JP3980816B2 - 火災検知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視区域内の火災を検知する火災検知器に関し、特に、検知センサを内部に備えた透光性窓の汚損状態を試験により監視する機能を備えた火災検知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定の監視対象物、例えばトンネル内の壁面や天井にはトンネル内の火災を検出する火災検知器が設置され、トンネル長手方向の両側区域の火災を検出している。このような火災検知器としては、炎からの光や放射熱を受ける検知センサを用いて火災を検出し、防災受信盤へ火災信号を送出する。
【0003】
火災の検出の方法としては、特定の波長帯の受光エネルギーが閾値以上かを検出する方法や、複数の波長帯域の受光エネルギーを検出して相対比較で火災判断するものなどがある。火災検知器は両側の監視区域の火災を検出するために、左右別々の検知センサで火災を検出している。
【0004】
このような火災検知器は、車が頻繁に通るトンネル内に設置されるものであるから、検知センサが汚れないように筐体内に納め、検知センサの前面に光を入射させる透光性窓を設けている。しかし、トンネル内では火災検知器の筐体にゴミが付着して汚損するため、透光性窓が汚れて光の透過率が徐々に減少し火災検出ができなくなる。
【0005】
そこで、火災検知器には受光窓の外部に試験光源を設け、定期的に発光させ筐体内部の検知センサで受光して、透光性窓の汚損状態を検出して、防災受信盤に汚損信号を送信する。また、火災検知器は試験時の受光出力のレベルに応じて、感度を調整して透光性窓の汚れ具合に応じた感度補償を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の火災検知器にあっては、試験時において偶然に試験を行っている火災検知器の前を車が通ったり、外部から何らかの光が入射するなどした場合には、検知センサの受光出力が正しいものとならず、この状態では正しい感度補償が行われないし、または汚損などの異常を検出できず、誤報や失報につながることがある。
【0007】
本発明は、火災検知器の試験において、外乱光に影響されることなく正確な試験を行って誤報や失報を防ぐようにした火災検知器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
【0009】
本発明の火災検知器は、所定の監視エリアを視野とする透光性窓と、透光性窓内に配置され、光エネルギーを電気信号に変換して受光検知信号として出力する検知センサと、検知センサから出力される受光検知信号に基づいて火災の判定を行う火災判定部と、透光性窓の外側近傍に設けられた試験光源と、試験時に、試験光源を所定時間の間所定周波数で点滅又は明滅して明るさを変化させて試験光を照射させ、透光性窓を介して検知センサで受光した試験光の受光検知信号により、透光性窓の汚損状態を検出して外部に出力すると共に、受光検知信号を汚損補償するための回路条件を調整する試験処理部とを備える。
【0010】
このような火災検知器につき本発明は、試験光の受光検知信号から外乱光の影響を検出して処理する外乱光処理部を設けたことを特徴とする。外乱光処理部は、試験時に得られる受光検知信号の上下のピーク値の各々を抽出して上下の平均ピーク値を算出し、各平均ピーク値に近い上下のピーク値の一部を抽出することで外乱光の影響を受けた上下のピーク値を除去する。外乱光処理部は、外乱光の影響を受けた信号を除去した残りの上下のピーク値から受光検知信号の振幅値を算出し、透光性窓に汚れのない状態で検出された受光検知信号の振幅初期値により、透光性窓の汚損状態を示す減光率を算出する。
【0011】
このように本発明は、試験時に得られた受光検知信号が車両のヘッドライト等による外乱光の影響を受けていたとしても、外乱光の影響を受けた異常な信号の部分が除去されることとなり、外乱光を受けても、これに影響されることなく正確な試験結果を得ることができ、汚損警報の誤報や汚損補償が適切に行われないことによる失報を防ぐことができる。
【0013】
また外乱光処理部は、試験時に得られる受光検知信号の上下のピーク値の各々を抽出して各々の平均ピーク値を算出して、この算出された上下の平均ピーク値から受光検知信号の振幅検出値を算出し、この振幅検出値が、透光性窓に汚れのない状態で検出された受光検知信号の振幅初期値に所定の係数を乗じた閾値を超えた場合に、外乱光の影響ありと判定して試験処理を無効とする。
【0016】
また本発明の火災検知器は、検知センサとして検出波長帯域に異なる少なくとも2つの検知センサを設けた所謂2波長方式の場合、試験光源からの試験光を検知センサの一方のみに入射するように配置し、外乱光処理部は、試験時に試験光が入射しない他の検知センサから受光検知信号が得られた場合、外乱光の影響ありと判定して試験無効と判定するか又は外乱光の影響を受けた信号部分の除去を行うようにしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の火災検知器が使用されるトンネル防災設備の概略構成の説明図である。図1において、監視室などに設置された防災受信盤1からはトンネル5に対し伝送路2が引き出され、トンネル5のトンネル壁面5aに沿って所定間隔Lで設置した本発明の火災検知器3を接続している。
【0019】
火災検知器3は、トンネル長手方向に沿った左右2つの所定距離Lの区間を各々監視している。このため距離Lの区間は、両側に位置する2台の火災検知器3で重複して監視されている。例えばトンネル5内での車両事故などにより火災による火源4が存在したとすると、火源4を含む距離Lの区間の両側に設置している2台の火災検知器3で火源4を検知し、防災受信盤1に火災検知信号を送る。
【0020】
防災受信盤1にあっては、火源4の両側に位置する2台の火災検知器3からの火災検知信号を受信して、斜線で示すLの区間に火源4が存在することを認識でき、水噴霧制御における自動弁を起動し、火源4を含む予め決められた放水区域について、トンネル壁面または天井面側に設置している水噴霧ヘッドから消火用水を散布させる。
【0021】
図2は図1のトンネル壁面5aに設置される本発明の火災検知器3の組立分解図である。図2において、本発明の火災検知器3は、カバー3aと本体3bで構成され、カバー3aの左右に形成された傾斜面のそれぞれに透光性窓6a,6bを配置し、それぞれの内部に、この実施形態にあっては2波長方式の検知センサを内蔵している。
【0022】
透光性窓6a,6bの上部には試験光源収納部7が設けられる。試験光源収納部7の下部外側には試験光源用窓8a,8bが設けられ、この内側に外部試験光源を収納している。
【0023】
火災検知器3の本体3b側にはコネクタ取付穴3cが設けられ、後の説明で明らかにするように、ここに防水コネクタにより信号ケーブルが接続される。本体3bに対しカバー3aは、例えば4か所について取付ネジ9により締付け固定される。
【0024】
図3は本発明の火災検知器3の内部構造の断面図である。図3において、火災検知器3はカバー3aと本体3bで構成され、内部にモールドカバー13を設けて仕切っている。本体3bに設けた信号ケーブル11を接続する防水コネクタ10のレセプタクル側からの信号線15は、モールドカバー13の下部に取り付けた避雷基板14にコネクタ接続される。
【0025】
モールドカバー13の前面側となるカバー3a内には主回路基板16が固定されている。この主回路基板16にはカバー3aの傾斜面に配置している透光性窓6a,6bに相対してセンサユニット18a,18bを、ほぼ45°の傾斜角をもって配置している。センサユニット18a,18bのそれぞれには第1検知センサ19と第2検知センサ20が設けられており、この実施形態にあっては2波長方式により炎を監視している。
【0026】
