JP7429497B2 - 炎検出装置 - Google Patents
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Description
本発明は、燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測して燃焼炎の有無を判断し検出する炎検出装置であって、
第1の透光性窓を介して赤外線エネルギーを受光し、燃焼炎の波長帯域に対応した第1の受光信号を出力する第1の検出ユニットと、
第1の透光性窓を介して赤外線エネルギーを受光し、燃焼炎の波長帯域と異なる波長帯域に対応した第2の受光信号を出力する第2の検出ユニットと、
試験光源から第1の透光性窓を介して第1及び第2の検出ユニットに試験光を照射し、当該第1及び第2の検出ユニット毎に試験光による受光信号を初期状態と比較して、透光性窓の第1の検出ユニットに対応した部分を透過する赤外線エネルギーの初期状態に対する第1の減光率、及び第1の透光性窓の第2の検出ユニットに対応した部分を透過する赤外線エネルギーの初期状態に対する第2の減光率を求める試験制御部と、
第1の減光率に基づき第1の受光信号を補正すると共に、第2の減光率に基づき第2の受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部と、
を備えたことを特徴とする。
火災判断部は、第1及び第2の受光信号の補正の状態に応じて火災の判断を異ならせる。
火災判断部は、第1及び第2の受光信号の何れかが所定の補正限界に達した場合に、補正限界に達していない他の受光信号に基づいて火災判断を行う。
火災判断部は、第1及び第2の受光信号の補正の状態に応じて所定の障害を検出した場合に、受信装置に警報を出力させる。
本発明は、燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測して燃焼炎の有無を判断し検出する炎検出装置であって、燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを、透光性窓を介して受光して受光信号を出力する複数の検出ユニットと、試験光源から透光性窓を介して複数の検出ユニットに試験光を照射し、全ての検出ユニット毎に、試験光による受光信号を初期状態と比較して透光性窓の各検出ユニットに対応した部分を透過する赤外線エネルギーの初期状態に対する減光率を求める試験制御部と、検出ユニット毎に求められた減光率に基づき、全ての検出ユニット毎の受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部とが設けられたため、検出ユニット毎に減光率を求めて受光信号の汚れ補正を行うことで、透光性窓の汚れにムラがあっても、各受光信号の汚れ補正を正しく行うことができ、補正された受光信号により正確な火災判断を行うことができる。
火災判断部は、受光信号の補正の状態に応じて火災の判断を異ならせ、例えば
火災判断部は、各検出ユニットの何れかの受光信号が所定の補正限界に達した場合に、補正限界に達していない他の受光信号に基づいて火災判断を行うようにしたため、例えば2波長方式の場合には、透光性窓の部分的な汚れにより非炎検出ユニットの受光信号が補正限界に達した場合には、補正限界に達していない炎検出ユニットの受光信号のみによる1波長の火災判断に切り替えることで、補正限界に基づき汚損障害又は汚損予告障害を検出していても限定的な火災判断により炎検出を継続することができ、炎検出装置の信頼性を高めることができる。
また、火災判断部は、受光信号の補正の状態に応じて所定の障害を検出して受信装置に警報を出力させるようにしたため、各検出ユニットからの受光信号の何れかが所定の補正限界に達した場合に受信装置から、例えば汚損警報又は汚損予告警報が出力され、透光性窓の部分的な汚れが進んで局部的に補正限界に達したことが、受信装置からの汚損警報又は汚損予告警報により報知され、管理者等に炎検出装置の清掃計画の策定等を促すことを可能とする。
(装置概要)
図1は炎検出装置に組み込まれる炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図であり、2波長式の炎検出装置を例にとっている。本実施形態の炎検出装置は、監視領域の炎の有無を検出する火災検出装置であるものとする。
