JP3982041B2 - エネルギー線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

エネルギー線硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規にして有用なるエネルギー線硬化性組成物に関し、さらに詳細には、液晶の表示装置あるいは撮影素子に用いられるカラーフィルターの保護膜に適するエネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子や固体撮影素子はガラスやシリコンの基板上に駆動用の電気配線、スイッチング素子、色分離のためのカラーフィルター、光電変換素子などを積層して形成される。このような素子においては、電気的に絶縁化したり、平坦化したり、また外的要因による素子の物理的な破壊を防止する目的で保護膜と呼ばれる有機塗膜層が形成される。
【0003】
この保護膜に対しては、透明性、接着性、平滑性、強靭性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐薬品性および該保護膜を均一に形成させるため、例えばスピンコータによる回転塗布法を用いた場合の塗装適性等の性能が要求されている。さらに該保護膜上に透明電極としてITO(二酸化珪素成、酸化インジウム)の薄膜を高温、高真空下でスパッタリング等により形成させることもあり、この高温、高真空下に耐え得る、いわゆるITO形成時において優れた耐スパッタ性を有する保護膜が要望されている。
【0004】
従来、該保護膜形成材料の一つとして(メタ)アクリル系樹脂(例えば特開昭60−216307号公報)、エポキシ系樹脂(例えば特開平4−97102号公報)、ポリイミド系樹脂(例えば特開平1−229203号公報)などの熱硬化性樹脂が検討されてきた。これらの樹脂のうち(メタ)アクリル系樹脂は、塗布性、接着性、耐スパッタ性、耐熱性などの物性のバランスをとることに若干問題点を有している。これらの欠点を改良するために多くの提案がなされてきた。
【0005】
例えば、前記特開昭60−216307号公報および特開平4−97102号公報ではエポキシ基含有ポリマーに多価カルボン酸無水物を混合し、加熱により架橋、硬化膜を形成する方法が開示されているが、エポキシ基含有ポリマーと多価カルボン酸無水物との相溶性や塗布性が劣っていた。また、特公平3−8652号公報では、エポキシ基含有ポリマーに多価カルボン酸無水物および/または多価カルボン酸と官能性シランカップリング剤を混合し同様に加熱、架橋せしめて硬化膜を形成させる方法も開示されているが、配合後の貯蔵安定性に難があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ系樹脂が本来有している優れた特性に加え、貯蔵安定性と塗装作業性に優れ、しかも光沢性、基板との接着性、高温、高真空下でのITO膜形成時において優れた耐スパッタ性を有するとともに、特に平坦性および表面平滑性にも優れる硬化塗膜が容易に得られるような該保護膜形成用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、特定のエポキシ基を有する化合物を重合成分として用いてなる重合体を含有し、さらにエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物を含有するエネルギー線硬化性樹脂樹脂組成物を用いることにより、前記保護膜の要求性能を満たすことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)と共に下記一般式
【化1】
Figure 0003982041
(式中、R 1 は水素又は低級アルキル基であり、R 2 は低級アルキル基であり、nは1〜5の整数である。)で表される化合物に基づく単量体(II)を、重合成分として共重合して得られる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)と、
多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)と、光重合開始剤(D)と、カップリング剤(E)とを含んでなるエネルギー線硬化性樹脂組成物であり、
【0009】
その重合体(A)が1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)を、重合成分中に占める含量が30重量%以上となる範囲で用いて得られる重合体であるエネルギー線硬化性樹脂組成物であり、
【0010】
また、多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)を、重合体(A)100重量部当たり1〜100重量部含んでなるエネルギー線硬化性樹脂組成物であり、
【0011】
さらに、カップリング剤(E)を、重合体(A)100重量部当たり0.1〜30重量部含んでなるエネルギー線硬化性樹脂組成物である。
【0015】
前記一般式中のRが、メチル基であるエネルギー線硬化性樹脂組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に用いられる1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)として、代表的なものを例記するに止めれば、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独でも2つ以上の化合物の混合でも使用できる。
【0017】
さらに、分子中に2個以上の脂環エポキシ基を有する化合物と、分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個の脂環エポキシ基と反応性を有する基とを合わせ持つ化合物とを反応せしめて得られる、分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する化合物も用いることができる。
【0018】
分子中に2個以上の脂環エポキシ基を有する化合物として特に代表的なものを例記するに止めれば、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル−m−ジオキサン)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、4−ビニルシシクロヘキセンジオキシド、1−(1’−メチル−1,2−エポキシエチル)−3,4−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンなどのシクロヘキセンオキサイド基を有する脂環族エポキシ化合物;
【0019】
ジ(7,8−エポキシトリシクロ[4.3.12,5.0]デカ−3−イル)エーテル、エチレングリコールジ(7,8−エポキシトリシクロ[4,3,12,5.0]デカ−3−イル)エーテル、(7,8−エポキシトリシクロ[4,3,12,5.0]デカ−3−イル)−2’,3’−エポキシプロピルエーテルなどのトリシクロデセンオキサイド基を有する脂環族エポキシ化合物などが挙げられる。
【0020】
