JP3980375B2 - 歯車研削方法および歯車研削装置 - Google Patents

歯車研削方法および歯車研削装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車研削方法および歯車研削装置に関し、特に、被研削用歯車に予め形成されている歯を、螺旋条の研削部位を備えた歯車研削工具を用いて研削する歯車研削方法および歯車研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術において、被研削用歯車502に対して歯車研削工具500により研削加工を行う場合を図26Aを参照して説明する。歯車研削工具500は、周回する螺旋条501からなる砥石503を有する。一方、被研削用歯車502は、予め形成された歯504を有する(例えば、特開昭58−59727号公報参照)。この構成によれば、歯車研削工具500の螺旋条501を被研削用歯車502の歯溝部504cと噛合させ、歯車研削工具500と被研削用歯車502とを同期回転させながら、螺旋条501により被研削用歯車502の歯面504aおよび504bを研削する。ここで、図26Bのクロスハッチング部分は前記螺旋条501により同時に研削される前記歯面504a、504bを示す。
【0003】
また、歯車同士を滑らかに噛み合わせるなどの目的により、歯筋に膨らみを持たせた形状に研削するクラウニング研削を行うことがある。クラウニング研削を行う際には、被研削用歯車502の歯幅方向に従って、歯車研削工具500と被研削用歯車502との噛合深さを制御することによってクラウニング形状を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図27に示すように、従来技術を用いて、はすば歯車506の歯面504a、504b両方を一挙に加工する際には、該歯面504aおよび504bに沿った軌跡510aおよび510bに従い研削を行う。ここで、歯車研削工具500がはすば歯車506の歯幅B0の端部508にさしかかると、それまで軌跡510aおよび510bの両方に沿って行っていた研削加工が、軌跡510bに関しては端点508b以降負荷がなくなり、一方、軌跡510a側の歯面504aでは端点508aに至るまで研削動作が続行される。従って、端点508bを通過した時点で前記軌跡510b側の負荷がなくなるために該はすば歯車506に大きな負荷変動が生じ、はすば歯車506の加工精度に悪影響を与える。
【0005】
次に、はすば歯車506に対してクラウニング研削を行う状況について、図28を参照しながらより詳細に説明する。図28において、研削軌跡512は、螺旋条501(図26A参照)が歯溝部504cに噛合しながら歯面504aおよび504bを研削する際の、螺旋条501の頂部501a(図26A参照)が動作する軌跡を示す。一点鎖線514aおよび514bは、歯面504aおよび504bにおける所定の同じ高さを結んだ、所謂、等高線である。また、破線516は、はすば歯車506の設計上、歯面504aと歯面504bの対向する部分を模式的につないで示した線である。
【0006】
図28から諒解されるように、被研削用歯車502の端部508を研削する際には、研削軌跡512は負荷のない端点508bの方向にカーブする。このカーブの形状は、研削負荷の大きさ、螺旋条501の剛性などによって決まる。このように、端部508では、研削軌跡512がカーブするために、所望の歯面形状が得られない。具体的には、端点508aと一点鎖線514bとの距離t1が所望の長さより短くなり、端点508bと一点鎖線514aとの距離t2が所望の長さより長くなる。
【0007】
ところで、被研削用歯車502は、製品として使用するときには、軸心を中心として回転しながら相手側の歯車と噛合するので、クラウニング形状も軸心に対して直角な方向に対称であるとより確実に噛合することができて望ましい。
【0008】
しかしながら、螺旋条501は、歯面504a、504bに対して直角に当接および摺動しながら研削を行うので、破線516は、それぞれ歯面504a、504bに直角となり、所謂、歯直角の研削となって不都合である。
【0009】
さらに、歯面504a、504bの形状および歯504(図26A参照)の歯筋形状は、螺旋条501の形状に依存することになるので、例えば、歯面504aおよび歯面504bとを非対称な形状に研削することができない。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、歯車の歯面および歯筋を種々の形状に研削することを可能にし、また、被研削用歯車の端部を研削する際に研削負荷の不平衡による研削誤差を吸収することを可能にする歯車研削方法および歯車研削装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る歯車研削方法は、第1モータにより被研削用歯車を回転させ、第2モータにより歯車研削工具を前記被研削用歯車に同期して回転させ、前記歯車研削工具の螺旋条を前記被研削用歯車に噛合させ、前記被研削用歯車の軸心方向の移動と、前記軸心方向に対して直角方向の移動とを行い、前記被研削用歯車の歯と前記歯車研削工具の歯との位相を0に保ちながら第1回目の研削を行い、前記位相を0に保ちながら、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを前記直角方向にさらに接近させて第2回目の研削を行い、前記位相をプラス又はマイナスの一方に変化させて第3回目の研削を行い、前記位相をプラス又はマイナスの他方に変化させて第4回目の研削を行い、前記第1回目の研削から前記第4回目の研削は、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを相対的に前記軸心方向に往復させながら行うことを特徴とする。
【0012】
このようにすることにより、被研削用歯車の軸心方向の移動、軸心方向に対して直角方向の移動および被研削用歯車と前記歯車研削工具との位相の変化という3つのパラメータで表される3次元状の研削が行われることとなり、歯車の歯面および歯筋を種々の形状に研削することができる。
【0013】
本発明は、第1モータによりはすば歯車である被研削用歯車を回転させ、第2モータにより歯車研削工具を前記被研削用歯車に同期して回転させ、前記歯車研削工具の螺旋条を前記被研削用歯車に噛合させ、前記被研削用歯車の軸心方向の移動と、前記軸心方向に対して直角方向の移動と、前記被研削用歯車と前記歯車研削工具との位相の変化とを共働させて前記被研削用歯車を研削し、前記被研削用歯車の歯幅方向の端部を研削する際、両面研削から片面研削に移行するときに前記歯車研削工具にかかる負荷の不平衡による研削誤差に対して、該研削誤差を相殺する逆補正を行うように研削量を規定して研削を行うと、研削負荷の不平衡に対して逆補正をかけることとなり研削誤差を吸収することができる。
【0014】
また、少なくとも前記第1回目の研削及び前記第2回目の研削では、前記螺旋条により前記被研削用歯車の歯の左側歯面および右側歯面を同時に研削するようにしてもよい
【0015】
前記被研削用歯車の歯幅以上の移動経路上における複数の分割点で、研削しようとするクラウニング形状に基づく研削量を設定し、該研削量に基づいて前記被研削用歯車を研削するようにしてもよい。
【0016】
さらに、前記分割点において規定された研削量に基づいて前記移動経路上の任意の位置における補間研削量を決定し、前記被研削用歯車を研削するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る歯車研削装置は、被研削用歯車を軸心を中心にして回転させる第1モータと、前記被研削用歯車の歯を研削する歯車研削工具と、前記歯車研削工具を軸心を中心にして回転させる第2モータと、前記被研削用歯車と前記歯車研削工具とを相対的に進退動作させる切込機構と、前記被研削用歯車を軸心方向に進退動作させるトラバース機構と、前記被研削用歯車の軸心方向の移動、前記軸心方向に対して直角方向の移動および前記被研削用歯車の歯と前記歯車研削工具の歯との位相の変化を共働させて制御するコントローラとを有し、前記コントローラは、前記位相を0に保ちながら、前記切込機構の作用下に前記被研削用歯車を前記直角方向に移動させ、前記歯車研削工具に接近させる第1回目の研削を行い、前記位相を0に保ちながら、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを前記直角方向にさらに接近させて第2回目の研削を行い、前記位相をプラス又はマイナスの一方に変化させて第3回目の研削を行い、前記位相をプラス又はマイナスの他方に変化させて第4回目の研削を行い、前記第1回目の研削から前記第4回目の研削は、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを相対的に前記軸心方向に往復させながら行うように制御することを特徴とする。
