JP3979165B2 - 二次元画像撮影装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線等の放射線、可視光、赤外光等の電磁波情報に基づいて画像を検出する二次元画像検出器を備えた二次元画像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置が備える二次元画像検出器には、変換層として半導体膜を用いたものが例示される。例えば、文献W.Zhao, et al. “A flat panel detector for digital radiology using active matrix readout of amorphous selenium.” Proc. SPIE Vol. 2708, pp. 523-531, 1996.には、二次元の行列状に配列されたTFT(信号読み出しスイッチとして機能)を備えた回路基板の上に、アモルファス・セレン(a-Se)膜を蒸着することでX線面センサを構成した例が開示されている。
【0003】
このセンサは、まず、被写体を透過した放射線像がアモルファス・セレン膜上に投影され、像の濃淡に比例した電荷信号がアモルファス・セレン膜内に発生する。その後、アモルファス・セレン膜内に生成された電荷信号は、二次元状に配列された電荷収集電極(蓄積容量)に収集され、回路基板及び信号線を経由して外部に読み出されるようになっている。また、信号線が長くなると読出し雑音が大きくなること、1フレームの画像に相当する電荷信号を読出す時間が長くなること等の理由により、信号線を中央で二分割して両側にアレイアンプ回路を配置することによって信号線を短くしていることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置では、TFTを備えた回路基板にはオフ時においても僅かながらリーク電流が存在するので、本来の信号成分にリーク電流成分が重畳された形で信号が読み出される。このようにして重畳されるリーク電流成分は、その信号線に接続されている全スイッチのリーク電流成分の総和になる。各スイッチのリーク電流は、その画素の信号成分に依存するので、信号成分が大きな領域ほどリーク電流が大きくなる。例えば、得られた画像のうち明るい部分に相当する部分ほどリーク電流が大きいので、アーティファクトがより多く発生するという問題がある。
【0005】
また、信号線を二分割している検出器では、分割された信号線ごとにリーク電流値が異なるので、信号線の分割部に信号量の差異が存在し、特に分割部に位置する画像上においてアーティファクトが目立つという問題がある。
【0006】
この発明は、リーク電流成分を取得することによって、リーク電流成分に起因するデジタル信号の誤差を補償してアーティファクトを除去することができる二次元画像撮影装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、電磁波情報を電荷情報に変換する変換層と、TFTのゲート線を制御して、画素の電荷情報を信号線から読み出す回路基板とを有する二次元画像検出器と、前記電荷情報を増幅してデジタル信号に変換する変換回路と、前記デジタル信号を処理して画像化を行う信号処理部とを備えた二次元画像撮影装置において、前記回路基板におけるリーク電流値を信号線ごとに読み出すリーク電流読み出し手段と、前記リーク電流値を用いて前記デジタル信号を補正するにあたり、前記回路基板の同一ゲート線が接続された画素の方向に前記リーク電流値を平滑化して補正に用いる補正手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
(作用・効果)
二次元画像検出装器の変換層で生じた電荷情報が回路基板によって読み出され、変換回路によってデジタル信号に変換され、このデジタル信号が信号処理部で画像化のための処理をされる。このときリーク電流読み出し手段が回路基板におけるリーク電流値を信号線ごとに読み出して取得し、補正手段が、回路基板の同一ゲート線が接続された画素の方向にリーク電流値を平滑化してデジタル信号を補正するので、回路基板のリーク電流成分に起因するデジタル信号の誤差を補償することができる。したがって、信号処理部で画像化された画像からアーティファクトを除去することができる。また、同一ゲート線が接続された画素の方向にリーク電流を平滑化するとは、例えば、同時に読み出される画素群のうち、隣接する画素が接続された信号線のリーク電流値を用いて平滑化する。これによってもリーク電流値に含まれるノイズの影響を抑制することができる。その上、複数回リーク電流値を読み取る必要がないので、リーク電流成分に含まれるノイズの影響を抑制しつつも画像化の時間を短縮することができる。
