JP3985015B2 - インスリン様成長因子結合タンパク質とその組成物 - Google Patents
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Description
成人血清中の結合タンパク質の量は、GH欠損または先端巨大症のいずれかである個体の成長ホルモン(GH)の状態を反映するものであることがわかっている。即ち、高レベルの結合タンパク質は高レベルのGHと関係している[Martin and Baxter(1985)J.C1in.Endo. and Matabol.,61:799-801]。従って、この結合タンパク質はGH依存性のIGF結合タンパク質と呼ばれていた。本明細書では便宜のため、ヒト血漿からのGH依存性の結合タンパク質に対してはBP53なる名称を、そして羊水から初めて単離された結合タンパク質に対してはBP28なる名称を用いる。この名称は、非還元のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミトゲル電気泳動(SDS-PAGE)での精製タンパク質の大きさを示している。
また、BP53のアミノ酸配列およびこのタンパク質の生物学的活性に実質的に悪影響を及ぼさないその他の変異体を製造することも本発明の目的である。
本発明の他の目的は、他の天然の(供給源)タンパク質を全く含まないBP53を得ることである。
さらに、BP53の組成物を提供することも本発明の目的である。
本発明のこれらの目的またその他の目的は本明細書の全体を読めば明らかとなるであろう。
1つの具体的な態様では、本発明の目的を達成するために、BP53をコードしている配列を含有する単離されたDNA配列が提供され、該DNA配列は、
(a)図3に示したDNA配列;および
(b)厳格な条件下で(a)のDNA配列とバイブリダイズし、少なくとも約10個のヌクレオチドを含有するDNA配列;
からなる群から選ばれるDNA配列を包含している。
このDNA配列は、BP53のアミノ酸配列と十分な複製性を有するアミノ酸配列を有し、(1)IGFと結合するか、または(2)対応する天然タンパク質の少なくとも1つのエピトープに対して生成させた抗体と免疫学的に交差反応する、という生物学的性質を有するタンパク質をコードしている配列を含有するものと特徴付けることもできる。
さらに別の態様においては、本発明はIGFを結合するのに有用な医薬組成物に関し、これは薬学的に許容しうる担体中に治療学的有効量の本発明のBP53タンパク質を含有している。
また、意図されているのは、哺乳動物の代謝調節に有用な医薬組成物であり、これは薬学的に許容しうる担体中に治療学的有効量の本発明のBP53およびIGFを含有している。
さらに、循環ヒト血漿中のIGFの量を検定するのに有用な診断組成物も本発明に含まれ、これは検出可能なラベル部分に共有結合させた本発明のBP53を含有している。
また、本発明は膜アンカーと結合したBP53の製造を可能にし、それによってIGFを一層効率良く標的細胞に放出することを可能にする。これは、BP53タンパク質のC末端に、組換え法またはその他の方法によって、リン脂質アンカードメインまたはIGF‐IもしくはIGF-IIのどちらかの通常の受容体のトランスメンブランもしくは膜結合ドメインを構成するアミノ酸配列を導入することによって行うことができる。この場合、BP53変異体は宿主細胞の膜調製物から回収される。別法によれば、BP53を宿主細胞の細胞外培地に分泌させることができる。
また、BP53はIGFの量の診断物質としての用途が見いだされるであろう。さらに、本発明のBP53は、対応する天然のBP53によって認識されるエピトープを有する抗体調製物と免疫学的に交差反応性であり、それによって本発明のBP53をそのような抗体の診断試薬として有用なものにする。
BP53のその他の用途は当業者には明らかであろう。
BP53のアミノ酸配列変異体には、例えば図3に示したアミノ酸BP53配列中の残基の削除、挿入または置換が含まれる。また、最終の構築物が所望の活性を保持しているなら、あらゆる組合せの削除、挿入および置換を行って最終構築物を得ることができる。変異BP53をコードしているDNA中で行われる突然変異がこの配列をリーディング・フレーム(読み枠)の外に置くものであってはならず、また、好ましくは2次的なmRNA構造を与える相補領域を生じないものであることは明らかであろう。[EP 75,444Aを参照]。
アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決められるが、突然変異それ自体は予め決める必要がない。例えば、ある部位での突然変異の実施を最適にするために、ランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域において行い、発現されたBP53変異体を所望の活性の最適の組合せについてスクリーニングすることができる。既知の配列を有するDNA中の予め決めた部位で置換突然変異を行う方法は、例えばM13プライマー突然変異誘発のように周知である。
アミノ酸配列挿入体には、1個の残基から実質的に制限されない長さのポリペプチドまでのアミノ-および/またはカルボキシ-末端融合体、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入体が含まれる。通常、配列内挿入(即ち、成熟BP53配列内の挿入)は、約1〜10残基の範囲内であり、より好ましくは1〜5残基である。1個の末端挿入の例は、N‐末端のメチオニルを有する成熟BP53である。この変異体は、組換え細胞培養におけるBP53の直接発現、即ち成熟BP53の細胞膜結合もしくは分泌させるためのシグナル配列を伴わない発現のための人工物である。末端挿入の他の例には、(1)組換え宿主からの成熟BP53の分泌を容易にするための、成熟BP53のN-末端へのシグナル配列(異種または同種)の融合、(2)免疫原性ポリペプチド(即ち、標的配列に免疫原性を付与するに十分大きいポリペプチド)、例えば細菌性ポリペプチド、例えば大腸菌(E.co1i)trp遺伝子座によってコードされている酵素あるいはβ-ラクタマーゼ、β-ガラクトシダーゼなどの融合、および(3)細胞表面結合物質、例えば膜アンカーなどとの融合が含まれる。