また、分子中に1個の重合性不飽和二重合結合と1個の脂環エポキシ基と反応性を有する基とを合わせ持つ化合物として代表的なものを例記するに止めれば、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンオキサイド変性こはく酸アクリレート、エチレンオキサイド変性こはく酸メタクリレートなどのカルボキシル基含有化合物、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチルアクリレート、エピクロルヒドリン変性ブチルメタクリレート、ポリプロピレングリコール変性アクリレート、ポリプロピレングリコール変性メタクリレート、ポリエチレングリコール変性アクリレート、ポリエチレングリコール変性メタクリレートなどの水酸基含有化合物などが挙げられる。
【0021】
また、重合体(A)の重合に用いる重合成分中にしめる単量体(I)の含量は、30重量%以上であることが必要で、好ましくは50重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上である。
【0022】
重合成分中にしめる該単量体(I)の含量が30重量%未満であると、本発明による樹脂組成物の硬化性が劣り、耐熱性が不十分となり、その結果として耐スパッタ性が低下し、所定の目的を達成することができない。また重合成分中にしめる該単量体(I)の含量が70重量%以上であるエネルギー線硬化樹脂組成物は、硬化性に優れ耐スパッタ性が向上する。
【0023】
本発明で用いる重合体(A)は、上記単量体(I)と、上記単量体(I)と共重合可能な他の重合性単量体とを、重合成分として共重合することにより得ることができる。他の重合性単量体として代表的なものを例記するに止めれば、
(1)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ドコシルなどの炭素数1〜22のアルキル基を持つアクリル酸エステル、または上記と同様のアルキル基を有するメタクリル酸エステル
(2)アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボロニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂環式のアルキル基を有するアクリル酸エステル、または上記と同様の脂環式のアルキル基を有するメタクリル酸エステル等や、テトラヒドロフルフリルアルコールとε−カプロラクトン付加物のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル等
【0024】
(3)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリセロールなどのヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステルまたは上記と同様のヒドロキシアルキル基を有するメタクリル酸エステルやラクトン変性アクリル酸ヒドロキシエチルまたはメタクリル酸ヒドロキシエチル
(4)アクリル酸ベンゾイルオキシエチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の芳香環を有するアクリル酸エステル、または上記と同様の芳香環を有するメタクリル酸エステル等
【0025】
(5)アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール基を有するアクリル酸エステルまたは上記と同様のポリアレキレングリコール基を有するメタクリル酸エステル
(6)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシペンチルなどのグリシジル基を有するアクリル酸エステルまたは上記と同様のグリシジル基を有するメタクリル酸エステル
【0026】
(7)フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル
(8)スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体
(9)ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物
(10)塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン
(11)メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン
(12)酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル
(13)メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル
(14)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル
(15)アクリルアミドやそのアルキド置換アミド
(16)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミドなどが挙げられる。
【0027】
これら単量体(I)と共重合可能な他の重合性単量体は、それぞれ単独でも2つ以上の単量体を併用して使用することができるが、この中でも、下記一般式で表される単量体(II)を、重合成分として単量体(I)と共に用いることにより、種々の基体への接着性や本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。
【0028】
【化3】
Figure 0003982041
【0029】
(式中、Rは水素又は低級アルキル基であり、Rは低級アルキル基であり、nは1〜5の整数である。)
【0030】
単量体(II)として代表的なものを例記するに止めれば、Rの低級アルキル基がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル等で、Rが水素またはメチル基であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル等の化合物が挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独でも2つ以上の化合物の混合でも使用できるが、Rがメチル基であるアクリル酸メチルグリシジルまたはメタクリル酸メチルグリシジルが好ましい。
【0031】
上記の単量体(I)と共重合可能な重合性単量体および/または単量体(II)の重合成分中に占める含量は、70重量%を越えない範囲であることが望ましい。これらの含量が70重量を越えると、本発明による樹脂組成物の硬化性が低下し、さらには基体に対する接着性が低下するとともに耐スパッタ性も低下する。
【0032】
上記の単量体(I)を重合成分として用いた重合体(A)の共重合形態は特に制限されず、付加重合によるランダム共重合体、ブロック共重合体等のいずれでもよく、また共重合方法も溶液重合法、乳化重合法等のいずれでもよい。
【0033】
上記の方法にて得られる重合体(A)の分子量は、本発明エネルギー線硬化性樹脂組成物を基体に均一な塗膜として塗布することができる限り特に限定されないが、通常ポリスチレン換算重量平均分子量が3000〜30000であり、形成する塗膜の厚さ、塗布方法等の塗膜形成の目的や条件に応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記重合体(A)とともにエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)、多価カルボン酸およびその酸無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)を含有する。
