JP3865532B2 - 外壁パネルの目地構造 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、住宅等における外壁パネルの目地構造に関する。
【0002】
【従来技術】
住宅等における外壁パネルの目地構造に関しては、図1に示すように隣接する外壁パネル1間の目地2に乾式目地材3を押し込んで装填すると共に、その奥に二次防水材4を詰め込んだものが知られる。
また実開平4−100704号には、底板部に一対の垂直板を立設した下部材と、隣接する外壁パネルのエッジに被さる木口封止片の下面に外壁パネル間の目地に嵌合する突部を有し、該突部に外壁パネル端面に押付けられる目地クッション片と、下部材の垂直板間に押込まれる突起部を備えた上部材よりなる乾式目地ジョイナーが開示され、また実用新案登録第2526688号には、底板部に一対の垂直板を立設した下部材と、隣接する外壁パネル間に押込まれる、弾性を有する目地封止クッション片の下面に下部材の垂直板間に嵌入される突起部を備えた上部材よりなり、下部材の垂直板上端には下方に傾斜した弾性を有する目地クッション片を備えた乾式目地ジョイナーが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述する目地構造は、外壁パネル間に押込まれる目地材や目地クッション片の弾発力によってシール性を確保しているが、施工後の経年変化によって外壁パネルが収縮したり、地震等の外的要因によってパネルが動いたりして目地巾が広くなると、シール性が低下する。しかも実開平4−100704号や実用新案登録第2526688号に示される乾式目地ジョイナーでは、外壁パネルを取付ける前に下部材を目地位置や目地巾を考慮して取付ける必要があり、面倒である。
【0004】
本発明は、上記の問題を解消することができる外壁パネルの目地構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題の解決手段】
請求項1記載の発明は、外壁パネルの側端面の段又は凹部によって隣接する外壁パネル間に形成される凸形断面の目地内に嵌挿される目地材を有し、前記外壁パネル側端面の段又は凹部には、目地材の両側部がそれぞれ嵌挿されるコ形断面のチャンネル材を設け、前記目地材は硬質樹脂よりなるか、あるいは芯金を入れて剛性を保持させた本体とを有し、該本体には、中央部に開閉可能で、常には開いた状態にある取付部を形成すると共に、左右両側に弾力性を有する目地クッション片を突出形成し、外壁パネル取付後、目地内に上方より前記目地材の取付部を両側より押込んで窄めた状態で押込み、押込まれた目地材は取付部が拡開して突部とリップ片が外壁パネル側端面に押付けられ、突部を備えた目地カバーを両側の外壁パネルのエッジに掛かるようにして前記突部を前記拡開した取付部内に差込み、そのまま押し込んで強制嵌合してなるものである。
【0006】
本発明によると、目地クッション片がチャンネル材上面の内側に弾接することによりシール性が確保されるが、チャンネル材上面の内側は外壁パネルの取付面と平行をなしているため、外壁パネルが横移動して目地巾が変化するようなことがあっても目地クッション片がチャンネル材上面の内側を摺動してシール性を維持する。また外壁パネルが反るようなことがあっても反りに追随して目地クッション片がチャンネル材上面の内側との接触を維持する。
本発明においてはまた、外壁パネル側端面の段又は凹部にコ形断面のチャンネル材を設けたことにより目地材が嵌挿される目地のサイズが一定となって、目地クッション片との密着が確実に行われ、シール性及び防水性が向上すると共に、目地の嵌挿がスムースに行われる。
チャンネル材はまた、摩擦係数の小さな金属若しくは硬質樹脂製とすれば、シール面の耐久性が増すと共に、目地クッション片との密着性が向上してシール性及び防水性が向上し、目地巾が変化する際の目地クッション片の滑りもよくなる。
【0007】
本発明の目地材を目地内に押し込んで装着できるようにするには、ある程度の剛性を持たせる必要がある。そのために、目地材を剛性のある金属製若しくは硬質樹脂製とし、弾力性を必要とする目地クッション片を目地材と一体若しくは別体の弾力性のあるゴム若しくは樹脂製としたものである。すなわち目地材をJIS K 6253タイプAで規定する硬度が例えば90度以上、目地クッション片を同じ硬度が例えば70度程度の熱可塑性樹脂製、例えばオレフィン系樹脂やポリ塩化ビニル等とするか或いはゴム製、例えばエチレン・プロピレンゴムとしたものである。なお目地材は硬度を90°以上とする代わりに芯金をインサートして剛性を持たせるようにしてもよい。
【0008】
目地クッション片はゴム製にするにしても樹脂製にするにしても好ましい発明では鉤状に形成され、シール面と線接触するようにされる。これによりシール面との接触が確実に行われ、シール性が向上する。
本発明の目地材は、目地カバーと組合せて用いられ、目地カバーが外壁パネルのエッジに被さるか、或いは目地を覆うことにより雨水が目地内に入り込むのが防止され、外観上の見映えも向上する。