分泌型の成熟BP53は、成熟BP53をコードしているDNAの5’末端を、宿主細胞によって認識されるシグナル配列をコードしているDNAの3’末端に連結することによって得ることができる。連結したDNA配列を含有する発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。この宿主細胞は、シグナル配列とBP53の第1アミノ酸の間のペプチド結合をタンパク質加水分解切断することによって発現された融合体をプロセッシングし、使用した宿主細胞に依存して培地中に、または宿主細胞周辺質中に成熟BP53を分泌するであろう。例えば、原核性発現ベクターの構築においては、BP53分泌リーダー(即ち、アミノ酸−27〜−1)を細菌性アルカリホスファターゼまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーによって置き換え、酵母用には、BP53リーダーを酵母インベルターゼ、α-因子または酸ホスファターゼリーダーによって置き換える。ホモローガスなシグナル-BP53融合体によって形質転換されたグラム陰性生物は細胞周辺質中に成熟BP53を分泌し、一方、酵母またはバシラス種は培養培地中に成熟BP53を分泌するであろう。
それぞれのベクターは上に記したようにBP53をコードしている核酸を含有しているであろう。通常、これはアミノ末端が分泌シグナルに結合している成熟形のBP53をコードしているDNAであろう。この分泌シグナルは、通常インビボでヒト細胞からBP53を分泌させるBP53プレ配列であるのが好ましい。しかし、適当な分泌シグナルには、他の動物BP53由来のシグナル、ウイルス性シグナル、または同一もしくは関連の種の分泌型ポリペプチド由来のシグナルも含まれる。
酵母で用いるのに適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在しているtrp1遺伝子である[Stinchcomb et a1.,(1979),Nature 282: 39; Kingsman et al.,(1979),Gene 7:141;またはTschemper et al.,(1980),Gene 10:157]。このtrp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44076またはPEP4‐1[Jones,(1977),Genetics 85:12]の選択マーカーを与える。次いで、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1欠損の存在は、トリプトファンの非存在下での増殖により形質転換の検出に有効な環境を与える。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC 20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補足される。
増殖条件によってコントロールされる転写の別の利点を有している誘導性プロモーターであるその他の酵母プロモーターは、アルコ一ルデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関与する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素群のプロモーター領域である[Ho11and;上記]。酵母発現において用いるのに適したベクターおよびプロモーターはR.Hitzeman et a1.(EP 73,657A)がさらに開示している。また、酵母エンハンサーを酵母プロモーターとともに用いるのが有利である。
高等真核生物によるBP53をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大する。エンハンサーは、通常約10〜300bpのシス作用性のDNA要素であり、プロモーターに作用してその転写開始能力を増強する。エンハンサーは、その配向および位置には比較的依存せず、転写単位の5’[Laimins,L.et a1., Proc.Nat1.Acad.Sci.,78:993(1981)]および3’[Lusky,M.L. et a1.,Mo1.Cell Bio.,3:1108(1983)]に、イントロン内[Banerji,J.L.et a1.,Ce11,33:729(1983)]に、ならびに暗号配列それ自体内[0sborne,T.F.,et a1.,Mo1.Ce11 Bio.,4:1293(1984)]に見い出されている。現在では多数のエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテインおよびインスリン)から既知となっている。しかし、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを用いるのが普通である。その例には、SV40の複製起源の後期側のエンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルスの複製起源の後期側の初期プロモーターエンハンサー、およびアデノウイルスのエンハンサーが含まれる。エンハンサーはベクターのBP53をコードしている配列の5’または3’の位置に継ぎ合わせてよいが、プロモーターの5’の位置に設置するのが好ましい。
組換え脊椎動物細胞培養における異種タンパク質の合成に用いるのに適した他のベクターは開示されている[M.J.Gething et a1.,Nature,293:620-625(1981);N.Mantei et a1.,Nature,281:40-46;およびA.Levinson et a1.,EP117,060Aおよび117,058A]。BP53の哺乳動物細胞培養発現に特に有用な出発プラスミドはpUC118であり、これをVieiraおよびMessing[MethEnzymo1.,153:3-11(1987)]が開示している。簡単に説明すると、pUC118は、アンピシリン耐性およびM13 IG領域、ならびにクローニングのための唯一の制限部位を含有するlacZペプチドをコードしている配列を含む3.2kbのプラスミドである。pUC118は、pUCの唯一のNdeI部位(2499)に挿入されたHgiAI部位(5465)からDraI部位(5941)までのM13のIG領域を含むpUC18[Norrander et al.,Gene,26:101(1983)が開示]である。M13IG領域の配向は、ssDNAとしてパッケージングされるlac領域の鎖がM13mpベクターにおけるときと同じになるようになっている。
