JP3577311B2 - インスリン様成長因子結合タンパク質の製造 - Google Patents

インスリン様成長因子結合タンパク質の製造 Download PDF

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Description

本発明は、インスリン様成長因子結合タンパク質、および治療学的に有意な量でそれを製造するための手段および方法に関する。
インスリン様成長因子(IGF)族のペプチドは、循環中の、他の体液中の、および細胞を培養することによって得た培地中の結合タンパク質と結合していることがわかっており、このペプチドの組換え製造は、例えばLee等[EP 128,733(1984年12月19日公開)]が開示している。別の液中で見い出された2種類のIGF結合タンパク質が同定され、そしてその特徴が調べられている[Hintz R.L.(1984)Clinics in Endo.and Metabol.13:31−42;Martin,J.L.and Baxter,R.C.(1986)J.Biol.Che m.261:8754−8760;Povoa et al.(1984)Eur.J.Bioch em.144:199−204]。一方は成人血清において顕著であるが、他方は羊水において最も高い濃度で見い出されている[Baxter et al.(1987)J.Clin.Endo.and Metab ol.65:423−431]。
成人血清中の結合タンパク質の量は、GH欠損または先端巨大症のいずれかである個体の成長ホルモン(GH)の状態を反映するものであることがわかっている。即ち、高レベルの結合タンパク質は高レベルのGHと関係している[Martin and Baxter(1985)J.Clin.Endo.and Matab ol.61:799−801]。従って、この結合タンパク質はGH依存性のIGF結合タンパク質と呼ばれていた。本明細書では便宜のため、ヒト血漿からのGH依存性の結合タンパク質に対してはBP53なる名称を、そして羊水から初めて単離された結合タンパク質に対してはBP28なる名称を用いる。この名称は、非還元のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)での精製タンパク質の大きさを示している。
BP53は、GHによって調節され、内生IGFの大部分を担持するヒト血漿中に含まれる125−150kDの糖タンパク質コンプレックスの酸安定性成分として見い出される[White et al.(1981)J.Clin.Endo.and Matabol.53:49ff;Hintz et al.,J.Clin.Endo.and Matabol.53:100ff;およびDaughaday et al.(1982)J.Clin.Endo.and Mata bol.55:916ff]。酸性化の後に精製したこのコンプレックスの結合成分はSDS−PAGEで43kD(還元)および53kD(非還元)の分子量を有している。この精製タンパク質はIGF−IおよびIGF−IIに対して高い親和性を有している(Ka=20−40nM-1)[Martin and Baxter,J.Biol.C hem.;上記]。正常な成人血漿中のBP53の濃度は6.1mg/lである。このBP53のレベルは、先端巨大症の患者では13.5mg/lまで増加し、GH欠損の患者では2−3mg/lまで減少する[Baxter and Martin,J.Clin.Invest.78:1504−1542(1986)]。羊水中ではBP28が優っているが、BP53も羊水中に約4.6mg/lで見い出される。BP53のラット相同体が精製されており、これはヒトタンパク質に対してかなりのN−末端アミノ酸配列の相同性を有している[Baxter and Martin(1987)Biochem.Biophys.Res.Com m.147:408−415]。
BP28は、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定すると35−40kDの分子量を有しており[Drop et al.(1984)J.C lin.Endo.and Metabol.59:899ff]、SDS−PAGEで得られる32kD(還元)または28kD(非還元)の分子量に類似している。精製されたタンパク質はIGF−IおよびIGF−IIの両方に結合するが、BP53よりも親和性が低い(Ka=3−7nM-1)。37〜148mg/lの濃度が羊水中のBP28に対して報告されている[Baxter等;上記]。成人血清中ではBP53が優っているが、BP28も血清中に存在し、その濃度は0.02〜0.35mg/lの範囲であり、0600〜0800時間で最大になる顕著な日中サイクルを有している[Baxter and Cowell(1987)J.Clin.Endo.and Metabol.65:432−440]。そのような日中の変化はBP53には見い出されていない。N−末端アミノ酸配列のデータは、2つの他のヒトタンパク質、即ち胎盤から単離されたPP12[Koistinen et al.(1986)Endocrin.118:1375ff]および肝癌セルライン(HEP−G2)の培養培地から単離されたIGF結合タンパク質[Povoa et al.(1985)Biochem.Biophys. Res.Comm.128:1071ff]がBP28と同一であるか、または密接に関連していることを示す。また、ラットセルラインBRL−3Aの培養培地からもIGF結合タンパク質が単離されている[Lyons and Smith(1986)Mol.Cell.End o.45:263−270;Mottola et al.(1986)J.Biol.Che m.261:11180−11188]。類似する大きさの性質、高い胎児血清濃度、および一部のタンパク質配列の類似性に基づくと、このIGF結合タンパク質はBP28のラット相同体であるようである。
BP53の単離および精製については上記のように文献に記載されているが、ヒト血漿中のこのタンパク質の濃度が比較的低いこと、および血漿から精製タンパク質を商業的な量で回収するコストがその煩雑さと費用の点で高くつくことが、それを単独で、またはIGFと組合せて広範に用いることを妨げている。
従って、本発明の目的は、治療学的に許容しうる供給源からBP53をコードしているDNAを単離し、商業的に有用な量のこのタンパク質を製造することである。
また、天然のBP53に伴われているグリコシル化を伴っていない形態のBP53を得ることも本発明の目的である。
さらに、BP53のアミノ酸配列およびこのタンパク質の生物学的活性に実質的に悪影響を及ぼさないその他の変異体を製造することも本発明の目的である。
さらに別の本発明の目的は、他の天然の(供給源)タンパク質を全く含まないBP53を得ることである。
本発明のこれらおよびその他の目的は本明細書の全体から明らかとなるであろう。
本発明の目的は、組換え細胞培養におけるBP53の発現、即ち、基本的にBP53をコードしている核酸を得ること、BP53をコードしている核酸で宿主細胞を形質転換すること、およびこの細胞を培養して宿主細胞培養物中にタンパク質を発現させることからなる方法によって達成される。
1つの具体的な態様では、本発明は、BP53をコードしている配列を含有する単離されたDNA配列であって、該DNA配列が
(a)第3図に示したDNA配列;および
(b)厳格な条件下で(a)のDNA配列とハイブリダイズし、少なくとも約10個のヌクレオチドを含有するDAN配列;
からなる群から選ばれるDNA配列を包含している。
また、このDNA配列は、BP53のアミノ酸配列と十分な複製性を有するアミノ酸配列を有し、(1)IGFと結合するか、または(2)対応する天然タンパク質の少なくとも1つのエピトープに対して生成させた抗体と免疫学的に交差反応する、という生物学的性質を有するタンパク質をコードしている配列を含有するものと特徴付けることもできる。
他の態様では、本発明は、(1)検定用のラベル化DNA配列、(2)プロモーターに機能的に連結されたDAN配列、(3)ベクターで形質転換された宿主によって認識されるコントロール配列に機能的に連結された上記DNA配列を含有する発現ベクター、および(4)上記発現ベクターで形質転換された宿主細胞に関する。また、宿主細胞がBP53およびIGFの両タンパク質を一緒に発現することができるようにBP53およびIGFの両方を含有している発現ベクターも本発明に含まれる。
別の本発明の態様は新規な形態のBP53に関し、これには、関連の天然グリコシル化を伴わず、第3図に示した成熟タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも約80%の相同性を有し、そして(a)IGFと結合する、あるいは(b)対応する天然結合タンパク質の少なくとも1つのエピトープと免疫学的に交差反応する、という生物学的性質のいずれかまたは両方を有するBP53が含まれる。通常、このようなBP53はヘテロローガスな組換え細胞培養における発現産物として得られる。組換え細胞培養の成分としてあらゆる形態のBP53が新規である。
さらに別の態様においては、本発明はIGFを結合するのに有用な医薬組成物に関し、これは薬学的に許容しうる担体中に治療学的有効量の本発明のBP53タンパク質を含有している。
また、意図されているのは、哺乳動物の代謝調節に有用な医薬組成物であり、これは薬学的に許容しうる担体中に治療学的有効量の本発明のBP53およびIGFを含有している。
さらに、循環ヒト血漿中のIGFの量を検定するのに有用な診断組成物も本発明に含まれ、これは検出可能なラベル部分に共有結合させた本発明のBP53を含有している。
本発明は、BP53および/またはその誘導体を組換え法によって製造することを可能にするものであり、また、そのような製造に関連する方法および産物を提供することを可能にするものである。組換えによってBP53を得るのに包含される方法は、MartinおよびBaxter(上記)によって提供された最初の15アミノ酸のN−末端配列の情報がライブラリーの正しいクローンをスクリーニングするためのプローブを得るのに十分ではなかったので、簡単なものではなかった。BP53の完全なアミノ酸配列はこれまで知られていなかった。比較的長い内部配列が、BP53をコードしている配列を含むクローンを同定するのに必要なハイブリダイゼーションプローブを得るために必要であった。さらに、正しいクローンの同定は3つの別プールの4つのプローブを同時に用いたときに得られるのみであり、正しいクローンを表すスポットは弱かった。
また、本発明は膜アンカーと結合したBP53の製造を可能にし、それによってIGFを一層効率良く標的細胞に放出することを可能にする。これは、BP53タンパク質のC末端に、組換え法またはその他の方法によって、リン脂質アンカードメインまたはIGF−IもしくはIGF−IIのどちらかの通常の受容体のトランスメンブランもしくは膜結合ドメインを構成するアミノ酸配列を導入することによって行うことができる。この場合、BP53変異体は宿主細胞の膜調製物から回収される。別法によれば、BP53を宿主細胞の細胞外培地に分泌させることができる。
BP53タンパク質およびその変異体の用途は、インビトロおよびインビボで存在するIGF種を結合させる際に存在する。即ち、BP53を用いてIGFの循環半減期を長くすることができると考えられる。いずれかの特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、この増加は、IGFのコントロールされた放出貯蔵体として働くこともあるBP53によってIGFが隔離されるために生じるものと考えられる。
また、BP53はIGFの量の診断物質としての用途が見い出されるであろう。さらに、本発明のBP53は、対応する天然のBP53によって認識されるエピトープを有する抗体調製物と免疫学的に交差反応性であり、それによって本発明のBP53をそのような抗体の診断試薬として有用なものにする。
BP53のその他の用途は当業者には明らかであろう。
第1図は、BP53のcDNAクローンのためのヒト肝臓ライブラリーをスクリーニングするのに用いたオリゴヌクレオチドプローブ配列、ならびに得られたcDNA配列との対応を示すものである。
第2図は、BP53 cDNAの略図および翻訳されたアミノ酸を示すものである。白の箱は成熟BP53をコードしている領域を示し、黒の箱は推定のシグナル配列を示す。ハイドロパシープロットは、10個の残基のウインドウのKyteおよびDoolittle法[J.Mol.Biol.157:105−132(1982)]によるものである。
第3図は、cDNAクローンibp.118からのヒトBP53のヌクレオチド配列および予想アミノ酸配列を示すものである。タンパク質の予想アミノ酸はDNA配列の下に示し、タンパク質配列のN−末端の第1の残基から番号を付した。負のアミノ酸番号は推定のリーダーシグナル配列またはプレタンパク質を指し、一方、正の番号は成熟タンパク質を指す。配列決定したペプチドの位置は下線で示した。アミノ酸配列決定によって同定または確定されなかった残基は点で示した。
第4図は、最終的な発現ベクターを構築するのに用いた出発発現ベクターpF8CISの構築を示すものである。
第5図は、Cla I部位がdamメチル化によって影響を受けない因子VIIIの中間ベクターpCIS2.8c24Dの構築を示すものである。また、融合プラスミドを構築するための因子VIII暗号領域の408および416bpフラグメントのサブクローニングも示されている。
第6図は、pUCベクター中に因子VIII変異体の融合領域を含有する中間プラスミドpUC.8d28の構築を示すものである。
第7図は、因子VIII変異タンパク質をコードしている中間発現ベクターpCIS2.8c28Dの構築を示すものである。
