JP3987765B2 - 光半導体素子のサブキャリアおよび光半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野等で用いられ、フォトダイオード(PD),半導体レーザ(LD)等の光半導体素子を搭載するためのサブキャリアおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野においては、光半導体装置が高周波信号を電気−光変換し光ファイバ等へ光信号として伝送するために用いられており、10G(ギガ)ビット/秒(bps)を超えるデータ通信のビットレートを持つものが広く用いられるようになってきている。
【0003】
従来のPD,LD等の光半導体素子を具備した光半導体装置を図5に示す。図5に示すように、101は光半導体素子を搭載するための絶縁基台(サブキャリア)、102はPD、103aはPD102の上部電極と絶縁基台101表面の配線パターンとを電気的に接続する第一のボンディングワイヤ、103bは絶縁基台101表面の配線パターンと回路基板120の回路配線とを電気的に接続するための第二のボンディングワイヤである。また、104はLD、105はLD搭載用のサブマウント、106は測温素子、107はペルチェ素子、108はセラミックス等から成る基体、108aは基体108の平板状の底板部、108bは基体108の側壁部である。また、109は金属等から成る蓋体、110は金属等から成る筒状の光ファイバ固定部材(以下、固定部材ともいう)、111は光ファイバ、112は外部リード端子、120はPD102を制御するための制御回路やインピーダンス整合用の線路導体等が形成された回路基板である。
【0004】
絶縁基台101は、図6に示すように、セラミックス等から成る略直方体の絶縁基材113の表面に導体層から成る各種機能部が形成されており、絶縁基材113の一側面にPDが搭載される導体層から成るPD搭載部114aが形成され、絶縁基材113の上面に第一の配線パターン114bおよび第二の配線パターン114cが形成されている。また、絶縁基材113の一側面には、PD搭載部114aと第一の配線パターン114bを電気的に接続する接続部114d、および第二の配線パターン114cと電気的に接続され、第一のボンディングワイヤ103aがボンディングされるボンディング部114eが形成されている。さらに、絶縁基材113の下面には、基体108の底板部108aの上面にAu−Snロウ材等を介して接着固定される下部導体層114fが形成されている。
【0005】
PD102は、絶縁基台101のPD搭載部114aにAu−Snロウ材等を介して接着固定される。PD102が搭載された絶縁基台101は、基体108の底板部108aの上面にPD102の受光面がLD104や光ファイバ111と光学的に結合するように接着固定されている。また、基体108の底板部108aの上面には、LD104および測温素子106が搭載されたサブマウント105がペルチェ素子107を介して載置されている。
【0006】
光ファイバ111はLD104から発光される光を外部に伝送するとともに、光ファイバ111から伝送された光をPD102に受光させて光信号を電気信号に変換させる。または、PD102はLD104から後方へ出射された光をモニタするためのものである。
【0007】
基体108の下面には、外部リード端子112が固定されており、PD102、LD104、測温素子106、ペルチェ素子107が電気的に接続されている。また、基体108の上面に蓋体109がシーム溶接法等により接合されることにより、光半導体装置を気密に封止する。
【0008】
この光半導体装置は、PD102が絶縁基台101のPD搭載部114aにAu−Sn合金等から成る低融点ろう材を介して接着固定される。その後、PD102の上部電極とボンディング部114eとを、AuやAl等からなる第一のボンディングワイヤ103aを介して電気的に接続する。そして、PD102が搭載された絶縁基台101は、その下部導体層114fが基体108の底板部108aの上面に、Au−Sn合金やPb−Sn合金等から成るろう材を介して接着固定される。その後、絶縁基台101の第一の配線パターン114bおよび第二の配線パターン114cを、回路基板120の回路配線や線路導体に、AuやAl等からなる第二のボンディングワイヤ103bにより電気的に接続する。