【0018】
前記コントローラは、前記トラバース機構および前記切込機構を制御するテーブル制御部と、前記トラバース機構の状態に応じて前記第1モータおよび前記第2モータを制御する同期制御部とを有すると、研削時の処理をテーブル制御部と同期制御部とで分担することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る歯車研削方法についてそれを実施する歯車研削装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図25を参照しながら説明する。
【0020】
本実施の形態における歯車研削方法を実施する歯車研削装置は、基本的には、歯車研削工具の螺旋条と被研削用歯車の歯溝を噛合させて、歯車研削工具と被研削用歯車を互いに同期速度で回転させながらクラウニング研削を行うものである。このとき、被研削用歯車の歯幅方向の分割点を複数設定しておき、この分割点毎に歯車研削工具と被研削用歯車との互いの位相θ(図3参照)を制御することにより歯面を研削する。また、被研削用歯車がはすば歯車であると、端部を研削するときに負荷の不平衡が生じるが、この不平衡に対して逆補正をかけるデータを作成しておき、負荷の不平衡による研削誤差を相殺するようにする。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態において使用する歯車研削装置10は、研削加工を行う研削加工部10aと、該研削加工部10aの動作を制御する主制御部(コントローラ)10bと、該主制御部10bと接続されており且つクラウニング形状のデータを編集する機能をもつデータ処理部10cを有する。
【0022】
研削加工部10aに、ベッド12の上面に切込テーブル14が配設され、前記切込テーブル14は切込モータ16の回転作用下に矢印Z方向(以下、Z軸方向ともいう。)に進退動作する(切込機構)。前記切込テーブル14の上面に配設されるトラバーステーブル18はトラバースモータ20の回転作用下にZ軸方向と直角の方向、すなわち、矢印X方向(以下、X軸方向ともいう。)に進退動作する(トラバース機構)。
【0023】
また、トラバーステーブル18上には、予め歯形が歯切り形成された被研削用歯車22が着脱自在に配設されるとともに、回転する前記被研削用歯車22の歯の凸部を検出して所定のパルスを発生させる近接スイッチからなる歯先検出センサ24が設けられている。被研削用歯車22はワークスピンドルモータ(第1のモータ)26の回転作用下に回転し、この回転の軸心はトラバーステーブル18の進退方向(Z軸方向)と一致するように設定されている。
【0024】
一方、切込テーブル14の進行方向(X軸方向)であって、且つ、ベッド12上にはコラム28が配設され、コラム28に旋回テーブル30が保持される。旋回テーブル30は前記コラム28内に配設された旋回モータ31(図6参照)により矢印C方向に旋回自在であり、さらに旋回テーブル30にはシフトテーブル32が設けられ、このシフトテーブル32はシフトモータ34の作用下に矢印D方向に移動自在である。
【0025】
旋回テーブル30およびシフトテーブル32は、被研削用歯車22との相対的な位置を調節し、さらに、被研削用歯車22がはすば歯車である場合の歯23のねじれ角β(図4参照)に適合するように、矢印C方向および矢印D方向に変位調整可能である。
【0026】
図2に模式的に示すように、シフトテーブル32には工具スピンドルユニット36が設けられている。この工具スピンドルユニット36は工具スピンドルモータ(第2のモータ)38と、この工具スピンドルモータ38によって回転する工具軸39とから基本的に構成される。工具スピンドルモータ38の作用下に回転する歯車研削工具42は円柱形状であり、その周縁に被研削用歯車22を研削するための砥石からなる螺旋条43が設けられている。
【0027】
一方、工具スピンドルユニット36は前記シフトテーブル32に装着される。前記シフトテーブル32はボールねじ35に連結され、該ボールねじ35はシフトモータ34により回転される。従って、工具スピンドルユニット36と歯車研削工具42は、シフトモータ34の駆動作用下にシフトテーブル32とともに矢印D方向に変位する。
【0028】
図3に示すように、被研削用歯車22を研削する際には、被研削用歯車22の左側歯面である歯面23bおよび右側歯面である歯面23cの間の歯溝23aに、歯車研削工具42の螺旋条43が噛合しながら研削を行う。ここで、歯面23bおよび歯面23cのうち、歯底部23dからみて時計回転方向の歯面23cを右側歯面とし、反時計回転方向の歯面23bを左側歯面として区別する。
【0029】
研削に用いる螺旋条43は任意の厚みでよい。すなわち、歯溝23aにおいて歯面23b、23cに当接せずに歯底部23dに達するような細い形状であってもよく、または歯面23b、23cの両方に当接するような形状であってもよい。研削を行うための基礎となるデータである第1リスト126および第2リスト128(図8、図9参照)は、螺旋条43の厚みを考慮して算出される。
【0030】
研削方法としては、被研削用歯車22と歯車研削工具42の相対位置関係で、被研削用歯車22の歯幅B0(図4参照)方向、つまり軸心方向を中心として、差動修正研削と片歯面研削とを使い分けて研削を行う。換言すれば、図4に示すように、ねじれ角がβである被研削用歯車22の歯溝23aに対して歯車研削工具42の螺旋条43(図3参照)を歯溝23aのほぼ中央に噛合させながら且つ歯幅B0の両端部では緩いカーブを描くような軌跡Sに沿って研削を行う差動修正研削と、歯23のうち歯面23bと歯面23cとを個別に研削を行う片歯面研削とを使い分ける。
【0031】
さらに、被研削用歯車22と歯車研削工具42の相対位置関係で、被研削用歯車22の径方向および周方向の関係においては、切込テーブル14(図1参照)を動作させることにより被研削用歯車22をX軸方向に移動させ、螺旋条43により歯面23b、23cおよび歯底部23dを研削する切込研削による方法と、位相θを変更することにより図3のクロスハッチング部を研削する位相研削とが設定可能である。実際の研削においては、切込研削および位相研削を組み合わせて、前記片歯面研削および差動修正研削を行う。
【0032】
ここで、位相θとは、螺旋条43の中心線86(図3参照)と、歯溝23aの中心線89が一致する箇所を基準値(θ=0)として、この基準値に対して螺旋条43と歯23が相対的に移動する移動量を示す。位相θは、基準値を「0」として、プラス(+)の値とマイナス(−)の値をとりうるものであり、同期制御部60(図6参照)により制御される。
【0033】
図5に示すように、被研削用歯車22は、ワーク軸48の一端部に一組のクランプ治具50を介して着脱自在に軸支される。ワーク軸48の他端部側には動力伝達機構であるトラクションドライブ51が連結され、このトラクションドライブ51は回転軸49を介してワークスピンドルモータ26に連結される。なお、前記回転軸49には回転を安定させる機能を有するイナーシャダンパ53が設けられている。
【0034】
図6に示すように、主制御部10bは、ワークスピンドルモータ26と、工具スピンドルモータ38と、旋回モータ31とシフトモータ34とを制御する同期制御部60と、切込モータ16と、トラバースモータ20とを制御するテーブル制御部61を有する。
【0035】
