JP3982685B2 - 空間光変調器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
入射光を空間的に変調する空間光変調器は、光学的な情報処理やコンピュータ合成ホログラム等の分野において用いられている。
【0003】
従来の空間光変調器としては、液晶を用いたものや、マイクロミラーデバイスを用いたものがある。
【0004】
上述の光学的な情報処理やコンピュータ合成ホログラム等の分野では、大量の情報を高速で処理する必要があることから、空間光変調器としては動作速度が大きいことが望まれる。
【0005】
しかしながら、液晶を用いた空間光変調器では、動作速度が小さいという問題点がある。例えば、液晶の中では動作速度の大きい強誘電性液晶を用いた空間光変調器であっても、応答時間はマイクロ秒のオーダーである。
【0006】
マイクロミラーデバイスを用いた空間光変調器では、比較的、高速の動作が可能である。しかしながら、この空間光変調器は、高度な半導体製造プロセスによって製造される、構造が複雑なマイクロマシーンであるため、製造コストが高いと共に、機械的な駆動部分を有するので信頼性の面で問題が残る。
【0007】
ところで、例えば、特許文献1〜6には、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器が記載されている。以下、このような空間光変調器を、光磁気空間光変調器と呼ぶ。この光磁気空間光変調器は、それぞれ光磁気材料よりなり、独立に磁化の方向を選択可能な複数の画素を有している。光磁気空間光変調器では、ファラデー効果によって、各画素における磁化の方向に応じて、各画素を通過する光の偏光方向が互いに反対方向に所定角度ずつ回転される。従って、光磁気空間光変調器では、各画素における磁化の方向を任意に選択することにより、空間的に変調された光を生成することができる。
【0008】
光磁気空間光変調器では、各画素における磁化の方向の反転速度が大きいので、画素単位では、液晶を用いた空間光変調器に比べて動作速度を大きくすることができる。
【0009】
ところで、特許文献1〜5に示された従来の光磁気空間光変調器では、各画素の位置で交差するように格子状に2種類の導体を設け、任意の画素における磁化の方向を反転させる際には、その画素が配置された位置で交差する2本の導体に通電することによって、その画素における磁化の方向を反転させるための磁界を発生させるようにしていた。
【0010】
特許文献6に示された従来の光磁気空間光変調器は、一軸磁気異方性を有する透明磁性膜と、この透明磁性膜に応力を与えるように近接して配置された透明電歪性誘電体膜と、この透明電歪性誘電体膜を挟み且つ互いに交差するように配置されたX列透明電極およびY列透明電極とを備えている。この光磁気空間光変調器では、X列透明電極およびY列透明電極によって透明電歪性誘電体膜に電圧を印加することによって、透明電歪性誘電体膜における各画素に対応する部分にひずみを生じさせる。このひずみによって、透明磁性膜の各画素に相当する部分に応力が与えられる。そして、この応力によって、透明磁性膜の各画素に相当する部分における磁化の方向が制御される。
【0011】
【特許文献1】
米国特許第4,584,237号明細書
【特許文献2】
米国特許第5,241,421号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,255,119号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,386,313号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,473,466号明細書
【特許文献6】
特開平3−204615号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜5に示された光磁気空間光変調器では、画素における磁化の方向を反転させるために大きな磁界が必要であり、そのため大きな駆動電流が必要であった。そのため、従来の光磁気空間光変調器では、消費電力が大きくなると共に、発熱量が大きくなるという問題点があった。
【0013】
これに対し、特許文献6に示された光磁気空間光変調器によれば、電圧によって画素における磁化の方向を制御するため、消費電力および発熱を低減することができる。しかしながら、この光磁気空間光変調器では、透明電歪性誘電体膜において、1つの画素に対応する部分におけるひずみが他の部分に影響を与えたり、1つの画素に対応する部分におけるひずみが他の部分によって抑制されたりする。そのため、この光磁気空間光変調器では、その動作のために比較的大きな電圧が必要になるという問題点があった。
【0014】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器であって、消費電力および発熱を低減できると共に、動作に必要な電圧を小さくすることができるようにした空間光変調器、およびその製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の空間光変調器は、
光磁気材料よりなり、それぞれ独立に磁化の方向が設定され、磁気光学効果により、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数の画素を含む磁性層と、
圧電材料よりなり、自らがひずむことによって磁性層の各画素に応力を与えるための圧電層と、
圧電層を挟み且つ各画素に対応した位置で交差するように配置され、所定の電圧が印加されることによって、圧電層における各画素に対応した部分に対して、電気ひずみ効果によるひずみを発生させるための電界を与える複数の第1の導体層および複数の第2の導体層とを備え、
