JP3669386B2 - 端部構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は縦張り用の乾式壁材の窓上水切り、中間水切り、土台水切り、等として使用し、壁体の防水性、外観の美観性、等を強化する端部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種端部構造としては▲1▼実開平2−43340号公報、▲2▼実開平3−29606号公報、▲3▼実開平3−47904号公報、▲4▼実開平4−137105号公報、および▲5▼実開平6−20612号公報、▲6▼実開平7−11608号公報、等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の▲1▼〜▲4▼の構造では上部の乾式壁材の下端部を被覆しておらず、施工後に下端部が露出し、美観性に劣り、かつ、下端部を固定した固定具が露出してしまう欠点があった。また、▲5▼、▲6▼は乾式壁材の下端部を被覆しているが、▲5▼は外枠に水抜孔を形成しているために錆が発生する危険性があると共に、係合力に欠け、剥落の危険性があった。さらに、▲5▼、▲6▼では上部の乾式壁材の表面側から雨水が浸入した場合に、表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体よりなる芯材を形成した乾式壁材を使用した場合に、下端部の木口から芯材が吸水してしまう欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、窓上部分、中間水切り部分、あるいは土台部分の壁下地に、略断面L字状の水切りと、略断面を垂直な固定部と固定部の下端を外方に略水平に突出した載置面と、載置面の先端を下方に垂下し一定ピッチで流水孔を複数個形成した垂下面と、垂下面の下端近傍を外方に屈曲して突出した係合部と、係合部の根本を下方に間隔を有して垂下した当接面とからなり、前記係合部には係合爪、先端には上方に突出した突出面を形成した敷目板と、略断面を垂直な化粧面と化粧面の略中央近傍を外方に突出した係止部とからなり、係止部には係止爪を形成した長尺状の金属製の化粧カバーとを備え、壁下地に対し水切りと敷目板を固定具を介して固定し、係合部の上に乾式壁材の下端部を配し、化粧カバーの係止部を敷目板の係合部に係止して係合爪と係止爪の係合により一体化して上部の乾式壁材の端部を被覆し、万が一雨水が化粧カバー内に浸入しても敷目板の流水孔により外部へ速やかに排出し、防水性、美観性に優れた端部構造を提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて本発明に係る端部構造の一実施例について詳細に説明する。すなわち、図1は上記構造の例えば窓上部分を示す説明図であり、図2(a)(縦張り)、(b)(横張り)に示すような、イ部分(窓上水切り部)、ロ部分(中間水切り部)、ハ部分(土台水切り部)に形成するものである。
【0006】
さらに詳説すると、本発明に係る端部構造は、水切りA、敷目板Cと化粧カバーDよりなる端部材B、乾式壁材E、壁下地α、固定具βよりなり、壁下地α上に敷目板Cを固定し、敷目板Cの固定部1上に金属系サイディング材、金属板、断熱パネル、ALC板、PC板、窯業系サイディング材、等よりなる乾式壁材Eの端部を載置して固定し、敷目板Cに弾性のある化粧カバーDを乾式壁材Eの厚さに対応して係合し、乾式壁材Eの下端部表面間を覆うと共に、敷目板Cと化粧カバーDとで乾式壁材Eを弾力下で挟持し、かつ乾式壁材Eの下端部表面から内部に漏水した雨水等を敷目板Cに形成した複数個の流水孔10、切り欠き12により外部へ排出する構造としたものである。
【0007】
壁下地αとは主柱、間柱、胴縁、防水シート等の木造下地等の躯体、あるいはH型鋼、リップ溝型鋼等の鉄骨下地等の躯体からなり、乾式壁材Eを釘等の固定具βを介して固定し、外壁を構成するものである。
【0008】
水切りAは端部材Bの下地板として機能し、敷目板Cから流れ出る雨水等が躯体内部に浸入しないように形成したものであり、図3に示すように断面略L字状に形成したものである。
【0009】
また、敷目板Cは図4(a)(正面図)、(b)(図4(a)のa−a線端面図)、(c)(右側面図)示すように、弾性力に優れ安定した係合力を兼ね備えたアルミ合金の押出品、あるいは合成樹脂材の押出品(例えばポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネイト樹脂(PC)、スチロール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、繊維強化プラスチック、等の一種)、もしくは金属薄板材のロール成型品、等の1種からなるもので、かつ断面を略クランク状に形成したものである。すなわち、敷目板Cは略断面を垂直な固定部1と、固定部1の下端近傍を固定部1の延長線に対して略90°以上で屈曲した係合部2とから形成したものである。
【0010】
固定部1は図1に示すように、釘等の固定具βにより壁下地αに固定される部分であると共に、上部の乾式壁材Eを当接する部分である。また、1aは固定部1に形成した防水ヒレであり、敷目板Cが硬質の合成樹脂により形成されている場合には軟質の合成樹脂により形成したものである。
【0011】