BP53の発現用に好ましい宿主細胞は多細胞生物由来の細胞である。上記のように、BP53上の多数のシステイン残基により、もし天然BP53に対して最も忠実な立体配座を示すことを組換えタンパク質に期待するときには、宿主細胞は原核生物よりもさらに高等な系統発生オーダーのものであるのが最適であることが示唆される。また、BP53のグリコシル化を確保することが必要であることもある。これら機能のすべては高等真核細胞によって最もうまく行うことができる。原則的には、あらゆる高等真核細胞培養物が脊椎動物あるいは非脊椎動物培養物の由来を問わず使用可能であるが、サル、ラット、ハムスターおよびヒトなどの哺乳動物由来の細胞が好ましい。これら細胞の培養中での増殖はそれ自体周知である[Tissue Cu1ture, Academic Press, KruseおよびPatterson編(1973)を参照]。有用な哺乳動物宿主セルラインの例には次のものが含まれる:SV40で形質転換されたサル腎CV1ライン[COS-7,ATCC CRL1651];ヒト肝腎セルライン[293, Graham,F.L. et a1.,J.Gen Viro1.36:59(1977)];新生ハムスター腎細胞[BHK、ATCC CCL 10];チャイニーズ・ハムスター卵巣細抱-DHFR[CHO, Ur1aubおよびChasin, Proc.Nat1.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)];マウス セルトーリ細胞[TM4, Mather,J.P., Bio1.Reprod. 23:243-251(1980)];サル腎細胞[CV1、ATCC CCL 70];アフリカミドリザル腎細胞[VERO-76、ATCC CRL-1587];ヒト子宮頸癌細胞[HELA、ATCC CCL 2]、イヌ腎細胞[MDCK、ATCC CCL 34];バッファロラット肝細胞[BRL 3A、ATCC CRL 1442];ヒト肺細胞[W138、ATCC CCL 75]、ヒト肝細胞[HepG2、HB8065];マウス乳腫瘍[MMT060562、ATCC CCL51細胞];およびTRI細胞Mather, J.P. et al., Annals N.Y.Acad.Sci. 383:44−68(1982)]。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認する分析のために、連結混合物を用いて大腸菌K12株294(ATCC 31,446)または他の適当な宿主を形質転換する。プラスミド構築の様式に依存して、適当なところでアンピシリン、テトラサイクリン、もしくはその他の抗生物質耐性によって、またはその他のマーカーによって成功裏の形質転換体を選択する。次に、形質転換体からのプラスミドを、所望によりクロラムフェニコール増幅[C1ewe11,D.B.et a1., J.Bacterio1.,110:667(1972)]の後に、C1ewe11等[Proc.Nat1.Acad Sc1.(USA)62:1159(1969)]の方法に従って調製する。単離したDNAを制限分析し、そして/またはMessing等のジデオキシ法[Messing et a1.,Nuc1eic Acids Res.,9:309(1981)]またはMaxam等の方法[Maxam et a1., Methods in Enzymo1ogy,65:499(1980)]によって配列決定する。
BP53は分泌型タンパク質として培養培地または周辺質から回収するのが好ましい。また、分泌シグナルなしで直接発現させるときには宿主細胞溶菌液から回収することもできるが、この場合には第1段階として、培養培地または溶菌液を遠心して個々の細胞残骸を除去する。また、BP53は不純な可溶性タンパク質から、例えば選別カラム(ConAなど)による吸着とそれからの溶離、または抗-BP53免疫アフィニティーカラムによる吸着とそれからの溶離によって精製することができる。これとは別に、他の方法、例えばアルキル・セファロース、シリカまたはアニオンもしくはカチオン交換樹脂によるクロマトグラフィーまたはゲル電気泳動を用いてBP53を不純物から分離することができる。膜アンカーがBP53タンパク質に結合しているBP53の変異体は、BP53と同じ方法で回収することができる。
天然のBP53に適した精製方法が、組換え細胞培養で発現させたBP53またはその変異体の性質の変化に鑑みて、修飾を必要とすることもあることは当業者の認めるところであろう。例えば、原核細胞の培養中に産生されたBP53ポリペプチドはグリコシル化されていないので、Con-Aセファロースに吸着しないであろう。この場合には、他の方法、例えばゲル電気泳動、イオン交換または免疫アフィニティー精製などを用いるべきである。適切な精製法は特定の組換えBP53の性質に依存しており、当業者には明らかであろう。
「トランスフェクション」とは、宿主細胞による発現ベクターの取込みを意味し、任意の暗号配列が実際に発現されると否とを問わない。例えば、CaPO4法および電気穿孔法などの多数のトランスフェクション法が当業者に知られている。原核細胞または強固な細胞壁構造を含む細胞が使用されるときには、好ましいトランスフェクンョン法はCohen等が開示している塩化カルシウムによるカルシウム処理である[Cohen,F.N.et a1.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)69:2110(1972)]。通常、このベクターの作用のいずれかの指標が宿主細胞内に現れたときに、トランスフェクションの成功が認められる。
「形質転換」とは、染色体外要素として、または染色体組込みのいずれかによって、複製可能なように生物中にDNAを導入することを意味する。使用される宿主細胞に依存して、そのような細胞に適した常法を用いて形質転換を行う。原核生物または強固な細胞壁障害を有するその他の細胞のためには、通常、Cohenが開示している塩化カルシウム使用のカルシウム処理法[Cohen,S.N. et al.,Proc. Natl.Acad.Sci(USA) 69:2110(1972)]が用いられる。そのような細胞壁を持たない哺乳動物細胞のためには、Grahamおよびvan der Ebのリン酸カルシウム沈澱法[Graham,F.and van der Eb,A.Virology 52:456-457(1978)]が好ましい。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の全般についてはAxel[米国特許No.4,399,216;1983年8月16日発行]が開示している。酵母での形質転換は、通常、Van So1ingen等[Van So1ingen,P.,et a1., J.Bact.,130:946(1977)]およびHsiao等[Hsiao,C.L.,et al.,Proc. Natl. Acad.Sci.(USA) 76:3829(1979)]の方法に従って行われる。しかし、細胞中にDNAを導入するための他の方法、例えば核注射による方法またはプロトプラスト融合による方法なども用いることができる。