圧電層は、各画素に対応した各部分毎に分割され、
磁性層の各画素は、圧電層の各部分によって与えられた応力の方向に応じて磁化の方向が設定されるものである。
【0016】
本発明の空間光変調器では、第1の導体層および第2の導体層にそれぞれ所定の電圧が印加されることによって、圧電層における各画素に対応した各部分に電界が与えられ、この電界によって、圧電層の各部分に、電気ひずみ効果によるひずみが発生する。圧電層の各部分のひずみは、磁性層の各画素に応力を与える。磁性層の各画素では、圧電層の各部分によって与えられた応力の方向に応じて磁化の方向が設定される。この空間光変調器では、入射光に対して各画素における磁化の方向に応じた偏光方向の回転が与えられて、入射光が空間的に変調される。
【0017】
本発明の空間光変調器において、磁性層は、一方の面と、他方の面と、一方の面から、一方の面と他方の面との間の所定の位置まで形成され、各画素の領域を規定する溝とを有していてもよい。
【0018】
また、本発明の空間光変調器において、磁性層は、平坦な2つの面を有していてもよい。この場合、空間光変調器は、更に、それぞれ磁性層の一方の面に対向すると共に各画素に対応した位置に配置され、磁性層内に応力を発生させることによって各画素の領域を規定する複数の画素規定層を備えていてもよい。
【0019】
また、本発明の空間光変調器は、更に、各画素における磁化の方向を変化させるために用いられるバイアス磁界を磁性層に印加するバイアス磁界印加手段を備えていてもよい。
【0020】
本発明の空間光変調器の製造方法は、上記の本発明の空間光変調器を製造する方法であって、
磁性層、圧電層、第1の導体層および第2の導体層を形成する各工程を備え、
磁性層を形成する工程は、
平坦な2つの面を有し、磁性層となる膜を形成する工程と、
金属材料によって、上記膜の一方の面に対向すると共に各画素に対応した位置に配置されるように、複数の画素規定層を形成する工程と、
上記膜および画素規定層を熱処理することによって、膜中に画素を形成する工程とを含むものである。
【0021】
本発明の空間光変調器の製造方法において、画素規定層を残して空間光変調器を製造してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1ないし図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器の構成について説明する。図1は本実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す平面図である。図2は図1のA−A線断面図である。図3は本実施の形態に係る空間光変調器の使用方法を概念的に示す斜視図である。図4は本実施の形態に係る空間光変調器とその周辺回路を示す説明図である。
【0023】
図3に示したように、本実施の形態に係る空間光変調器1は、素子部2と、この素子部2の周囲に配置されたバイアス磁界印加用コイル3とを備えている。素子部2は板状をなし、一方の面が光の入出射面2aになっている。バイアス磁界印加用コイル3は、そこに電流が流されることにより、入出射面2aに対して垂直な方向のバイアス磁界を発生し、このバイアス磁界を素子部2に印加する。素子部2に入射した光は、素子部2によって空間的に変調されて出射される。素子部2から出射された光は、図4に示したように、検光子20を通過させた後に利用してもよい。
【0024】
図1および図2に示したように、素子部2は、基板10と、この基板10の上に形成された磁性層11とを備えている。磁性層11は、光磁気材料よりなり、それぞれ独立に磁化の方向が設定され、磁気光学効果により、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数の画素11aを含んでいる。画素11aの平面形状は例えば矩形である。磁性層11は、各画素11a毎に分割されている。隣接する画素11aの間には、各画素11aの領域を規定する溝11bが形成され、この溝11b内には絶縁層12が配置されている。磁性層11および絶縁層12の上面は平坦化されている。バイアス磁界印加用コイル3は、各画素11aにおける磁化の方向を変化させるために用いられるバイアス磁界を磁性層11に印加する。
【0025】
素子部2は、更に、磁性層11および絶縁層12の上に形成され、同一の方向(以下、X方向と言う。)に延び、一定の周期で配列された複数の第1の導体層13と、圧電材料よりなり、複数の導体層13の上に形成された圧電層14と、この圧電層14の上に形成され、X方向と直交する方向(以下、Y方向と言う。)に延び、一定の周期で配列された複数の第2の導体層15とを備えている。なお、図1では圧電層14の図示を省略している。
【0026】
圧電層14は、磁性層11の各画素11aに対応した各部分毎に分割されている。この圧電層14の各部分の間には絶縁層16が配置されている。圧電層14および絶縁層16の上面は平坦化されている。
【0027】
複数の導体層13と複数の導体層15は、圧電層14を挟み且つ各画素11aに対応した位置で交差するように配置されている。また、複数の導体層13と複数の導体層15は、所定の電圧が印加されることによって、圧電層14における各画素11aに対応した各部分に対して、電気ひずみ効果によるひずみを発生させるための電界を与えるようになっている。磁性層11の各画素11aは、導体層13を介して、圧電層14における各画素11aに対応した各部分に対して機械的に結合されている。
【0028】
基板10は、例えばガドリニウムガリウムガーネット(GGG)によって形成されている。磁性層11は、例えば磁性ガーネット薄膜によって形成されている。磁性層11の材料としては、希土類鉄ガーネットやビスマス置換希土類鉄ガーネット等が用いられる。磁性層11の形成方法としては、液相エピタキシャル成長法(LPE法)またはスパッタ法によって単結晶の磁性ガーネット薄膜を形成する方法がある。磁性層11における溝11bは例えばエッチングによって形成される。絶縁層12は、SiO等の絶縁材料によって形成されている。