【0010】
なお、ここでいう補正手段は、信号処理部と別体の構成であってもよく、一体の構成であってもよい。
【0011】
また、補正手段は、ソフトウェアで構成したり(請求項2)、ハードウェアで構成したりすることができる(請求項3)。ソフトウェアで構成した場合にはコストを低減することができ、ハードウェアで構成した場合には処理を高速化することができるので、動画像等をリアルタイムで処理するのに好適である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の二次元画像撮影装置において、前記リーク電流読み出し手段は、リーク電流値を複数回読み出し、前記補正手段は、前記リーク電流値を平滑化して補正に用いることが好ましい。
【0013】
(作用・効果)リーク電流読み出し手段がリーク電流値を複数回読み出し、補正手段がリーク電流値を平滑化して補正に用いる。つまり、時間的に異なる複数のリーク電流値を読み出して平滑化する(例えば、平均値を求める)ことにより、リーク電流値に含まれるノイズを小さくすることができる。したがって、リーク電流値に含まれるノイズの影響を抑制することができる。
【0014】
(削除)
【0015】
(削除)
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の二次元画像撮影装置において、信号線が分割してある場合、前記リーク電流読み出し手段は、分割部のラインから周辺部のラインへ向かって電荷情報の読み出しを行う場合には、前記リーク電流値の読み出しを、分割部に隣接したラインから電荷情報を読み出すタイミングの直前に行い、周辺部のラインから分割部のラインへ向かって電荷情報の読み出しを行う場合には、分割部に隣接したラインから電荷情報を読み出すタイミングの直後に行うことが好ましい。
【0017】
(作用・効果)分割部に隣接したラインは最もリーク電流成分に起因するアーティファクトが目立つ部分である。したがって、このラインから電荷情報を読み出すタイミングにあわせてリーク電流値を読み出すことにより、ある程度時間的な変動を伴うリーク電流値を正確に読み出すことができ、これにより正確に補正を行うことができる。したがって、リーク電流成分に起因するアーティファクトをより効果的に除去することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。
図1及び図2はこの発明の一実施例に係り、図1は実施例に係る二次元画像撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は二次元画像検出装置の一つのセンサ画素について概略構成を示した縦断面図である図である。
【0019】
実施例に係る二次元画像撮影装置は、透過X線を検出する二次元画像検出器1と、この二次元画像検出装置1で検出された電荷情報である電荷信号を増幅してデジタル信号に変換するアレイアンプ3,5と、デジタル信号を処理して画像化を行う等の処理を行う画像処理装置7とを備えている。画像処理装置7には、画像を表示するCRTや液晶表示装置などの画像表示装置9が接続されている。アレイアンプ3,5は、後述するセンサ画素からの電荷信号を増幅するとともにデジタル信号に変換する機能を有する。
【0020】
さらに、二次元画像撮影装置は、二次元画像検出器1の各センサ画素を駆動するゲートドライバ11と、このゲートドライバ11及びアレイアンプ3,5を制御する制御回路13とを備えている。
【0021】
なお、上述したアレイアンプ3,5がこの発明における変換回路に相当し、画像処理装置7がこの発明における信号処理部に相当する。
【0022】
この実施例では、発明の理解を容易にするために二次元画像検出器1が4×4個のセンサ画素をマトリックス状に備えているものとする。具体的には、図1の一番上の左から右に向かってセンサ画素1−1〜1−4の4個のセンサ画素が設けられ、二番目にはセンサ画素2−1〜2−4の4個のセンサ画素が設けられ、三番目にはセンサ画素3−1〜3−4の4個のセンサ画素が設けられ、四番目にはセンサ画素4−1〜4〜4の4個のセンサ画素が設けられている。
