JP4040909B2 - 樋継手および軒樋の接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軒樋の接続に用いられる樋継手であって、その中でも軒樋の内側に設けられる内側接続方式の樋継手およびこの樋継手を用いた軒樋の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軒樋の内側に設けられる樋継手として、たとえば実公昭56−12354号公報に記載されているものが知られている。この樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状とほぼ一致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に形成された耳係止部とで構成されており、前記継手本体部が半円筒状に形成され、前記耳係止部が樋耳の外側に嵌合可能な溝形状に形成されているものである。しかしながら、この従来の樋継手においては、耳係止部が樋耳の外側に現れるために美観が損なわれるという問題があった。
【0003】
この美観上の問題を解消する樋継手として、特開平10−317612号公報において、外面形状が樋本体部の内面形状とほぼ符合する形状に形成された継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とを備え、樋耳の内面側に内方に開口した溝が形成されている軒樋の接続に用いられる軒樋継手が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平10−317612号公報に開示された軒樋継手では、継手本体部の上端部に設けられた耳係止部が樋耳の溝内に係止されるため、耳係止部が樋耳の外側に現れず美観は損なわれない。しかしながら、軒先に軒樋を配設する際に、樋支持具の先端が係止される屋外側の樋耳の溝が軒樋の内側に開口しているため、軒樋の樋耳に降った雨水や屋根面を流れてきた雨水が樋耳の溝内に入り込み、この雨水が溝内を伝わって軒樋の長手方向に流れる。このため、たとえば隣接する軒樋同士の当接端面に隙間が存在している場合、その隙間を通じて雨水の漏れが生じるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、美観よく軒樋を接続することができ、かつ、軒樋と樋継手との接続部からの雨水の漏れを防止できる樋継手およびこの樋継手を用いた軒樋の接続構造を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、前耳の内面側に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成され、この溝の上縁に係止部が形成されている軒樋同士の接続に用いられる樋継手において、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、前記前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝を形成するための高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられているものである。
【0007】
本発明における樋継手の材質は、硬質塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、AES樹脂などの合成樹脂が使用できる。また、鉄板,鋼板,ステンレス板、あるいは表面がたとえば塩化ビニル樹脂などの合成樹脂にて被覆された樹脂被覆鋼板などの金属材料であってもよい。樋継手の形状は適用される軒樋の形状に応じて決めればよい。また、軒樋の材質は、樋継手と同一であっても、異なるものであってもよい。
【0008】
請求項1記載の本発明の樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、前記前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝を形成するための高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、この隙間を通じて軒樋の外方に漏れる雨水を上記排水溝を通じて軒樋内に排水することができる。
【0009】
請求項2記載の本発明の樋継手は、前耳の内面側に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成され、この溝の上縁に係止部が形成されている軒樋同士の接続に用いられる樋継手において、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、この耳係止部の両端部の形状が前記軒樋の前耳の溝を閉塞する形状とされているものである。
【0010】
請求項2記載の本発明の樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、この耳係止部の両端部の形状が前記軒樋の前耳の溝を閉塞する形状とされているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、軒樋の前耳の溝内を伝わって樋継手と軒樋との接続部に流れてくる雨水の浸入を防止することができる。
【0011】