【0029】
第1の導体層13は、例えば、磁性層11および絶縁層12の上に形成された第1層13aと、この第1層13aの上に形成された第2層13bとで構成されている。第1層13aは例えばTiによって形成され、第2層13bは例えばPtによって形成される。第2の導体層15は例えばAlによって形成されている。
【0030】
圧電層14は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTと記す。)によって形成されている。また、圧電層14は、例えばゾル−ゲル法によって形成される。Ptよりなる第2層13bの上にPZT膜を形成することにより、(111)面を有するように配向されたPZT膜よりなる圧電層14を形成することができる。このようにして形成された圧電層14は大きな圧電効果を発揮する。
【0031】
素子部2において、基板10の下面が光Lの入出射面2aになっている。光Lはこの入出射面2aから基板10に入射し、基板10および磁性層11を通過し、第1の導体層13で反射され、再度、磁性層11および基板10を通過して、入出射面2aから出射されるようになっている。基板10および磁性層11は、空間光変調器1によって変調する光Lに対して透光性を有している。
【0032】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る空間光変調器1の駆動手段について説明する。図4に示したように、素子部2の複数の導体層13は駆動部31に接続され、複数の導体層15は駆動部32に接続される。また、バイアス磁界印加用コイル3は駆動部33に接続される。駆動部31,32,33は制御部34によって制御されるようになっている。駆動部31,32は、制御部34の制御の下で、それぞれ導体層13,15に所定の電圧を印加するようになっている。駆動部31は、複数の導体層13にそれぞれ所定の電圧を印加するための複数の駆動回路を含んでいる。同様に、駆動部32は、複数の導体層15にそれぞれ所定の電圧を印加するための複数の駆動回路を含んでいる。また、駆動部33は、コイル3に正または負の任意の電流を流すようになっている。
【0033】
次に、図5および図6を参照して、本実施の形態に係る空間光変調器1の作用について説明する。以下の説明では、一例として、圧電層14は、上向きの電界が与えられると厚み方向に収縮するようにひずみ、下向きの電界が与えられると厚み方向に伸張するようにひずむものとする。また、磁性層11の各画素11aは、厚み方向に伸張する方向の応力が与えられると自発磁化の方向が上向きとなり、厚み方向に圧縮する方向の応力が与えられると自発磁化の方向が下向きとなるものとする。
【0034】
まず、図5を参照して、全ての画素11aにおける磁化の方向を同じ方向に揃える方法について説明する。ここでは、図5に示したように、全ての画素11aにおける磁化Mの方向を上向きに揃えるものとして説明する。この場合には、圧電層14における各画素11aに対応した各部分に上向きの電界Eが与えられるように、例えば、導体層13に所定の正の値の電圧を印加し、導体層15に0Vを印加する。これにより、圧電層14における各画素11aに対応した各部分は、厚み方向に収縮するようにひずむ。この圧電層14の各部分のひずみは、磁性層11の各画素11aに、伸張する方向の応力を与える。これにより、全ての画素11aにおいて、自発磁化の方向が上向きの磁区が発生する。ここで、素子部2に上向きのバイアス磁界Hbを印加すると、画素11a内において、磁化の方向が上向きの磁区が拡大し、画素11a内の全体において磁化Mの方向は上向きとなる。なお、磁区が拡大する際、磁壁の移動は溝11bによって抑止される。
【0035】
次に、図6を参照して、図5に示した状態から、任意の画素(以下、対象画素と言う。)11aにおける磁化の方向を下向きに変える方法について説明する。この場合には、対象画素11aに対応した圧電層14の部分に下向きの電界Eが与えられるように、例えば、対象画素11aに対応した導体層15に所定の正の値の電圧を印加し、対象画素11aに対応した導体層13に0Vを印加する。これにより、対象画素11aに対応した圧電層14の部分は、厚み方向に伸張するようにひずむ。この圧電層14の部分のひずみは、対象画素11aに、圧縮する方向の応力を与える。これにより、対象画素11aにおいて、自発磁化の方向が下向きの磁区が発生する。ここで、素子部2に下向きのバイアス磁界Hbを印加すると、対象画素11a内において、磁化の方向が下向きの磁区が拡大し、対象画素11a内の全体において磁化Mの方向は下向きとなる。なお、バイアス磁界Hbの大きさは、他の画素11aにおける磁化Mの方向を変えない程度の大きさとする。
【0036】
なお、電界Eおよびバイアス磁界Hbの向きを、図5を参照した説明とは逆にすれば、全ての画素11aにおける磁化Mの方向を下向きに揃えることができる。また、この状態から、任意の画素11aにおける磁化の方向を上向きに変えるには、電界Eおよびバイアス磁界Hbの向きを、図6を参照した説明とは逆にすればよい。
【0037】
なお、圧電層14における画素11aに対応した部分によって与えられる応力のみによって画素11a内の全体において磁化Mの方向が切り換わる場合には、バイアス磁界Hbは不要になる。この場合には、図4におけるバイアス磁界印加用コイル3および駆動部33も不要になる。
【0038】