カバー3aから張り出された試験光源収納部7の下面両側には試験光源用窓8a,8bが設けられ、内蔵した外部試験光源の発光による外部試験光を透光性窓6a,6bを介してセンサユニット18a,18bの検知センサ19,20に照射することで、透光性窓6a,6bの汚れの状態を検出できるようにしている。
【0027】
また透光性窓6a,6bの内側に位置した主回路基板16からは、センサユニット18a,18bに相対して内部試験光源30a,30bが配置され、この内部試験光源30a,30bからの内部試験光を直接、第1検知センサ19と第2検知センサ20に照射することで検知センサ自体及びその周辺回路のセンサユニット故障を検出できるようにしている。
【0028】
ここで試験光源用窓8a,8bの内側に配置している外部試験光源及びカバー3aの主回路基板16上に配置している内部試験光源30a,30bとしては、第1検知センサ19及び第2検知センサ20による2波長方式による検出波長帯域をカバーできる光源として白熱電球を使用している。
【0029】
図4は2波長方式を取る本発明の火災検知器の回路ブロック図である。図4において、防災受信盤1からの伝送路2に接続されたトンネル内に設置される火災検知器3は、MPUを用いた信号処理部21を備え、この信号処理部21に対し右側検知部22aと左側検知部22bを設けている。
【0030】
右側検知部22aには第1検知センサ19と第2検知センサ20が設けられ、透光性窓6aを通して外部からの光を受光して受光検知信号を出力するようにしている。第1検知センサ19及び第2検知センサ20は後の説明で明らかにするように、複数のアレイセンサ、例えばこの実施形態にあっては4つのアレイセンサを内蔵しており、1つ1つのアレイセンサが独立した検知センサとして受光検知信号を出力する。
【0031】
第1検知センサ19に続いては加算増幅部23が設けられ、加算増幅部23で得られた受光検知信号をA/D変換器24によりデジタルデータに変換して信号処理部21に取り込んでいる。同様に第2検知センサ20に続いて加算増幅部25が設けられ、加算増幅部25からの受光検知信号をA/D変換器26によりデジタルデータに変換して信号処理部21に取り込んでいる。
【0032】
また右側検知部22aには外部試験光源28aと内部試験光源30aが設けられ、それぞれ外部試験光源制御部27及び内部試験光源制御部29より火災検知器3が防災受信盤1から試験コマンドを受けた際に動作して試験動作を行わせる。
【0033】
外部試験光源制御部27による外部試験光源28aの発光制御、及び内部試験光源制御部29による内部試験光源30aの発光制御は、実際の燃焼炎と同様の例えば2Hzで明るさが変化する点滅制御を、試験期間として定めた一定時間例えば2秒間又は4秒間行うようになる。
【0034】
MPUを用いた信号処理部21は、同じくMPUを用いた伝送制御部31を介して防災受信盤1に接続されている。伝送制御部31に対してはアドレス設定部32が設けられ、検知器固有のアドレスを設定している。このため防災受信盤1にあっては、伝送路2に接続している複数の火災検知器のアドレスを順番に指定して監視制御に必要な各種のコマンドを送信し、コマンドに対する動作または応答を行わせる。
【0035】
また信号処理部21に対してはEEPROMなどの不揮発性の記憶部33が設けられ、火災検出データや試験の際に得られた試験データを履歴データとして記憶できるようにしている。
【0036】
また記憶部33には火災検知器3を透光性窓6a,6bに汚れがない状態で、外部試験光源28aの制御で得られた受光検知信号を初期値(振幅初期値)として記憶しており、この初期値を使用することで試験時で得られた外部試験光による受光検知信号から透光性窓6aの汚損状態を示す減光率(あるいは透過率)を算出できるようにしている。
【0037】
信号処理部21には火災判定部34、試験処理部35及び外乱光処理部36の機能が設けられている。火災判定部34は、第1検知センサ19と第2検知センサ20による受光検知信号に基づいて2波長方式に従った火災の判定を行う。ここで火災判定部34による2波長方式の火災判定を説明すると次のようになる。
【0038】
図5は、本発明の火災検知器3の設置が予定されるトンネル内での火災監視で生ずる燃焼炎とその他の代表的な放射体の放射線スペクトルを示している。まず燃焼炎にあっては、スペクトル特性101a,101bのようにCO2 の共鳴放射により4.4〜4.5μm付近の波長帯域に放射線相対強度のピークがあり、また、短波長側となる3.8μm付近に放射線相対強度が低い波長帯域が存在する。
【0039】
このような燃焼炎のスペクトル特性101a,101bに対し、ノイズ放射源として太陽光のスペクトル特性102、トンネル内を走行する車両のエンジンの加熱で生ずる300℃の低温放射体のスペクトル特性103、更に人体のスペクトル特性104が存在する。
【0040】
このような図5の燃焼炎の監視のため、本発明の2波長方式にあっては図6のような検出波長特性を設定している。図6において、センサユニットに設けている第1検知センサ19は、有炎燃焼時に発生するCO2 の共鳴放射による波長帯域である概ね4.5μmを中心波長とした狭帯域バンドパスフィルタ特性106による放射光を検出する。これに対し第2検知センサ20は、概ね5.0〜7.0μmの帯域バンドパスフィルタ特性で得られた放射光の検出特性をもつ。
【0041】
具体的には、火災検知器に設けている透光性窓6a,6bにサファイヤガラスを使用することで、7.0μmの波長を超える光をカットするハイカット特性105を設定し、これによって透光性窓6a,6bにより波長7.0μm以下の波長の光を第1検知センサ19及び第2検知センサ20に入射している。
【0042】
また第1検知センサ19の検出窓には、中心波長4.5μmの狭帯域バンドパスフィルタ特性を構成する光学波長フィルタが設けられる。更に第2検知センサ20の検出窓には、波長5.0μm以上の光を透過する広帯域バンドパスフィルタ特性107を構成する光学波長フィルタが設けられている。
【0043】
したがって第1検知センサ19は、ハイカット特性105と狭帯域バンドパスフィルタ特性106とによって中心波長4.5μmの有炎燃焼時に発生するCO2共鳴放射による4.5μmの狭帯域の光108を検出する。これに対し第2検知センサ20は、ハイカット特性105と広帯域バンドパスフィルタ特性107とで決まる5.0〜7.0μmのバンドパスフィルタとしての波長帯域の光109による検出出力を生ずることになる。
【0044】
図7は本発明の2波長方式における放射線源の種類に対する第1検知センサ19による4.5μmの狭帯域の受光検知信号、第2検知センサ20による5.0〜7.0μmの帯域の受光検知信号、両者の相対比、更に判定結果を表している。ここで相対比は温度条件を一定とした場合の理想的な値となる。
【0045】
このため図4の信号処理部21に設けた火災判定部31にあっては、A/D変換器24,26により読み込んだ第1検知センサ19の受光検知信号と第2検知センサ20の受光検知信号の相対比を求め、図7の理想的な相対比との比較により炎以外のノイズ光に対し正確に燃焼炎を判断することができる。
【0046】
再び図4を参照するに、火災検知器3の信号処理部21に設けている試験処理部35は、防災受信盤1からの試験実行コマンドを受信して試験処理動作を行う。防災受信盤1からのコマンドは右側試験実行コマンドと左側試験実行コマンドに分けて送信される。
【0047】
このような防災受信盤1からの試験コマンドを受信した場合、信号処理部35は例えば右側検知部22aの試験処理を実行し、その試験処理が済むと左側検知部22bの試験処理を行うことになる。
【0048】
この試験処理は、まず外部試験光源制御部27を動作し、外部試験光源28aを例えば2Hzで点滅して試験光源用窓8aから外部試験光を投光し、この外部試験光を透光性窓6aを通して第1検知センサ19及び第2検知センサ20で受光して電気信号に変換し、加算増幅部23,25のそれぞれで加算増幅して受光検知信号を出力し、A/D変換器24,26で試験による受光検知信号を信号処理部21に取り込む。