第8図は、BP53をコードしているDNAが挿入された発現ベクターpRK5の構築を示すものである。
第9図は、哺乳動物宿主細胞を形質転換してBP53を製造するために用いる発現ベクターpRK5.ibp1.1の構築を示すものである。
第10図は、哺乳動物細胞におけるBP53の発現の検定結果を示すものである。第10a図はBP53の放射免疫検定のグラフであり、円、四角、および三角はそれぞれ精製BP53の添加(ng)、pRK5.ibp1.1トランスフェクションされた培養培地の添加(μl)、および対照トランスフェクションされた培養培地の添加(μl)を意味する。第10b図はラベルしたIGF−I(黒記号)またはIGF−II(白記号)へのBP53の結合を示すグラフであり、円、四角、および三角はそれぞれ精製BP53の添加(ng)、pRK5.ibp1.1トランスフェクションされた培養培地の添加(μl)、および対照トランスフェクションされた培養培地の添加(μl)を意味する。第10c図は、pRK5.ibp1.1トランスフェクションした培養培地へのラベルしたIGF−Iの結合の未ラベルIGF−Iによる競争検定のグラフである。挿入されているのは同じデータのScatchardプロットである。第10d図は、結合がIGF−Iに代えてIGF−IIによるものであることを除き第10c図と同じものを示す。
本明細書で用いる「インスリン様成長因子結合タンパク質」または「BP53」なる用語は、第3図のアミノ酸配列を有する哺乳動物のインスリン様成長因子結合タンパク質、および天然のBP53の生物学的活性を有するその類似体および変異体を指す。天然のBP53の生物学的活性はそのあらゆる類似体および変異体も保持しており、IGF(通常、IGF−IまたはIGF−II)に特異的に結合することができるか、または天然BP53の少なくとも1つのエピトープに対して生成させた抗体と免疫学的に交差反応性である。類似体または変異体とは、天然BP53のアミノ酸配列、グリコシル化、またはその他の特徴が共有結合または非共有結合によって修飾された分子であると定義される。即ち、変異体は53kDの分子量を有していてもよいし、有していなくてもよい(例えば、β−メルカプトエタノールまたはジチオトレイトールなどの還元剤の非存在下で行うSDS−PAGEで測定したとき)。例えば、天然の成熟配列を有するグリコシル化されていないBP53は非還元のSDS−PAGEで約28.7kDの分子量を有するであろう。アミノ酸配列変異体には、第3図の配列のアレルだけでなく、予め決めたその突然変異が含まれる。通常、アミノ酸配列変異体は、第3図の天然BP53の配列に対して少なくとも約80%の相同性、より普通には少なくとも約90%の相同性を有するアミノ酸配列を有している。以後、BP53なる用語は、特に記すことがなければ、天然配列または変異体形のいずれかを意味するものとする。
本発明の範囲内に含まれるのは、天然のグリコシル化および第3図に示したアミノ酸配列を有するBP53、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネズミ、ネコなどの他の動物種由来の類似BP53タンパク質、このようなBP53タンパク質の脱グリコシル化または未グリコシル化誘導体、ならびにBP53の生物学的に活性なアミノ酸配列変異体であり、BP53活性を示すBP53タンパク質のインビトロ生成の共有結合誘導体およびアレルが含まれる。
BP53のアミノ酸配列変異体には、例えば第3図に示したアミノ酸BP53配列中の残基の削除、挿入または置換が含まれる。また、最終の構築物が所望の活性を保持しているなら、あらゆる組合せの削除、挿入および置換を行って最終構築物を得ることができる。変異BP53をコードしているDNA中で行われる突然変異がこの配列をリーディング・フレーム(読み枠)の外に置くものであってはならず、また、好ましくは2次的なmRNA構造を与える相補領域を生じないものであることは明らかであろう[EP 75,444Aを参照]。
通常、これらの変異体は、BP53をコードしているDNA中のヌクレオチドの部位指向性の突然変異誘発によって変異体をコードしているDNAを得、次いでこのDNAを組換え細胞培養において発現させることによって製造される。しかし、約100−150残基までを有する変異BP53フラグメントはインビトロの合成によって好都合に製造することもできる。通常、この変異体は、天然の類似体と同じ性質の生物学的活性を示す。
アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決められるが、突然変異それ自体は予め決める必要がない。例えば、ある部位での突然変異の実施を最適にするために、ランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域において行い、発現されたBP53変異体を所望の活性の最適の組合せについてスクリーニングすることができる。既知の配列を有するDNA中の予め決めた部位で置換突然変異を行う方法は、例えばM13プライマー突然変異誘発のように周知である。
通常、アミノ酸配列の削除は約1〜30残基の範囲内、より好ましくは1〜10残基の範囲内であり、普通は連続している。
アミノ酸配列挿入体には、1個の残基から実質的に制限されない長さのポリペプチドまでのアミノ−および/またはカルボキシ−末端融合体、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入体が含まれる。通常、配列内挿入(即ち、成熟BP53配列内の挿入)は、約1〜10残基の範囲内であり、より好ましくは1〜5残基である。1個の末端挿入の例は、N−末端のメチオニルを有する成熟BP53である。この変異体は、組換え細胞培養におけるBP53の直接発現、即ち成熟BP53の細胞膜結合もしくは分泌させるためのシグナル配列を伴わない発現のための人工物である。末端挿入の他の例には、(1)組換え宿主からの成熟BP53の分泌を容易にするための、成熟BP53のN−末端へのシグナル配列(異種または同種)の融合、(2)免疫原性ポリペプチド(即ち、標的配列に免疫原性を付与するに十分大きいポリペプチド)、例えば細菌性ポリペプチド、例えば大腸菌(E.coli)trp遺伝子座によってコードされている酵素あるいはβ−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼなどの融合、および(3)細胞表面結合物質、例えば膜アンカーなどとの融合が含まれる。
細胞表面結合物質との融合体は組換え法によって製造されることを必要とせず、BP53との共有または非共有結合の産物であってもよい。例えば、IGF−IまたはIGF−IIの通常の細胞表面受容体由来のトランスメンブラン領域、または成熟崩壊促進因子(mDAF)のC−末端のリン脂質アンカードメイン[1987年11月4日公開のEPO公開No.244,267に記載されている]を、BP53のC−末端に共有結合させるか、またはそれとの融合体として組換え細胞培養において発現させることができる。即ち、BP53を、mDAFとプレBP53のC−末端融合体として組換え細胞培養において発現させることができる。例えば、スプライスされたcDNAによって予想される膜DAFの最後の37アミノ酸を、通常は培養培地に構成的に分泌されるpreBP53糖タンパク質のC−末端にフレーム内で融合させた融合タンパク質を構築することができる。分泌される代わりに、この融合構築物は細胞膜に運搬され、ホスファチジルコリンアンカーのためにそこに滞ったままになる。
第3の群の変異体は、BP53分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基(好ましくは1つだけ)が除去され、その位置に別の残基が挿入されているものである。通常、そのような置換は、BP53の性質を微妙に調節することが所望であるときに以下の第1表に従って行われる。
Figure 0003577311
第1表のものより保存性が少ない置換を選択することによって、即ち、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばシートまたは螺旋の立体配座、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の大きさ、を維持するその作用がもっと有意に異なっている残基を選択することによって、機能または免疫学的な独自性の実質的な変換が行われる。通常、BP53の性質に最大の変化をもたらすと予想される置換は、(a)グリシンおよび/またはプロリンが他のアミノ酸によって置換されたか、または削除もしくは挿入されているもの;(b)親水性の残基(例えば、セリルまたはトレオニル)が、疎水性の残基(例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニル)に代えて(または、によって)置換されているもの;(c)システインまたはプロリン残基が他のいずれかの残基に代えて(または、によって)置換されているもの;(d)電気陽性の側鎖を有する残基(例えば、リジル、アルギニルまたはヒスチジル)が、電気陰性の残基(例えば、グルタミルまたはアスパルチル)に代えて(または、によって)置換されているもの;または(e)大きな側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)が、そのような側鎖を有さない残基(例えば、グリシン)に代えて(または、によって)置換されているものであろう。
ほとんどの削除および挿入、並びに特に置換は、BP53分子の性質に激変はもたらさないであろう。しかし、置換、削除または挿入の正確な効果をそれを行う前に予測することが困難であるとき、例えばIGF結合ドメインまたはエピトープを修飾するときには、通常のスクリーニング検定によってその効果を評価するのは当業者の認識するところであろう。例えば、変異体は通常、天然のBP53をコードしている核酸の部位特異的な突然変異誘発、組換え細胞培養での変異核酸の発現、および所望により、細胞培養物からの精製(例えば、少なくとも1つの残存免疫エピトープによって変異体を吸着させるためのウサギポリクローナル抗−BP53カラムでの免疫アフィニティー吸着による)によって調製される。次いで、細胞溶解液または精製されたBP53変異体の活性を、目的の性質に対して適切なスクリーニング検定で調べる。例えば、ある抗体に対する親和性などのBP53の免疫学的性質の変化は競合型の免疫検定で測定する。免疫モジュレーター活性の変化は適切な検定で測定する。酸化還元もしくは熱安定性、疎水性、タンパク質加水分解に対する感受性、または担体と、もしくはマルチマーに集合する傾向などのタンパク質の性質の修飾は、当業者に周知の方法によって検定する。
BP53をコードしているDNAは、(a)特定の哺乳動物のBP53mRNAを発現している組織からcDNAライブラリーを入手し、(b)ヒトBP53をコードしているラベルしたDNAまたはそのフラグメント(通常、長さが100塩基対以上である)を用いてハイブリダイゼーション分析を行って、相同な配列を含んでいるcDNAライブラリーにおいてクローンを検出し、そして(c)制限酵素分析および核酸配列決定によってクローンを分析して完全長のクローンを同定すること、によってヒト以外の供給源から得ることもできる。完全長のクローンがライブラリー中に存在しないときには、初めて本願で開示した核酸配列情報を用いて種々のクローンから適当なフラグメントを回収し、クローンに共通する制限部位で連結してBP53をコードしている完全長のクローンを組み立てる。別法では、ゲノムライブラリーから所望のDNAを得る。
合成および組換え法を含むあらゆる方法によってBP53を製造することができる。同様に、本明細書では、単離したDNAとは、3'および/または5'境界領域を含むか、または含まない化学的に合成したDNA、cDNA、染色体DNAまたは染色体外DNAを意味するものとする。本発明では、BP53を組換え細胞培養における合成によって製造するのが好ましい。そのような合成のためには、始めにBP53をコードしている核酸を確保することが必要である。本発明者等は、ヒトcDNAライブラリーからBP53をコードしているいずれかの核酸を同定しようとした際にかなりの困難に遭遇した。最終的に決定したBP53をコードしているヒトDNAの配列を第3図に示す。現時点でこの方法を再現するものはこれらの問題に会わないであろう。これは、完全に相補性のプローブを第3図の配列から得ることができるからである。いくつかの合成プローブのハイブリダイゼーションを用いて、このDNAが同定されたときには、ライブラリーから単離したDNAを、さらにクローニングするか、または発現させるための複製可能なベクター中に連結する。
配列決定のために、天然のBP53を哺乳動物血漿から得、そのコーン(Cohn)IVフラクションから普通に精製した。最も一般的な天然BP53の単離および精製に用いる方法は、MartinおよびBaxter[J.Biol.Chem.261:8754−8760(1986)]が開示している。簡単に説明すると、コーン・ペーストを酢酸、NaCl溶液と混合し、得られたホモジネートを4200rpmで30分間遠心する。pH3.0に調節したホモジナイズ緩衝液で平衡化したSP−Sephaedex C−25と共に上清を撹拌することによって内生のIGFを除去する。72時間後に、撹拌を止め、ゲルを沈降させ、そして上清を注意深くデカントする。次いで、上清をpH4に調節し、沈澱を遠心により除去する。次に、この上清をpH6.5に調節し、混合物をもう一度遠心する。この上清を注意深く調製したアガロース−IGF−IIのアフィニティーカラムに入れる。次いで、このカラムをpH6.5のリン酸ナトリウム緩衝液で洗浄する。酢酸(pH3.0)を用い、1ml/分でタンパク質を溶離する。活性の分画を合わせ、0.1%トリフルオロ酢酸中の15%アセトニトリルで平衡化した逆相高速液体クロマトグラフィーカラムにかける。60%アセトニトリルまでの直線勾配を直ちに開始し、1.5ml/分で30分間行う。タンパク質の単一ピークが得られる。
