨などによる風圧や水圧が横方向や斜め下方、下方から作用した場合に、目地カバー部5bの下縁部5cがその圧力による弾性変形で階下の外壁パネル3の外壁面材3aに当接して上記の隙間11を塞ぎ、屋外から上記の隙間11を通じて横目地9の内に水が侵入するのが抑えられ、風圧や水圧が作用しなくなると、図3(イ)(ハ)に示すように、目地カバー部5bの下縁部5cが弾性復元し外壁面材3aから離間して上記の隙間11が開き、背後の水切り金物6で屋内側への侵入を阻止された水を屋外側に排出できるようになされている。上側の横目地9についても、図5(イ)(ハ)(ニ)に示すように、同様の態様で隙間が開閉されるようになされている。
【0022】
また、図5に示すように、乾式目地材5は、その目地カバー部5bの上縁部が傾斜部分を介して嵌合基部5aに連接され、目地カバー部5bは上記のように屋外側に膨らむ弧状をして、それにより、横目地9を挟む上側の外壁面材2aの側の部分5dが、屋外に向けて斜め下方に傾斜しており、この傾斜部分5dで受けた水を、横目地9内に入り込んでいかないよう、屋外側に誘導するようになされている。下側の乾式目地材5についても同様である。なお、上側の横目地9については、乾式目地材5が階上外壁パネル2の外壁面材2aよりも屋外側に突出しており、この外壁面材2aを伝って流れ落ちる水を乾式目地材5の傾斜部分5dで受け、屋外側に排出するようになされている。なお、本実施形態では、乾式目地材5,5と上側の壁材2a又は4とは図示するように離間しており、水が横目地9を通して奥方に入り込むことがあるが、入り込んでも、背後の水切り金物6が屋内側への水の侵入を阻止し、下側の横目地9における乾式目地材5の下縁部5c側の隙間11を通じて外に排出されるようになされている。
【0023】
上記の構造では、乾式目地材5が、横目地9に備えられた継ぎ手部品10に嵌合保持されて横目地9に取り付けられているので、乾式目地材5の取付け状態が目地空間9を挟む両側の面部への当接状態に依存せず、そのため、乾式目地材5の取付け状態を安定したものにすることができる。
【0024】
そして、このような取付け構造を採用することで、横目地9を乾式目地材5によって隠すことができ、しかも、屋内側への水の侵入は水切り金物6によって阻止することができ、そして、水切り金物6によって侵入を阻止された水は下側の横目地9を挟む下側の壁材3aと乾式目地材5との間を通じて屋外に排出することができる。
【0025】
また、下側の横目地9を挟む下側の壁3aと乾式目地材5との間の隙間11を通じた屋外への水の排出を可能としながら、乾式目地材5の弾性変形によって、同隙間11を通じた屋外側からの水の侵入を抑えることができ、更に、乾式目地材5に備えられた傾斜5dによって、上下の横目地9,9について、横目地9を挟む上側の壁2a又は4と乾式目地材5との間を通じた屋内側への水の侵入も抑えて水を屋外側に誘導することができる。
【0026】
図6に示す第2実施形態は、継ぎ手部品10に嵌合用の雌部10bが備えられると共に、乾式目地材5に雄型の嵌合基部5aが備えられ、乾式目地材5の雄型嵌合基部5aを屋外側から継ぎ手部品10の雌部10bと嵌合することで乾式目地材5を継ぎ手部品10に嵌合保持させることができるようになされている。なお、乾式目地材5の嵌合基部5aや継ぎ手部品10が、水の排出の妨げになる場合には、いずれか一方又は両方を長手方向に間隔的に備えさせるようにするのもよい。その他は、上記の実施形態と同様である。
【0027】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、階間胴差部における横目地に適用した場合を示しているが、各種建物の横目地に広く用いられてよく、また、横目地に限らず、縦目地に用いられてよい。また、乾式目地材の背後の止水手段は上記のような水切り金物によらなくてもよく、例えば透湿防水シートなどで止水されていてもよい。また、止水手段の採用は任意であり、乾式目地材で目地が止水されるようになされていてもよい。また、継ぎ手部品の具体的形態やその取付け構造についても制限はないし、乾式目地材の具体的形態や継ぎ手部品による乾式目地材の嵌合保持構造についても制限はなく、各種形態、構造が採用されてよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上のとおりのものであるから、乾式目地材の取付け状態を安定したものにすることができ、また、建物外壁の特に横目地の乾式化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の外壁目地の構造を示す断面図である。
【図2】同断面斜視図である。
【図3】図(イ)は下側の横目地部分を拡大して示す断面図、図(ロ)は乾式目地材を分離させて示す断面図、図(ハ)は隙間部分の拡大断面図である。
【図4】図(イ)は乾式目地材の斜視図、図(ニ)は乾式目地材の下部側における隙間が閉じた状態の断面図である。
【図5】図(イ)は上側の横目地部分を拡大して示す断面図、図(ロ)は乾式目地材を分離させて示す断面図、図(ハ)は乾式目地材の上部側による止水作用を説明する拡大断面図、図(ニ)は乾式目地材の下部側における隙間が閉じた状態の断面図である。
【図6】図(イ)は第2実施形態の外壁目地の構造の要部を示す断面図、図(ロ)は乾式目地材を分離させて示す断面図である。
【符号の説明】
2a…階上外壁面材(壁)
3a…階下の外壁面材(壁)
4…胴差面材(壁)
5…乾式目地材
5d…傾斜部
6…水切り金物(止水手段)
9…横目地(目地)
10…継ぎ手部品
11…隙間

Claims (4)

  1. 階上の外壁面材と階下の外壁面材との間に胴差面材が配置されて、階上の外壁面材と胴差面材との間、及び、階下の外壁面材と胴差面材との間に正面側に開口する上下の横目地が設けられると共に、
    該胴差面材の背面側に止水手段が備えられ、該止水手段によって、階上の外壁面材と階下の外壁面材との間が止水され、胴差面材の背面側に侵入した水が該止水手段によって下側の横目地を通じて屋外側に排出されるようになされており、
    前記上下の横目地内のそれぞれに、乾式目地材取付け用の継ぎ手部品が備えられ、乾式目地材がこの継ぎ手部品に嵌合保持されて各横目地内に取り付けられ、前記止水手段によって屋内側への侵入を阻止された水が、下側の横目地において、下側の乾式目地材と階下の外壁面材との間を通じて屋外に排出されるようになされていることを特徴とする外壁目地の構造。
  2. 前記下側の横目地において、下側の乾式目地材は、屋外からの風圧及び/又は水圧を受けると、該下側の乾式目地材と階下の外壁面材との間を閉じるよう復元可能に弾性変形して屋外側からの水の侵入を抑制又は阻止するようになされている請求項1に記載の外壁目地の構造。
  3. 前記上側の横目地において、上側の乾式目地材は、屋外からの風圧及び/又は水圧を受けると、該上側の乾式目地材と胴差面材との間を閉じるよう復元可能に弾性変形して屋外側からの水の侵入を抑制又は阻止するようになされている請求項2に記載の外壁目地の構造。
  4. 前記乾式目地材は、上側に位置する面材の側において、屋外に向けて斜め下方に傾斜して屋外側からの水の侵入を抑制するようになされている請求項2又は3に記載の外壁目地の構造。
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