「部位指向性の突然変異誘発」はこの分野では普通の方法であり、所望の突然変異を示す限定された誤対合を除いて突然変異誘発を行おうとする1本鎖ファージDNAに相補性の合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行う。簡単に説明すると、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてファージに対して相補性である鎖を合成させ、得られた2本鎖DNAをファージを維持する宿主細菌中に導入する。導入した細菌の培養物をトップ寒天で培養すると、ファージを保持している1個の細胞からプラークが形成される。理論的には、新しいプラークの50%が突然変異形を1本鎖として有するファージを含有し、50%は元の配列を有する。このプラークを、正確な対合はハイブリダイズさせるが元の鎖との誤対合がハイブリダイズするのを妨げるに十分な温度で、キナーゼ処理した合成プライマーとハイブリダイズさせる。次いで、プローブとハイブリダイズするプラークを選択し、培養し、DNAを回収する。
「コントロール配列」とは、特定の宿主生物における機能的に結合した暗号配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適したコントロール配列には、例えば、プロモーター、所望によるオペレーター配列、リボソーム結合部位、そして恐らくは今のところはよくわかっていないその他の配列が含まれる、真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することがわかっている。
本明細書で用いる「細胞」、「セルライン」および「細胞培養物」は交換可能なように用い、これら表示の全てはその子孫を含んでいる。従って、「形質転換体」または「形質転換細胞」は、転移の数とは無関係に1次対象細胞およびそれから導いた培養物を含んでいる。また、意図的あるいは偶然の突然変異により、全ての子孫がそのDNA内容において正確に一致していないこともあることは理解されよう。元の形質転換された細胞中のものについてスクリーニングしたときに同一の機能を有する突然変異子孫は包含される。別の意味が意図されているときには、その文脈から明らかであろう。
DNAの「消化」とは、DNA中のある配列のところでのみ作用する制限酵素によるDNAの触媒的切断を意味する。本発明で用いられる多種の制限酵素は市販品から入手可能であり、それらの反応条件、補助因子、およびその他の必要なものは、当業者に既知であるものを用いた(例えば、製造元の指示に従った)。分析用には、通常、1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントを約20μlの緩衝液中、約2単位の酵素とともに用いる。プラスミド構築用のDNAフラグメントの単離のためには、通常、5〜50μgのDNAをもっと大きな容量中、20〜250単位の酵素で消化した。特定の制限酵素のための適切な均衡液および其質量は製造元によって指定されている。通常は37℃で約1時間のインキュベート時間を用いたが、供給元の指示に従って変えてもよい。消化の後、反応混合物を直接ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて所望のフラグメントを単離する。
制限消化物からのあるDNAフラグメントの「回収」または「単離」とは、電気泳動によるポリアクリルアミドまたはアガロースゲルでの消化物の分離、その移動度と既知分子量のマーカーDNAフラグメントの移動度の比較による目的フラグメントの同定、目的のフラグメントを含有しているゲル切片の取り出し、およびゲルからのDNAの分離を意味する。この方法は広く知られている。例えば、Lawn等[R.Lawn et al.,(1981), Nuc1eic Acids Res.9:6103−6114] およびGoedde1等[D.Goedde1 et a1.,(1980)Nuc1eic Acids Res.8:4057]を参照。
「連結(ライゲート)」とは、2つの2本鎖核酸フラグメントの間でホスホジエステル結合を形成させる過程を指す[T.Maniatis et al.,Molecu1ar Cloning:A Laboratory Manual,p.146;上記]。特に記さなければ連結は、連結しようとするほぼ等しい量のDNAフラグメント(0.5μg)に対してT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)(10単位)を用い、既知の緩衝液および条件を用いて行う。「接着末端」連結は通常0℃で行い、一方、「平滑末端」連結は通常14℃で行う。
形質転換体からのDNAの「調製」とは、微生物培養物からのプラスミドDNAの単離を意味する。他に記載がなければ、Maniatis等[Mo1ecu1ar C1oning:A Laboratory Manua1,P.90;上記]のアルカリ/SDS法を用いてよい。
「オリゴヌクレオチド」とは、既知の方法によって化学的に合成され、次いでポリアクリルアミドゲルで精製された短い1本鎖または2本鎖のポリデオキシヌクレオチドである。
1.ヒト血漿からの精製BP53を部分的に配列決定した。
2.BP53のアミノ末端部分およびBP53の多数の内部配列に対応するそれぞれのアミノ酸に対して単一のコドン選択を示す一連のオリゴヌクレオチドプローブを化学的に合成し、32Pでラベルした。
3.2種類の成人肝臓cDNAライブラリーをαλgt10ベクターにおいて構築した:1つはオリゴ(dT)プライムしたライブラリーであり、1つはランダムにプライムしたライブラリーである。
4.それぞれのライブラリーを3種類のプローブプールでスクリーニングした。プローブのそれぞれのプールは、それぞれのライブラリーで強度の異なる300〜1000のスポットを与えた。38のスポットが3種類のプローブプールの2つで重複し、2つのスポットが3重複して現れた(両方ともオリゴ(dT)プライムしたライブラリー由来)。これらクローンの2つを、3種類のプローブプールと、および第4の合成プローブとバイブリダイズするものと同定した。2重複および3重複クローンのいくつかをサブクローンし、マッピングした。
5.4種類のプローブプールの全てにハイブリダイズした2つのサブクローンのうちの1つを配列決定し、BP53の完全なDNA配列を決定した。
6.BP53をコードしている完全長のcDNAをプラスミド中に構築し、複製した。図3の完全なDNA配列を知ることによりBP53cDNAと完全な相同性を有する極めて長いプローブを調製することが可能になり、それによって他の種由来のゲノムライブラリーまたはcDNAをプローブすることがかなり容易になり、その効率を増大させ、そしてBP53の精製、配列決定およびプローブプールの調製を不要なものにすることができた。
7.BP53をコードしているcDNAをクローニングプラスミドから切り出し、発現媒体に連結し、これを用いて適当な宿主細胞を形質転換し、次いでこの宿主細胞を培養増殖させて目的のBP53を産生させた。