入出射面2aから空間光変調器1の素子部2に入射した光Lは、基板10を通過した後、磁性層11の各画素11aを通過する。各画素11aを通過する光Lには、ファラデー効果により、各画素11aにおける磁化の方向に応じた偏光方向の回転、すなわちファラデー回転が与えられる。以下の説明では、磁化方向が上向きの画素11aを通過する光Lの偏光方向は+θFだけ回転され、磁化方向が下向きの画素11aを通過する光Lの偏光方向は−θFだけ回転されるものとする。
【0039】
画素11aを通過した光Lは、導体層13で反射され、再度、画素11aおよび基板10を通過して、素子部2から出射される。導体層13で反射されてから画素11aを通過する光Lには、導体層13に達する前に画素11aを通過する際と同様に、ファラデー効果により、画素11aにおける磁化の方向に応じた偏光方向の回転が与えられる。従って、磁化方向が上向きの画素11aを往復で2回通過して素子部2から出射される光Lの偏光方向は+2θFだけ回転され、磁化方向が下向きの画素11aを往復で2回通過して素子部2から出射される光Lの偏光方向は−2θFだけ回転される。このようにして、偏光方向が空間的に変調された出射光が生成される。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態に係る空間光変調器1は、素子部2と、素子部2の周囲に配置されたバイアス磁界印加用コイル3とを備えている。素子部2は、光磁気材料よりなり、それぞれ独立に磁化の方向が設定され、磁気光学効果により、入射する光Lに対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数の画素11aを含む磁性層11と、圧電材料よりなり、自らがひずむことによって磁性層11の各画素11aに応力を与えるための圧電層14と、圧電層14を挟み且つ各画素11aに対応した位置で交差するように配置され、所定の電圧が印加されることによって、圧電層14における各画素11aに対応した部分に対して、電気ひずみ効果によるひずみを発生させるための電界を与える複数の第1の導体層13および複数の第2の導体層15とを備えている。
【0041】
本実施の形態に係る空間光変調器1では、第1の導体層13および第2の導体層15にそれぞれ所定の電圧が印加されることによって、圧電層14における各画素11aに対応した各部分に電界Eが与えられる。そして、この電界Eによって、圧電層14の各部分に、電気ひずみ効果によるひずみが発生する。圧電層14の各部分のひずみは、磁性層11の各画素11aに応力を与える。磁性層11の各画素11aは、圧電層14の各部分によって与えられた応力の方向に応じて磁化Mの方向が設定される。そして、本実施の形態に係る空間光変調器1では、入射光に対して各画素11aにおける磁化Mの方向に応じた偏光方向の回転が与えられて、入射光が空間的に変調される。
【0042】
このように、本実施の形態に係る空間光変調器1では、電流ではなく電圧によって、画素11aにおける磁化Mの方向を反転させる。従って、本実施の形態によれば、空間光変調器1の消費電力および発熱を低減することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、圧電層14は、磁性層11の各画素11aに対応した各部分毎に分割されている。そのため、本実施の形態によれば、圧電層14の1つの部分におけるひずみが圧電層14の他の部分に影響を与えることがないと共に、圧電層14の1つの部分におけるひずみが圧電層14の他の部分によって抑制されることもない。従って、本実施の形態によれば、圧電層14を各部分毎に分割しない場合に比べて、圧電層14の各部分にひずみを発生させるための電界を小さくすることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、圧電層14を各部分毎に分割しない場合に比べて、空間光変調器1の動作に必要な電圧を小さくすることが可能になる。
【0044】
次に、本実施の形態に係る空間光変調器1における変形例について説明する。図7はこの変形例の空間光変調器の一部を示す断面図である。この変形例では、磁性層11の各画素11aの領域を規定する溝11bは、磁性層11の上面から、上面と下面との間の所定の位置まで形成されている。磁性層11の上面は本発明における磁性層の一方の面に対応し、磁性層11の下面は本発明における磁性層の他方の面に対応する。溝11b内には絶縁層12が配置されている。このように、変形例では、磁性層11は、画素11a毎に完全に分割されてはおらず、複数の画素11aにわたって連続している。本発明者の実験により、このような磁性層11の構造によれば、磁性層11を画素11a毎に完全に分割した場合に比べて、画素11aにおける磁化の方向の反転を容易に行わせることができることが分かった。
【0045】
変形例における磁性層11の構造によれば画素11aにおける磁化の方向の反転を容易に行わせることができる理由は、次のように考えられる。すなわち、変形例では、隣接する2つの画素11aの間が磁性層11によって連結されている。そのため、隣接する2つの画素11aにおける磁化の方向が異なる場合でも、磁性層11のうち2つの画素11aの間の部分は、2つの画素11aにおける2つの磁化の方向の中間的な方向に磁化され得る。これにより、画素11aにおける磁化の方向の変化が容易になると考えられる。
【0046】
以上のことから、変形例によれば、画素11aにおける磁化の方向の反転を容易に行わせることが可能になる。その結果、導体層13,15に印加する電圧を小さくしたり、バイアス磁界を低減したり、バイアス磁界を不要にしたりすることが可能になる。また、これにより、空間光変調器の動作を高速化することが可能になる。
【0047】