【0035】
本発明に用いられるエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)としては、前記した重合体(A)の重合成分として用いる単量体(I)、(II)と共重合可能な重合性単量体、さらには単官能または多官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。添加するモノマー種は特に制限はないが、硬化膜に耐熱性、耐薬品性を付与するには多官能モノマーが好適である。
【0036】
代表的なものを例記すれば、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物等、ウレタン(メタ)アクリレート、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのポリエトキシジオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオール類と有機ポリイソシアネート類(例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート類(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等)の反応物等、ポリエステル(メタ)アクリレート、例えば多塩基酸化合物又はその無水物(例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びこれらの無水物等)とポリオール類(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)との反応物であるポリエステルポリオール類と(メタ)アクリル酸との反応物等である。
【0037】
これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0038】
これらは、単独または混合して使用してもよく、その使用割合としては、エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂成分中1〜40重量%の範囲で使用するのが好ましく、特に5〜35重量%で使用するのが好ましい。40重量%を越えると、得られる硬化膜の物性が低下し、また、1重量%未満では、塗膜の表面平滑性の向上など所定の目的を達成することができないため、好ましくない。
【0039】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記(C)成分として多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有する。
【0040】
本発明に用いられる多価カルボン酸の代表的なものを例記すれば、
(1)コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族多価カルボン酸
(2)ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0041】
また、多価カルボン酸無水物の代表的なものを例記すれば、
(1)無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸等の脂肪酸ジカルボン酸無水物
(2)1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸二無水物
(3)無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物
(4)エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメテイト等のエステル基含有酸無水物等を挙げることができる。
【0042】
また、このカルボン酸無水物としては、市販の無色の酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。具体例としては、アデカハードナーEH−700[商品名(以下同じ)旭電化工業(株)製]、リカシッド−HH、同MH−700[新日本理化(株)製]、エピキニ126、同YH−306、同DX−126[油化シェルエポキシ(株)製]等を挙げることができる。
【0043】
さらに、多価カルボン酸およびその酸無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物として、分子中に2個以上のカルボキシル基またはその無水物を有する樹脂でもよく、それ自体が公知であるようなものも使用できる。それらのうちでも特に代表的なものを例示すれば、例えばカルボキシル基を有する、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ラクトン変性ポリエステル樹脂、ポリエステルアミド樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ポリエーテル樹脂、ポリチオエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ変性樹脂、シリコーン樹脂、またはフッ素樹脂などを挙げることができる。
【0044】
これらのなかでも、芳香族多価カルボン酸無水物が相溶性や作業性の点から特に好ましい。また、上記に示した多価カルボン酸および多価カルボン酸無水物は、1種単独でも2種以上の組み合わせでも用いることができる。
【0045】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物における化合物(C)成分の配合量は、(A)成分である重合体100重量部当たり1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。(C)成分の配合量が1重量部未満であると、本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化性が不十分となって強靭な塗膜を形成することができず、また、100重量部を越えると塗膜の基体への接着性を低下する上に、回転塗布法により均一で平滑な塗膜を形成することが困難となる。
【0046】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記(D)成分として光開始剤を含有する。本発明に用いられる光開始剤として代表的なものを例記すれば、
【0047】
(1)ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類
(2)キサントン、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸などのキサントン、チオキサントン類
(3)2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、p−メトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン、プロピオフェノン類
(4)イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルなどのアシロインエーテル類、
(5)ベンジル、ジアセチルなどのα−ジケトン類
(6)テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類