同期制御部60は、記憶部であるRAM66およびデータ処理部10cと電気的に接続されるとともに駆動回路68、70、72および74と光ファイバ76を介して接続されている。また、この場合、前記同期制御部60には第1パルス発生器80、第2パルス発生器82、第3パルス発生器84および歯先検出センサ24の出力信号が供給されている。このような構成によって、同期制御部60は、データ処理部10cで生成される第2リスト128(図9参照)に基づいて同期制御を行う。
【0036】
テーブル制御部61は、記憶部であるRAM91およびデータ処理部10cと電気的に接続されるとともに駆動回路93、94と光ファイバ96を介して接続されている。
【0037】
駆動回路68、70、72および74は光ファイバ76を経由して供給される指令信号によってそれぞれワークスピンドルモータ26、工具スピンドルモータ38、旋回モータ31およびシフトモータ34を駆動する。この場合、工具スピンドルモータ38と、旋回モータ31とシフトモータ34は、指令信号によって従動的に動作するので、フィードバック信号は不要である。
【0038】
駆動回路93、94は光ファイバ96を経由して供給される指令信号によってそれぞれ切込モータ16と、トラバースモータ20を駆動する。
【0039】
図7に示すように、データ処理部10cは、CPU100と、記憶部であるROM102およびRAM104と、ハードディスク106に対してデータのアクセスを行うハードディスクドライブ(HDD)108と、モニタ110の画面上における描画制御を行う描画制御回路112を有する。さらに、データ処理部10cは、入力装置としてのキーボード114およびマウス116が接続されるインタフェース回路118と、外部記録媒体120(例えば、磁気ディスクやコンパクトディスク等)を制御する記録媒体ドライブ122と、主制御部10bとの相互通信が可能なLAN制御部124を有する。マウス116には、操作用ボタン116aが備えられている。
【0040】
ハードディスク106には、切込テーブル14とトラバーステーブル18の研削時における相互関係を記録する第1リスト126(図8参照)と、位相研削による研削量とトラバーステーブル18の位置関係を記録する第2リスト128(図9参照)と、第1リスト126および第2リスト128を生成するクラウニング編集プログラム130およびOS132が格納されている。
【0041】
クラウニング編集プログラム130の説明に先立ち、第1リスト126および第2リスト128について、図8および図9を参照しながら説明する。
【0042】
図8に示すように、第1リスト126は、ストロークを単位としたデータの集合である。前記第1リスト126は、第1〜第3ストロークを有する例を示す。各ストロークはZ軸方向に沿う16の分割点Z1〜Z16によって構成されており、各分割点Z1〜Z16に対してX軸方向の切込量が記録される「切込量」欄126aと、各分割点Z1〜Z16におけるZ軸方向の移動速度が記録される「スピード」欄126bを備える。
【0043】
図9に示すように、第2リスト128は、前記分割点Z1〜Z16に対して、位相研削によって歯面23bの研削量を記録する「左歯面研削量」欄128aと、位相研削によって歯面23cの研削量を記録する「右歯面研削量」欄128bとを有する。さらに、前記第2リスト128は、分割点Z1〜Z16のそれぞれの間の区間T1〜T15においてクラウニング形状の傾斜値を記録する「傾斜値」欄128cを有する。この「傾斜値」欄128cは、歯面23bに関する傾斜値を記録する「左歯面」欄128dと、歯面23cに関する傾斜値を記録する「右歯面」欄128eからなる。
【0044】
次に、クラウニング編集プログラム130について、図10〜図17を参照しながら説明する。クラウニング編集プログラム130は、被研削用歯車22のクラウニング形状を設定するためのプログラムであり、キーボード114およびマウス116を用いて、モニタ110の画面上で情報を確認しながら設定を行うものである。設定した情報は、第1リスト126および第2リスト128としてハードディスク106に記憶させるとともに、第1リスト126はLAN制御部124を経由して同期制御部60に供給され、また第2リスト128はLAN制御部124を経由してテーブル制御部61に供給される。
【0045】
クラウニング編集プログラム130は、OS132の制御下において、CPU100によって実行されるものであり、図10に示すように、3つの画面、すなわち数値入力画面140(図11も参照)、クラウニング形状設定画面150(図12も参照)および切込量確認画面300(図17も参照)を用いてクラウニング形状の設定を行う。また、クラウニング編集プログラム130は、クラウニング形状設定画面150において設定されたクラウニング形状に基づいて、歯幅方向、つまりZ軸方向を16分割した点によりクラウニング形状を表現する内部データ142(図14も参照)を作成する内部データ設定部143と、内部データ142から第1および第2リスト126、128を生成するリスト作成部144とを有する。さらに、クラウニング編集プログラム130は、第2リスト128の「左歯面研削量」欄128aおよび「右歯面研削量」欄128bに基づいて、クラウニングの傾斜値を求めて第2リスト128に記録するクラウニング傾斜算出部146と、第1リスト126に対して螺旋条43の厚みによる加工誤差を補正する工具補正部148を有する。
【0046】
図11に示すように、数値入力画面140では、歯車研削工具42の条数NT、被研削用歯車22の歯数NW、モジュールMo、歯幅B0、圧力角α、ねじれ角β、研削サイクル数Cy、螺旋条43の先端部半径R(図3参照)、研削種別Tyおよび切込研削と位相研削との研削分担割合Rtをそれぞれ入力する入力欄140a〜140jが設けられている。この中で、研削種別Tyは、差動修正研削または片歯面研削のいずれかを選択するための入力部であり、所謂、コンボボックス形式の入力部である。
【0047】
また、ボタン領域158は、各画面(数値入力画面140、クラウニング形状設定画面150、切込量確認画面300)に共通の領域であり、画面の表示切り換えおよび所定の処理指示を与えるものである。
【0048】
ボタン領域158は、5つのボタン、すなわち「CALC」ボタン180、「MACRO」ボタン182、「TRACE」ボタン184、「CROWN」ボタン186および「EXIT」ボタン188を有する。なお、これらのボタン180、182、184、186および188は、モニタ110の画面上に表示される仮想のボタンであり、マウス116の動作に連動するカーソル170を合わせて、マウス116の操作用ボタン116aを押すこと(以下、クリックという)により次に述べる動作を行うものである。
【0049】
「CALC」ボタン180は、クリックすることにより数値入力画面およびクラウニング形状設定画面150で設定したデータに基づいて、第1リスト126および第2リスト128を生成するボタンである。「CALC」ボタン180がクリックされたときの詳細な処理内容については後述する。
【0050】
「MACRO」ボタン182、「TRACE」ボタン184および「CROWN」ボタン186は、それぞれクリックすることにより数値入力画面140、切込量確認画面300およびクラウニング形状設定画面150を表示させるボタンである。
【0051】
「EXIT」ボタン188は、クリックすることによりクラウニング編集プログラム130を終了させるボタンである。
【0052】
図12に示すクラウニング形状設定画面150は、被研削用歯車22のクラウニング形状を設定するための入力および確認用の画面である。このクラウニング形状設定画面150は、右側歯面である歯面23cの形状を設定するための右側歯面設定領域152と、左側歯面である歯面23bの形状を設定するための左側歯面設定領域154と、Z軸の移動速度を設定するトラバース速度設定領域156と、ボタン領域158とからなる。ボタン領域158は、数値入力画面140において表示されているものと同一である。
【0053】
右側歯面設定領域152、左側歯面設定領域154およびトラバース速度設定領域156については、横軸157a、157b、157cが被研削用歯車22の軸心方向すなわちZ軸方向を示し、右側歯面設定領域152、左側歯面設定領域154、トラバース速度設定領域156を横断する直線160および162が被研削用歯車22の歯幅B0を表す。