組換え発現系の1つの例では、BP53は、BP53をコードしているDNAを含有する発現ベクターで形質転換することによって、プロセッシングせず成熟タンパク質を分泌しない原核生物中で発現される。そのようなプロセッシングを行うことができる宿主細胞を形質転換して、宿主細胞の周辺質または培養培地にBP53を得るのが好ましい。通常、哺乳動物細胞などの高等真核宿主細胞は、BP53をコードしているDNAで形質転換したときにBP53をプロセッシングし、そして成熟BP53を分泌することができる。
分泌型の成熟BP53は、成熟BP53をコードしているDNAの5'末端を、宿主細胞によって認識されるシグナル配列をコードしているDNAの3'末端に連結することによって得ることができる。連結したDNA配列を含有する発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。この宿主細胞は、シグナル配列とBP53の第1アミノ酸の間のペプチド結合をタンパク質加水分解切断することによって発現された融合体をプロセッシングし、使用した宿主細胞に依存して培地中に、または宿主細胞周辺質中に成熟BP53を分泌するであろう。例えば、原核性発現ベクターの構築においては、BP53分泌リーダー(即ち、アミノ酸−27〜−1)を細菌性アルカリホスファターゼまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーによって置き換え、酵母用には、BP53リーダーを酵母インベルターゼ、α−因子または酸ホスファターゼリーダーによって置き換える。ホモローガスなシグナル−BP53融合体によって形質転換されたグラム陰性生物は細胞周辺質中に成熟BP53を分泌し、一方、酵母またはバシラス種は培養培地中に成熟BP53を分泌するであろう。
ベクターは、適合する宿主細胞と協力して2つの機能を発揮するのに有用である(宿主−ベクター系)。機能の1つはBP53をコードしている核酸のクローニングを容易にすること、即ち利用可能な量の核酸を産生させることである。他の機能はBP53を発現させることである。これら機能の一方または両方はベクター−宿主系によって行われる。ベクターは、それらが発揮する機能ならびにクローニングまたは発現用に選択した宿主細胞に依存して異なる成分を含有しているであろう。
それぞれのベクターは上に記したようにBP53をコードしている核酸を含有しているであろう。通常、これはアミノ末端が分泌シグナルに結合している成熟形のBP53をコードしているDNAであろう。この分泌シグナルは、通常インビボでヒト細胞からBP53を分泌させるBP53プレ配列であるのが好ましい。しかし、適当な分泌シグナルには、他の動物BP53由来のシグナル、ウイルス性シグナル、または同一もしくは関連の種の分泌型ポリペプチド由来のシグナルも含まれる。
発現およびクローニングベクターは、1またはそれ以上の選択した宿主細胞中でのベクターの複製を可能にする核酸配列を含んでいる。通常、クローニングベクターにおいては、この配列は宿主染色体とは独立してベクターが複製することを可能にする配列であり、複製起源または自律的に複製する配列を含んでいる。このような配列は種々の細菌、酵母およびウイルスについて周知である。周知のプラスミドpBR322由来の複製起源がほとんどのグラム陰性細菌に適しており[Bolivar et al.,Gen e:95−113(1977)]、酵母に対しては2μプラスミド起源が、そして種々のウイルス性起源(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞中のクローニングベクターに有用である。起源は哺乳動物発現ベクターには必要ではない(SV40起源が実施例で用いられているが、これはそれが初期プロモーターを含んでいるからである)。ほとんどの発現ベクターは「シャトル(往復)」ベクターである:即ち、それらは少なくとも一群の生物中で複製が可能であり、発現のために別の生物中にトランスフェクションすることができる。例えば、ベクターを大腸菌中でクローンし、次に同じベクターを、それが宿主細胞染色体とは独立して複製することができないものであっても、発現用に酵母または哺乳動物細胞中にトランスフェクションする。
また、DNAは宿主ゲノム中への挿入によってクローンすることもできる。このクローニングは、バシラス種を用い、例えばバシラスのゲノムDNA中に見い出される配列に相補性であるDNA配列をベクター中に含ませることによって行うことができる。このベクターを用いてバシラスをトランスフェクションすると、ゲノムとの相同組換えが起こり、BP53 DNAが挿入されることになる。しかし、BP53 DNAの切り出しには制限酵素消化が必要なので、BP53をコードしているゲノムDNAの回収は外部で複製されたベクターのそれよりも複雑である。通常は、BP53発現のための安定なセルラインまたは微生物を調製する目的でDNAを宿主ゲノム中に挿入する。
発現およびクローニングベクターは選択遺伝子(選択マーカーとも呼ばれる)を含んでいるべきである。これは、ベクターで形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードしている遺伝子である。この遺伝子の存在は、ベクターを欠いているすべての宿主細胞が形質転換宿主を越える増殖または複製の利益を受けないことを確実なものにする。通常の選択遺伝子は、(a)抗生物質またはその他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクインに対する耐性を付与するタンパク質、(b)栄養要求欠損を補足するタンパク質、または(c)コンプレックス培地から入手できない必須栄養物質を供給するタンパク質、例えばバシラスのためのD−アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子、をコードしている。
酵母で用いるのに適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在しているtrp1遺伝子である[Stinchcomb et al.,(1979),Nature 282:39;Kingsman et al.,(1979),Gene :141;またはTschemper et al.,(1980),Gene 10:157]。このtrp1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44076またはPEP4−1[Jones,(1977),Gene tics 85:12]の選択マーカーを与える。次いで、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1欠損の存在は、トリプトファンの非存在下での増殖により形質転換の検出に有効な環境を与える。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC 20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補足される。
哺乳動物細胞に適した選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナーゼである。これらのマーカーは、BP53の核酸の取込みに対してコンピテントである細胞の同定を可能にする。哺乳動物細胞形質転換体を、形質転換体だけがマーカーを取込んだために唯一生存に適応する選択圧下に置く。選択圧は、培地中の選択物質の濃度を連続的に変化させ、それによって選択遺伝子とBP53をコードしているDNAの両方の増幅が導かれる条件下で形質転換体を培養することによって課される。増幅とは、増殖に必須であるタンパク質を産生することが強く要求されている遺伝子が組換え細胞の代々の世代の染色体内に直列して反復される過程のことである。一層多量のBP53が増幅されたDNAから合成される。
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、始めにヒポキサンチン、グリシン、およびチミジンを欠く培養培地ですべての形質転換体を培養することによって同定する。この場合の適切な宿主細胞は、UrlaubおよびChasin[Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)]の記載のように調製し、増殖させた、DHFR活性を欠くチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)セルラインである。特に有用なDHFRは、MTXに対して耐性が高い突然変異DHFRである(EP 117,060A)。この選択物質は、内生のDHFRの存在にかかわらず、その他の点では適切なあらゆる宿主、例えばATCC No.CCL61 CHO−K1で用いることができる。次に、DHFRを不活性化する物質(メトトレキセートまたはMTX)に暴露することによって、DHFRとBP53コード化DNAを増幅する。連続回の逐次増大するMTX濃度で増殖することができる細胞だけを選択することによって、細胞がさらにDHFRを必要とする(従って、すべての外来DNAを増幅する)のを確実なものにする。
クローニングベクターとは異なり、発現ベクターは、宿主生物によって認識され、そしてBP53の核酸に機能的に結合したプロモーターを含有しているべきである。プロモーターは、その支配下にある核酸配列の転写および翻訳をコントロールする、構造遺伝子の開始コドンの上流(通常、約100〜1000bp以内)に位置している翻訳されない配列である。これらは普通2つの群、即ち誘導性および構成性に分けられる。誘導性のプロモーターは、培養条件のある変化、例えば栄養素の存在もしくは非存在または温度の変化に応答してそれらの支配下のDNAから増大レベルの転写を開始させるプロモーターである。構成性のプロモーターは培養条件の変化によっては誘導されない。現在では、多種の可能性ある宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。これらのプロモーターは、制限酵素消化によってこれらをこれらの元の遺伝子から取り、次いでBP53の開始コドンの5'に挿入することによって、BP53をコードしているDNAに機能的に結合させることができる。これは、ゲノムBP53プロモーターが使用できないと言うものではない。しかし、一般にBP53に対して異種のプロモーターは、一層高い転写および一層高い収量の発現BP53を与える結果になる。
原核性宿主で用いるのに適したプロモーターには、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系[Chang et al.,Nature 275:615(1978)およびGoeddel et al.,Nature 281:544(1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel,N ucleic Acids Res. :4057(1980)およびEPO出願公開No.36,766]、およびtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーター[H.de Boar et al.,Proc.Nat'l.Acad.S ci.USA 80:21−25(1983)]が含まれる。しかし、その他の既知の細菌性プロモーターも適している。これらのヌクレオチド配列は公表されており、従って当業者はこれらを、あらゆる必要な制限部位を供給するためのリンカーまたはアダプターを用いて、BP53をコードしているDNAに機能的に連結することができる[Siebenlist et al.,Cell 20:269(1980)]。また、細菌性の系で用いるためのプロモーターは、BP53をコードしているDNAに機能的に結合させたシャイン−ダルガルノ(SD)配列を含有している。
酵母宿主で用いるのに適した促進配列には、3−ホスホグリセレートキナーゼのためのプロモーター[Hitzeman et al.,,J.Biol.Chem. 255:2073(1980)]、またはその他のグルコース分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルベートキナーゼ、トリオセホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどのプロモーター[Hess et al.,J.Adv.Enzyme Reg. :149(1968)およびHolland,Biochemistry 17:4900(1978)]が含まれる。
増殖条件によってコントロールされる転写の別の利点を有している誘導性プロモーターであるその他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関与する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素群のプロモーター領域である[Holland;上記]。酵母発現において用いるのに適したベクターおよびプロモーターはR.Hitzeman et al.(EP 73,657A)がさらに開示している。また、酵母エンハンサーを酵母プロモーターとともに用いるのが有利である。