【0023】
なお、説明上、センサ画素1−1〜1〜4をラインL1と、センサ画素2−1〜2−4をラインL2と、センサ画素3−1〜3〜4をラインL3と、センサ画素4−1〜4−4をラインL4と適宜に称する。
【0024】
上述したアレイアンプ3は、信号線が長くなると読出し雑音が大きくなること、1フレームの画像に相当する電荷信号を読出す時間が長くなること等の理由により、読み出し信号線が短くなるようにラインL1,L2からの電荷信号を図中の上方向からアレイアンプ3で読み出し、ラインL3,L4からの電荷信号を図中の下方向からアレイアンプ5で読み出す。換言すると、二次元画像検出器1の二方向から電荷信号を読み出すように構成されている。なお、アレイアンプ3,5やゲートドライバ11、制御回路13は二次元画像検出器1に集積されている場合もある。
【0025】
上記の構成をより詳細に説明する。
アレイアンプ3は、ラインL1のセンサ画素1−1とラインL2のセンサ画素2−1の電荷信号を第1信号線SL1から読み出し、ラインL1のセンサ画素1−2とラインL2のセンサ画素2−2の電荷信号を第2信号線SL2から読み出し、ラインL1のセンサ画素1−3とラインL2のセンサ画素2−3の電荷信号を第3信号線SL3から読み出し、ラインL1のセンサ画素1−4とラインL2のセンサ画素2−4の電荷信号を第4信号線SL4から読み出すように構成されている。
【0026】
同様に、アレイアンプ5は、ラインL3のセンサ画素3−1とラインL4のセンサ画素4−1の電荷信号を第5信号線SL5から読み出し、ラインL3のセンサ画素3−2とラインL4のセンサ画素4−2の電荷信号を第6信号線SL6から読み出し、ラインL3のセンサ画素3−3とラインL4のセンサ画素4−3の電荷信号を第7信号線SL7から読み出し、ラインL3のセンサ画素3−4とラインL4のセンサ画素4−4の電荷信号を第8信号線SL8から読み出すように構成されている。
【0027】
なお、上述したアレイアンプ3,5及び第1信号線SL1〜第8信号線SL8がこの発明におけるリーク電流読み出し手段に相当する。
【0028】
上述した各センサ画素1−1〜1−4,2−1〜2−4,3−1〜3−4,4−1〜4−4は、ゲートドライバ11によってオン・オフが制御される。具体的には、ゲート線GL1がラインL1の各センサ画素1−1〜1−4のゲートに接続され、ゲート線GL2がラインL2の各センサ画素2−1〜2−4のゲートに接続され、ゲート線GL3がラインL3の各センサ画素3−1〜3−4のゲートに接続され、ゲート線GL4がラインL4の各センサ画素4−1〜4−4のゲートに接続されている。これらはゲートドライバ11により、例えば、ゲート線GL1、GL4が同時に駆動され、次にゲート線GL2,GL3が駆動されるように順次選択的に駆動される。
【0029】
次に、図2を参照して、各センサ画素1−1,……,4−4について説明する。なお、各センサ画素1−1,……,4−4は同じ構造であるので、センサ画素1−1を例示して説明する。
【0030】
センサ画素1−1は、積層構造を有し、バイアス電圧を供給するための共通電極15と、電磁波情報である透過X線を電荷情報である電荷信号に変換する半導体層17と、この半導体層17内で発生した電荷信号を収集するための画素電極19と、収集された電荷信号を蓄積するための蓄積容量21と、この蓄積容量21の電荷信号を外部に導出するように回路を第1信号線SL1に切換えるトランジスタスイッチ23とを備えている。
【0031】
ここで半導体層17は、この発明における変換層に相当し、例えば、アモルファス・セレン層やCdZnTe層等で構成されている。なお、変換層としては上記の半導体層以外にシンチレータ等を採用することができる。この場合には、シンチレータで一旦光に変換した後、フォトダイオード等で電荷信号に変換して蓄積容量に蓄積する構成とすればよい。
【0032】
半導体層17に入射した透過X線は、半導体層17内で電荷信号に変換され、印加されている内部電界で駆動されて画素電極19に到達する。そして、蓄積容量21に電荷信号として蓄積される。蓄積容量21に蓄積された電荷信号は、ゲート線GL1が駆動されると、トランジスタスイッチ23がオンになって第1信号線SL1から外部に読み出される。このトランジスタスイッチ23にはリーク電流が存在するので、ゲート線GL1を駆動しないトランジスタスイッチ23がオフの状態であっても微弱な信号として第1信号線SL1から出力される。