請求項3記載の本発明は、軒樋の内側に樋継手が設けられ、この樋継手の外側位置で軒樋が長手方向の端面を互いに突き合わせて接続されている軒樋の接続構造において、前記軒樋は、溝形状の樋本体部の上端に耳部が形成され、この耳部の内側面に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成されており、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とから構成され、前記軒樋の前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられ、前記軒樋の前耳の下面部と、この下面部と対向する前記継手本体部の外面との間に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝が形成されているものである。
【0012】
請求項3記載の本発明の軒樋の接続構造では、軒樋は、溝形状の樋本体部の上端に耳部が形成され、この耳部の内側面に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成されており、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とから構成され、前記軒樋の前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられ、前記軒樋の前耳の下面部と、この下面部と対向する前記継手本体部の外面との間に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝が形成されているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、この隙間を通じて軒樋の外方に漏れる雨水を上記排水溝を通じて軒樋内に排水することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の樋継手の第1実施例を示す斜視図、図2は図1の樋継手にて接続される軒樋を示す正面図、図3および図4は図1の樋継手の使用状態を示す説明図である。
【0014】
まず、本発明の樋継手にて接続される軒樋について説明する。軒樋1は断面形状が角型の硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、図2に示すように、平坦な底壁11と、この底壁11の両側部から立設された前側壁12および後側壁13とで溝形状の樋本体部10が構成されている。前側壁12は底壁11から外側に向けて若干傾斜して形成され、途中部で段部121が前方に水平に延設して形成されており、後側壁13は底壁11に対してほぼ直角に形成されている。
【0015】
前側壁12の上端には前耳14が形成されており、この前耳14は樋内側に開口した溝141を有している。この溝141は断面形状がほぼC字状とされており、その開口部上縁には係止爪142が下向きに形成されている。後側壁13の上端には後耳15が形成されており、この後耳15は内方に向けて突出された係止突起151を備えており、この係止突起151の隅部下面側には幅狭(約2.5mm)の溝152が形成されている。前耳14の溝141および後耳15の係止突起151は、軒樋1を後述の樋支持具4に取り付ける際の取付用溝および突起となる。
【0016】
樋継手2は、上記軒樋1と同様に硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、図1に示すように、その外面形状が樋本体部10の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部20と、この継手本体部20の上端部に設けられた前耳係止部24と後耳係止部25とで構成されている。
【0017】
継手本体部20は溝形状のものであり、平坦な底壁21と、この底壁21の両側部から立設された前側壁22および後側壁23とで構成されている。前側壁22は底壁21から外側に向けて若干傾斜して形成され、途中部で段部221が前方に若干傾斜して延設して形成されている。後側壁23は底壁21に対してほぼ直角に形成されている。
【0018】
前側壁22の上部は、軒樋1の前耳14の下面143に合致するように内側に屈曲されて受け面222とされている。この受け面222の最下端側には、高さ約0.5mmの突条223が継手本体部20の長手方向の全長に沿って一体に設けられている。この突条223は軒樋1の前耳14の溝141内に溜まった雨水を軒樋1内に排水するための排水溝3を形成するためのものであり、その高さは0.5〜2mm程度あればよい。受け面222のほぼ中央には長方形状の孔224が穿孔されている。なお、26は立ち上がり片であり、冬季の積雪荷重によって軒樋1の前耳14と樋継手2の前耳係止部24との係合が外れるのを防止するものである。
【0019】
つぎに、上記図1の樋継手2の使用態様を図9に基づいて説明する。軒樋1を吊設する樋吊具4は、図4および図9に示すように、取付部41と支持部材42とからなり、支持部材42の両端には前耳保持部43および後耳保持部44が設けられている。樋吊具4はポリカーボネート樹脂製のものである。
【0020】
まず、建物の鼻隠し板5に、複数の樋吊具4を配列し取付け位置を決めてから、樋吊具4の取付部41をネジなどの固定具で螺着して取り付ける。
【0021】
つぎに、図9(a)に示すように、軒樋1,1の後耳15を各樋吊具4の後耳保持部44に嵌合して係止させ、この状態において、隣接する軒樋1,1同士の端面を当接させる。つぎに、樋継手2の樋本体部10の両端部外周面に接着剤を塗布し、図9(b)に示すように、この接着剤を塗布した樋継手2の後側壁23の上端部に設けられた後耳係止部25を軒樋1,1の後耳15,15の隅部下面側に設けられた溝152内に嵌合して係止させる。
【0022】