【0054】
つまり、トラバーステーブル18は、被研削用歯車22の歯幅B0より広い幅に対して動作設定を行うことができ、これにより、歯幅B0の端部においても削り残しの部分がなく確実に研削を行うことができる。
【0055】
右側歯面設定領域152、左側歯面設定領域154の縦軸152a、154aは切込量を表す。クラウニング形状を形成するための切込量は微小値であるため、横軸の縮尺に対して縦軸は拡大した縮尺が設定されている。
【0056】
右側歯面のクラウニング形状は、右側歯面設定領域152のクラウニング形状曲線164で表示されており、ポップアップメニュー168の操作によってクラウニング形状曲線164を変更することによりクラウニング形状の設定が可能である。
【0057】
初期状態において、クラウニング形状曲線164は2次曲線であり、歯幅B0の所定幅(例えば、60%)における規定された研削量に基づいて表示される。また、クラウニング形状曲線164は、適用する被研削用歯車22が平歯車およびはすば歯車のいずれであるかに拘わらず共通に適用されるものである。すなわち、被研削用歯車22がはすば歯車であるときには、ねじれ角β(図4参照)を差し引いた状態のクラウニング形状が表示されることになる。
【0058】
ポップアップメニュー168は、6つのメニュー168a、168b、168c、168d、168e、168fからなる。この6つのメニュー168a〜168fのいずれかをクリックすることにより初期状態のクラウニング形状曲線164に対して修正を加えることができる。
【0059】
メニュー168aをクリックすると、クラウニング形状曲線164の左側の曲率がプラス方向に変更される。メニュー168bをクリックすると、クラウニング形状曲線164の左側の曲率がマイナス方向に変更される。メニュー168cをクリックすると、クラウニング形状曲線164の左端部分をプラス方向に移動するように傾斜値を与える。メニュー168dをクリックすると、クラウニング形状曲線164の右端部分をプラス方向に移動するように傾斜値を与える。メニュー168eをクリックすると、クラウニング形状曲線164の右側の曲率がプラス方向に変更される。メニュー168fをクリックすると、クラウニング形状曲線164の右側の曲率がマイナス方向に変更される。
【0060】
また、クラウニング形状曲線164は、メニュー168a〜168fがクリックされる回数に従い変更の度合いが大きくなるように設定される。
【0061】
左側歯面設定領域154には、歯面23cのクラウニング形状を表すクラウニング形状曲線172が表示されており、右側歯面設定領域152における操作と同様の操作を行うことによって、クラウニング形状曲線172を修正することができる。
【0062】
トラバース速度設定領域156の縦軸156aは、研削加工時のトラバーステーブル18の移動速度を示す。このトラバース速度設定領域156では、ポップアップメニュー168と同様のメニュー(図示せず)の操作によって速度曲線174を修正することができる。速度曲線174は、複数回の研削ストロークに対して個別に設定することも可能である。
【0063】
ここで、「CALC」ボタン180をクリックしたときに第1リスト126および第2リスト128が生成される過程について図13〜図16を参照しながら説明する。
【0064】
まず、図13のステップS1において、内部データ設定部143(図10参照)により、右側歯面設定領域152および左側歯面設定領域154で設定したクラウニング形状に基づいて歯面23bおよび23cの形状を、トラバース方向つまりZ軸方向に16分割した点において表現する内部データ142(図14参照)を作成し、RAM104内に記憶する。図14において、折れ線200および202は歯面23bおよび23cのクラウニング形状を表すものである。
【0065】
この分割する点は、等間隔である必要はなく、クラウニング形状に基づいて任意の間隔に設定すればよい。また分割数も16である必要はなく、歯幅B0に基づいて適切な数に設定すればよい。
【0066】
次に、ステップS2において、リスト作成部144(図10参照)は、内部データ142に基づいて第1リスト126および第2リスト128を生成する。具体的には、まず、内部データ142から、各分割点Z1〜Z16における歯面23bおよび歯面23cの平均研削量Aveを求める。例えば、ある分割点において歯面23bの研削量がGLであり歯面23cの研削量がGRであるとすれば、この分割点における平均研削量Aveは、Ave=(GL+GR)/2として求められる。
【0067】
次に、ステップS3において、各分割点におけるX軸の切込量GXと位相研削による切込量Gθを次の(1)式および(2)式によって求める。
X=PCD−Ave/tan(α) …(1)
Gθ=GθL−GθR …(2)
【0068】
ここで、PCDは被研削用歯車22のピッチ円周であり、歯数NW、モジュールMoおよびねじれ角βから求められる。αは圧力角である。歯数NW、モジュールMo、ねじれ角βおよび圧力角αは数値入力画面140において入力された数値を使用する。また、GθLは、各分割点における歯面23bの研削量の絶対値であり、GθRは、各分割点における歯面23cの研削量の絶対値である。
【0069】
(1)式においては、歯23に対して直角方向に表されている寸法を軸直角寸法の値に変換することができる。
【0070】
さらに、切込量GXと切込量Gθは、研削分担割合Rtの値によって、按分される。つまり、研削分担割合Rtが100[%]であるときには、位相研削が支配的に研削し、研削分担割合Rtが0[%]であるときには、切込研削が支配的に研削することとなる。
【0071】
次に、ステップS4において、各分割点Z1〜Z16とX軸の切込量GXとの関係を第1リスト126の「切込量」欄126aに記録し、各分割点Z1〜Z16と位相研削による切込量Gθとの関係を第2リスト128の「左歯面研削量」欄128a、「右歯面研削量」欄128bに記録する。
【0072】
第1リスト126のサイクル数は、数値入力画面140の研削サイクル数Cyの入力値である。この研削サイクル数Cyが「2」以上であるときには、X軸の切込量GXを所定の割合ずつに分けて研削を行うように第1リスト126の「切込量」欄126aに記録する。例えば、X軸の切込量GXが10[μm]、研削サイクル数が「3」あったとすると、第1サイクルでは5[μm]、第2サイクルでは3[μm]、そして第3サイクルでは2[μm]を研削し、合計として10[μm]を研削するようにする。このようにすることで、初回のサイクルは粗研削、最終のサイクルは仕上げ研削として作用し、研削精度を向上させることができる。
【0073】
また、数値入力画面140の研削種別Tyにおいて、片歯面研削が選択されているときには、内部データ142(図14参照)の折れ線200で表される研削量を第2リスト128の「左歯面研削量」欄128aに記録し、折れ線202で表される研削量を「右歯面研削量」欄128bに記録する。また、数値入力画面140の研削種別Tyにおいて、差動修正が選択されているときには、「左歯面研削量」欄128aおよび「右歯面研削量」欄128bの両方に、(2)式による切込量Gθを記録する。
【0074】
なお、第1リスト126の「スピード」欄126bについては、トラバース速度設定領域156(図12参照)の速度曲線174に基づいてトラバーステーブル18の速度が決定されて記録される。
【0075】
この時点では、第1リスト126および第2リスト128とも仮の状態であり、以降のステップにおいて補正を行う。
【0076】
次に、ステップS5において、工具補正部148によって、第1リスト126を、螺旋条43の先端部半径Rを考慮して補正する。つまり、螺旋条43の先端部43a(図3参照)を基準として生成されているものであるから、先端部半径Rをも考慮して補正する。この補正について図15を参照しながら説明する。
【0077】
図15に示す円201は、螺旋条43の先端部分を近似したものであり、半径は螺旋条43の先端部半径Rと同一に設定されている。工具補正部148では、この円201を、点P1と点P2を結ぶ線分203と点P2において接する円201aに移動するように補正する。点P1およびP2は、第1リスト126に記録された分割点Z1〜Z16のうち、説明用として任意の隣り合う2点を抽出したものである。