哺乳動物宿主細胞中のベクターからのBP53の転写は、種々の供給源、例えばポリオーマ、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはサイトメガロウイルスなどのウイルスのゲノムから、または、例えばβアクチンプロモーターなどのヘテロローガスな哺乳動物プロモーターから得られるプロモーターによってコントロールされる。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40のウイルス性複製起源をも含有するSV40の制限フラグメントとして好都合に得られる[Fiers et al.,Natur e273:113(1978)]。ヒトサイトメガロウイルスの即時型プロモーターはHind III E制限フラグメントとして好都合に得られる[Greenaway,P.J.et al.,Gene18:355−360(1982)]。また、宿主細胞またはその関連種由来のプロモーターが本発明において有用であるのは勿論である。
高等真核生物によりBP53をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大する。エンハンサーは、通常約10〜300bpのシス作用性のDNA要素であり、プロモーターに作用してその転写開始能力を増強する。エンハンサーは、その配向および位置には比較的依存せず、転写単位の5'[Laimins,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.78:993(1981)]および3'[Lusky,M.L.et al.,Mol.Cell Bio.:1108(1983)]に、イントロン内[Banerji,J.L.et al.,Cell33:729(1983)]に、ならびに暗号配列それ自体内[Osborne,T.F.,et al.,Mol.Cell Bio.:1293(1984)]に見い出されている。現在では多数のエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリン)から既知となっている。しかし、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを用いるのが普通である。その例には、SV40の複製起源の後期側のエンハンサー(bp100〜270)、サイトメガロウイルスの複製起源の後期側の初期プロモーターエンハンサー、およびアデノウイルスのエンハンサーが含まれる。エンハンサーはベクターのBP53をコードしている配列の5'または3'の位置に継ぎ合わせてよいが、プロモーターの5'の位置に設置するのが好ましい。
また、真核宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、植物、動物、ヒト、または有核細胞)で用いる発現ベクターは、mRNAの発現に影響を及ぼす転写の終止に必要な配列をも含んでいるであろう。これらの領域は、BP53をコードしているmRNAの非翻訳化部分中のポリアデニル化されたセグメントとして転写される。また、3'非翻訳化領域は転写終止部位をも含んでいる。
組換え脊椎動物細胞培養における異種タンパク質の合成の用いるのに適した他のベクターは開示されている[M.J.Gething et al.,Nature293:620−625(1981);N.Mantei et al.,Nature281:40−46;およびA.Levinson et al.,EP 117,060Aおよび117,058A]。BP53の哺乳動物細胞培養発現に特に有用な出発プラスミドはpUC118であり、これをVieiraおよびMessing[Meth.Enzymol.15 3:3−11(1987)]が開示している。簡単に説明すると、pUC118は、アンピシリン耐性およびM13 IG領域、ならびにクローニングのための唯一の制限部位を含有するlacZペプチドをコードしている配列を含む3.2kbのプラスミドである。pUC118は、pUCの唯一のNde I部位(2499)に挿入されたHgiA I部位(5465)からDra I部位(5941)までのM13のIG領域を含むpUC18[Norrander et al.,Gene26:101(1983)が開示]である。M13IG領域の配向は、ssDNAとしてパッケージングされるlac領域の鎖がM13mpベクターにおけるときと同じになるようになっている。
本発明のベクターのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は、原核生物、酵母または高等真核細胞である。原核生物にはグラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバシラスが含まれる。好ましいクローニング宿主は大腸菌294(ATCC No.31,446)であるが、その他のグラム陰性またはグラム陽性原核生物、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC No31,537)、大腸菌W3110(F-、λ、原栄養株;ATCC No.27,325)、バシラス、例えばBacillus subtilus、Salmonella tryphimurium、Pseudomonas種、またはSerratia Marcesansなども適している。原核細胞を発現用の宿主として用いるときには、発現ベクターは培養培地中にタンパク質を運搬するためのシグナル配列を含んでいるのが好ましい。他の方法では、18システイン残基を含有しているタンパク質が、タンパク質の回収には特別の処理が必要な屈折体の形態で調製される(この処理にはタンパク質の再折り畳みが含まれる)。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核性微生物もBP53をコードしているベクターに適した宿主である。Saccharomyces cerevisiaeまたは普通のパン酵母が最も普通に用いられる真核微生物であるが、その他多数の菌株も普通に用いられる。Saccharomyces中での発現のためには、プラスミドYRp7[Stinchcomb,et al.,Natu re282:39(1979);Kingsman et al.,Gene:141(1979);Tschemper et al.,Gene10:157(1980)]を用いるのが普通である。このプラスミドは、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44,076またはPEP4−1[Jones,Genetics85:12(1977)]のための選択マーカーを与えるtrp1遺伝子を既に含有している。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp1損傷が存在すると、次にトリプトファンの非存在下での増殖によって有効な選択手段が与えられる。
BP53の発現用に好ましい宿主細胞は多細胞生物由来の細胞である。上記のように、BP53上の多数のシステイン残基により、もし天然BP53に対して最も忠実な立体配座を示すことを組換えタンパク質に期待するときには、宿主細胞は原核生物よりもさらに高等な系統発生オーダーのものであるのが最適であることが示唆される。また、BP53のグリコシル化を確保することが必要であることもある。これら機能のすべては高等真核細胞によって最もうまく行うことができる。原則的には、あらゆる高等真核細胞培養物が脊椎動物あるいは非脊椎動物培養物の由来を問わず使用可能であるが、サル、ラット、ハムスターおよびヒトなどの哺乳動物由来の細胞が好ましい。これら細胞の培養中での増殖は自体周知である[Tissue C ulture,Academic Press,KruseおよびPatterson編(1973)を参照]。有用な哺乳動物宿主セルラインの例には次のものが含まれる:SV40で形質転換されたサル腎CV1ライン[COS−7、ATCC CRL 1651];ヒト胚腎セルライン[293、Graham,F.L.et al.,J.Gen Virol. 36:59(1977)];新生ハムスター腎細胞[BHK、ATCC CCL 10];チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞−DHFR[CHO、UrlaubおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)];マウルセルトーリ細胞[TM4、Mather,J.P.,Biol.Reprod. 23:243−251(1980)];サル腎細胞[CV1、ATCC CCL 70];アフリカミドリザル腎細胞[VERO−76、ATCC CRL−1587];ヒト子宮頸癌細胞[HELA、ATCC CCL 2];イヌ腎細胞[MDCK、ATCC CCL 34];バッファロラット肝細胞[BRL 3A、ATCC CRL 1442];ヒト肺細胞[W138、ATCC CCL 75];ヒト肝細胞[HepG2、HB 8065];マウス乳腫瘍[MMT 060562、ATCC CCL51細胞];およびTRI細胞[Mather,J.P.et al.,Annals N.Y.Acad.Sci. 383:44−68(1982)]。
所望の暗号配列およびコントロール配列を含有している適当なベクターの構築には通常の連結法を用いる。単離したプラスミドまたはDNAフラグメントを切断し、加工し、そして所望の形態に再連結して必要なプラスミドを得る。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認する分析のために、連結混合物を用いて大腸菌K12株294(ATCC 31,446)または他の適当な宿主を形質転換する。プラスミド構築の様式に依存して、適当なところでアンピシリン、テトラサイクリン、もしくはその他の抗生物質耐性によって、またはその他のマーカーによって成功裏の形質転換体を選択する。次に、形質転換体からのプラスミドを、所望によりクロラムフェニコール増幅[Clewell,D.B.et al.,J.Bacteriol.110:667(1972)]の後に、Clewell等[Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)62:1159(1969)]の方法に従って調製する。単離したDNAを制限分析し、そして/またはMessing等のジデオキシ法[Messing et al.,Nucleic Acid Res.:309(1981)]またはMaxam等の方法[Maxam et al.,Methods in Enzymology65:499(1980)]によって配列決定する。
宿主細胞を本発明の発現ベクターで形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または遺伝子の増幅に適するように修飾された通常の栄養培地で培養する。温度、pHなどの培養条件は、クローニングまたは発現のために選択した宿主細胞でこれまで用いられている条件が適当であり(それぞれの場合に応じて)、当業者には明らかであろう。
BP53は分泌型タンパク質として培養培地または周辺質から回収するのが好ましい。また、分泌シグナルなしで直接発現させるときには宿主細胞溶菌液から回収することもできるが、この場合には第1段階として、培養培地または溶菌液を遠心して個々の細胞残骸を除去する。また、BP53は不純な可溶性タンパク質から、例えば選別カラム(ConAなど)による吸着とそれからの溶離、または抗−BP53免疫アフィニティーカラムによる吸着とそれからの溶離によって精製することができる。これとは別に、他の方法、例えばアルキル・セファロース、シリカまたはアニオンもしくはカチオン交換樹脂によるクロマトグラフィーまたはゲル電気泳動を用いてBP53を不純物から分離することができる。膜アンカーがBP53タンパク質に結合しているBP53の変異体は、BP53と同じ方法で回収することができる。
必要なら安定化の目的で、少量のノニオン系界面活性剤、例えばツイーン(Tween)またはポリエチレングリコールをBP53の分離中に加えてもよい。また、PMSFなどのプロテアーゼ阻害物質は精製中のタンパク質加水分解を阻害するのに有用であり、抗生物質を含有させて外来不純物の増殖を防止してもよい。
天然のBP53に適した精製方法が、組換え細胞培養で発現させたBP53またはその変異体の性質の変化に鑑みて、修飾を必要とすることもあることは当業者の認めるところであろう。例えば、原核細胞の培養中に産生されたBP53ポリペプチドはグリコシル化されていないので、Con−Aセファロースに吸着しないであろ。この場合には、他の方法、例えばゲル電気泳動、イオン交換または免疫アフィニティー精製などを用いるべきである。適切な精製法は特定の組換えBP53の性質に依存しており、当業者には明らかであろう。
実施例および請求の範囲を簡単にするため、一部の頻繁に出てくる用語および方法を簡略して表す。
「トランスフェクション」とは、宿主細胞による発現ベクターの取込みを意味し、任意の暗号配列が実際に発現されると否とを問わない。例えば、CaPO4法および電気穿孔法などの多数のトランスフェクション法が当業者に知られている。原核細胞または強固な細胞壁構造を含む細胞が使用されるときには、好ましいトランスフェクション法はCohen等が開示している塩化カルシウムによるカルシウム処理である[Cohen,F.N.et al.,Proc.Nat l.Acad.Sci.(USA)69:2110(1972)]。通常、このベクターの作用のいずれかの指標が宿主細胞内に現れたときに、トランスフェクションの成功が認められる。