つぎに、図9(c)に示すように、後耳15,15を中心として軒樋1,1を時計周り方向に回転させ、軒樋1,1の前耳14,14を樋吊具4の前耳保持部43および樋継手2の前耳係止部24に嵌合して係止させる。同様にして、隣接する軒樋1を樋継手2と接続する。この作業を繰り返して行うことで、図3および図4に示すように、樋継手2にて接続した軒樋1を軒先の鼻隠し板5の前方に樋吊具4にて配設することができる。なお、所定の位置において、相対向し合う軒樋1,1間にドレンが取り付けられた集水器を接続し、この集水器の下部にエルボを取付け、このエルボに竪樋を接続する。そして、この竪樋を竪樋支持具により建物の外壁に固定する。
【0023】
この第1実施例の樋継手2の場合、図1に示すように、継手本体部20の前側壁22の上部に受け面222が形成され、この受け面222の最下端側に突条223が設けられているので、軒樋1の端部内に嵌合接着された状態では、図5に示すように、軒樋1側の下面143と樋継手2側の受け面222との間には排水溝3が形成されることになる。この結果、軒樋1の前耳14の溝141内に溜まる雨水は、排水溝3を通じて受け面222上を流れ、受け面222のほぼ中央に穿孔されている孔224を通じて軒樋1内に流れ込む。
【0024】
また、軒樋1と樋継手2を接続する際に、たとえば隣接する軒樋1,1同士の当接端面間に僅かに隙間が生じても、図5に示すように、受け面222の最下端側に設けられた突条223が堰としての機能を備えているので、水上側の軒樋1の前耳14の溝141から隙間に流れ出た雨水は突条223に沿って受け面222上を流れ、樋継手2の孔224を通じて軒樋1内に流れ込むことになる。このため、隣接する軒樋1,1同士の当接端面間に生じた隙間を通じて、雨水が軒樋1の外面側に漏れ出るのを防止することができる。たとえば寒冷地や積雪地において、上記隙間部分に生じていた氷柱の発生を防止することができる。
【0025】
さらに、図5に示すように、前耳14の係止爪142の前面が立ち上がり片26にて覆われているので、冬季の積雪荷重によって軒樋1の前耳14と前耳係止部24との係合が外れるのを防止できる。このため、軒樋1の破損や破壊を防止でき、耐積雪荷重性にすぐれている。
【0026】
図6は本発明の樋継手の第2実施例を示す斜視図である。この第2実施例の樋継手2Aの場合、図6に示すように、継手本体部20の前側壁22の上部に形成されている受け面222が中央から両端に向かって下り勾配の傾斜面とされている。なお、上記図1の第1実施例の樋継手2と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
この第2実施例の樋継手2Aの場合、軒樋1の端部内に嵌合接着された状態では、図10に示すように、軒樋1側の下面143と樋継手2側の受け面222との間には排水溝3が形成される。この場合、排水溝3の深さは受け面222の中央から両端に向かうにつれて徐々に深くなっている。そして、受け面222が中央から両端に向かって下り勾配の傾斜面とされているので、軒樋1の前耳14の溝141内に溜まる雨水は受け面222のほぼ中央に流れ落ちた後、受け面222上を両側に流れ、受け面222の両端を通じて軒樋1内に流れ込む。
【0028】
また、軒樋1と樋継手2を接続する際に、たとえば隣接する軒樋1,1同士の当接端面間に僅かに隙間が生じても、図6に示すように、受け面222の最下端側に設けられた突条223が堰としての機能を備えているので、水上側の軒樋1の前耳14の溝141から隙間に流れ出た雨水は突条223に沿って受け面222上を両側に流れ、受け面222の両端を通じて軒樋1内に流れ込むことになる。このため、隣接する軒樋1,1同士の当接端面間に生じた隙間を通じて、雨水が軒樋1の外面側に漏れ出るのを防止できる。
【0029】
図7は本発明の樋継手の第3実施例を示す斜視図である。この第3実施例の樋継手2Bの場合、図7に示すように、受け面222の下方に位置している前側壁22の途中部に継手本体部20内に張り出した倒置J字状の窪み22aを設けた以外は、基本的に上記図1の樋継手2とほぼ同一である。図1の第1実施例の樋継手2と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
この第3実施例の樋継手2Bが適用される軒樋は図8に示すようなものである。この軒樋1Aは、前側壁12の途中部に樋本体部10内に張り出した倒置J字状の窪み12aを設けた以外は、基本的に上記図2の軒樋1とほぼ同一である。図2の第1実施例の軒樋1と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
図11は本発明の樋継手の第4実施例を示す斜視図である。この第4実施例の樋継手2Cの場合、図11に示すように、継手本体部20の上端部に設けられた前耳係止部24の両端部に大係止部241が形成され、この大係止部241の形状が接続される軒樋1の前耳14の溝形状とほぼ合致する形状とされ、受け面222のほぼ中央に長方形状の孔224が穿孔されておらず、受け面222の最下端側に突条223が設けられていない以外は、基本的に上記図1の樋継手2とほぼ同一である。図1の第1実施例の樋継手2と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
この第4実施例の樋継手2Cの場合、軒樋1の端部内に嵌合接着された状態では、図12に示すように、樋継手2Cの前耳係止部24の両端部に形成されている大係止部241が軒樋1の前耳14の溝141内に密着して嵌合係止されることで、軒樋1の前耳14の溝141が閉塞されるので、軒樋1の前耳14の溝141内に溜まった雨水が樋継手2Cと軒樋1との接続部内へ浸入するのを防止することができる。
【0033】
図13は本発明の樋継手の第5実施例を示す斜視図である。この第5実施例の樋継手2Dの場合、図13に示すように、前側壁22の上部に位置している立ち上がり片26の上端縁から外方に向けて断面山形状のカバー片27を一体に延設させた以外は、基本的に上記図1の樋継手2とほぼ同一である。図1の第1実施例の樋継手2と同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。そして、図13に示すように、カバー片27の先端側は内方に向けて屈曲された断面略L字状の係止部271を備えている。