8.上記方法に従って得た生物学的に活性な成熟BP53は264個のアミノ酸残基を有しており、そのうちの18個はシステインである。
(実施例1)BP53をコードしているcDNAクローンの同定およびヒト血清BP53のクローニング
BP53をコードしているDNAは、完全なDNA配列が既知であるときには化学合成によって、ヒト肝臓由来のmRNAの逆転写体のスクリーニングによって、または任意の細胞由来のゲノムライブラリーのスクリーニングによって得ることができる。BP53タンパク質の完全なアミノ酸配列もDNA配列も本発明時には知られていなかったので、その時点ではBP53をコードしている完全なDNA配列の化学合成は不可能であった。
ヒト血清結合タンパク質BP53を、Commonwea1th Serum Laboratories(Melbourne Austra1ia)から入手したヒト血漿のコーン・フラクションIVペーストから、MartinおよびBaxter[J.Bio1.Chem.;上記]の記載のようにして精製した。精製されたBP53を示す単一のHPLCピークを単離した。この物質から得たアミノ酸配列を第2表に示す。
タンパク質のトリプシンおよびリジン-Cタンパク質加水分解切断とそれに続く逆相クロマトグラフィーによるペプチドの単離によって、別の9つの内部ペプチドの単一の配列および3つの混合配列が得られた。トリプシン消化のためには、精製BP53(8.4μg)を、10mM炭酸水素アンモニウム、10mM塩化カルシウム(100μl)中、トリプシン(0.5μg)と共に37℃で24時間インキュベートした。リジン-Cペプチダーゼ消化のためには、精製BP53(6μg)を、10mM炭酸水素アンモニウム、0.1%SDS、10mMジチオトレイトール(DTT)(100μg)中、リジン-Cペプチダーゼ(0.3μg)と共に37℃で24時間インキュベートした。消化物を直接Sychropak300AC4HPLCカラム(2x100mm)にかけ、続いて0.1%トリフルオロ酢酸中の1〜70%アセトニトリルまたは1-プロパノールの直線勾配液で溶離することによってこれらのフラグメントを分離した。この消化法およびRP-HPLC精製法はAggarwa1等[J.Bio1.Chem.,260:2334-2344(1985)]がさらに詳しく記載している。BP53アミノ酸配列のセグメントは、Henze1等[Chromatography,404:41-52(1987)]の記載のように、Ne1son300データ・システムおよび120A PTHアミノ酸分析機を装着した470A App1ied Biosystems気相配列決定機によって得た。
λgt10ベクター中の2種類のヒト成人肝臓cDNAライブラリーを用いてBP53のクローンをスクリーニングした。その1つは、Leung等[Nature,330:537-543(1987)]の記載のようにして調製したランダムにプライムしたライブラリーである。他方のヒト肝臓オリゴ(dT)プライムのcDNAライブラリーは、長さが12〜18ヌクレオチドのオリゴ(dT)プライマーおよびAMV逆転写酵素を用いて肝臓RNAから普通に調製した。得られたRNA-DNAコンプレックスをDNアーゼ不含のRNアーゼAで処理した後、当分野で周知の方法を用い、DNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメントおよび追加のAMV逆転写酵素の両方を用いて第2のDNA鎖を合成した。このようにして調製した2本鎖のcDNA(ds-cDNA)をS1ヌクレアーゼで消化し、DNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメントで処理した。平滑末端になっているds-cDNAを、ホスホリル化した16ヌクレオチドのオリゴマーに、ならびにSa1I、SstIおよびXhoIの制限部位、およびEcoRI突出末端を含むホスホリル化されていない20ヌクレオチドのオリゴマーに連結した。これらオリゴマーは次の配列を有していた:
20mer: 5’-AATTCTCGAGCTCGTCGACC
ホスホリル化16mer: 5’-GGTCGACGAGCTCGAG。
この連結生成物を、市販のDNAパッケージング・キット[Stratagene;San Diego,CA;カタログ#GT-10]中の指示書に記載されているようにして、また、Maniatis等[Mo1ecu1ar Cloning:A Laboratory Manual;上記]が記載している方法を用いて、λgt10のEcoRI部位に挿入した。
図1では、それぞれの組について、上部の配列は精製BP53から決定したアミノ酸配列である。上部のヌクレオチド配列は、アミノ酸配列データに基づきLathe,R.[J.Mo1.Bio1.,183:1-12(1985)]に従って合成したオリゴヌクレオチドプローブ(oibp.6、7、8、9、および2)のものである。BP53と表示した配列はクローンしたcDNAのDNA配列であり、下方のアミノ酸配列はBP53の翻訳された配列である。点は、プローブとcDNA配列の間のDNA配列の一致を示す。
プールBは、長さがそれぞれ45および36ヌクレオチドである2つのオリゴヌクレオチドoibp.7および8のプールである。
プールCは、長さがそれぞれ63、63、および64ヌクレオチドである3種類の重複オリゴヌクレオチドoibp.9.1、9.2、および9.3のプールである。
プールDは長さが60ヌクレオチドである1種類のオリゴヌクレオチドoibp.2からなる。
600,000クローンのオリゴ(dT)プライムのライブラリーおよび600,000クローンのランダムにプライムしたヒト肝臓cDNAライブラリーを、オリゴヌクレオチドプローブの3つのプールで3重にスクリーニングした。3重のニトロセルロースフィルターを32P-末端ラベルしたプローブのプールとハイブリダイズさせた。このハイブリダイゼーションは、20%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン、5xSSC、50mMリン酸ナトリウム(pH6.5)、5xDenhardt溶液、2mMピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS、および0.04mg/mlの煮沸して超音波処理したサケ精子DNAを含む緩衝液中で行った。このフィルターを42℃で一晩ハイブリダイズさせた。バイブリダイゼーションの後、このフィルターを、Maniatis等[Mo1ecu1ar C1oning: A Laboratory Manua1; 上記]の記載のように、1xSSC中、37℃で2時間洗浄した。