【0078】
点P1における螺旋条43の先端位置が(Xa、Za)、点P2における螺旋条43の先端位置が(Xb、Zb)として表される場合、点P2ではハッチング部分204が余分に研削されてしまう。これを補正するために、まず次の(3)式によって傾斜角Ang1を求める。
Ang1=Tan-1((Xb−Xa)/(Zb−Za)) …(3)
【0079】
この傾斜角Ang1は、三角形の相似則により工具接触角Ang2と同じ値となっている。次に、工具接触角Ang2を用いて補正角Ang3を(4)式により求める。
Ang3=Ang1/2=Ang2/2 …(4)
【0080】
さらに、次の(5)式、(6)式によってZ軸方向の補正量ΔZ、X軸方向の補正量ΔXを求める。
ΔZ=R・sin(Ang2) …(5)
ΔX=ΔZ・tan(Ang3) …(6)
【0081】
この補正量ΔX、ΔZを用いて、補正した研削点P3は(Zb+ΔZ、Xb+ΔX)として求まるので、第2リスト128の「左歯面研削量」欄128aの値をこの補正した研削点P3に更新する。
【0082】
次に、ステップS6において、クラウニング傾斜算出部146によって、前記分割点Z1〜Z16毎のクラウニング形状の傾斜値を歯面23bおよび歯面23cについて求める。
【0083】
ここでは、クラウニング傾斜算出部146によって、研削量CL1〜CL16に基づいて区間T1〜T15における歯面23bの傾斜値ATL1〜ATL15を算出する手順について図16を参照しながら説明する。
【0084】
図16の折れ線210は、第2リスト128の「左歯面研削量」欄128aに記録されたクラウニング形状を示すものであり、16分割された分割点Z1〜Z16におけるそれぞれの研削量を研削量CL1〜CL16として表している。
【0085】
分割点Z1およびZ2によって区分される区間T1では、傾斜値ATL1は次の(7)式によって算出される。
ATL1=Tan-1((CL2−CL1)/(Z2−Z1)) …(7)
【0086】
他の区間T2〜T15においても、区間を形成する両端の分割点Z2〜Z15および各分割点Z2〜Z15における研削量を示す研削量CL2〜CL15を用いて傾斜値ATL2〜ATL15を算出する。
【0087】
算出した傾斜値ATL1〜ATL15は、それぞれ区間T1〜T15に対応させて第2リスト128の「左歯面」欄128dに記録する。
【0088】
なお、歯面23cに関する傾斜値ATR1〜ATR15は、「右歯面研削量」欄128bに基づいて同様に算出される。
【0089】
また、研削種別Tyが差動修正研削であるときには、傾斜値ATL1〜ATL15は、それぞれ対応する区間T1〜T15に関して傾斜値ATR1〜ATR15と同値になるので、その同値を「左歯面」欄128dおよび「右歯面」欄128eの両方に記録すればよい。
【0090】
このようにして、第1リスト126および第2リスト128は、位相研削と切込研削とが共働して研削する3次元状の研削を、分割点Z1〜Z16に基づいた簡便な表形式として生成されることとなる。しかも、第1リスト126および第2リスト128は、クラウニング編集プログラム130を用いることによって、簡便な操作で生成することができる。
【0091】
図17に示す切込量確認画面300(図10も参照)は、生成された第1リスト126および第2リスト128の内容を確認するための画面である。この切込量確認画面300は、トラバーステーブル18の移動量と切込テーブル14の移動量との関係を示すZX研削画面302と、Zθ研削確認画面304と、ボタン領域158とからなる。ボタン領域158は、数値入力画面140において表示されているものと同一である。
【0092】
ZX研削画面302およびZθ研削確認画面304における横軸306a、306bは、前記横軸157a〜157c(図12参照)と同様に、被研削用歯車22の軸心方向すなわちZ軸方向を示し、直線160および162は被研削用歯車22の歯幅B0を表す。
【0093】
ZX研削画面302の縦軸302aは、切込テーブル14の移動量つまりX軸方向の移動量を示し、移動軌跡線308は、トラバーステーブル18の移動量と切込テーブル14の移動量との相互関係を表している。また、縦軸302aは、図17の下方向が切り込み方向であり、移動軌跡線308が下の方に位置するほど研削量が大きいことを示す。
【0094】
図17に示す例では、「○」で表される始点308aから動作を開始し、折れ点308b、308c、308dを経由し、「×」で表される終点308eの順に動作することを表す。この例では、実際上は点308dと308eの間を1往復し、点308a、308b、308c、308d、308e、308d、308eの順に動作している。
【0095】
Zθ研削確認画面304の縦軸304aおよび移動軌跡線310は、位相研削による研削量を示している。
【0096】
図17に示す例では、「○」で表される始点310aから動作を開始し、折れ点310bを経由して一度折れ点310aへ戻り、さらに310c、310d、310eを経由し「×」で表される終点310fの順に動作することを表す。
【0097】
ZX研削画面302の始点308aとZθ研削確認画面304の始点310aは同時刻の動作開始を示し、終点308eと終点310fは同時刻の動作終了を示す。また、移動軌跡線310および前記移動軌跡線308は、同じ動作を繰り返す場合には、相当する線上を往復するものとする。
【0098】
次に、同期制御部60(図6参照)の機能について図18を参照しながら説明する。同期制御部60は、基本的には、被研削用歯車22と歯車研削工具42とを同期速度で回転させるものであり、研削時には第2リスト128に基づいて歯車研削工具42の螺旋条43との相対的な位置関係を示す位相θ(図3参照)を制御して被研削用歯車22を研削する。
【0099】
位相θは、被研削用歯車22と歯車研削工具42が互いに同期速度ωWとωTで回転している状態において規定される。
【0100】
歯車研削工具42の同期速度ωTと被研削用歯車22の同期速度ωWとの関係は、螺旋条43の条数をNT、被研削用歯車22の歯数をNWとしたとき次の(8)式で与えられる。
ωW=ωT・NT/NW …(8)
【0101】
このとき、図18に示すように、歯車研削工具42は同期速度ωTで回転することにより、螺旋条43は見かけ上、歯車研削工具42の軸心方向(矢印V方向)へ移動する。一方、螺旋条43が1ピッチ移動する間に被研削用歯車22も歯23の1ピッチ相当分回転するので、螺旋条43と歯23の上下方向の相対位置が保持されることとなる。
【0102】
同期制御部60の処理としては、(8)式によって同期速度ωTを求めた後、第3パルス発生器84の信号を参照および積算してトラバーステーブル18のZ軸方向の移動量Zをリアルタイムに検出する。そして、次の(9)式により同期速度ωWの補正を行い補正量ΔωWを求める。
ΔωW=Z・sinβ/(π・NW・Mo) …(9)
【0103】
ここで、Moは被研削用歯車22のモジュールである。
【0104】
補正量ΔωWを求めた後、同期制御部60は、第2リスト128の「左歯面」欄128dおよび「右歯面」欄128eを参照して移動量Zに対応する左歯面の傾斜値ATL1〜ATL15および右歯面の傾斜値ATR1〜ATR15を取得する。例えば、移動量ZがZ4からZ5の間であるときには区間T4に対応する「左歯面」欄128dおよび「右歯面」欄128eを参照すると、左歯面の傾斜値はATL4であり、右歯面の傾斜値はATR4として取得する。
【0105】
さらに、同期制御部60は、左側の歯面23bを研削するときには傾斜値ATL1〜ATL15を選択し、右側の歯面23cを研削するときには傾斜値ATR1〜ATR15を選択する。また、差動修正研削時にはATLnとATRn(nは区間T1〜T15に対応する番号1〜15を示す。以下、同様である。)は同値となっているので、任意の一方を選択する。
【0106】
次に、選択した傾斜値をATnとして表し、補正量ΔωWを次の(10)式によって求める。
ΔωW=Z・sin(β+ATn)/(π・NW・Mo) …(10)
【0107】