【0049】
このような外部試験光によって得られた受光検知信号について、試験処理部35は予め定めた所定レベルの閾値データと比較し、透光性窓6aの汚れが少なくて受光検知信号が所定の正常な出力値が得られていれば、内部試験光源30aの発光制御による試験は行わず、外部試験光源28aの発光制御の処理で試験を終了する。
【0050】
ここで試験処理部35による外部試験光源28aの点滅制御で得られた受光検知信号が正常出力値かどうかの判断としては、加算増幅部23,25に対する感度切替制御信号によって補償可能な透光性窓6aの補償限界値に基づいて行っている。
【0051】
この判断としては例えば透光性窓6aの汚損による減光率が85%を超えた場合であり、減光率が85%を超える透光性窓6aの汚損については加算増幅部23による感度切替えでは補償不能であることから、この場合には受光検知信号が正常出力値でないと判断し、内部試験光源30の点滅試験の後に、防災受信盤1に対し火災検知器3の清掃を要求する汚損信号等の異常信号を送信する。
【0052】
尚、試験処理部42で透光性窓6a,6bの汚損状態を求める際には、増幅部34a,34bの感度はその時点の補償された感度ではなく、記憶部40に記憶している受光検知信号の振幅初期値を検出した時と同じ感度(初期感度)に戻した状態で試験動作を行わせる。
【0053】
一方、外部試験光源28aの点滅制御による外部試験光の受光検知信号が汚損補償限界に対応した閾値未満となった場合には、試験処理部35は外部光源28aの制御による試験処理に続いて内部試験光源30aの制御による試験処理を行う。
【0054】
即ち、内部試験光源制御部29を動作して同じく2Hzで内部試験光源30aを点滅し、この内部試験光の受光で第1検知センサ19及び第2検知センサ20より出力される受光検知信号を加算増幅した後のA/D変換器24,26からの読込データについて、第1検知センサ19及び第2検知センサ20及び周辺回路を含むセンサユニットの故障の有無を判定する。
【0055】
例えば内部試験光源30aからの内部試験光による第1及び第2検知センサ19,20の正常時の受光検知信号のレベルが決まっていることから、この正常時の受光検知信号の相対比を検出し、相対比を含む上下所定の範囲幅をセンサユニットの故障の判断レベルとして設定し、センサユニット故障判断レベル以上の受光検知信号であれば第1検知センサ19及び第2検知センサ20は正常と判断する。
【0056】
この場合には伝送制御部31を介し防災受信盤1に対し透光性窓の汚損信号を送信する。これに対し受光検知信号が故障判定の正常範囲を越えた(外れた)場合には回路故障と判断し、回路故障信号を防災受信盤1に送信する。この相対比が変動する要因としては、2つの検知センサの内、1つが故障した場合であり、1つの検知センサが異常な受光検知信号を出力した場合である。
【0057】
このような防災受信盤1から試験実行コマンドを受信した時の試験処理は、左側検知部22bについても同様である。このため本発明にあっては、透光性窓6a,6bの汚れ度合いが外部試験光の受光検知信号から汚損補償限界に対応した閾値以上の正常出力値である場合には、内部試験光源による試験を行わなくとも第1検知センサ19及び第2検知センサ20は正常に動作していることから、この場合には内部試験光源30aによる試験は行わず、左側検知部22bについて防災受信盤1からの左側試験実行コマンドを受けて試験処理を行う。
【0058】
このため透光性窓6a,6bに汚れがないか少ない場合には、右側検知部の外部試験光源28aと左側検知部22bの外部試験光源28bの2つの発光制御による試験処理で済み、この場合、内部試験光源30a,30bの発光制御による試験は不要となる。これに対し透光性窓6a,6bの汚損状態が汚損限界として設定された減光率85%を超えた時に、左右内外4つの試験光源の発光制御による試験処理を行うことになる。
【0059】
図8は図4の右側検知部22aにおける第1検知センサ19側の加算増幅部23の詳細を示した回路ブロック図である。図8において、まず第1検知センサ19には4つのアレイセンサ19a〜19dが含まれており、それぞれ独立した検知センサとして燃焼炎4または外部試験光源28からの光を受光して受光検知信号を出力する。この4つのアレイセンサは、1つの半導体基板に設けられているものでも良いし、それぞれが別個の素子部品として設けられているものでも良い。
【0060】
加算増幅部23には各アレイセンサ19a〜19dに対応してプリアンプ37a〜37dが設けられており、プリアンプ37a,37bを加算してパワーアンプ38aで増幅し、A/D変換器24に入力している。一方、プリアンプ37c,37dの出力はパワーアンプ38c,38dで増幅された後、加算され、切替スイッチ39を介してパワーアンプ38aの出力に加算されている。
【0061】
加算増幅部23に設けている切替スイッチ39は、信号処理部21に設けている試験処理部35の試験結果に基づいて透光性窓6aの汚損を補償するように感度切替えが行われる。
【0062】
即ち、透光性窓6aに汚れがない状態にあっては切替スイッチ39は図示のようにオフしており、このためA/D変換器24にはアレイセンサ19a,19bの2つの受光検知信号の加算増幅信号が入力される。
【0063】
一方、使用中に透光性窓6aが汚損し、試験処理部35による外部試験光源28の試験発光で得られた受光検知信号から減光率を求め、減光率が増加した場合には、この減光率の増加として得られた汚損を補償するため切替スイッチ39をオンする。
【0064】
この切替スイッチ39のオンにより、A/D変換器24には4つのアレイセンサ19a〜19dの受光検知信号の加算増幅結果が入力され、これによって透光性窓6aの汚れによる汚損を補償した受光検知信号を得ることができる。
【0065】
尚、図8の加算増幅部23にあっては、説明を簡単にするため4つのアレイセンサ19a〜19dを2つずつ2グループに分けて2段階に加算増幅する場合を例にとっているが、更に複数のアレイセンサを多段階に加算接続する汚損補償を行うことで、透光性窓6aの汚れによる減光率の増加に対し、よりきめの細かな汚損補償を行うことができる。
【0066】
再び図4を参照するに、信号処理部21に設けている外乱光処理部36は、外部試験光源28の制御または内部試験光源30の制御で第1検知センサ19または第2検知センサ20による試験光の受光で得られた受光検知信号をA/D変換器24,26で取り込んで記憶した後、記憶した受光検知データから外乱光の影響を検出して処理する。
【0067】
この外乱光処理としては、基本的に次の2つの処理がある。
(1)外乱光の影響を受けた受光検知データを除去して汚損状況を判定する。
(2)外乱光の影響の有無を判定し、外乱光の影響を受けていると判定した場合には、その試験を無効とする。
【0068】
図9は、図4の外乱光処理部36による外乱光の影響を受けたデータを除去して汚損状況を判定する本発明の第1実施形態の外乱光処理を説明するための信号波形図である。
【0069】
図9(A)は図4の試験処理部35による外部試験光源制御部27への発光制御信号であり、時刻t1からt2までの所定の試験時間Tの間、外部試験光源28に例えば2Hzの点滅制御信号を出力して外部試験光源28を点滅させる。
【0070】
図9(B)は、外部試験光源28を点滅により受光された第1検知センサ19からの受光検知信号であり、加算増幅部23で増幅された後、A/D変換器24でサンプリングされて信号処理部21内のメモリに一時的に記憶される。
【0071】
ここで図9(B)の受光検知信号は、0Vを中心に+2.5Vと−2.5Vのダイナミックレンジを持っており、この受光検知信号をA/D変換器24で10ビットデータに変換しており、こりの場合、−2.5Vが10進で0、0Vが10進で511、+2.5Vが10進で1023の値をとることになる。
【0072】