「形質転換」とは、染色体外要素として、または染色体取込みのいずれかによって、複数可能なように生物中にDNAを導入することを意味する。使用される宿主細胞に依存して、そのような細胞に適した常法を用いて形質転換を行う。原核生物または強固な細胞壁障害を有するその他の細胞のためには、通常、Cohenが開示している塩化カルシウム使用のカルシウム処理法[Cohen,S.N.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)69:2110(1972)]が用いられる。そのような細胞壁を持たない哺乳動物細胞のためには、Grahamおよびvan der Ebのリン酸カルシウム沈澱法[Graham,F.and van der Eb,A.Virology 52:456−457(1978)]が好ましい。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の全般についてはAxel[米国特許No.4,399,216;1983年8月16日発行]が開示している。酵母での形質転換は、通常、Van Solingen等[Van Solingen,P.,et al.,J.Bact.130:946(1977)]およびHsiao等[Hsiao,C.L.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76:3829(1979)]の方法に従って行われる。しかし、細胞中にDNAを導入するための他の方法、例えば核注射による方法またはプロトプラスト融合による方法なども用いることができる。
本発明の範囲内に含まれるある種のDNA配列を記述するための、本明細書で用いる「厳格な条件下でハイブリダイズ」という表現は、42℃の温度、5xSSCの50%ホルムアミド中でハイブリダイズさせ、そして60℃の0.2xSSC中でフィルターを洗浄することを指す[1xSSCは、0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウムである]。これらの条件は、BP28配列にハイブリダイズする配列を排除することを意図したものである。
「部位指向性の突然変異誘発」はこの分野では普通の方法であり、所望の突然変異を示す限定された誤対合を除いて突然変異誘発を行おうとする1本鎖ファージDNAに相補性の合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行う。簡単に説明すると、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてファージに対して相補性である鎖を合成させ、得られた2本鎖DNAをファージを維持する宿主細菌中に導入する。導入した細菌の培養物をトップ寒天で培養すると、ファージを保持している1個の細胞からプラークが形成される。理論的には、新しいプラークの50%が突然変異形を1本鎖として有するファージを含有し、50%は元の配列を有する。このプラークを、正確な対合はハイブリダイズさせるが元の鎖との誤対合がハイブリダイズするのを妨げるに十分な温度で、キナーゼ処理した合成プライマーとハイブリダイズさせる。次いで、プローブとハイブリダイズするプラークを選択し、培養し、DNAを回収する。
「機能的に結合」とは、構成成分の正常な機能を発揮させることができるように並べることを指す。即ち、コントロール配列群に「機能的に結合」した暗号配列とは、この暗号配列がこれらの配列群のコントロールのもとで発現することができ、結合されているDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場合には隣接してリーディング相内にある立体配置を意味する。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関係するプレタンパク質として発現されるならばポリペプチドのDNAに機能的に結合しており;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼすならば暗号配列に機能的に結合しており;また、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように設置されているならば暗号配列に機能的に結合している。結合は都合のよい制限部位での連結によって行う。そのような部位が存在しないときには、常法に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを用いる。
「コントロール配列」とは、特定の宿主生物における機能的に結合した暗号配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適したコントロール配列には、例えば、プロモーター、所望によるオペレーター配列、リボソーム結合部位、そして恐らくは今のところはよくわかっていないその他の配列が含まれる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することがわかっている。
「発現系」とは、所望の暗号配列および機能的に結合したコントロール配列を含有するDNA配列を指し、これらの配列で形質転換された宿主はコードされているタンパク質を産生することができる。形質転換を行うためには、発現系はベクター上に含まれているであろう;しかし、関連のDNAが次いで宿主染色体中に組込まれることもある。
本明細書で用いる「細胞」、「セルライン」および「細胞培養物」は交換可能なように用い、これら表示の全てはその子孫を含んでいる。従って、「形質転換体」または「形質転換細胞」は、転移の数とは無関係に1次対象細胞およびそれから導いた培養物を含んでいる。また、意図的あるいは偶然の突然変異により、全ての子孫がそのDNA内容において正確に一致していないこともあることは理解されよう。元の形質転換された細胞中のものについてスクリーニングしたときに同一の機能を有する突然変異子孫は包含される。別の意味が意図されているときには、その文脈から明らかであろう。
「プラスミド」は、小文字p、それに続く英数文字で表す。本発明の出発プラスミドは、市販品から入手可能であるか、制限のない状態でだれでも入手可能であるか、またはそのような入手可能なプラスミドから公知の方法に従って構築することができる。さらに、公表されているものと等価なプラスミドが当分野で知られているが、これらは当業者には明らかであろう。
DNAの「消化」とは、DNA中のある配列のところでのみ作用する制限酵素によるDNAの触媒的切断を意味する。本発明で用いられる多種の制限酵素は市販品から入手可能であり、それらの反応条件、補助因子、およびその他の必要なものは、当業者に既知であるものを用いた(例えば、製造元の指示に従った)。分析用には、通常、1μgのプラスミドまたはDNAフラグメントを約20μlの緩衝液中、約2単位の酵素とともに用いる。プラスミド構築用のDNAフラグメントの単離のためには、通常、5〜50μgのDNAをもっと大きな容量中、20〜250単位の酵素で消化した。特定の制限酵素のための適切な緩衝液および基質量は製造元によって指定されている。通常は37℃で約1時間のインキュベート時間を用いたが、供給元の指示に従って変えてもよい。消化の後、反応混合物を直接ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけて所望のフラグメントを単離する。
「脱ホスホリル化」とは、細菌性アルカリホスファターゼ(BAP)による処理によって末端5'ホスフェートを除去することを意味する。この操作によって、DNAフラグメントの2つの制限切断末端が「環状化」または閉じた環を形成すること(この制限部位における別のDNAフラグメントの挿入が妨げられる)が妨げられる。脱ホスホリル化のための方法および試薬は通常のものである[T.Maniatis et al.,1982,Molecular Cloning:A Labor atory Manual(New York:Cold Spring Harbor Laboratories,1982),pp.133−134]。BAPを用いる反応を50mMトリス中、68℃で行って、酵素調製物中に存在していることもあるあらゆるエキソヌクレアーゼの活性を抑制することもできる。反応は1時間行う。反応の後、フェノール/クロロホルムで調製物を抽出し、エタノールで沈澱させることによってDNAフラグメントを回収することができる。脱ホスホリル化の代わりとしては、望ましくないフラグメントの別の制限酵素消化によって2重に消化されたベクターにおいて再連結を妨げることができる。
制限消化物からのあるDNAフラグメントの「回収」または「単離」とは、電気泳動によるポリアクリルアミドまたはアガロースゲルでの消化物の分離、その移動度と既知分子量のマーカーDNAフラグメントの移動度の比較による目的フラグメントの同定、目的のフラグメントを含有しているゲル切片の取り出し、およびゲルからのDNAの分離を意味する。この方法は広く知られている。例えば、Lawn等[R.Lawn et al.,(1981),Nucleic Acid s Res. :6103−6114]およびGoeddel等[D.Goeddel et al.,(1980),Nucleic Acids Res. :4057]を参照。
「サザーン分析」とは、既知のラベルされたオリゴヌクレオチドまたはDNAフラグメントへのバイブリダイゼーションによって消化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在を確認する方法である。本発明のためには、他に記載がなければ、サザーン分析は、Southernの方法[E.Southern(1975)J.Mol.Biol. 98:503−517]による1%アガロースでの消化物の分離、変性およびニトロセルロースへの移動、ならびにManiatis等[T.Maniatis et al.,(1978)Cell 15:687−701]が記載しているようなハイブリダイゼーションを意味する。
「連結(ライゲート)」とは、2つの2本鎖核酸フラグメントの間でホスホジエステル結合を形成させる過程を指す[T.Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Labo ratory Manual,p.146;上記]。特に記さなければ連結は、連結しようとするほぼ等しい量のDNAフラグメント(0.5μg)に対してT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)(10単位)を用い、既知の緩衝液および条件を用いて行う。「接着末端」連結は通常0℃で行い、一方、「平滑末端」連結は通常14℃で行う。
「充填」または「平滑化」は、制限酵素切断した核酸の付着末端の1本鎖末端が2本鎖に交換される操作を意味する。これにより付着末端が削除され、平滑末端が形成される。この方法は、1つだけまたはいくつかの別の制限酵素によって創製される末端に付着することができる制限切断末端を、いずれかの平滑切断する制限エンドヌクレアーゼの末端または他の充填された付着末端と適合する末端に変換するための多用途の方法である。通常、平滑化は、10mM MgCl2、1mMジチオトレイトール、50mM NaCl、10mMトリス(pH7.5)緩衝液中、DNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメント(8単位)および4種のデオキシヌクレオシド三リン酸(それぞれ250μM)の存在下、約37℃で標的DNA(2〜15μg)をインキュベートすることによって行う。通常、このインキュベートは30分後に停止させ、反応混合物をフェノールおよびクロロホルム抽出ならびにエタノール沈澱にかける。
形質転換体からのDNAの「調製」とは、微生物培養物からのプラスミドDNAの単離を意味する。他に記載がなければ、Maniatis等[Molecular Cloning:A Laboratory Manual,p.90;上記]のアルカリ/SDS法を用いてよい。
「オリゴヌクレオチド」とは、既知の方法によって化学的に合成され、次いでポリアクリルアミドゲルで精製された短い1本鎖または2本鎖のポリデオキシヌクレオチドである。
組換え法によってBP53を得た方法の要約を以下に挙げる。
1. ヒト血漿からの精製BP53を部分的に配列決定した。
2. BP53のアミノ末端部分およびBP53の多数の内部配列に対応するそれぞれのアミノ酸に対して単一のコドン選択を示す一連のオリゴヌクレオチドプローブを化学的に合成し、32Pでラベルした。
3. 2種類の成人肝臓cDNAライブラリーをαλgt10ベクターにおいて構築した:1つはオリゴ(dT)プライムしたライブラリーであり、1つはランダムにプライムしたライブラリーである。
4. それぞれのライブラリーを3種類のプローブプールでスクリーニングした。プローブのそれぞれのプールは、それぞれのライブラリーで強度の異なる300〜1000のスポットを与えた。38のスポットが3種類のプローブプールの2つで重複し、2つのスポットが3重複して現れた(両方ともオリゴ(dT)プライムしたライブラリー由来)。これらクローンの2つを、3種類のプローブプールと、および第4の合成プローブとハイブリダイズするものと同定した。2重複および3重複クローンのいくつかをサブクローンし、マッピングした。
5. 4種類のプローブプールの全てにハイブリダイズした2つのサブクローンのうちの1つを配列決定し、BP53の完全なDNA配列を決定した。
6. BP53をコードしている完全長のcDNAをプラスミド中に構築し、複製した。第3図の完全なDNA配列を知ることによりBP53 cDNAと完全な相同性を有する極めて長いプローブを調製することが可能になり、それによって他の種由来のゲノムライブラリーまたはcDNAをプローブすることがかなり容易になり、その効率を増大させ、そしてBP53の精製、配列決定およびプローブプールの調製を不要なものにすることができた。
7. BP53をコードしているcDNAをクローニングプラスミドから切り出し、発現媒体に連結し、これを用いて適当な宿主細胞を形質転換し、次いでこの宿主細胞を培養増殖させて目的のBP53を産生させた。
8. 上記方法に従って得た生物学的に活性な成熟BP53は264個のアミノ酸残基を有しており、そのうちの18個はシステインである。
以下に挙げる実施例は、今わかっている本発明実施の最良の態様を単に説明するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 BP53をコードしているcDNAクローンの同定およびヒト血清BP53のクローニング