【0033】
なお、画素電極19と、蓄積容量21と、ゲート線GL1と、トランジスタスイッチ23とは回路基板24に形成されている。
【0034】
次に、図3を参照して、上記のように構成された二次元画像撮影装置における撮影シーケンスについて説明する。なお、予め被写体を二次元画像検出器1の上に載置してX線を曝射し、透過X線が二次元画像検出器1に入射しているものとする。
【0035】
まず、制御回路13がゲートドライバ11を制御してゲート信号GL1,GL4を駆動し、ラインL1のセンサ画素1−1〜1−4及びラインL4のセンサ画素4−1〜4−4のトランジスタスイッチをオンにする(信号S1)。次に、制御回路13がアレイアンプ3,5を動作させて、ラインL1からの電荷信号を増幅するとともにデジタル信号に変換し、同様にラインL4からの電荷信号を変換する(信号SC1)。次いで、画像処理装置7に対して、ラインL1とラインL4からのデジタル信号をデータとして出力する(信号SO1)。これらの一連の動作によって、ラインL1とラインL4に蓄積された電荷信号が画像撮影装置に取り込まれる。
【0036】
次に、上述したような動作を、ラインL2及びラインL3についても行う。つまり、ラインL2のセンサ画素2−1〜2−4及びラインL3のセンサ画素3−1〜3−4のトランジスタスイッチをオンとし(信号S2)、ラインL2,L3からの電荷信号を増幅するとともにデジタル信号に変換し(信号SC2)、画像処理装置7に対して、ラインL2,L3からのデジタル信号をデータとして出力する(信号SO2)。
【0037】
上記のようにして、まず従来通りに各ラインL1〜L4からデジタル信号を収集する。次に、二次元画像検出器1の全てのセンサ画素1−1,……,4−4をオフにした状態で、アレイアンプ3,5を動作させる。これによりラインL1,L2のリーク電流を含む電荷信号が第1信号線SL1〜第4信号線SL4を通してそれぞれ読み出され、ラインL3,L4のリーク電流を含む電荷信号が第5信号線SL5〜第8信号線SL8を通してそれぞれ読み出され、各電荷信号がデジタル化される(信号LK1)。次に、各リーク電流に相当する信号LK1が画像処理装置7に対してデジタル信号として出力される(信号LO1)。
【0038】
このようにして収集された信号LO1は、第1信号線SL1から読み出された信号がセンサ画素1−1,2−1の加算されたリーク電流値を表し、第2信号線SL2から読み出された信号がセンサ画素1−2,2−2の加算されたリーク電流値を表し、……、第8信号線SL8から読み出された信号がセンサ画素3−4,4−4の加算されたリーク電流値を表す。
【0039】
この発明における補正手段に相当する画像処理装置7は、収集した信号SO1,SO2処理して画像化を行うが、各リーク電流値である信号LO1を用いて信号SO1,SO2を補正した後に画像化を行う。
【0040】
具体的には、ラインL1に位置するセンサ画素1−1の電荷信号に応じたデジタル信号から、第1信号線SL1から読み出したリーク電流値を減算し、センサ画素1−2の電荷信号に応じたデジタル信号から、第2信号線SL2から読み出したリーク電流値を減算し、センサ画素1−3の電荷信号に応じたデジタル信号から、第3信号線SL3から読み出したリーク電流値を減算し、センサ画素1−4の電荷信号に応じたデジタル信号から、第4信号線SL4から読み出したリーク電流値を減算する。このような減算処理を他のラインL2〜L4についても行う。
【0041】
なお、画像処理装置7における補正処理は、ソフトウェアで構成してもよく、ハードウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成した場合にはコストを低減することができ、ハードウェアで構成した場合には処理を高速化することができるので、動画像等をリアルタイムで処理するのに適している。
【0042】
このように回路基板24における各センサ画素のリーク電流値を第1ないし第8信号線SL1〜SL8ごとに読み出して取得し、画像処理装置7がリーク電流値を用いてデジタル信号を補正するので、二次元画像検出器1のリーク電流成分に起因するデジタル信号の誤差を補償することができる。したがって、画像処理装置7で画像化された画像からアーティファクトを除去することができる。
【0043】