同様に、LD104と測温素子106をサブマウント105の上面にろう材を介して接着固定した後、予めろう材を介して基体108の底板部108aの上面に接着固定されたペルチェ素子107の上面にサブマウント105をろう材を介して接着固定する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体装置においては、PD102が搭載された絶縁基台101は、組立工程において、コレット等の搬送治具により挟まれた状態で移動して、基体108の底板部108aの上面に載置されるが、その際、第一の配線パターン114bと接続部114dおよび第二の配線パターン114cとボンディング部114eが電気的に接続される絶縁基材113の稜部が搬送治具と接触し、稜部で導体層が傷付いたり削り取られて、第一の配線パターン114bと接続部114dおよび第二の配線パターン114cとボンディング部114eが断線したり、導通抵抗が増大してしまうという問題点があった。
【0010】
また、絶縁基台101は、PD搭載部114a、接続部114dおよびボンディング部114eが絶縁基材113の同じ一側面に形成されているため、スパッタリング法、真空蒸着法、フォトリソグラフィ法、エッチング法等を用いて同時に形成される。その後、第一の配線パターン114b、第二の配線パターン114cが形成されるが、これら配線パターンの形成がPD搭載部114a、接続部114dおよびボンディング部114eの形成と別々となるため、それらが電気的に接続される稜部において、断線が発生し易いという問題点があった。
【0011】
従って、本発明は上記問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、電気的接続の信頼性を高くして絶縁基材の上面から側面にわたって配線導体層(配線パターン)を形成した絶縁基台を具備した光半導体装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子のサブキャリアは、略直方体の絶縁基材の上面と一側面との間に、稜部の一部を切り欠いた、底面が互いに直交する2面から成るかまたは底面が一つの斜面から成る第一および第二の段差が形成された絶縁基台と、該絶縁基台の前記一側面に形成された、光半導体素子が接合される導体層と、前記絶縁基台の前記上面から前記第一の段差を経て前記一側面にかけて形成された、前記導体層に接続される第一の配線導体層と、前記絶縁基台の前記上面から前記第二の段差を経て形成された、前記光半導体素子に電気的に接続される第二の配線導体層とを具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明の光半導体素子のサブキャリアは、略直方体の絶縁基材の上面と一側面との間に、稜部の一部を切り欠いた、底面が互いに直交する2面から成るかまたは底面が一つの斜面から成る第一および第二の段差が形成された絶縁基台と、絶縁基台の一側面に形成された、光半導体素子が接合される導体層と、絶縁基台の上面から第一の段差を経て一側面にかけて形成された、導体層に接続される第一の配線導体層と、絶縁基台の上面から第二の段差を経て形成された、光半導体素子に電気的に接続される第二の配線導体層が設けられていることから、光半導体装置の組立工程で光半導体素子のサブキャリアをコレット等の搬送治具で挟んで移動させた際に、搬送治具の接触等によって第一および第二の配線導体層に断線不良や導通抵抗の増大等が発生するのを防止することができる。また、絶縁基台の上面と側面に別々に第一,第二の配線導体層を形成すると、上面と側面との間の稜部が一つの稜線(角部)ではなく第一および第二の段差が形成されているため、上面に第一および第二の配線導体層を形成する際に上面に直交する第一および第二の段差の内面にも導体が廻り込んで形成され、また側面に第一および第二の配線導体層を形成する際に側面に直交する第一および第二の段差の内面にも導体が廻り込んで形成されるため、第一および第二の段差の内面に重複して導体が形成されることとなり、第一および第二の段差において電気的接続の信頼性が向上する。
【0014】
本発明の光半導体装置は、上面に凹部が形成されているとともに該凹部から外側面にかけて形成された貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に嵌着された筒状の光ファイバ固定部材と、前記凹部の底面に載置された本発明の光半導体素子のサブキャリアと、該サブキャリアの前記導体層に接合されるとともに前記第一および第二の配線導体層に電気的に接続された光半導体素子と、前記基体の上面の前記凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【0015】