BP53cDNAクローンの完全なヌクレオチド配列を図3に示す。配列決定したクローンは、メチオニン残基で始まる873bpの1つの長いオープン・リーディング・フレームを含んでいる。精製したタンパク質から決定した18のアミノ末端および内部配列の全てはこのリーディング・フレーム中に存在しており、実際のところ、タンパク質配列の約75%が第2表に挙げたペプチド中に示される。精製したタンパク質から決定したアミノ酸配列は、不確定または決定することができなかった一部の残基を除き、cDNAクローンに基づくBP53の推定のアミノ酸配列に正確に一致する(第2表)。BP53のアミノ末端配列の前には、メチオニンで始まる27アミノ酸の配列が存在する。この配列は、Per1manおよびHa1 vorson[J.Mo1.Biol., 167;309(1983)]が示しているような、分泌シグナル配列の指標である荷電残基で囲まれた14アミノ酸の疎水性のコアーを含有している。推定の開始ATGの5’の3番目のヌクレオチドは、翻訳開始一致(コンセンサス)配列から予想されるようにプリンである[Kozak,Nuc1.Acids Res., 12:857-872(1984)を参照]。オープン・リーディング・フレームは、1500bpの3’-非翻訳化領域を含む約2500bpのメッセンジャーRNAの5’末端の近くに含まれている。単離した3つのBP53クローン(ibp.118を含む)は、AAATAAAポリ(A)付加シグナルに先行されるその3’末端にポリ(A)配列を含んでいる。
最終的な発現ベクターpRK5.ibp1.1をpibp.118.1およびpRK5から図9に示したようにして構築した。これらプラスミドおよび最終プラスミドのそれぞれの構築を以下に詳しく説明する。
A.pibp.118.1の構築
完全長のヒトBP53タンパク質のcDNAはクローンλibp.118中に含まれている。λibp.118のEcoRI消化、2585bpのEcoRIフラグメントのアガロースゲル電気泳動による単離、及びこのフラグメントのEcoRI消化pUC118へのT4リガーゼによる連結によってこのcDNA挿入体をサブクローンし、プラスミドpibp.118.1を得た(図9)。
B.1.pF8CISの構築
出発プラスミドpF8CISの最初の3部分構築を以下に説明し、図4に示す。
1)最終ベクターのアンピシリン耐性マーカーおよび複製起源は、出発プラスミドpUC13pML、即ちプラスミドpMLの変異体[Lusky,MおよびBotchen,M.,Nature,293:79(1981)]から導いた。pUC13pMLは、pUC13のポリリンカー[Vieira,J.およびMessing,J.,Gene,19:259(1982)]をpMLのEcoRIおよびHindIII部位に移すことによって構築した。第2の出発プラスミドpUC8-CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の供給源である。pUC8-CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の約800ヌクレオチドをpUC8の平滑にしたPstIおよびSphI部位に挿入することによって構築した[Vieira,J.およびMessing,J;上記]。合成のBamHI−HindIIIリンカー(New Eng1and Bio1absの市販品から入手可能)を付着BamHI末端に連結してHindIII部位を創製した。この連結に続いて、HindIII−HincII消化を行った。この消化によって、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含有する約800bpのフラグメントが得られた。ゲル単離の後、この800bpフラグメントをpUC13pMLの2900bp片に連結した。pF8CISの構築に必要なフラグメントは、上記中問プラスミドのSa1IおよびHindIIIによる消化によって得た。この3123bp片は、エンハンサー、プロモーター、およびスプライス供与部位を含むCMVのコントロール配列、pUC13pML由来の複製起源、ならびにアンピシリンに対する耐性マーカーを含有していた。
1 5' AGTAGCAAGCTTGACGTGTGGCAGGCTTGA....
31 GATCTGGCCATACACTTGAGTGACAATGA...
60 CATCCACTTTGCCTTTCTCTCCACAGGT...
88 GTCCACTCCCAG 3'
1 3' CAGGTGAGGGTGCAGCTTGACGTCGTCGGA 5'。
DNAポリメラーゼI(クレノウ・フラグメント)によってこの合成片を充填し、2本鎖フラグメントを創製した[Wartell,R.M.およびW.S.Reznikoff,Gene,9:307(1980)]。これに続いて、PstIおよびHindIIIで2重消化した。この合成リンカーを、PstIおよびHindIII部位のところでpUC13中にクローンした[VeiraおよびMessing;上記]。合成オリゴヌクレオチドを含有するクローン、ラベルしたpUCIg.10をPstIで消化した。PstI−C1aIリンカーを用いてこのフラグメントにC1aI部位を付加した。HindIIIで消化した後、Ig可変領域スプライス受容体およびIgイントロンの一部を含有する118bp片をゲル単離した。
pCIS2.8c28Dは、因子VIIIの73kDサブユニットに結合した因子VIIIの90kDサブユニットを含有している。この90kDはアミノ酸1〜740を含有しており、73kDサブユニットはアミノ酸1690〜2332を含有している。この構築物は次のフラグメントの3部分連結によって調製した:即ち、(a)pF8CISの12617bpのC1aI−SstIIフラグメント(dam株から単離およびBAP処理);(b)pF8CISの216bpのSstII−PstIフラグメント;および(c)キナーゼ処理した短いPstI−C1aI合成オリゴヌクレオチドである(図5を参照;ここで、星印は変えられたヌクレオチドを示す)。
また、図5は、pCIS2.8c28Dを調製するために融合される因子VIIIの5’および3’DNA領域を含有するpSVEFVIIII(欧州特許公開No.160,457)の408bp BamHI−HindIIIおよび416bp BamHI−PstIフラグメントのサブクローニングをも示すものである。
図6に示したようにAおよびBフラグメントをベクター中に連結した後、予想される連結配列をヌクレオチドによって包含される領域のDNA配列決定によって確認した。
pRK5の構築を図8に示す。pRK5構築のための出発プラスミドはpCIS2.8c28Dである。パラグラフ1〜6中の塩基番号は、CMVプロモーターの前のEcoRI部位の最初のTが塩基1であるpCIS2.8c28Dを指す。サイトメガロウイルスの初期プロモーターおよびイントロンおよびSV40起源およびポリAシグナルは別々のプラスミド上に配置した。