本発明の第1実施形態の外乱光処理にあっては、図9(B)のように、試験時に得られる受光検知データの上下のピーク値の各々を抽出して各平均ピーク値を算出し、平均ピーク値に近い上下のピーク値の一部をばらつきが小さい順に抽出することで、外乱光の影響を受けた上下のピーク値を除外する。
【0073】
このように外乱光の影響を受けたピーク値を除外した残りの上下のピーク値について、受光検知信号の振幅値を算出し、記憶部33に予め記憶している透光性窓に汚れのない状態で検出された受光検知信号の振幅初期値により、透光性窓の汚損状態を示す減光率を算出する。
【0074】
更に具体的に説明すると次のようになる。図9にあっては、例えば外部試験光源28を2Hzで4秒間パルス点灯させ、図9(B)のように得られる受光検知信号につき、0ボルトの中間電位を基準としてアッパ側ピーク値(上側ピーク値)とローワ側ピーク値(下側ピーク値)を抽出する。
【0075】
ここで受光検知信号の受光開始の時刻t1から、ある期間については、ピーク値算出を行わない。これは、本発明の試験光源にあっては太陽光にほぼ近い試験光の波長特性を得るために白熱電球を使用しており、試験発光開始直後にあっては白熱電球のフィラメントの加熱が十分でないことから発光量が安定せず、ある程度時間経過した時点からの受光検知データについてサンプリングする。
【0076】
図9(B)にあっては、時刻t1から3サイクル目からアッパ側ピーク値U0,U1,U2,U3,U4,U5を抽出し、またローワ側ピーク値L0,L1,L2,L3,L4,L5を抽出している。
【0077】
このようにしてアッパ側ピーク値U0〜U5、ローワ側ピーク値L0〜L5を抽出できたならば、まずアッパ側ピーク値U0〜U5の平均ピーク値Uaを次式で算出する。
【0078】
Ua =(U0 +U1 +U2 +U3 +U4 +U5 )/6 (1)
次に平均ピーク値Uaに対するアッパ側ピーク値U0〜U5のそれぞれのばらつきΔU0〜ΔU5を次式で算出する。
【0079】
ΔU0 =abs (U0 −Uau)
ΔU1 =abs (U1 −Uau)
ΔU2 =abs (U2 −Uau) (2)
ΔU3 =abs (U3 −Uau)
ΔU4 =abs (U4 −Uau)
ΔU5 =abs (U5 −Uau)
このようにしてアッパ側ピーク値U0〜U5の平均ピーク値Uaに対するばらつきΔU0〜ΔU5が算出できたならば、ばらつきの小さい順に所定数n、例えばn=3つのアッパ側ピーク値例えばアッパ側ピーク値U0,U2,U4を抽出し、その平均値をアッパ側ピーク代表値とする。
【0080】
次にローワ側ピーク値L0〜L5についても、同様にして平均ピーク値LaをLa =(L0 +L1 +L2 +L3 +L4 +L5 )/6 (3)
で求める。続いて平均ピーク値Laに対する各ローワ側ピーク値L0〜L5のばらつきΔL0〜ΔL5を次式で算出する。
【0081】
ΔL0 =abs (L0 −Lau)
ΔL1 =abs (L1 −Lau)
ΔL2 =abs (L2 −Lau) (4)
ΔL3 =abs (L3 −Lau)
ΔL4 =abs (L4 −Lau)
ΔL5 =abs (L5 −Lau)
そして、ばらつきL0〜L5の内、小さい順にn=3つのローワ側ピーク値、例えばローワ側ピーク値L0,L2,L4を抽出し、その平均値を求めて、これをローワ側ピーク代表値とする。
【0082】
このようにしてアッパ側ピーク代表値とローワ側ピーク代表値を求めた後は、受光検知信号の中に外乱光の影響により振幅が一時的に増加している異常なピーク値があったとしても、ピーク値はピーク代表値を算出する過程で除去され、外乱光による影響を受けていないピーク値のみによってアッパ側代表値とローワ側代表値が算出できる。
【0083】
次にアッパ側ピーク代表値からローワ側ピーク代表値を差し引くことで振幅検出値を求め、これと記憶部33に予め記憶している透光性窓に汚れがない状態での試験により検出された振幅初期値を用いて、次式により減光率を算出する。
【0084】
減光率=100−(振幅検出値/振幅初期値)100[%] (5)
ここで右辺第2項の振幅検出値と振幅初期値の比に100を掛け合わせた値は透過率を表しており、減光率はこの透過率を100から引いた値となる。
【0085】
図10は図9の外乱光処理の第1実施形態による減光率算出処理のフローチャートである。この外乱光処理の第1実施形態を含む減光率算出処理は、ステップS1で試験による受光検知データを取り込み、ステップS2でアッパ側ピーク値をn個抽出して平均値を算出し、ステップS3で平均値に近い例えば3つのピーク値を抽出して算出した平均値をアッパ側代表値とする。
【0086】
続いてステップS4でローワ側のピーク値をn個抽出して平均値を算出し、ステップS5で平均値に近い3つのピーク値を抽出して算出した平均値をローワ側代表値とする。このようにしてアッパ側代表値及びローワ側代表値が算出できたならば、ステップS6でアッパ側代表値とローワ側代表値から振幅検出値を算出し、ステップS7で初期振幅値と検出振幅値から減光率を算出する。
【0087】
この外乱光処理の第1実施形態にあっては、図9(B)のように信号処理のために取り込むデータの数が多いほど外乱光除去の精度が上がることから、この実施形態にあっては例えば試験時間を4秒と長めにとっている。
【0088】
図11は図4の火災検知器3における火災検知処理の概略フローチャートである。この火災検知処理にあっては、ステップS1で火災監視処理を行っており、ステップS2で防災受信盤1側から例えば1日に1回というように試験実行コマンドによる試験指令を受信すると、ステップS3の試験処理を行う。
【0089】
この試験処理は透光性窓の汚損状態を判定して受光検知信号の利得を切り替える汚損補償処理を含んでおり、更に試験処理の中には図10に示した外乱光の影響を受けたデータを除外して行う減光率の算出処理も含まれている。
【0090】
図12は図11のステップS3の試験処理の詳細を示したフローチャートである。この試験処理にあっては、図4の火災検知器に示したように外部試験光源28と内部試験光源30の両方を使用して試験し、且つ第1検知センサ19と第2検知センサ20のそれぞれを使用した試験を行うことになる。
【0091】
図12において、試験処理部35は防災受信盤1から例えば右側検知部22aに対する試験実行コマンドを受信すると、外部試験光源制御部27を動作し、ステップS1で外部試験光源28となる外部白熱電球を例えば図9のようにT=4秒に亘り2Hzでパルス駆動する。
【0092】
外部試験光源28からの試験光は透光性窓6aを通って第1検知センサ19及び第2検知センサ20で受光されるが、ステップS2にあっては第1検知センサ19で受光された受光検知信号をA/D変換器24でサンプリングして信号処理部21に取り込み、ステップS3で外乱光の影響を除去した減光率の算出処理、即ち図10のフローチャートに示した減光率の算出処理を実行する。
【0093】
続いてステップS4で、算出された減光率について透光性窓6aの汚損状況を判定し、ステップS5で減光率が汚損補償限界となる85%以下であれば、ステップS6で減光率が例えば50%より小さいか否か判断する。50%より小さければステップS7でアレイセンサ加算数=2とし、これは初期状態の通常監視レベルである。即ち図8の加算増幅器23に設けている切替スイッチ39をオフ状態とし、2つのアレイセンサ19a,19bの加算増幅による受光検知信号の増幅状態とする。
【0094】
これに対し減光率が50%以上であった場合には、ステップS8でアレイセンサ加算数を4つとし、汚損補償を行う。即ち図8の加算増幅部23に設けている切替スイッチ39をオンし、アレイセンサ19a〜19dの4つの加算増幅信号による受光検知信号を出力する汚損補償状態を作り出す。そしてステップS9で最終的に正常終了を防災受信盤1に出力する。
【0095】