被研削用歯車22がはすば歯車ではなく通常の平歯車である場合にも、ねじれ角βをβ=0として上記(9)式および(10)式を利用することができる。
【0108】
同期制御部60は、これらの式に基づいて補正量ΔωWを求めた後、実際に被研削用歯車22を回転させる同期速度ωRを次の(11)式によって求める。
ωR=ωW+ΔωW …(11)
【0109】
ところで、第2リスト128はZ軸座標値と位相研削による研削量との関係を表したものであることから、第2リスト128に基づく上記(10)式および(11)式により同期速度ωWを補正することによって同期速度ωWおよび位相θを制御することができる。より具体的には、求めた回転速度ωRを指令信号として駆動回路68に与えてワークスピンドルモータ26を回転させることにより制御が行われる。
【0110】
次に、テーブル制御部61(図6参照)の機能について説明する。
【0111】
テーブル制御部61は、第1リスト126に基づいて切込テーブル14およびトラバーステーブル18を動作させるものである。RAM91に記憶された第1リスト126を参照しながら、切込テーブル14およびトラバーステーブル18をX軸方向およびZ軸方向にそれぞれ動作させる。
【0112】
図8に示す第1リスト126の例では、トラバーステーブル18はZ軸の値がZ1の点が開始点となり、分割点Z2、Z3、…Z16の順に移動する。この時点で第1ストロークが終了し、その後連続的に(または所定時間停止した後に)、第2ストロークへ移行して分割点Z16、Z15、…Z1と移動する。さらにその後、第3ストロークへ移行して分割点Z1、Z2、…Z16と移動して動作を終了する。このときの動作速度は、第1リスト126の「スピード」欄126bを参照して決定する。例えば、第1ストロークでZ軸が分割点Z5であればスピードはV5に設定される、また、Z軸が分割点Z5とZ6の中間であれば、分割点V5およびV6から補間して移動速度を求めて制御する。
【0113】
さらに、テーブル制御部61は、トラバーステーブル18と共働して切込テーブル14をX軸方向に動作させる。つまり、図8の例では、第1ストロークにおいてX軸の値をX001から開始してX001、X002、…X016と移動させる。例えば、Z軸が分割点Z5であれば、X軸はX005となるようにし、Z軸が分割点Z5とZ6の中間であれば、X005およびX006から補間してX軸の値を求めて制御する。第2ストロークおよび第3ストロークについても同様に制御する。
【0114】
テーブル制御部61は、第2リスト128に基づいて切込テーブル14のX座標値およびトラバーステーブル18のZ座標値を求めた後、光ファイバ96を介して駆動回路93、94に指令信号を与えて切込テーブル14およびトラバーステーブル18を駆動する。
【0115】
次に、このように構成される歯車研削装置10を用いて片歯面研削を行う手順について図19〜図22を参照しながら説明する。
【0116】
まず、クラウニング編集プログラム130を立ち上げた後、ステップS101において、数値入力画面140(図11参照)を表示させて所定の数値を入力する。このとき、研削種別Tyは「片歯面研削」を選択し、研削分担割合Rtは50[%]とする。
【0117】
次に、ステップS102において、クラウニング形状設定画面150(図12参照)を表示させて、クラウニング形状およびトラバース速度を設定する。
【0118】
次に、ステップS103において、「CALC」ボタン180をクリックすることにより第1リスト126および第2リスト128を生成する。第1リスト126および第2リスト128は、ステップS101で入力されたデータに基づいて生成され、ハードディスク106に格納される。
【0119】
次に、ステップS104において、切込量確認画面300(図17参照)を表示させて切込量を確認する。片歯面研削においては、例えば、図20に示すように、矢印350、352、354および356で表される4つのストロークによって研削を行うことができる。図20では、移動軌跡線308および310に対して、対応するストロークにそれぞれ矢印350、352、354、356を付している。なお、図22、図23および図25についても同様の表記方法としている。
【0120】
矢印350で表される第1ストロークでは、Zθ研削確認画面304で示すように位相θを0に固定しておき、ZX研削画面302で示すように切込研削によって粗研削を行う。このときの切込研削は、歯幅B0の両端部を深く切り込むような弧を描いて設定される。矢印352で表される第2ストロークでは、位相θを0に固定しておき、切込テーブル14をさらにX軸方向に移動させて切り込み、歯面23b、23cの基礎的な形状を形成する。このときの切込研削も、歯幅B0の両端部を深く切り込むような弧を描いて設定される。矢印354で表される第3ストロークでは、切込研削は第2ストロークのときと同じように動作させ、さらに、位相θをマイナスの値で且つ弧状の設定にすることによって位相研削を行い、歯面23cに対してクラウニング形状を形成する。最後に、矢印356で表される第4ストロークでは、位相θをプラスで且つ弧状に設定にすることにより、位相研削を行い、歯面23bに対してクラウニング形状を形成することとなる。
【0121】
このように、第3および第4ストロークでは切込研削と位相研削とを組み合わせてクラウニング研削を行い、研削量の分担割合は、数値入力画面140で入力した研削分担割合Rtの値に従う。つまり、この場合では、切込研削と位相研削が50[%]ずつの分担割合で研削を行う。
【0122】
また、この切込量確認画面300において、切込量が不適当であると判断すれば、ステップS102においてクラウニング形状を再設定する。
【0123】
次に、ステップS105において、第1リスト126および第2リスト128をLAN制御部124を介してテーブル制御部61および同期制御部60へそれぞれ転送する。テーブル制御部61では、第1リスト126をRAM91に記録し、同期制御部60では第2リスト128をRAM66に記録する。
【0124】
次に、ステップS106において、研削を開始する。まず、被研削用歯車22をワーク軸48の一端部にクランプ治具50を介して装着するとともに、シフトテーブル32は、被研削用歯車22の大きさや、研削しようとする歯筋のねじれ角β(図4参照)に応じて矢印C方向(図2参照)および矢印D方向に予め調整を行っておく。
【0125】
次に、ステップS107において、同期制御部60の機能によって歯車研削工具42を同期速度ωTで回転させ、被研削用歯車22を同期速度ωWで回転させる。
【0126】
次に、ステップS108において、被研削用歯車22の歯溝23aと、歯車研削工具42の螺旋条43とを噛合させる。この動作は、歯先検出センサ24を用いて自動的に行われる。
【0127】
なお、ステップS108の噛合動作は予め実施した位相教示処理に基づいて位相θを検出しながら実行される。位相教示処理とは、自動噛合を行うために被研削用歯車22と歯車研削工具42の位相状態を同期制御部60に記憶させる処理である。例えば、被研削用歯車22と歯車研削工具42とを低速で回転させながら連れ回りさせ、このとき発生する歯先検出センサ24、第1パルス発生器80および第2パルス発生器82の各信号から位相θのデータを取得し、同期制御部60に記憶させるものである。
【0128】
この位相教示処理は、ワークスピンドルモータ26および工具スピンドルモータ38をオフとした状態で手動によって行ってもよい。
【0129】
次に、ステップS109において、テーブル制御部61が、第1リスト126(図8参照)に従って切込テーブル14およびトラバーステーブル18を動作させる。このとき、図20に示した片歯面研削の例では、第1および第2ストロークでは切込研削を行うように切込テーブル14およびトラバーステーブル18を動作させ、第3および第4ストロークでは、切込テーブル14を固定にしたままトラバーステーブル18のみを動作させる。
【0130】
このときのトラバーステーブル18の移動速度は、「スピード」欄126bに基づいて決定される。
【0131】
また、ステップS109と並列進行的に、ステップS110においては、同期制御部60が、上記の手順により、トラバーステーブル18の位置を検出しながら位相θを制御して位相研削を行う。
【0132】