(7)4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−メチルシクロヘキサノン、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートなどが挙げられる。
【0048】
また光開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)−184、同261、同369、同500、同651、同907(チバガイギー社製)、ダロキュア(Darocure)−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(メルクジャパン社製)、カヤキュア(KAYACURE)−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA〔日本化薬(株)製〕、バイキュア(VICURE)−10、同55(STAUFFER Co.LTD製)、トリゴナール(TRIGONAL)P1(AKZO Co.LTD製)、サンドリー(SANDORY)1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、クオンタキュア(QUANTACURE)−PDO、同ITX、同EPD(WARD BLEKINSOP Co.LTD製)などの市販品を用いることもできる。
【0049】
これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、好ましくは、組成物の(B)成分に対して0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%含まれるように使用される。0.1重量%未満では感度が低下し、20重量%を越えると結晶の析出、塗膜物性の劣化等を引き起こすため好ましくない。
【0050】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、カップリング剤(E)を含有するものである。ここで、カップリング剤とは、無機材料と有機材料において、化学的に両者を結び付ける、あるいは化学的反応を伴って親和性を改善し、複合系材料の機能を高める化合物と定義するが、代表的なカップリング剤としては、シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウム系化合物が挙げられる。それらのうちでも代表的なものを例記するに止めれば、
【0051】
シランカップリング剤としては
(1)γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
(2)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
(3)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
(4)γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
(5)ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
(6)トリメトキシシリル安息香酸
(7)γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等やこれらシランカップリング剤等からなるオリゴマーやポリマー類を挙げることができる。
【0052】
チタンカップリング剤としては、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキサンジオラト)チタン、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げることができる。
【0053】
また、アルミニウムカップリング剤としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート等を挙げることができる。
【0054】
中でも、種々の基体に対して特に優れた平滑性、接着性、耐水性および耐溶剤性を与える点で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。これらのカップリング剤は、1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0055】
本発明の樹脂組成物における、(E)成分としてのシランカップリング剤の配合量は、(A)成分である重合体100重量部当たり0.1〜30重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜20重量部である。シランカップリング剤である(E)成分の配合量が0.1重量部未満では、形成される塗膜の平滑性ならび基体との接着性、耐水性および耐溶剤性が不十分であり、また30重量部を越えると接着性の向上はもはや望めないばかりでなく、形成される塗膜の硬化性が低下するため好ましくない。
【0056】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合体(A)の重合成分として単量体(I)を用いることにより、アクリル酸グリシジルエステルやメタクリル酸グリシジルエステル系単量体を用いた重合体に比して、得られた硬化塗膜の耐熱性に優れ、耐スパッタ性が向上する。また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)を重合体(A)の重合成分として用いることにより、塗布性、平坦性が向上し、さらには単量体(II)を重合体(A)の重合成分として用いることにより、各種基体に対する付着性や硬化剤である多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)、およびシランカップリング剤(E)を配合した後の貯蔵安定性に優れることに特徴を有している。
【0057】
また、本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、上述した(A)〜(E)を必須成分とするものであるが、必要に応じて透明性を損なわない程度に酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤やレベリング剤の各種の添加剤を添加することができる。なお、塗膜の目的によって透明性が求められない場合には、顔料、塗料、充填剤等を配合することもできる。
【0058】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記諸成分を均一に混合することにより得られる。これらの成分を混合する方法としては、通常、これらの成分を適当な溶媒に溶解、混合する溶剤混合法が好ましい。溶剤混合に用いる溶媒としては、上記各成分を溶解し、かつこれらの成分と反応しないものであれば、特に限定されるものではなく、種々の溶媒を使用することができ、代表的なものを例記するに止めれば、
【0059】
(1)アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、ホロン等のケトン系溶媒
(2)エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒
(3)ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−nーブチル、酢酸−n−アミル等のエステル系溶媒
(4)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルエステル類