【0009】
本発明の目地カバーとしては、目地材と同様の理由により硬質の熱可塑性樹脂製、例えばアクリロニトリル・EPゴム・スチレン共重合体、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体やポリ塩化ビニル等の硬質の硬質樹脂製とするのが望ましい。
【0010】
この目地カバーは、既知のものと同様、目地材に差込んで取付けるのが望ましいが、取付後は目地カバーが抜け止めされ、容易に外れないようにするため目地カバーにフック状部を、目地材にフック状部に引掛かる引掛部を設け、目地カバーのフック状部を引掛部に押込んで引掛けるのが望ましい。
【0011】
好ましい発明では、目地カバー及び若しくは目地材に外壁パネル側端面に弾発力により押付けられるリップ片が設けられる。これによりシール性をより一層向上させることができると共に、外壁パネルが反るようなことがあってもリップ片が外壁パネル側端面を摺動することによりシール性を維持することができる。
【0012】
目地カバーは経年変化により或いは地震等の外的要因により目地巾が広がり、そのため目地カバーが目地をカバーできなくなって隙間ができ、該隙間を通して目地が露呈するようになることが考えられる。このことを考慮して目地材は好ましい発明では、目地カバーや外壁パネルと同色にされる。目地巾が広がって目地材が露呈するようなことがあっても、目立たなくなり、美観が損なわれにくゝなるためである。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の前記目地材が、チャンネル材間に突出して目地材の左右動を一定範囲に規制する突出部を有するものであり、
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の前記目地材が、両側に目地材の上下方向の揺れ止め機能を果たす突片を備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明の目地構造で用いられる目地材10の一例を示すもので、JIS K 6253タイプAで規定する硬度が90度以上の硬質の熱可塑性樹脂よりなる本体11を有し、該本体11の中央部上には後述する目地カバーの取付部12を、左右両側には目地クッション片13を一体に形成して左右対称形をなし、取付部12と目地クッション片13はそれぞれJIS K 6253タイプAで規定する硬度が70度程度の熱可塑性樹脂よりなり、外壁パネル(後述する)と同色で弾力性を有している。以下、これらについて順に詳述する。
【0015】
本体11は、下面の左右両側にそれぞれ一対の脚部11aと、中央部に脚部11aより若干突出する突出部11bを備え、上面の取付部12の両側には突片11cを備えている。
本体11は、硬質の樹脂で形成する代りに取付部12や目地クッション片13と同様、軟質の樹脂で形成し、中に芯金を入れて剛性を保持させるようにしてもよい。
【0016】
取付部12は開閉可能で、常には開いた状態にあり、内側の上部にはそれぞれ突状の引掛部12aを備えており、また段状をなす外側の上端には側方に突出する突部12bを、下側部には斜め上方に突出するリップ片12cを備え、リップ片12cは内側に押込んだとき下段に収まるような長さになっている。
目地クッション片13は本体11より斜め上向きに突出して先端に爪13aを有する鉤状をなしている。
【0017】
図3は、目地カバー14の一例を示すもので、本体11と同程度の硬度を有し、かつ外壁パネルと同色で、目地巾より若干広く、下面中央部に突出する突部14aには両側に突出する一対のフック状部14bを備えている。
外壁パネルは図4に示すように、側端面が段状に形成され、下側部にコ形断面の表面が滑らかな金属製のチャンネル材16が取付けられている。
【0018】
図4に示す外壁パネル17の外壁パネル取付面18への取付けは常法により行われ、外壁パネル間には両側のチャンネル材16と共に凸型断面の目地19が形成される。そしてこの目地19内に目地材10が次のようにして充填される。すなわち、
外壁パネル取付後、目地内に上方より目地材10を取付部12を両側より押し込んで窄めた状態で押し込む。押し込まれた目地材10は取付部12が拡開し、突部12bとリップ片12cが外壁パネル17側端面に押付けられると共に、目地クッション片13が外壁パネル取付面18と平行をなすチャンネル材上面の内側(シール面)に押付けられ、それぞれ外壁パネル側端面及びチャンネル材上側のシール面に線接触してシールする。
【0019】