一方、ステップS5で減光率が汚損補償限界の85%を越えた場合には、ステップS10に進み、内部試験光源30としての内部ランプを内部試験光源制御部29の動作で同じく2HzでT=4秒間パルス駆動し、透光性窓6aの汚損による異常か第1検知センサ19そのもののセンサユニット故障か否かチェックする。
【0096】
この内部試験光源30の点灯制御について、ステップS11で第1検知センサ19及び第2検知センサ20のそれぞれの受光検知信号をA/D変換器24,26でサンプリングして信号処理部21に取り込み、それぞれの受光検知信号についてステップS12で外乱光の影響を除去した検出データの算出処理を実行する。
【0097】
このステップS12の処理は、図10の減光率算出処理におけるステップS1〜S6までの処理であり、ステップS7の減光率の算出は行わない。ステップS12で第1検知センサ19及び第2検知センサ20の各検出データについて比率計算を行い、ステップS4で、計算した比率がセンサユニット正常比率幅に入っているか否かチェックする。
【0098】
正常比率幅に入っていればステップS15でセンサユニットの正常と判断し、ステップS16で汚損信号を防災受信盤1に出力して汚損警報を報知させる。ステップS14でセンサユニット正常比較幅に入っていなかった場合には、ステップS12でセンサユニット異常と判断し、この場合にはステップS18で回路故障信号を防災受信盤1に出力して故障警報を報知させる。
【0099】
図13は、図12の検知器試験処理に対応した防災受信盤1の処理動作のフローチャートである。防災受信盤1にあっては、通常時にあってはアドレスNを順番に指定して伝送路2に接続しているトンネル内の火災検知器3に対し火災検出データの収集コマンドを送っているが、例えば1日1回予め定めた時間になると試験動作を起動し、図13に示す試験処理を実行する。
【0100】
この試験処理はステップS1でアドレスNをN=1に初期化した後、ステップS2でアドレスNの火災検知器に対し右側試験実行コマンドを送信する。この右側試験実行コマンドを受けた火災検知器3は、図12に示した検知器試験処理により図4の右側検知部22aの試験を行う。
【0101】
右側試験実行コマンドの送信が済むと、ステップS3で火災検知器からの応答信号の種別をチェックしており、もし汚損信号や回路故障信号が受信されると、ステップS4で異常処理としてそれぞれに対応した警報の報知を行う。次にステップS5で同じアドレスNの火災検知器に対し左側試験実行コマンドを送信し、図4の左側検知部22bについて図12のフローチャートの検知器試験処理を実行させ、ステップS6で応答を待つ。
【0102】
火災検知器より応答があるとステップS6で応答信号種別を判別し、もし汚損信号や回路故障信号を受信した場合には、ステップS7で異常処理としてそれぞれに対応した警報報知を行う。そしてステップS8で全火災検知器の試験終了の有無をチェックし、終了していなければ、ステップS9でアドレスNを1つアップし、ステップS2からの処理を繰り返す。
【0103】
図14は、図4の火災検知器3について、第1検知センサ19のみの試験処理を行うようにしたいわゆる1波長方式の試験処理のフローチャートである。この1波長方式の試験処理は、図4の第1検知センサ19と第2検知センサ20を備えた2波長方式の火災検知器はもちろんのこと、第2検知センサ20側を備えていない第1検知センサ19側のみの1波長の火災検知器についてもそのまま適用することができる。
【0104】
この1波長方式を対象とした検知器試験処理にあっては、ステップS1で外部試験光源28としての外部ランプをパルス駆動により点滅し、ステップS2で第1検知センサ19側となる4.5μm狭帯域バンドパス特性によるの受光検知信号の出力をA/D変換器24により信号処理部21に取り込み、ステップS3で図10の減光率算出処理のフローチャートに従った外乱光の影響を除去した減光率の算出を行う。
【0105】
続いてステップS4で、算出した減光率について汚損状況を判定し、ステップS5で減光率が85%以下であれば、ステップS6で減光率が50%未満か否かチェックし、50%未満であればステップS7でアレイセンサ加算数=2とし、現状の監視レベルを維持し、50%を超えていた場合にはステップS8でアレイセンサ加算数=4とし、加算増幅数を増加して汚損補償を行い、ステップS9で正常終了信号を出力する。
【0106】
一方、ステップS5で減光率が85%を越えた場合には、ステップS10で火災検知器が汚損補償限界に達しているかあるいは第1検知センサ19の素子故障であることから、非作動信号を防災受信盤1に出力し、火災検知器3の点検を促すことになる。
【0107】
図15は、図4の信号処理部21に設けている外乱光処理部36において、外乱光の影響を判定した際に、このときの試験を無効とする処理を行う場合の外乱光判定処理の第2実施形態を示した信号波形図である。
【0108】
第2実施形態の外乱光判定処理にあっては、試験中に得られた受光検知信号の上下の各ピーク値のばらつきが大きい場合に外乱光の影響ありと判定する。
【0109】
図15(A)は例えば外部試験光源28の発光制御信号であり、発光開始時刻t1から終了時刻t2の試験時間T、この場合にはT=2秒に亘り外部試験光源28を2Hzでパルス駆動する。図15(B)は、図15(A)の試験発光制御により第1検知センサ19で受光された受光検知信号であり、0Uを中点として±2.5Vの振幅で変化する信号となっている。
【0110】
この図15(B)の受光検知信号に対し、第2実施形態の外乱光判定処理にあっては、先頭の例えば1.5サイクルについては試験光源としての白熱電球の光量が不足していることから無視し、1.5サイクル目以降についてアッパ側ピーク値U0,U1,U2及びローワ側ピーク値L0,L1,L2を抽出する。
【0111】
そしてアッパ側ピーク値U0〜U2について平均ピーク値Uaを
Ua =(U0 +U1 +U2 )/3 (6)
で算出し、次に平均ピーク値Uaに対する各アッパ側ピーク値U0〜U2のばらつきΔU0〜U2を次式で算出する。
【0112】
ΔU0 =abs (U0 −Uau)
ΔU1 =abs (U1 −Uau) (7)
ΔU2 =abs (U2 −Uau)
そして(7)式で求めた3つのばらつきU0〜U2の合計ばらつき値が予め経験的に得られた閾値より大きいか否か次式で判定する。
【0113】
(ΔU0 +ΔU1 +ΔU2 )>閾値(=51) (8)
ここでばらつき合計値の閾値としては、例えば経験的に閾値=51を使用する。この判定式である(8)式が成立したとき、即ち3つのアッパ側ピーク値の平均ピーク値に対するばらつきの合計値が閾値より大きかった場合には、外乱光の影響を受けていると判定する。
【0114】
同様にローワ側ピーク値L0〜L2について、
La =(L0 +L1 +L2 )/3 (9)
により平均ピーク値Laを求め、また
ΔL0 =abs (L0 −Lau)
ΔL1 =abs (L1 −Lau) (10)
ΔL2 =abs (L2 −Lau)
により平均ピーク値Laに対する各ピーク値L0〜L2のばらつきΔL0〜L2を求める。最終的に条件式
(ΔL0 +ΔL1 +ΔL2 )>閾値(=51) (11)
により3つのばらつき合計値が経験的な値である51を持つ閾値より大きいか否かチェックし、閾値より大きければ外乱光の影響を受けていると判定する。
【0115】
図16は図15の外乱光判定処理のフローチャートである。まずステップS1で試験による受光検知データを取り込み、ステップS2でアッパ側ピーク値をn個例えばn=3個抽出し、平均値に対する各ピーク値のばらつきの合計値を算出し、ステップS3で合計値としてのばらつきが閾値より大きいか否かチェックする。閾値より大きければステップS7に進み、外乱光の影響ありと判定する。
【0116】
一方、ステップS3でアッパ側ピーク値について外乱光の影響がないと判定された場合には、ローワ側ピーク値をn=3個抽出し、この平均値に対する各ピーク値のばらつきの合計値を算出し、ステップS5で合計値としてのばらつきを閾値と比較する。ばらつきが閾値より大きければステップS7で外乱光の影響ありと判定する。ばらつきが閾値以下であればステップS6で外乱光の影響なしと判定する。