1.サイトメガロウイルスの初期プロモーターを、pCIS2.8c28D由来のEcoRIフラグメント(9999−1201)として上記のpUC118のEcoRI部位にクローンした。12のコロニーを取り、その配向(pUC118から調製した1本鎖DNAが1201のEcoRI部位から9999のEcoRI部位までを配列決定させる)についてスクリーニングした。このクローンをpCMVE/Pと命名した。
2.部位指向性の突然変異誘発によってSP6[Green, MR等(Cell, 32:681-694(1983))]プロモーターを挿入するために、pCMVE/Pから1本鎖のDNAを調製した。SP6プロモーターの−69から+5までの配列[Nuc1eic Acids Res., 12:7041(1984)、図1を参照]を含有する合成の110merを、CMVE/P配列に対応するオリゴマーのいずれかの末端の18bpのフラグメントと共に用いた。突然変異誘発を常法によって行い、ラベルした110merを用いて高および低厳格性のもとでスクリーニングした。6つの可能性あるクローンが選択され、配列決定した。ポジティブなクローンを同定し、pCMVE/PSP6と命名した。
4.pUC118のC1aI部位(912)からSmaI部位までの配置をpCMVE/P(行程1)およびpCMVE/PSP6(行程2)中に包含させるためにC1a−NotI−Smaアダプターを合成した。このアダプターをpUC118のC1aI−SmaI部位に連結し、正しいクローンについてスクリーニングした。このリンカーを両者において配列決定し、クローンをpCMVE/PSP6−LおよびpCMVE/P−Lと命名した。
5.pCMVE/PSP6−LをSmaI(リンカー/pUC118連結点)およびHindIII(pUC118中)で切断した。以下に記載するpSVORAAΔRI 11由来のHpaI(5573)−HindIII(6136)フラグメントをpCMVE/PSP6−LのSmaI−HindIII中に挿入した。この連結をスクリーニングし、クローンを単離し、pCMVE/PSP6−L−SVORAAΔRIと命名した。
a)SV40起源およびポリAシグナルを、pCIS2.8c28DからXmnI(5475)−HindIII(6136)フラグメントとして単離し、pUC119(VieiraおよびMessing;上記)のHindIII−SmaI部位にクローンした。このクローンをpSVORAAとして命名した。
b)5716のEcoRI部位をEcoRIによる部分消化によって除去し、クレノウで充填した。充填後の自己連結によって得られるコロニーをスクリーニングし、正しいクローンを単離し、pSVORAAΔRI 11と命名した。削除したEcoRI部位を配列決定によってチェックし、正しいものであることがわかった。
c)pSVORAAΔRI 11のHpaI(5573)−HindIII(6136)フラグメントを単離し、pCMVE/PSP6−L(上記の4を参照)中に挿入した。
7.pRKをSmaIおよびBamHIで切断した。これをクレノウで充填し、再連結した。このコロニーをスクリーニングした。ポジティブのクローン同定し、pRKΔBam/Sma3と命名した。
8.コンバーターを用いてpRKDBam/Sma3のHindIII部位をHpaI部位に変換した(コンバーターは、ある制限部位を別のものに変換する際に用いるDNA片である;ここでは、一方の末端はHindIII接着末端に相補性であり、他方の末端はHpaIの認識部位を有している)。ポジティブのクローンを同定し、pRKΔBam,HIII−HpaI1と命名した。
10.RI−HIIIクローン3およびHIII−RIクローン5をHpaIで切断し、希釈し、そして自己連結させた。ポジティブを同定した。RI−HIIIクローンをpRKと命名した。
図9はpRK5.ibp1.1の構築を示すものである。pRK5の4710bpのEcoRI/SmaIフラグメントを単離した。pRK5フラグメントを単離した後、BP53暗号領域のほぼ全てを含有している934bpのPf1MI/PvuIIフラグメントをpibp.118.1から単離した。このフラグメントは、始めにpibp.118.1をBamHI(隣接のフラグメントを除去するため)およびPvuIIで切断し、次いでPf1MIで消化することによって得た。暗号領域のすぐ3’側のPvuIIおよびPf1MI部位は重なっているので、始めにPvuIIで切断するとPf1MIによる次の切断が妨げられ、934bpの単離されたフラグメント上に1つの平滑末端を残す。暗号領域の5’末端のPf1MI切断によって開始コドンATGが除去されるので、以下の配列を有するオリゴヌクレオチドoibp.11を用いて5’末端を再構築した:
EcoRI Pf1MI
5'- AATTCCACC ATGCAGCGGG CGCGACCCAC GCT -3'
3' - GGTGG TACGTCGCCC GCGGTGGGTG -5'
これらフラグメントの3部分連結によって発現ベクターpRK5.ibp1.1が得られた。
アデノウイルスE1adnE1b(293s)で形質転換したヒト胚腎細胞はGraham等[J.Gen.Viro1.,36;59-73(1977)]が開示している。この細胞およびサル腎細胞(COS細胞)を、Gorman[DNA Cloning, D.M Glover,ed.(IRC Press, Oxford,1985),vol.2,PP.143-190]のリン酸カルシウム法により、上記の発現ベクターpRK5.ibp1.1[または、Leung等(上記)が開示している分泌型のヒト成長ホルモン受容体を発現する対照プラスミド]でトランスフェクションした。24時間後に、この細胞を血清不含の培地に換え、さらに48時間インキュベートした。次いで、この血清不含の培地をBP53について検定した(図10)。
BP53の放射免疫検定(図10a)は、1:10,000の最終希釈で、抗血清R-7[抗血清R1-4を生成する同じウサギからの別の血液;MartinおよびBaxter(1985)、上記]を用い、BaxterおよびMartin[J.C1in.lnvest.;上記]の記載のようにして行った。それぞれの検定に添加された放射活性は7633cpmであり、非特異的なバックグラウンドは343cpmであり、100%の特異的な結合は1711cpmである。結合検定および結合競争検定(図10b〜図10d)は、MartinおよびBaxter[J.Bio1.Chem.;上記]の開示のようにして行った。遊離配位子および結合配位子は、1:300の最終希釈における抗血清R-7による免疫沈澱によって分離した。添加した放射活性は、約14,500cpmの125I-IGF-I(200Ci/g)または6300cpmの125I-IGF-II(80Ci/g)であった。スカッチャード分析は、MunsonおよびRodbard[Ana1.Biochem.,107:220-239(1980)]の開示のようにコンピュータープログラムLIGANDを用いて行った。一時的に発現されたBP53のスカッチャードデータを図10cおよび図10dに示す。