また、二次元画像検出器1の信号線分割部に隣接したラインL2,L3は、画像化した際に最もリーク電流成分に起因するアーティファクトが目立つ部分である。したがって、上述した撮影シーケンスに示すように、これらのラインL2,L3から電荷信号を読み出した「直後」にリーク電流値を読み出すことにより、ある程度時間的な変動を伴うリーク電流値を正確に読み出すことができ、これにより正確に補正を行うことができる。したがって、リーク電流成分に起因するアーティファクトをより効果的に除去することができる。
【0044】
上記の実施例では、ラインL2,L3の前にラインL1,L4の電荷信号を収集するようにしているが、ラインL1,L4の前にラインL2,L3の電荷信号を収集する撮影シーケンスを採用することがある。このような場合には、ラインL2,L3の「直前」にリーク電流値を収集するようにすればよい。なお、リーク電流の性質から上記のようなタイミングで収集することが好ましいが、分割部分の境界ラインからの電荷信号収集タイミングに必ずしも合わせる必要はない。この場合でも、リーク電流値を収集して補正に用いることにより従来例に比較してリーク電流成分に起因するアーティファクトを低減することが可能である。
【0045】
<変形例>
次に、図4のタイムチャートを参照して、この発明の変形例について説明する。
【0046】
上記の実施例では、リーク電流値を一度だけ収集し、そのリーク電流値を補正に用いた。一方、この変形例ではリーク電流値を複数回測定するようにしている。具体的には、まずラインL1,L4と、ラインL2,L3について一回目の電荷信号を収集し(信号S1,S2,SC1,SC2,SO1,SO2)、リーク電流値を一度収集し(信号LK1,LO1)、所定時間後に二回目のリーク電流値を収集する(信号LK2,LO2)。
【0047】
このようにしてリーク電流を二回にわたって収集した後、これらを加算平均して補正に用いる。具体的には、第1信号線SL1から読み出した1回目のリーク電流値と2回目のリーク電流値との平均値を求め、この平均値を、ラインL1に位置するセンサ画素1−1の電荷信号に応じたデジタル信号から減算するのである。このようなリーク電流の加算平均を他のセンサ画素についても行って、各リーク電流成分の補正を行う。
【0048】
このように二回のリーク電流値を平滑化してデジタル信号の補正に用いることにより、時間的に異なる二つのリーク電流値を平滑化することになる。したがって、リーク電流値に含まれるノイズを小さくすることができる。その結果、補正に悪影響を及ぼす、リーク電流値に含まれるノイズの影響を抑制することができる。
【0049】
なお、上記の変形例に限定されることなく、三回以上のリーク電流値を測定して平滑化した後に補正に用いるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0050】
また、上記の平滑化に代えて、上述した図3または図7の撮影シーケンスでデータ収集を行った後に、ゲート線方向にリーク電流値を平滑化するようにしてもよい。
【0051】
具体的には、センサ画素1−1,2−1の第1信号線SL1から読み出したリーク電流値と、それらのセンサ画素1−1,2−1に、ゲート線GL1,2方向に隣接するセンサ画素1−2,2−2の第2信号線SL2から読み出したリーク電流値とを加算平均する。このようにして平滑化したリーク電流値を、センサ画素1−1のデジタル信号から減算して補正する。また、センサ画素1−2,2−2の第2信号線SL2から読み出したリーク電流値と、センサ画素1−3,2−3の第3信号線SL3から読み出したリーク電流値とを加算平均し、この平均値をセンサ画素1−2のデジタル信号から減算して補正する。同様に、センサ画素1−3,2−3のリーク電流値とセンサ画素1−4,2−4のリーク電流値とを加算平均して、センサ画素1−3の補正に用い、センサ画素1−4,2−4のリーク電流値と、センサ画素1−3,2−3のリーク電流値とを加算平均して、センサ画素1−4の補正に用いるのである。このようなラインL1に対する平滑化を他のラインL2〜L4についても実施する。
【0052】
このようにゲート線方向にリーク電流値を平滑化するとは、同一のゲート線が接続された画素群(ライン)のリーク電流値を利用することである。これによってもリーク電流値に含まれるノイズの影響を抑制することができる。その上、図3の撮影シーケンスのようにリーク電流値の収集を一度しか行わない場合であってもリーク電流成分に含まれるノイズの影響を抑制でき、しかも複数回リーク電流値を読み取る必要がないので、図4の撮影シーケンスに比較して画像化の時間を短縮することができる。