(5)エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテートなどのエチレングリコールエーテルエステル類
(6)エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエチレングリコールエーテル類等を挙げることができる。
【0060】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物を溶媒混合により調製する場合の混合順序は特に限定するものではなく、例えば全成分を同時に溶媒に溶解して本発明組成物の溶液を調整してもよいし、必要に応じて各成分を別々に同一または異種の溶媒に溶解して2つ以上の溶液とし、これらの溶液を混合して本発明エネルギー線硬化性組成物の溶液を調整してもよい。
【0061】
例えば(C)成分の溶液と、残りの他の成分の溶液の2種とを調製しておき、使用直前に所望の比率で混合することによって、各成分の長期にわたる貯蔵安定性を向上させたり、2種の溶液の混合比率をかえるだけで、目的に応じ簡単に塗膜性能を変化させることが可能になる。
【0062】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物溶液の濃度は、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜選定することができるが、一般的には5〜50重量%程度を使用する。
【0063】
上記のようにして調製した本発明の樹脂組成物の溶液を基体表面に塗布し、プリベーク、エネルギー線照射、更に加熱により硬化させることにより所望の塗膜を得ることができる。
【0064】
本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物の溶液を基体表面に塗布する方法は特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法など各種の方法を用いることができ、本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物が回転塗布法にも適している点は本発明の特徴の一つである。
【0065】
本発明エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化条件は、樹脂組成物の各成分の種類、配合割合等によって適宜選択される。例えば、30〜150℃でプリベークを行うことにより溶剤を除去し、次に例えば紫外線を照射し、さらに通常80〜250℃、好ましくは180〜250℃の温度で15分〜10時間程度加熱を行う。
【0066】
このようにして本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、かつ該エネルギー線硬化性組成物から得られる塗膜は、紫外から可視の領域にわたる広い範囲の波長域において高い光線透過率を有して透明性に優れているほか、ガラス、金属、プラスチック等の種々の材料からなる基体に対して優れた接着性を示す。また、この塗膜は平滑、強靭で、耐光性および耐熱性に優れており、特に高温・高真空下における耐スパッタ性に優れ、さらに長期にわたる使用によっても変色などの変質を起こすこともなく、耐水性、耐溶剤性および耐汚染性にも優れたものである。
【0067】
これらの特徴により、本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物により形成される塗膜は、各種物品の基体表面の保護塗膜として有用であるのみならず、色分離フィルターの防染保護層、表面保護層等として極めて好適であり、色の鮮明度や明るさに優れ、信頼性の高い色分離フィルターを得ることができる。
【0068】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、以下において、部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。
【0069】
(I)重合体(A)の合成
合成例−1
窒素雰囲気下、2000mlのフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以後PGMACと略記する)の500.0部を仕込み、撹拌しながら115℃まで昇温したのち、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル(以後ECHMAと略記する)500.0部とパーブチルO[日本油脂(株)製 有機過酸化物 t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート]の25.0部との混合物を1時間かけて滴下した。滴下後115℃にて1時間保持した後、パーブチルZ[日本油脂(株)製 有機過酸化物 t−ブチルパーオキシベンゾエート]の0.3部を加え、さらに同温度で6時間反応させた。得られた樹脂溶液の不揮発分(150℃、1時間乾燥後の残留樹脂重量%)は49.5%、ガードナー粘度はL−Mでポリスチレン換算の数平均分子量は4800であった。以後この重合体をA−1と略記する。
【0070】
合成例−2
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、ECHMAの400.0部とメタクリル酸メチルグリシジル(以後M−GMAと略記する)の100.0部を用い、他は合成例−1と同様にして、不揮発分が49.7%、粘度がLで数平均分子量が4600の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−2と略記する。
【0071】
合成例−3
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、ECHMAの250.0部とM−GMAの250.0部を用い、他は合成例−1と同様にして、不揮発分が49.7%、粘度がJで数平均分子量が4500の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−3と略記する。
【0072】
合成例−4
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、ECHMAの250.0部とM−GMAの250.0部を用い、さらにパーブチルOの25.0部を10.0部に変更した他は合成例−1と同様にして、不揮発分が50.5%、粘度がV−Wで数平均分子量が12000の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−4と略記する。
【0073】
合成例−5
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、ECHMAの100.0部とM−GMAの400.0部を用い、他は合成例−1と同様にして、不揮発分が49.7%、粘度がK−Lで数平均分子量が4600の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−5と略記する。
【0074】
合成例−6
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、メタクリル酸グリシジルの500.0部を用い、他は合成例−1と同様にして、不揮発分が49.9%、粘度がL−Mで数平均分子量が4400の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−6と略記する。
