JP3979888B2 - 密封容器入り茹卵 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、調味液に浸漬した状態で密封容器に収容した茹卵に関する。
【0002】
【従来の技術】
茹卵を工業的に使用する場合、茹で上げられた茹卵は、複数個〜約10kg程度の大量の茹卵を調味液に浸漬した状態で密封容器に収容され、輸送用の容器に入れられて、茹卵製造工場から弁当工場などに輸送し、そこで開封され、切断を行なうなどして、弁当、ラーメン、中華丼、サンドイッチ等の具材として用いられている。従来、袋に詰められた茹卵は、輸送中や冷蔵庫の中では、輸送用の容器に入れたまま保管し、輸送用の容器から取り出してすぐに使用するため、光に当ることはなかった。
近年、店舗ごとに弁当やサンドイッチを製造するフランチャイズ店が増加してきた。フランチャイズ店では弁当工場のように大量に茹卵を使用しないので、箱詰にせず、約1kg程度の透明の小袋で納入される。このようなフランチャイズ店等で、小袋を光の当るショーケースに保管すると、調味液及び茹卵の卵白表面が変色し、袋ごとゆすると調味液中に卵白表面の変色部分が溶出し、また、茹卵が異味、異臭が生じることがわかってきた。
【0003】
変色を防止する方法として、特開昭55―61783号公報に「ゆで卵を水溶液に浸漬した状態でプラスチック製の袋に密封し、この袋を更に他の水溶液に浸漬した状態で容器に入れて容器入りゆで卵を製造するに際し、袋を浸漬する水溶液中に酸化防止剤を添加することを特徴とする容器入りゆで卵の製造方法。」が記載されている。しかしながら、この方法によると、水溶液に浸漬した茹卵をさらに他の水溶液に浸漬することが必要であり、容器にする包材や水溶液が多量に必要であり、かつ、特に鶉卵より大きい鶏卵程度の茹卵を用いた場合には、全体の容積が大きくなり取り扱い上不便であり、工業的には実用性に劣り、好ましい方法と言えるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、調味液に浸漬した状態で密封容器に収容する茹卵であって、光による変質を抑制した茹卵を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)調味液に浸漬した状態で、密封容器に収容してなる茹卵であって、調味液に対して、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムの一種又は二種以上を0.01%以上、4%以下の量で添加してなる密封容器入り茹卵、(2)前記密封容器が透明密封容器である(1)記載の密封容器入り茹卵、を提供することである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味する。
本発明の調味液とは、保存や味付けのために茹卵を浸漬する液である。調味液には、食酢や、酢酸ナトリウム、グリシン、ポリリジン等の静菌剤や、食塩、砂糖、アミノ酸、核酸、醤油等の調味料を添加してもよい。また、調味液が無色透明であると、光による影響を受けやすいので、茹卵の卵白表面の変色防止効果が得られやすくより望ましい。
【0007】
本発明で用いる密封容器は、密封可能であればよく、材質、形状等は特に制限はない。例えば、プラスチック製の硬質な容器、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、ビニル製の軟質な容器等が挙げられる。また、密封容器は有色でもよく、無色透明であると光を通しやすいので、本発明の効果が特に得られる。なお、密封する際は、ヘッドスペースを設けてもよい。
【0008】
本発明において、茹卵とは、卵白が熱変性により、殻を剥くことができる程度に凝固しており、殻剥きしたものである。卵黄の凝固具合は特に問わず、流動性のある液状から凝固してほぐれやすい状態にまで、加熱されているものを含む。また、茹卵に用いる原料としては、鶏卵、鶉卵、アヒル卵等用いることができる。なお、鶉卵程度の小さい茹卵は、特開昭55―61783号公報のように二重包装してもそれほど大きくならないが、鶉卵より大きい鶏卵程度の茹卵は取り扱い上かさばるので、二重包装になるような形態は好ましくない。
密封容器に収容する際の、茹卵と調味液の比率は適宜選択すればよく、例えば茹卵1部に対して調味液が0.5部以上、2.0部以下程度であると、茹卵が調味液に浸漬しやすくなるのでより望ましい。
【0009】
本発明の茹卵を浸漬する調味液に、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸の一種又は二種以上を添加してあると、茹卵と調味液が保管中に変色し難く、異臭や異味も防止できる。中でもアスコルビン酸ナトリウムは、変色防止効果が高く、より望ましい。
なお、添加量が多いほど効果は得られやすく、添加量が多くなると塩味が感じられる場合があるので、茹卵を除く調味液全体に対し、添加量が0.01%以上、4.0%以下であるとより望ましく、より変色を抑制できる点から0.05%以上、0.5%以下であるとさらに望ましい。
【0010】
以下、本発明の代表的な製造方法を説明するが、特にこの方法に限定するものではない。
まず、殻付生卵を用意する。殻付生卵は必要に応じ、卵殻表面に付着した糞等を除去するために卵殻表面を洗浄する。
卵白が熱変性により凝固し、殻を剥くことができる程度まで、殻付生卵を加熱し、茹卵を得る。加熱の程度は卵の大きさや形にもよるが、80℃〜100℃で5分間〜30分間程度加熱すればよく、加熱しすぎると硫化黒変が発生してしまうので注意を要する。また、過加熱にならないように加熱後は速やかに冷却することが望ましい。
また、加熱方法は、湯中加熱、蒸煮加熱、シャワー式加熱等適宜選択すればよい。
【0011】
次に、調味液を調製する。調味液は、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸の一種又は二種以上を他の材料とともに添加し、均一となるように、攪拌する。
【0012】