係合部2は固定部1の下端を外方に屈曲させて形成したものであり、その上下の乾式壁材Eの端部を当接するガイドとなると共に、後記する化粧カバーDを一体化する部分である。さらに詳説すると、係合部2は略断面を垂直な固定部1と、固定部1の下端を外方に略水平に突出した載置面8と、載置面8の先端を下方に垂下し一定ピッチで流水孔10を複数個形成した垂下面9と、垂下面9の下端を外方に突出した上面3と下面4とから形成した断面略U字状の係合溝5と、係合溝5内に複数段形成した鋸刃状の係合爪6と、上面3の先端を上方に突出した突出面7と、下面4の下端を下方に垂下した当接面11と、当接面11に形成した複数個の切り欠き12とからなるものである。
【0012】
また、4aは傾斜面であり、敷目板Cに化粧カバーDを嵌合し易くするために形成したものである。
【0013】
載置面8は乾式壁材Eの下端部分を当接する部分であり、万が一に内部に浸入した雨水等に端部が接触しないようにし、吸水を防止するものである。
【0014】
当接面11は図1に示すように窓上の水切り上に載置され、敷目板Cを安定して固定するものであると共に、切り欠き12を形成する部分である。
【0015】
また、流水孔10と切り欠き12は図1に矢印の点線で示すように、内部に浸入した雨水等を外部に速やかに排水し、壁下地α、内部の断熱材等が腐食するのを防止するものである。
【0016】
化粧カバーDは図5(a)、(b)(図5(a)のb−b線端面図)に示すように金属薄板(例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー金属板を含む)の一種)、あるいはアルミ合金等の押出材等の長尺体で弾力性(スプリングバック)のある材料を断面略T字状に形成したものであり、主に乾式壁材Eの下端部、所謂、窓上部、横目地部、土台部等を覆い、乾式壁材Eの下端部表面が変形するのを防止したり、下端部部分の変形を被覆したり、乾式壁材Eの固定を強化する固定具βが乾式壁材Eの表面に露出するのを覆い美観を向上したりすると共に、釘頭、乾式壁材E端縁等の錆、汚れを防止するためのものである。
【0017】
勿論、上段の乾式壁材Eからの汚れの流れを下段の乾式壁材Eに影響しないようにすること、等の機能もある。また、敷目板Cと化粧カバーDの係合により弾力下で乾式壁材Eの端部を挟持し、固定力を強化するのに役立つものである。
【0018】
さらに具体的に説明すると、化粧カバーDは略断面を垂直な化粧面13と化粧面13の上下端を内方に傾斜して屈曲した傾斜化粧面14と、傾斜化粧面14の先端を内方に折り返した舌片15とからなる化粧面部16と、化粧面13の略中央を外方に突出した係止面18と、係止面18に複数個突出した係止爪19よりなる係止部17とからなるものである。
【0019】
化粧面部16は乾式壁材Eの下端部、所謂、窓上部、横目地部、土台部、等を覆い、乾式壁材Eの下端部表面が変形するのを防止したり、下端部部分の変形を被覆したり、乾式壁材Eの固定を強化する固定具βが乾式壁材Eの表面に露出するのを覆い美観性を向上したりすると共に、釘頭、乾式壁材E端縁等の錆、汚れが外部に露出するのを防止するためのものである。
【0020】
また、傾斜化粧面14は傾斜して形成することにより、乾式壁材Eに常時弾力が付加された状態で接触するために、上部の乾式壁材Eと化粧カバーDとの納まりが大変良いと共に、図6に示すような乾式壁材Eが合成樹脂発泡体を芯材とする金属系サイディング材の場合には、金属系サイディング材の下端の変形(凸状の変形等)を目立たなくするものである。
【0021】
係止面18は敷目板Cの係合溝5内に挿入される部分であり、係止面18の先端には図5(b)に示すように、ルーバー加工、ハーフピアス加工、ボタンパンチ加工、等で適宜ピッチで突出させて形成した係止爪19を形成したものである。係止爪19は図1に示すように敷目板Cの係合爪6と係合し、敷目板Cに化粧カバーDを係止するものである。また、係止爪19の大きさ(幅)は3mm〜50mm位、形成ピッチは30mm〜300mm位である。
【0022】
乾式壁材Eは図6に一例を示すような金属系サイディング材(金属薄板E1 とシート状物E2 間に合成樹脂発泡体等の芯材E3 を形成したもの)、あるいは窯業系サイディング材、金属板、断熱パネル、ALC板、PC板、レンガ、タイル、等の一種よりなるものである。
【0023】
次に本発明に係る端部構造の施工例について説明する。まず、カラー鋼板よりなる金属薄板E1 とシート状のシート状物E2 間に合成樹脂発泡体(プラスチックフォーム)よりなる芯材E3 を一体に形成したサンドイッチ構造の乾式壁材Eを縦張りして窓上を形成すると仮定する。そこで金属薄板よりなる水切りAをサッシ上部に固定し、次に、図1に示すようにサッシ上部の所定位置に、敷目板Cの固定部1を壁下地αに沿って釘等の固定具βを介して水平方向に固定し、施工する。
【0024】
敷目板Cの施工が完了したら、上段の乾式壁材Eを敷目板Cの固定部1上に当接し、固定具βにより順次固定する。上段の乾式壁材Eの施工が完了したら、化粧カバーDの係止面18を敷目板Cの係合溝5内に嵌挿し係合爪6と係止爪19との係合、係止により化粧カバーDを固定し施工を完了するものである。勿論、点線で示すように固定具βで乾式壁材Eを固定しても良く、この場合でも固定具βが外部に露出することがない。なお、図示しないがアスファルトフェルト等の防水シートを壁下地α上に形成し、防水性を向上するものである。