【0075】
合成例−7
合成例−1においてECHMAの500.0部にかえて、メタクリル酸グリシジルの250.0部とM−GMAの250.0部を用い、他は合成例−1と同様にして、不揮発分が49.8%、粘度がH−Iで数平均分子量が4600の樹脂溶液を得た。以後この重合体をA−7と略記する。
【0076】
実施例−1
合成例−1で得られた重合体A−1の64.0部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下DPHAと略記する)の3.4部をガラス容器に秤取り、PGMACの55.1部とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの2.1部と1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの0.1部を室温にて混合撹拌し、次いで得られた溶液にジメチルジグリコール(以下DMDGと略記する)にて20%に溶解させたトリメリット酸無水物溶液の16.9部を加え、均一になるまで混合させた。このものを、孔径0.2μmのフィルターでろ過し、本発明の組成物溶液とした。得られた溶液をスピンコーターを用いてガラス板上に回転数1000rpmで回転塗布した。塗布後、ガラス板を100℃で2分間予備乾燥して溶剤を除去し、高圧水銀灯を用いて500mJ/cm露光した。その後230℃の恒温槽中にて30分間熱処理し塗膜を硬化させた。評価結果を表−3に示した。
【0077】
実施例−2〜11および比較例1〜3
表−1及び表−2に示す要領にて配合する以外は、実施例−1と同様にして評価を行った。評価結果を表−3に示した。
【0078】
【表1】
Figure 0003982041
【0079】
【表2】
Figure 0003982041
【0080】
【表3】
Figure 0003982041
【0081】
[塗膜性能]
以上のようにして作成した塗膜について、以下の試験を行った。
光線透過率:上記の方法で塗布し硬化させたガラス板の吸収スペクトルを、用いたガラス板そのものを基準に350nm〜800nmの領域において測定した。光透過率が95%以上のものを○、0.95%未満のものを×とした。
【0082】
耐スパッタ性:上記塗布ガラス板上にITOスパッタ装置[ULVAC SH−450〔日本真空技術(株)製〕]を用い、ターゲットに二酸化珪素/酸化インジュウムが5/95(wt%)を使用して、温度230℃、真空度10ー5〜10ー6torr.で30分間スパッタを行い、シワ、クラック等の外観を観察した。
【0083】
接着性試験:このガラス板に塗布し硬化させた塗膜の接着性を調べるためにセロハンテープによる剥離試験を熱硬化後、熱処理(250℃×60分)後、沸騰水処理後、水酸化ナトリウム処理(40℃、2重量%水酸化ナトリウム水溶液に30分浸漬)後、塩酸(40℃、10重量%塩酸水溶液に30分浸漬)処理後、N−メチル−2−ピロリドン処理(23℃で10分浸漬)後に行った。
【0084】
平坦性:最大段差高1.0μmのカラーフィルターを有する基板上に、本発明の組成物溶液を塗布成膜し、成膜後の最大段差高を評価した。
【0085】
保存安定性:上記で配合した樹脂溶液を40℃で1ケ月保存した前後の粘度の変化を評価した。
【0086】
以上の結果から、本発明の樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、かつ該樹脂組成物から得られる硬化塗膜は透明性、耐スパッタ性、接着性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性および耐溶剤性に極めて優れていることが明らかである。
【0087】
実施例および比較例から明らかなように、本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物は1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)と、該単量体(I)と共重合可能な他の重合性単量体とを、重合成分として共重合して得られる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)と、多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)と、光重合開始剤(D)と、カップリング剤(E)とを含んでなるエネルギー線硬化性樹脂組成物のため、硬化塗膜は優れた透明性、接着性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性および耐溶剤性を示すとともに、耐スパッタ性が優れ、また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)を含有し、エネルギー線照射によって塗膜を予備硬化させることにより、塗膜の塗布性、表面平滑性に優れたエネルギー線硬化性樹脂組成物が得られことが知れる。
【0088】
【発明の効果】
本発明は、耐スパッタ性に優れ、かつ優れた耐熱性、透明性、接着性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性を有し、特に塗装作業性や表面平滑性にも優れた硬化塗膜が容易に作成可能な、貯蔵安定性にも優れたエネルギー線硬化型樹脂組成物を提供できる。

Claims (5)

  1. 1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)と共に下記一般式
    Figure 0003982041
    (式中、R 1 は水素又は低級アルキル基であり、R 2 は低級アルキル基であり、nは1〜5の整数である。)で表される化合物に基づく単量体(II)を、重合成分として共重合して得られる重合体(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)と、
    多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)と、光重合開始剤(D)と、カップリング剤(E)とを含んでなるエネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. 重合体(A)が1分子中に1個の重合性不飽和二重結合と1個以上の脂環式エポキシ基とを有する単量体(I)を、重合成分中に占める含量が30重量%以上となる範囲で用いて得られる重合体である請求項1記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 多価カルボン酸およびその無水物からなる群から選ばれる1種以上の化合物(C)が、重合体(A)100重量部当たり1〜100重量部含んでなる請求項1または2記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. カップリング剤(E)を、重合体(A)100重量部当たり0.1〜30重量部含んでなる請求項1〜3のいずれか1項記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記一般式中のRが、メチル基である請求項1記載のエネルギー線硬化性樹脂組成物。
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