また、変形例における溝11bは、磁性層11を画素11a毎に完全に分割した場合に画素11a間に形成される溝に比べて浅くなる。従って、変形例によれば、溝11bを絶縁材料によって埋めて絶縁層12を形成することが容易になる。あるいは、変形例によれば、溝11bを絶縁材料によって埋めることなく磁性層11の上に導体層13を形成することも可能になる。また、変形例によれば、溝11bの形成も容易になる。
【0048】
変形例の空間光変調器におけるその他の構成、作用および効果は、図1ないし図4に示した空間光変調器1と同様である。
【0049】
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る空間光変調器について説明する。図8は本実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。本実施の形態に係る空間光変調器は、透過型の空間光変調器である。本実施の形態では、導体層13,15を共にインジウム酸化第一すず(Indium Tin Oxide:ITO)等の透明導電材料によって形成して、空間光変調器によって変調する光に対して導体層13,15が透光性を有するようにしている。また、本実施の形態では、隣接する導体層15の間に、透明な絶縁材料よりなる絶縁層17を配置し、導体層15および絶縁層17の上面を平坦化している。
【0050】
図8に示した例では、基板10の下面を光Lの入射面2Aとし、導体層15および絶縁層17の上面を光Lの出射面2Bとしている。しかし、これらは逆でもよい。
【0051】
本実施の形態に係る空間光変調器では、入射面2Aから素子部2に入射した光Lは、磁性層11の各画素11aを1回だけ通過してファラデー回転が与えられた後、出射面2Bから出射される。
【0052】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0053】
[第3の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る空間光変調器について説明する。図9は本実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。本実施の形態に係る空間光変調器は、第2の実施の形態と同様に透過型の空間光変調器である。
【0054】
図9に示したように、本実施の形態における素子部2は、磁性層11、絶縁層12、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15および絶縁層17を備えている。これらの配置および材料は、第2の実施の形態と同様である。
【0055】
本実施の形態における素子部2は、基板10を有しておらず、代りに、磁性層11および絶縁層12の下に配置された第3の導体層23、圧電層24、第4の導体層25および絶縁層27を備えている。この第3の導体層23、圧電層24、第4の導体層25および絶縁層27は、磁性層11および絶縁層12を挟んで、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15および絶縁層17と上下対称な位置に配置されている。また、第3の導体層23、圧電層24、第4の導体層25および絶縁層27の材料は、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15および絶縁層17の材料と同様である。
【0056】
第1の実施の形態と同様に、圧電層14は、磁性層11の各画素11aに対応した各部分毎に分割されている。この圧電層14の各部分の間には絶縁層16が配置されている。この圧電層14と同様に、圧電層24も、磁性層11の各画素11aに対応した各部分毎に分割されている。この圧電層24の各部分の間には絶縁層26が配置されている。
【0057】
本実施の形態における素子部2は、例えば、以下のようにして製造することができる。まず、基板の上に磁性層11および絶縁層12を形成し、この磁性層11および絶縁層12の上に、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15および絶縁層17を順に形成する。次に、基板を研磨して除去し、この研磨によって露出した磁性層11および絶縁層12の面の上に、第3の導体層23、圧電層24、第4の導体層25および絶縁層27を順に形成する。
【0058】
図9に示した例では、第4の導体層25および絶縁層27の下面を光Lの入射面2Aとし、第2の導体層15および絶縁層17の上面を光Lの出射面2Bとしている。しかし、これらは逆でもよい。
【0059】
本実施の形態では、第3の導体層23には第1の導体層13と同じ電圧が印加され、第4の導体層25には第2の導体層15と同じ電圧が印加される。そのため、本実施の形態では、1つの画素11aに対応する圧電層14および圧電層24の各部分は、同時に、厚み方向に圧縮または伸張する。その結果、本実施の形態では、磁性層11の画素11aには、上下から同時に、厚み方向に伸張する方向の応力または厚み方向に圧縮する方向の応力が与えられる。従って、本実施の形態によれば、第2の実施の形態に比べて、画素11aにより大きな応力を与えることが可能になり、その結果、画素11aの磁化の方向の反転をより円滑に行わせることが可能になる。
【0060】