炎検出部11-1の透光性窓18に対しては試験光源として機能する試験光源60-1が設けられる。試験光源60-1は後の説明で明らかにする炎検出装置10の筐体(ケース本体)50の前面の中央凸部54に配置され、自己試験の一項目である汚れ試験の際、試験光源60-1の駆動による炎模擬光となる試験光を透光性の試験窓56-1から出力し、この試験光を透光性窓18内に配置された炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cに受光させる。
図2は炎検出装置の外観を示した説明図、図3は図2の炎検出装置を正面から示した説明図、図4は図2の炎検出装置を下側から見て中央凸部の試験光源及び試験窓と透光性窓内側の炎検出部を一部断面で示した説明図である。
図1に示した炎検出ユニット12a,12bにおいて、炎検出センサ16a,16bは燃焼炎からCO2共鳴に伴って放射される、概ね4.5μmを中心波長とする赤外線波長帯域を有する赤外線エネルギーを電気信号に変換して受光信号として出力し、前置フィルタ24a,24bは炎検出センサ16a,16bから出力される受光信号から、炎の揺らぎ周波数に対応した所定の周波数帯域の信号成分のみを選択通過させ、プリアンプ26a,26bは前置フィルタ24a,24bを通過した信号成分を初段増幅し、メインアンプ28a,28bでさらに増幅して炎受光信号E1,E2を出力する。そして、終段アンプ30a,30bはこれを炎判断処理に適した信号レベルに増幅して炎受光信号E1’,E2’を出力する。
図6は炎検出センサの概略構成を示した説明図、図7は図6の炎検出センサの等価回路を示した回路図である。
透光性窓18は、図2及び図3に示したように、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cが収納された図6のセンサユニットの監視エリア側に相当する上面側であって、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cの前面側に設けた、センサ収納部52の所定の開口部に配置され、上述のように、例えば、サファイアガラス等の赤外線透光性の部材により形成している。
図1の炎検出ユニット12a,12bの前置フィルタ24a,24bは、周波数選択部として機能し、炎検出センサ16a,16bの受光素子部22a,22bから出力される受光信号から、炎判断処理に用いられる特定の周波数帯域の信号成分のみを通過させる例えばアクティブフィルタであり、後段のプリアンプ26a,26bに特定の周波数帯域の信号成分からなる受光信号を出力する。
プリアンプ26a,26bは、前置フィルタ24a,24bを介して入力される受光信号を所定の増幅率で初段増幅し、メインアンプ28a,28bは、プリアンプ26a,26bからの各炎受光信号を増幅し、炎受光信号E1,E2として出力する。
A/D変換ポート35a、35bはMPU15の入力ポートとして設けたA/D変換器であり、炎受光信号E1’,E2’を火災判断部36のデジタル処理に適したデジタル信号に変換して読み込む。
非炎検出ユニット12cは、炎検出センサ16a,16bとは異なる所定の波長帯域の赤外線エネルギーを電気信号に変換して出力する非炎検出センサ16cを備える。即ち、炎検出ユニット12a,12bは、燃焼炎からCO2共鳴により放射される、概ね4.5μmを中心波長とする波長帯の赤外線エネルギーを電気信号に変換した炎受光信号E1,E2を出力するのに対し、非炎検出ユニット12cは、概ね5.0μm~7.0μmの波長帯域の赤外線エネルギーを電気信号に変換した非炎受光信号E4を出力する。
非炎検出センサ16cは、概ね5.0μmを超える所定の波長帯域の赤外線を良好に透過するカットオンフィルタで構成されるロングパスフィルタである光学波長フィルタ20cと、光学波長フィルタ20cを透過した光を受光して電気信号に変換して出力する図7と同様の等価回路でなる受光素子部22cを備え、図6に示したと同様な構造により、パッケージ化された構成とする。
図8は、図1の実施形態に適用される光学波長フィルタ及び透光性窓の各波長における透過率を示した特性図である。