【0117】
図17は図4の信号処理部21に設けている外乱光処理部36による外乱光の影響を判定する外乱光判定処理の第3実施形態を説明するための信号波形図である。
【0118】
図17(A)は外部試験光源28に対する制御信号であり、試験開始のt1から終了のt2の試験期間T=2秒間、外部試験光源28を2Hzでパルス駆動する。
【0119】
図17(B)は試験時に得られる第1検知センサ19からの受光検知信号の信号波形図であり、破線の信号波形が外乱光がなく、透過性窓が汚れていない記憶部33に対する振幅初期値の記憶のために得られる初期的な受光検知信号である。これに対し実線の受光検知信号は、外乱光の影響を試験時に受けて±2.5Uのダイナミックレンジをオーバする過大な外乱受光状態となった場合である。
【0120】
図17の外乱光判定処理の第3実施形態にあっては、図15の外乱光判定処理と同様に、(6)式から3つのアッパ側ピーク値U0〜U3の平均ピーク値Uaと(9)式から3つのローワ側ピーク値L0〜L3の平均ピーク値Laを算出し、次式により振幅検出値を算出する。
【0121】
振幅検出値=Ua −La (12)
このようにして試験時に得られた受光検知信号の振幅検出値が算出できたならば、図12(B)の破線のように汚れのない状態で得られた受光検知信号から求めて記憶部33に記憶している振幅初期値に所定の係数K、例えばK=1.2を乗算した値と比較する。即ち次の判定を行う。
【0122】
(振幅検出値)>(1.2×振幅初期値) (13)
そして試験によって得られた振幅検出値が振幅初期値を1.2倍した値を超えていた場合には、外乱光による影響を受けていると判定する。
【0123】
このような図17の外乱光の判定処理により2Hzといった試験光にほぼ同期して外乱光が受光したような場合、具体的には周期的な発光を行う緊急車両の回転警報灯の光を外乱光として受けたような場合に、確実に外乱光を判定することができる。
【0124】
図18は図17の外乱光判定処理のフローチャートである。この外乱光判定処理にあっては、ステップS1で試験による受光検知データを取り込み、ステップS2でアッパ側ピーク値n=3個と同じくローワ側ピーク値のn=3個を抽出する。
【0125】
続いてステップS3でアッパ側ピーク値平均値とローワ側ピーク値平均値から振幅検出値を算出する。そしてステップS4で振幅検出値を記憶部に記憶している振幅初期値に所定の係数K、例えばK=1.2を乗算した値と比較し、振幅検出値が小さければステップS5で外乱光の影響なしと判定し、大きければステップS6で外乱光の影響ありと判定する。
【0126】
図19は、図15または図17の外乱光判定処理を行って外乱光を判定した場合に試験を無効とする火災検知器の検知器試験処理のフローチャートであり、図4の火災検知器3において外部試験光源28のみを駆動し且つ第1検知センサ19の受光検知信号を処理する所謂1波長方式を対象とした試験処理を例にとっている。
【0127】
この検知器試験処理にあっては、ステップS1で外部試験光源28としての外部ランプを2Hzで2秒間点滅し、ステップS2で4.5μmに中心波長をもつ狭帯域バンドパスフィルタの受光検知信号となる第1検知センサ19からの受光検知信号をA/D変換器24でサンプリングして信号処理部21に取り込み、ステップS3で図16のフローチャートまたは図18のフローチャートに従った外乱光判定処理を行う。
【0128】
次にステップS4で外乱光の影響ありをチェックし、外乱光の影響がなければステップS5で、実際に得られた受光検知信号から減光率を求めて汚損状況を判定し、ステップS6で減光率が85%以下であれば、ステップS7で減光率50%と比較し、50%未満であればステップS8でアレイセンサ加算数=2とし、通常の監視レベルを維持する。
【0129】
一方、ステップS7で減光率が50%以下であれば、ステップS9でアレイセンサ加算数=4として汚損補償を行い、ステップS10で正常終了信号を防災受信盤1に出力する。
【0130】
またステップS6で減光率が85%を越えた場合には透光性窓6aが汚損補償限界を超えて汚れているか第1検知センサ19のセンサユニット故障であることから、ステップS11で防災受信盤1に非作動信号を出力する。更に、ステップS4で外乱光の影響ありと判定された場合には、ステップS12で試験無効信号を防災受信盤1に出力する。尚、外乱光判定処理においては、図16のバラツキ判定をした後に、図18の処理を行えば、より外乱光の影響を判定しやすい。
【0131】
図20は図19の外乱光の影響を判定した場合に試験無効信号を出力する検知器試験処理に対応した防災受信盤の処理動作のフローチャートである。この防災受信盤の処理動作にあっては、例えば1日1回行う試験処理の際に、ステップS1でアドレスN=1に初期化し、ステップS2でアドレスNの火災検知器への右側試験実行コマンドを送信し、ステップS3で応答信号種別を判定する。
【0132】
この右側試験実行コマンドの送信による図4の右側検知部22aの試験で外乱光の影響ありが判定されて試験無効信号が受信されると、ステップS4に進み、予め定めたリトライ回数Mに達していなければ再びステップS2に戻って、同じアドレスNの火災検知器3に対し右側試験実行コマンドを送信して再試験を行わせる。
【0133】
この再試験はステップS4でリトライ回数Mに達するまで繰り返し行われる。また応答信号種別として汚損信号及び回路故障信号を意味する不作動信号を受信した場合には、ステップS5に進んで異常処理を行い、異常警報を報知する。もちろん、応答信号種別として正常信号を受信した場合にはステップS6に進み、同じアドレスNへの右側試験実行コマンドの送信を行う。
【0134】
この左側試験実行コマンド送信に続くステップS7〜S9の処理は、右側試験実行コマンド送信後のステップS3〜S5の場合と同じになる。そしてステップS10で全検知器試験終了となるまで、ステップS1でアドレスNを1つずつアップしながら、ステップS2からの処理を繰り返す。
【0135】
図21は図4の火災検知器3における検知器試験処理の他の実施形態であり、この実施形態にあっては外乱光の影響ありと判定した際に、可能な場合には外乱光の影響を受けたデータを除去し、除去したデータから減光率が判定できる場合には、試験無効とせずに汚損状況を判定して汚損補償処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0136】
即ち図21のフローチャートにおいて、ステップS1〜S11は図19のフローチャートと同じであるが、新たにステップS12〜S14の処理が加わっている。即ちステップS4で外乱光の影響ありと判断した場合には直ちに試験無効信号を出力せず、ステップS12で外乱光に影響のあるデータを除去する処理を行う。
【0137】
この外乱光に影響のあるデータの除去については、例えば所定レベル以上のデータは外乱光の影響在りとして除去する方法がよい。そして、ステップS13で残ったデータから減光率定可能であれば、ステップS15に戻って汚損状況を判定して、ステップS6以降の汚損補償処理を行う。
【0138】
一方、ステップS13で例えば外乱光の影響のないデータが所定数以下の場合で減光率を計算するには、データが少なく、減光率の判定が不可能であれば、このとき初めてステップS14で試験無効信号を防災受信盤1に送出することになる。
【0139】
図22は図4の火災検知器3における検知器試験処理の他の実施形態のフローチャートであり、この実施形態にあっては外部試験光源28の試験発光と内部試験光源30の試験発光を行い、第1検知センサ19の受光検知信号について汚損状況に応じた処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0140】