また、本実施の形態では、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15、第3の導体層23、圧電層24および第4の導体層25は、いずれも誘電体層となる。そこで、これらの誘電体層の材料や厚みを適切に設計することにより、これらの誘電体層によって、磁性層11の画素11aの機能、すなわち、入射光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える機能を増強することが可能になる。この場合、具体的には、上記の複数の誘電体層は、磁性層11と協働して、複数の誘電体層および磁性層11を通過する光に対して、磁性層11のみを1回通過する光に与えられる偏光方向の回転角度よりも大きな回転角度で、偏光方向の回転を与える。特に、磁性層11および上記の複数の誘電体層は、1次元磁性フォトニック結晶を構成してもよい。1次元磁性フォトニック結晶は、本質的にファブリ・ペロ共振器として動作する磁気光学体である。1次元磁性フォトニック結晶では、それを構成する各層の材料や厚みを変えることによって、磁気光学効果が増大する光波長を設計することが可能である。1次元磁性フォトニック結晶では、理論的には、磁性ガーネット薄膜の光吸収を無視できる波長範囲で、100%に近い透過率と、単層の磁性ガーネット薄膜のファラデー回転角の100倍程度のファラデー回転角とを得ることができる。
【0061】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
【0062】
[第4の実施の形態]
次に、図10を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る空間光変調器について説明する。図10は本実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。本実施の形態に係る空間光変調器は、反射型の空間光変調器である。
【0063】
図10に示したように、本実施の形態における素子部2は、第3の実施の形態における第2の導体層15および絶縁層17の上面に反射層28を配置した構成になっている。反射層28は例えばAlによって形成されている。この素子部2では、第4の導体層25および絶縁層27の下面が光Lの入出射面2aとなっている。
【0064】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、入出射面2aから空間光変調器1の素子部2に入射した光Lは、磁性層11の各画素11aを通過した後、反射層28で反射されて、再度、各画素11aを通過して、入出射面2aから出射される。
【0065】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態または第3の実施の形態と同様である。
【0066】
[第5の実施の形態]
次に、図11を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る空間光変調器について説明する。図11は本実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。本実施の形態に係る空間光変調器は、反射型の空間光変調器である。
【0067】
図11に示したように、本実施の形態における素子部2は、基板10と、この基板10の上に形成された磁性層11とを備えている。本実施の形態における磁性層11は、平坦な下面および上面を有している。磁性層11は、複数の画素11aと、隣接する画素11aの間に配置された画素間領域11cとを含んでいる。画素11aの平面形状は例えば矩形である。磁性層11の下面と上面のいずれにおいても、画素11aと画素間領域11cとの間で段差はない。画素11aは、画素間領域11cに比べて、自発磁化が小さく、磁化の方向が容易に変化するようになっている。
【0068】
素子部2は、更に、磁性層11の上に形成されたスペース層40と、このスペース層40の上に形成された複数の画素規定層41と、スペース層40および画素規定層41を覆う絶縁層42とを備えている。スペース層40は、SiO等の絶縁材料によって形成されている。スペース層40の厚みは、例えば100nm以下である。各画素規定層41は、それぞれ、スペース層40を介して磁性層11の上面に対向していると共に、各画素11aに対応した位置に配置されている。また、画素規定層41の平面形状と画素11aの平面形状は、ほぼ等しくなっている。画素規定層41は、Pt、Si、Al等の酸化可能な金属材料によって形成されている。絶縁層42は、SiO等の絶縁材料によって形成されている。また、絶縁層42の上面は平坦になっている。
【0069】
素子部2は、更に、絶縁層42の上に形成され、X方向に延び、一定の周期で配列された複数の第1の導体層13と、圧電材料よりなり、複数の導体層13の上に形成された圧電層14と、この圧電層14の上に形成され、Y方向に延び、一定の周期で配列された複数の第2の導体層15とを備えている。第1の導体層13、圧電層14および第2の導体層15の形状、材料および機能は、第1の実施の形態と同様である。
【0070】
次に、図12を参照して、本実施の形態における素子部2の製造方法について説明する。この製造方法では、まず、基板10の上に、光磁気材料によって、磁性層11となる膜51を形成する。この膜51を構成する光磁気材料は、例えば、希土類鉄ガーネットやビスマス置換希土類鉄ガーネット等の磁性ガーネットである。膜51を構成する光磁気材料の具体例としては、(BiGdY)(FeGa)12がある。この膜51の形成方法としては、液相エピタキシャル成長法(LPE法)またはスパッタ法によって単結晶の磁性ガーネット薄膜を形成する方法がある。
【0071】
次に、膜51の上面に、スパッタ法等によってスペース層40を形成する。次に、スペース層40の上に画素規定層41を形成する。画素規定層41は、スペース層40を介して膜51の上面に対向すると共に、この後、膜51中に形成される各画素11aに対応した位置に配置される。
【0072】
画素規定層41は、例えばリフトオフ法によって形成される。リフトオフ法を用いる場合には、まず、フォトリソグラフィによって、スペース層40の上において、画素規定層41を配置すべき領域以外の領域に、パターン化されたフォトレジスト層を形成する。次に、スペース層40およびフォトレジスト層の上に、例えばスパッタ法によって、画素規定層41を構成する材料よりなる膜を形成する。最後に、フォトレジスト層をリフトオフする。