本発明の光半導体装置は、電気的接続の信頼性の高い光半導体素子搭載用のサブキャリアを用いた高信頼性のものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子のサブキャリアおよび光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1は本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図、図2は本発明の光半導体装置に搭載される光半導体素子のサブキャリアについて実施の形態の一例を示す斜視図、図3,図4は本発明の光半導体装置に搭載される光半導体素子のサブキャリアについて実施の形態の他の例をそれぞれ示す斜視図である。
【0017】
これらの図において、1は光半導体素子のサブキャリアを成す絶縁基台、2は光半導体素子としてのPD、3aはPD2の上部電極と絶縁基台1表面の配線パターンとを電気的に接続する第一のボンディングワイヤ、3bは絶縁基台1表面の配線パターンと回路基板20の回路配線とを電気的に接続するための第二のボンディングワイヤ、4はLD、5はサブマウント、6は測温素子、7はペルチェ素子、8は基体、8aは基体8の底板部、8bは基体8の側壁部、9は蓋体、10は光ファイバ固定部材、11は光ファイバ、12は外部リード端子である。
【0018】
また、13は絶縁基台1を構成する略直方体の絶縁基材、14aは絶縁基台1の一側面に形成された導体層としてのPD搭載部、14bは絶縁基台1の上面に形成された第一の配線導体層としての第一の配線パターン、14cは絶縁基台1の上面に形成された第二の配線導体層としての第二の配線パターン、14dはPD搭載部14aと第一の配線パターン14bとを電気的に接続する接続部、14eは第二の配線パターン14cと電気的に接続され、第一のボンディングワイヤ3aがボンディングされるボンディング部、14fは基体8の底板部8aの上面にAu−Snロウ材等を介して接着固定される下部導体層、15a,15bは第一,第二の配線パターン14b,14cが形成された、稜部の一部が切り欠かれた第一および第二の段差である。
【0019】
なお、第一の配線パターン14bはPD搭載部14aに直接的に接続されるようにPD搭載部14aと一体的に形成されているが、第二の配線パターン14cと同様にPD搭載部14aとは別々に形成してボンディングワイヤで電気的に接続してもよい。また、第二の配線パターン14cは第一のボンディングワイヤ3aを介してPD2の露出した主面や受光面等に形成された電極等に電気的に接続される。
【0020】
さらに、20は、第二のボンディングワイヤ3bを介して絶縁基台1の配線パターンと電気的に接続される回路基板である。この回路基板20は、PD2を制御するための制御回路やインピーダンス整合用の線路導体等が形成されたものであり、その上面には回路配線や線路導体が形成されており、第一の配線パターン14bおよび第二の配線パターン14cを、回路基板20の回路配線や線路導体に、AuやAl等からなる第二のボンディングワイヤ3bにより電気的に接続する。
【0021】
本発明の光半導体素子のサブキャリアは、略直方体の絶縁基材13の上面と一側面との間に、稜部の一部を切り欠いた、底面が互いに直交する2面から成るかまたは底面が一つの斜面から成る第一の段差15aおよび第二の段差15bが形成された絶縁基台1と、絶縁基台1の一側面に形成された、光半導体素子(PD2)が接合される導体層(PD搭載部14a)と、絶縁基台1の上面から第一の段差15aを経て一側面にかけて形成された、導体層に接続される第一の配線導体層(第一の配線パターン14b)と、絶縁基台1の上面から第二の段差 15 bを経て形成された、光半導体素子に電気的に接続される第二の配線導体層(第二の配線パターン14c)とを具備した構成である。
【0022】
また、本発明の光半導体装置は、上面に凹部が形成されているとともに凹部から外側面にかけて形成された貫通孔を有する基体8と、貫通孔に嵌着された筒状の光ファイバ固定部材10と、凹部の底面に載置された本発明の光半導体素子のサブキャリアと、このサブキャリアの導体層に接合されるとともに第一および第二の配線導体層に電気的に接続された光半導体素子と、基体の上面の凹部の周囲に接合された蓋体9とを具備した構成である。