ついで目地巾より若干広めの目地カバー14を両側の外壁パネル17のエッジに掛かるようにして突部14aを拡開した取付部内に差込み、そのまゝ押し込んで強制嵌合し、フック状部14aをそれぞれ引掛部12aに引掛ける。本実施形態の目地構造によると、目地材を外壁パネル取付後に取付けることができ、外壁パネル取付時には目地位置や目地巾を考慮する必要がないため、外壁パネルの取付けが容易となること、コ形断面をなす金属製のチャンネル材により外壁パネル17の側端面を補強することができると共に、表面を滑らかにして摩擦係数を少なくでき、また目地材10が装着される目地部分のサイズが施工上ばらつくことがなく、一定となり、目地材によるシール性を一定に維持できること、取付部12を窄めた状態で、脚部11aと目地クッション片13を表面の滑らかなチャンネル材16に線接触状態で押込むことによりスムースに嵌挿できること、目地クッション片13を爪を備えた鉤状とすることにより、爪先端が線接触状態でチャンネル材16に押付けられるためシール性が向上すること、経年変化や地震等の外的要因により目地巾が広がり、突部12bやリップ片12cによるシール性が損なわれることがあっても目地クッション片13の爪13aがチャンネル材16のシール面を摺動することによりシール性が維持されること、外壁パネル17が反るようなことがあっても、目地クッション片13が外壁パネル17の反りに追随してチャンネル材16のシール面への爪先端の接触を維持すると共に、突部12bとリップ片12cが外壁パネル側端面をスライドして接触を維持し、シール性を維持できること、目地カバー14はフック状部14aが取付部12の引掛部12aに引掛けられることにより抜け止めされ、目地より外れるのを防止できること、本体11の突出部11bがチャンネル材間に突出することにより本体11の左右動が一定範囲に規制され、図4の左右方向の揺れ止めとなること、突片11cにより図4の上下方向の揺れ止め機能が果たされ、突片11cが雨水進入の邪魔板としての機能を果たすこと、目地カバー14及び目地材10の取付部12が外壁パネル17と同色をなすことにより仮に目地巾が広がって目地カバー14が外壁パネル17のエッジより外れ、隙間ができて、目地材10が見えるようなことがあっても、目地材10が目立たず、美観を損ねにくいこと等の効果を有する。
【0020】
【発明の効果】
本発明によると、目地材を外壁パネル取付後に取付けることができ、外壁パネル取付時には目地位置や目地巾を考慮する必要がないため、外壁パネルの取付けが容易となること、経年変化により或いは地震等の外的要因により目地巾が広がるようなことがあっても目地クッション片がシール面を摺動することによりシール性を維持できること、目地カバーを設けると、雨水が目地内に入り込むのを防止することができると共に、目地材を覆うことにより目地の外観を向上させることができること、外壁パネルの側端面の段又は凹部にコ形断面のチャンネル材を設けると、外壁パネルの側端面を補強することができると共に、目地材の嵌挿をよりスムースに行えるようになり、また目地材が装着される目地部分のサイズが施工上ばらつくことがなく、規格化されて一定となり、目地材によるシール性を一定に維持することができること、チャンネル材を金属若しくは硬質樹脂製とすれば、シール面の耐久性が増すと共に、表面を滑らかにして摩擦係数を少なくできるため、目地クッション片との密着性が向上してシール性及び防水性が向上し、目地巾が変化する際の目地クッション片の滑りもよくなること等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】目地構造の従来例を示す概略断面図。
【図2】目地材の正面図。
【図3】目地カバーの正面図。
【図4】本発明に係る目地構造の断面図。
【符号の説明】
10・・目地材
11・・本体
12・・取付部
12a・・引掛部
12b・・突部
12c・・リップ片
13・・目地クッション片
13a・・爪
14・・目地カバー
14b・・フック状部
16・・チャンネル材
17・・外壁パネル
18・・外壁パネル取付面
19・・目地
Claims (3)
- 外壁パネル17の側端面の段又は凹部によって隣接する外壁パネル間に形成される凸形断面の目地19内に嵌挿される目地材10を有し、前記外壁パネル側端面の段又は凹部には、目地材10の両側部がそれぞれ嵌挿されるコ形断面のチャンネル材16を設け、前記目地材10は硬質樹脂よりなるか、あるいは芯金を入れて剛性を保持させた本体11とを有し、該本体11には、中央部に開閉可能で、常には開いた状態にある取付部12を形成すると共に、左右両側に弾力性を有する目地クッション片13を突出形成し、外壁パネル取付後、目地内に上方より前記目地材10の取付部12を両側より押込んで窄めた状態で押込み、押込まれた目地材10は取付部12が拡開して突部12bとリップ片12cが外壁パネル17側端面に押付けられ、突部14aを備えた目地カバー14を両側の外壁パネル17のエッジに掛かるようにして前記突部14aを前記拡開した取付部12内に差込み、そのまま押し込んで強制嵌合してなる外壁パネルの目地構造。
- 前記目地材10は、チャンネル材16間に突出して目地材11の左右動を一定範囲に規制する突出部11bを有する請求項1記載の外壁パネルの目地構造。
- 前記目地材10は、両側に目地材10の上下方向の揺れ止め機能を果たす突片11cを備える請求項1又は2記載の外壁パネルの目地構造。
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