【0073】
次に、膜51および画素規定層41を熱処理する。この熱処理は、例えば、画素規定層41の上から、画素規定層41に向けて赤外線を照射することによって行われる。この熱処理により、画素規定層41が酸化し、それに伴い、膜51のうち、画素規定層41の下に位置する領域において酸素が減少する。これにより、この領域においてFe2+イオンが発生し、その結果、この領域は、他の領域に比べて、自発磁化が小さくなり、磁化の方向が容易に変化するようになる。このようにして、膜51において、画素規定層41の下に位置する領域は画素11aとなり、他の領域は画素間領域11cとなる。また、これにより、膜51は、画素11aと画素間領域11cとを含む磁性層11となる。図12には、磁性層11における水平方向の位置と自発磁化Msとの関係を概念的に示している。
【0074】
上述のように画素11aと画素間領域11cとを形成した後は、画素規定層41を除去してもよいが、本実施の形態では、この画素規定層41を残している。これによる効果は後で説明する。
【0075】
次に、スパッタ法等により、スペース層40および画素規定層41を覆うように絶縁層42を形成する。次に、絶縁層42の上に、第1の導体層13、圧電層14、第2の導体層15を順に形成して、素子部2が完成する。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態では、磁性層11に溝を形成することなく画素11aを規定している。磁性層11における偏光方向の回転の能力を高めるには、磁性層11を厚くするのがよい。しかし、磁性層11に溝を形成して画素11aを規定する場合には、磁性層11を厚くすると溝の形成が困難になるため、あまり磁性層11を厚くすることができない。これに対し、本実施の形態によれば、磁性層11に溝を形成する必要がないため、磁性層11を厚くして、磁性層11における偏光方向の回転の能力を高めることが可能になる。
【0077】
また、本実施の形態では、画素11aは画素間領域11cに比べて自発磁化が小さく、磁化の方向が容易に変化する。そのため、本実施の形態によれば、画素11aにおける磁化の方向の反転を容易に行わせることが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、導体層13,15に印加する電圧を小さくしたり、バイアス磁界を低減したり、バイアス磁界を不要にしたりすることが可能になる。また、これにより、空間光変調器の動作を高速化することが可能になる。
【0078】
次に、図13を参照して、素子部2内に画素規定層41を残すことによる効果について説明する。図13に示したように、スペース層40を介して磁性層11に画素規定層41が隣接していると、画素規定層41に起因して、磁性層11内において圧縮応力と引っ張り応力とが発生する。図13には、磁性層11内における主要な応力の方向を示している。図13において、内側に向いた2つの矢印は圧縮応力を表わし、外側に向いた2つの矢印は引っ張り応力を表わしている。また、図13には、磁性層11における水平方向の位置と応力の大きさkとの関係を示している。図13において、符号52で示した実線は圧縮応力の大きさを表わし、符号53で示した破線は引っ張り応力の大きさを表わしている。
【0079】
図13から分かるように、磁性層11内において、画素規定層41のエッジの近傍の領域では、応力が大きく変化する。その結果、この領域では、磁壁エネルギも大きく変化する。そのため、この領域では、磁壁の移動が抑止される。従って、画素規定層41を残しておくことで、磁性層11内において、画素11aとなる領域を明確に規定することが可能になる。
【0080】
図11に示したように、本実施の形態では、素子部2において、基板10の下面が光Lの入出射面2aになっている。この入出射面2aから素子部2に入射した光Lは、基板10、磁性層11の各画素11a、スペース層40を順に通過した後、画素規定層41で反射されて、再度、スペース層40、画素11a、基板10を順に通過して、入出射面2aから出射される。
【0081】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0082】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第1の実施の形態における変形例は、第2ないし第4の実施の形態にも適用することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の空間光変調器では、電流ではなく電圧によって、磁性層の画素における磁化の方向を反転させる。従って、本発明によれば、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器の消費電力および発熱を低減することができるという効果を奏する。また、本発明では、圧電層は各画素に対応した各部分毎に分割されている。従って、本発明によれば、圧電層を各部分毎に分割しない場合に比べて、空間光変調器の動作に必要な電圧を小さくすることが可能になるという効果を奏する。
【0085】
また、本発明の空間光変調器では、磁性層は平坦な2つの面を有している。従って、本発明によれば、磁性層を厚くして、磁性層における偏光方向の回転の能力を高めることが可能になるという効果を奏する。
【0086】
また、本発明の空間光変調器は、それぞれ磁性層の一方の面に対向すると共に各画素に対応した位置に配置された複数の画素規定層を備えている。従って、本発明によれば、磁性層内において画素となる領域を明確に規定することが可能になるという効果を奏する。
【0087】