つまり、第1および第2ストロークでは位相θをθ=0となるように制御する。第3ストロークにおいては、第2リスト128の「左歯面」欄128dを参照しながら傾斜値ATL1〜ATL15を算出し、前記(11)式に基づいて回転速度ωRを求めて被研削用歯車22を回転させて、歯面23bに対して位相研削を行う。同様に、第3ストロークにおいては、第2リスト128の「右歯面」欄128eを参照しながら傾斜値ATR1〜ATR15および回転速度ωRを求めて被研削用歯車22を回転させ、歯面23cに対して位相研削を行う。
【0133】
このようにして、片歯面研削を行うことにより、歯面23bと歯面23cは個別に研削されることとなるので、研削時に互いに影響を受けることがなく自由な形状に研削することが可能である。
【0134】
また、従来技術では、テーブル制御部61によって切込テーブル14とトラバーステーブル18とを2次元的に動作させて研削を行っていたのに対して、本実施の形態においては、同期制御部60による位相θの制御をも組み合わせて3次元的に加工を行うようにしたので、研削の自由度が大幅に向上している。
【0135】
ところで、被研削用歯車22は、製品として使用するときには軸心を中心として回転しながら相手側の歯車と噛合するので、クラウニング形状も軸心に対して直角な方向に対称であるとより確実に噛合することができて望ましい。片歯面研削では、歯面23bおよび歯面23cを自由に研削することができるので、図21Aに示すように、Z軸方向(軸心方向)に直角な方向に対称な形状にクラウニング研削を行うことができる。
【0136】
また、図21Bに示すように、歯面23bと歯面23cとを非対称な形状に研削することも可能である。
【0137】
なお、図21Aおよび21Bにおける破線390は、設計上、歯面23bと歯面23cの対向する部分を模式的につないで示した線であり、一点鎖線392a、392bは所定の同じ高さを結んだ等高線である。これらの破線390および一点鎖線392a、392bは、従来技術について説明した図28の破線516、一点鎖線514a、514bに相当するものである。
【0138】
さらに、上記の例では、研削分担割合Rtが50[%]の場合について説明したが、例えば、研削分担割合Rtが0[%]の場合には、図22に示すように研削を行うことができる。
【0139】
つまり、矢印360で表される第1ストロークでは位相θをθ=0としたまま、切込研削だけによって粗研削を行う。このとき、移動軌跡線308は両端部を切込む弧状に設定する。矢印362で表される第2ストロークでは位相θをθ=0としたまま、さらに切込研削を行う。このときの移動軌跡線308は、第1ストローク時よりも切込量を多くしてクラウニング形状の基礎的な形状を形成する。矢印364、366で表される第3および第4ストロークにおいては、切込研削は第2ストロークと同じ動作をさせながら、位相θをプラスまたはマイナスの一定値にすることによって、仕上げのクラウニング研削を行うようにする。
【0140】
さらにまた、研削分担割合Rtが100[%]の場合には、図23に示すように研削を行うことができる。すなわち、矢印370で表される第1ストロークでは位相θをθ=0としたまま、切込研削によって粗研削を行う。このとき切込テーブル14のX軸方向の位置は固定とする。矢印372で表される第2ストロークでは位相θをθ=0としたまま、さらに切込テーブル14を切込方向つまりX軸方向に移動させて研削を行い、クラウニング形状の基礎的な形状を形成する。矢印374、376で表される第3および第4ストロークにおいては、切込テーブル14を固定したまま、位相θを制御してクラウニング研削を行う。このとき、歯幅B0の両端部をより深く研削するようにする。
【0141】
このようにして、クラウニング形状設定画面150におけるクラウニング形状の設定が同一であっても、研削分担割合Rtの値を適宜変更することによって、位相研削と切込研削との研削の分担割合を変えることができるので、研削の自由度が大きい。
【0142】
次に、歯車研削装置10を用いて差動修正研削を行う手順について図24を参照しながら説明する。
【0143】
まず、クラウニング編集プログラム130を立ち上げた後、ステップS201において、数値入力画面140を表示させて所定の数値を入力する。このとき、研削種別Tyは「差動修正研削」を選択する。
【0144】
続くステップS202およびS203は、前記ステップS102およびS103と同様に処理する。
【0145】
次に、ステップS204において、切込量確認画面300(図17参照)を表示させて切込量を確認する。差動修正研削においては、例えば、図25に示すように、矢印380で表される粗研削の第1ストローク、矢印382で表される中仕上げ研削の第2ストロークおよび矢印384で表される仕上げ研削の第3ストロークによって研削を行うことができる。
【0146】
位相研削は、被研削用歯車22の歯幅B0の中央部では位相θをθ=0とし、一端部では位相θをプラスの方向へカーブ386を描くように設定し、他端部では位相θをマイナスの方向へカーブ388を描くように設定しておく。このカーブ386、388は、被研削用歯車22を研削する際に負荷の不平衡によって画かれる研削軌跡512(図28参照)と逆カーブに設定する。
【0147】
これらのカーブ386および388の詳細な形状は、被研削用歯車22および螺旋条43の形状や剛性から研削軌跡のずれ量を計算しておき、そのずれ量を相殺することができる形状に設定すればよい。また、この計算を省略して、実際に研削した歯23の形状誤差を計測することによって、逆算的にカーブ386および388を設定するようにしてもよい。
【0148】
続くステップS205〜S208は、前記ステップS105〜S108と同様に処理する。
【0149】
次に、ステップS209において、テーブル制御部61は、前記ステップS109と同様に第1リスト126に従って切込テーブル14およびトラバーステーブル18を動作させる。
【0150】
このとき、図25に示した差動修正研削の例では、ZX研削画面302の移動軌跡線308を歯幅B0の両端部をより深く切り込む弧を描くようにし、且つ第1〜第3ストロークの順に次第に深く切り込むように切込研削を行う。
【0151】
このときのトラバーステーブル18の移動速度は、「スピード」欄126bに基づいて決定される。
【0152】
また、ステップS209と並列進行的に、ステップS210においては、同期制御部60が、上記の手順によりトラバーステーブル18の位置を検出しながら位相θを制御して位相研削を行う。
【0153】
つまり、被研削用歯車22の歯幅B0の中央部では位相θをθ=0とし、一端部では位相θがプラスの方向となるように動作し、他端部では位相θをマイナスの方向とすべく略S字状軌跡を描くように動作させる。また、第1〜第3ストロークでは、同じ軌跡を描くように動作させる。
【0154】
このようにして、差動修正研削を行うことにより、歯幅B0の両端部で、ねじれ角βの影響による研削軌跡のずれを逆補正することができる。
【0155】
上記の実施の形態においては、第1リスト126および第2リスト128を、同一の分割点Z1〜Z16に基づいて生成されたものとして説明したが、これらの分割点Z1〜Z16は、第1リスト126および第2リスト128で異なるものであってもよい。また、分割点の数は適宜設定することができる。すなわち、同期制御部60では、任意のZ軸位置に対して第2リスト128に記録された分割点から補間することにより対応できるので、分割点の位置および数によって動作が制約を受けることはない。
【0156】
また、主制御部10bでは、同期制御部60とテーブル制御部61とによって、位相研削と切込研削とを分担するものとしたが、これらの同期制御部60およびテーブル制御部61は1つの制御部として統合されたものであってもよい。この場合、第1リスト126および第2リスト128を統合して用いてもよい。
【0157】