図22において、まずステップS1で外部試験光源28としての外部ランプを例えば2秒間、2Hzで点滅し、ステップS2で第1検知センサ19からの受光検知信号をA/D変換により信号処理部21に取り込み、ステップS3で図16のフローチャートまたは図18のフローチャートに従った外乱光判定処理を実行する。
【0141】
続いてステップS4で外乱光の影響ありをチェックし、影響がなければステップS5で汚損状況として減光率を判定し、ステップS6で汚損補償限界としての85%と比較する。減光率が85%以下であればステップS7で減光率50%と比較し、50%未満であればステップS8でセンサアレイ加算数=2として通常監視レベルを維持し、50%を超えているとステップS9でセンサアレイ加算数=4として加算数を増加して汚損補償を変更する。そしてステップS10で正常終了信号を防災受信盤1に出力する。
【0142】
一方、ステップS6で減光率が汚損補償限界の85%を越えた場合には、ステップS11で内部試験光源30としての内部ランプの点滅による試験処理を行う。この内部試験光源の点滅についても、ステップS12で第1検知センサ19からの受光検知信号を取り込み、ステップS13で、ステップS3で同様に内部試験光の受光で得られた受光検知信号について、図16のフローチャートまたは図18のフローチャートに従った外乱光判定処理を実行する。
【0143】
続いてステップS14で外乱光の影響ありをチェックし、影響がなければステップS17で汚損信号を防災受信盤1に出力する。影響があった場合には、ステップS15からの処理において第1検知センサ19のセンサユニットの故障か否かチェックする。
【0144】
即ちステップS15で受光レベルが規定レベル幅に入っていれば、ステップS16でセンサユニット正常と判断し、この場合にはステップS17で汚損信号を防災受信盤1に出力する。受光レベルが規定レベル幅内でなければ、ステップS18でセンサユニット異常を判断し、ステップS19で防災受信盤1に回路故障信号を出力する。
【0145】
またステップS3の外乱光判定処理に続いて、ステップS4で外乱光の影響ありが判定された場合には、ステップS20で試験処理を無効とし、ステップS21で防災受信盤1に対し試験無効信号を出力する。この場合には再度、防災受信盤側からリトライとしての試験実行コマンドが送られ、再試験を行うことになる。
【0146】
尚、この再度の試験実行は、防災受信盤からの試験実行コマンドの受信で行われるのではなく、ステップS20の試験無効と判断したときに、火災検知器自体が直ちに再試験を行っても良い。
【0147】
図23は図4の火災検知器3における検知器試験処理の他の実施形態であり、この実施形態は図2のステップS11からの内部試験光源によるセンサユニット故障の判定について、第1検知センサ19と第2検知センサ20の両方についてセンサユニット故障を試験するようにしたことを特徴とする。
【0148】
図23において、ステップS1〜S14の処理は図22のフローチャートと同じであるが、ステップS6で減光率が汚損補償限界となる85%を超えたときのステップS11からの内部試験光源30の制御によるセンサユニット異常の検出処理が異なっている。
【0149】
即ちステップS11で内部試験光源30としての内部ランプを例えば2Hzで2秒間点滅し、ステップS12で第1検知センサ19の4.5μmに中心をもつ狭帯域光学フィルタ特性で得た受光検知信号と第2検知センサ20の5.0μm〜7.0μmをもつ帯域光学フィルタ特性で得た受光検知信号の両方について、A/D変換器24,26でサンプリングして信号処理部21に取り込む。
【0150】
そしてステップS13で両方の受光検知信号について図16のフローチャートまたは図18のフローチャートに従った外乱光判定処理を実行する。続いてステップS14で外乱光の影響ありをチェックし、影響がなければステップS18で防災受信盤1に直ちに汚損信号を出力する。
【0151】
外乱光の影響があった場合にはステップS15に進み、第1検知センサ19と第2検知センサ20の受光検知信号の比率を算出し、ステップS16でセンサユニット正常比率幅に入っていれば、ステップS17でセンサユニット正常とし、ステップS18で汚損信号を防災受信盤1に出力する。ステップS16でセンサユニット正常比率幅に入っていなければ、ステップS19でセンサユニット異常と判断し、回路故障信号をステップS20で防災受信盤1に出力する。
【0152】
またステップS4で外乱光の影響ありと判断した場合には、ステップS21で試験無効とし、ステップS22で試験無効信号を防災受信盤1に出力する点は、図22のフローチャートと同じになる。
【0153】
図24は本発明の火災検知器において外乱光の影響を判定して外乱光の影響を受けた信号を除去する外乱光処理の第4の実施形態における検出器構造の説明図である。
【0154】
図24の実施形態にあっては、図3の火災検知器3における内部構造の左側のセンサユニット18aの部分を取り出しており、この実施形態にあっては透光性窓6aの内側に配置している第1検知センサ19と第2検知センサ20に対し、試験光源収納部7の下面外側に設けている外部試験光源からの試験光が第1検知センサ19のみに照射されるように、試験光源用窓8aの位置を配置している。
【0155】
このように外部試験光源からの試験光が透光性窓6aを通して第1検知センサ19のみに照射させる構造とすることで、この試験時に第2検知センサ20から受光検知信号が得られれば、これは外乱光による受光検知信号と判定し、第2検知センサ20の受光検知信号の信号区間に対応する第1検知センサ19の受光検知信号を除去することで、外乱光の影響を受けた信号を取り除くことができる。
【0156】
図25は図24の実施形態において試験時に外乱光を受けなかった場合の信号波形であり、図25(A)の試験発光区間に亘り図25(B)のように第1検知センサ19からの受光検知信号が得られ、このとき外乱光を受けていないことから、図25(C)の第2検知センサ20からの受光検知信号は0Uを維持している。
【0157】
図26は図24の実施形態において試験中に外乱光を受けた場合の信号波形図である。この場合、図26(C)のように外乱光を受けることによって、本来、試験光を受光することのない第2検知センサ20について受光検知信号が例えば時刻t1からt1´のΔTの時間に亘り得られている。
【0158】
そこで、図26(B)の第1検知センサ19からの受光検知信号について、この外乱光の判定時間ΔTの信号部分を除去し、残りの受光検知信号を使用することで、外乱光の影響を受けない試験処理を行うことができる。もしくは、この試験処理を無効とするようにしても良い。
【0159】
尚、上記の実施形態にあっては、外部試験光源の発光制御による試験処理を4.5μmの狭帯域フィルタ特性をもった第1検知センサ19からの受光検知信号で行っているが、同様に5.0〜7.0μmの帯域フィルタ特性をもった第2検知センサ20からの受光検知信号について試験処理を行うようにしてもよい。
【0160】
また上記の実施形態にあっては、図8に示したように加算増幅部23において各検知センサの複数のアレイセンサについて汚損状況を判断して素子出力を加算することで補償をかけているが、増幅部のアンプゲインを変化させた感度補償による汚損補償を行うようにしてもよい。
【0161】
更に本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0162】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、外部試験光源の点滅で透光性窓の汚れ具合を試験する火災検知器の試験時にヘッドライトを点灯した車両が通過したり外部からの何らかの光が入射するなどによって、試験光に加えて外乱光が入射した場合にあっても、外乱光の影響を受けた受光検知信号を除去する処理や、外乱光の影響を受けたことを判定して試験結果を無効にするなどの外乱光処理を行うことで、外乱光の影響を受けた受光検知信号が得られても正確な火災検知器の試験を行うことができ、外乱光の影響を受けて誤った汚損補償による失報や外乱光による影響で検知器異常を出すなどの誤報を確実に防止し、火災検知器の正確な試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステム構成の概略ブロック図