【0053】
なお、この発明は上述した実施例に限定されるものではなく、以下のように変形実施が可能である。
【0054】
(1)上記の実施例では、リーク電流に起因するアーティファクトが目立つ、信号線を二分割した二次元画像検出器を備えた装置を例に採って説明したが、リーク電流値は信号線を分割していない検出器にも存在している。このような検出器を備えている装置であっても、この発明を適用することでリーク電流値に起因するアーティファクトを除去することが可能である。
【0055】
(2)信号線を二分割より多く分割した二次元画像検出器を備えた装置であってもこの発明を適用することが可能である。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、リーク電流読み出し手段が回路基板におけるリーク電流値を信号線ごとに読み出して取得し、補正手段が、回路基板の同一ゲート線が接続された画素の方向にリーク電流値を平滑化してデジタル信号を補正するので、二次元画像検出器の回路基板のリーク電流成分に起因するデジタル信号の誤差を補償することができる。したがって、信号処理部で画像化された画像からアーティファクトを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る二次元画像撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 二次元画像検出器の一つのセンサ画素について概略構成を示した縦断面図である。
【図3】 撮影シーケンスを示すタイムチャートである。
【図4】 撮影シーケンスの他の例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 … 二次元画像検出器
3,5 … アレイアンプ(変換回路、リーク電流読み出し手段)
7 … 画像処理装置(信号処理部、補正手段)
11 … ゲートドライバ
1−2〜1−4 … センサ画素
2−1〜2−4 … センサ画素
3−1〜3−4 … センサ画素
4−1〜4−4 … センサ画素
L1〜L4 … ライン
SL1〜SL8 … 第1〜第8信号線(リーク電流読み出し手段)
GL1〜GL4 … ゲート線

Claims (5)

  1. 電磁波情報を電荷情報に変換する変換層と、TFTのゲート線を制御して、画素の電荷情報を信号線から読み出す回路基板とを有する二次元画像検出器と、前記電荷情報を増幅してデジタル信号に変換する変換回路と、前記デジタル信号を処理して画像化を行う信号処理部とを備えた二次元画像撮影装置において、前記回路基板におけるリーク電流値を信号線ごとに読み出すリーク電流読み出し手段と、前記リーク電流値を用いて前記デジタル信号を補正するにあたり、前記回路基板の同一ゲート線が接続された画素の方向に前記リーク電流値を平滑化して補正に用いる補正手段と、を備えていることを特徴とする二次元画像撮影装置。
  2. 請求項1に記載の二次元画像撮影装置において、前記補正手段をソフトウェアで構成したことを特徴とする二次元画像撮影装置。
  3. 請求項1に記載の二次元画像撮影装置において、前記補正手段をハードウェアで構成したことを特徴とする二次元画像撮影装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の二次元画像撮影装置において、前記リーク電流読み出し手段は、リーク電流値を複数回読み出し、前記補正手段は、前記リーク電流値を平滑化して補正に用いることを特徴とする二次元画像撮影装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の二次元画像撮影装置において、信号線が分割してある場合、前記リーク電流読み出し手段は、分割部のラインから周辺部のラインへ向かって電荷情報の読み出しを行う場合には、前記リーク電流値の読み出しを、分割部に隣接したラインから電荷情報を読み出すタイミングの直前に行い、周辺部のラインから分割部のラインへ向かって電荷情報の読み出しを行う場合には、分割部に隣接したラインから電荷情報を読み出すタイミングの直後に行うことを特徴とする二次元画像撮影装置。
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