【0023】
本発明の光半導体装置は、基体8の底板部8aの上面に載置された光半導体素子としてのPD2が搭載された絶縁基台1と、ペルチェ素子7を介して載置されたLD4および測温素子6が搭載されたサブマウント5とを具備しており、基体8の側壁部8bの上面に蓋体9を取着することにより気密封止されている。
【0024】
基体8は、底板部8aと側壁部8bとから成り、上面に各種部品を収容するための凹部が形成されている。この基体8は、底板部8aと側壁部8bとが一体的に形成されたものであってもよい。基体8の側壁部8bには凹部から外側面にかけて貫通孔が形成され、その貫通孔には光ファイバ11を固定するための筒状の固定部材10が嵌着接合されている。
【0025】
本発明の光半導体素子のサブキャリアにおいて、絶縁基台1の本体部分である絶縁基材13は、セラミックス(焼結体)等の絶縁材料から成り、例えばAl2O3質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、窒化珪素(Si3N4)質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等から成る。
【0026】
絶縁基台1の第一,第二の配線パターン14b,14cを含む各導体層は、例えば密着金属層、拡散防止層、主導体層が順次積層された3層構造の導体層から成る。そして、密着金属層は絶縁基材13との密着性の点で、Ti,Cr,Ta,Nb,Ni−Cr合金,Ta2N等の少なくとも1種より成るのが良い。密着金属層の厚さは0.01〜0.2μm程度が良い。0.01μm未満では強固に密着することが困難となり、0.2μmを超えると成膜時の内部応力によって剥離が生じ易くなる。
【0027】
拡散防止層は、密着金属層と主導体層との相互拡散を防ぐうえで、Pt,Pd,Rh,Ni,Ni−Cr合金,Ti−W合金等の少なくとも1種より成るのが良い。拡散防止層の厚さは0.05〜1μm程度が良く、0.05μm未満では、ピンホール等の欠陥が発生して拡散防止層としての機能を果たしにくくなる。1μmを超えると、成膜時の内部応力により剥離が生じ易くなる。拡散防止層にNi−Cr合金を用いる場合は、密着性も確保できるため、密着金属層を省くことも可能である。
【0028】
さらに主導体層は電気抵抗の小さいAu,Cu,Ni,Ag等より成るのが良く、その厚さは0.1〜5μm程度が良い。0.1μm未満では、電気抵抗が大きくなる傾向があり、5μmを超えると、成膜時の内部応力により剥離を生じ易くなる。また、Auは貴金属で高価であることから、低コスト化の点でなるべく薄く形成することが好ましい。Cuは酸化し易いので、その上にNiおよびAuから成る保護層をメッキ法等で被着するのが良い。
【0029】
絶縁基台1のPD搭載部14aにはPD2を固定するための低融点ろう材をスパッタリング法等により所定の厚みに被着させても良い。これにより、PD2を接着固定する際にろう材のプリフォームを配置する手間を省くことができる。低融点ろう材としては、Au−Ge合金(融点約356℃)、Au−Si合金(融点約370℃)、Au−Sn合金(融点約183℃)、In−Pb合金(融点約172℃)、In(融点約157℃)等が好ましい。これらは融点が400℃以下であるため、接着温度を低くすることができる。その結果、光半導体素子が熱衝撃破壊されることがないという利点がある。また、組立工程において、低温接着ができることにより、昇温時間および冷却時間を短くすることができる。その結果、生産コストを低くすることができる。
【0030】
絶縁基台1の第一,第二の段差15a,15bは、ダイシング法、スライシング法または平面研削法あるいはサンドブラスト法等により形成される。
【0031】
第一,第二の段差15a,15bは、第一,第二の配線パターン14b,14cが形成される稜部の一部を切り欠いて形成されており、第一,第二の段差15a,15bの上面における長さ(第一,第二の配線パターン14b,14cの長手方向の長さ)L1(図2)および幅(第一,第二の配線パターン14b,14cの幅方向の幅)L2(図2)は、0.03mm以上が良い。0.03mm未満だと、第一,第二の段差15a,15bの内面に第一,第二の配線パターン14b,14cを形成するのが困難となり、その結果、電気的接続の信頼性が低下する。また、第一,第二の段差15a,15bの幅L2は、第一,第二の配線パターン14b,14cのそれぞれの幅の1/2以上が好ましい。1/2より小さくなると、第一,第二の段差15a,15bが小さくなる代わりに稜部に形成された配線導体層の幅が大きくなるため、組立工程において断線不良や導通抵抗の増大が発生し易くなる。