【図2】本発明による火災検知器の組立分解図
【図3】本発明による火災検知器の内部構造の断面図
【図4】本発明による火災検知器の回路ブロック図
【図5】燃焼炎と他の放射線の波長スペクトル特性の説明図
【図6】図4の2波長方式による検出特性の説明図
【図7】図4の2波長方式による放射線の種類に対する相対比と判定結果の説明図
【図8】図4の加算増幅回路の詳細を示した回路ブロック図
【図9】図4の外乱光処理部で外乱光の影響を受けた信号部分を除去する本発明による外乱光処理の第1実施形態を説明するための信号波形図
【図10】図9の処理を組込んだ減光率算出処理のフローチャート
【図11】図4の2波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図12】図11の検知器試験処理の詳細を示したフローチャート
【図13】図11に対応した防災受信盤の処理動作のフローチャート
【図14】1波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図15】図4の外乱光処理部で外乱光の影響を判定する本発明による外乱光処理の第2実施形態の処理を説明するための信号波形図
【図16】図9の外乱光判定処理のフローチャート
【図17】図4の外乱光処理部で外乱光の影響を判定する本発明による外乱光処理の第3実施形態の処理を説明するための信号波形図
【図18】図17の外乱光判定処理のフローチャート
【図19】外乱光の影響を判定して無効信号を出力する1波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図20】図11の無効信号の出力に対応した防災受信盤の処理動作のフローチャート
【図21】外乱光の影響を判定して信号除去と無効信号出力を行う1波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図22】外部と内部の試験光源による試験で外乱光の影響を判定して無効信号を出力する1波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図23】外部と内部の試験光源による試験で外乱光の影響を判定して無効信号を出力する2波長方式における火災検知器の試験処理動作のフローチャート
【図24】2波長方式につき外部試験光を1つの検知センサのみに照射して外乱光を判定する検知器構造の説明図
【図25】図24で外乱光がない場合の2つの検知センサの受光検知信号の信号波形図
【図26】図24で外乱光の影響を受けた場合の2つの検知センサの受光検知信号の信号波形図
【符号の説明】
1:防災受信盤
2:伝送路
3:火災検知器
3a:カバー
3b:本体
4:火源
5:トンネル
5a:トンネル壁面
6a,6b:透光性窓
7:試験光源収納部
8a,8b:試験光源用窓
9:取付ねじ
10:防水コネクタ
11:信号ケーブル
13:モールドカバー
14:避雷基板
15:信号線
16:主回路基板
18a,18b:センサ部
19:第1検知センサ(4.5μm狭帯域フィルタ付き)
19a〜19d:アレイセンサ
20:第2検知センサ(7μm広帯域フィルタ付き)
21:信号処理部(MPU)
22a:右側検知部
22b:左側検知部
23,25:加算増幅部
24,26:A/D変換器
27:外部試験光源制御部
28:外部試験光源
29:内部試験光源制御部
30:内部試験光源
31:伝送制御部
32:アドレス設定部
33:記憶部
34:火災判定部
35:試験処理部
36:外乱光処理部
37a〜37d:プリアンプ
38a,38c,38d:メインアンプ
39:切替スイッチ
Claims (4)
- 所定の監視エリアを視野とする透光性窓と、
前記透光性窓内に配置され、光エネルギーを電気信号に変換して受光検知信号として出力する検知センサと、
前記検知センサから出力される受光検知信号に基づいて火災の判定を行う火災判定部と、
前記透光性窓の外側近傍に設けられた試験光源と、
試験時に、前記試験光源を所定時間の間所定周波数で点滅又は明滅して明るさを変化させて試験光を照射させ、前記透光性窓を介して前記検知センサで受光した前記試験光の受光検知信号により、前記透光性窓の汚損状態を検出して外部に出力すると共に、前記受光検知信号を汚損補償するための回路条件を調整する試験処理部と、
を備えた火災検知器に於いて、
前記試験光の受光検知信号から外乱光の影響を検出して処理する外乱光処理部を設け、
前記外乱光処理部は、試験時に得られる前記受光検知信号の上下のピーク値の各々を抽出して各々の平均ピーク値を算出し、前記平均ピーク値に近い上下のピーク値の一部を抽出することで外乱光の影響を受けた上下のピーク値を除去することを特徴とする火災検知器。 - 請求項1記載の火災検知器に於いて、前記外乱光処理部は、外乱光の影響を受けた信号を除去した残りの上下のピーク値から受光検知信号の振幅値を算出し、前記透光性窓に汚れのない状態で検出された受光検知信号の振幅初期値により、前記透光性窓の汚損状態を示す減光率を算出することを特徴とする火災検知器。
- 所定の監視エリアを視野とする透光性窓と、
前記透光性窓内に配置され、光エネルギーを電気信号に変換して受光検知信号として出力する検知センサと、
前記検知センサから出力される受光検知信号に基づいて火災の判定を行う火災判定部と、
前記透光性窓の外側近傍に設けられた試験光源と、
試験時に、前記試験光源を所定時間の間所定周波数で点滅又は明滅して明るさを変化させて試験光を照射させ、前記透光性窓を介して前記検知センサで受光した前記試験光の受光検知信号により、前記透光性窓の汚損状態を検出して外部に出力すると共に、前記受光検知信号を汚損補償するための回路条件を調整する試験処理部と、
を備えた火災検知器に於いて、
前記試験光の受光検知信号から外乱光の影響を検出して処理する外乱光処理部を設け、 前記外乱光処理部は、試験時に得られる前記受光検知信号の上下のピーク値の各々を抽出して各々の平均ピーク値を算出して、この算出された上下の平均ピーク値から受光検知信号の振幅検出値を算出し、この振幅検出値が、前記透光性窓に汚れのない状態で検出された受光検知信号の振幅初期値に所定の係数を乗じた閾値を超えた場合に、外乱光の影響ありと判定して試験処理を無効とすることを特徴とする火災検知器。 - 所定の監視エリアを視野とする透光性窓と、
前記透光性窓内に配置され、光エネルギーを電気信号に変換して受光検知信号として出力する検知センサと、
前記検知センサから出力される受光検知信号に基づいて火災の判定を行う火災判定部と、
前記透光性窓の外側近傍に設けられた試験光源と、
試験時に、前記試験光源を所定時間の間所定周波数で点滅又は明滅して明るさを変化させて試験光を照射させ、前記透光性窓を介して前記検知センサで受光した試験光の受光検知信号により、前記透光性窓の汚損状態を検出して外部に出力すると共に、前記受光検知信号を汚損補償するための回路条件を調整する試験処理部と、
を備えた火災検知器に於いて、
前記試験光の受光検知信号から外乱光の影響を検出して処理する外乱光処理部を設け、 前記検知センサとして検出波長帯域に異なる少なくとも2つの検知センサを設け、前記試験光源からの試験光を前記検知センサの一方のみに入射するように配置し、前記外乱光処理部は、前記試験時に前記試験光が入射しない他の検知センサから受光検知信号が得られた場合、外乱光の影響ありと判定して、このときの試験処理を無効とするか又は外乱光の影響を受けた信号部分の除去を行うことを特徴とする火災検知器。
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