次のプロトコールに従い、BP53を用いてBP53に結合しうるIGF−IまたはIGF−IIが試料中に存在しているか否かを調べることができる。この検定はいくつかの方法で行うことができる。例えば、BP53を96ウェルの微量滴定プレートに結合させ、IGF−IまたはIGF−IIを含む試料の一部を、一定量の真正IGF−IまたはIGF−IIとそれに結合したビオチンの存在下で結合BP53とインキュベートする。4〜6時間のインキュベートの後、溶液を除き、プレートを洗浄して未結合のIGF−IまたはIGF−IIを除去する。西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したアビジンを加え、インキュベートすると、IGF−ビオチンコンジュゲートとのコンプレックスが生成する。もう一度、プレートを洗浄し、HRP基質を加える。発色はIGFを含まない試料を含有しているウェルで最も大きい。試料をインキュベートし続けると、ビオチン−IGFコンジュゲートの結合量は減少し、従って発色は少なくなる。これによって、既知濃度の真正IGF−IまたはIGF−II(適当として)を用いて測定することができる用量依存性の応答が得られる。
BP53および所望によるIGFを既知の方法に従って製剤化し、BP53(および所望によりIGF)を薬学的に許容しうる担持担体と混合した薬学的に有用な組成物を製造することができる。適当な担体およびそれらの製剤(血清アルブミンなどの他のヒトタンパク質を含む)は、例えばE.W.Martin[Remington's Pharmaceutica1 Sciences]が開示している。通常、BP53は、糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、単糖(例えば、グルコース、マンノース、ガラクトースまたはフルクトース)、オリゴ糖(例えば、マルトース、ラクトースまたはスクロース)、およびタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)を含む賦形剤の存在下で凍結乾燥されるか、またはリン酸緩衝食塩水中で保存される。
また、上記の賦形剤は水性保存時の不活性化または沈澱化に対するBP53の安定性に寄与することもでき、自体普通の他の安定化剤と共に用いることもできる。そのような安定化剤には、キレート化剤(例えば、EDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルベートまたはジチオトレイトール)、アミノ酸、およびノニオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンおよびポリプロピレングリコールのブロック共重合体)が含まれる。
治療用のBP53組成物は、治療学的有効量のBP53を薬学的に許容しうる担体中に含有しているであろう。用量、担体、選択した投与経路および投与スケジュールは、特に、それぞれが互いに依存し、そして治療しようとする疾患または症状、患者の病歴、および選択したBP53変異体の活性に依存するであろう。これらの因子は、治療中に治療を行っている医師によって容易に決定され、モニターされる。通常の用量は、上記の因子に依存して、ヒト治療に対しては約50〜約200μg/kg、好ましくは80〜150μg/kgの範囲内であろう。BP53とIGFが一緒に投与されるときには、通常はそれらを等モル量で投与して、IGFのモル用量が投与されるBP53のモル用量とほぼ同じになるようにする。
また、BP53を持続放出担体製剤に供してもよい。適当な例には、一定の形状を有する半透過性のポリマーマトリックスが含まれる(例えば、座剤またはマイクロカプセル)。移植しうるか、またはマイクロカプセル性の持続放出マトリックスには、ポリラクチド類[米国特許No.3,773,919, EP58,481]、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー[U.Sidman等(Biopo1ymers,22(1):547-556(1983))]、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート) [R.Langer等(J.Biomed.Mater.Res.,15:167-277(1981))およびR.Langer等(Chem.Tech.,12:98-105(1982))]、エチレン酢酸ビニル[R.Langer等;同上]、あるいはポリ−D−(―)−3−ヒドロキシ酪酸[EP133,988A]が含まれる。また、持続放出BP53組成物にはリポソ一ム封入されたBP53が含まれる。BP53を含有するリポソームは次の自体既知の方法によって製造される:DE3,218,121A;Epstein等[Proc.Nat'1.Acad.Sci.(USA),82:3688-3692(1985)];Hwang等[Proc.Nat'1.Acad.Sci.(USA),77:4030-4034(1980)];EP52,322A; EP36,676A; EP88,046A; EP143,949A; EP142,641A;日本特許出願83-118,008;米国特許No.4,485,045および4,544,545;およびEP102,324A。
Claims (5)
- 天然のBP53に伴われているグリコシル化を伴っていない形態のBP53であって、以下の(a)又は(b)のアミノ酸配列を有する、インスリン様成長因子結合タンパク質BP53。
(a)図3(配列番号:22)に示す成熟タンパク質のアミノ酸配列。
(b)(a)のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、インスリン様成長因子(IGF)と結合する生物学的性質を有するタンパク質。 - 図3(配列番号:22)に示す成熟タンパク質のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のタンパク質。
- ヒトタンパク質である請求項1に記載のタンパク質。
- 検出可能なラベル部分に共有結合させた請求項1または2に記載のタンパク質を含有する、循環ヒト血漿を含む試料中のインスリン様成長因子の量を検定するのに有用な組成物。
- 循環ヒト血漿を含む試料中のインスリン様成長因子の量を検定するための方法であって、検出可能なラベル部分に共有結合させた請求項1または2に記載のタンパク質に前記試料を曝すことを含んでなる前記方法。
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