【0034】
この第5実施例の樋継手2Dの場合、隣接する軒樋1,1の端部内に嵌合接着された状態では、図15に示すように、前耳14の係止爪142の前面が立ち上がり片26にて覆われるとともに、前耳14,14の上面が断面山形状のカバー片27にて覆われているので、冬季の積雪荷重によって軒樋1の前耳14と前耳係止部24との係合が外れるのを確実に防止できる。このため、軒樋1の破損や破壊を防止でき、耐積雪荷重性にすぐれている。
【0035】
また、カバー片27の先端側に形成されている断面略L字状の係止部271が軒樋1,1の前耳14上面の入隅部に密着して嵌合係止されるので、強風による軒樋のガタツキを防止することができる。
【0036】
なお、この第5実施例の樋継手2Dに、上記第4実施例(図11を参照)の樋継手2Cの技術的思想を適用することも可能である。その場合、受け面222に孔224を設ける必要がなく、受け面222の最下端側に突起223を設けなくてよい。そして、樋継手の前耳係止部24の両端部に形成されている大係止部241が軒樋1の前耳14の溝141内に密着して嵌合係止されることで、軒樋1の前耳14の溝141が閉塞されるので、軒樋1の前耳14の溝141内に溜まった雨水が樋継手と軒樋1との接続部内へ浸入するのを防止することができる。
【0037】
図14は本発明の樋継手の第6実施例を示す斜視図である。この第6実施例の樋継手2Eの場合、図14に示すように、継手本体部20の前側壁22の上部に形成されている受け面222が中央から両端に向かって下り勾配の傾斜面とされている。なお、上記図1の第5実施例の樋継手2Dと同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
なお、この第6実施例の樋継手2Eに、上記第4実施例(図11を参照)の樋継手2Cの技術的思想を適用することも可能である。
【0039】
図16は本発明の樋継手の第7実施例を示す斜視図である。この第7実施例の樋継手2Fの場合、図16に示すように、前側壁22の受け面222に、軒樋1Aの前耳14の下面143に当接するように軟質の接合部225を継手本体部20の長手方向に沿って設けた以外は、基本的に上記図7の樋継手2Bとほぼ同一である。図7の第3実施例の樋継手2Bと同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。尚、この第7実施例の樋継手2Fが適用される軒樋は図8に示すものと同じであるので説明を省略する。
【0040】
この第7実施例の樋継手2Fの場合の軟質の接合部225は、軒樋1Aの前耳14の溝141内に溜まった雨水が受け面222に沿って流下しないように防水するためのものであり、軟質ゴムを一体に設けたり、軟質のポリウレタン発泡体あるいはポリエチレン発泡体等のシートからなるパッキング材を受け面222に貼付けたりしてもよい。その場合、受け面222に孔224を設けてもよいが、受け面222の最下端側に突起223を設けなくてよい。
【0041】
この実施例の樋継手2Fは、隣接する軒樋1A,1Aの端部内に嵌合接着された状態では、図17に示すように、受け面222に形成されている軟質の接合部245が軒樋1Aの前耳14の下面143に当接することになる。その結果、軟質のパッキング材からなる接合部225が圧縮され、前耳14の下面143に密着して水密性が保たれるので、軒樋1Aの前耳14の溝141内に溜まった雨水が樋継手と軒樋1Aとの接続部内へ浸入するのを防止することができる。
【0042】
図18は本発明の樋継手の第8実施例を示す斜視図である。この第8実施例の樋継手2Gの場合、図18に示すように、前側壁22の受け面222を下げて深い排水溝3aを設けた以外は、基本的に上記図7の樋継手2Bとほぼ同一である。図7の第3実施例の樋継手2Bと同一部分については、同一符号を付して説明を省略する。尚、この第8実施例の樋継手2Gが適用される軒樋は図19に示すように、軒樋1Bの前耳14の下面143に下方に突出した水切り片144を設けた以外、図8に示すものと同じであるので説明を省略する。
【0043】
この軒樋1Bの水切り片144は、軒樋1Bの前耳14の溝141内に溜まった雨水が下面143に沿って流下するのを堰止めて軒樋1B内に滴下させて排水するためのものであり、下面143の最上部に設けてもよい。また、樋継手2Gの排水溝3aは、底部を傾斜させてもよく、或いは排水孔224を設けてもよい。なお、排水溝3aの深さは軒樋1Bの水切り片144が収納できる程度に設定されてもよい。
【0044】
樋継手2Gを用いて軒樋1Bを接続すると、図20に示すように、軒樋1Bの前耳14の下面143に設けられた水切り片144が排水溝3a内に垂下した状態で接続される。使用中において、軒樋1Bの前耳14の溝141内に溜まった雨水が下面143に沿って流下することになるが、水切り片144で堰止められ、排水溝3a内に滴下してから排水溝3a内を流れて軒樋1B内へ排出されるので、軒樋1Bの接続端部からは漏れたりすることがない。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、前記前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝を形成するための高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、この隙間を通じて軒樋の外方に漏れる雨水を上記排水溝を通じて軒樋内に排水することができる。
【0046】