BP53をコードしているDNAは、完全なDNA配列が既知であるときには化学合成によって、ヒト肝臓由来のmRNAの逆転写体のスクリーニングによって、または任意の細胞由来のゲノムライブラリーのスクリーニングによって得ることができる。BP53タンパク質の完全なアミノ酸配列もDNA配列も本発明時には知られていなかったので、その時点ではBP53をコードしている完全なDNA配列の化学合成は不可能であった。
ヒト血清結合タンパク質BP53を、Commonwealth Serum Laboratories(Melbourne Australia)から入手したヒト血漿のコーン・フラクションIVペーストから、MartinおよびBaxter[J.Biol.Chem.;上記]の記載のようにして精製した。精製されたBP53を示す単一のHPLCピークを単離した。この物質から得たアミノ酸配列を第2表に示す。
得られた60アミノ酸のN−末端配列は、5位を除いて(アラニン残基が以前に見い出されていた)、BaxterおよびMartin[Biochem.Biophys.Res.Comm.147:408−415(1987)]が既に報告している15アミノ酸の配列と一致した。今回の配列はほぼ等しい量のアラニンおよびグリシンを与え、今回単離したタンパク質がこの位置に両残基を有する混合物であることを示唆した。60残基のN−末端配列を完全なものにした後、配列決定機のフィルターに残っているタンパク質を、GrossおよびWitkup[J.Am.Chem.Soc.83:1510−1511(1961)]の記載のようにして臭化シアンで切断した。次に、明確な内部配列を見い出した(第2表を参照;CNBr)。
タンパク質のトリプシンおよびリジン−Cタンパク質加水分解切断とそれに続く逆相クロマトグラフィーによるペプチドの単離によって、別の9つの内部ペプチドの単一の配列および3つの混合配列が得られた。トリプシン消化のためには、精製BP53(8.4μg)を、10mM炭酸水素アンモニウム、10mM塩化カルシウム(100μl)中、トリプシン(0.5μg)と共に37℃で24時間インキュベートした。リジン−Cペプチダーゼ消化のためには、精製BP53(6μg)を、10mM炭酸水素アンモニウム、0.1%SDS、10mMジチオトレイトール(DTT)(100μl)中、リジン−Cペプチダーゼ(0.3μg)と共に37℃で24時間インキュベートした。消化物を直接Sychropak300 A C4 HPLCカラム(2x100mm)にかけ、続いて0.1%トリフルオロ酢酸中の1〜70%アセトニトリルまたは1−プロパノールの直線勾配液で溶離することによってこれらのフラグメントを分離した。この消化法およびRP−HPLC精製法はAggarwal等[J.Biol.Chem.260:2334−2344(1985)]がさらに詳しく記載している。BP53アミノ酸配列のセグメントは、Henzel等[Chromatograp hy404:41−52(1987)]の記載のように、Nelson300データ・システムおよび120A PTHアミノ酸分析機を装着した470A Applied Biosystems気相配列決定機によって得た。
Figure 0003577311
1文字のコードはアミノ酸に対して用い、当分野で既知のコード・システムを使用した。Xは同定することができなかった残基を示す。丸括弧は不確定の残基を示す。角括弧は配列を与えなかったAsn残基を示し、従ってグリコシル化されているかもしれない。T2−10−8、T2−20、およびKC−20の混合配列はcDNA配列の助けによって分離した。
λgt10ベクター中の2種類のヒト成人肝臓cDNAライブラリーを用いてBP53のクローンをスクリーニングした。その1つは、Leung等[Nature330:537−543(1987)]の記載のようにして調製したランダムにプライムしたライブラリーである。他方のヒト肝臓オリゴ(dT)プライムのcDNAライブラリーは、長さが12〜18ヌクレオチドのオリゴ(dT)プライマーおよびAMV逆転写酵素を用いて肝臓RNAから普通に調製した。得られたRNA−DNAコンプレックスをDNアーゼ不含のRNアーゼAで処理した後、当分野で周知の方法を用い、DNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメントおよび追加のAMV逆転写酵素の両方を用いて第2のDNA鎖を合成した。このようにして調製した2本鎖のcDNA(ds−cDNA)をS1ヌクレアーゼで消化し、DNAポリメラーゼIのクレノウ・フラグメントで処理した。平滑末端になっているds−cDNAを、ホスホリル化した16ヌクレオチドのオリゴマーに、ならびにSal I、Sst IおよびXho Iの制限部位、およびEcoR I突出末端を含むホスホリル化されていない20ヌクレオチドのオリゴマーに連結した。これらオリゴマーは次の配列を有していた:
Figure 0003577311
この連結生成物を、市販のDNAパッケージング・キット[Stratagene;San Diego,CA;カタログ#GT−10]中の指示書に記載されているようにして、また、Maniatis等[Molecular Cloning:A Laboratory Manual;上記]が記載している方法を用いて、λgt10のEcoR I部位に挿入した。
N−末端アミノ酸配列および多数の内部配列(C−末端およびN−末端領域の両方に対応)のそれぞれに対して単一のコドン選択を示すオリゴヌクレオチドプローブの4つのプールを合成した。これらの合成オリゴマーは、上記第2表に示したアミノ酸配列データに基づくものであった。これらのプローブを、正しいcDNAクローンに対する対合と共に第1図に示す。
第1図では、それぞれの組について、上部の配列は精製BP53から決定したアミノ酸配列である。上部のヌクレオチド配列は、アミノ酸配列データに基づきLathe,R.[J.Mol.Biol.183:1−12(1985)]に従って合成したオリゴヌクレオチドプローブ(oibp.6、7、8、9、および2)のものである。BP53と表示した配列はクローンしたcDNAのDNA配列であり、下方のアミノ酸配列はBP53の翻訳された配列である。点は、プローブとcDNA配列の間のDNA配列の一致を示す。
プールAは3種類の重複オリゴヌクレオチド、即ち長さがそれぞれ69、69、および70ヌクレオチドであるoibp.6.1、6.2、および6.3のプールである。これらのオリゴヌクレオチドは、第2表に示したいくつかの重なり合うトリプシン、リジン−C、およびCNBrフラグメントからなるBP53の60アミノ酸配列に基づいている。これらフラグメントの位置は上部アミノ酸配列の上に示した。最後のフラグメント(T3−14)の2アミノ酸(Y、K)の重なりは正しくないことがわかり、実際にはこのペプチドはこのタンパク質中の他の場所に位置している。従って、第2の下方の配列をアミノ酸41−60の下に示している。
プールBは、長さがそれぞれ45および36ヌクレオチドである2つのオリゴヌクレオチドoibp.7および8のプールである。
プールCは、長さがそれぞれ63、63、および64ヌクレオチドである3種類の重複オリゴヌクレオチドoibp.9.1、9.2、および9.3のプールである。
プールDは長さが60ヌクレオチドである1種類のオリゴヌクレオチドoibp.2からなる。
これらの新たに合成したオリゴマーを32Pでラベルし、3つのプールA、BおよびCを用いて上記のヒト肝臓cDNAライブラリーをスクリーニングした。
600,000クローンのオリゴ(dT)プライムのライブラリーおよび600,000クローンのランダムにプライムしたヒト肝臓cDNAライブラリーを、オリゴヌクレオチドプローブの3つのプールで3重にスクリーニングした。3重のニトロセルロースフィルターを32P−末端ラベルしたプローブのプールとハイブリダイズさせた。このハイブリダイゼーションは、20%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン、5xSSC、50mMリン酸ナトリウム(pH6.5)、5xDenhard溶液、2mMピロリン酸ナトリウム、0.1%SDS、および0.04mg/mlの煮沸して超音波処理したサケ精子DNAを含む緩衝液中で行った。このフィルターを42℃で一晩ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの後、このフィルターを、Maniatis等[Molecular Cloning:A La boratory Manual;上記]の記載のように、1xSSC中、37℃で2時間洗浄した。
プールA、BおよびCのそれぞれは、それぞれのライブラリーについて強度の異なる300−1000のハイブリダイズしたポジティブを与えた。38のハイブリダイズ2重ポジティブが3つのプールのうちの2つで観察された。2つのハイブリダイズ3重ポジティブがオリゴ(dT)プライムしたライブラリーで観察され、4つのプール全てとハイブリダイズした。多数のこれら2重および3重のクローンを、Messing等[Nucleic Acids Res.:309−321(1981)]の記載のように、プラーク精製し、ジデオキシ鎖終止法によるDNA配列決定のためにpUC118[VieiraおよびMessing;上記]ベクター中にサブクローンした。クローンのいくつかをマッピングし、制限マッピングおよび配列分析の両方によってクローンの1つ(ibp.118と命名)がBP53を含有していることがわかった(第2図)。このクローンに含まれているのは、第3図に示すように、BP53の暗号領域および3'−非翻訳化領域であった。
実施例2 BP53 cDNAのDNA配列
BP53 cDNAクローンの完全なヌクレオチド配列を第3図に示す。配列決定したクローンは、メチオニン残基で始まる873bpの1つの長いオープン・リーディング・フレームを含んでいる。精製したタンパク質から決定した18のアミノ末端および内部配列の全てはこのリーディング・フレーム中に存在しており、実際のところ、タンパク質配列の約75%が第2表に挙げたペプチド中に示される。精製したタンパク質から決定したアミノ酸配列は、不確定または決定することができなかった一部の残基を除き、cDNAクローンに基づくBP53の推定のアミノ酸配列に正確に一致する(第2表)。BP53のアミノ末端配列の前には、メチオニンで始まる27アミノ酸の配列が存在する。この配列は、PerlmanおよびHalvorson[J.Mol.Bio l.167:309(1983)]が示しているような、分泌シグナル配列の指標である荷電残基で囲まれた14アミノ酸の疎水性のコアーを含有している。推定の開始ATGの5'の3番目のヌクレオチドは、翻訳開始一致(コンセンサス)配列から予想されるようにプリンである[Kozak,Nu cl.Acids Res.12:857−872(1984)を参照]。オープン・リーディング・フレームは、1500bpの3'−非翻訳化領域を含む約2500bpのメッセンジャーRNAの5'末端の近くに含まれている。単離した3つのBP53クローン(ibp.118を含む)は、AAATAAAポリ(A)付加シグナルに先行されるその3'末端にポリ(A)配列を含んでいる。
cDNAクローンから推定されるBP53の完全長成熟配列は264残基であり、そのうち18はシステインであり、このタンパク質がシステインに富んでいることを示す。これらのシステイン残基は、N−末端付近に12個が、そしてC−末端付近に6個が集まっている(第2図を参照)。この配列の翻訳された分子量は28.7kDであり、還元SDS−PAGEで推定された分子量43kDに比べてかなり小さい。この分子量の不一致の全てまたは大部分は、恐らくはグリコシル化によって説明される。天然タンパク質はレクチン・コンカナバリンAに結合し[MartinおよびBaxter(J.Biol.Chem.);上記]、アミノ酸配列は、3つの可能性あるN−結合グリコシル化部位(NXSまたはT)、ならびに同じようにO−結合グリコシル化に用いられうるセリンおよびトレオニン残基の2つのクラスター[Russell等(Cell37:577−585(1984))が示唆している]を含有している(第2図)。ペプチドT15−3およびT3−14のアミノ酸配列中のアミノ酸109および172のアスパラギンシグナルの欠如(第2表)は、3つの可能性あるN−結合グリコシル化部位のうちの少なくとも2つが用いられていることを示唆する。
BP53のアミノ酸配列は、ラットBRL−3A細胞によって産生されるIGF−結合タンパク質の公表配列に類似している[LyonsおよびSmith(Mol.Cell.Endo.45:263−270(1986))およびMottola等(J.Biol.Chem.261:11180−11188(1986))を参照]。この比較を以下に挙げるが、星印は配列が相同であるところを示す:
Figure 0003577311
ラット結合タンパク質について配列決定された34アミノ酸のうち、21個がヒトBP53の配列と一致する。このラットタンパク質は、BP28、即ちBP53とは代謝および抗原性の点から別個のものであるヒトIGF−結合タンパク質の相同体であると考えられている[Baxter等(J.Clin.E ndo.and Metabol.;上記)、ならびにBaxterおよびMartin(Biochem.Biophys.Res.Comm.;上記)を参照]。いくつかのタンパク質配列データベース[Protein Identification Resource,National Biomedical Research Foundation,Georgetown Univ.Med.Center,Washington,D.C.20007およびGenBank,Bolt.Beranek and Newman,Inc.Cambridge,MA 02231]のコンピューターによる検索によって、他のあらゆる既知タンパク質に対して明確な類似性が存在しないことが示された。特に、IGF−IおよびIGF−II受容体結合ドメインに類似性が見い出されなかった。このことは、受容体の細胞外ホルモン結合ドメインが循環成長ホルモン結合タンパク質と同一であることが示されている成長ホルモン受容体についての最近の研究とは対照的である[Leung等(Nature330:537−543(1987))]。