本発明の空間光変調器の製造方法によれば、磁気光学効果を利用して入射光を空間的に変調する空間光変調器であって、消費電力および発熱を低減できると共に、動作に必要な電圧を小さくすることができる空間光変調器を実現することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、平坦な2つの面を有する磁性層を形成することができる。従って、本発明によれば、磁性層を厚くして、磁性層における偏光方向の回転の能力を高めることが可能になるという効果を奏する。
【0088】
また、本発明の空間光変調器の製造方法では、画素規定層を残して空間光変調器を製造する。従って、本発明によれば、磁性層内において画素となる領域を明確に規定することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器の使用方法を概念的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器とその周辺回路を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器の作用を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る空間光変調器の作用を説明するための断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における変形例の空間光変調器の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る空間光変調器の一部を示す断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態における素子部の製造方法を説明するための説明図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態において素子部内に画素規定層を残すことによる効果について説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…空間光変調器、2…素子部、3…バイアス磁界印加用コイル、10…基板、11…磁性層、11a…画素、11b…溝、12…絶縁層、13…第1の導体層、14…圧電層、15…第2の導体層、16…絶縁層。

Claims (4)

  1. 光磁気材料よりなり、それぞれ独立に磁化の方向が設定され、磁気光学効果により、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数の画素を含む磁性層と、
    圧電材料よりなり、自らがひずむことによって前記磁性層の各画素に応力を与えるための圧電層と、
    前記圧電層を挟み且つ前記各画素に対応した位置で交差するように配置され、所定の電圧が印加されることによって、前記圧電層における前記各画素に対応した部分に対して、電気ひずみ効果によるひずみを発生させるための電界を与える複数の第1の導体層および複数の第2の導体層とを備え、
    前記圧電層は、前記各画素に対応した各部分毎に分割され、
    前記磁性層の各画素は、前記圧電層の各部分によって与えられた応力の方向に応じて磁化の方向が設定され、
    前記磁性層は、平坦な2つの面を有し、
    空間光変調器は、更に、それぞれ前記磁性層の一方の面に対向すると共に前記各画素に対応した位置に配置され、前記磁性層内に応力を発生させることによって各画素の領域を規定する複数の画素規定層を備えたことを特徴とする空間光変調器。
  2. 更に、光の入出射面を備え、
    前記入出射面に入射した光が、前記磁性層を通過し、前記画素規定層で反射され、再度前記磁性層を通過して、前記入出射面から出射されるように、前記磁性層、画素規定層、第1の導体層および圧電層は、前記入出射面側から磁性層、画素規定層、第1の導体層、圧電層の順に配置されていることを特徴とする請求項記載の空間光変調器。
  3. 更に、前記各画素における磁化の方向を変化させるために用いられるバイアス磁界を前記磁性層に印加するバイアス磁界印加手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の空間光変調器。
  4. 光磁気材料よりなり、それぞれ独立に磁化の方向が設定され、磁気光学効果により、入射する光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える複数の画素を含む磁性層と、圧電材料よりなり、自らがひずむことによって前記磁性層の各画素に応力を与えるための圧電層と、前記圧電層を挟み且つ前記各画素に対応した位置で交差するように配置され、所定の電圧が印加されることによって、前記圧電層における前記各画素に対応した部分に対して、電気ひずみ効果によるひずみを発生させるための電界を与える複数の第1の導体層および複数の第2の導体層とを備え、前記圧電層は、前記各画素に対応した各部分毎に分割され、前記磁性層の各画素は、前記圧電層の各部分によって与えられた応力の方向に応じて磁化の方向が設定される空間光変調器を製造する方法であって、
    前記磁性層、圧電層、第1の導体層および第2の導体層を形成する各工程を備え、
    前記磁性層を形成する工程は、
    平坦な2つの面を有し、前記磁性層となる膜を形成する工程と、
    金属材料によって、前記膜の一方の面に対向すると共に各画素に対応した位置に配置されるように、複数の画素規定層を形成する工程と、
    前記膜および画素規定層を熱処理することによって、前記膜中に前記画素を形成する工程とを含み、
    前記画素規定層を残して空間光変調器を製造することを特徴とする空間光変調器の製造方法。
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