【0032】
第一,第二の段差15a,15bは、図2に示すように底面が互いに直交する2面(側方からみた断面形状がL字状の面)から成るものであってもよいし、図3,図4に示すように底面が一つの斜面から成っていてもよい。
【0033】
また、図2,図3に示すように、第一の配線パターン14bおよび第二の配線パターン14cの幅はそれぞれ第一,第二の段差15a,15bよりも幅広であってもよいし、図4に示すように、第一,第二の段差15a,15bの幅がそれぞれ第一の配線パターン14bおよび第二の配線パターン14cよりも幅広であってもよい。図2,図3の場合、第一,第二の段差15a,15bの内面には絶縁基台1の上面と側面に別々に導体層を成膜することにより配線導体層が重複して形成されるため、電気的接続の信頼性が向上する。図4の場合、絶縁基台1の上面と側面との間の稜部に搬送治具等が接触して稜部に欠け等が発生しても配線導体層には全く欠け等が発生しないため、電気的接続の信頼性が向上する。また図4の場合にも、絶縁基台1の上面と側面に別々に導体層を成膜することにより配線導体層を重複して形成することもでき、電気的接続の信頼性がさらに向上し好ましいものとなる。
【0034】
本発明の配線導体層である第一の配線パターン14bおよび第二の配線パターン14cは、スパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成法により成膜されるが、絶縁基台1の上面と側面に別々に配線導体層を形成することが好ましい。この場合、絶縁基台1の上面と側面との間の稜部が一つの稜線(角部)ではなく第一,第二の段差15a,15bが形成されているため、上面に配線導体層を形成する際に上面に直交する第一,第二の段差15a,15bの内面にも導体が廻り込んで形成され、また側面に配線導体層を形成する際に側面に直交する第一,第二の段差15a,15bの内面にも導体が廻り込んで形成されるため、第一,第二の段差15a,15bの内面に重複して導体が形成されることとなり、第一,第二の段差15a,15bにおいて電気的接続の信頼性が向上する。
【0035】
本発明の基体8は、Al2O3質焼結体、AlN質焼結体、ムライト質焼結体、SiC炭化珪素質焼結体、Si3N4質焼結体、ガラスセラミックス等のセラミックス、またはCuを含浸させたタングステン多孔質体、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る。基体8を構成する底板部8aと側壁部8bとは同じ材料から形成されていても良いし、互いに異なる材料から形成されていても良い。ただし、底板部8aと側壁部8bとを異なる材料で形成する場合、両者の熱膨張係数差ができるだけ小さいものとなる組合せを選択することが好ましい。また、底板部8aと側壁部8bとは一体的に形成されていてもよい。
【0036】
基体8の底板部8aの上面には、回路基板20と、ペルチェ素子7が接着固定されている。ペルチェ素子7は、LD4を所定の温度に冷却または加熱するための熱ポンプとして機能し、測温素子6により測定したLD4の温度を検知し、LD4が所定の温度となるように冷却または加熱する。そして、このペルチェ素子7の上面には、サブマウント5が搭載されており、サブマウント5上にLD4および測温素子6が隣接して設置される。
【0037】
さらに、基体8の底板部8aまたは側壁部8bには、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等の金属から成る外部リード端子12が容器の外部に突出するようにして設けられている。この外部リード端子12は、基体8の底板部8aまたは側壁部8bを貫通するようにして設けられるかまたは基体8の内部から外部に導出されたメタライズ層等の配線導体に接合されることにより、容器の内部と外部とを電気的に接続している。そして、この外部リード端子12には、容器内部の回路基板20、LD4、測温素子6、ペルチェ素子7が電気的に接続される。