実施例3 ヒトBP53の発現
最終的な発現ベクターpRK5.ibp1.1を、pibp.118.1およびpRK5から第9図に示したようにして構築した。これらプラスミドおよび最終プラスミドのそれぞれの構築を以下に詳しく説明する。
A. pibp.118.1の構築
完全長のヒトBP53タンパク質のcDNAはクローンλibp.118中に含まれている。λibp.118のEcoR I消化、2585bpのEcoR Iフラグメントのアガロースゲル電気泳動による単離、およびこのフラグメントのEcoR I消化pUC118へのT4リガーゼによる連結によってこのcDNA挿入体をサブクローンし、プラスミドpibp.118.1を得た(第9図)。
B. pRK5の構築
B.1. pF8CISの構築
出発プラスミドpF8CISの最初の3部分構築を以下に説明し、第4図に示す。
1)最終ベクターのアンピシリン耐性マーカーおよび複製起源は、出発プラスミドpUC13pML,即ちプラスミドpMLの変異体[Lusky,MおよびBotchen,M.,Nature293:79(1981)]から導いた。pUC13pMLは、pUC13のポリリンカー[Vieira,J.およびMessing,J.,Gene19:259(1982)]をpMLのEcoR IおよびHind III部位に移すことによって構築した。第2の出発プラスミドpUC8−CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の供給源である。pUC8−CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の約800ヌクレオチドをpUC8の平滑にしたPst IおよびSph I部位に挿入することによって構築した[Vieira,J.およびMessing,J.;上記]。合成のBamH I−Hind IIIリンカー(New England Biolabsの市販品から入手可能)を付着BamH I末端に連結してHind III部位を創製した。この連結に続いて、Hind III−Hinc II消化を行った。この消化によって、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含有する約800bpのフラグメントが得られた。ゲル単離の後、この800bpフラグメントをpUC13pMLの2900bp片に連結した。pF8CISの構築に必要なフラグメントは、上記中間プラスミドのSal IおよびHind IIIによる消化によって得た。この3123bp片は、エンハンサー、プロモーター、およびスプライス供与部位を含むCMVのコントロール配列、pUC13pML由来の複製起源、ならびにアンピシリンに対する耐性マーカーを含有していた。
2)Ig可変領域イントロンおよびスプライス受容配列は、第4図の中央部分に示すような合成オリゴマーを用いて構築した。IgGイントロンおよびスプライス受容部位のための次の配列を有するように99merおよび30merを化学的に合成した[Botwell等(Nature290:65−67(1981))]:
Figure 0003577311
DNAポリメラーゼI(クレノウ・フラグメント)によってこの合成片を充填し、2本鎖フラグメントを創製した[Wartell,R.M.およびW.S.Reznikoff,Gene:307(1980)]。これに続いて、Pst IおよびHind IIIで2重消化した。この合成リンカーを、Pst IおよびHind III部位のところでpUC13中にクローンした[VeiraおよびMessing;上記]。合成オリゴヌクレオチドを含有するクローン、ラベルしたpUCIg.10をPst Iで消化した。Pst I−Cla Iリンカーを用いてこのフラグメントにCla I部位を付加した。Hind IIIで消化した後、Ig可変領域スプライス受容体およびIgイントロンの一部を含有する118bp片をゲル単離した。
3)構築工程の第3部分によって、肝炎表面抗原の3'末端を、SV40の初期領域のポリアデニル化部位および転写終止部位で置き換えた。SV40配列を含有するベクターpUC.SV40は、VieiraおよびMessing(上記)の記載のようにpUC8のBamH Iに挿入された。次いで、pUC.SV40をEcoR IおよびHpa Iで消化した。SV40のポリアデニル化配列を含有している143bpのフラグメントをこの消化物からゲル単離した。2つの別のフラグメントはpSVE.8clD[欧州特許公開No.160,457]の消化に続いてゲル単離した。EcoR IおよびCla I消化によって生成した4.8kbフラグメントは、SV40−DHFR転写単位、pMLの複製起源およびアンピシリン耐性マーカーを含有している。Cla IおよびHpa Iによる消化の後に得られる7.5kbフラグメントは、因子VIIIのcDNAを含有している。3部分の連結によってpSVE.8c24Dが得られた。この中間プラスミドをCla IおよびSal Iで消化して、因子VIIIのcDNA、SV40ポリA部位、それに続くSV40 DHFR転写単位を含有する9611bpのフラグメントを得た。
pF8CISを得るための最終的な3部分連結には次のフラグメントを用いた:即ち、(a)複製起源、アンピシリン耐性マーカー、ならびにCMVエンハンサー、プロモーター、およびスプライス供与部分を含有する3123bpのSal I−Hind IIIフラグメント;(b)Igイントロンおよびスプライス受容部位を含有する118bpのHind III−Cla Iフラグメント;および(c)因子VIIIのcDNA、SV40のポリアデニル化部位、およびSV40 DHFRの転写単位を含有する9611bpのCla I−Sal Iフラグメントを用いた。
B.2. pCIS2.8c28Dの構築
pCIS2.8c28Dは、因子VIIIの73kDサブユニットに結合した因子VIIIの90kDサブユニットを含有している。この90kDはアミノ酸1〜740を含有しており、73kDサブユニットはアミノ酸1690〜2332を含有している。この構築物は次のフラグメントの3部分連結によって調製した:即ち、(a)pF8CISの12617bpのCla I−Sst IIフラグメント(dam株から単離およびBAP処理);(b)pF8CISの216bpのSst II−Pst Iフラグメント;および(c)キナーゼ処理した短いPst I−Cla I合成オリゴヌクレオチドである(第5図を参照;ここで、星印は変えられたヌクレオチドを示す)。
また、第5図は、pCIS2.8c28Dを調製するために融合される因子VIIIの5'および3'DNA領域を含有するpSVEFVIIII(欧州特許公開NO.160,457)の408bp BamH I−Hind IIIおよび416bp BamH I−Pst Iフラグメントのサブクローニングをも示すものである。
第6図は、pCIS2.8c28Dの融合領域を構築するために用いる3部分連結を示すものである。2種類の異なるフラグメントAおよびBを、同じpUC118 BamH I−Pst I BAPベクターにクローンした。このAフラグメントはpUC408BHの408bp BamH I−Hind IIIフラグメントであり、BフラグメントはHind III−Pst Iオリゴヌクレオチドであった。この2本鎖のオリゴヌクレオチドは第6図に示されている。末端制限部位の完全なDNA配列が第6図に示されているが、実際のオリゴヌクレオチドは制限部位のところで線によって示されている塩基を含んでいない。このオリゴヌクレオチドをキナーゼ処理することなく用いて連結の間のポリマー化を防止した。
第6図に示したようにAおよびBフラグメントをベクター中に連結した後、予想される連結配列をヌクレオチドによって包含される領域のDNA配列決定によって確認した。
プラスミドpCIS2.8c28Dは、第7図に示したように、4部分連結によって構築した。第6図からの融合プラスミドをBamH IおよびPst Iで切断し、443bpのフラグメントを単離した。4部分連結の残りの3つのフラグメントは次のフラグメントである:即ち、(1)pSVEFVIIII(欧州特許公開No.160,457)の1944bp Cla I−BamH Iフラグメント;(2)pSVEFVIIIIの2202bp BamH I−Xba Iフラグメントであって、これをさらにPst Iで部分消化し、1786bpのPst I−Xba Iフラグメントを単離;および(3)第6図由来のpCIS2.8c24Dの5828bp Xba I−Cla I BAPフラグメントである。pCIS2.8c28Dの正確な融合連結領域において得られた変異体の翻訳されたDNA配列を決定し、第6図に示した配列と関係付けた。
B.3. pRK5の構築
pRK5のの構築を第8図に示す。pRK5構築のための出発プラスミドはpCIS2.8c28Dである。パラグラフ1〜6中の塩基番号は、CMVプロモーターの前のEcoR I部位の最初のTが塩基1であるpCIS2.8c28Dを指す。サイトメガロウイルスの初期プロモーターおよびイントロンおよびSV40起源およびポリAシグナルは別々のプラスミド上に配置した。
1. サイトメガロウイルスの初期プロモーターを、pCIS2.8c28D由来のEcoR Iフラグメント(9999−1201)として上記のpUC118のEcoR I部位にクローンした。12のコロニーを取り、その配向(pUC118から調製した1本鎖DNAが1201のEcoR I部位から9999のEcoR I部位までを配列決定させる)についてスクリーニングした。このクローンをpCMVE/Pと命名した。
2. 部位指向性の突然変異誘発によってSP6[Green,MR等(Cell32:681−694(1983))]プロモーターを挿入するために、pCMVE/Pから1本鎖のDNAを調製した。SP6プロモーターの−69から+5までの配列[Nucleic Aci ds Res.12:7041(1984)、第1図を参照]を含有する合成の110merを、CMVE/P配列に対応するオリゴマーのいずれかの末端の18bpのフラグメントと共に用いた。突然変異誘発を常法によって行い、ラベルした110merを用いて高および低厳格性のもとでスクリーニングした。6つの可能性あるクローンが選択され、配列決定した。ポジティブなクローンを同定し、pCMVE/PSP6と命名した。
3. 例えば、SP6 RNAポリメラーゼを加え、適切な大きさのRNAを調べることによって、SP6プロモーターをチェックし、そして活性であることが示された。
4. pUC118のCla I部位(912)からSma I部位までの配置をpCMVE/P(行程1)およびpCMVE/PSP6(行程2)中に包含させるためにCla−Not I−Smaアダプターを合成した。このアダプターをpUC118のCla I−Sma I部位に連結し、正しいクローンについてスクリーニングした。このリンカーを両者において配列決定し、クローンをpCMVE/PSP6−LおよびpCMVE/P−Lと命名した。
5. pCMVE/PSP6−LをSma I(リンカー/pUC118連結点)およびHind III(pUC118中)で切断した。以下に記載するpSVORAAΔR I 11由来のHpa I(5573)−Hind III(6136)フラグメントをpCMVE/PSP6−LのSma I−Hind III中に挿入した。この連結をスクリーニングし、クローンを単離し、pCMVE/PSP6−L−SVORAAΔR Iと命名した。
a)SV40起源およびポリAシグナルを、pCIS2.8c28DからXmn I(5475)−Hind III(6136)フラグメントとして単離し、pUC119(VieiraおよびMessing;上記)のHind III−Sma I部位にクローンした。このクローンをpSVORAAとして命名した。
b)5716のEcoR I部位をEcoR Iによる部分消化によって除去し、クレノウで充填した。充填後の自己連結によって得られるコロニーをスクリーニングし、正しいクローンを単離し、pSVORAAΔR I 11と命名した。削除したEcoR I部位を配列決定によってチェックし、正しいものであることがわかった。
c)pSVORAAΔR I 11のHpa I(5573)−Hind III(6136)フラグメントを単離し、pCMVE/PSP6−L(上記の4を参照)中に挿入した。
6. pCMVE/PSP6−L−SVOrAAΔR I(行程5)をEcoR Iにより9999のところで切断し、平滑にし、そして自己連結させた。EcoR I部位を持たないクローンを同定し、pRKと命名した。
7. pRKをSma IおよびBamH Iで切断した。これをクレノウで充填し、再連結した。このコロニーをスクリーニングした。ポジティブのクローン同定し、pRKΔBam/Sma3と命名した。
8. コンバーターを用いてpRKDBam/Sma3のHind III部位をHpa I部位に変換した(コンバーターは、ある制限部位を別のものに変換する際に用いるDNA片である;ここでは、一方の末端はHind III接着末端に相補性であり、他方の末端はHpa Iの認識部位を有している)。ポジティブのクローンを同定し、pRKΔBam,Hind II−Hpa I 1と命名した。
9. pRKΔBam,H III−Hpa I 1をPst IおよびNot Iで切断し、EcoR I−Hind IIIリンカーおよびHind III−EcoR Iリンカーをその中に連結した。それぞれのリンカーについてクローンが見い出された。しかし、多すぎるHpa Iコンバーターが入っていることもわかった(2またはそれ以上のコンバーターはPvu II部位を創製する)。従って、これらのクローンはHpa Iで切断し、自己連結しなければならなかった。