本発明に係る歯車研削方法および歯車研削装置は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々のステップ乃至構成を採り得ることはもちろんである。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る歯車研削方法および歯車研削装置によれば、歯車の歯面および歯筋を種々の形状に研削することができるという効果が達成される。また、被研削用歯車の端部を研削する際に研削負荷の不平衡による研削誤差を吸収し、被研削用歯車の研削精度を向上させることができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る歯車研削装置を示す斜視図である。
【図2】歯車研削工具と被研削用歯車との位置関係を示す模式説明図である。
【図3】被研削用歯車と歯車研削工具との位相を示す一部概略断面説明図である。
【図4】歯面を研削した状態を示す歯車の概略正面説明図である。
【図5】被研削用歯車とワークスピンドルモータとの接続状態を示す概略構成説明図である。
【図6】歯車研削装置の制御回路を示すブロック図である。
【図7】データ処理部の内部ブロック図である。
【図8】第1リストの構造を示す表である。
【図9】第2リストの構造を示す表である。
【図10】クラウニング編集プログラムの機能構成を示すブロック図である。
【図11】数値入力画面を示す説明図である。
【図12】クラウニング形状設定画面を示す説明図である。
【図13】第1リストおよび第2リストを生成する手順を示すフローチャートである。
【図14】内部データの内容を示すグラフである。
【図15】工具補正部により、螺旋条の厚みによる加工誤差を補正する手順を示す説明図である。
【図16】クラウニング傾斜算出部によって、クラウニング形状の傾斜値を算出する手順を示す説明図である。
【図17】切込量確認画面を示す説明図である。
【図18】被研削用歯車を歯車研削工具の螺旋条により研削している状態を示す模式説明図である。
【図19】片歯面研削を行う手順を示すフローチャートである。
【図20】片歯面研削において、位相研削の比率が50%である場合の切込量確認画面を示す説明図である。
【図21】図21Aは、片歯面研削によって歯面を軸直角に研削した状態を示す説明図であり、図21Bは、片歯面研削によって歯面を非対称に研削した状態を示す説明図である。
【図22】片歯面研削において、位相研削の比率が0%である場合の切込量確認画面を示す図である。
【図23】片歯面研削において、位相研削の比率が100%である場合の切込量確認画面を示す説明図である。
【図24】差動修正研削を行う手順を示すフローチャートである。
【図25】差動研削において、切込量確認画面を示す図である。
【図26】図26Aは、従来技術による研削工程における歯車研削工具の螺旋条と被研削用歯車の形状を示す一部概略断面説明図であり、図26Bは、従来技術における研削状態を示す一部概略断面説明図である。
【図27】従来技術によりはすば歯車を研削する状態を示す概略正面説明図である。
【図28】従来技術において、歯面を研削した状態を示す概略正面説明図である。
【符号の説明】
10…歯車研削装置 10a…研削加工部
10b…主制御部 10c…データ処理部
14…切込テーブル 16…切込モータ
18…トラバーステーブル 20…トラバースモータ
22…被研削用歯車 23…歯
23a…歯溝 23b、23c…歯面
23d…歯底部 24…歯先検出センサ
26…ワークスピンドルモータ 30…旋回テーブル
32…シフトテーブル 38…工具スピンドルモータ
42…歯車研削工具 43…螺旋条
60…同期制御部 61…テーブル制御部
126…第1リスト 128…第2リスト
130…クラウニング編集プログラム 140…数値入力画面
143…内部データ設定部 144…リスト作成部
146…クラウニング傾斜算出部 148…工具補正部
150…クラウニング形状設定画面 300…切込量設定画面

Claims (7)

  1. 第1モータにより被研削用歯車を回転させ、
    第2モータにより歯車研削工具を前記被研削用歯車に同期して回転させ、
    前記歯車研削工具の螺旋条を前記被研削用歯車に噛合させ、
    前記被研削用歯車の軸心方向の移動と、前記軸心方向に対して直角方向の移動とを行い、前記被研削用歯車の歯と前記歯車研削工具の歯との位相を0に保ちながら第1回目の研削を行い、
    前記位相を0に保ちながら、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを前記直角方向にさらに接近させて第2回目の研削を行い、
    前記位相をプラス又はマイナスの一方に変化させて第3回目の研削を行い、
    前記位相をプラス又はマイナスの他方に変化させて第4回目の研削を行い、
    前記第1回目の研削から前記第4回目の研削は、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを相対的に前記軸心方向に往復させながら行うことを特徴とする歯車研削方法。
  2. 第1モータによりはすば歯車である被研削用歯車を回転させ、
    第2モータにより歯車研削工具を前記被研削用歯車に同期して回転させ、
    前記歯車研削工具の螺旋条を前記被研削用歯車に噛合させ、
    前記被研削用歯車の軸心方向の移動と、前記軸心方向に対して直角方向の移動と、前記被研削用歯車と前記歯車研削工具との位相の変化とを共働させて前記被研削用歯車を研削し、
    前記被研削用歯車の歯幅方向の端部を研削する際、両面研削から片面研削に移行するときに前記歯車研削工具にかかる負荷の不平衡による研削誤差に対して、該研削誤差を相殺する逆補正を行うように研削量を規定して研削を行うことを特徴とする歯車研削方法。
  3. 請求項1記載の歯車研削方法において、
    少なくとも前記第1回目の研削及び前記第2回目の研削では、前記螺旋条により前記被研削用歯車の歯の左側歯面および右側歯面を同時に研削することを特徴とする歯車研削方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯車研削方法において、
    前記被研削用歯車の歯幅以上の移動経路上における複数の分割点で、研削しようとするクラウニング形状に基づく研削量を設定し、該研削量に基づいて前記被研削用歯車を研削することを特徴とする歯車研削方法。
  5. 請求項4記載の歯車研削方法において、
    前記分割点において設定された研削量に基づいて前記移動経路上の任意の位置における補間研削量を決定し、前記被研削用歯車を研削することを特徴とする歯車研削方法。
  6. 被研削用歯車を軸心を中心にして回転させる第1モータと、
    前記被研削用歯車の歯を研削する歯車研削工具と、
    前記歯車研削工具を軸心を中心にして回転させる第2モータと、
    前記被研削用歯車と前記歯車研削工具とを相対的に進退動作させる切込機構と、
    前記被研削用歯車を軸心方向に進退動作させるトラバース機構と、
    前記被研削用歯車の軸心方向の移動、前記軸心方向に対して直角方向の移動および前記被研削用歯車の歯と前記歯車研削工具の歯との位相の変化を共働させて制御するコントローラと、
    を有し、
    前記コントローラは、前記位相を0に保ちながら、前記切込機構の作用下に前記被研削用歯車を前記直角方向に移動させ、前記歯車研削工具に接近させる第1回目の研削を行い
    前記位相を0に保ちながら、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを前記直角方向にさらに接近させて第2回目の研削を行い、
    前記位相をプラス又はマイナスの一方に変化させて第3回目の研削を行い、
    前記位相をプラス又はマイナスの他方に変化させて第4回目の研削を行い、
    前記第1回目の研削から前記第4回目の研削は、前記歯車研削工具と前記被研削用歯車とを相対的に前記軸心方向に往復させながら行うように制御することを特徴とする歯車研削装置。
  7. 請求項6記載の歯車研削装置において、
    前記コントローラは、前記トラバース機構および前記切込機構を制御するテーブル制御部と、前記トラバース機構の状態に応じて前記第1モータおよび前記第2モータを制御する同期制御部とを有することを特徴とする歯車研削装置。
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