このようにして得られた密封容器入り茹卵は、保管中に変色することなく、異臭、異味の発生を防ぐことができる。いかなる理由により、変色と異臭、異味を防止できるのか定かではないが、茹卵中の可溶性成分が調味液中に溶出し、溶出した可溶性成分が光によって変質するのを、アスコルビン酸ナトリウム等が抑制するのではないかと推察される。
【0013】
次に実施例と試験例に基づき、さらに詳細に説明する。
実施例1
殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)100個を95℃の湯に投入し、15分間加熱した後、4℃程度の冷水にて冷却し、殻を剥き、茹卵を得た。
下記の配合にて、各原料を攪拌混合し、調味液を調製した。
調製した調味液500gに対して、茹卵500gの割合でポリエチレン製の軟質な透明容器に充填密封し、本発明の密封容器入り茹卵とした。なお、調味液は加熱殺菌したものを用いた。
【0014】
実施例2
実施例1と同様の方法で、アスコルビン酸ナトリウムをエリソルビン酸ナトリウムに変更して、密封容器入り茹で卵を調製した。
【0015】
実施例1と実施例2で得られた密封容器入りの茹卵を10℃で8000ルクスの光が当るショーケースに2晩保管した後、調味液の色と茹卵の色を観察した後、開封して、茹卵の試食を行なった。
【0016】
アスコルビン酸ナトリウムを添加した密封容器入り茹卵は、調味液の色は無色透明であり、茹卵の表面の色は白く濁りがなかった。エリソルビン酸ナトリウムを添加した密封容器詰め茹で卵は、調味液の色は無色透明であり、茹で卵の色は白かった。両方の茹卵を試食したところ、茹卵本来の味と風味がして、おいしいかった。
【0017】
実施例3
殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)200個を95℃の湯中に投入し、15分間加熱し、4℃の冷水にて冷却し、殻を剥き、茹卵を得た。
下記の配合にて、各原料を攪拌混合し、調味液を調製した。
調製した調味液300gに対して、茹卵300gの割合でポリエチレンテレフタレート製の硬質な透明容器に充填密封し、本発明の密封容器入り茹卵とした。なお、調味液は加熱殺菌したものを用いた。
得られた密封容器入りの茹卵を10℃で8000ルクスの光が当るショーケースに2晩保管した後、調味液の色と茹卵の色を観察し、開封して、茹卵を試食した。
【0018】
調味液の色は無色透明であり、茹卵の表面の色は白色で濁りがなかった。茹卵を試食したところ、茹卵本来の味と風味がして、おいしいかった。
【0019】
試験例1
殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)を120個用意し、95℃の湯中に投入し、15分間加熱して、4℃の冷水にて冷却し、殻を剥き、茹卵を得た。
調味液に対して、食塩の添加量が1.0%となるように、また、表1に示すとおりアスコルビン酸ナトリウムの添加量が0.001%〜5.0%となるように、それぞれ清水に添加し、攪拌混合して、調味液(1)〜(11)を得た。得られた調味液と茹卵がそれぞれ1:1となるように、ナイロン/ポリエチレン製の軟質透明容器に充填密封し、密封容器入り茹卵を得た。なお、調味液は加熱殺菌したものを用いた。
また、対照として、食塩を1.0%添加し、アスコルビン酸ナトリウムを添加せず調味液を調製し、同様にして密封容器入りの茹卵を得た。
【0020】
得られた密封容器入り茹卵は、それぞれ5℃、8000ルクスの光を当てながら2晩保管した後、袋をゆすって茹卵表面の変色部分を調味液中に溶出して、開封し、調味液の色を色差計(日本電色工業社製ND−1001DP)で測定し、また、目視により色調を確認した。そして、茹卵の味と臭い(風味)について10名の訓練されたパネラーによる試食試験を行なった。
なお、色差計による測定は、添付マニュアルの透過色測定法に従い、吸収セルを用いて行なったものである。色差測定により得られるΔL(明るさ)、Δa(赤色)、Δb(黄色)の値を元に、ΔEの値を[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2に従って算出する。ΔEの値は、清水に対する色の濃さを示し、値が大きいほど色が濃いことを示し、小さいほど色が薄く清水に近いことを示す。
また、味と臭いについては10名の訓練されたパネラーの評価点の平均値である。
【0021】
【表1】
【0022】
表1より、アスコルビン酸ナトリウムを添加してあると、無添加の対象と比較して劣化臭は低減し、異味は食したときに気にならない程度に低減し、茹卵及び調味液の変質が抑制された密封容器入り茹卵を得られたことが理解できる。アスコルビン酸ナトリウムの添加量が0.01%以上、4.0%以下であると、目視では清水と見分けがつかない程度にまで無色透明であり、劣化臭も異味も感じられない程度に低減している密封容器入り茹卵を得られたことが理解できる。また、アスコルビン酸ナトリウムの添加量が0.05%以上、0.5%以下であると、劣化臭や異味も殆どなくなり、色差計の測定値であるΔEの値が最も小さくなり、目視では確認できないようなわずかな変質も抑制できた密封容器入り茹卵を得られたことが理解できる。
なお、アスコルビン酸ナトリウムを5.0%添加した密封容器入り茹卵(11)は、若干塩味が感じられた。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、保管中に茹卵及び調味液が変色せず、茹卵に異臭や異味が生じない、密封容器入り茹卵を得ることができる。
Claims (2)
- 調味液に浸漬した状態で、密封容器に収容してなる茹卵であって、調味液に対して、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムの一種又は二種以上を0.01%以上、4%以下の量で添加してなる密封容器入り茹卵。
- 前記密封容器が透明密封容器である請求項1記載の密封容器入り茹卵。
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