図9は燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測した場合に図1の炎検出ユニットから出力される炎受光信号を示した信号波形図であり、図9(A)はA/D変換ポート35aからの、炎受光信号E1'の信号波形を示し、図9(B)はA/D変換ポート35bからの、炎受光信号E2'の信号波形を示す。
となる高周波側の相対強度積分値ΣFHを求め、両値の比ΣFL/ΣFHが、予め設定された閾値以下の場合には、炎に相当する受光出力が検出されなかったものと判断し、炎有り判断の第2要件を充足しなかったとする。一方、ΣFL/ΣFHが閾値を超えた場合には、炎有り判断の第2要件を充足したとする。火災判断部36は、上記各判断をT=2秒ごとに繰り返す。
図11は試験光源をパルス駆動する駆動信号を示したタイムチャートであり、図11(A)は試験光源60-1の駆動信号E11を示し、図11(B)は試験光源60-2の駆動信号E12を示す。
図1のMPU15に設けられた試験制御部38は、火災受信盤から試験信号を受信した場合、試験光源60-1,60-2を、図11に示した駆動信号により発光駆動し、それぞれに対応する透光性窓18を介して炎検出部11-1,11-2に試験光を照射して汚れ試験を行う。
補正後のE1’=E1’/(1-D1)
補正後のE2’=E2’/(1-D2)
補正後のE4’=E4’/(1-D4)
とする汚れ補正を行い、汚れ補正された炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’の受光値により火災を判断する。ここで、汚れ補正された炎受光信号E1’とE2’は加算され、E1’+E2’=E3としても火災判断に使用される。
火災判断部36には、汚れ補正限界に対応した減光率となる閾値Dth、例えば閾値Dth=0.7が予め設定されており、試験制御部38の汚れ試験で求められた減光率D1,D2,D4が閾値以上となるか又は閾値を上回った場合に汚れ補正限界(例えば補正をしても所定の監視エリア全体を監視できない状態)として汚損障害又は汚損予告障害と判断し、火災受信盤に汚損警報信号又は汚損予告警報信号を送信して汚損警報又は汚損予告警報を出力させる制御を行う。
モード1は、炎検出センサ16a,16b及び非炎検出センサ16cの受光信号が何れも補正限界に達しておらず、炎受光信号E1’,E2’及び非炎受光信号E4’全て有効に得られており、従って、火災判断は炎受光信号E1’,E2’の加算受光信号E3を用いた(加算・2波長)による本来の火災判断となり、汚損障害は発生しておらず、警報はない。
モード2は、非炎検出センサ16cの非炎受光信号E4’のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’が無効であり、炎受光信号E1’,E2’が有効であることから、火災判断は炎受光信号E1’,E2’の加算受光信号E3を用いた(加算・1波長)による限定的な((加算・2波長)に対して縮退した)火災判断となる。
図13は図1の実施形態における汚れ試験制御を示したフローチャートであり、MPU15による制御動作となる。
図14は炎検出装置に組み込まれる3波長方式による炎検出ユニットの実施形態を示したブロック図である。
モード1は、炎検出センサ16a及び非炎検出センサ16c,16dの受光信号が何れも補正限界に達しておらず、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’,E5’全て有効に得られており、従って、火災判断は(3波長)による本来の火災判断となり、汚損障害は発生しておらず、警報はない。
モード2は、非炎検出センサ16dの受光信号のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E5’が無効であり、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E4’が有効であることから、火災判断は(2波長)による限定的な((3波長)に対して縮退した)火災判断となる。
モード3は、非炎検出センサ16cの受光信号のみが補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’が無効であり、炎受光信号E1’及び非炎受光信号E5’が有効であることから、火災判断は(2波長)による限定的な火災判断となる。