10. R I−H IIIクローン3およびH III−R Iクローン5をHpa Iで切断し、希釈し、そして自己連結させた。ポジティブを同定した。R I−H IIIクローンをpRKと命名した。
C. pRK5.ibp1.1の構築
第9図はpRK5.ibp1.1の構築を示すものである。pRK5の4710bpのEcoR I/Sma Iフラグメントを単離した。pRK5フラグメントを単離した後、BP53暗号領域のほぼ全てを含有している934bpのPf1M I/Pvu IIフラグメントをpibp.118.1から単離した。このフラグメントは、始めにpibp.118.1をBamH I(隣接のフラグメントを除去するため)およびPvu IIで切断し、次いでPf1M Iで消化することによって得た。暗号領域のすぐ3'側のPvu IIおよびPf1M I部位は重なっているので、始めにPvu IIで切断するとPf1M Iによる次の切断が妨げられ、934bpの単離されたフラグメント上に1つの平滑末端を残す。暗号領域の5'末端のPf1M I切断によって開始コドンATGが除去されるので、以下の配列を有するオリゴヌクレオチドoibp.11を用いて5'末端を再構築した:
Figure 0003577311
これらフラグメントの3部分連結によって発現ベクターpRK5.1bp1.1が得られた。
D. ヒトBP53の発現
アデノウイルスE1a dn E1b(293s)で形質転換したヒト胚腎細胞はGraham等[J.Gen.Virol.36:59−73(1977)]が開示している。この細胞およびサル腎細胞(COS細胞)を、Gorman[DNA Cloning,D.M.Glover,ed.(IRC Press,Oxford,1985),vol.2,pp.143−190]のリン酸カルシウム法により、上記の発現ベクターpRK5.ibp1.1[または、Leung等(上記)が開示している分泌型のヒト成長ホルモン受容体を発現する対照プラスミド]でトランスフェクションした。24時間後に、この細胞を血清不含の培地に換え、さらに48時間インキュベートした。次いで、この血清不含の培地をBP53について検定した(第10図)。
実施例4 BP53の検定
BP53の放射免疫検定(第10a図)は、1:10,000の最終希釈で、抗血清R−7[抗血清R1−4を生成する同じウサギからの別の血液;MartinおよびBaxter(1985)、上記]を用い、BaxterおよびMartin[J.Clin.Invest;上記]の記載のようにして行った。それぞれの検定に添加された放射活性は7633cpmであり、非特異的なバックグラウンドは343cpmであり、100%の特異的な結合は1711cpmである。結合検定および結合競争検定(第10b〜10d図)は、MartinおよびBaxter[J.Biol.Chem.;上記]の開示のようにして行った。遊離配位子および結合配位子は、1:300の最終希釈における抗血清R−7による免疫沈澱によって分離した。添加した放射活性は、約14,500cpmの125I−IGF−I(200Ci/g)または6300cpmの125I−IGF−II(80Ci/g)であった。スカッチャード分析は、MunsonおよびRodbord[Anal.Biochem.107:220−239(1980)]の開示のようにコンピュータープログラムLIGANDを用いて行った。一時的に発現されたBP53のスカッチャードデータを第10c図および第10d図に示す。
実施例5 IGFの結合タンパク質検定
次のプロトコールに従い、BP53を用いてBP53に結合しうるIGF−IまたはIGF−IIが試料中に存在しているか否かを調べることができる。この検定はいくつかの方法で行うことができる。例えば、BP53を96ウェルの微量滴定プレートに結合させ、IGF−IまたはIGF−IIを含む試料の一部を、一定量の真正IGF−IまたはIGF−IIとそれに結合したビオチンの存在下で結合BP53とインキュベートする。4〜6時間のインキュベートの後、溶液を除き、プレートを洗浄して未結合のIGF−IまたはIGF−IIを除去する。西洋ワサビペルオキシダーゼに結合したアビジンを加え、インキュベートすると、IGF−ビオチンコンジュゲートとのコンプレックスが生成する。もう一度、プレートを洗浄し、HRP基質を加える。発色はIGFを含まない試料を含有しているウェルで最も大きい。試料をインキュベートし続けると、ビオチン−IGFコンジュゲートの結合量は減少し、従って発色は少なくなる。これによって、既知濃度の真正IGF−IまたはIGF−II(適当として)を用いて測定することができる用量依存性の応答が得られる。
医薬組成物
BP53および所望によるIGFを既知の方法に従って調剤化し、BP53(および所望によりIGF)を薬学的に許容しうる担持担体と混合した薬学的に有用な組成物を製造することができる。適当な担体およびそれらの製剤(血清アルブミンなどの他のヒトタンパク質を含む)は、例えばE.W.Martin[Remington's Pharmaceutical Science s]が開示している。通常、BP53は、糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、単糖(例えば、グルコース、マンノース、ガラクトースまたはフルクトース)、オリゴ糖(例えば、マルトース、ラクトースまたはスクロース)、およびタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)を含む賦形剤の存在下で凍結乾燥されるか、またはリン酸緩衝食塩水中で保存される。
また、上記の賦形剤は水性保存時の不活性化または沈澱化に対するBP53の安定性に寄与することもでき、自体普通の他の安定化剤と共に用いることもできる。そのような安定化剤には、キレート化剤(例えば、EDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルベートまたはジチオトレイトール)、アミノ酸、およびノニオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンおよびポリプロピレングリコールのブロック共重合体)が含まれる。
BP53は、インビボ中に存在する循環または膜結合のIGFに結合させるのに、そして恐らくは上記のようにインビボでのIGFの半減期を長くするのに使用するためにヒトまたは動物に投与される。さらに、哺乳動物の循環系に代謝的に影響を与えるために、IGF(好ましくは、IGF−Iおよび/またはIGF−II)と共にBP−53を投与することもある。また、BP53を用いて組織にIGF−IまたはIGF−IIをさらに効果的に放出させることができる。
治療用のBP53組成物は、治療学的有効量のBP53を薬学的に許容しうる担体中に含有しているであろう。用量、担体、選択した投与経路および投与スケジュールは、特に、それぞれが互いに依存し、そして治療しようとする疾患または症状、患者の病歴、および選択したBP53変異体の活性に依存するであろう。これらの因子は、治療中に治療を行っている医師によって容易に決定され、モニターされる。通常の用量は、上記の因子に依存して、ヒト治療に対しては約50〜約200μg/kg、好ましくは80〜150μg/kgの範囲内であろう。BP53とIGFが一緒に投与されるときには、通常はそれらを等モル量で投与して、IGFのモル用量が投与されBP53のモル用量とほぼ同じになるようにする。
BP53の非経口投与のための担体は、滅菌等張水溶液、例えば注射用食塩水または5%のデキストロースである。これらの調製物は、鼻内、皮下、静脈内、腹腔内、またはその他の通常の投与経路で注射または注入される。
また、BP53を持続放出担体製剤に供してもよい。適当な例には、一定の形状を有する半透過性のポリマーマトリックスが含まれる(例えば、座剤またはマイクロカプセル)。移植しうるか、またはマイクロカプセル性の持続放出マトリックスには、ポリラクチド類[米国特許No.3,773,919、EP 58,481]、L−グルタミン酸とγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー[U.Sidman等(Bi opolymers22(1):547−556(1983))]、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)[R.Langer等(J. Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981))およびR.Langer等(Chem.Tech.12:98−105(1982))]、エチレン酢酸ビニル[R.Langer等;同上]、あるいはポリ−D−(−)−3−ヒロドキキシ酪酸[EP 133,988A]が含まれる。また、持続放出BP53組成物にはリポソーム封入されたBP53が含まれる。BP53を含有するリポソームは次の自体既知の方法によって製造される:DE 3,218,121A;Epstein等[Proc.Nat'l.Acad.Sci.(USA),82;3688−3692(1985)];Hwang等[Proc.Nat'l.Acad.Sci.(USA),77:4030−4034(1980)];EP 52,322A;EP 36,676A;EP 88,046A;EP 143,949A;EP 142,641A;日本特許出願83−118,008;米国特許No.4,485,045および4,544,545;およびEP 102,324A。

Claims (27)

  1. DNA配列が、
    (a)第3図に示すDNA配列;及び
    (b)厳格な条件下で(a)に定義するDNA配列とハイブリダイズするDNA配列;
    からなる群から選ばれる、インスリン様成長因子結合タンパク質BP53をコードしている配列を含有する単離したDNA
  2. インスリン様成長因子(IGF)をコードしているDNA配列をさらに含有している請求項1記載のDN A
  3. IGFがIGF−IまたはIGF−IIである請求項2記載のDNA
  4. タンパク質がヒトタンパク質である請求項1記載のDNA
  5. DNA配列に機能的に結合したプロモーターをさらに含有している請求項1記載のDNA
  6. 単細胞生物中で機能する複製起点をさらに含有している請求項1記載のDNA
  7. ベクターで形質転換された宿主によって認識されるコントロール配列に機能的に結合した請求項1記載のDNAを含有している発現ベクター。
  8. 請求項7記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  9. 細胞が原核性であり、コントロール配列がタンパク質を細胞外に分泌させるためのシグナル配列を含有している請求項8記載の宿主細胞。
  10. 真核性である請求項8記載の宿主細胞。
  11. 哺乳動物である請求項10記載の宿主細胞。
  12. ヒト胚腎細胞またはCOS細胞である請求項11記載の宿主細胞。
  13. タンパク質をコードしている配列の上流にシグナル配列をコードしている領域をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のDNA
  14. シグナル配列が哺乳動物宿主細胞によって認識されるものである請求項13記載のDNA
  15. シグナル配列が原核宿主細胞または酵母宿主細胞によって認識されるものである請求項13記載のDNA
  16. タンパク質をコードしている配列に隣接して、形質転換宿主にとって外来性であるタンパク質をコードしている領域をさらに含有する請求項1記載のDN A
  17. 外来性のタンパク質が結合タンパク質に免疫原性を付与するものである請求項16記載のDNA
  18. 外来性のタンパク質が結合タンパク質から切断しうるものである請求項16記載のDNA
  19. インスリン様成長因子をコードしているDNA配列をさらに含有する請求項7記載の発現ベクター。
  20. 請求項19記載の発現ベクターで形質転換した宿主細胞。
  21. 請求項7記載の発現ベクターで、および宿主細胞によっって認識されるコントロール配列に機能的に結合したインスリン様成長因子をコードしているDNA配列を含有する発現ベクターで形質転換した宿主細胞。
  22. 請求項8記載の宿主細胞を培養して宿主細胞培養物中にタンパク質を発現させることを特徴とするインスリン様成長因子結合タンパク質BP53およびインスリン様成長因子の製造方法。
  23. 請求項20記載の宿主細胞を培養して宿主細胞培養物中にタンパク質を発現させることを特徴とするインスリン様成長因子結合タンパク質BP53およびインスリン様成長因子の製造方法。
  24. 請求項21記載の宿主細胞を培養して宿主細胞培養物中にタンパク質を発現させることを特徴とするインスリン様成長因子結合タンパク質BP53の製造方法。
  25. 宿主細胞培養物からタンパク質を回収する工程をさらに含有する請求項22記載の製造方法。
  26. 第3図に示す成熟タンパク質のアミノ酸配列を有し、又は第3図に示す成熟タンパク質のアミノ酸配列を欠失、置換、付加したアミノ酸配列を有し、且つ天然の結合タンパク質BP53の少なくとも1つのエピトープに対して生成させた抗体と免疫学的に交差反応するタンパク質をコードしているDNAで形質転換した細胞を培養することを含むインスリン様成長因子結合タン パク質BP53の製造方法。
  27. DNAが、第3図に示す成熟インスリン様 成長因子結合タンパク質BP53のアミノ酸配列を持ったタンパク質をコードしている請求項26記載の製造方法。
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