【0038】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0039】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子のサブキャリアは、略直方体の絶縁基材の上面と一側面との間に、稜部の一部を切り欠いた、底面が互いに直交する2面から成るかまたは底面が一つの斜面から成る第一および第二の段差が形成された絶縁基台と、絶縁基台の一側面に形成された、光半導体素子が接合される導体層と、絶縁基台の上面から第一の段差を経て一側面にかけて形成された、導体層に接続される第一の配線導体層と、絶縁基台の上面から第二の段差を経て形成された、光半導体素子に電気的に接続される第二の配線導体層とを具備したことにより、光半導体装置の組立工程で光半導体素子のサブキャリアをコレット等の搬送治具で挟んで移動させた際に、搬送治具の接触等によって第一および第二の配線導体層に断線不良や導通抵抗の増大等が発生するのを防止することができる。また、絶縁基台の上面と側面に別々に第一,第二の配線導体層を形成すると、上面と側面との間の稜部が一つの稜線(角部)ではなく第一および第二の段差が形成されているため、上面に第一および第二の配線導体層を形成する際に上面に直交する第一および第二の段差の内面にも導体が廻り込んで形成され、また側面に第一および第二の配線導体層を形成する際に側面に直交する第一および第二の段差の内面にも導体が廻り込んで形成されるため、第一および第二の段差の内面に重複して導体が形成されることとなり、第一および第二の段差において電気的接続の信頼性が向上する。
【0040】
本発明の光半導体装置は、上面に凹部が形成されているとともに凹部から外側面にかけて形成された貫通孔を有する基体と、貫通孔に嵌着された筒状の光ファイバ固定部材と、凹部の底面に載置された本発明の光半導体素子のサブキャリアと、このサブキャリアの導体層に接合されるとともに第一および第二の配線導体層に電気的に接続された光半導体素子と、基体の上面の凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことにより、電気的接続の信頼性の高い光半導体素子搭載用のサブキャリアを用いた高信頼性のものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の光半導体素子のサブキャリアについて実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図3】 本発明の光半導体素子のサブキャリアについて実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の光半導体素子のサブキャリアについて実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【図5】 従来の光半導体装置を示す断面図である。
【図6】 従来の光半導体素子のサブキャリアを示す斜視図である。
【符号の説明】
1:絶縁基台
2:PD
4:LD
8:基体
9:蓋体
10:光ファイバ固定部材
13:絶縁基材
14b:第一の配線パターン
14c:第二の配線パターン
15:段差
Claims (2)
- 略直方体の絶縁基材の上面と一側面との間に、稜部の一部を切り欠いた、底面が互いに直交する2面から成るかまたは底面が一つの斜面から成る第一および第二の段差が形成された絶縁基台と、該絶縁基台の前記一側面に形成された、光半導体素子が接合される導体層と、前記絶縁基台の前記上面から前記第一の段差を経て前記一側面にかけて形成された、前記導体層に接続される第一の配線導体層と、前記絶縁基台の前記上面から前記第二の段差を経て形成された、前記光半導体素子に電気的に接続される第二の配線導体層とを具備したことを特徴とする光半導体素子のサブキャリア。
- 上面に凹部が形成されているとともに該凹部から外側面にかけて形成された貫通孔を有する基体と、前記貫通孔に嵌着された筒状の光ファイバ固定部材と、前記凹部の底面に載置された請求項1記載の光半導体素子のサブキャリアと、該サブキャリアの前記導体層に接合されるとともに前記第一および第二の配線導体層に電気的に接続された光半導体素子と、前記基体の上面の前記凹部の周囲に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする光半導体装置。
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