モード4は、非炎検出センサ16c,16dの受光信号が補正限界に達した場合である。このため非炎受光信号E4’,E5’が無効であり、炎受光信号E1’のみが有効であることから、火災判断は(1波長)による限定的な火災判断となる。
(受光信号の平均)
上記図1の実施形態は、炎検出ユニット12a,12bからの炎受光信号E1’,E2’を加算した加算受光信号E3を用いて火災判断部36により炎の有無の判断を行っているが、これに限定されず、例えば、炎検出ユニット12a,12bからの炎受光信号E1’,E2’の平均を求め、平均受光信号を取り込んで火災判断部36により炎の有無の判断を行うようにしても良い。
また、上記の実施形態は、1波長方式(検出ユニット複数)、2波長方式、3波長方式を例にとっているが、他の方式の炎検出装置としても良い。また、赤外線以外の放射線エネルギーを観測する炎検出装置に適用しても良い。
また、本発明の作用、効果は上記しないものも含まれる。例えば、透光性窓18に汚れや汚れムラがある場合だけでなく、検出ユニットの検出センサの故障や劣化に起因して受光信号が低下した場合にも、同様に検出ユニット毎に減光率に基づいて受光信号を補正することになり、信号低下の度合いに応じて火災受信盤へ汚損警報信号や汚損予告警報信号を送信して報知させることになる。管理者は、これを受けて透光性窓18の清掃を実施し、これによって汚損、汚損予告状態が解消されない場合に、検出ユニットの検出センサ等の異常であることを推定できる。
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
11-1:炎検出部
12a,12b:炎検出ユニット
12c,12d:非炎検出ユニット
15:MPU
16a,16b:炎検出センサ
16c,16d:非炎検出センサ
18:透光性窓
20a,20b,20c,20d:光学波長フィルタ
22a,22b,22c,22d:受光素子部
24a,24b,24c,24d:前置フィルタ
25:受光電極
26a,26b,26c,26d:プリアンプ
27:FET
28a,28b,28c,28d:メインアンプ
30a,30b,30c,30d:終段アンプ
35a,35b,35c,35d:A/D変換ポート
36:火災判断部
38:試験制御部
45:焦電体
50:筐体
52:センサ収納部
54:中央凸部
56-1,56-2:試験窓
60,60-1,60-2:試験光源
70:反射フード
Claims (4)
- 燃焼炎から放射される赤外線エネルギーを観測して燃焼炎の有無を判断し検出する炎検出装置であって、
第1の透光性窓を介して前記赤外線エネルギーを受光し、前記燃焼炎の波長帯域に対応した第1の受光信号を出力する第1の検出ユニットと、
前記第1の透光性窓を介して前記赤外線エネルギーを受光し、前記燃焼炎の波長帯域と異なる波長帯域に対応した第2の受光信号を出力する第2の検出ユニットと、
試験光源から前記第1の透光性窓を介して前記第1及び第2の検出ユニットに試験光を照射し、当該第1及び第2の検出ユニット毎に前記試験光による受光信号を初期状態と比較して、前記第1の透光性窓の前記第1の検出ユニットに対応した部分を透過する前記赤外線エネルギーの初期状態に対する第1の減光率、及び前記第1の透光性窓の前記第2の検出ユニットに対応した部分を透過する前記赤外線エネルギーの初期状態に対する第2の減光率を求める試験制御部と、
前記第1の減光率に基づき前記第1の受光信号を補正すると共に、前記第2の減光率に基づき前記第2の受光信号を補正し、当該補正後の各受光信号に基づいて燃焼炎の有無を検出して火災を判断する火災判断部と、
を備えたことを特徴とする炎検出装置。
- 請求項1記載の炎検出装置であって、
前記火災判断部は、前記第1及び第2の受光信号の補正の状態に応じて火災の判断を異ならせることを特徴とする炎検出装置。
- 請求項2記載の炎検出装置であって、
前記火災判断部は、前記第1及び第2の受光信号の何れかが所定の補正限界に達した場合に、前記補正限界に達していない他の受光信号に基づいて火災判断を行うことを特徴とする炎検出装置。
- 請求項1記載の炎検出装置であって、
前記火災判断部は、前記第1及び第2の受光信号の補正の状態に応じて所定の障害を検出した場合に、受信装置に警報を出力させることを特徴とする炎検出装置。
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