請求項2記載の本発明の樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、この耳係止部の両端部の形状が前記軒樋の前耳の溝を閉塞する形状とされているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、軒樋の前耳の溝内を伝わって樋継手と軒樋との接続部に流れてくる雨水の浸入を防止することができる。
【0047】
請求項3記載の本発明の軒樋の接続構造では、軒樋は、溝形状の樋本体部の上端に耳部が形成され、この耳部の内側面に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成されており、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とから構成され、前記軒樋の前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられ、前記軒樋の前耳の下面部と、この下面部と対向する前記継手本体部の外面との間に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝が形成されているので、たとえば軒樋の接続施工の際に、隣接する軒樋同士の端面間に僅かに隙間が生じても、この隙間を通じて軒樋の外方に漏れる雨水を上記排水溝を通じて軒樋内に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の樋継手の第1実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1の樋継手にて接続される軒樋を示す正面図である。
【図3】 図1の樋継手の使用状態を示す説明図である。
【図4】 軒樋の配設状態を示す説明図である。
【図5】 図3の要部を示す拡大断面図である。
【図6】 本発明の樋継手の第2実施例を示す斜視図である。
【図7】 本発明の樋継手の第3実施例を示す斜視図である。
【図8】 図7の樋継手が適用される軒樋を示す正面図である。
【図9】 図1の樋継手による軒樋の取付工程を示す説明図である。
【図10】 図6の樋継手と軒樋との接続状態を示す説明図である。
【図11】 本発明の樋継手の第4実施例を示す斜視図である。
【図12】 図11の樋継手と軒樋との接続状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】 本発明の樋継手の第5実施例を示す斜視図である。
【図14】 本発明の樋継手の第6実施例を示す斜視図である。
【図15】 図13の樋継手と軒樋との接続状態を示す要部拡大断面図である。
【図16】 本発明の樋継手の第7実施例を示す斜視図である。
【図17】 図16の樋継手と軒樋との接続状態を示す要部拡大断面図である。
【図18】 本発明の樋継手の第8実施例を示す斜視図である。
【図19】 図18の樋継手が適用される軒樋を示す正面図である。
【図20】 図18の樋継手と軒樋との接続状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 軒樋
10 樋本体部
11 底壁
12 前側壁
13 後側壁
14 前耳
141 溝
142 係止爪
143 下面部
144 水切り片
15 後耳
151 係止突起
152 溝
2,2B,2C,2D,2E,2F,2G 樋継手
20 継手本体部
21 底壁
22 前側壁
222 受け面
223 突条
23 後側壁
24 前耳係止部
25 後耳係止部
26 立ち上がり片
27 カバー片
271 係止部
3,3a 排水溝
4 樋吊具
41 取付部
42 支持部材
43 前耳保持部
44 後耳保持部
5 鼻隠し板
Claims (3)
- 前耳の内面側に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成され、この溝の上縁に係止部が形成されている軒樋同士の接続に用いられる樋継手において、
前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、前記前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝を形成するための高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられていることを特徴とする樋継手。 - 前耳の内面側に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成され、この溝の上縁に係止部が形成されている軒樋同士の接続に用いられる樋継手において、
前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とで構成され、この耳係止部の両端部の形状が前記軒樋の前耳の溝を閉塞する形状とされていることを特徴とする樋継手。 - 軒樋の内側に樋継手が設けられ、この樋継手の外側位置で軒樋が長手方向の端面を互いに突き合わせて接続されている軒樋の接続構造において、
前記軒樋は、溝形状の樋本体部の上端に耳部が形成され、この耳部の内側面に内方に開口した断面形状略C字状の溝が形成されており、前記樋継手は、外面形状が樋本体部の内面形状と形状とほぼ合致する形状に形成された溝形状の継手本体部と、この継手本体部の上端部に設けられた耳係止部とから構成され、前記軒樋の前耳の下面部を受ける継手本体部の外面に、高さ0.5〜2mmの突条が継手本体部の長手方向の全長に沿って設けられ、前記軒樋の前耳の下面部と、この下面部と対向する前記継手本体部の外面との間に、軒樋内に雨水を排水するための排水溝が形成されていることを特徴とする軒樋の接続構造。
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