【0025】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係る端部構造の一実施例にすぎず、水切りAを図7(a)〜(c)、敷目板Cを図8(a)〜(f)、化粧カバーDを図9(a)〜(f)、端部材Bを図10(a)〜(c)に示すように形成することもできる。特に、図8(d)〜(f)は水切りAを使用しなくとも防水性を強化して使用できる敷目板Cである。勿論、使用場所によって使い分けるものである。
【0026】
また、図10(a)〜(c)は端部材Bのその他の実施例を示すものであり、図10(b)に示すような敷目板Cに図10(a)に示すような化粧カバーDを一体化し、図10(c)に示すような端部材Bを形成するものである。
【0027】
図11(a)〜(g)は乾式壁材Eのその他の実施例を示す断面図である。
【0028】
図12は中間水切り部分を示す断面図、図13は土台水切り部分を示す断面図である。また、図14は水切りAを形成しないサッシ上部の端部構造を示すものである。
【0029】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る端部構造によれば、▲1▼乾式壁材を脳天打ちして固定した釘頭が外装面に露出せず、乾式壁材端部の変形、特に合成樹脂発泡体を芯材とするサンドイッチ板では凸状を確実に抑制できる。▲2▼敷目板の載置面が上部の乾式壁材下端をガイドできるので施工が容易である。▲3▼乾式壁材を施工した後に化粧カバーを敷目板に係合するだけで乾式壁材を挟持できるので、装着が極めて容易である。▲4▼敷目板に流水孔と切り欠きを複数個形成したために、雨水が速やかに外部に排出され、化粧カバーに流水孔をあけることがなく、化粧カバーが錆びることがない。▲5▼載置面を形成したために乾式壁材の下端が雨水等に接触せず、合成樹脂発泡体(特にフェノールフォーム)を芯材とする乾式壁材の芯材が吸水することがない。▲6▼当接面を形成したために、端部材の形成が確実である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る端部構造の代表例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る端部構造の使用部位を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る端部構造に使用する水切りの一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る端部構造に使用する敷目板の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る端部構造に使用する化粧カバーの一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る端部構造に使用する乾式壁材の一例を示す断面図である。。
【図7】本発明に係る端部構造に使用する水切りのその他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る端部構造に使用する敷目板のその他の実施例を示す断面図である
【図9】本発明に係る端部構造に使用する化粧カバーのその他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る端部構造に使用する端部材のその他の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明に係る端部構造に使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る端部構造のその他の実施例を示す断面図である。
【図13】本発明に係る端部構造のその他の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明に係る端部構造のその他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
α 壁下地
β 固定具
A 水切り
B 端部材
C 敷目板
D 化粧カバー
E 乾式壁材
E1 金属薄板
E2 シート状物
E3 芯材
1 固定部
1a 防水ヒレ
2 係合部
3 上面
4 下面
4a 傾斜面
5 係合溝
6 係合爪
7 突出面
8 載置面
9 垂下面
10 流水孔
11 当接面
12 切り欠き
13 化粧面
14 傾斜化粧面
15 舌片
16 化粧面部
17 係止部
18 係止面
19 係止爪
Claims (1)
- 略断面L字状の水切りと、略断面を垂直な固定部と、該固定部の下端を外方に略水平に突出した載置面と、該載置面の先端を下方に垂下し一定ピッチで流水孔を複数個形成した垂下面と、該垂下面の下端を外方に突出した上面と下面とから形成した断面略U字状の係合溝と、該係合溝内に複数段形成した鋸刃状の係合爪と、上面の先端を上方に突出した突出面と、下面の下端を下方に垂下した当接面と、該当接面に形成した複数個の切り欠きとからなる係合部を形成した敷目板と、略断面を垂直な化粧面と該化粧面の略中央近傍を内方に突出した係止部とからなり、該係止部には係止爪を形成した長尺状の金属製の化粧カバーとを備え、壁下地に対し水切りと敷目板を固定具を介して固定し、載置面の上に乾式壁材の下端部を当接して配し、化粧カバーの係止部を敷目板の係合部に係止して係合爪と係止爪の係合により一体化したことを特徴とする端部構造。
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